校長雑感ブログ

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1月17日(金)市内新人駅伝・ロードレース大会&防寒着あれこれ

〇今朝は阪神淡路大震災からちょうど30年でした。夜明け前の地震でもあり多くの方がお亡くなりになりました。ただ段々とその記憶が風化されていることが課題のようです。私もその教訓を生かすことを常に考えていますが、まずは「今もしここで地震が発生したら・・」と当事者意識を継続することだと思います。

〇昨日、県立柏の葉公園と総合競技場において、令和6年度柏市中学校新人駅伝大会が行われました。公園内の巡回コースを、一人が約2000m、女子は5人、男子は6人でタスキをつなぎました。結果は女子Aチームが18位、男子Aチームが9位、男子Bチームは参考記録(体調不良者が出たため)でした。風もなく太陽が出ると暖かさを感じましたが、普段の練習の成果を出しきりました。

〇午後はロードレースが行われましたが、2名の選手が駅伝と同じコースを走り、良い経験となりました。長い距離を走ることのためには、強靭な体力(健康的な体)さえあればいいものではありません。走っている間は、他の人を競うというよりも、自分自身と向き合い続けるメンタルが必要です。「こんなにつらいのになんのために走っているのか」「もうやめてしまおうか」などの自分自身の中にある『甘い』誘惑に打ち勝つことは、学習面やその他の面で役にたちます。

 

〇昨日の駅伝応援は、日差しがあるときは暖かく感じましたが、さすがにこの時期ですので立っているだけで底冷えしました。選手以外の人はダウンコートにマフラーや手袋などをしていないととても耐えられない感じでした。

〇朝、正門に立っていると、いろいろな防寒着を着た生徒が登校してきます。マフラー、手袋、ネックウォーマーももちろんですが、この時期はマスクも一つの防寒着になっているようです。外着としては、部活用のウィンドブレーカー、市販のダウンウエアー、足もとまでのグランドコードなど、様々です。ただ個人のロッカーが大きくないので、教室内での保管ができるものに限られています。

〇手にもった携帯用の使い捨てカイロも有効です。手がかじかんでいると、身体全体まで寒い気がしますので、もっと使ってもいいと思います。ただ生徒には、使用が終わって不要になったら、自宅へ持ち帰って捨てるように指導していますので、もしかしたらそれが面倒?なのかもしれません。以前に勤めた学校では、その使い捨てカイロが教室のゴミ箱に大量に捨てられ、処分に困った経験もありますので、致し方ないこともご理解ください。

〇防寒対策には重ね着が必須であると言われており、調べてみると今は、重ね着をレイヤリングとも言うそうで、「ベース、ミドル、アウター」と分かれており、それぞれ「〇〇レイヤー」ということを初めて知りました。ベースとは要するに、肌に密着する1番下に着る防寒インナー(アンダーウェア)のことで、最近は汗や水蒸気を熱に変えて発熱するものが主流になっていますね。

〇また寒さ対策には、暖かい空気をうまく体の近くでためることも重要で、その状態を羽毛を使った衣類(ダウンのコートやジャケット)が有効のようです。私も以前はジャケットや背広の下にベストを着用していましたが、近年は「インナーダウン」として、薄手のダウンを着始めましたら、暖かいので脱げなくなりました。そのようにアウターの中に着る防寒服のことを、ミドルと呼び、これにより防寒効果はぐーんと上昇し、暖かさを持続することができます。

〇生徒は制服やジャージの下に、カーディガンやセーターを着用しています。ただし色は、白、黒、グレー、ネイビーなどを基調としたものとしています。休日に私用で外へ出かけるのであれば、特別に規制はなくてもいいと思いますが、生徒にとって学校は、一応「公用的な場所」ですので、使い分けをすることも学びだと思います。

〇最後のアウターレイヤーは、保温性もそうですが、防水や防風に優れたものが理想ですね。ぴったりフィットするサイズ感よりも、少し余裕があり、空気をたくさん含めるサイズを選ぶことで、より保温力がアップします。

〇またマナー面では、自宅に帰る以外は、「防寒着等は玄関で脱いで手にもって建物に入る」のが社会人の常識ですので、現在はそれを生徒に強いてはいませんが、知識として覚えておいても損はないと思います。「大人になって初めて聞いた」ではなく、知っておいて必要な場面(将来の会社訪問や就職面接など)になったら実行すればいいと思います。

〇よく「フォーマル」と「インフォーマル」と区別しますが、それぞれの場面で服装を適切に切り替えることが、気持ちを切り替える一助にもなります。生徒には、「決まりごとやマナーだから守る」だけではなく、「どうして使い分けるのか?」を、自分事として考えてもらいたいです。

 須藤昌英

 

1月16日(木)「ラン活」と「脱ランドセル」

〇近年では「ラン活」という言葉が聞かれるようになりました。「ラン活」とは、小学校新1年生になるわが子や孫のために、保護者や祖父母がランドセルを購入するための活動のことを示すようです。中学校3年間の倍の6年間を通して使い続けるランドセルですので、「子どものためにできるだけよいものを与えてやりたい」という大人の思いが「ラン活」という言葉を生み出したということでしょう。

〇ただ最近は高級感のあるランドセルも人気があり、値段も数万から十万円以上とバラエティーに富んでいます。昭和の時代の男子は「黒」、女子は「赤」と決まった色だった次は、性別に関係なく自分の好きな色を選ぶ時代になりました。我が家の子どもたちは確か長男と次男は黒っぽい色でしたが、3番目の娘はピンクでした。

〇余談ですが、明日は阪神淡路大震災から30年です。息子たちのランドセルは14年前の東日本大震災の後に、「被災地にランドセルを送ろう」というキャンペーンがあることを知り、拠出しました。ただ当時娘はまだ小学生でランドセルを使用していましたので、まだ自宅にあります。

〇そもそもランドセルは、学校指定の学用品ではありません。地方の学校によっては指定しているところもあるかもしれませんが、少なくとも柏市はそうではありません。それでもなぜほとんどの家庭が小学生にランドセルを買うかというと、学校が指定するうんぬんよりも先に、現代社会の中で長い間ランドセルの購入が不文律みたいな慣例となり、しかもそれを保護者などが自ら選んでいるからです。

〇その一方で「脱ランドセル」という動きもあります。ライフスタイルが変わり、多様性が求められるようになった時代に、伝統的で日本独自の文化であるランドセルではなく、リュック型のかばん(素材は革以外にいろいろ)を使用することも広がってきました。

〇これは4月から正式に導入される「柏市標準服(ブレザータイプ)」をこれまでの制服に加えて、新しい選択肢としていることと本質は同じです。もっと言えば、中学校を卒業後にどの進路(高等学校やその他も含めて)を選択するかも最後は生徒が自分で決めなければなりません。いずれにせよ自分で選ぶことは最後まで責任を負うことに直結することでもありますので、これからの時代を生きていく大切な資質・能力です。

〇話は戻りますが、例えば大手アウトドア用品メーカーが製作した通学用のリュックサックなどは、見た目はランドセルより大きいですが軽く、ランドセルとまではいかなくても耐久性もかなり優れているようです。もし万が一壊れて再び買うことになっても、ランドセルより断然安く抑えることは長所とも言えます。

〇もちろん大手メーカーもランドセルの軽量化はすすめており、どちらを選ぶかは本人と各家庭の判断に委ねられます。さて私も「3年後には孫娘にランドセルを・・」と何となく考えてきましたが、どうしましょうか?2つを見比べて、本人が納得して選択するのが一番良いとは思いますが・・。

須藤昌英

 

1月15日(水)自分で自分を認めることば「これで大丈夫、これでいいんだ」

〇今年初めての満月が昨晩東の空にありましたが、今朝の出勤時もまだその姿は西の空に見えていました。地球の衛星として月は常に一定の距離を保っています。またそのお互いの引力で潮の満ち引きが起きるのは有名ですが、その他に人体にも目には見えませんが大きな影響があります。まさに「おかげさま」でしょう。

〇教員となって38年間、実に多くのそして多彩な児童生徒との出会いがありました。「教えることは教わること」と気づき始めたのは、教員生活をスタートして数年が経過したころでした。「今の教え方で本当にいいのだろうか?」と壁にぶつかった時、目の前の生徒が「学ぼうとする姿」をつぶさに観察することで、自分の一方的な思いでは何も伝わらないことや、その生徒の姿が新たな手法を私に教えてくれていることを実感しました。

〇昨日、卒業生の活躍をうれしく感じていることを書きましたが、かつての教え子(自分のクラスでしかも担当していた野球部の副キャプテンだった生徒)に、コロナ禍になる直前でしたが彼の結婚式に招待されました。立派になったその姿に感動しました。

〇式の始まる前の控え室で彼が突如、「自分で『これで大丈夫、これでいいんだ』と思えるようになったのはつい最近なんです。中学校の時は自分を否定ばかりして、今思うと『苦しかったな』くらいしか覚えていません」と話しました。さらに「今の中学生は僕らのころよりももっと繊細だから、先生も大変ですね」と励ましてくれました。

〇それを聞いて私は意外な気持ちがしばらくぬけませんでした。彼のクラスや部活におけるリーダー的な発言や行動しか記憶に残っていませんでしたので、本当は心中では大変だったのだと初めて知りました。私はおそらく当時、彼の力を最大限にのばしてやりたいという気持ちから彼を叱咤激励だけしていて、彼の「ありのままの姿を認めてあげる」ことがなかったのかもしれないと反省しました。

〇よく考えると私も中学生のころは、クヨクヨ悩む、いつも自分にダメ出しをしてしまう、どうしても自信が持てないことはありました。人間の発達段階ではそういう時期なのかもしれません。

〇昔から有名な漫画「天才バカボン」の主人公は、なにがあっても「これでいいのだ!」と言い放ちます。大人になって知りましたが、作者の赤塚不二夫さんは、あまりにも世間を気にしすぎている人が多く、自分で自分を認めていく大切さを「(わたしは)これでいいのだ」というセリフに込めたようです。

〇私も含め人は日々、後悔と不安に苛まれています。後悔は「あのときこうすればよかった」と過去に、不安は「このさきどうなるのだろう」と未来に自分の意識があります。英語の Present には「現在」と「贈り物」という二つの意味があるそうです。今生きていることが最高のプレゼントでもあり、そのときに自然と「(ぼくは、わたしは)これで大丈夫、これでいいんだ」という自己を認める気持ちが出てくるのでしょう。

〇そんなことを教え子から教わりましたので、今度は自分が生徒たちに伝えていきたいと思います。

須藤昌英

1月14日(火)成人への階段「長所で勝負すればいい」

〇昨日は「成人の日」で、全国では様々な式典が行われたようです。成人の日は満18歳または20歳(3年前までは20歳でしたが、引き下げられ18歳に)を迎えた青年男女を祝う国民の祝日です。日本の古い儀式である『元服(げんぷく)』に代わるものとして設けられ、その意義は「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」ことだとされています。

〇総務省は、2025年1月1日現在における新成人の人口推計を発表し、平成18年(2006年)生まれの18歳以上の新成人は、109万人で、史上最少を記録した今年と比べて3万人増える見込みだということです。このうち男性は56万人、女性は53万人の内訳です。

〇柏市では二十歳を祝い励まし、社会人としての自覚のかん養や郷土意識の高揚を図るため、二十歳による柏市成人式実行委員会を組織し企画・運営を行い、柏市成人式を開催しています。柏市のホームページには、「成年年齢が18歳に引き下げられることに伴い、柏市成人式の対象年齢を引き下げることも考えられましたが、18歳で開催した場合、受験や就職活動の時期と重複してしまい、式に参加しにくくなることや同様の理由により市民主体(実行委員会形式)で企画・運営を行うことが困難になること、また、上級学校への進学や新生活への準備にかかる費用と成人式の着物や写真代にかかる費用等が同時期に集中することが懸念されます。これらのことから、本市では、令和4年(2022年)4月1日以降も現行どおり、当該年度に20歳になられる方を対象として柏市成人式を開催いたします。」とあります。

〇またこれに伴い、式典の名称を従来の「柏市新成人のつどい」から、「柏市成人式~二十歳の集い~」へと変更しました。この行事は教育委員会が主催ですので、私もかつて教育委員会事務局に勤務していた頃は、会場の市民文化会館の誘導や警備を手伝っていました。かつては式会場の外で派手な衣装を着て大騒ぎをする成人たちが多くいて、彼らをなだめるのが大変なこともあったことも思い出します。

〇今の中学生も数年後には、それぞれ成人として扱われます。中学校時代はそのための準備期間でもあります。そんな中学生にはその心構えとして、樋口恵子さんの「私の青春ノート」から、次の部分を抜粋して紹介します。

「長所は常に短所と裏腹である。勝ち気ということは、相手が自分である限り長所だが、むやみやたらに外に向かうとはなはだしい虚栄心になる。気が強いのもしっかりとしている点では長所だが、向っ気ばかり強くて相手の心を傷つけたりすることに無神経だったら、明らかに短所だ。反対に大人しく穏やかな性格は、寛容さ、安定した感情ということでは長所だが、自己主張できない弱い性格だったら短所でもある。(途中略)友達ができなかったり何かの加減で非難や中傷の対象となったりしたとき、中年の大人ともなれば「何言っているのさ!」と大きく構えることもできるが、内心動揺しないわけではない。まして中学時代はまだ自分の内心がかたまっていないし、他人の評価がとりわけ気になる年頃だ。動揺しないほうがどうかしている。動揺してうろたえ、いろいろとやってみることだ。あっちこっちの角にぶつかって、どこか自分の性格で邪魔になる部分がわかってくる。しかしそれは自分を殺してつくりかえることではない。性格であれ能力であれ、人はその人の長所が発揮されたときが一番、サマになっている。学科だってそうだろう。数学の得意な人は短期間の努力でますます力を発揮するだろうが、不得手の人は他人の何倍も努力しても、なかなか効果があがらない。当面は入学試験があったりするから、嫌なものでも努力しなければならないが、私は最終的に『人はただ一ヶ所の長所で勝負できればいい』と思っている。長所で勝負するとき、人は生き生きとして魅力的だ。英語のリーダーを読ませれば立往生のAさんが、バレーボールの試合のときには何と美しく躍動的であることか・・・。性格も同じことで、長所をのばしていこう。いや、自分らしさの性格にある長短両面の内、長所になるべき方向をのばす、といったほうが正確だろう。勝気な人は頑張る意思の強さ、自分に打ち勝つ心をのばそう。」

〇私も過去に中三の担任を10回務めましたが、特にその卒業生達が今あちこちで活躍していてくれることを誇りに感じています。「教員をしていて良かった」と思う瞬間です。

須藤昌英

【昨年の柏市成人式の様子から】

1月10日(金)してもらったことに目を向ける「恩返しと恩送り」

〇昨日は「人は時として自らの生きる意味を求める」について書きましたが、次の詩も私は若い時からよく学級通信に掲載したものです。紹介します。

「朝がくると」まどみちお

朝がくると とび起きて ぼくがつくったものでもない水道で

顔をあらうと ぼくがつくったものでもない洋服をきて

ぼくがつくったものでもないごはんをむしゃむしゃ食べる

それから ぼくがつくったものでもない本やノートを

ぼくがつくったものでもないかばんにつめて 背中にしょって

さて ぼくがつくったものでもない靴をはくと たったかたったか でかけていく

ぼくがつくったものでもない道路を ぼくがつくったものでもない学校へ ああ なんのために・・

今に大人になったら ぼくだって ぼくだって

何かをつくることができるようになるために・・・

〇「ぼくがつくったものでもない」の韻をふみながら、日常生活における何気ない様子と男の子の未来に対する期待と不安をよく表していると思います。こういう平易な言葉だけをならべている詩は、読みやすいですがなかなか自分で作ろうと思ってもできるものではありません。

〇民話にある「鶴の恩返し」やそれを題材にした木下順二の「夕鶴」は多くの人が知っている話ですが、人間に助けてもらった鶴が自分の羽を使って美しい布をおり恩を返すお話です。男は女に「機織りをしている部屋を決してのぞかないで・・」と言われたのに、男は鶴となった女が機織りをしている様子をのぞいてしまい、最後はその鶴が空へ帰ってしまう結末となっています。

〇私は幼いころからこの話を聞くたびにこの結末があまり好きではなく、雪空に鶴が飛び去っていく淋しい情景を思い浮かべていました。おそらくは寒い地方の民話で、雪雲におおわれたねずみ色が余計に物悲しくさせるのかもしれません。

〇「恩返し」という言葉は、お世話になった人に直接何かをしてあげることですが、50歳になった頃に「恩送り」という言葉を本で読んで初めて知りました。そしてその後段々と年齢があがるにつれてその意味を深く考えるようになりました。

〇これまでの人生の中で、多くの人にお世話をしていただきましたが、実際にその方々すべてに直接「恩返し」をすることはできませんでした。両親や兄弟はまだしも、友達や恩師、同僚や住んでいる地域の方々、私もその方々すべてと今でもつながっていたりきちんと感謝を伝えたりできていないことがほとんどです。

〇であるならば、「恩返し」ではなく「恩送り」をしていくしかない・・かと思ったのです。例えば私であれば、小・中・高・大と16年間で多くの授業や諸活動の中で、多くの先生や友達から様々なことを教わりました。その後教員となり、今度は多くの生徒や同僚に対して、自分としてできるだけのことをやらせてもらいました。

〇しかしそれは別の見方をすると、それまでしてもらったことに感謝しつつ、直接その方々に恩は返すことはできませんでしたが、その分あらたに出会った別の方々に「恩を送っている」とも考えられるようになりました。

〇冒頭の詩のように、世の中のほとんどがお互いの「恩送り」で成り立っているなかで、逆に「恩返し」をできることは稀なことなので、私の中では次の図のようなイメージになります(基本は「恩送り」しかできませんが、まれに幸運にも直接その人に「恩返し」ができたらよい・・・)。

〇これまでにたくさんの人達にいただいた様々な恩は、できるだけ多く返していくようにしたいものです。

須藤昌英

1月9日(木)忘れられない「深くて難しい質問」

〇今から30年以上前、若い頃に担任をしていたクラスの生徒の一人から、質問を受けました。その具体的な場面は忘れました(多分昼休みだった?)が、突然「先生、『生きる意味』って何ですかね?」と尋ねられ私は一瞬絶句しました。ただその生徒は決して思い詰めるような表情ではなく、教室の窓から校庭をぼんやりと眺めながらつぶやいたのです。

〇いずれにせよ唐突な質問であり、私もまだ20歳代でしたので人生経験も浅く、ただその場の勢いで「これまで生きてきて、そんなこと考えている時間は自分にはなかったなあ~」とだけ答えた記憶があります。しかし本当は当時はまだそんな直球的な質問を大人として正面から受け止め、自分の言葉で答える自信がなかったというのが本心でした。以来他の生徒に「もし同じ質問をされたらどう答えようか?」が私の長年の課題意識になってきました。

〇そういう私が50歳半ばを過ぎたくらいに読んだ本に、「人の生きることに意味はあるのか?」に関して、考えさせられるトピックがありました。ある哲学者の実体験ですが、内容を要約して紹介します。

「その哲学者にはその道を志すきっかけになった100年前くらいの大哲学者(故人)がいました。とにかく彼は若いころからその大哲学者に強い憧れを抱いており、『あなたは将来どんな学者になりたいか?』と人から尋ねられれば、必ずその方の名前を挙げて答えていました。ある日京都で定例の学会があり、その晩にホテル近くの行きつけの小さなバーでいつものように一人でお酒を飲んでいました。すると後からその店に感じのよい紳士が来て隣に座り、お互いにボツボツ話を交わすうちに、相手が医大の先生であることがわかってきました。そしてその学者が自ら『自分は哲学者をしています』と自己紹介すると、その紳士が即座に『それは奇縁ですね。実は亡くなった私の祖父も哲学者でしたよ』と言います。学者は『そうですか、おじいさまのお名前を聞いていいですか?』と言ったその相手の答えに、その哲学者は思わず自席から立ち上ってしばらく直立不動となり、その紳士に深く頭を下げ、握手を求めた」という話です。

〇その哲学者は、「人は時として、存在するだけで他者に恩恵を与えることがある。その紳士も私を元気づけようとわざわざ京都まで来たわけではない。何気なく店に入ってきて、たまたま私の隣に座っただけ。ただ私の方は、尊敬する方のお孫さんに思いもかけずお会いでき、至極の喜びを感じた。そのお孫さんの紳士的なたたずまいを通して、尊敬する方を身近に感じることができた」と振り返っています。

〇さらに続けて「人はいつも、生きる意味を求めてあれこれ悩むが、『自分が存在するだけで、誰かを助けている』と思えるなら、それは素敵な生きる意味ではないか」と結んでいました。私はこれを読んだ時、他人事ながら深く感動しました。そして「人生において目には見えない縁があるのかもしれない」「人の強い思いは会いたい人を引き付けるのではないか」などと思いました。

〇今の生徒たちももしかしたら30年前のその生徒と同じような疑問をもっているかもしれません。もし30年前に戻ることができたなら、あの生徒(おそらく50歳くらいになっているはず)にもこの話をわけてあげたいです。

須藤昌英

 

1月8日(水)自律神経を整える(2つの神経のバランス)

〇私は普段から移動する際には、徒歩の他に自転車、バイク、自動車などを利用しています。歩いていたり運転していたりする時に、最近よく気が付くことがあります。信号機のない横断歩道で待っている人に「一時停止」をして道を譲るドライバーが増えたなと思います。

〇そもそも法律で、「横断歩道は歩行者優先であり、運転者には横断歩道手前での減速義務や停止義務がある」と規定されています。昔は多くの人はこのことを知っていても、停車して横断歩道を歩行者が渡るまで待っている車はほとんどありませんでした。これからもこのような人が増えるといいなと感じます。

〇このことで思い出したことがあります。人間の自律神経に関して多くの研究を発表している順天堂大学医学部の小林博幸教授が何かの雑誌に「運転中に相手の車に道を譲るだけで、自律神経が整う」と書いていました。最初読んだ時は「まさか・・それだけで・・」と思いましたが、よく考えてみると確かに道を譲る時は自分の心や気持ちに余裕があり、さらに道を譲った相手がこちらに頭を下げてお礼をされると、もっと気分が良くなります。こんな小さなことでも人間の身体は微妙に反応していることが面白く感じます。

〇自律神経系とは、身体の血圧や呼吸数など、体内の特定のプロセスを調節している神経系です。そして自律神経は身体の働きをコントロールするにあたり「交感神経」と「副交感神経」の二種類に分かれます。車に例えると、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキです。

〇交感神経の働きが上がると気持ちは高揚し、仕事の能率はあがります。逆に副交感神経の働きが上がるとリラックスし、疲れがとれていきます。ただ大事なのはこの2つのバランスで、交感神経が優位に立つとイライラし、身体の免疫力が低下します。逆、副交感神経が優位に立つと注意力が散漫になり、作業などのミスが増えます。

〇子どもの含めた現代人は、自律神経が乱れがちで特に「交感神経と副交感神経のバランス」がとれていないとは以前から指摘されています。先ほどの小林教授の言葉を引用させてもらうと、「自律神経とは、自分の意思で動かせない臓器をコントロールしている神経です。例えば末梢神経でいうと、自律神経はその周りにある筋肉を動かし、血流をコントロールしています。健康でないと、いいパフォーマンスはできませんよね。」と言われています。

〇生徒たちは学校では主に交感神経を優位に働かせて、学習や活動をしています。なぜならば、ボーとしていると授業の内容が頭に入ってきませんし、体育や部活動などでも転んだりつまずいたりと危険なこともあります。朝自宅を出てから、登下校も含めて夕方帰宅するまでは、ほとんど交感神経を働かせていると言えます。

〇ですので自宅等では、副交感神経の出番になります。副交感神経は好きな音楽や動画を聴いたり観たり、家族とおしゃべりしたりするだけで活発になるそうです。また身近な自然を感じたりする、例えば登下校で朝陽や夕陽を「キレイだな~」と感動してながめたり、道端の草花や昆虫を見つけたりすることも有効だそうです。

〇気分転換としてスマホやテレビゲームも否定するつもりはまったくありませんが、それを適度に利用し、少なくともそれを追いかけるまたは追いかけられる時間(これは副交感神経ではなく交感神経が優位になっている)を少なくするようにしたいものです。

〇今朝もまだ車の運転に自信のない若い職員と話をしていると、「今朝、学校の正門前で右折して入る先輩に左折して入ろうとした私が『お先にどうぞ』と譲ってあげました」と話していました。先輩教員だから譲ったのかもしれませんが、少なくともその若い職員は今日一日、穏やかな気持ちで過ごせることでしょう。

須藤昌英

 

 

1月7日(火)第3学期始業式&私立高等学校入試開始

〇本日から3学期が始まりました。昨晩の雨のおかげで、しっとりとした朝で、少しはインフルエンザなどの感染症もおさまってもらいたいものです。2週間ぶりに正門で生徒が登校する様子を見ていましたが、お正月を過ごしてこれから学校生活にリズムを切りかえようとして、緊張感?浮遊感?が漂う生徒も多くいました。が大きな声で挨拶をしてくれました。

〇始業式では、次のようなスライドを使って話をしました。

 

〇最初は「なぞなぞ(とんちクイズ)」から始めました。学校は「これはなんだろう?どうして?」などを大切にし、大きな課題は解決を急がずに探究する場所であってほしいものです。「なぞなぞ」の語源は「なんぞ、なんぞ」で、学校は今まで分からないことが分かるようになる、出来なかったことができるようになる場です。

〇そして現代を生きていく生徒たちには、4つのC(挑戦、コミュニケーション、見通す力、自立・自律)に代表される資質・能力が欠かせません。そのベースとして特に「自分は何よりも~が好き」で「〇〇をしているときの自分がどんな自分よりも好き」という感覚を大切にしてもらいたいです。

〇ただ留意してほしいのは、「あの人は言うことと実際にやっていることがバラバラだね!?」では、人間関係上の信頼感をなくします。言っていることと行動が一致(言動の一致)するとは、発する言葉(口)と実際の行動(身)の矛盾がないことです。特に顔や口は正面にあるので見えやすいし伝わりやすいですが、行動は背中(見えにくい、伝わりにくい)に滲み出るので、「背中でも語れる人」が理想です。

〇最後に今から34年前の曲「どんなときも(槇原敬之:作詞作曲)を流しました。当時私は二十代後半で、クラスの生徒とよくこの曲を聞いたり歌ったりしていました。特に曲のサビの歌詞が今でも印象に残っています。

どんなときも どんなときも 僕が僕らしくあるために 「好きなものは好き!」と 言えるきもち抱きしめてたい  

どんなときも どんなときも 迷い探し続ける日々が 答えになること 僕は知ってるから

〇21世紀も四分の一が過ぎようとしています。生徒たちは22世紀にまたがって生きるのですから、残りの四分の三をいかに生活していくか・・。生徒たちに投げかけて終わりました。

 

〇明後日から高校入試が本格的にスタートします。都道府県によって私立高等学校の日程がほぼ決まっており、今週の茨城県から始まり、順次千葉県、東京都、埼玉県と続きます。私立高等学校はその学校独自の入試を行いますので、大別すると「一般入試」「推薦入試(単願・併願)」ですが、その他日程も「A日程」「B日程」などと、入試の機会をAとBに分けることで受ける回数が増えしている学校もあります。

〇また私立高等学校は公立高等学校と違い、発表している「募集定員」よりも多くの「合格者」を出します。理由としてはやはり学校を経営するという面がありますので、もしその後に入試のある公立高等学校へ多くの生徒が流れてしまうと、募集定員を下回る可能性があり、それを避けるためです。

〇千葉県公立高等学校は今年から全校でインターネット出願になりました。1月14日~2月3日までに志願者情報の登録及び入学検査の納付を行い、2月4日~6日で「郵送による出願」、2月12日~13日の「志願(希望)変更」、2月18日~19日の「学力検査等」、3月4日の「発表」と続きます。ただし私立高等学校と違うのは、先ほど書いたように「1回しか受けられない」「募集定員数通りしか合格者を出さない」ことです。

〇その為1回に限り、まず出願確定した後にネットや翌朝の新聞に掲載される「志願倍率」を見て、最初に志望した高等学校への願書を引き下げ、新たな高等学校へ出願することができます。ただしこれは無暗に行うと返って生徒本人に心の動揺が残ることもありますので、慎重に行わなければなりません。

〇上記の4つ「出願」以外の3つ(「変更」「学検」「発表」)は基本的には、生徒自身が志望校に行くことになりますので、担任からは必ず事前に行き方を調べたり、実際に足を運ぶように指導したりしています。ただ2月ですので、過去には入試日に雪が降り、交通手段がストップしたり開始時間が遅れたりしたこともありました。最悪の状態も想定し、どうやって入試会場までいくかは複数の案をもっていた方が良いと思います。

〇現在3年生は体調管理と試験準備の両方に気を使っていますので、学校としては無事に終わるようにサポートしていきます。

〇3学期は全校生徒で集うのは、3月3日の生徒会主催「3年生を送る会」のみで、3月11日の「第78回卒業証書授与式」で3年生は巣立っていきます。インフルエンザやコロナ等の感染症も大きく広がらないように祈っています。

須藤昌英

1月6日(月)「はたらく細胞」を観て

〇新年になり映画を一つ観ました。最初はあまり気乗りしませんでしたが、家族に勧められて行きました。「はたらく細胞」という題で、館内には親子連れも多く、随所に戦闘シーンもあるので、子どもはどういう感想をもったのか知りたいところです。学校ならば気軽に生徒に「どうだった?印象に残った場面は?」など矢継ぎ早に尋ねられますが映画館ではそういうわけにはいきません。

〇映画の公式ホームページから紹介文を引用させてもらいます。

「人間の体内の細胞たちを擬人化した斬新な設定で話題を集め、テレビアニメ化もされた同名漫画を実写映画化。原作漫画『はたらく細胞』とスピンオフ漫画『はたらく細胞 BLACK』の2作品をもとに、ある人間親子の体内世界ではたらく細胞たちの活躍と、その親子を中心とする人間世界のドラマを並行して描く。

人間の体内には37兆個もの細胞が存在し、酸素を運ぶ赤血球や細菌と戦う白血球など無数の細胞たちが、人間の健康を守るため日夜はたらいている。高校生の漆崎日胡は、父の茂と2人暮らし。健康的な生活習慣を送る日胡の体内の細胞たちはいつも楽しくはたらいているが、不規則・不摂生な茂の体内では、ブラックな労働環境に疲れ果てた細胞たちが不満を訴えている。そんな中、彼らの体内への侵入を狙う病原体が動き始め、細胞たちの戦いが幕を開ける。」

〇人間の主人公の体内にある細胞の方の主人公は、赤血球(肺から取り込んだ酸素を全身の組織に運ぶ役割)と白血球(細菌、ウイルス、カビといった外敵やがんから身体を守る働き)で、それぞれが自分の役目を果たそうとする中で、無意識でお互いに連携してはたらいていますが、そのことを身体の主人である人間はまったく知らないで生きています。

〇先日、初日の出を見て、太陽と我々生物の関係を書きましたが、あれはマクロ(大きい・巨大)的な関係ですが、細胞はミクロ(小さい・細かい)的な世界で対照的です。ただ「目に見えない・意識できない」という点で共通点も感じました。

〇私は学生の頃から、「遺伝子や細胞」といったことに興味があり、一時期は科学者としてその研究もしてみたいと思っていました。ただ自然とそれを断念し、数学の教員となりましたが、生物分野でも数学が活用されているので、教員になった後も生物系の本を見るのが好きです。

〇例えば、細胞は1つの細胞から順々と細胞分裂していきますが、1回目の分裂で1個が2つに分裂して2個、2回目の分裂で2個がそれぞれ2つに分裂して4個、3回目の分裂で4個がそれぞれ2つに分裂して8個・・となり、30回目の分裂でおよそ10億個になります。つまり2のカイ乗(n乗)計算は、予想をはるかに超えるスケールで増えていきます。

〇また3年生が理科で学んでいましたが、メンデルの法則(遺伝子に関する古典的な研究)では、詳細は避けますが、エンドウ豆の丸形としわ型を交配させ、交配によって一つが他よりも優れて現れるのを「優性遺伝」と呼びます。その結果分析にはマトリクス(縦軸・横軸の二次元で構成された表)を使い、統計的な数学の処理をしています。

〇数年後には生徒たちは、社会に出てそれぞれの職業を通して収入を得ると同時に、その仕事や役割を通して社会に貢献していきます。その貢献という目には見えないはたらきこそ継続していく要因となります。「自分も何かの役に立っている」が自己有用感となりますので、前述の細胞たちのはたらきと共通している面があります。働くとはよく「自分の行為によって傍(はた)を楽(らく)にする」ことと語呂合わせのように言われることがありますが、上手な解釈だと思います。

〇明日は2週間ぶりに生徒たちと再会します。私は始業式で話す内容を考えつつ、3月の卒業式の準備も始めましたし、職員も多くが出勤し、明日からに備えています。感染症も流行っていますが、元気に登校してくれることを願っています。

須藤昌英

1月4日(土)新年おめでとうございます

〇新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。1日はあの能登の震災からちょうど一年でした。お亡くなりになった方も大勢いらっしゃいました。お身内を亡くされた方もいらっしゃいます。なかなか復興が進まず未だに不自由な暮らしの方も多いと聞きます。お見舞いを申し上げます。

〇令和七年は巳年(みどし・へびどし)です。蛇は脱皮をすることから、「新生・成長・変化」のシンボルとも言われます。小学生くらいの時遊んでいる最中に、林の中で蛇の抜け殻を見つけたことがあります。初めて見たのでとても神秘的で、自宅まで持ち帰り母親に叱られた思い出があります。

〇確か布施弁財天(紅龍山東海寺)様にも白蛇が祀られています。白蛇は弁天さまの使いといわれ、以前に参拝したときに境内にかわいい白い蛇のキャラクター「はくじゃちゃん」があったのが印象に残っています。布施弁財天はまさに富勢中学区の守護をしてくださっていますので、いつも感謝しています。

〇1日は自宅近くの手賀沼からご来光を仰ぎました。ご来光を見ると、亡くなった父が言っていた言葉を思い出します。「太陽があるから人間は呼吸もできるし、心臓が動いて血が全身に流れているんだよ」と言われても幼い頃は実感がありませんでした。ただこの年齢になると少しはその意味がわかります。太陽とすべての命がつながりあって地球上の生物は存在していることは、目には見えませんが想像することはできます。

〇よく使う「おかげさまで・・」の言葉の由来もここにあるのでしょう。日光は見えますがその影響力は広大かつ深遠で、その一つとして植物の光合成によって大気が循環し、それによって動物は生きていられます。「目に見えない周囲の支えがあって人間は好きなことができる」ということは普段はあまり考えませんが、元日という節目には謙虚になってそのことに感謝しつつ、今年一年の目標に思いを巡らせました。

〇好きなことができるのに関して、中国の論語(孔子と弟子たちとの問答を集録した書)を思い起こします。それは、『子曰、知之者不如好之者、好之者不如楽之者』で、読み方は「子曰く、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」です。意味は、「先生は言われた。物事をよく知っているという人は、そのことを好きな人にはかなわない。またそれがいくら好きであっても、それを楽しんでいる人にはかなわない、と」。

〇学校は様々な教科や活動があり、私もそうでしたがそのすべてが好きだという生徒はいません。ある面では仕方なく勉強していますが、もしその中に一つでも自分の好きなものがあれば、その人は幸運だと言えます。好きですから無理して努めなくでも必要な知識や技術は身につきますし、やればやるほど他人に言われるまでなくそのことを自ら探究していきます。

〇ただ好きなだけでなく、それを楽しむことができれば、さらにその学びの姿勢は自然と継続されます。日本でも「好きこそものの上手なれ」は有名なことわざです。子どもであれ大人であれ、どんなことでも上手な人は生き生きとしています。先日もおめでたい報道があったメジャーリーガーの大谷翔平選手も、持って生まれた才能に加え、野球が好きでたまらない気持ちから、生活のすべてを野球のためにつなげ、人の見えないところでとてつもない努力をしているのです。

〇新年にあたり富勢中のすべての生徒たちが、「この好きなことがあるから嫌なことも乗り越えられる」という秘かな自信をもって、今年一年を過ごしてほしいと願っています。

須藤昌英

12月31日(火)良いお年をお迎えください(自宅から投稿)

〇先週の火曜日から始まっている冬季休業(~1月6日)ですが、一週間が過ぎ、残り一週間となりました。お子様はどのように家庭で過ごしているでしょうか?日本海側は大きな寒波で大変な状況ですが、関東地方は寒さはあるものの毎日快晴に恵まれており、穏やかな年末のような気がします。

〇年末は家族が続々と発熱し、数回病院へ付き添いしました。幸いまだ今のところ私は元気ですが、もし今発熱すると発熱外来をしてくれる病院が少ないので、何とかこのまま乗り切れないか・・と考えています。

〇振り返ると今年は「辰年(たつ)年」でしたが、たつ(竜、龍)は十二支の中で唯一空想上の生き物で、権力や隆盛の象徴であることから、出世や権力に大きく関わる年といわれていました。であるからか今年は国内では政治的に大きな選挙があったり、世界的ではあらたな紛争が勃発(今までの戦争が継続)したりといろいろと考えさせられることがありました。

〇これらも生徒にとっては、「良い教材(自分たちの生きている社会を見つめ、自分たちの生活に直接結び付く)」ではないかと思っています。もちろん発達段階によって、興味の方向性や認知の精密性は異なり、個性もありますので一概に、「これとこれは中学生ならば必ず知っておかねばならない」と固定的には考えていません。

〇ただ気になるのが、情報化社会に浸かると、「フィルターバブル現象(自らの考えやし好にあった情報だけに囲まれ、その他の情報に関心を持たなくなる)」の危険性が高まるということです。手元のスマホなどを通して限られたネットワークからの情報に著しく依存することで、視野の狭さ、誤情報を信頼、社会的分断、判断能力の低下、興味の固定化、コミュニケーション能力の低下などが指摘されています。

〇自分とは異なる考えや意見にも耳を傾け、その考えや意見の背景や理由を想像してみることは、社会に出てからは欠かせない姿勢になります。学校はそのための練習として、授業やその他の活動を用意しており、話し合い活動や協働活動の中で「一人でいるよりも人間関係は大変だけれども、確かに大切でもある」ということを実感してもらいたいのです。この「大変」と「大切」が表裏一体であることがわかると、コミュニケーション能力もあがると思います。

〇もう一つ気になるのが、生徒自身よりも周囲の大人が、「子どもは教科書の内容さえをしっかり理解し、身につければよい」という声を時々耳にすること。ただそれは生徒のもっている力を過小評価していると感じます。教科書はあくまでも知識の入口に過ぎず、現実の世の中はもっと広範囲です。先ほどのように「そんな世界情勢などに関する議論のような難しいことを今の生徒がわかるはずがない」と思っている大人も多い気がしますが、実は生徒たちは「答えのない問いを考える力」をすでにもっています。この事実と向き合い続ける力こそこれからの未来を背負っていく彼らに必要な力であり、大人は彼らの意見ももっと尊重し、一緒に考えていくべきです。

〇ただそれを考える時間の確保が、学校の今の教育課程(授業時数)では難しいのが現実です。知識が体系的にまとめられている教科書はもちろん大切ですし、その内容はある意味「人類の英知、世の中の仕組みのエッセンス」ですので、「困ったときに戻って確かめる」のが本来の役割です。たた前述のように「教科書さえ学んでいれば・・」では、「生きて働く知識」にはならないと思います。

〇我々大人が、広くて深い思考をし、子どもたちの見本となっていくことや、現実には大人でもわからないことが多いので、子どもたちと一緒に考えていく姿勢を持ち続けることが大切だと思います。

〇今年の「校長雑感ブログ」も、本日で終了となります。自分の頭に思い浮かぶことをありのままに書きました(ただその分読まれる方は読みにくいことも承知しています)。保護者アンケートの中にも、「校長先生のブログで、学校の様子がわかり親としてはとてもうれしかったです」などのご意見もいただきましたので、励みになります。校内での出来事はすべて校長まで報告がありますが、もちろんすべての情報をブログに書くことはできません。ただできるだけ今後も「これは学校内だけで留めるのではなく、保護者や地域の方々にも知ってもらった方が良いだろう」の視点で書くことで、学校の様子を透明化(可視化)できたら・・と思います。

〇良いお年をお迎えください。生徒たちとは1月7日(火)に再開できることを楽しみにしています。

須藤昌英

 

 

12月23日(月)2学期終業式&いじめ防止集会

〇2学期(授業日数77日)が終わります。暑い9月から寒い12月と月日の流れとともに、生徒たちの成長を感じます。そしていつも学期末には、学校は果たして一人ひとりの生徒に精一杯「個別最適な支援」ができたかどうか・・と考えさせられます。2学期の表彰式に続き、終業式を体育館で行います。

〇戦国時代の武将の中で私が好きな一人が、毛利元就(もうりもとなり;1497-1571年)です。一般的には知略と謀略に長けた名将で、数々の経緯を経て、所領を増やしたことで評価されています。もちろん武士ですので、大勢の人々を支配し時には殺戮もしてきたでしょう。ただそんな彼でも人間くさい2つのエピソードがあります。

〇そのうち有名なのが、「三矢の訓え(みつやのおしえ)」で、元就が、三人の息子(隆元、元春、隆景)にあて、大きくなればなるほど身内の中での争いが生じることは世の常であるが、毛利家の将来のため、一家の頭領として三人の子どもに一致団結を説きました。その例えが、1本の矢なら簡単に折れるが、3本まとめて束にすれば折れない。それと同じように、3人が力を合わせれば、誰にも負けることはない」と諭したそうです。

〇もう一つがあまり知られていませんが、元就の部下や庶民に対し方のエピソードです。私はこれの方が「三矢の訓え」よりも好きなので紹介します。

「元就は自分の御屋敷にいる時には いつも餅や酒を切らさずにおいていた。元就は城下に住んでいる、とりたてて身分の高くない侍や 小間使いの者、あるいは庶民などまで親しく付き合った。そういう人たちは、農作物や山海の珍味などを持って、元就に面会した。そういう際に元就はわざわざ場を設けて歓待し、贈り物を喜んで受け取りつつ、必ず「君は上戸(酒が好きで飲める)か?それとも下戸(酒は飲めない)か?」と尋ねた。相手が「酒は飲める」と答えると、笑って酒を飲ませた。逆に「酒は少しも飲めません」と答えると、「君は下戸なのか。ならば餅を食べなさい」と餅を食べさせてあげた。このことから、身分の低い者たちまで元就のことを慕っていた」

〇作り話の可能性も否定できませんが、大将という立場になると人間は下の身分の者から遠い存在になってしまいますが、あえて相手に合わせて接待することで、戦時などの危機の場合にも家来から助けてもらえたということでしょう。特に「酒か餅」を相手に合わせて出すなどは、前述の個別最適な教育に通じるものがあります。終業式でも少しその話を生徒たちにしてみようかと思いつつ、自分としてはお正月に、お屠蘇(とそ)とお雑煮(ぞうに)をいただきながら、ゆっくりと振り返ってみます。

〇終業式に続いて、生徒会主催の「いじめ防止授業」を行います。これは先月に柏市教育委員会主催の「いじめ防止サミットKashiwa」に参加した2年生の中村さんと佐藤さんが、そこで学んだ内容をさらに本校の生徒アンケートの結果も含めてアレンジしたものです。全校生徒が話し合いをしやすいような工夫が満載されており、今からとても楽しみです。

 〇まず事前に全校生徒に行ったアンケート結果を確認しました。スマホを持っていない生徒は7パーセント(持っている生徒は93%)、持っていない理由(家のルール、自分の意思、没収、その他)、持っていないメリット(トラブルなし、面倒くさい人間関係なし、見てしまう無駄な時間なし、依存症にならない・・)、持っていないデメリット(いざという時の連絡手段なし、みんなの話題がわからない、調べる時に不便・・)、持っていて今まで問題を起こした人12%、友達の使い方をみて問題だなと思った人22%。

〇次の2つのテーマを体育館内で話し合いました。

テーマ①『もし柏市で中学生以下の児童生徒のSNS使用が禁止になったらどうする??賛成?反対?』

テーマ②『中学生以下は禁止』という条例が出ないために、皆さんが学校生活や実生活でできることは何ですか???

それぞれの意見の代表として、事前にビデオ撮影した生徒たちが考えを発表しました。

〇最後に、山本PTA会長さんにアンケート結果を見ての感想と3つの気を付けることのメッセージをいただきました。「親が子どもにスマホを持たせる一番の理由は、安全を確認するためです。しかしその反面、SNSのトラブルや闇バイトなどの犯罪に巻き込まれる危険があります。冬休みに入るにあたって、使用時間を管理する(目の休養、運動量の確保、家族との団らん)、SNSのマナーを守る(言葉の使い方、相手への思いやり)、個人情報を漏らさない(氏名、住所、電話番号、家が特定できる写真)ように。相手と向き合っての年末年始の『良いお年を』や『あけましておめでとう』などは文字だけでは伝わらない表情や動きがあるので、誤解の少ないコミュニケーションです。楽しい冬休みを過ごしてください。」

〇山本会長さん、お忙しい中ありがとうございました。インフルエンザ警報も出ていますので、令和7年1月7日にまた元気で会えますように。

須藤昌英

 

12月20日(金)創立80周年に向けてのワーク&年末大掃除

〇富勢中は2年後に創立80周年を迎えます。市内では同じく昭和22年に新制中学校としてスタートした中学校があと3校(柏中、土中、田中中)あります。本校創立当時は生徒数199名(4学級)で、軍隊の旧兵舎を仮校舎としていた記録が残っています。

〇平成9年の創立50周年には、柏市長をはじめ多くの来賓に来ていただき、創立記念式典を盛大に行いました。その後の60周年、70周年は記念集会という形で、記念誌を発行したり講師を招聘して講演をしたりしました。大きな次の式典は創立100年になります。

〇過去の式典は、教員や地域の方々、PTA役員などの大人が企画・運営していました。これは入学式や卒業式と同様の学校行事であり、来賓をお招きしてみんなでお祝いするという目的がありますので、ある面では仕方ないと思います。

〇ただ私も過去の勤務校で何度か創立記念に関わってきましたが、どうしてもその創立記念の場に立ち会い、本来は主役である生徒たちがお客さまのようになってしまうことが気になっていました。生徒の心の中は「●●周年だからおめでたいことはわかるけど、これからこの学校の歴史をつくっていく私たちは何をしたらいいんだろう?」みたいな気持ちがきっとあったと思います。

〇そこで来る80周年はこれまでとは異なり、生徒会が中心となり自分たちが調べたり考えたりした富勢中や富勢地域の歴史や先輩方の思いを振り返り、これからの未来へのビジョンを共有する場に保護者や地域の方々を招く創立記念集会をしたいと考えています。

〇自分たちの言葉で発表する場に、日頃からお世話になっている保護者や地域の方々への感謝の意を表し、さらによりよい関係性を向上させることを目的としたて実施する「生徒主体の行事」にすることを目指します。

〇そのためのベースづくりとして、1・2学年の生徒会役員たちと校長室でワークショップをしています。主な課題は次の3つです。

●今の富勢中で保護者や地域の方々に自慢できる素晴らしい点やあまり目立たないがこれからも継続していきたいことは何か?

【主な意見】

・素直でフレンドリーな生徒が多い ・友情を大切にし笑顔が多い ・クラスの団結力や雰囲気がよい ・生活のきまりやルールを守っている人が多い ・気軽に挨拶を返してくれる ・昼休みに元気で遊ぶ生徒が多い ・下駄箱の靴がそろっている ・授業も真剣に受けている ・リーダーの声掛けがさかん ・元気で積極的 ・歌声きれい ・黙働清掃ができている ・富中大好きと言える ・委員会も部活動も全力で取り組む ・学校行事に積極的 ・先生方が生徒に寄り添ってくれる ・三大伝統(あいさつ、清掃、歌声)

●来る創立80周年に向けて、今後さらに理想とする富勢中になるために必要なことや取り組みたいことは何か?

【主な意見】

・校内の花を増やし華やかにする ・富勢中学区の小学校の児童に富勢中やその歴史をしってもらう ・80周年ポスター制作をする ・地域とのコラボレーション ・コミュニケーションの活発化 ・富勢中のキャラクター作成 ・周年プロジェクトチーム結成

●これを踏まえて、その狙いを達成するために来年と再来年の生徒会行事をどうするかを話し合いました。体育祭 合唱コンクール あけぼの祭 新規行事 など

【話し合い継続中】

〇今日の午後の職員会議で、生徒会役員が話し合いの進捗内容をプレゼンします。職員会議で生徒が提案するのは異例なことですが、学校の一番の当事者である生徒の声を聞くことも大切です。

〇今日は全校一斉の大掃除を行います。日本では年末に大掃除を行い、「心機一転して新年を迎える」という「しきたり」のようなものがあり、これに異を唱える人をあまり聞いたことがありません。確かに普段は見逃している(見えないふりも含む)場所もきれいにしますと、新しい発見があったり何より気分が明るくなったりします。

〇「仕来り(しきたり)」を辞書で調べますと、「昔からの習慣、ならわし、慣例」とあり、用法としては「~を守る」「~に縛られる」とありますが、この2つでは180度違う姿勢になります。

〇「~守る」は、正しいと信じていることを今まで通りにやることですが、さらに自主・自律的に自らやろうとする意志のもと、「どうせやるなら楽しく」なるように、創意工夫をしていくまでになると、たとえ誰かに「もうそんなことやめたほうがいいよ」と言われたとしても、全く意に介せず、続けていくことができると思います。

〇その一方で「~に縛られる」の方は、自分の気持ちに関係なく仕方なくやることになり、創造性・想像性は生まれません。むしろやる意義や意味、それをやることによる効果などを考えていないので、とにかく「はやく終わればいい」しかないと思います。

〇以前にサッカーワールドカップでは、日本人サポーターが客席のゴミ拾いを自主的にしたり、選手ロッカーが最後きれいに片づけられたりした写真がアップされ、世界から賞賛されていることが話題になりましたが、使用させてもらった場所に感謝していることを行動に示したとも言えます。

〇ただ一部には、「清掃をする人の仕事を奪っている」との見方や、もっと厳しい意見は「単なる売名行為?にすぎない」まであるようです。私などもさすがにそれには頭の中で疑問符がいっぱいになりましたが、しかし日本人的見方を超えた世界レベルではそういうこともあることは知っておくべきでしょう。

〇学校の清掃も多くの国では、雇われた清掃人が仕事として行っており、生徒自身が清掃をするのは稀だそうです。先ほどのワールドカップの話でも、我々は学校で清掃活動をしてきたので、違和感はありませんが、成長過程でボランティアベースの清掃を経験してこなかったならば、理解できなくても当然なのかもしれません。

〇しかしその日本型教育が注目され、アフリカでは生徒による清掃を取り入れた国もあるそうです。さて、「今日の大掃除をどんな気持ちでやっていますか?」「大掃除って必要だと思いますか?」などと、見かけた何人かの生徒に尋ねてみようかなと思います。

 〇部屋の窓は開けっぱなし、しかも水道の水は冷たい状況でも、自分たちの分担をキレイにしようと、黙々と身体を動かす生徒たち。この経験により少なくとも、意図的にゴミを落としたり汚れている場所をさらに汚したりすることのない大人に成長してくれると信じています。

須藤昌英

 

 

 

 

12月19日(木)2学期保護者会&2学期給食最終日

〇昨日、2学期の保護者会を行いました。1学期末の7月には実施しなかったので、4月の当初保護者会から8カ月ぶりとなります。全体会で私からこの8カ月間の本校における学びや富勢中学校4区の児童生徒に身に付けさせたい力、来年度のクラス編成の方向性を説明しました。その後教務主任から保護者アンケートの結果報告、生徒指導主任からいじめアンケートの結果と冬休みの過ごし方などを話し、クラスや学年の懇談会となりました。

〇保護者会のあいさつでも言いましたが、以前よりも世の中の変化の割合が数倍で、あらゆる技術革新のスピードが加速しています。その様子を、犬の成長の1年がおよそヒトの7年に相当する(ヒトの7倍速く進む)ことから「ドッグイヤー」、または鼠の1年がおよそヒトの18年に相当する(ヒトの18倍速く進む)ことから「マウスイヤー」などに例えられることもあります。よく「不易と流行」と言われますが、世間の変化に対応しつつ、生徒の学びのはやさは従来と変わらずにある程度余裕をもたせた環境で、じっくりと考えたり話し合ったりする時間を確保していきたいです。

〇普段はシグフィーやホームページなどでのこちらからの一方的な情報発信が多いですが、年に数回でも顔を見ながらお互いに話をすることが大切であると思います。お越しいただき、ありがとうございました。私がお話しさせていただいたスライドを掲載します。

〇今日は2学期最後の給食となります。2年前の今頃はコロナの後の対応として、「あなたはこれからも黙食を続けたほうが良いと思いますか」と生徒アンケートを実施したのを覚えています。結果としては「継続した方が良い」が6割、「継続は必要ない」が4割でした。生徒の中ではまだ続けた方が良いと思う人が思わない人の約1.6倍であり、その後もしばらくは継続していくことにしたのでした。今は前と同様に楽しく喫食しています。

〇振り返るとコロナ禍で、生徒たちもいろいろな経験をし、「自分は~したらよいと思う」と考えるようになってきたと思います。ただ当然のことながら、同じような経験をしても人によって考えは異なります。一見すると意見が対立し、白か黒の2つに一つしかないように見えますが、この時こそ、「広くて深い思考」が必要で、そのためまずお互いに目的が一致していることを確認し、次に対話する姿勢(相手の真意を理解しようとする)を持ち続けることしかありません。

〇先週から今週にかけて、給食の残菜・残乳ゼロ週間に取りくみました。担当の鹿野栄養教諭からのメッセージです。

先日の白ご飯は、全校で110㎏炊きましたが、残ったのはたった460g(0.4%)でした。これは約2.4人分だけです。生徒と教員合わせて550人ですので、これだけしか残らないことがどれだけ凄いことか。チェック表でみると〇や×なので「×がついてしまった・・」と感じる時もあると思いますが、皆さんが残さないように頑張ってくれていることが給食室にも伝わっています。

栄養教諭という仕事をしていて常々思うのは、「給食は食べてもらってはじめて完成」ということです。どれだけ栄養価を整えても、みなさんに食べてもらえなければ意味がありません。この一週間はみなさんのおかげでとても完成度の高い給食でした。これからもたくさん食べて、学んで、遊んで、健康な体と豊かな心を育んでくださいね。

〇今朝は少し雪がちらつきました。だからというわけではありませんが、今日のメニューは、「キャロットライス、チキンクリームソース、ゆで野菜のごまサラダ、ブルーベリータルト、牛乳」で、来週のクリスマスをイメージしています。またお話し給食(生徒からのリクエスト)で、「赤毛のアン」にちなんでカナダ産のブルーベリーを使用しています。

 須藤昌英

 

 

12月18日(水)「ほめて認める」から「学び成長する」へ

〇少し調べると昨日のアリとキリギリスの物語の結末や解釈以外にも、最近は興味深い2つの説(現代の日本版アリとキリギリス)があるようです。

【現代日本版アリとキリギリス その1】

酷暑の夏、毎日アリが一生懸命働いているとき、キリギリスは歌ってばかりいて遊んでいました。冬になり食べ物がなくなり困ったキリギリスがアリの家を訪ねるところまでは同じですが、ノックしてもアリの返事がありません。家の中でアリは死んでいました。いわゆる働き過ぎの「過労死」だったのです。

【現代日本版アリとキリギリス その2】

冬が近づき食べ物に困ったキリギリスは、自ら演奏会を開くことを考え、アリの家を訪ねてチケット代わりに食べ物をもらい、そのおかげで冬を過ごすことができました。夏の間は遊んでいたのではなく、しっかり音楽の勉強をして、キャリアを積んでいたのです。

〇前者は実際にこれまでも日本でも起きていることなので笑えないですが、後者は先日の本校一年生の生徒の授業中の発言と本質は同じです。だれでも得意な面をいかしていけばよい・・と明るい気持ちになります。

〇昨日に紹介した菊池省三氏の実践は、子どもや青年の成長発達に伴う心や行動の変化の過程を明らかにした教育心理学に沿ったもので、小学校はもちろん中学校のすべて教科の授業の基盤となるものでもあります。

〇菊池氏の著書「一人も見捨てない!菊池学級12カ月の言葉かけ(小学館)」の「はじめに」から抜粋させてもらいます。

初めて出会う子どもたちに授業を行う日々のなかで、私は「一時間の授業」をよりいっそう意識するようになりました。自分を開示し、友達と認め合う関係をたった一時間の授業でどのようにつくっているか。それは「私(教師)が子どもたちと一緒に成長していく」という思いを子どもたちと共有することでした。「どんな意見を言ってもいい」「間違っても大丈夫」「いろいろな意見があって当たり前」という安心感を持たせ、「自分の意見を話すことができた」「友達の新たな一面に気付いた」「みんなで考え合うって楽しい」と実感できる授業をつくりたいと思います。

言葉がけは「ほめて認める」視点が大切です。ほめて認めるというのは、プラス面に目を向けることであり、望ましい方向性を示すことでもあります。教師がほめて認める視点で子どもたちに言葉がけをすることで、子どもたちもまた同じ視点を持つようになっていきます。

(途中略)

教室はみんなで学び合うところです。そして、みんなが協力して一緒につくり上げていくものです。マイナスの場面があっても否定せずプラスに活かしていく言葉がけをすることが大切です。「主体的・対話的で深い学び」が現行の学習指導要領の大きな柱になっていますが、子どもの活発な学びは、自分に自信を持ち、お互いに認め合う信頼関係がある温かい学級が土台にあってこそ成り立つものです。

〇柏市は「第2次柏市教育振興画(令和3年度から令和7年度の5年間)」の中で4つの力(コンセプト、チャレンジ、コミュニケーション、コントロール)を4Cと銘打ち、バランスのとれた児童生徒の育成を目指しています。またそれとリンクするように先日も書いた富勢中学校区小中学校4校の共通の「児童生徒に身に付けさせたい力」を4つの柱を立てています。

                  

〇富勢中の実態からもう一度その4つの力を整理します。

【本校の生徒の実態】

・コミュニケーション(関わり合う力)については、地域の行事やボランティアに参加する生徒は、以前よりも少なくなってきている。しかし、他人の話をしっかり聞く姿勢を持っている生徒が多い。自分の考えを説明することが、若干苦手な生徒が多い。今後の課題といえる。

⇒1 自分を大切にし、他者を尊重する力

自分の意見や感情を大切にしつつ、他の人の気持ちや考えも理解し尊重できる力。多様な社会の中で、お互いを尊重し合いながら成長するための基盤となる。

キーワード: 「まずは自分が大切、ならば皆も同じく大切にしよう!」

【本校の生徒の実態】

・コントロール(自律する力)については、どの学年も学習に意欲を持って取り組む生徒が多い。学校の決まりやクラスで決めたことを守ろうとする意識が高い。

⇒2 考えを伝え、協力する力

自分の考えや意見をしっかり表現し、他者と協働して物事を進める力。チームでの協力やコミュニケーションを大切にし、共に目標を達成できるようになる。

キーワード: 「親しくはない仲間の中でも、お互いに考えを伝え合おう!」

【本校の生徒の実態】

・チャレンジ(挑戦する力)については、物事に取り組むときに、あきらめずに粘り強く取り組み事ができる生徒が多い反面、失敗を恐れずに挑戦する意欲は、若干弱い。

⇒3 しなやかに挑戦し続ける力

困難に直面しても、失敗を恐れずに挑戦し、学び続ける力。未来に向かって、自分の道を切り開くために必要な自己肯定感や、柔軟な思考を身につける。

キーワード: 「失敗を失敗のままで終わりにせず、それを活かそう!」

【本校の生徒の実態】

・コンセプト(見通す力)については、分からないことは、そのままにせず、人に聞いたり、自分で調べたりすることができる生徒が多い。その反面、計画的に取り組むことは、若干弱い。

⇒4 社会で活かせる学びの力

基礎学力をもとに、実社会で必要な知識やスキルを使いこなす力。自分の興味を活かしながら、これからの社会で役立つ力を身につけていく。

キーワード: 「学んだことのエッセンスを、自分の将来のベースとしよう!」

〇特に朱字の4つのキーワードは、学校全体で合言葉のようにしていきたいです。本校にはアリやキリギリスだけでなく、それぞれ独自の個性をもった生徒がいます。それをほめて認め、自分から学び成長していく生徒たちを支援していきます。

須藤昌英

 

12月17日(火)「アリとキリギリス」の立場になって考えると

〇先週の金曜日の午後、1学年4クラスを対象に外部から講師を招聘した授業研修会を行いました。今回の講師は菊池省三氏で、全国各地で教員同士の学びの場「菊池道場」を主宰し、これまで文部科学省「『熟議』に基づく教育政策形成の在り方に関する懇談会」委員も務められています。

〇元小学校教員で、著書は多数あり、「ほめ言葉のシャワー」「成長ノート」「白い黒板」など、教員ならば一度は聞いたことがあるキーワードを自ら実践されてきた方です。お住まいは北九州市なので、先週一週間は柏駅のホテルに連泊し、連日柏市や周辺市の小中学校へ講師として出向き、その最後の研修が本校でした。

〇午前中は富勢東小で授業を行い、富勢東小の教員も午後3時からの本校での授業振り返りに参加していました。1学年4クラスの4組で菊池先生が飛び込み授業(これまで生徒とまったく人間関係のない指導者が生徒たちと心を通わせつつ、1時間の目標達成を目指して行う)を展開し、それをオンラインで他の1~3組までつなぎ、各担任が4組と同様の課題のワークに取り組みました。

〇題材はイソップ物語で有名な「アリとキリギリス」でした。少しあらすじを確認しますと、「夏の暑い盛りに、アリが汗水ながして餌を巣に運んでいるとき、近くの涼しい草むらでは、キリギリスが楽しく歌っていました。『アリさん、アリさん, どうしてそんなに働いているの。まだまだ冬はやって来ませんよ』とキリギリスが言うと、『やがて冬がくるんだよ。その時困らないためさ』とアリは言い、熱心に働き続けました。一方、キリギリスはすずしい夕方になるとバイオリンを弾き、毎晩舞踏会を楽しみ、暑い日中は昼寝ばかりしていました。いつしか季節は寒い冬になりました。野の草は枯れ、キリギリスは食べるも のがなくなってしまい、餌を求めてアリの所へやってきました。『アリさん、 何か食べるものを分けてもらえませんか』とキリギリスが言うと、『それは、 お困りでしょう。どうぞお入り下さい』とアリは言い、キリギリスを暖かい部屋へ招き入れ、食事を与えてやりました。」

〇アリとキリギリスの話は、人間は勤勉であることが大切であり、怠けていてはその報いを受けるという教訓や「備えあれば憂いなし」などを考えさせる題材です。私が子どもの頃の昭和時代は、「子ども時代に必死で勉強しておけば、後から苦労しないで済む」、「将来のために、今を犠牲にしても頑張るのだ」などの考えが主流で、当時の日本人はこのおとぎ話の教訓を心の支えにして働き、日本は高度成長を遂げた歴史があります。

〇この物語は日本ではハッピー・エンドなお話になっていますが、あるイソップ研究者の調査では、世界を見渡すと日本と同じくハッピー・エンドになっているのは他の1国のみで、その他の国は「アリはキリギリスが飢えて死ぬのを待って、その死体を全部食べてしまいました」になっているそうです。欧米の社会では国境が地続きでこれまでも多くの戦争に明け暮れた歴史と風土があるので、幼い頃から人間社会の生存競争の厳しさを教えていることが背景にあるようです。

〇授業では3つのワークがありました。

1「ペアでアリとキリギリスのあらすじを説明しあう」

2「クラス全体でアリとキリギリスの2つに分かれ、どちらが偉いかを主張しあう」

3「もしキリギリスが人間だったら、あなたは助けるか助けないか」

〇ある男子生徒はキリギリスを助ける理由として、「キリギリスは音楽も演奏できるし体も大きいから、助けて仲間に入ってもらえば、何かの時に逆に助かるから」と堂々と発言しました。その瞬間にクラスはシーンとしました。「なるほど」と思って固唾を飲んだのです。菊池先生はもちろん参観していた私たち教職員もそんな見方をできるのかと目からうろこが落ちた気持ちでした。

〇私たち教職員は常に生徒と向きあっていますので、ともすると「こういう質問をすると~のような答えが返ってくるな」と自動的に予想しています。悪い言い方をすると先入観が働きます。ところがそのようなこちらが想定していなかった答えを生徒が発表したときには、指導者側が学べるのです。授業は新しい発見の連続です。

須藤昌英

12月16日(月)新着本展示会&味見読書

〇先日の市議会の話題の中でも教育予算の話をしましたが、毎年本校でも新しい本の購入費として85万円が市から支給されています。1学期に生徒や職員から読んでみたい本のアンケートをとり、予算内中で優先順位を決めて購入しています。今その「新着本」を図書室で展示しています。

〇また全クラスの国語の時間を使って、図書委員会の司会進行により、新着本を並べての「味見読書」を行いました。「味見読書」とは聞きなれない言葉ですが、あえていろいろな本を手に取り、興味のあるないも含め、今後読んでみたい本やその種類などを自分で確認する目的があります。

〇ちなみに「日本十進分類法」によると、本は次の10の類目に分けられます。

0 総記 1 哲学 2 歴史 3 社会科学 4 自然科学 5 技術  6 産業 7 芸術 8 言語 9 文学

さらにこの類目を細かくした網目があり、例えば最後の「9 文学」には、「日本文学、東洋文学、西洋文学、その他文学」と4つに分かれています。

〇最初に図書委員から説明があり、1テーブル5分ずつ6テーブルを班ごとにローテーションします。一つの本をじっくりと読むのではなく、料理を味見するように、気になる本をチェックしていく活動です。

〇生徒の感想の一部から抜粋します。

・見たこともない本や名前すら聞いたことのない本がたくさんあり、いろいろなジャンルの本に触れることができた。そのおかげで今までチャレンジしなかった本を借りてみようと思った。色々な本から新しい知識を身に付けたり理解を深めたいと思った。

・本を読んでいると自分がなんだか大人になった気分で気持ちがよくなる。できれば日向のテラスやハンモックで本が読んでみたい。

・私の場合は受験が終わってから卒業式まで約1カ月くらいあると思うので、今日見つけた本を読んでみたい。

・考えさせられる本だったり勉強になる本だったり、感動したりと本はいろいろな感情や想像ができるので、時間を忘れるくらい読んでいると楽しい。本にはテレビなどとは違う楽しさがあり、これからも興味をもっていきたい。

・自分で買いたかった本や読んで見たかった本があってよかったです。新着本の貸し出し日にはすぐに借りたいです。

・昨年よりも自分の読みたい本が多く見つかってよかった。もともと特に生物系の本や国の本が好きなので、これからは歴史や宇宙に関する本にも興味が出てきた。

・いろいろな本をいっぺんに見ることはないので楽しく、各本の特徴や情報を得ることができた。また小説でも限りなくいろんな種類があったので、ゆっくり考えながらたくさんの本と出合っていきたい。

・普段本を読むときは、あらかじめあたすじを見てから読むことが多いので、あらすじを見ないで読むことが新鮮でとても面白かった。

・最近ぜんぜん図書室に来ていなかったので、やはり図書室の雰囲気は良いと思った。

・高校受験や勉強法など、受験生にはとても大切なことがのっている本があったので、読んでみたい。

・久しぶりに絵本を読むと意外と面白いことに気が付いた。普段は小説ばかり読んでいるので、違うジャンルの本も楽しい。多くの本が歴史系で手が出しづらかったけど、考察系は自分と違う考えを知ることができて良かった。

・今は朝読書以外に本を読む時間がないので、読む機会を与えてもらってよかった。味見読書は初めの方だけ読むから、そのあとの内容が気になって今度借りようと思った。

・味見読書はすごく楽しみにしていて、今日も読めてうれししいです。自分から手にとらない本でも、味見読書だと読むことができるので、より本が好きになりました。

・まだ読んだことのない本など、たくさんの本を読んで、どの本もとても読みやすくて、ワクワクして面白かったです。

・久しぶりに自分が本当に読んでみたいという本を見つけられたのが良かったです。味見読書なので、短い時間でしたが、新しい発見がありました。

・こんど本屋で本を選ぶとき、いつも見ないジャンルの棚もみてみようと思いました。

・受験もあり朝読書以外に本を読めませんでしたが、この機会を通し読むことができてよかった。

・有名な本はだいたい知っていますが、あまり聞いたことのない本もとても面白そうで、読んでみようかなと思いました。

・毎回恒例の味見読書ですが、今年も新しい本を読むことができ、とても良い時間でした。

・新着本の中で、何冊も読みたい本があった。

・自分で今まで読んできた本とは違うジャンルも読みたくなりました。同じジャンルに限らず、もっと色々読もうと思いました。

・本それぞれに良い点があったり面白さがあったり、読んでいて苦ではなかったです。

・気になるような表紙とか挿絵を選ぶことが多いですが、本の出版社にとっても大事な視点かなと思いました。

・自分はあまり図書室に来たことがなく、本を読みたい気持ちはあったので、冬休み前に本を借りたいです。

・普段から読むような本とそうでない本まで、色々な本を手に取る機会になりました。すごく楽しかったです。

〇柏市では学校の図書室を「図書室」ではなく「学校図書館」と呼んでいます。そして学校図書館指導員という図書専門の方を市から配置していただき(これも教育予算に入っています)、日常の図書整理や各教科とのコラボ授業などのコーディネートを担当してもらっています。学校図書館が生徒たちにとって、知的で心地よい空間であるように・・・。

須藤昌英

 

 

 

12月13日(金)「2学期いじめの状況調査」より

〇先日、全校生徒を対象とした「いじめ」を把握するためのアンケートを行いました。通常学校がいじめを認知するのは、「本人からの相談、他の生徒からの情報、職員による観察、保護者や地域の方々からの情報」となっていますが、定期的にアンケートによる状況把握を行っています。

〇そもそも「いじめとは、日常的なトラブルでも、本人が『いじめられた』『不快な思いがした』などと感じるものをすべて」と定義されており、生徒も職員もそれを意識しています。いじめが発覚すると必ず複数の教員で、本人及び関係生徒から事情を聴きとり、今後の謝罪や人間関係の再構築ついての話し合いを行いました。

〇集計した2学期の認知件数は5件で、その内訳は「冷やかしやからかいを受けた」「無視された」「悪口・陰口を言われた」「勝手にシールを貼られた」となっており、最初の「冷やかしやからかい」が毎回の調査では一番多くなります。それぞれの案件で、職員がまず事実の確認を行います。

〇1学期の認知件数は8件でしたが、例年ですと1学期は進学や進級などで新しいクラスになったり、各学年とも旅行的行事があったりと、まだ人間関係が不安定な面があり、多くなる傾向にあります。ただ柏市では、「いじめが解消した」とする条件の1つが、「発生から3カ月以上当該生徒の関係の中で継続したいじめはない」となっていますので、先ほどの5件の場合も、これから3カ月間は経過観察を行います。安易に謝罪などをもって「解消」としないこととなっています。やはり人の心の中までは見えませんので、時間が必要です。

〇ひと昔前のように、二人で喧嘩しても「喧嘩両成敗」とはいかず、お互いがそれぞれ嫌な思いを抱くと、それはすべて「いじめ」とカウント(2件)しますので、簡単にその場で相手に謝って終わりとできないところが、正直難しいところです。ただ大人も含めて生きていく上で一番の悩みは「人間関係」ですので、「こうすればいじめはなくなる」のような究極の方法はなく、丁寧に対応していくしかありません。

〇いじめに対しての対応は、「柏市いじめ防止基本方針」にも示されているように、早期発見と早期対応、学校組織内の情報共有、必要な指導・措置ですが、いじめのアンケートはその一つの入り口になります。いじめの未然防止も重要なのは言うまでもありませんが、こちらは、道徳教育を充実させたり人権意識を高めたりする地道な取り組みしかありません。

〇要するに最後は生徒の想像力を引き出すしかありません。「〇〇をしてしまったけど、された方の気持ちはどうなんだろう?」「●●と言ってしまったけど言われた方の今の気持ちは?」など、だれもが意地悪をする側と意地悪をされた側の両方の経験をしているはずですので、「今の自分はどちらの立場が多いか?」と自分をメタ認知できるようになってほしいです。

〇いじめアンケートの中に「普段の生活で困ったことや悩んでいることはありますか」の項目を故意的に設けています。これはいじめではないけれど、その他の相談もしやすいようにとの配慮からです。その中に、「親子や兄弟姉妹関係について」 「クラスの雰囲気について」「受験する高校について」「塾での人間関係について」「自分自身の身体や性格について」などがあります。それらについても一つひとつ話を聞くなど丁寧に対応しています。

須藤昌英

【いじめ防止啓発カード(千葉県教育委員会)】

 

12月12日(木)地方自治への関心(柏市の教育施策と予算)

〇3年生が社会科(公民)で「三権分立」を学習していますが、日本国憲法は、国会、内閣、裁判所の三つの独立した機関が相互に抑制し合い、バランスを保つことにより、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する「三権分立」の原則を定めています。

〇国よりも我々にもっと身近な都道府県や市町村などの地方公共団体は、大きく2つの組織から成り立っています。一つは「議決機関(地方議会:条例の制定や予算の決定などを行う)」、もう一つは「執行機関(市長と市役所:予算に基づきそれぞれ担任する事務を行う)」です。簡単に言うと、前者は後者のやっていることをチェックする機能を果たしているということです。

〇現在令和6年度第4回柏市議会定例会(一般質問:12月5日~12日)が開会中です。その様子は市役所7階の議場に行かなくても、インターネットで視聴することができます。柏市には36名の市議会議員が市民からの負託を受けており、柏市議会定例会は年4回(3月、6月、9月、12月)開催しています。

〇その議員の中には、私の小学校時代のクラス担任や中学校のクラスメイトもいます。以前は関心が薄くその存在も遠くに感じていた市議会も、知り合いがいると柏市に関するいろいろな情報が入りますので身近に感じます。逆に今は本校の卒業生でもある上橋しほと議員には、学校行事や生徒のボランティア活動に積極的に参加していただいており、その様子を柏市の各担当部局に伝えてもらっています。

〇市議会の前に市役所の各部へは、事前に質問する各議員から質問事項が通告され、それに対して各担当が答弁書を作成します。私も教育委員会事務局に勤務している時は、いろいろな答弁書を作成していました。前述のように、市議会は市役所業務のチェックをするのが役割ですので、答弁書には誠実に、各業務の進捗状況や今後の方向性を盛り込みます。国会での答弁も同様ですが、質問が多い際には、期限日の夜中までかかって作成しています。

〇今回の定例会でも、多くの議員が、教育に関する質問をしています。その一部が、「柏市未来につなぐ魅力ある学校づくり基本方針と柏市教育大綱、小中一貫教育と義務教育学校、ICT教育とタブレット端末活用、学校での感染症対策、自転車のヘルメット着用と交通安全対策、子どもの権利条約と柏市子ども・若者総合支援センター、特別な支援を要する児童生徒、不登校児童生徒支援、学校施設開放と部活動地域移行、コミュニティースクール、子どものネット依存、子どもの運動能力、いじめ対策、学校給食と給食センター、給付制奨学金、教員不足と働き方改革、市立柏高校、公立夜間中学」など多様です。

〇いかがでしょうか?私たちがあまり意識していない裏で、これだけ教育に関する施策や予算などが議論され、その結果として学校の教育活動を下支えしてもらっているのです。先日終了した本校の体育館空調機設置工事などもすべて、昨年度までの市議会で予算案の承認を受けています。

〇大切なことはその建設費も含めてすべての教育予算は、もともと市民の税金があてられているということです。また毎日の電気・水道も市の予算があるからこそ使用できるのです。生徒たちにもその仕組みを教えていくことは大切であり、公民の授業でも扱っていると思いますが、再来週の終業式に私から話をしてみようかなと思います。

須藤昌英

12月11日(水)私たちのクリスMATHツリー(空間認知能力)

〇今1学年の数学では、空間図形を学習しています。小学校の算数では、まず1学年から身近な立体について観察したり分類したりして、ものの形を次第に抽象化して、図形として捉えられるようにしてきています。その後立体図形の点や線や面などの構成要素に着目したり、立方体・直方体・角柱・円柱・球などの多様なものを取り扱ったり、それらの見取図や展開図をかくことなどを通して立体図形についての理解を深めてきています。例えば家庭から身近な箱(お菓子やティシュペーパーなど)を持ち寄って、好きな形(タワーやロボットなど)をつくって空間意識を育てます。

〇それを踏まえ中学校数学科において1学年ではこれらの学習の上に立って、空間図形についての理解を一層深めていきます。特に数学では空間図形を空間における線や面の一部を組み合わせたものとして扱うという点に留意させます。また図形の性質や関係を直観的に捉え論理的に考察する力を養うために、立体の模型を作りながら考えたり目的に応じてその一部を平面上に表す工夫をしたり、平面上の表現からその立体の性質を読み取ったりするなど、観察や操作,実験などの活動を通して図形を考察することを基本にして学習を進めていきます。

〇展開図は平面図形ですが、それを組み立てることにより立体(空間図形)になります。問題を理解ためには例えば立方体を開いて展開図にしたり、展開図を組み立てて立方体に戻したりと、頭の中でイメージする必要があります。例えば立方体の展開図は全部で11種類あります。昔教えた時に、「へぇ意外と多いな~」と感じる生徒も多かったです。

〇数学担当の宗形教諭は、生徒たちに正多面体の展開図から立体を作成させ、それをクリスマスツリーの飾りとして廊下に展示しました。数学は英語で、Mathematics(略してMath)ですので、クリスMATHツリーとしてかけことばにしています。生徒たちの作成場面を見ていましたがとても楽しそうで、「昔はこんな授業はなかったなあ~」と思いました。

〇私が数学を担当していた時に、特に図形は生徒の好き嫌いが激しく、特に女子の苦手意識が高かったのを覚えています。その一つの要因として、幼少期から男児は積み木やブロックに熱中しやすいのに対し、女児はお絵描きやおままごとを好むことがあります。絵やおままごとセットは現実の生活に近い(具体的)のに対し、積み木やブロックは組み合わせによって何かの形をつくって(想像・創造)いくので、より抽象的な概念を必要とすることが考えられます。

〇根拠はわかりませんが、男性脳はデータなどの根拠を元に論理的に考えがちで、一方の女性脳はその場の感情や共感性を重視する…といったことを聞いたことがあります。身近では空間認知能力が高い男性の方が女性よりも地図を読める場合が多いです。最近の車はナビゲーションがありますが、昔は地図本を見て運転していましたので、男女の差があった気がします。

〇ただしこれはあくまでも一般的な話であり、近年では「理系女子(リケジョ)」も多くなっていますし、先日の1年校外学習で行った国立科学博物館に、いかにも研究者のようなオーラのある女性が多くいたことも印象に残っています。

〇ともかくこのクリスMATHツリーは、クリスマスという現実の生活と多面体という抽象物がコラボしています。年末が近づいていることを感じます。

須藤昌英

12月10日(火)自分のトリセツ(メタ認知)

〇ご存じの通り「取説(とりせつ)」は「取扱説明書」を短縮した言葉で、カタカナで「トリセツ」と書くことも多いようです。10年ほど前に、若い女性の歌手が歌っていた同名のヒット曲を聴いた際、私も初めて取扱説明書を略してトリセツと呼ぶことを知りました。

〇トリセツには普通、その製品の「スペック(性能)や特徴」「正しい操作方法」「上手な使い方」「使用上の注意」「故障の見分け方」「安全に関する注意事項」などが記載されていますが、冒頭からすべて読む人は皆無でしょう。必要な時に該当箇所を読んで対処することがトリセツの目的だと思います。

〇このように家電などの操作を書いたトリセツはなじみ深いですが、「『自分のトリセツ』とはいったい何のことだろう?」と疑問に思う方もいると思います。簡単に言えば、「自分を知る」ということであり、日頃から統計的に「自分はこういう時にはこう考えたり行動したりすることが多い」と自分を客観視することです。

〇そのように、自分の「心や内側」に関心をもち、徐々に自分の「輪郭や本質」を理解することは、大人になる過程では欠かせないものであると思います。ただし「どうせ自分は~のような人間だから」と開き直るのではなく、今の自分を出発点とし未来のなりたい自分をイメージしながら、やりたいことやるべきことに取り組めることが理想だと思います。

〇自分のトリセツのきっかけになり得る一つの方法として、日記も有効です。また最近は日記に似ていますが、ライフログという記録方法も広まっているようです。ライフログとは、LIFE(生活)とLOG(記録)を組み合わせた造語で、日々の生活体験、気づいた情報などを紙や手帳、スマホのアプリやブログ等にデジタルデータとして記録していくことを指すそうです。それにその時の気持ちや行動も一緒に記録することで後で振り返りやすくなったり、自分だけのオリジナリティに富んだライフログとなったりするのが利点でしょう。

〇私も昭和から平成に変わる時、何か新しいことを始めよう(それまで簡単な手帳に出来事を書いていましたが・・)と思い立ち、本格的な日記帳を使い始めました。当時は25歳でしたので、間もなく37年になり、自宅には数冊の日記帳(3年日記、5年日記、10年日記など)があります。

〇日記から転じて「自分のトリセツ(メモ)を書く」にはまず、自分の強みや弱みを把握することから始めるのがよいと思います。人にはそれぞれ物事の見方や感じ方の癖がありますが、それを癖ではなく自分軸と捉え、生きていく途中に迷ったりつまずいたりした時に参考に見るメモがあれば、安心感を得るなどの大きな要素になります。

〇昔から「己事究明」といって、「自己とは何かを究めて明らかにすること」を若者は求める傾向にあります。先月に「一つのことを考え抜くのは大人への一歩」と題して「哲学」について書きましたが、中学生くらいになると、やたらに理屈っぽくなり、世の中の出来事も批判的に見るようになります。この屁理屈こそ中学生には大切ではないか?と思います。ただ外ばかりでなく、自己に対してもも批判的になりますので、極端に自己否定にならないようにすることも重要です。

〇自分のことを見つめることをマインドフルネスでは「内観」とも言います。よく生徒の学習や大人の仕事でも予習よりも復習が肝心だと言われますが、私も含め想像するに自分自身について丁寧に復習している大人はあまりいないのではないでしょうか。忙しいことを理由に、SNSなどの外部の刺激には反応しても、自分自身の身体にだけ意識を通し続けることは避けているのが実情でしょう。

〇自分のことを客観視する「自己モニタリング」は、ストレス対処やパフォーマンスの向上に役立つといいます。その自己モニタリングに欠かせないのが、「メタ認知」で、「メタ認知」とは「自分自身の認知(考える・感じる・記憶する・判断する等)を第三者的な立場から冷静に客観視できる能力」のことです。この能力によって自分が行っていることが正しいのか、また間違っているのであればどのように修正すればよいのかを判断することができるようになります。もちろん中学生にもこの能力は十分にあります。

〇メタ認知が高くなれば、自分の得意・不得意なことを的確に認識し、「自分ができないことをするためにはどうしたらいいのか?」という問いに対して自分で答えを出そうとします。この客観的な視点から自身を認識することと他人から見た自分の姿を一致させていくことで、本当の自己肯定感が生まれます。「自分には●●という長所があるので、それをいかして〇〇を頑張っていきたい!」とすべての生徒が言えるようにしていきたいと願います。

須藤昌英

 

12月9日(月)「推し活」についての一考

〇最近よく耳にするようになった「推(お)し活」とは、アイドルやキャラクターなどの「推し」、いわゆるご贔屓(ひいき)を愛でたり応援したりする活動のことのようです。

〇この時期によく「新語・流行語大賞」が発表されて話題になりますが、「推し活」は3年前にノミネートされています。そもそも「推し」という言葉は 1980年代頃からアイドルオタクの世界で発祥した俗語のようで、「あなたが推しているモノは何ですか?」などと、好きなモノを聞く文脈で使われています。

〇誰でも好きなグッズを集めたりすることはありますが、少し調べるとその他広い範囲で次のような使われ方があります。

【推しに触れる】

推し活グッズを買う/推し活グッズをコレクションする/コラボカフェに行く/コラボイベントに参加する

【推しに逢う】

ライブや舞台を観に行く/推しのDVDや配信映像を鑑賞する/撮影スポット、ゆかりの地などの聖地巡礼をする/ファンレターを書く/推しにプレゼントを贈る

【推しに染まる】

推しと同じものを持つ/推しのイメージカラー(推し色)の服やコスメを集める

【推しを広める】

SNSで推しの魅力を語る/推しを他人に布教する

【推しを感じる】

一人静かに推しのことを想う/推しが生きて存在していることに今日も感謝する

〇23歳の社会人1年目の娘もご多分にもれずにこれまで様々な推しのアーティストのライブ等に行っていました。アルバイトで得たお金はほとんどそれに使われていたようです。ただ最近は先日も「昭和」について書きましたが、特に昭和時代の音楽が大好きなようで、わざわざ古いレコードやカセットテープを購入し、それに合わせてレコードプレーヤーやカセットデッキも揃えて楽しんでいます。時々「私も昭和に生まれたかった」と言っています。

〇推すという行為は「社会が多様化に向かっていることを象徴している」と指摘する人もいます。若者の間でも日本の従来からの終身雇用に固執することなく、自身のキャリアに積極的な転職を視野に入れておくことも普通になっています。また日常の消費に対しても、例えば大きな仕事が終わると少し高めのスイーツを買って自分へのご褒美などと言い、日々の活力や安息につなげています。

〇つまり「推し活をしている間はツライ日常を忘れることができる」「推し活のためにやりたくないことも頑張れる」というように、推しへの傾倒や消費そのものが自身を励ますことにつながることは理解できます。ただ一部で自身の経済力と見合わない推し活をし、昨今言われる「推し疲れ」のように「推す」ことをやめたいと感じることもあるようで、注意が必要です。

〇私は以前から「推しのもつ前向きで活動的な面を学校の活動にも活用できないか・・」と考えていました。例えば生徒が「この活動(委員会や部活動)は自分のモチベーションがあがる」「この教科をどこまでも深く突き詰めたい」など、それぞれの興味や関心を優先することももっと引き出してあげたいです。

〇そのためにも我々大人が自分のもっている興味や関心のレベルを保ちながら持ち続けつつ、一人ひとりの生徒が持っている興味・関心を伸ばすという視点を失わないようにしたいです。一見学校の授業とは関係ないように見えることでも、本人が興味を持ち集中して取り組んでいることをきっかけに学ぶことの面白さを体験することができます。そこから学びを深めていくことによる成長は目を見張るものがあると、これまでの教員生活で実感しています。

〇今年もあと3週間(2学期は2週間)と残り少なくなってきました。「今日も私は『●●という推し活』があるから学校に行きたい」と思ってくれる生徒が増えることを望んでいます。

須藤昌英

 

12月6日(金)1学年校外学習

〇本日の1学年校外学習は、公共交通機関の電車を利用し、上野恩賜公園にある博物館や美術館、動物園等の見学が主な行動です。

R6年度1学年校外学習スローガン「一意(いちい)専心(せんしん)~みんなでつくりあげよう~」

*スローガンのねらい

・他に心を動かされず、ひたすら一つのことに心を集中すること。

・この校外学習でクラスを1つに学年を1つに!

〇昨日は体育館で事前指導として、行程や注意事項の最終確認を行いました。

 

〇生徒用しおりに掲載した校長のメッセージです。

新しい発見と小さな感動の体験を! 校長 須藤昌英

1学年の皆さんを見ていると、4月の入学式の頃に比べて、中学校生活にも慣れ、充実した毎日を過ごしているようです。入学前に想像していた生活と大きな違いを感じる人もいるでしょうし、一方で段々と「中学校とはこういうところなんだ」と達観し始めている人もいることでしょう。

小学生だった頃までは、ある程度大人が計画したことを素直にやってみることを求められてきたと思います。しかし、中学生は自分で考え、実行していく力をつけていく必要があります。

今回の校外学習もあらかじめ決められたスケジュールはありますが、その一つ一つを「これは何のためにやるのか?」「どうやったら上手くいくだろうか?」と自分たちに問いかけてみましょう。人を頼りにするのではなく、自分で考え正しく判断し、自分でやり遂げていくことを「自立」といいます。

一人ひとりの自立した行動が、校外学習が成功するかしないかのカギとなります。そしてこの経験が、来年以降の林間学校や修学旅行につながる行事となることを願っています。

事前に調べたことを実際にその現地に行き、観察・実験・体験、さらには資料収集等をすることを「フィールドワーク」と言います。本やインターネットで見たり知ったりした知識は、実感が伴わないことが多いので、時間が経過すると忘れがちです。しかし、自分の目や耳、その他の感覚をフル稼働して体験したことは、それと関連した知識と結びつくことにより、「生きて働く知識」と昇華します。 

この校外学習で皆さんにお願いしたいことは、現地でどれだけ多くの新しい発見ができるか、そしてそれらを心の底から素直に感動できるかを意識して、楽しんでほしいということです。きっとみなさんにとって、上野の地が「学びの場」となることでしょう。

各クラスの実行委員の皆さん、よろしくお願いします。校外学習を終えてから、さらに一回り大きくなった、中学生としての皆さんの姿を見られることを期待しています。さあ出発しましょう!

〇朝から生徒たちの様子を随時アップしていきます。

【予定】

7:45生徒集合JR北柏駅

8:09北柏駅出発

8:12柏駅到着乗り換え

8:34柏駅出発

9:03上野駅到着上野動物園へ移動

9:15上野動物園前開校式集合写真撮影

9:40班別行動開始

11:55上野動物園前広場 昼食

13:10上野動物園散策

14:05閉校式

14:42上野駅出発

15:09柏駅到着

15:24柏駅出発

15:27北柏駅到着 解散                                

 

【生徒たちの様子】朝の北柏駅集合はスムーズで、電車の中でもマナーを意識した行動でした。素晴らしいと思います。冬晴れの青空といちょうの黄色が見事なコントラストの上野恩賜公園。朝から各博物館等は行列が出来ています。同様の校外学習の他、外国人観光客の多さに驚きです。国立の博物館や美術館は展示が充実しているので、とても短い時間では見学しきれませんが、大人になってもリピーターとして訪れるきっかけになって欲しいです。私も国立科学博物館に午前中いましたが、以前になかった地球館は、地下三階地上三階の大きさで、とてもじっくりとは観られませでした。また来ようと思いました。時間通りに元の場所に集合し、昼食は大噴水の前で持参したお弁当を食べました。美味しそうでした。その隣で食べ物のフェスをやっていたので、いい匂いがしていました。余計に食欲が増したようです。午後は上野動物園です。生徒に「見たい動物は?」と尋ねると、「レッサーパンダ、キリン、ホッキョクグマ・・」など様々。残念ながらジャイアントパンダはいません。ゾウを見ると道徳の教科書にあるお話し(太平洋戦争中に、空襲などで動物が逃げ出すことを避けるため、上野動物園のゾウを殺処分した史実)を思い出しました。園内には多くの保育園児や幼稚園児がいましたが、彼らもほんの少し前はあのように幼さかったと思うと、よくここまで成長しているなと感動します。あすなろ一組は担任の作成した園内マップに見られた動物のシールを貼ってまわっていました。閉校式も実行委員会を中心によくできました。このままであれば、来年の林間学校も大丈夫だと感じました。帰りは始発電車でみんなが座れましたが、途中から乗る人がいるとあえて立ち席を譲る生徒もいました。シルバーシートの意味もお互いに話していました。柏で乗り換えて、北柏駅で解散です。夕方は少し寒くなってきました。週末は体調に留意し、また月曜日に会いましょう。自宅まで気をつけて。さようなら。

【校外学習を終えて】

朝の上野恩賜公園での開会式に、「この公園は江戸時代まではすべて寛永寺というお寺の境内でした。広大ですね。それが160年前の明治維新で国内戦争があり、この上野で多くの人が亡くなり、寛永寺も焼け野原になりました。その後いろいろと整備されて今のこの公園になっています「今駅から通ってきた時に見たと思いますが、西洋美術館はもう長蛇の列でしたね。私たちは電車で30分で来られますが、あの列の中には飛行機や新幹線で全国各地から来ている人も大勢います。それだけこの地にある国立の施設(博物館や美術館)は素晴らしいモノが集められているのです。」「それを考えると君たちは幸せですね。今日だけですべての見学はできませんので、今日はあくまでも興味のあることにふれるきっかけになればいいなと思います。ディズニーランドのリピーターもいいですが、上野のリピーターになるのも面白いかもしれません。」と話をしました。

学校に帰って引率職員で反省会をしました。今回は私も含めて10名の職員で160名の生徒を引率しました。ただし来年と再来年の林間学校や修学旅行は、同じ人数で宿泊を含めた2泊3日を引率します。十分に事前の入念な計画と安全に関する指導はしていきますが、ご家庭でもそのあたりの事情も含めて、今日の話を聞いてあげてください。ありがとうございました。

須藤昌英

12月5日(木)「やさしい心が一番だよ」人権に関する講演会

〇昨日の午後は体育館で、柏人権擁護委員協議会主催の講演会を開きました。講師は、「いじめ問題の解決に取り組むNPO法人ジェントルハートプロジェクト」の理事である小森美登里さんで、全校生徒を対象に「やさしい心が一番だよ」と題して話をしていただきました。

〇小森さんは今から27年前、当時高校一年生だった一人娘の香澄さんをなくしました。いじめを苦にした自死でした。「娘と同じように苦しみそれによって家族などが悲しい思いをこれからは決してしてほしくない」という願いから、ご夫婦でNPO法人を起ち上げ、全国の学校を講演してまわっていらっしゃいます。著書も数冊あります。

〇私は前任校でも講演していただいたので、数年ぶりにお会いしました。講演前の校長室でいろいろお話をさせていただきましたが、今月も新書「いじめに対する大人の誤解―スクール虐待の現実―(新日本出版社)」を出版されるので、出版記念のトークイベントがあるなど、お忙しいそうでした。「娘も存命ならば、42歳になっています。今日も心を込めて生徒さんたちにお話しさせていただきます」とおっしゃっていました。

〇生徒たちは真剣に話に耳を傾けていました。特に「被害者責任論」と言われるものは決して容認されてはならないというお話が印象的でした。もしいじめを受けた被害者からの相談を受けた際、「あなたの方にも原因があったのでは?」「あなたから止めてほしいって言ったの?」「もっとあなたも強くならないとね!」などは禁句です。やはり「つらかったでしょう。もう大丈夫だよ」の言葉がけが何よりも大切です。その他、お子様から心に残っている話を聞き出してみてください。

〇講演後、「世界に一つだけの花(作詞・作曲 槇原敬之)」の一番だけを歌詞の意味を考えながら全員で聴きました。

花屋の店先に並んだ

いろんな花を見ていた

ひとそれぞれ好みはあるけど

どれもみんなきれいだね

この中で誰が一番だなんて

争うこともしないで

バケツの中誇らしげに

しゃんと胸を張っている

それなのに僕ら人間は

どうしてこうも比べたがる

一人一人違うのにその中で

一番になりたがる

そうさ 僕らは

世界に一つだけの花

一人一人違う種を持つ

その花を咲かせることだけに

一生懸命になればいい

〇最後に、小森さんの詩を山中教諭が朗読して終わりました。

「生まれてきてくれてありがとう~この詩を香澄へ、そしてすべての子どもたちへ贈ります~(小森美登里)」

ありがとう 生まれてきてくれて

ありがとう 病気をした時 いっぱいいっぱい心配させてくれて

ありがとう 多くの出逢いをプレゼントしてくれて

      そして 楽しい思い出 一杯くれて

ありがとう 生きる意味を考えるチャンスをくれて

      そして全ての命がいとおしいと感じさせてくれて

ありがとう お父さんとお母さんと出逢ったこと

      間違いじゃないって気付かせてくれて

ありがとう こんな私に子育てさせてくれて

      あなたをこんなに愛させてくれて

ありがとう 教室の中の子どもたちの苦しさ悲しさ

      いっぱい教えてくれて

ありがとう 「やさしい心が一番大切だよ」の言葉を

      残していってくれて

      そして、この言葉を伝える人生をくれて

ありがとう 15年と7カ月私と生きてくれ

      いつか逢える楽しみをくれて

      お母さん、それまで頑張って生きるよ

ありがとう ありがとう ありがとう

      言い尽くせない たくさんのありがとう

      でもごめんね 守りきれなくて

ありがとう ありがとう ありがとう

      全ての子どもたちへ 

生まれてきてくれてありがとう!

〇演題の「やさしい心が一番だよ」は、生前の娘さんが小森さんに何度かつぶやいた言葉だそうです。子どもも大人もかみしめていきたいものです。

須藤昌英

 

 

12月4日(水)職業人から学ぶ「企業来校型交流授業」(2学年)

〇昨日の5.6時間目に、一般企業7社の方々に来校していただき、「働くこと」への理解を深める交流授業を行いました。一つの授業(30分程度)を3ローテーションして行い、司会・運営・企業の方への挨拶等は全て生徒に行わせました。

〇ご協力をいただいた企業は、

1.みどり産業株式会社 様

2.東部重工業株式会社 様

3.ロマン産業株式会社 様

4.日新火災海上保険株式会社 様

5.(株)富士エコー 様

6.JAL Agriport株式会社 様

7.社会医療法人社団蛍水会名戸ヶ谷病院 様

〇激しく変化を続ける現代社会で、4~6年後に2学年の生徒たちは成人(18歳または20歳)となります。その時にはどんな職業で社会に貢献していくかのイメージをもっていることが不可欠です。自己の生き方を考えるようにするために、職業や自己の将来について考えるともに、その前提となる自己肯定感・自己有用感を育てることを、学校はすべての教育活動で目指しています。

〇学校で実施するキャリア教育は、あらゆることを他人事ではなく自分との関わりとして大切にする自我関与や物事を多角的・多面的にみる力を養うことなどをねらいとし、家庭、学校、及び地域における学習や生活の見通しを立て、学んだことを振り返りながら、新たな学習や生活への意欲につなげたり、将来の生き方を考えたりする活動です。

〇ただ社会環境の変化に加え、産業・経済の構造的変化、雇用の多様化・流動化等は、生徒たち自らの将来のとらえ方にも大きな変化をもたらしています。特に生徒たちは自分の将来を考えるのに役立つ理想とする大人のモデルが見付けにくく、自らの将来に向けて希望ある夢を描くことも容易ではなくなってきています。さらに彼らの心身の発達も以前から変化し、例えば一般的に身体的には早熟傾向にありますが、精神的・社会的側面の発達はそれに伴っておらず遅れがちであるなど、全人的発達がバランス良く促進されにくくなっています。

〇そこへコロナの影響もあり、具体的には人間関係をうまく築くことができない、自分で意思決定できない、自己肯定感をもてない、将来に希望をもつことができないといった生徒の増加などが指摘されています。とどまることなく変化する社会の中で,生徒たちが希望をもち、自立的に自分の未来を切り拓ひらいて生きていくためには、変化や失敗を恐れず、変化に柔軟に対応していく力と態度を育てることが求められています。

〇昨日の交流授業では、私自身も環境や農業、製造や運送、保険や医療等の専門家のプレゼンを聞き、とても参考になったことが多くメモをたくさんとりました。やはり学び続けることは大切だと感じました。そして何よりも一緒に参加した生徒たちが疑問に思ったことを質問したり学んだことの感想を発表したりする姿が、通常の授業よりも立派であり、「いつもみているようでも、それ以上に成長しているな」と感心を通り越して感動しました。企業の方々からも「素直で熱心な生徒さんたちですね」と帰りがけに声をかけてもらいました。

〇私もそうでしたがよく中学生には「今何のために学んでいるのかわからない」という気持ちが絶えずあります。企業の方々も自分の経験談の中で、「自分が中学生の時には●●を勉強する意味がわからなかったけれど、今はそれがよくわかります。まずは興味をもつことを大切に授業を受けてください」とアドバイスがありました。今後の生徒たちの変化が楽しみです。

須藤昌英

 

 

 

12月3日(火)合格祈願マンホールカード

〇先日の広報かしわの掲示板に「合格祈願のマンホールカードをプレゼント」と題し、「丸いから『落ちない』、表面の凹凸で『滑らない』というマンホールの特徴にあやかり、マンホールカードで受験生や資格試験などを控える方を応援します」とありました。一人1枚先着500名とあったので、早速朝の9時にかしわインフォメーションセンターに行き、もらってきました。

〇全国には様々な合格祈願グッズがあります。神社のお守りや絵馬、お寺の達磨や破魔矢などは定番でしょう。語呂合わせで五角形の物が「五角形(合格)」を連想させるので、五角形の鉛筆やはし、私も大学受験の際に使っていましたが五角形のマグカップなどがあります。昨年の卒業生の時には、広島県の「宮島の合格しゃもじ」を校長室に飾っていましたが、今でもあります。

〇静岡県の大井川鐵道には「合格駅」があります。受験生にとって縁起の良いこの駅は、1927年に大井川鐵道が初めて部分開業した日に営業を開始した歴史ある駅ですが、元の駅名は確か「五和(ごか)駅」でした。私も昔3年生担任だった際に、現地に行き何だか忘れましたが何かのグッズを購入した記憶があります。

〇調べるとこの願掛け(お守り)の起源は縄文時代にさかのぼるようで、当時の人々が魔除けとして勾玉を身につけていたのが始まりだそうです。その後日本に仏教が伝播し寺で呪符が配られるようになり、さらに平安時代後期の懸守(かけまもり)には、仏像が彫られた木製の円柱が納められていたようです。いつの時代にも人間は、祈りと共に生きていたということでしょう。

〇今回はマンホールですが、世の中では珍しいマンホールを撮影して歩く人がいたり、「マンホール女子」という言葉もあったりします。各地ではマンホールにスポットを当てたイベント等も開催されており、予想外といっては失礼ですが、マンホールがひそかなブームとなっています。

〇東京の湯島天神は学問の神様で有名ですが、「合格守」というお守りはないそうで、そもそも普段からの勉学の成果が合格に結びつくものであるという考え方から、「学業成就」「学業守」となっているのだそうです。私もこれが本当ではないかと思います。合格祈願・学業成就は本人の努力が一番肝要で、それを精神的にサポートしてくれるのがお守りであり、たとえ受験の結果がどうであれその努力した経験こそ次にいきてくるのだと思います。

〇今年の修学旅行でも何クラスかは、学問の神様と言われる菅原道真を祀る京都の北野天満宮に団体参拝し、祈祷を受けてお札を授かりましたが、これも確か「学業成就」と書いてあったと思います。今は高校や大学の受験の際に祈願する人がほとんどでしたが、昔はもっと幅広く職人ならばその技能を、武士ならばその武芸の上達を願っていたのでしょう。

〇昨日の午後は本校の進路検討委員会を開き、現時点での3年生全員の進路希望先を確認しました。以前にも書きましたが、進路指導は窓口である担任が生徒や保護者とやりとりをし、その経過はすべてこの委員会に報告されます。この委員会の委員長は校長ですので、先月まで行ってきた生徒との校長面接の中で本人が述べていたこと(やりたいことや将来の夢)を思い出しながら参加しました。

〇きっとこの「柏市版マンホールカード」が、学び成長し続ける本校の3年生たちの奮闘を後押ししてくれると思います。

須藤昌英

12月2日(月)生徒の人権「子どもの権利」

〇12月に入り朝晩の冷え込みは冬を思わせますが、まだ日中の暖かさにはホッとします。先日のシグフィーでお知らせした「セクシュアルハラスメント等及び体罰に関する実態調査(学校生活アンケート)の実施について」は、12月が全国人権週間であることも踏まえ、毎年実施しているものです。

〇そもそも教職員によるセクシュアルハラスメント(性暴力を含む)を防止するには、正しい人権意識が不可欠です。1989年に国連総会において採択された「子どもの権利条約(18歳未満の人)」は、子どもが守られる対象であるだけでなく、権利をもつ主体であることを明確にしました。子どもが大人と同じように、ひとりの人間としてもつ様々な権利を認めるとともに、成長の過程にあって保護や配慮が必要な子どもならではの権利も定めています。

〇具体的には、「生きる権利」「成長する権利」「暴力から守られる権利」「教育を受ける権利」「遊ぶ権利」「参加する権利」など、世界のどこで生まれても子どもたちがもっている様々な権利が定められました。この条約が採択されてから、世界中で多くの子どもたちの状況の改善につながってきており、日本も例外ではありません。1989年はちょうど平成元年ですので、私が教員としてスタートして3年目にあたり、学校現場でもその話題が多くなってきたことを思い出します。

〇すべての教職員は日頃から生徒に対し、1対1で閉鎖的な状況で指導や対応をしない、不必要な身体接触はしない、管理職の許可のないメッセージ等の送信はしないことを認識しています。問題行動が発覚しても必ず複数の教員で、事実や原因の聞き取り等を決めつけや押し付けをしないで時間をかけても丁寧に行っています。確かに昭和の時代までは、該当生徒の言い分を十分に聞かずに状況を判断し、その後も「今回のことを自分で保護者に伝えるように」のような指導がありました。

〇しかし現在は、たとえ時間がかかっても生徒本人が自分のしてしまったことと正面から向き合い(多くはこれに時間を要します)、その時の心境や周囲との人間関係、その後の気持ちの変化などを浮き彫りにし、それを管理職も含めた職員の中で共有し、その詳細を保護者に伝えています。単純に比べることはできませんが、昭和の時代の指導よりも数倍の時間をかけています。これも「子どもの人権」を第一にした意識の変化です。

〇学校教育法第11条は、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、監督庁の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。 但し、体罰を加えることはできない」と規定されています。この懲戒とは、生徒に問題行動等があった場合に、これを正すために指導や助言、時には一定の行動制限を加えることをいいます。要約すれば、体罰(生徒の身体に対する侵害)は論外であり、前述のような生徒の人権を尊重した指導をしなければならないということです。

〇また生徒に肉体的苦痛を与えるようなもの(指導中に生徒がトイレに行きたいと訴えても認めない、課題などを忘れた生徒に対して自席ではなく教室の後方で授業を受けさせるなど)も体罰の範疇になります。一方で懲戒権の範囲内と判断されると考えられる指導として、放課後等に残して話を聞く(指導する)、未提出の学習課題を課す、立ち歩きの多い生徒を叱って席につかせる等は認められています。いずれもそのことを通して生徒本人に振り返りの時間をつくったり、クラスなどへの影響を考慮したりしたものです。

〇冒頭の実態調査においては、生徒の記述があった場合には事実確認をしたり、調査結果を教育委員会への報告をしたりしていきます。お子様に回答内容を確認していただき、もし相談等があれば担任や職員に連絡をしてください。

 須藤昌英

 

11月29日(金)第2回授業参観

〇昨日はとても暖かく、穏やかな一日でした。午前中は多くの保護者の方々にご来校いただき、生徒たちの学びの姿をみてもらいました。私もいつもように各教室を回っていましたが、生徒たちは授業参観だからといって「よそゆき」な素振りもなく、普段通りの学びの姿でした。

〇富勢中学校区小中学校4校の共通教育目標は、「自ら学び 心豊かに たくましく生きる富勢の子の育成」です。またこの夏季休業中に富勢中学校区小中学校4校の教職員と各校PTA役員、学校運営協議会委員、富勢中代表生徒で行ったワークショップ(熟議)を受けて、「本学区での義務教育9年間の学びを通して、富勢中を卒業する時に身につけさせたい力や目指す児童・生徒像」をまとめました。

〇特に熟議の最後に、いろいろな身に付けさせたい力や目指す児童生徒像を実現する前提としての「児童生徒にとって一番大切なのは健康と体力であり、その上に社会性やコミュニケーション能力、チームワークを大切にする心、自立心等々が養われていくだろう」を仮説として、変化が激しく多様性が求められる時代を生き抜くために必要な力を次の4つに絞りました。                  

1 自分を大切にし、他者を尊重する力

自分の意見や感情を大切にしつつ、他の人の気持ちや考えも理解し尊重できる力。多様な社会の中で、お互いを尊重し合いながら成長するための基盤となる。

キーワード: 「まずは自分が大切、ならば皆も同じく大切にしよう!」

2 考えを伝え、協力する力

自分の考えや意見をしっかり表現し、他者と協働して物事を進める力。チームでの協力やコミュニケーションを大切にし、共に目標を達成できるようになる。

キーワード: 「親しくはない仲間の中でも、お互いに考えを伝え合おう!」

3 しなやかに挑戦し続ける力

困難に直面しても、失敗を恐れずに挑戦し、学び続ける力。未来に向かって、自分の道を切り開くために必要な自己肯定感や、柔軟な思考を身につける。

キーワード: 「失敗を失敗のままで終わりにせず、それを活かそう!」

4 社会で活かせる学びの力

基礎学力をもとに、実社会で必要な知識やスキルを使いこなす力。自分の興味を活かしながら、これからの社会で役立つ力を身につけていく。

キーワード: 「学んだことのエッセンスを、自分の将来のベースとしよう!」

〇昨日の授業もその視点からみると、学年や教科の違いはありますが、上記の4つのどれかを目標として展開されていることがわかります。例えば国語や社会で単元の内容を自分で調べてクラスで発表することは、「考えを伝え、協力する力(キーワード:親しくはない仲間の中でも、お互いに考えを伝え合おう!)」に合致し、数学や理科で紙の立体や前線の模型を作成することは、「しなやかに挑戦し続ける力(キーワード: 失敗を失敗のままで終わりにせず、それを活かそう!)」に沿った活動になります。

〇参観していただいた感想を全職員で分析し、今後も質の高い授業(生徒が主役となり、時間内に学んだ知識をいつでも使える知識に昇華していく)を目指してまいります。

須藤昌英

 

 

11月28日(木)昭和百年への思い

〇今年も残りほぼ1カ月で終わります。来年は令和7年ですが、平成で言えば37年、昭和で言えばちょうど100年にあたります。また「昭和の日(4月29日)」は、国民の休日に関する法律の一部改正で、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」ことを目的に制定されています。

〇確かに昭和時代には大きな戦争(太平洋戦争)もあり、その死者は310万人と言われています。私は昭和38年生まれですので、終戦から18年しかたっていませんでしたが、幼児期に東京オリンピックや大阪万博があり、今思うとそれらが復興の象徴だったのだと感じます。

〇昭和の終わりは1989年1月7日の昭和天皇崩御でした。私は教員になって2年目でしたので、連日報道された昭和天皇のご容態の変化のニュースを見た当時の生徒たちと教室で、「これから日本はどういう時代になるのか?」などと話していたことを思い出します。実際にしばらくは明るい街中の看板のネオンやテレビのバラエティ番組が止まり、自粛ムードが日本全体を包んでいました。

〇翌1月8日は「平成」という改元の発表がありました。当時の小渕官房長官が「平成」という文字を掲げて発表したので、小渕さんは「平成おじさん」と呼ばれていました。しかしみんな見慣れない「平成」という元号が果たして受け入れられるのか?と思っていました。実際にその年の卒業式は「昭和64年度」ではなく、「平成元年度」となり、出席した生徒や保護者、教職員も少し戸惑いがあったことを覚えています。

〇元号が変わるという初めての経験でしたので、何かすべてが新鮮なイメージでした。平成から令和への改元はまだ数年前であり、天皇陛下が亡くなられる前に譲位する「生前退位」でしたので、37年前の昭和から平成の時よりはその直後のコロナ禍の影響もあり、淡々としていました。

〇詳細はわかりませんが、西暦200年になるときに言われた「2000年問題(コンピュータシステムの誤作動が起こる可能性が懸念された)」と同様の心配が「昭和100年問題」と言われているそうです。24年前の当時も学校では色々なデータをコンピュータで一括管理する体制に移行していたので、成績等が消失してしまうのではないか?とあれこれ心配していました。今回も大きな混乱がないことを願います。

〇12年前に亡くなった父が、1925年生まれなので来年で生誕100年になることを家族では前から意識していました。今は「人生100年」と言われるようになったので、これからますます百歳の方々が増えることでしょう。また今の天皇陛下と私はほぼ同年代なので、「次の改元まで生きていられるか?」なども考えるようになりました。

〇生徒たちは平成に生まれ令和で成人し、これからの時代を自分の好きなことに精一杯取り組んでもらいたいと思っています。そのためには昭和時代のむごい戦争や平成時代の社会衰退から学び、令和を持続可能で誰もが希望を胸に生ける時代にみんなでしていかねば・・と思います。

 須藤昌英

【平成の元号を発表する当時の小渕官房長官】

11月27日(水)災害(防災)用井戸掘削工事

〇本校にはこれまで災害用井戸はありませんでした。そのことは先日に本校体育館で実施した富勢地区の避難所開設訓練でも課題として挙げられていました。そこで昨日から災害用井戸の掘削工事が始まりました。正門を入ってすぐ左のスペースに業務用の掘削機が入り、地下約70mまで掘るそうです。

〇災害用井戸は地震や台風などの災害時に、水道が断水した場合に不足する水を確保する手段の一つであり、井戸の設置目的や管理状況等により、消防用水、飲料水、生活用水などに用いることを想定しています。害時には多くの生活用水が必要ですが、本校の井戸は飲めませんので、非常用トイレなどに活用します。

〇では防災井戸とはいったい何をもってして防災井戸と呼べるのかというと、昔から一般家庭で使用されている井戸の唯一の弱点ともいえるのが、「電動ポンプ」を使っていることであり、電力の供給が止まってしまえば、水を汲み上げることができません。外から見てもはいつもと変わらない状態でも、停電によって井戸が使えなくなってしまうのです。

〇そこで防災井戸に欠かせないのが「手押しポンプ」です。今はその手押しポンプ自体の性能も向上しているので、高齢者や子どもでも簡単に水を汲み上げることができます。私は自宅近くで借りている畑で野菜を栽培していますが、その近くに昔ながらの手押しポンプの井戸があります。夏は何回もくみ上げるので重労働ですが、スポーツジムのトレーニングだと思うと楽しくなります。3歳の孫娘はこの井戸が大好きで、まだ上手く汲み上げられませんが、私が手伝おうとすると、「手出しするな」と怒ります。彼女にとっては家庭の水道との違いが面白いらしくいつまでもやっています。

〇大切なのは防災井戸として安定的な水量を確保するため、豊富な水量があると想定される場所であることです。掘削業者によると、本校は少し台地になっていますが、その下は多くの水脈があり、その心配はないそうです。私たちは通常、トイレやお風呂、洗濯などの生活用水として人当たり1日186リットル以上使っていると言われています。手押しポンプは1時間あたり最大で2,640Lの性能があるようで、実際の災害時には通常のように水は使えませんので、中学生などが交代で井戸の稼働をすれば、避難所や地域住民が使用しても大丈夫です。

〇過去の大規模な災害の発生によりライフラインが寸断され、深刻な水不足に陥った地域も少なくありませんでした。特に生活用水が不足し、トイレに行くのを我慢するために水を飲まない人が多くいて、それが脱水症状からエコノミー症候群や心筋梗塞などにもつながりますので、水の確保は命に直結する重大な課題です。

〇完成までに約二週間かかります。正門付近には交通整理員が立っていますが、工事車両が出入りしますので、登下校時の生徒の安全を最優先します。また明日の授業参観も正門ではなく、体育館脇の東門をご利用ください。

須藤昌英

 

11月26日(火)一つのことを考え抜くのは大人への一歩

〇先週の朝日中高生新聞に、「実は楽しい、哲学」という特集記事がありました。「古代ギリシャのソクラテスをはじめ、先人たちの『愛』は脈々と今日まで受け継がれ、現代人の頭にも『インストール』されています。哲学の入口に立ってみませんか?」とリード文があります。

 

〇一般の人が「哲学」と聞くとどのような印象を持つでしょうか。おそらくは難しそうに思えたり、敷居が高くて自分には無関係と感じたりしてしまうかもしれません。ただ中学生くらいになると、やたらに理屈っぽくなり、世の中の出来事も批判的に見るようになります。私もその頃にはよく両親に、「屁理屈(へりくつ)ばかり言っていないで・・」と言われたのを思い出します。

〇ただこの屁理屈こそ中学生には大切ではないか?と思います。それまでは大人の言っていたことを素直に聞いているだけだった子が、自分なりの見方や考え方を持つようになる。もちろんすべてを拒絶するのではなく、少しは相手の言葉にも耳を傾けて欲しいですが、この変化も立派な成長だと思います。

〇「哲学(philosophy)は、『知を愛する』というギリシャ語に由来します。哲学者はこの世界の本質を数千年の間、論理や思考を通して解き明かそうとしてきました。中学生も「自分ってなんだろう?」「生きる意味ってなんだろう?」とか、「時間ってなんだろう?」「言葉ってなんだろう?」などのいかにも「哲学的な問い」を持ち始めますが、答えが出ないことが多く、効率の面から考えるとあまり役に立つ気がしません。

〇そもそも小中高校で習う学校の教科の中には「哲学」という科目はありません。ただすべての科目のベースに「哲学」は潜んでおり、「哲学とは何か」という問いにひと言で答えるなら、「その様々な物事の本質をとらえる営み」と言えます。さらに過去の哲学者の多くは、自分の人生についてとことん考え、悩み、生き抜いた人たちであり、一般人である私たちも同様な壁に何度もぶつかって生きているのであり、その入り口が中学生時代です。

〇冒頭の中高生新聞に、哲学に関していくつかのQ&Aがありました。紹介します。

Q 哲学の道を究める人には、どんな人が向いていますか?

A あまのじゃくな人です。強大な力に迎合したくない人、みんなが良いというものに乗っかりたくない人には特におすすめです。哲学の本質は、「抵抗する姿勢」です。ひと味違うものの見方は、新しい思考に結び付きます。哲学は西洋でしかできないという人もいますが、最近は見直されています。

Q 哲学者ってどんな人だと思いますか?

A 「いろいろと難しい人たち」という認識がありますが、哲学者のエピソードはとても人間くさいです。例えばドイツのショーぺンハウアーは、出した思想本は凄くでも、彼の大学の講義は学生に不人気で誰も出席しなかったとか、中国の朱憙は自分の学問を広めるためにウソを平気でついたなど。あくまでも我々の生活の延長線上にある人だとわかります。

Q 哲学はどんな風に学ぶものなのでしょう?

A 誰かの考えたことを知るには、その先人たちまで追いかける必要があります。哲学者の多くは超がつくほどの読書家。それぞれが「哲学史」の研究者で、歴史の全体像をつかみ、自分なりの哲学を築いています。

〇何か新しいことにチャレンジする時に、「とりあえずやってみよう」というタイプの人と「まずは計画を立てよう」というタイプ人がいます。前者の人は経験主義タイプ、後者の人は合理主義タイプと言えます。私もそうですが時には、同じ人でもどちらの進め方が良いか分からず迷ってしまうこともあるでしょう。哲学を学ぶことで、このような迷いに対して、ひとつの結論を出すことができるかもしれません。

〇19世紀にフランスのロダンが制作した「考える人(The Thinker)」はとても有名です。このブロンズ像は、「死すべき者=人間の悲劇的な運命について永遠の思考を続ける普遍的存在」を表現し、そこには内的な苦悩と思索の激しさが形象化されています。授業中の中学生も深く考えている場面をみると、私はまさに「考える人だな~」と思っています。

須藤昌英

 

11月25日(月)挑戦をやめない生き物を人類と呼ぶ(超進化論)

〇野口聡一(元・JAXA宇宙飛行士)氏は、これまで3度(2005,2009,2020)も宇宙船に乗船した日本の英雄です。世界初三種類の宇宙帰還を達成し、ギネス世界記録(2部門)を持っています。彼が言った言葉に「進化とは自分の性能を上げるのではなく、自分を環境に合わせることだ」があります。

〇「成長と進化」は似ているようですが、成長とは、生物でいえば育って大きくなること。人間でいえば、いろいろな学びを通し、身体や心のスペック(性能)があがることであることです。一方で進化とは、生物では遺伝子レベルで変化を起こし、環境の変化に適合した生命体をつくりあげることであり、「成長」よりもより長いスパン(時間)での変化を「進化」と呼ぶのだと思います。

〇これは19世紀の自然科学者ダーウィンがその著書「種の起源」で、「唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」と指摘しています。進化は生物が生き残るために必要なことで、進化しない生物は滅んでいくという法則です。ただこの論理は、「すべての生き物は自分の種の保存だけを目的に争って生きている」という解釈になります。冷たい感覚が残ります。

〇2年前に放送されたNHKスペシャルの「超・進化論」は、それまで見ることができなかった生き物たちの驚くべき世界を、映像化していました。植物がまるでおしゃべりするかのようにコミュニケーションをしている様子や、幼虫からまるで違う成虫の姿へと大変身するサナギの中の透視映像は、世界で初めて撮影されたものでした。

〇私が印象に残っているのは、生き物たちは、厳しい生存競争を繰り広げる一方で、種を超えて複雑につながり合い、助け合って生きているという点でした。「人間は最も進化した生き物だ」という思いこみをやめて、今後はますます地球を支える「生物多様性の本当の姿」が今後明らかになってくると感じました。

〇具体例として2つありました。まず植物は人間が持つ目や耳のような感覚器官を持っているわけではないため、私たちは彼らを「ただ黙って立っているだけの、鈍感な存在」とも思ってしまいがちです。しかし、目も耳もなく動くこともない彼らは、しかし最先端の研究者たちからすると、むしろ逆で、植物は動けないがゆえに、周囲のあらゆる環境の変化を、時に動物以上に敏感に感じ取って対応している可能性があるというのです。

〇もう一つが、森の地下には、木と木をつなぐ巨大な菌のネットワークが存在していて、この目に見えない地下でのつながりは、遺伝子解析技術によって明らかになってきており、数十メートル離れた植物どうしが、同じ菌糸(細い糸状の菌)のネットワークでつながっていること。加えて植物が光合成で得た養分が、その菌糸のネットワークを介して、他の植物へと送られているという研究結果が発表されていました。

〇「生きるか・死ぬか」「食う・食われる」だけではない、このような植物の「支え合いの世界」のように、お互いに助け合って生きていることが「超・進化論」であるならば、我々人間も争うのではなく、一緒に生きていくことをもっと意識すべきだと視聴し終わった後に感じました。

〇冒頭の野口聡一氏の格言をもう一つ、「挑戦をやめない生き物を人類と呼ぶ」。いかにも宇宙飛行士らしい直球的な言葉です。「進化は自分を環境に合わせようとすること」と合わせると、真の挑戦とは、失敗を繰り返しながらも、決して自分のためだけでなく自分も含めた環境(家族、学校、地域、国家、地球など)を守り、自分の成長を通して他に貢献していく変化だと思います。

 須藤昌英

11月22日(金)令和7年度修学旅行・林間学校予察

〇来年度は3学年修学旅行と2学年林間学校ともに6月実施を予定しています。毎年のように2学期の期末テスト期間中に、来年度の宿泊を伴う学校行事の現地視察を、担当職員が旅行業者と行っています。

〇修学旅行の予察の主な目的は、生徒の安全確保や、保護者が安心してお子様を送り出せるようにトラブルの原因を事前に排除することです。

〇なぜテスト期間に行うのかというと、まず担当職員はあらかじめテストを作成しておけば授業を振り替えなくても済むということがあります。ただテスト前にテスト範囲の授業を完了しておかねばなりませんが、授業そのものをつぶしたり変更したりする必要がないのが利点です。

〇また旅行業者は今年の1学期に、複数の業者に入札させた上で決めています。2学期になり担当職員と旅行業者の打ち合わせを続けていますが、来る3学期にいよいよ主役の生徒たちの準備が始まります。となるとこの時期に現地や宿泊先を視察しておかなければ、時間的に間に合わないことになるからです。

〇大阪・京都方面の修学旅行は鉄道を使っての移動になりますので、視察のポイントとしては、乗降する駅のホームや通路の確認、特に新幹線内の座席配置、現地でのバスや地下鉄の交通状況、万博や有名な寺社等の見学先です。

〇特に修学旅行の2日目は、事前に決めた班別の自由行動の旅行プランで、学習テーマに沿って現地での取材をし、修学旅行後にまとめる学習活動を行います。ハプニングも含めて、生徒たちの良い経験になります。

〇長野・白樺湖方面の林間学校は貸し切りバスでの移動ですので、視察のポイントとしては、高速道路のサービスエリア(トイレの場所)、 ハイキングコースの危険個所、2日目3日目の農業体験等の受け入れ先団体との打ち合わせや施設の安全状況の確認です。

〇こちらも2日目に班ごとに茅野市周辺の農家に行き、朝から午後まで農業体験をするプログラムがあります。昨年も農家の人達との交流が深まり、お別れする際に涙ぐむ生徒もいました。一緒に身体を使った作業をしたり現地の暮らしの様子を教えてもらったりと、普段はなかなか出来ない体験があります。

〇共通して特に重要なのは、宿泊先近隣の病院の確認です。急病やケガで緊急搬送することもあります。長野は宿泊地が山の上なので、もしもの時は山を下って茅野市の病院に搬送します。一方で京都は大都会ですので病院も多いですが、意外に受け入れ先が限定されているので、事前の確認が必要です。

〇幸いなのは、修学旅行の旅館は昨年の3年生(現高校1年生)、林間学校のホテルは今年の2年生と同じことです。これにより、今までのデータ(部屋数と大きさ、トイレ数や浴場の大きさ、緊急避難経路など)がそのまま活用できますので、担当者もそれによってチェックできます。

〇細かいことですが、トイレならば個室や便器の数、浴場ならば脱衣場のロッカーやシャワーヘッドの数まで確認します。私も過去に何十回と修学旅行や林間学校の担当をしてきましたが、そういう配慮があって、当日はスムーズで快適に過ごせるのだということは、生徒たちや保護者の方々にも少し知っておいて欲しいと感じます。

〇過去には別の学校で、はしゃぎすぎてホテルの備品を壊し、その該当生徒とホテルの支配人に謝罪をしたこともありますが、今の富勢中にはそういう生徒はいないと思います。

須藤昌英

【3学年宿泊】

【2学年宿泊】

 

11月21日(木)2学期期末テスト(1・2学年)

〇今日と明日は、1学年及び2学年の期末テストが行われます。すべての学習の基本と目的は、「まず覚えられる範囲で基礎的な事項を覚えつつ、次に理解できた事項を確実にいつでも使える知識にする」ことです。

〇ホームページのトップに、各学年の出題範囲表を掲載していますが、生徒は授業の中で、各教科担任から出題範囲に関するもっと細かい説明を聞いていると思います。そして各自、教科書やノート、ワークや問題集などを使い、これまで準備を行ってきています。

〇脳の海馬については以前にも書きましたが、テスト準備の期間中もしっかりと睡眠を確保し、海馬の活躍に期待するのが鉄則です。昔から「一夜漬け」つまり直前に詰め込むやり方の是非が議論されてきましたが、「一夜漬け」のようなものを「集中学習」と呼ぶに対し、逆に毎日コツコツ勉強することを「分散学習」といいます。ただし「分散」とは注意力が散漫で集中していないという意味ではなく、時間を区切って少しずつ行うことです。

〇また学習とは、「ものごとの関連性を習得すること」でもあり、今まで独立していた事実が頭の中でつながることです。簡単な例では、「GO」と「行く」のように、英語と日本語の意味の結び付けを行うことがあげられます。このつながりを強固にするには、繰り返し「学び続ける」しかありません。

〇「上手に覚える」ような成功を導き出すためには、それだけ多くの失敗が必要で、記憶とは「失敗」と「繰り返し」で形成・強化されます。何度も失敗すると、それでやる気がなくなっていきそうになりますが、その解決策の一つが、「得意な面を活かして学習する」ことです。苦手な教科は誰にでもあるもので、その苦手分野でクヨクヨせず、逆に得意を素直に活かすと、全体として成績が上昇することが知られており、教育心理学では「特恵効果」といいます。

〇これはテスト当日にもあてはまります。テストを受けている際中、自分の得意な問題から手を付け、そこから自信がつくと、やる気や集中力が高まります。よく食事で、「美味しいものを最後に食べる」「美味しいものは最初に食べる」のような話がありますが、学習については圧倒的に後者が有利で、「得意なものは最初にとりかかる」です。

〇テストは通常、採点する側の便宜を図ることから、すべて100点を満点として作成していますが、当然生徒一人ひとりの学びの現状は異なります。であるならば満点を取ることが大切ではなく、各教科の理解度を自分で把握することが本来のテストの意義です。もっと言えば「テストはゴールではなく、スタート」です。

〇先日のリフレーミングで言うと、例えば結果として65点だった教科に対し、「あれだけ準備したのに、満点まであと35点も足りないもういいや・・」ではなく、「とりあえず6割強は理解できているので、まだ完全に理解できていない内容のどこから手をつけようか・・」のように思えることが重要ではないでしょうか。

〇3年生は同じ日程で実力テスト(基本的に詳細な出題範囲表はなく1・2年生の内容も含んだ総合的な問題)を行っています。生徒たちの健闘を校長室で祈っています。

須藤昌英

 

 

11月20日(水)「言葉の職人」のご逝去

〇現代を代表する詩人の谷川俊太郎さんが、今月92歳でお亡くなりました。谷川氏は1931年に東京で生まれ、高校時代に詩を作り始め、1952年、詩集「二十億光年の孤独」を発表しデビューしました。鋭いけれども誰もがもっている感性を大切にし、テンポのよいことばを連ねるなど、半世紀以上にわたり数多くの作品を発表し続けてきました。

〇私は若い頃から谷川氏の詩を、林間学校のキャンプファイヤーや3年生を送る会などで生徒に朗読させていました。とても平易な言葉ばかりですので、読んでいるうちに生徒たちはその独特の世界に引き込まれ、普段は見せない表情をしていたことをよく覚えています。

〇代表作の「生きる」の全文を紹介します。*下線は私がつけました。

生きる

生きているということ

いま生きているということ

それはのどがかわくということ

木もれ陽がまぶしいということ

ふっと或るメロディを思い出すということ

くしゃみすること

あなたと手をつなぐこと

 生きているということ

いま生きているということ

それはミニスカート

それはプラネタリウム

それはヨハン・シュトラウス

それはピカソ

それはアルプス

すべての美しいものに出会うということ

そして

かくされた悪を注意深くこばむこと

生きているということ

いま生きているということ

泣けるということ

笑えるということ

怒れるということ

自由ということ

 生きているということ

いま生きているということ

いま遠くで犬が吠えるということ

いま地球が廻っているということ

いまどこかで産声があがるということ

いまどこかで兵士が傷つくということ

いまぶらんこがゆれているということ

いまいまが過ぎてゆくこと

 生きているということ

いま生きているということ

鳥ははばたくということ

海はとどろくということ

かたつむりははうということ

人は愛するということ

あなたの手のぬくみ

いのちということ

〇以前より自分の解釈ですが、この詩のテーマは、「普段の生活(日常)にこそ生きていくことのすべて(意義)がある。そのことを再確認することが幸せを身近に感じる唯一の方法である」ではないかと感じていました。よく言われますが、十代の若者がこの詩に共鳴する部分ともっと年を重ねた大人が共鳴する部分は異なり、それが詩の素晴らしさではないかと思います。

〇谷川氏は十数年前のインタビューで、「詩というか言語というものは、われわれの世界を記述するのに、非常に不完全なもの。作品がうまくできれば満足だけど、それが真理を示しているとか、そんな気はまったくなくて、きれいで人が楽しんでくれればいい。芸術家というよりも言葉の職人っていうのかな。自分としては『職人』と言いたいんですよ」と答えています。

〇長年多くの詩によって勇気づけられたことに感謝しつつ、谷川俊太郎氏のご冥福を心よりお祈りいたします。

須藤昌英

11月19日(火)ネットの偏りとディープフェイク(騙し技)

〇先日の兵庫県知事選挙で、議会から不信任決議を受け失職した前知事が再選されたニュースがありました。選挙戦の終盤にSNS上での前知事への支持の呼びかけに応じた人たちが急速に増えて投票したことが勝因の一つと言われています。

〇私たちは毎日インターネットで公開されている情報を得ることが容易となり、ありとあらゆる分野のさまざまな内容の情報が「洪水」のようにあふれています。それは現代病ともいえる「ゆっくりと集中できない心理状態」を生み出し、いつも情報に追いかけられている感覚もあります。

〇前述の選挙に関しても、一昔前ならば他の県の知事選などはほとんど関心も情報もなく終わっていました。しかし失職する前からの報道や選挙中の前知事の街頭演説の動画が拡散し、別に詳しく知りたいとは思わなくても知り得る状況です。またそうしたことからSNSに慣れている若年層の関心を招き、支持を集めたようです。もちろん投票率が上がるのは好ましいことですが、SNSの情報の中には、真偽の判断が難しいものも含まれていたと、選挙戦後にあらためて指摘されています。

〇ネットの情報が、既存の大手メディアである新聞やテレビによる情報よりも影響が大きくなる時代です。それは新聞やテレビは基本的に「公平性」を重視しますので、いろいろな視点から報道しますが、一方でSNSは一度閲覧すると同じような情報が自動的にアップされ、読者はどうしても偏った情報になりやすい面も忘れてはなりません。そういう状況は「フィルターバブル(多様な情報がブロックされて一つの情報に偏る)」と呼ぶそうです。

〇またSNSが手軽で便利なツールとなったことで、「自分に注目してほしい(承認欲求)」と思う大人や子どもが増えています。これが強すぎると承認欲求モンスターとなり、過激な写真や動画、嘘情報を何の疑いもなく投稿してしまうことまで発展する可能性があります。

〇これまでの偽画像や偽情報は、関係ない画像の無断使用、画像の一部を切り抜く、事実と異なる内容をあたかも真実のように書くという程度がほとんどでしたが、最近はAIによる画像の生成や「ディープフェィク(深いウソ)」が増えているそうです。

〇具体的には複数の異なる動画や画像、音声を人工的に合成して作られるもので、例えば顔を入れ替える、音声に合わせて写真や動画の口を動かすなどです。これらが簡単に出来るのと出来たものは本物との見分けが難しいと聞くので、どうしたものか?と感じます。悪意をもって別な人との顔と合成し、事実と異なる言葉を喋らすことも可能で、それが流行するとなると、個人の人権だけでなく国家レベルの問題にもなりかねません。

〇実際にその現地に行き、ある現象を観察・実験・体験、さらには資料収集等をすることを「フィールドワーク」と言います。本やインターネットで見たり知ったりした知識は、実際と異なる場合も多々あり、自分の目や耳、その他の感覚をフル稼働して体験したことこそ正しいことに近づけます。学校ではSNSの有効性は認めつつ、最後は自分の目で確かめる力を生徒たちに身に付けさせていきます。

〇冒頭の知事選でも若い世代は、「新聞やテレビは信用できない」「多くのネットの情報を比較して選ぶ」という感覚が強いそうです。現在兵庫県芦屋市に在住している中学校時代の野球部の旧友が、来月柏に里帰りするので当時の数人の仲間と忘年会をしようと約束しました。その際には、兵庫県民は実際にどのような感想をもったり反応したりしていることを聴いたみたいと思います。これも一つのフィールドワークだといえるでしょう。

須藤昌英

11月18日(月)「人生、遅すぎることはない」

〇9月から始めた3年生との校長面接が先週一通り終わりました。一人ひとりの話を聞いて、先日のゲームの話とも共通していますが、自分が主役となり、「主体性」をもってやりたいことに挑戦していくために、志望した上級学校で学ぶということは、とても大切であり応援していきたいと感じています。

〇ただ時々「自分自身に自信をなくしているのでは・・」と感じる生徒がいます。面接時間は一人10分間ですので、その原因を詳しく聞いたり、アドバイスをしたりすることはなかなか難しいのですが、そんなときいつも私の頭の中をよぎるのが「人生、遅すぎることはない」という言葉です。

〇この言葉は、野球漫画で有名な水島新司(1939年~2022年)作「あぶさん:84巻第3話」の題名です。この「あぶさん」もプロ野球を題材にした超大作の漫画で、41年間で全107巻、今から12年前の平成24年に幕を下ろしました。

〇私も全て読破したわけではなく、たまに見かけると読んだくらいですが、プロ野球選手の主人公が野球だけでなく、身近な人達との人情的なやりとりがクローズアップされた作品で、読むと深くその物語に入り込んでしまいます。

〇この「人生、遅すぎることはない」との出会いもひょんなことからです。まだ私が三十歳代後半で仕事で何かの壁にぶつかって悩んでいた時、たまたま家族と行っていた入浴施設のソファー横の本棚にあったコミック雑誌をパラパラとめくっていました。するとその中に、主人公が成績不振にあえぎながらもある人の言葉からまた立ち上がろうとする物語が目にとまり、その場で何度か読み返したのを今でもはっきりと覚えています。

〇帰り際には、「やってもみないことをくよくよ悩んでも仕方ない、とりあえずやってみて、もしうまくいかなかったら、またそこで考えよう」と思え、明るい気持ちで自宅に着きました。私はそれまでは「漫画やアニメは・・」と勝手に遠ざけていましたが、それをきっかけに、メッセージ性やストーリーが優れているものがけっこうあることを再発見し、注目するようになりました。

〇前振りが長くなりましたが、話をもとに戻します。冒頭の生徒達には、次のような言葉がけをしてあげたいと思っています。

今まで何度かやろうとしたけれど出来なかったこと、今の自分では到底出来そうもないとあきらめてきたことなどは、誰にでも1つや2つはあります。しかしそれらは多くの場合、『本気』で取り組もうとする前に、尻込みしてしまったことがほとんどではありませんか?「あの人だからあんなことが出来るんだ」とか「自分には到底そんな能力はない」と思い込んでいませんか?生きているかぎり、何でも「手遅れ」ということはありません。周りからは簡単そうにやっているようにみえることでも、その人は他人が見ていないところで必ず努力しています。その表面だけの姿で判断せず、まずは自分の出来ることから始めてみること。そしてそれを工夫しながら続けてみること。そのきっかけが一番重要であり、まさに今、新たなチャレンジをする勇気をもってほしい。

〇「人生、遅すぎることはない」、これは本校のテーマである「学び成長し続ける富勢中」ともリンクしています。

須藤昌英

 

11月17日(日)避難所開設運営訓練

〇昨日の午後は、富勢地区として初めて本校体育館を避難所とした開設・運営訓練を行いました。富勢地区(小学校3校、中学校1校、高等学校1校)は、布施近隣センター長が災害本部長となり、柏市職員25名が割り当てられています。そこへ各地区の防災担当者の方が加わり、受付、駐車場設定、パーテンション設営、臨時トイレ設置、ペット受け入れなどの役割分担で行ないました。

〇振り返ってのワークショップは、私がファシリテーターとなり、

①   実施する意義や成果点

②   実施した課題・改善点

③   次回へのアイデア

について話し合いました。今回は本校で行ないましたが、次は各校でも実施したいとの意見が出ました。

〇市役所職員、ふるさと協議会会長、富学協会長、本校職員、本校生徒6名で宿泊体験しました。夕食後、体育館の大スクリーンで「すずめの戸締り」という映画を鑑賞しました。日本各地の廃墟を舞台に、ミミズという大地震を起こす怪物を止めるために、主人公のすずめが旅をしながら成長していくストーリーでした。

〇日本では大昔から大地が揺れるのは、ナマズなどが暴れるということが信じられてきましたが、今は科学的日本列島は「地震の巣」であることが判明しています。少しでも避難所が地域の方々の安心できる場所になってほしいと願っています。

〇中学生は来週の期末試験に向けて、体育館で勉強もしました。たださほど寒くなく助かりましたが、広い体育館で寝るのは、慣れないと難しいと感じました。

須藤昌英

 

11月16日(土)花鉢配付ボランティア活動&避難所開設体験

〇本日、富勢地域ふるさと協議会及び各町会・自治会の皆さまとボランティア生徒70名が一緒に、これまで育ててきたビオラの花鉢をお手紙と一緒にご高齢の方のお宅に伺って、配付してきました。

〇受け取っていただいたご高齢の方々からは、中学生が届けてくれたことに、感謝の言葉がありました。中には、「孫が富勢中にお世話になっています。」と話がありました。同じ地域に住んでいるからこその「こぼれ話」です。

〇生徒は大人になるにつれて徐々に人間関係を広げていきますが、彼らにとって親や教師は「縦の関係」、兄弟姉妹や雄人は「横の関係」なのに対し、地域の方等は「斜めの関係」だとよく言われます。「縦でも横でもない斜め」であることで、気軽にしかもあたたかく見守ってくれる存在であることが、彼らの心理状態を安定させます。

〇さらに「有難う」「頑張ってね」と声をかけてもらうことで、「自分も役にたっている」「良いことをすると気持ちいいな」と、自分の存在を見つめなおしたり自己の有用感を高めたりできます。

〇11月としては暖かく小春日和で、参加した生徒たちも「最初は緊張しましたが、あたたかく迎えていただき、良い経験ができました」と感想を言っていました。これからこの地域を支えてくれる生徒たちに、地域への愛着心が芽生えてくれると、このボランティア活動の目的にも沿ったことになります。

 

須藤昌英

11月15日(金)秋の収穫

〇一昨日は、柏市制施行70周年を記念して、市内小中学校及び公立保育園にて柏市産の食材を使用した特別給食でした。メンチカツやかぶのすり流し汁、ヒジキと彩野菜の和え物は、どれも美味しく、まだまだ柏市は農業が盛んだということを実感しました。

〇昨日は、校内の畑で栽培しているカブとサツマイモの収穫をあすなろ学級の1年生が行いました。特に9月に畑を耕し、種をまいてもう収穫できるのですから、かぶの成長はすごいものです。

〇かぶは、一般的には肥大した根の部分を食用としますが、葉にも栄養素が多く含まれています。また、春の七草の「すずな」はかぶのことです。かぶの原産地は、アフガニスタンあたりか地中海沿岸の南ヨーロッパを加えた地域とされています。ヨーロッパでは紀元前から栽培され、日本には弥生時代に大陸から伝わったと言われています。初めて知りました。

〇サツマイモの原産地は中央アメリカで,15世紀末頃スペイン・ポルトガルに伝わり,さらに東南アジア,中国,琉球へと伝わったと推定されています。 日本への伝来ルートの主流は沖縄(琉球)からと考えられているそうです。サツマは薩摩(鹿児島県地方)のことですので、こちらは何となく知っていた気がします。

〇昨晩は獲れたてのかぶ(白い実と緑の葉)の味噌汁を自宅で食べました。意外なことに実よりも葉のほうがシャキシャキして美味しかったです。

〇また本校の中庭には、ゆずの木があります。こちらは果実ですので、木から上手に用務員さんが収穫してくれました。ゆずは独特の香りと、果皮の黄色が鮮やかです。数個いただきましたが、それだけで帰りの車内は良い香りにつつまれました。この特徴を生かして、昔からお吸い物などに広く利用されています。

〇ゆずの故郷は、中国の揚子江上流が原産といわれています。日本には唐の時代に北京地方から朝鮮半島を経て渡来したようで、日本にも古くから山口・徳島県に野生のゆずがあります。奈良時代にはすでに、薬用や食酢としての利用を目的として、栽培されていたことが記録に残っています。

〇特筆すべき点は、ゆずは種子をまいてから結実するまで、長期間を要するため、俗に「桃栗3年、柿8年、柚は9年で成りかかり、梨の大馬鹿18年」といわれています。9年間は人間でいえば丁度小中学校合わせての義務教育期間と同じですので、3年生で希望者する生徒には受験勉強の励み(香りを楽しんで気分転換)になるように、特別に分けてあげようかと思いました。

須藤昌英

 

11月14日(木)「リフレーミング」の訓練

〇リフレーミングという言葉は、「認識の枠(フレーム:frame)を改める(re)」ことを意味します。リフレーミングとは、物事を別の角度から解釈し直すことで、簡単に言えば、一つの視点ではなく、いろいろな角度からの見方をすることにより、嫌なことや苦手なことをポジティブ変換する「思考テクニック」です。

〇よく使われる例えとして、目の前に水の半分入ったコップがあったとして、これを「な~んだ半分しかない ⤵」と思うか、それとも「よしまだ半分もある ⤴」と思うか。水の量という事実を変えることはできなくても、その事実をどう解釈するかで、感じ方は大きく変わります。これはだれもが日常生活で経験すみだと思います。

〇リフレーミングには、いくつかの効果が期待できます。モチベーションアップや自分に自信がつく、ものごとへの苦手意識が弱まったり人間関係が良くなったりすることが心理学の面から報告されています。3年生の校長面接では何人かの生徒に、「確かに苦手なことに取り組むのは気がひけますが、『何でも初めから完璧にできる人はいない!』『自分の可能性をのばす絶好のチャンスかも!』ととらえると、『まずはやってみよう!』となりますね。」とアドバイスしました。

〇リフレーミングは主に2種類あり、一つは「今の自分の状況・事実」をリフレーミングしてみること。例えば、病気でしばらく休んでいなければならない時、最初は「あれもやらないと、これも遅れてしまう」ばかり思っていまがちですが、「休んでいる間、自分自身や仕事についてゆっくり考えられる」と気持ちが変わると、「休んでいる間にできることをやろう」と思いなおせます。

〇また「自分の性格や行動の傾向」をリフレーミングすることも多いです。例えば、いつもいろいろなことに「心配性な人」も、「想像力があり慎重にものごとをすすめることができる」と切り換えると、また違ってきます。ただこれは、なかなか自分では気が付きにくく、他人からのアドバイスが大きなポイントをしめると思います。

〇ネットなどで調べると、「リフレーミング辞典」というものがあり、私も時々参考になるので、眺めています。冒頭に書きましたが、これは思考テクニックですので、ある意味訓練する必要があります。最初は「こんな言い換えは不自然で違和感がある」と思いがちですが、そういう感情を抑えて、無理やりでも受け入れてしまうことが大切です。

〇先日の3年生は、「自分の短所は『面倒くさがり』のところです」と言っていたので、私からは「それはおおらかなことまたは細かいことにこだわらないという良い面とも言えますね」と返しました。私も「少し強引すぎたかな?」と思いましたし、本人はキョトンとしていました。ただこちらも訓練して何とか相手に前向きなってほしいとの気持ちがありますし、本人も後から少しでもその言葉が頭に残って、「そういう見方もあるかな?」のように受けて止めくれるといいのですが・・・と願っています。

須藤昌英

【リフレーミング辞典の一部】

11月13日(水)自分の身体と向き合うこと

〇2年前の11月に自宅で発熱、その晩にコロナの陽性が発覚、次の日から7日間自宅で療養するという経験をしました。当初は家族の中で最初に、同居している母が喉の痛みを訴え、咳をし始めたので、家の中で生活する動線をわけるなどの警戒をしていました。

〇ところがその母はその後発熱はせず、回復に向かいました。それと入れ替わるように、私も含めた家族が喉に違和感を覚え、咳が始まったのちに発熱しました。その夜は発熱外来は受け付けしてもらえず、薬局で抗原検査キッドを購入して、すぐに「陽性」が判明しました。

〇コロナそのものに対する薬は手に入りませんでしたので、喉、咳、鼻水への処方箋を服用しつつ、ひたすら自宅に引きこもりました。幸い食欲はありましたので、お粥を中心とした食事をとり、徐々に身体に力がみなぎってくる感覚を今でも覚えています。

〇この夏あたりから少しずつ中学生にもマイコプラズマ感染症が流行しているという話を聞いています。少し調べると、風邪のような咳・鼻汁から始まり、咳や発熱が長く続くのが特徴で、特にマイコプラズマによる肺炎になると、頑固な咳をともない、一部の人は重症化したりするようです。また、一度かかっても何度でもかかりうる感染症のようです。

〇専門家は「命を奪うほどの肺炎ではないので、過度に恐れる必要はないが、子どもがごはんを食べず、ぐったりしている状況は普通ではないので、病院を受診して水分を補給したり、栄養をとったりすることが必要になってくる」と話しています。

〇またその上で、感染対策について、「コロナ禍のころを思い出してもらい、飛まつ感染を予防するためには、マスクを着けることやこまめに手を洗うことがいい方法だと思う」とアドバイスがあります。

〇肺炎となると呼吸がしにくくなるのはよく聞きますが、私の場合に2年前のコロナ感染で、呼吸の困難さを感じました。健康な時には気づきにくいですが、生きる上でいかに「呼吸」が大切かということを考えさせられました。

〇高熱や咳が出ているときも、無意識に呼吸はしていますが、そういうときこそ少し呼吸に意識を向けて、まずはゆっくりと身体中の息を吐き出しますと、その反動で新しい空気が自然と入ってきます。呼吸が深くなると精神的な不安も少し和らぎます。

〇よく病院の診察時などでも、まずは「吸って」、次に「吐いて」の順で医師から指示されますが、本当は順番が逆で、しっかりと「吐く」と、自然と「吸える」のか?と思いました。咳止めなどの処方箋も確かに有効ですが、局所的ではなく、身体全体をケアし、本来もっている「自然治癒力」を最大限に引き出すには、呼吸を整えることが一番簡単にできることだ!と感じました。

〇コロナの時には、若者が後遺症に悩んでいるという話をよく聞きました。一定の期間が過ぎても、嗅覚・味覚障害や強い倦怠感が多く、中には発熱や呼吸困難など日常生活に支障をきたしているという相談事例も多かったようです。今回のマイコプラズマ感染症に関しての後遺症も心配になります。

〇風邪やインフルエンザ等に感染した際には、発熱や咳などの症状が出ますが、それらはしっかりと体を守ろうとしている「身体からのサイン」だそうです。発熱などの原因のほとんどは、身体が病原体と戦い、体を守るための生体防御反応なのです。そのサインに素直に耳を傾け、休養することが何よりも大切であり、たとえ受験生と言えども決して無理をしないようにしてほしいです。

須藤昌英

11月12日(火)「ゲーム」との付き合い方

〇校長面接などで、3年生に「受験勉強をしている時の気分転換の方法は?」と尋ねると、8~9割の生徒が「好きなゲームをしています」と答えます。そこでさらに「気分転換のつもりが、そのままハマってしまうことは?」と続けると、大抵の生徒が苦笑いし、「それが悩みです・・」のように打ち明けてくれます。

〇過去に担任していた生徒から、同じようなゲームに関する質問を投げかけられたことがあります。「どうしたらゲームをやめられますか?」と。私は答えました。「方法はただ一つしかないよ。それはそのゲームの攻略法を徹底的に友達から教わってからやってごらん。わかると思うけど、そんなのはつまらなくてすぐに止めてしまうでしょ」。

〇少し逆説的な言い方ですが、そのように何もかも教えてしまっては、人はまったく面白みを感じないのです。どうしてかと言うと、ゲームの中で「自分で選択する機会」が前もって奪われ、冒険心や挑戦心などのやる気のもとがなくなってしまうのです。

〇私が「ゲーム」と聞けば、今から40年前以上に流行したインベーダーゲームを思い出します。当時はまだ自宅で行うゲーム(ファミコンなど)は販売されていませんでしたので、高校生だった私はゲームセンターで夢中になりかけていました。ただ段々とゲーム以外のことが忙しくなりゲームセンターに行くのも億劫になったので、お小遣いを使い果たすようなところまではいきませんでした。

〇しかし今は自宅でゲームが当たり前ですので、生徒たちが自らの制御力でゲームをする時間をコントロールしなければならない状況です。自宅でできる便利さはありますが、逆にゲームとの程よい距離を保つことが難しくなっています。先ほども書きましたが、生徒がゲームの中で自分が主役となり、「主体性」をもって課題に挑戦していくことは、人間の本質にあったゲームのプラス面であり、否定されるべきではありません。

〇ただ先日、You-tubeの対談で、東大名誉教授の姜尚中(カン・サンジュン)氏が指摘していたことも気になります。姜氏は「人生(実社会)はゲームではない」とし、「(要約)現代は政治、経済、人間関係などのすべてが、ゲーム理論に基づいて処理されている。ありとあらゆる領域から集めた情報をアナリストが分析したりそこからシュミレーションしたりして、現場の様子はモニターでみるだけ。そこに強烈な違和感をもつ。しかし実際に目の間で起きていることはもっと複雑で、ゲーム理論だけでは到底説明しきれない」と鋭く述べています。

〇これを見ながら深く考えさせられました。ゲームの良さは認めつつ、そこから実際の生活にいかに戻ってくるか。冒頭の受験生の悩みは、決して子どもの問題ではなく、我々大人も直面している問題だと思います。

須藤昌英

 

11月11日(月)富勢地区文化展&三学年期末テスト

〇先週末の土・日曜日は、富勢地区ふるさと協議会主催の文化祭の中の展覧会が、布施近隣センターで行われ、本校の美術部員が書いた「富勢中の風景画」を出品しました。

〇ここには、富勢小、富勢東小、富勢西小、県立柏高校からの作品もあり、児童生徒の感性の豊かさを感じ取ることができました。絵の構図や色使いは、大人では描けない自由さがあり、素晴らしいと思いました。

〇私もそうでしたが、中学生くらいになると、「見たままを忠実に描くことを基本にした絵画(写実絵画)」を描きたくなるようです。 ただその作風は生徒個人によってさまざまであり、だからこそ同じような情景を描いても、表現されたものはそれぞれ全く違うものになります。

〇先日も放課後の校庭で、一人の女子生徒が本校の正面玄関あたりを描いていましたので、「出来栄えはどうですか?」と声をかけたところ、うれしそうに「まあまあです」と答えていました。

〇どの生徒も何度も何度もスケッチして彩色するという作業を繰り返していました。彼らの描く絵には、集中して一つの作品に取り組んだ「時間の痕跡」が感じられます。この時間の積み重ねこそ大切であり、描かれるものにはその瞬間しかない美しさと儚さがあり、その経験が作者にとって次の作品のベースになるのだとかんじます。

 

〇今日と明日は、三年生のみ2学期の期末テストを行います。今日は、社会、国語、英語の3教科、明日は数学と理科の2教科です。

〇「なぜ3学期の期末テスト三学年だけはやく行うのか?」は2つの理由があります。一つ目は、高校入試の際に中学校が高等学校へ提出する「調査書(生徒の3年間の生活及び学習の記録)」を作成するために、3学年の学習評定を確定することが必要になります。一及び二学年の学習評定はすでに確定していますが、三学年は1学期及び2学期の学習の様子を総合的に勘案します。そしてまず、そのもとになる「保護者連絡票」を作成し、本人及び保護者に内容を確認してもらった上で、正式な「調査書」を年開けまでに作成します。

〇もう一つの理由は、特に私立高校の場合、その学校独自の「推薦制度(第一志望または第二志望以下もある)」があり、その推薦制度の条件に志望した生徒の成績が見合っているかを、来月から中学校の教員が高等学校へ出向き、「入試相談」を行います。この際に、先ほどと同様に、一及び二学年の成績に加え、三学年の1学期及び2学期の評定が必要になってきます。もしこの「入試相談」」で、高等学校側がその生徒が基準を満たしていることを認めれば、その生徒は願書などを出す時に、「〇〇推薦」を利用した出願が認められます。一番早い出願は、12月から「茨城県私立高等学校」となり、その後、「千葉県」「東京都」「埼玉県」と続きます。

〇三年生の皆さんには、これまで努力した成果があらわれることを願っています。

須藤昌英

 

11月8日(金)「個性は可能性」について

〇3年生との校長面接では入試本番を想定し、生徒は制服を着て校長室に入室してきます。彼らは入学してからはフォーマルな服装として、制服を着ることに慣れていますので、よく似合っています。生徒たちとは着ている制服の話をする時間はほとんどありませんが、ふと思い出したことがありました。

〇今から20数年年前くらいに学級担任をしていたころ、生徒たちと当時の学校の制服について、何度か話し合いしたことがありました。生徒たちは、「決められた制服や頭髪の基準、またそれらの身だしなみなどの約束があるのは窮屈な気がする」と言っていました。

〇もちろん私自身が中学生の頃も同じでしたが、その時の柏中は全校生徒が二千人いて、「中学校の時だけの決まりだし、みんな同じだから・・」と感じるくらいで、当時の生徒のように「自由がない、窮屈」とまでは思いませんでした。

〇そこで当時、あるインタビュー記事で映画監督の大林宣彦さんが、「制服」について学生に語っている文を見つけ、学級通信に掲載しました。引用します。「確かに制服はみんな同じで変わらないかもしれないけれど、その人が読んだ本、聴いた音楽などによって、まずその人の目の輝きや語る言葉が変わってきます。そうするとその同じ制服を着ていても、『個性』が出てくるんです。制服はファッションではなく、【心のあらわれ】です。同じものを着て窮屈で嫌と感じるとすれば、君の言葉を磨きなさい。君の目の輝きを磨きなさい。そうすると君の着ている制服は、君だけに似合う『個性』になるよ、と言いたいですね」

〇映画監督は一つのテーマをいかに表現するかをいつも考えてそれを仕事としており、その「表現のプロ」が言っているので、言葉に重みがありました。私は学級通信に、自分の解釈として「つまり表面ばかりに目を奪われて本質を磨くことを忘れてはいけないということを教えてくれていると思います」と添えました。もちろん生徒達はすぐに納得していたわけではありませんが、生徒達の疑問に寄り添いつつで、教員として一緒に学んでいたことは忘れることはありません。

〇また大林さんはこうも言っていました。「制服というのは対話の手段なんです。人間どうしは対話をすることでお互いを理解しようとします。対話とはお互いの違いを知る作業で、君と僕はこれだけ考え方が違うんだね。だからお互いに価値がある。これが共存共栄の意味だと知るわけです。違いを知るためには、一つの同じ土壌にいなければダメなんです。そのルールが制服だと思えば、制服を着せられたからみんな同じだと思うのではなく、同じ制服を着ているけれど、僕はこういう言葉を語るし、君はこういう言葉を語る、そうするとその制服が違って見えるということからも、個性を鍛えることができると思いますね」

〇後半の言葉は、当時大人であった私も深くうなずくものでした。同じ制服を着て面接をしていても、それぞれの生徒の個性はよくわかります。最近の私の結論は、「個性=可能性」ですので、逆に制服だけで個性(可能性)が無くなるなどは、空論に過ぎないと感じています。

〇来年度からは柏市標準服(ブレザータイプ)も本格的に導入されます。生徒や保護者にとっては、現行の制服か新しい制服かの選択肢が増えます。毎朝本校正門前を通学する幾人からの富勢小の6年生に、「制服は決まりましたか?」と尋ねると、大半が新制服と答えていましたが、中にはあえて今の制服(学ラン、セーラー服)を考えている児童もいました。

〇今の中学生は、制服についてどう思っているのか。何かの機会で、聞いてみたい気がしました。

須藤昌英

【柏市標準服:上着ブレザー&スラックス、スカート】

11月7日(木)「いじめ防止サミットKashiwa」

〇昨日、柏市内の中学校21校の代表生徒が2名ずつ集まり、「R6いじめ防止サミットKashiwa」がオンラインで開かれました。テーマは「SNSといじめ」で、NPO法人企業教育研究会代表の市野敬介さんがファシリテーターとなって、参加者がグループで話し合う形式の学習でした。

〇本校からは、生徒会役員の中村雅さん(2年3組)と佐藤莉杏さん(2年5組)さんが、富勢中を代表して参加しました。二人とも積極的に自分の意見を発表したり、他の中学校の生徒の話を真剣に聞いたりしていました。

〇サミットでは、二つの課題について話し合いました。一つ目は、アメリカのフロリダ州などでは、子どもがSNS上でネットいじめなどのやりたい放題が問題になり、その後子どもがSNSを利用することを規制する法律ができましたが、「もし柏市の条例で中学生以下のSNS使用禁止が決まった場合に、あなたは賛成しますか?反対しますか?」でした。

〇参加生徒は4人グループに分かれて、それぞれ自分の意見を根拠を交えて発表しあいました。いろいろな意見が出ましたが、「この時代に情報収集するのにSNSは欠かせない」「いじめ防止の意識を繰り返し高めていく必要がある」などの本質をついた理由がありました。

〇次に「このような禁止や制限を必要としないためには、学校でどんな取り組みが出来ますか?」の課題で、これもいじめ防止のポスターや呼びかけの便りを作成する、いじめについてだれでも相談できる場所をつくるなどの建設的な意見がありました。

〇大人の私でも考えさせられる内容でした。普段から仲が良いからといっても、一つのメールなどで相手を傷つけ、人間関係がこじれてしまうことはよくあります。むしろ正式にネットモラルの教育を受けていない我々大人の方が、生徒達よりもよほど気をつけていかなければならないと感じます。

〇このサミットを教材として、12月23日の終業式に、中村さんと佐藤さんには、全校生徒に向けて「いじめやSNSの使い方」について考える授業をしてもらうことを計画しています。事前に生徒や保護者にもアンケートをとるなどして、本校の実態に即した内容にリメイクします。ご期待ください。

須藤昌英

【積極的に参加し、メモを取りながら全校生徒向けの授業について考える中村さんと佐藤さん】

11月6日(水)「交通安全誓いの碑」

〇正門から入ってすぐ右脇に、「交通安全誓いの碑:交通違反をしない、させない、許さない」と書かれた石碑があります。これは今から38年前の昭和61年5月の日曜日、集団で部活動の練習試合の帰り(歩道を自転車で走行中)、猛スピードの車がその列に突っ込み、当時の本校女子生徒2名が命を落としたという大きな事故があり、「そのような交通事故が二度とないように」と願いを込めて当時の生徒・教職員・PTAが建立したものです。2年前に八街市で下校途中の小学生の列に、飲酒運転のトラックが突っ込み、2名の死傷者と3名の負傷者が出たことは記憶に新しいです。

〇私は当時大学4年生で、間もなく教員採用試験を受けようとしていました。住んでいる柏市内でそのような悲惨な事故があったことはテレビなどでも大きく報道されましたので、今でも記憶にはっきりと残っています。

〇その翌年4月に柏市の中学校教員となり、その事故現場がちょうど通勤途中だったので、行き帰りにその場所を通るたび、心の中でご冥福を祈りつつ、教員として生徒の命を預かる重い責任を実感していました。

〇その女子生徒さんたちもご存命であれば、今50歳台前半になっています。一昨年4月に本校に着任した際も、その38年前の事故については前校長や前PTA会長さんからも引継ぎとして説明を受けています。

〇500名以上の生徒の命を預かっている今、同じような事故が起きないように日々努めていかなければならないと、亡くなられた方への誓いとしてあらためて肝に銘じました。

〇先日は、柏市教育委員会を通じてから千葉県交通安全対策推進委員会より「自転車乗車用ヘルメット着用率向上に向けた取組について(通知)」が届きました。内容は以下の通りです。

1 自転車乗車用ヘルメットの着用について

令和5年4月より、自転車乗車用ヘルメットの着用は努力義務となりました。通学時の自転車利用に限らず、日常利用でもヘルメットの着用に努めていただきますよう御協力をお願いします。

【道路交通法第63条の11第1項】

自転車の運転者は,乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。

2 通学時の安全運転について

自転車で通学の際に転倒し負傷する事案が発生しています。また、ヘルメットを着用して頭部は保護できたものの他の部位を負傷する事案も発生しており、安全運転についてより一層注意いただきますようお願いします。

〇この3年間正門脇で、ふるさと協議会と連携して16日に地域の御年輩の方々に配付する「ビオラ花鉢」を育成中です。その花鉢を生徒たちが「交通安全誓いの碑」の近くで育てているのも、何らかの供養になれば・・と感じています。

須藤昌英

11月5日(火)ちょっと良い話と想像力について

〇この三連休は、土曜日は秋雨前線で雨でしたが、文化の日と振替休日は秋晴れで気持ちの良い日でした。運動しようと自転車に数時間乗っても大汗をかくこともなく、ベンチで本を読んでいても紅葉しかけの木々や鳥の声で心が安らぎます。

〇ようやく暑さから逃れ、このような気候が長く続けばよい・・といつも思いますが、なかなかそういうわけにはいきません。気温や湿度が下がると、ウイルスの活動が活発化し、感染症の心配が出てきます。警戒を始めていきます。

〇先日学区にお住いの方から、うれしい連絡が入りました。道路で落とし物(財布)をして気付いて警察に連絡すると、近隣の交番に届いていたそうで、届けた人を尋ねるとどうやら富勢中の生徒であるとのことでした。

〇その生徒は交番へ名前や連絡先を知らせなかった?のでしょうか。結局直接お礼を言うことが出来なかったので、学校に連絡してくださったようです。職員の打ち合わせで周知し、クラスで伝えたいと思います。

〇こういう話を聞くと、最近よく報道されている通称「闇バイト」にかかわってしまった若者たちと比べてしまいます。もちろん一概には比べられませんが、手元のスマートフォンですべて(金銭欲しさも含め)を解決しようと、ネットサーフィンして見つけたサイトへアクセスし、短時間で高収入という「効率」に目がくらんでしまったのかもしれません。

〇そもそもこの犯罪を「闇バイト」などと呼んでしまうこと、これこそが今の世の中の負の部分だと思います。スマートフォンの情報は間違ったものや法律に触れることなどが多く含まれていること、実行役や見張り役などの細かい役割分担があるので、もし捕まっても一人の犯罪よりは罪は軽いだろう?などの思い込み・・。

〇一番の問題は「想像力」の欠如です。先ほどの落とし物を交番に届けた本校生徒は、「落とした人はどれだけ困っているだろうか?」とその人の気持ちを想像したからこそ行動できたのだと思います。一方で、犯罪に手を貸してしまった若者たちは、「自分さえよければ・・」と被害者の気持ちなどを考えることもなく、短絡的であると言わざるを得ません。

〇逮捕された若者たちばかりを責めるのではなく、我々大人がつくってきたこの世界には、多くの矛盾や誤魔化しがはびこっており、その陰で苦しんでいる人がいることを再認識する必要があると思います。いくら経済的に豊かになっても、弱い立場にある人たちを切り捨てて成り立っている社会に、本当の安らぎはありません。天高い秋の空をみんなが楽しめるような世の中にならなければならないと感じます。

須藤昌英

 

10月31日(木)合唱コンクール前日

〇明日の合唱コンクールに向けて、今日は最後の練習を各クラスで行います。発表も頑張ってほしいですが、特に生徒たちは柏市民文化会館へ朝、直接徒歩で集合し、終了次第現地で解散ですので、行き帰りの交通安全にも気をつけてほしいです。職員も途中のポイント地点で安全指導を行います。

〇柏市民文化会館の最寄りの駅は北柏駅ですので、そこまで電車やバスを利用することは許可しています。また自転車通学の生徒は、学校に自転車を置いてから徒歩で行くように指導しています。

〇終了時刻が12:15ですので、例年の様子をみていると、行きよりも帰りの方が一斉に帰りはじめお腹もすいているので、小さなトラブルが生じています。

〇とにかく外部の施設を借用しての行事ですので、生徒たちにとっては校内で行うよりも普段と勝手が違うことから臨機応変に行動することや一般的なマナーなどを守るなどの意識をもつ機会になります。

〇地域や保護者の方々には学年毎に入れ替えで鑑賞していただきますが、外部施設とあって職員も校内で行う場合よりもあちこちに役割に応じて配置してありますので、ゆっくりとご案内したりお話ししたりする余裕がありません。ご了承いただき、鑑賞席ではお互いに譲り合ってお楽しみください。

〇私は以前から生徒たちに、「人の身体は最高の楽器」ということを言っています。楽器というとピアノやギターなどを連想しますが、最も原始的だけれども誰でももっているのが、声を出す役割を担っている声帯で、そこから発する音を身体全体で大きく響かせたのが合唱です。

〇1年生は初めてのステージで緊張しますが、スポットライトを浴びて歌えることを楽しんでほしいと思います。2・3年生はこれまでの経験をいかし、堂々と歌い上げてくれることでしょう。もちろん受賞するかしないかは気になるでしょうが、それよりもやり切った充実感を味わってほしいです。

須藤昌英

 

10月30日(水)「中学校教育に望むこと」

〇全日本中学校会が定期発行する冊子に、前WBC日本代表監督で、メジャーリーグに行く前の大谷翔平選手を育てた栗山秀樹氏にインタビューした記事がありました。一部を紹介します。
〇質問
今、日本の中学生は、他国の若者に比べて、「自己有用感」「自己肯定感」が低いと言われていますが、監督の目には今の中学生の姿がどのように映っているのでしょうか?
〇栗山監督
どこに生まれるかというのは自分で選べるわけではありません。例えば人に生まれるかもしれないし、虫に生まれるかもしれないことも含めて、神様が決めているという中で、ほかの民族がどうのこうのというのは一切関係なくて、そこに対しては中学生だけでなくて日本全体が言われていますよね。
日本人が優秀だと言われた時代があったものが、今これだけ経済的にも政治的にも遅れをとっている。ただ、先人の皆さんの功績とかやってきたことを見ると、僕はこの国に生まれて本当に良かったと思っています。そのことをWBCで表現したかったというのは正直あります。
日本が世界一になるという意味は、「さあ行くぞ、俺は世界をとってやる」と子ども心に感じてもらうためではないかと思っていましたし、そういう意味では、自己肯定感が低いという中学生たちの感じをみていて、ただ単純に「ぜいたく病なんだろうな」と思っているだけです。
昔は食べるのも大変だった。何もしなければ食べられないわけですよ。ところが今は、大人になっても守ってくれる人たちがいっぱいいるので、それはなかなか難しいだろうなと思っているところがある。変な言い方ですけど、それがダメとかそういうことではなくて、絶対能力はあるし頑張ったらできるところもある。スポーツの世界にいて何が人の分岐点なのかというと、能力じゃないですね。「できないよな」と思った瞬間にできないんです、すべてが。そうではなくて、これをやると決めてやり切った人がそこにいくというだけの話です。それは時間がかかるかもしれないですけど、そういうことなんだと十年間の監督生活で思ったんです。これは体験です。
(途中略)
要するにの能力じゃない、本当に自分がこうするんだという確固たる志、意思というんですかね、それが何らかのタイミングで得られれば、今の中学生たちも勝手に能力が伸びていくということなのかなと、そこは信じています。
そういう子どもたちが、今はそうみえるけれども、必ずそういうものをもっている。そこにどうやって火をつけるか、どうやって灯をともしてあげたらいいのか。僕は良く、「やる気の志には我々は火をつけられない」と言っています。本人しか火をつけられることはできないので、我々はそのお手伝いしかできないと思うんですよね。今その自己肯定感や自己有用感が育たない何かの要因があるというだけなのかなという感じで僕は捉えています。
〇栗山氏は国立の教員養成大学の出身で、教員免許ももっていた方なので、親近感があります。プロ野球選手という大人を育てる仕事ですが、基本的な考えは我々教員と同じだと感じました。

 須藤昌英

10月29日(火)長文を諦める(新聞を読むことで身につく力)

〇昨日の朝刊は、衆議院選挙の記事が大きく取り上げられていました。テレビでも同様に報道されていましたが、細かい情報などはテレビの方が詳細をつかめるので良いですが、全体の結果を大まかに把握したい時には、新聞の方がテレビなどよりも圧倒的にわかりやすいと感じます。

〇やはりそれは記者やデスクなどにより、限られた時数でいかに事実を伝えるかの視点で校正が繰り返されているからでしょう。繰り返しますが、新聞の最大の利点は各面の見出しをサッと見渡すだけでも、社会で起こっていることが大まかにつかめるという点です。

〇毎年行われる文科省の全国学力テストの分析から、本校を含む全国の生徒の国語の長文読解の正解率は低下しており、長い文をみるとすぐに「諦める生徒」も多いことがわかっています。これはSNSの影響が大きく、短文や絵文字でのやりとりが広がり、生徒が日ごろから活字と向き合う環境を整える必要があると結論づけています。

〇3年生との校長面接をしていても、国語に苦手意識をもつ生徒のほぼ9割が、問題文が長文であることでそれを読み切れていない(読みはじめても途中でやめてしまう)ことがわかります。長文といってもさすがに問題として掲載するので、400~600字(原稿用紙1枚半程度)が多いので、ゆっくり読んでも2分あれば読み切れます。

〇現行の学習指導要領でも、「新聞を活用した学習」が明記され、国語の授業の一部では、新聞の記事を使った教材も使用しています。本校では全国紙(朝日新聞)と地方紙(千葉日報)の朝刊に加え、中高生新聞(読売新聞&小学館)を定期購読しています。全国紙と中高生新聞は、図書室でいつでも生徒は閲覧できます。

〇特に中高生新聞は、週に一度の発行ではありますが、今の社会問題を写真や図を入れたり、難しい用語をできるだけ使わずに説明したりと、大人の私が読んでも「なるほど」を思うときがあります。例えば先週の中高生新聞の第一~三面は、「ノーモア・ヒバクシャ 次世代へ」と銘打ち、ノーベル平和賞に日本被団協が選ばれたことを特集しています。これを読むと、「我々大人でもわかっているつもりで知らないことが多いなあ」とつくづく感じます。

〇また新聞は読めば読むほど、世の中や人間は複雑で簡単には理解できないことに気づきます。しかしそのモヤモヤした気持ちが重要ではないでしょうか?新聞を読むという一見非効率に見える時間も、少しずつ自分の引き出しを増やしじっくりと深く考えてみる機会になると思います。

〇このように「新聞を読む力」を育てることは、単に長文に馴染むだけではなく、社会の出来事に感心を持ち、生徒の情操や課題解決力を伸ばしつつ、最後は「自分ならどうするか?」という主体的な生徒に導くことにもなります。

〇「長文を諦める」生徒への対策として、授業中だけでなくあらゆる場面で、書かれていることを理解するために、注目する内容を決めて要約する練習を積みかねていきます。

須藤昌英

【10月20日付 朝日中高生新聞】

 

 

10月28日(月)柏市技術・家庭科作品展&音楽発表会

〇技術科と家庭科の授業で作成した中で、優秀な作品を出品しました。週末のさわやかちば県民プラザの回廊ギャラリーには、他校の素晴らしい作品も展示されていました。

〇本校の出品者です。

技術科作品

1年 コーナーラック 椎橋美月

   棚付き本立て 塩川隼人 廣瀬有里桜 宮原結菜 

   キッチンペーパーホルダ 東 健斗

3年 ウッディラジオ 壁下翔志郎 松本小暖

家庭科作品

1年 緑のコーヒー(刺し子)  松本悠希

   刺し子 近村 蓮 村上収都

2年 ハーフパンツ 中村 雅

   Mabon 千葉翔平

3年 いつもの 石黒音羽

   これ、なぁに? 井野流楓

   ねずみちゃんとえのぐさんたち 栗林瑞綺

   これ な~んだ? 向井晴香

   なんでないてるの? 平塚美笑

〇26日(土)には、富勢ふるさと協議会主催の音楽発表会が富勢小体育館で行われ、本校の吹奏楽部がトップバッターで出演しました。

〇次の富勢小の児童による演奏も、日頃の練習の成果を発揮し、堂々とした演奏でした。来年に入学してくる児童もいますので、4月からは一緒に演奏できることでしょう。

〇最後は、市内で活躍するチアリーダーチームの「PRIDE DANCE CITY」によるダンスとその間に、児童生徒と一緒に踊るダンス教室がありました。身体を動かして、楽しそうでした。

〇地域の行事で、児童生徒の活躍をみてもらうことは、大きな意義があると思います。

須藤昌英

 

10月25日(金)「やればできる」と「できるからやる」

〇教員として38年間、目の前の生徒の可能性を引き出し伸ばすことを最大の目標として取り組んできましたが、いつも迷うのは、「やればできる」と「できるからやる」の2つのどちらが正しいか?です。「鶏が先か、卵が先か」みたいな話ですが、自分としては最大の課題です。

〇「やればできる」は、昔から言われている「努力を美徳として、楽な方を選ぶことを嫌う」が根底にあります。コスパの面から考えると、苦労せず楽に成果が得られるのであれば、最適最良です。

〇しかしその一方で、教育的側面からは、努力を通じてスキルや知識を習得することで定着が強固になるという従来の考えにも、妥当性はあると思いますし、昭和から平成へと教育の主流はこの「努力の継続」でした。

〇前にオレンジの服が印象的だった芸人さんがテレビなどで、そのポジティブな性格を前面に出し「やればできる!」というフレーズを連呼していたことを覚えています。確かに明るい笑顔で言われると、その気になってきます。

〇その芸人さんは、「僕の『やればできる』っていうのは『やれば成功する』ではなくて『やれば成長できる』よねっていう思いを込めています」と説明していました。それを聞いて私もそれにはまったく同感しました。

〇若い時に担任をしている時も、「やろうと思わないから出来ないんだよ」みたいなことをよくクラスの生徒に言っていた記憶があります。叱咤激励のつもりでしたが、言われた生徒はどう思っていたのだろう?と今さらに思います。

〇しかし最近は少し違ってきました。むしろ人は「できるからやる」という見方の方も、正しいのではないかと思っています。努力し挑戦すること(やればできる)によって生徒たちは日々成長していますが、その前提として可能性という「成長の種子」を生まれつき自分の中にすでにもっていて、その種子を開花させている(できるからやる)に過ぎないのではないでしょうか?

〇「やればできる」の陥りやすい点は、今出来ていることはあまり重視せずに、次はコレをするその次はコレをする・・と果てしない無限ループになりやすいことだと思います。精神的に疲労します。

〇一方で「できるからやる」については、失敗を極端に恐れるという今の若者の特徴がその意識を薄めていると感じます。人は誰でも失敗し、その失敗を次にいかして前へ進んでいくのであり、一つの失敗で「すべてがダメ」と自分を否定してしまうことがとてももったいないと生徒たちを見て思います。

〇その原因の一つは、大人(保護者や教員など)が生徒たちに今取り組んでいることの結果を性急に求めすぎることがあると思います。私も含めて「信じて待つ」という大人の姿勢が正直足りないと思います。

〇「失敗を成功で上書きする」という言葉があります。「失敗を失敗のまま終わりにせず、それを小さな成功つなげる」ということを、生徒たちには折に触れて伝えていきたいと思います。

〇最後に昔、ナイキというスポーツメーカーのCMに、マイケルジョーダンというバスケットボールのスーパースターが出演していました。彼は私と同じ年齢ですので、バスケットボールに興味がなかった私もその存在感には注目していました。

〇その彼のCMの中でのセリフが今でも頭に残っています。紹介します。「キャリアで失敗したシュートは9000本。300試合に負けた。26回ウィニングショットを外してきた。今までミスしてきた。何度も何度も・・・。だから私は成功する」

〇今の生徒は彼のことは知らないかもしれませんが、みんなからスーパースターと言われている人でも、数知れない失敗を経験してきていることは伝えたいなと思います。

須藤昌英

 

 

 

 

10月24日(木)市内教職員の授業研修を行いました

〇昨日は午前中で生徒を下校させて、午後は田中中学校で、近隣の中学校の教職員が集まり、授業についての研修を行いました。

〇田中中は、本校と同じく創立78周年目で、柏市で最も古い中学校の一つです。ですから本校と同様に校舎も基本的には古く、使い込まれている感じがします。

〇しかし本校との違いは、その敷地内に新校舎を建設しており、大きなクレーン車が動いています。学区の田中小と田中北小は、柏たなか駅が近いことから児童数が急増し、どちらも千人前後います。

〇今後は田中中へその二校から毎年卒業生が入学してきますので、年々生徒数が増加し、数年後にはやはり全校生徒数が千人を超える勢いです。田中中の校長も、「校舎建設でも生徒の安全を守りつつ、着々と生徒数増加の準備をしている」と言っていました。

〇本校を含めた他の中学校の教員が田中中の授業を参観し、その後各教科に分かれて、授業のねらいや生徒たちの学びの様子について、話し合いをしました。

〇教職員にとって自分の学校だけでなく、今日のように他校の授業を題材に研修していくことが、明日からの自分の授業に役立つので、有意義な時間でした。

〇来月の28日には、2回目の授業参観(午前中1~4校時)がありますので、是非ご来校ください。

須藤昌英

 

10月23日(水)歯科検診の結果と歯磨き推進週間

〇健康を保つには、食事・運動・睡眠は欠かせないことは誰でも知っています。その中の健康的な食生活を維持するためには、「八十歳になっても自分の歯を二十本以上保つことが大切」と昔から言われています。

〇しかし実際に目標を達成している人は半数を下回っているそうです。日本人の平均寿命が延びる一方で、歯の寿命も延ばすことが課題となっている状況のようです。

〇1学期に行った歯科検診の本校データをみると、むし歯がある人が153人(全体の30%)、歯肉炎と診断された人は216人(全体の42%)です。これは柏市内の中でも高い数値となっており、生徒たちの歯の健康があまり良くないことを示しています。

〇ただ歯肉炎と診断された人の内、171人(約80%)は軽度と診断されており、これは適切な歯みがきで改善する見込みがある程度となっています。朝食と夕食は自宅ですので、ご家庭にお願いするしかありませんが、給食は学校の教育活動の範疇です。

〇そこで保健委員会が中心となり、来週は「歯みがき推進WEEK」とし、歯みがき習慣を身に付けるきっかけとします。保健委員が10月28日(月)~11月1日(金)の間、給食後の歯みがきを生徒に呼びかけます。

〇給食後に歯みがきタイムとして音楽を流しますので、歯みがきセット(歯ブラシ・歯みがき粉・コップ)を持ってきてください。忘れた場合でも、口をゆすぐだけでも効果的ですので、意識を高めましょう。。

〇ただし、感染症やけがの対策として、飛沫がとばないよう手で覆ってください。また口をゆすぐときは静かに飛び散らないようにしましょう。さらに教室から移動をするときは歯ブラシを手に持って移動してください。(口に含んだままは危険です)。

〇先ほどの「8020運動(80歳になっても自分の歯を20本以上保つこと)」だけでなく、「60歳で自分の歯を24本以上保つこと」「40歳で自分の歯をすべて保つこと」も提唱されています。私も61歳ですので、何とか目標をクリアしようと食後は歯みがきなどを励行しています。

〇特に歯肉炎・歯周炎を含む歯周病の直接的な原因は、歯垢(プラーク)ですので、気をつけましょう。歯垢(プラーク)は生きた細菌のかたまりで、むし歯・歯周病などの原因となります。乳白色で歯と同じような色をしており、舌で触るとザラザラした感触があれば、それは歯垢(プラーク)です。

〇歯垢(プラーク)は、水に溶けにくく粘着性があるため歯の表面に付着し、うがいでは取り除くことができません。歯磨きの目的は、この歯垢(プラーク)を取り除いてむし歯や歯周病などにならないようにすることです。

〇保護者の皆様へのお願いです。新型コロナウイルス感染症が流行した時は、給食後の歯みがきは自粛をしていましたが、コロナ渦が明け本校の歯科状況をみて、給食後の歯みがきを復活させることにしました。定着するまでには時間がかかるかと思いますし、やっている人が少ないと歯みがきがしにくいということもあるかと思います。保健委員や教員を中心となって呼びかけていきますので、ぜひご家庭でもお子さんに声をかけていただけたらと思います。ご協力よろしくお願いいたします。

須藤昌英

【日本歯科医師会PRキャラクター よ坊さん】

 

 

 

 

10月22日(火)秋の深まり(あけぼの山農業公園とビオラ鉢の栽培)

〇今道路を歩いていると、あちこちでキンモクセイの甘い香りが漂っており、まだ昼間の日差しが強くても秋の深まりを感じます。残念ながら、本校敷地内にキンモクセイの木があるかと探しましたが、見当たりませんでした。

〇金木犀(キンモクセイ)は芳香剤としてもおなじみの強い香りを放つ花が特長です。 調べてみると、その香りは、遠くまで届くことから古くは「千里香」とも呼ばれていたようです。

〇秋にオレンジ色の小花をいっぱいにつけた姿は、日差しを受けると名前の通り金色に輝いて見え、秋の風物詩となっています。時期をみて本校の中庭に、苗木を植えてみようかと計画しています。

〇本校学区には、あけぼの山公園をはじめ、学校近くの宿連寺第一・第二公園や比較的広いスペースの高野台公園などの公園施設が多くあります。

〇柏市では、あけぼの山農業公園とその周辺道路を整備し、もっと市民が頻繁に訪れる場所になるようにと計画しています。具体的には2025年までに「オンリーワンの象徴的な花の公園」の実現に向け、民間事業者との連携による「TrialGarden事業」の取り組みを開始したり、更なる公園の魅力向上を図るため、公園のゾーニングや周辺施設整備の検討を行ったりしています。

〇確かに柏市のはずれに位置していますので、車が通る広い道もなく、季節の花のシーズンには大渋滞になっています。この地域の方々は公園には自転車などでも行けますが、生活の上では渋滞によって移動が出来にくいなどのマイナス面もあります。市へもその要望は届いているはずです。

〇以前に勤務していた西原中学区には、県立柏の葉公園やさわやか千葉県民プラザなどがありました。しかし周辺道路も駐車場も十分な広さがありましたので、住民の皆さんから「渋滞で困った」ことなどはあまり聞きませんでした。生徒たちも気軽に公園内で遊んでいました。

〇いずれにせよあけぼの山公園や布施弁天東海寺などは地域の宝ですので、本校生徒たちにも大切にしていくことを呼びかけていきます。小学校では生活科で地域を探検して回る学習や総合学習で地域の歴史を調べるなどの学習をしていますので、中学生にはそれらの地域資源を他にいかにアピールしていくかをテーマにした学習をさせたいというプランもあります。

〇私の自宅の近くに「NPO法人手賀沼トラスト」が運営している「サツマイモ掘体験畑」があります。毎日近隣(千葉県だけでなく東京や埼玉方面も)のこども園の園児たちがバスでやってきて賑わっています。子どもにとって直接土に触わることは有意義な体験になることでしょう。

〇あすなろ学級でも、サツマイモやカブの栽培を行っています。収穫の秋が楽しみです。

〇10月7日に富勢地域ふるさと協議会の皆さんと一緒にボランティア生徒たちが移植したビオラが、秋の日差しを浴びて成長しています。正門わきのスペースは、歩道からもよく見えます。

〇毎朝登校したらすぐに、当番の生徒が愛情込めて水やりを行っているおかげで、花の色が段々と濃くなってきています。来月の16日に、ご高齢の方のお宅にお届けする頃には、満開となっていることでしょう。

須藤昌英

【あけぼの山農業公園のコスモス】

【正門わきのビオラの花鉢】

 

10月21日(月)東葛飾地方中学校駅伝競走大会のちょっと裏話

〇朝は小雨が降り天候を心配しまたが、9時を過ぎころから青空が見え始めました。選手は早朝6時過ぎに学校に集合し準備を整えた後、各走区間へ出発していきました。

〇今年のスタート地点の松戸市民劇場前の道路周囲には、多くの選手と付き添い、応援の方々が集まっていました。富勢中のオレンジのユニホーム(ゼッケン番号204)で目立つので、75人いても見つけやすかったです。

〇全10区間で75校が参加していますので、走る選手だけでも750名、それに付き添い生徒や職員がいますので、2000名くらいの関係者がこの日のために協力して成り立っている大会です。

〇午前9時半一斉にスタート、コースの沿道は、広報車、審判車、白バイが先導し、最後は救急車も走っている本格的な駅伝です。32㎞の沿道には東葛6市から交通整理員として応援に駆け付けた教職員、各市の警察署および交通安全協会の方々が等間隔でズラッと並び、特に選手が通過する時間帯のみ、大きな交差点の信号は常に青になるように警察官が信号機を操作しています。

〇ただすべての市民が心から応援してくれているわけではなく、しばらく信号が赤のままの車線にいる車は、次第にイライラし始めて、時には警察官などに文句を言っている姿もあちこちに見られます。

〇私はスタートを見届けた後、近道をバイクで走り、一足先に野田市総合運動公園上競技場でゴールを待っていました。途中の順位は、付き添いの各職員からLineで報告があったり、J―COMのYou tube放送が流れていたりしましたので、後半の繰り上げスタート(白い襷)は何とか免れて、自校の襷をつなげられるだろうと思っていました。

〇陸上競技場に10区の生徒が滑り込んできた時は、ここまで「紺色の襷」を30㎞以上にわたってつないできたことに、毎回のことですが感動しました。結果は、75校中45位(1時間51分52秒)と立派な成績でした。走り切った選手たちの顔にも安どの笑顔がありました。

〇私は以前、9つある中継所の一つの責任者をしたことがありました。各中継所では75校の選手と付き添い生徒、引率の教職員が狭い場所にごったがえしています。まず各校でシートを敷いて、荷物置き場と選手の待機スペースを確保することから競いあいます。

〇そして特に「コール(スタートまえの出場選手本人確認)」が2回あり、もし遅れるとその学校は失格になりますので、各校ともその時間はピリピリした緊張感があります。またコールの際には、大会専用のゼッケンが身体の前と後ろの規定の位置にきちんと装着されているかも厳密にチェックされます。

〇並行して前区の選手が通過する予定時間を常に頭に入れながら、中継所の近くでアップをしたり、体温が下がらないように毛布で身体をくるんだりと、選手はもちろん付き添いの生徒や引率の先生方も大変で、「一つのチーム」にならないと、選手をサポートできません。

〇そして襷の受け渡しの際は、大きなスピーカーで前区の速い学校のゼッケン番号が呼ばれ、そこでやっと中継地点に立てます。もし前区の選手がダンゴ状態で走ってくると、次の選手は大きな声と手を挙げて、自分の学校の選手を呼びます。

〇そして前の選手が倒れ掛かって渡したり、時には次の走者がひったくるようにして襷をもらいダッシュしていきます。この風景は、箱根駅伝などでもよく見ると思いますが、そのように実際に観戦の皆さんは、選手の走っている姿の裏に、様々なドラマを目の当たりにしています。

〇同日に東京では、正月の「箱根駅伝」の予選会が行われていましたが、こちらも大勢の人が声援していたようです。このことを通しても、日本人は駅伝が好きことがよくわかります。

〇この駅伝大会を経験し、将来は箱根駅伝に挑戦しようとする選手がいることでしょう。選手の皆さん、お疲れさまでした。これからも走ることを楽しみ、自分の特技として人生の支えにしてください。

須藤昌英

 

 

10月19日(土)第78回東葛飾地方中学校駅伝大会

〇選手は早朝に学校に集合し、各中継所に出発しました。9時半に松戸市民劇場前をスタートし、11時過ぎに野田市総合公園陸上競技場にゴールします。全長32㎞を10名の選手が襷をつなぎます。

1区 岩瀬 樟さん(2-3)

2区 中村優稀さん(3-5)

3区 丹羽凌仁さん(3-2)

4区 池田晃久さん(3-1)

5区 池田輝利さん(1-3)

6区 山縣透真さん(3-2)

7区 奈須悠樹さん(2-5)

8区 山本翔太朗さん(3-2)

9区 小林海都さん(3-1)

10区 里中秀俊さん(3-3)

 

〇各中継所には、選手以外に付き添いの生徒がいて、選手をサポートしています。正月の箱根駅伝のように、沿道には多くの方々の声援があり、選手はその中を自分のベストの走りを目指して激走します。ゼッケン番号は、「204」です。

〇教員が引率者として付き添っていますので、様子を随時アップしていきます。時系列では、上の写真が新しいものです。

10月18日(金)生徒会任命式&東葛駅伝壮行会

〇昨日の午後、今月から先輩から後輩へとバトンタッチされた役員・委員長の任命式と明日に行われる東葛飾地方中学校駅伝に参加する選手を激励するための壮行会を行いました。

〇まずこれまで活躍してきた生徒からのあいさつがあり、続いて新たに3年生から生徒会組織を受け継いだ各リーダーを紹介する「任命式」を行いました。

〇今年度の後期は、このリーダーたちによって、生徒会活動の目的である「自立・自律」に向けて活動を行っていきます。次のような話を私から投げかけました。

〇富勢中生徒会は全生徒500名を会員とした大きな組織です。組織には「リーダー」とその人たちを助ける「フォロワー」が欠かせません。フォロワーがリーダーに正しい情報を教えたりリーダーの意思を具体的に行動に起こしたりすることにより、組織は成り立ちます。

〇そして特にリーダーは、「一番上のことと一番下のことを行う」ことが必要です。「一番上のこと」とは、組織全体が成長していけるように今後の方針や予定を示していくことです。それに対して「一番下のこと」とは、日頃から挨拶や清掃など基本的な生活習慣を身に付けてそれを自然に行えることです。

〇今月末に行われる衆議院選挙で立候補している国の政治家たちを皮肉っているわけではありませんが、リーダーが偉そうなことだけ言って、やるべきことをやらなければ、フォロワーはそのリーダーを信頼することはなく、結果としてその組織は成長できません。

〇本校のリーダーたちには、そういう人はいませんが、将来いろいろな組織で活躍していく生徒たちには、学校生活で「リーダー」と「フォロワー」の両方の経験をしてもらいたいと願っています。

〇次の「駅伝壮行会」では、選手の自己紹介と駅伝部顧問の山口教諭よりコースなど紹介をしました。次に当日用の「襷(たすき)」を私からキャプテンに授与しました。私から、次のような話をしました。

〇日本では古来から中央と地方の情報伝達の方法として、飛脚が文書などを運んでいました。江戸時代には飛脚の健脚を競うコンテストがあったらしく、優勝すると皆からの憧れの的になったとの記録もあります。

〇襷(たすき)は、武士が真剣勝負するときに両肩にすることからきているといわれており、そこから1本のたすきをつなぎゴールを目指すことが、日本人には性に合っていたのかもしれません。

〇駅伝は日本発祥のスポーツで、その他の相撲、剣道、柔道、空手等と同じく世界に知られており、最近は「EKIDEN」でと書けば世界に通じるようになっています。

〇近代駅伝の歴史は、約100年前に、京都から上野(514km)を昼夜かけて走り、3日間で競い合ったそうです。

〇東葛駅伝は、今年(令和6年)は昭和99年であり、昭和23年(12校参加)から始まっているので、76年の歴史があります。富勢中が昭和22年創立ですから、ほぼ同じ時期にスタートしています。当時の中学生は、現在90歳くらいになっているのを考えると、歴史を感じます。

〇東葛飾6市(柏市 松戸市 流山市 野田市 鎌ヶ谷市 我孫子市)から73校が参加します。箱根駅伝でさえ20校ですから、その3倍以上の出場校数です。

〇東葛駅伝は日本で唯一(中学生が一般公道を白バイが先導で、一人約3kmを10人で約30kmを走る)の大会で、毎年沿道には多くの人が応援に来ています。

〇私が思うに「駅伝の魅力」は、ルールがシンプルだからこそドラマがあり、ごまかしがきかない(選手どうしの駆け引きが難しい)ことです。また「駅伝の魔力」みたいなものもあり、それはその日の選手の体調や心の状態に大きく左右されることが多く、最後まで結果はわからないことです。

〇明日、秋の空の下を各選手が無事に完走できることを祈ります。

須藤昌英

 

10月17日(木)読書週間「この一行に遭いにきた」

〇27日から秋の読書週間が始まります。読書週間とは、公団社団法人「読書推進運動協議会」が推進するもので、毎年10月27日~11月9日の2週間が開催期間です。

〇昔から「秋の夜長に読書」と言われています。近頃は日没が早まり、夕方六時には真っ暗になっていますので、YouTube視聴も決して悪いとは思いませんが、本を手に取ってみることも楽しいものです。

〇9月に柏駅近くのよく利用していた書店「ジュンク堂」が閉店になってしまいました。ネットで本も購入できて便利ですが、やはり書架に並んでいる本を眺めるのは楽しいものです。

〇11月3日は文化の日で祝日ですので、読書を楽しむのにもピッタリであり、私も久しぶりに東京駅近くの巨大な書店「丸善」に本を探しに出かけようかとも考えています。

〇毎年「読書週間」に合わせて標語が発表され、またポスターの募集が行われます。令和6年の標語は、「この一行逢いにきた」で、下のポスターは本と向き合って心が和んでいる様子が表現されています。

〇「読書はどんな世代の人にも良い」とよく言われますが、その理由は人それぞれだと思います。私は生徒が「学び続ける」資質を身につけるという視点からですと、次の点を指摘できると考えています。

1 語彙や知識が増える

これは当然といえば当然ですが、普段触れる機会のない言葉や表現方法に触れる絶好のチャンスです。またこれから様々な表現や言い回しなどを覚える必要のある生徒達には、ぜひとも読書を習慣にして欲しいと思います。更に深い知識をもつ段階の生徒は、新しい知識を学ぶたびに、自身の「的確な判断力」や「幅広い創造力」にも磨きがかかっていくでしょう。人生は決断の連続です。正しい決断のためには、できるだけ判断材料は多いほうが、決断の精度が上がります。まさに読書はその判断材料を、脳へ蓄積している行為と言えます。

2 想像・創造力や共感力がアップ

次に著者や登場人物の考え方や知識に触れたり、文章には映像がない分、自分の「想像力」で内容を補う必要があったりすることで、結果としていろいろな力が養われます。読書している際中に、「これわかるなあ」「えーっ、どうしてそうなる」「たしかにそういう考え方もあるか」というように、自分とは違う人それぞれの価値観を知り、これまでで自分の考えを見直すことにつながります。生徒たちも社会人になれば、指示待ち人間ではいられません。与えられた情報や仕事をもとにして、どんどん新しい仕事を創り出していかなくてはならない状況に置かれます。日本ではどうしても「創造力」を高める教育が後回しにされてきた傾向にあり、読書により「想像・創造力」をアップさせることが有効だと思います。

〇本の読み方の一つは、自分の興味のある内容をとにかく掘り下げるように、幾つもの同じようなテーマの本を連続して読む方法があります。また一方でさまざま分野の本を読んでみることは、一見つながりのない分野どうしを結びつけて、新しいアイディアが生まれる可能性があります。

〇要するにこれは必要ないと早々に決めつけずに、少しでも興味をもった分野は、片っ端から読書してみると、幅広い視野の形成にきっと役立つはずだと経験から感じます。今度機会をみつけて、お子様の本の読み方を少し尋ねてみてはいかかですか?

〇3年生の校長面接の際も、「最近読んだ本とそのあらすじや感想を教えてください」と質問しています。多くの生徒は堂々と自分の考えを述べた上で、「読書の時間は別世界に入り込んでいる感じがする」のような感想も多いです。「本は一生の友」と言えるような生徒が一人でも多くなるように願っています。

須藤昌英

 

10月16日(水)合唱活動が佳境に入っています

〇11月1日(金)に柏市民文化会館大ホールで行う合唱コンクールに向けて、毎日各クラスとも練習に余念がありません。特に帰りの会を延長し、パート練習や部分的に合わせての合唱に取り組んでいます。

〇1・2年生は混成3部ですが、3年生だけは混成4部(バス・テノール・アルト・ソプラノ)なので、学年が進むにつれてレベルが少し上がっており、大変ですがよく頑張っています。

〇合唱については私も昔、児童・生徒だった時代にいろいろな思い出があります。特に私が在籍していた柏中学校は、各学年とも15クラスずつあったマンモス校(全校生徒二千人)でしたので、全生徒そろってのコンクールを行う広さの体育館等は当時ありませんでしたので、学年ごとに行いました。

〇その学年の中での最優秀賞を2・3学年の時に獲った思い出は、今でも旧友と会って話をした際にはその話題になります。私も多くの友人も正確に楽譜が読めない又はその音がなんの音がわからないレベルで参加しましたが、ともかく緊張しながらも楽しむことができたところがよい思い出になっています。

〇今の生徒たちは練習の際に、手持ちの楽譜に注意点などをいろいろと書き込みをしたりしており、私たちの時に比べて「とても真面目だな」と感心してみています。私などは「何となく音が取れていれば大丈夫」などとタカをくくっていたので、まずはみんなで声を合わせるなどの気持ちの高揚感に触れることが一番だと思っています。

〇そもそも音楽(合唱)の力の一つとして、「聴いている人の感情に訴えかける」があります。音楽を聴いていると、楽しいや悲しいなどの喜怒哀楽が出てきたり、普段あまり考えないことも考えさせられることがあったりします。

〇同じクラスのメンバーとして歌うことで、聴いている人たちへ何かを訴えかけることができますが、それはつまり、あらためて自分と向き合える場面でもあるのではないでしょうか?

〇運動でいえば例えば駅伝は、何も道具を使わずに自分の身体能力だけで挑む競技ですが、同じく音楽の中でも合唱は、自分の声だけを一つの楽器として響かせ、クラスの仲間とハーモニーを奏でることでは、共通点があると思います。

〇当日生徒たちも、柏市民文化会館のステージでスポットライトを浴びて歌いますが、きっと中学校時代の良い経験として残るのではないかと期待しています。保護者の皆様、地域の皆様どうぞご来場下さり、生徒たちの爽やかな歌声をお聴きください。

須藤昌英

 

 

10月15日(火)ノーベル平和賞について思うこと

〇10月になると、ノーベル賞が一週間にわたって発表され、毎年のように日本人の受賞の可能性が報道されています。今年の受賞者の発表は、7日が生理学・医学賞、8日が物理学賞、9日が化学賞、10日が文学賞、11日が平和賞、14日が経済学賞となっていました。過去には科学分野で日本人も多く受賞していますので、やはり私もそこに注目していました。

〇ところが先日、今年のノーベル平和賞が「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」に決まり、私も正直驚きました。NHKの報道によると受賞理由について選考委員長は、「核兵器は道徳的に受け入れられず、二度と使用すべきでないという私たちが『核のタブー』と呼ぶ国際規範を形づくる上で、被爆者の証言が重要な役割を果たすと見ているからだ」「ウクライナに対するロシアの脅威をみると、これは人類に対する脅威の問題となっている。核のタブーが軽んじられると、最終的は核兵器が再び使用されることにつながる可能性がある」と指摘したそうです。

〇また同じく委員長は「来年は広島と長崎で核兵器が使われてから80年になる。この間、核兵器が使用されていないことは、人類を代表する形で被爆者によってなされた偉業だ」と述べ、被爆者たちのこれまでの活動をたたえたそうです。さらに「世界のすべての政治指導者に対し、人類と核兵器は共存できないというメッセージを送りたい。被爆者の痛みや苦しみに耳を傾け、『核兵器によって自分たちが経験したことをほかのだれも経験すべきではない』という彼らのことばを聞いてほしい」と訴えていました。 

〇最後に被爆者や日本被団協に対して「何十年にもわたって継続してきたかけがえのない活動と、それを若い世代が引き継いでいることに感謝している」「世界中の国々の市民社会が核軍縮を政治課題として提起するため行動を起こすことを願っている」として今後、核軍縮の機運が高まることに期待を示しています。

〇日本のノーベル平和賞受賞は、非核三原則を表明した佐藤栄作 元総理大臣が1974年に受賞して以来、50年ぶり二度目です。私は当時小学校5年生でしたので、「日本の首相が受賞した」という事実はよく覚えていますが、そのことの意義まではあまり深く考えませんでした。

〇今振り返り、当時の佐藤首相が個人として受賞した理由が、「日本として非核三原則を提唱」したり「NPT=核拡散防止条約に署名」したりして、平和に貢献したことであったことを考えると、今度は同じ核兵器反対でも、国のトップではなく民間の団体が受賞したことは大きな意味があると感じます。

〇私は家族や親戚に被爆者はいませんが、広島や長崎の平和記念資料館などで当時の資料を目の当たりにして、大きな衝撃を受けたことは、同じ日本人として今後も忘れてはいけないと感じています。日本被団協は今回の受賞をきっかけに「核兵器廃絶に向けた活動」を強めていくでしょう。活動している中には、高校生などの若者もいるようです。若い頃に自国の歴史について考え、自分なら今後はどうしていくべきかと思案することはとても大切だと思います。

〇東欧(ウクライナやロシア)、中東(イスラエルやパレスチナなど)だけでなく、日本を含む東アジア(中国、台湾、韓国、北朝鮮など)でも、隣国どうしの過去の歴史や外交などの問題が山積しています。すべて正解があるわけでなく、国レベルや個人レベルでの対話や協働によって、お互いの存在を認め合うことからしか平和はやってこないと思います。

〇保護者の方々もお子様に対し、「まだ中学生だからどうせあまり関心がないだろう」などと思わず、ご家庭内でこの機会をいかし「戦争や平和」について、世代を超えて意見交換をしてみてください。中学生も必ず自分の意見をもっており、中には大人も目を見張るような卓見を示してくれます。

須藤昌英

【アルフレッド・ノーベルの横顔の肖像】

【佐藤栄作:第39代内閣総理大臣】

 

 

10月11日(金)「スポーツの日」に因(ちな)んで

〇14日(月)はスポーツの日であり、明日から三連休になります。昔は「10月10日が体育の日」と固定していましたので、一番気持ちの良い季節に設定(60年前の東京オリンピック開会式)したのだなと思っていました。

〇一昨年紹介した精神科医のアンデシュ・ハンセンさんの著書【最強脳―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業―】から、スポーツつまり運動と子どもの成長について、要約をしてみました。

〇まず運動の後は、ドーパミン(幸せを感じる)やエンドルフィン(気分が高揚する)というホルモンが分泌されます。そのことで何とも言えない満足感が得られます。また運動したことで得られるドーパミンの方がスマホを見たときのドーパミンの量よりもずっと量が多いことが知られており、脳は臓器の中で心臓や肺などと比べても、一番運動から良い影響を得ていると指摘されています。具体的には、人間の認知機能やその他(記憶力、集中力、創造力)、つまり「知性」そのものが運動から良い影響を受けています。それが強いては「学力も向上する」ことにつながっています。

〇最近の子ども達は生活の中で、「座りがち」になっている傾向があり、データとして20年前に比べてスウェーデンの若者の歩数は25~30%減少しているそうです。またフィンランドの調査でも、よく歩いている子どもの方が集中して学ぶため学力が高く、ストレスも感じにくいことが発表されています。さらに別の研究では、運動が不安や鬱(うつ)のリスクを軽減しているデータが多い、つまり心理的な問題と戦うことができ、「ストレス耐性」があがることになります。

〇特に本来人間は生き延びるため無駄なエネルギーを使わないように、怠惰に生活することを遺伝子レベルで継承しています。つまり、有酸素運動は人間にとって「一種のストレス」であり、本心ではあまりやりたがらないのが普通なのです。しかしそこをあえて運動するとその最中は、大量のコルチゾール(エネルギーを動かすホルモン)が出ます。そして運動が終わるとコルチゾールの値が一気に下がります。これを身体で経験しておくと、運動以外でストレスを感じても、運動している人は運動していない人に比べてコルチゾールの量が少ない、つまりストレスに強くなっているということです。

〇運動量が減った要因はいくつかありますが、最大の要因はスマホであり、スマホは有効な情報を提供してくれるが、その反面「中毒性が強い」、そしてそれにより我々の時間を奪っていることになります。実際に15分のランニングは60分のウオーキングに相当する(つまり効果が4倍)そうで、ランニングでなくても、特に運動しない子には、学校まで歩いて登校することや休みの日に自転車で出かけることがとても効果があるそうです。学校でも昼休みにグラウンドで身体を動かしている生徒は、5時間目に溌剌としている姿が多い気がします。

〇家庭学習ではスマホを別の部屋におくこともハンセンさんは指摘しています。他国の精神科医ですが、世界でも日本と同じように、子どもの成長に不安を感じていることを強く思いました。

〇この三連休は天気が良さそうです。遠くに行かなくても、近くの公園や手賀沼などでウオーキングやサイクリングなどの比較的軽い運動をしようかと思います。子どもの大人も運動することにより「自分の身体の声」を聴くことができます。日頃の運動不足から身体が喜ぶ声が聴こえてくる気がします。

須藤昌英

【先日の青空の体育祭より】

10月10日(木)自分の言葉で語ることの難しさと大切さ

〇先月から3年生との「校長面接」を行っていて、ここまで50人くらいの生徒(それぞれ約10分間程度)が終わりました。あらかじめ質問シートを配付してあり、生徒がそれに自分の回答を書いてあるのを事前に回収し、こちらも参考にしながら、質問をその場で考えています。
〇もちろん個性がありますが、気になるのは、あらかじめシートに書いた自分の回答を覚えたままに答える生徒とそれはそれとして、その場で思ったり考えたりしたことを自分の言葉で言える生徒の違いです。
〇もちろん前者の努力は認めますが、時々シートにない質問もしています。その際、後者の生徒は慌てることなく、「少し考えさせてください」と断ってから、しっかりと考えた後で「私は~だと思います」と答えています。
〇不測の質問にその場で自分の経験を土台にして、自分の言葉で語れるというのは、やはり普段の生活や授業の中で、自分の考えを書き
留めたり、それをもとに発言したりしているからだと思います。それを繰り返す中で、段々と自分の考えの方向性が固まってきたり、逆に他人の考えと自分の考えを比べて、取り入れたいことは柔軟に学んだりしているのではないでしょうか?
〇ここまでの中で、個性的なキラリと光る生徒の回答を一部だけ紹介します。
質問1「この高等学校を志望する理由を教えてください」
回答1「はい、この学校へ夏休みに見学に行った際、学校全体が明るい雰囲気で、あちらの説明では『文武両道』を目指していると聞き、この学校で充実した高校生活を送りたいと考えたからです」
質問2「あなたが将来、看護の仕事をしたいと思ったきっかけはなんですか?」
回答2「はい、小学校2年のとき、怪我で入院した際、優しく接してくれた看護師の方のように、人のために働きたいと思ったからです」
質問3「あなたの特技はなんですか?」
回答3「はい、特技ではないのですが、英語が好きなので、11月頃に英検準2級に挑戦するつもりで、今問題集で勉強をすすめています」
質問4「得意(好きな)教科を教えてください」
回答4「はい、社会です。地理や歴史は暗記も必要ですが、その事実のつながりや流れを考えるのがとても楽しいからです」
質問5「あなたの長所と短所を1つずつ教えてください」
回答5「はい、長所は粘り強く何かに取り組むことです。ただ短所は夢中になると周囲が見えなくなり、人の話が聞けなくなるところです」
質問6「中学校生活での一番の思い出はなんですか?」
回答6「はい、修学旅行です。知らない京都の街を班員と協力して目的地にたどり着いた時の達成感が忘れられません」
質問7「尊敬する人物は誰ですか?」
回答7「はい、両親です。体調を崩しているときでも、家族のために文句も言わず働いてくれ、自分のことも気遣ってくれるからです」
〇お気づきだと思いますが、回答は最初に「結論(考えたこと)」を言い切り、その後に「理由(思っていること)」を言うと、相手に伝わりやすく好印象になります。
〇これは一朝一夕で身に付くものではありません。でもそれを意識しながら生活していると、いつの間にか相手に伝えるにはこれが一番伝わりやすいことがわかってきます。
〇「入試」と言う目先の関門もありますが、卒業後の「人生」にも、自分の言葉で、相手にわかりやすく語ることは重要になってくると思います。須藤昌英

10月9日(水)異校種体験研修(高等学校初任教員)

〇昨日、県立柏高校の若手教員2名(社会科・理科)が、異なる学校の教育活動を体験する研修を本校で行いました。県立柏高校は本校の学区内にあり、本校からも毎年多くの生徒が進学しています。今年の2月には、県立柏高校の生徒会長が富勢中卒業だというつながりで、両校の生徒会同士が協力し合い、能登半島地震への募金活動もしました。またこの3年生も4月からお世話になるので、お互いのことをよく知ることは重要だと思います。

〇お二人に感想を送ってもらったので、掲載します。

須藤昌英

【野本愛里 教諭】

富勢中での1日授業見学や学校の様子を通して、生徒たちの活発な姿勢に大変元気をもらいました。自分は主に理科の授業を見学させていただいたのですが、実験に対する意欲が高校生とは違い、生徒たちの学びに対する前向きな姿勢を見ることができ、自分自身の指導法に良い刺激を受ける貴重な機会になりました。久しぶりの給食や朝の会、帰りの会で大変お世話になりました。2-4組のみなさんありがとうございました!

【松尾 勇希 教諭】

本日はお忙しい中初任者研修にご協力いただきありがとうございます。本日の研修で印象に残っていることが2点あります。1点目は、給食の時間です。高等学校には給食の時間がないので、普段見ない光景でしたが、配膳の仕方など先生方の生徒への指導の仕方が大切になってくると感じました。2点目は、生徒の授業の取り組み状況についてです。積極的に手を挙げて発言をする生徒が多くいて、生徒が楽しんで授業を受けていたのが印象的でした。生徒が楽しいと感じることのできる授業を展開するために、特に導入に力を入れて授業作りをしながら、生徒の興味関心を引き出すことのできる授業を展開していきたいと感じました。本日の研修で学んだことを活かし、自分自身の成長のために日々努力していきます。本日はありがとうございました。

 

10月8日(火)ビオラの苗を鉢へ植え替え(ボランティア生徒)

〇昨日の放課後、11月16日(土)に富勢地区にお住まいのお年寄りの方々へ、鉢植えの花を届けるため、ビオラの苗を鉢へ植え替える作業をしました。73人のボランティア生徒と民生委員・ふるさと協議会の方々との協働でしたが、生徒は楽しそうにやっていました。

〇最初に植え替えの手順の説明を聞き、鉢に肥料入りの土を入れ、そこへ苗をやさしく入れていきます。数が多いので、手際よくやらないと終わりませんので、交代で植え替えとそれを運ぶ人の役割を大人が指示をしなくても、自分たちで自然に分担していました。

〇今日から毎日、交代で鉢へ水やり(10/8~11/16)を行います。朝の登校後に4人グループで、1000鉢に丁寧に水をあげていきます。昨年も一昨年も水不足から葉がしおれたり全体的に茶褐に変色してしまう鉢がいくつか出ました。今年は全部の鉢が元気で育つように、しっかりと水をやり定期的に追肥していきます。

須藤昌英

 

10月7日(月)テスト返しと自動採点システム

〇体育祭が終わり、今日から9月に実施した中間テスト答案用紙の生徒への返却が始まります。今回より柏市の中学校は、教育委員会が事業者と提携した自動採点システムを導入しています。教員の働き方改革の一つとして、採点の効率向上や集計ミスの根絶、採点基準ブレの低減が出来ることが導入の目的の一つです。

〇私は数学が担当で、過去にはだいたい1回の定期テストで150~200枚の生徒の答案用紙を採点してきました。問題の内容にもよりますが、すべてを採点し終わる時間ははやくても数時間、長い時には一クラス90分(5クラスで7時間以上)かかっていました。

〇当然の事、勤務時間内では終わりませんので、夜遅くまで職員室で行い、それでも終わらなかったり週またぎの日程の場合には、管理職の許可をもらい答案用紙を自宅に持ち帰り、ウィークディの夜半過ぎや週末の夜に採点していました。

〇前にも書きましたが、教員側はテストを採点することで生徒たちの理解度が把握できますので、正答率の低い内容は再度授業で取り上げたり、次からの授業のやり方を随時変えたりしています。つまり教える側への「評価(フィードバック)」としての役割があります。

〇今回の自動採点システムの最大の利点は、設問ごとに全生徒の解答がパソコンの画面に一斉表示されるので、全体としてどのくらいの正答があるかやどの生徒がどれを誤答しているかなどを一目で確認できるところです。もちろんこのシステムに採点させるだけでなく、最終的には教員が一つ一つを目で確認して、必要に応じて修正してから返却します。

〇またデータはクラウド上で一元管理されている為、設問ごとの採点者分担が一切の負担がありません。さらに今後は、担当教科・学年の垣根を越えた連携で、教科内の意識統一や、他学年の状況把握も可能になります。これはデジタル化・クラウド版ならではのチームワークの強化となります。

〇さらに弱点を補強するものとして、各生徒に応じて誤答した設問の類似問題を作成し、テスト後に行うこともできます。これはこれまで出来なかった個別最適化学習として、生徒個人を対象とした補習学習となります。

〇実際に使用した教員からは、「これまでの採点時間が半分から三分の一くらいまでに短縮できました」と聞いています。今回からの導入ですので、生徒からの反応もこれからまとめていきます。

須藤昌英

【数学の採点画面の例】

 

10月5日(土)第78回体育祭

〇昨日の体育祭は前の晩の雨の影響が思ったよりも多く、グラウンドの不良で生徒のケガなどが想定されるという判断で、プログラムの入れ替えや日程の変更を行いました。それにもかかわらず、ご来校いただいた皆様、ありがとうございました。

〇グラウンド整備を行っている間に、あけぼの祭の前半(有志グループ作成の映像鑑賞)を体育館で行い、10時からグラウンドでプログラムを再開しました。その後は秋空にも恵まれ、午後に全校綱引きと色別対抗リレー、閉会式を行いました。

〇結果は総合優勝が紅組、応援賞が白組となりました。実行委員長 の中村さん、副実行委員長の宮前さん、紅組応援リーダー 大曾根さん、城代さん、白組応援リーダー 丹羽さん、松本さんたちの活躍はめざましく、盛り上がった体育祭となりました。

〇最後に体育館でドローンによる体育祭の様子を鑑賞しました。自分たちの動きが客観的に見えて、一日の振り返りになりました。

〇次は来月の合唱コンクールです。クラスごとの練習も来週から本格化します。念のため、7日の月曜日は代休日ではありませんので、気をつけてください。

須藤昌英

 

10月4日(金)体育祭(あけぼの祭)前日準備

〇昨日の体育祭前日準備は、午前中の最終練習に続いて、午後は係生徒で前日準備をしました。天気予報では、雨は夜の内のみでだんだんと曇り空になり、最高気温も30℃ですので、無事にできるように願っています。

〇体育祭実行委員会と応援団は生徒たちのリーダーとして、準備をすすめてきました。今日も大活躍してくれることでしょう。

〇これまでも熱中症を予防することを目的として、「暑さ指数(WBGT)」を毎日測定し、それを判断の基準としてきました。もしこの指数が「31」を超えると、屋外での運動は原則中止となります。今日も警戒または厳重警戒レベルまではいくかもしれませんが、運動禁止まではいかないと予想しています。

〇秋空が理想ですが、晴れると熱中症のおそれが高まりますので、朝から長い時間、曇り空が続きますように願っています。

須藤昌英

 

10月3日(木)体育祭予行練習

〇昨日は本番当日を想定し、予行練習を行いました。一番の目的は、仮プログラムに沿って進めながら、係り生徒(出発・審判・用具・招集・放送・得点・救護など)の動きを確認し、それをもとに本日中に改善点を洗い出し、修正案を検討することです。

〇気温が30℃を超える予報がありましたので、熱中症対策を講じていましたが、風が吹くと湿気の無い風だったので、少し涼しく感じられました。校庭入り口にミストシャワーを作動させたり、応援席でも手動のミストを生徒たちに振りかけていました。

〇それでも生徒たちの中には、顔や手足が真っ赤になるくらいに日焼けしている人も多くいました。紫外線が強いのでしょう。明日は天候が回復するようなので、私から再度、水筒・タオル・帽子・着替え(午後はあけぼの祭があります)の用意を呼びかけました。また前任校でも眼科医の指導を通して保護者から相談があり、サングラスの使用を認めていた生徒もいました。もし同様に希望がありましたら、担任や養護教諭にご相談ください。

〇ドローン映像の試行も行いました。やはり秋の青空の下では、空中からの映像の奇麗さは見事でした。明日も応援合戦や団体種目を中心に撮影し、午後は体育館で鑑賞します。楽しみです。

須藤昌英

 

 

10月2日(水)体育祭練習2(環境整備)

〇昨日も曇り空(時々小雨)での練習でしたので、体調を崩す生徒もなく、スムーズに動きの確認ができました。しかし今日の予行練習は、真夏日になる予報ですので、熱中症対策をしっかしとしながら行っていきます。当日も涼しくはない予報ですので、水筒はもちろん帽子やタオルなども持たせてください。

〇校庭で練習をしている時に、その周辺では環境整備を行っています。特に雑草はまだまだありますので、数人の職員と私も一年ぶりに刈払機を操作して草刈りしています。ただとても追いつかないので、市教委を通じて社会福祉協議会から数人の方に来ていただき、草刈りのお手伝いをしていただいています。とても助かります。

〇この方々には夏休みにすべてのトイレの清掃もしてもらいました。生徒たちには、そのような陰で自分たちの環境を整備してくれている方々の存在をみて、感謝の心をもってもらいたいです。

須藤昌英

10月1日(火)体育祭練習1(応援色別集会)

〇昨日から体育祭練習が本格的に始まりました。開閉会式の流れを確認したり、各学年ごとに、「徒競走」「レク走」「団体種目」の選手決めやルールの確認をしたりしています。今日は全校綱引きの隊形づくりや色別対抗リレーの練習を行います。

〇昨日も曇り空でしたが、少し動いただけでも汗をかいたり喉が渇いたりします。30分を区切りとして適宜休憩を入れ、水分補給をしながら進めています。

〇給食の役割について栄養士は、「疲れると食べられなくなるのはわかりますが、主食のお米(炭水化物)などきちんと栄養を摂取して、元気に本番当日を迎えてほしい」と言っていました。特に疲れが蓄積されると、集中力が続かなくなり、ちょっとした動きでも怪我が発生する確率が高くなります。

〇今週はご家庭でも朝食や夕食をしっかりと食べ、夜も早めに就寝するようにしてください。

〇4校時は、初めて全校生徒が体育祭の色別(赤と白)に分かれて体育館に集まりました。最初に応援リーダーが自己紹介を行い、その後応援コールの練習を行いました。大太鼓のリズムに合わせ、生徒たちの掛け声と手拍子が響いていました。1年生は初めての体育祭ですので、最初は様子をうかがっていましたが、段々とその雰囲気に馴染んでいき、楽しそうに参加していました。

〇今日の台風の影響も何とか避けられそうですが、週末は暑さが戻って30℃くらいになる予報があります。無事に明日の予行練習、明後日の前日準備ができるように祈っています。

須藤昌英

9月30日(月)市内駅伝・ロードレース大会

〇9月27日(金)県立柏の葉公園内の周回コースにおいて、令和6年度柏市内駅伝大会が行われました。小雨が降っていましたが、公園内の巡回コースを、一人が約2~3㎞を合計6人でタスキをつなぎました。結果は女子Aチームが25位(28校中)、男子Aチームが12位、男子Bチームが30位(両方とも41校中)でした。

【女子チーム】

1区 瀬戸琴葉さん(2年) 2区 櫻庭由麻さん(1年)

3区 宮原結菜さん(1年) 4区 井澤汐花さん(1年)

5区 野沢莉里果さん(2年)

【男子Aチーム】

1区 岩瀬 樟さん(2年) 2区 小林海都さん(3年)

3区 重信幸輝さん(2年) 4区 池田晃久さん(3年)

5区 中村優稀さん(3年) 6区 丹羽凌仁さん(3年)

【男子Bチーム】

1区 里中秀俊さん(3年) 2区 沖田駿仁さん(3年)

3区 山本翔太朗さん(3年) 4区 山縣透真さん(3年)

5区 宮口彪雅さん(2年) 6区 村越春輝さん(年)

〇また駅伝ではなく、個人のロードレースには153名が出場しましたが、池田輝利さん(1年)が4位、奈須悠樹さん(2年)が6位に入賞しました。素晴らしい結果でした。

〇公園内には、各校の多くの保護者も応援に来ており、生徒はその声援を受けながら、これまでの練習をいかし精一杯力を発揮しました。次は10月19日(土)の東葛飾地方中学校駅伝大会です。こちらは32kmにわたる公道を警察の白バイを先頭に、10人でタスキをつなぎます。また応援をお願いいたします。

 

 

 

9月27日(金)第2回進路保護者説明会

 

〇昨日、生徒が下校した時間より、来年度の入試に向けた保護者対象の説明会を行いました。3年生の保護者だけでなく、1,2年生の保護者にも参加いただきありがとうございました。

〇会の中でも説明しましたが、本校の進路指導に関することの一切事は、校長を委員長とした「校内進路指導委員会(教頭、教務、事務長、3学年職員、他学年主任)」を開き、様々な情報共有及び事務執行を行います。決して担任の判断だけで行うものではなく、担任は生徒や保護者の窓口に過ぎません。

〇高等学校と中学校との関係ですが、まず公立高等学校(柏市立柏高等学校を除く)は千葉県が設置しています。また私立高等学校は「●●学校法人」が経営つまり企業・会社形式をとっていますので、両者と中学校はお互いの信頼関係で成り立っており、常に連絡を取り合っています。特に私立高等学校とは、その高等学校独自の推薦関係の基準が示され、その基準を満たす可能性がある生徒の事前相談(いわゆる入試相談)があり、教員は各高等学校へ足を運ばなければならないことが公立高等学校との大きな差異です。

〇また塾と中学校との関係は、生徒の希望を叶えるため・・は同じですが、塾は「〇〇高校合格」のような実績を求めるのに対して、中学校はあくまでも本人や保護者の希望に沿った相談や事務を行っていくことが大きな違いです。塾は経営するという面から実績を残したいとなるのは当然であり、否定するつもりは全くありません。むしろ本校としては塾とも情報共有を行うなど連携し、各生徒の支援方法を決めていきたいと思います。

〇昨日の配付資料の一部である「各月の予定」を掲載しますので、今後半年間の見通しとしてご参照ください。不明な点は、担任もしくは学年職員へお尋ねください。

須藤昌英

 

 

9月26日(木)来週は「第78回体育祭ウィーク」

 

〇上記のように、10月4日(金)の体育祭に向けて、来週の月曜日からは体育祭練習や準備が始まります。水筒やタオル、ハチマキ、場合によっては汗をかきますので着替えなどの用意をお願いします。

〇秋空の下での体育祭になればいい・・と期待しています。少なくとも私が教員になってからの38年間は、中学校の体育祭を10月に開催した記憶はありませんので、おそらく富勢中でも久しぶりの秋の体育祭だと思います。

〇今後も気温などの気象条件を考えますと、昨年までの9月開催は、厳しいと思います。ただあまり遅すぎますと、合唱コンクールや3年生の進路指導にも影響が出てきますので、10月の初旬がベストか?と予想しています。

〇仮プログラムが出来ていますが、状況によっては変更する場合もありますので、正式なプログラムは来週に配付します。給食後に閉会式を行う予定です。

〇先日もお知らせしましたが、週末の開催ですと、部活動の大会や地域クラブの活動と重なる可能性があり、該当生徒が参加できなくなる場合もありますので、平日開催にしています。ご迷惑をおかけしますが、ご理解の上多くの保護者や地域の方々に参観していただければ幸いです。

須藤昌英

【一昨年の様子】

 

 

9月25日(水)2学期中間テスト

〇「お知らせ」欄に出題範囲表を提示している通り、本日と明日は中間テストです。出題範囲は、前回の1学期期末テスト(6月)以降から昨日までの授業内容が中心です。

〇朝正門を通る際にも、教科書・ワーク・ノートなどを手に持って登校している生徒が目立ちました。「今日の中で得意な教科は?」と声をかけると、「全部です」「〇〇だけです」と答える生徒もいれば、「・・・」と困った表情で通りすぎる生徒もいました。誰でも不安はあるでしょう。「とにかく頑張れ!」と後押ししました。

〇本日は給食有り、明日は給食無しです。テスト期間中は、生徒は制服を着用しています。普段よりもキリっとした姿に見えます。何かと暑さ対策をする日々は無くなりますが、その分気温の低下で体調不良の生徒もチラホラ出てきました。テスト中も職員は、生徒の健康状態を見守っていきます。

〇以前にも説明しましたが、学校での評価の方法は、昔の相対評価(属している集団の中で何番目くらいかで測る:集団に準拠した評価)ではなく、絶対評価(自ら学んだ内容がどこまで到達したかを測る:目標に準拠した評価)です。一言でいえば、「他人の成績は無関係で、自分がどこまで習得できたか」を客観的に知り、それを次の学びにいかしていくことであり、その意味を知っていることが重要です。

〇絶対評価は、22年前の学習指導要領の全面実施とともに導入されました。今でもクラスや学校の中での成績の競い合いもあることはありますが、それが生徒の意欲を引き出すことであれば手段として否定はしませんが、あくまでも目的ではありません。過度の競争意識は、学ぶことの意味からすると好ましいとは思いません。

〇我々教員は、「指導と評価の一体化」というキーワードを常に意識しています。評価はあくまで次の指導につなげるためのものであって、教員が指導した内容を生徒がどれだけ理解しているか、つまり教えっぱなしではなく、生徒の理解度を把握して、次の授業に工夫を加えることも行います。

〇学校で行われるあらゆるテストはそうした考えで行われており、国の全国学力・学習状況調査も同様です。つまりテストは、ある時点での生徒の学力を瞬間風速的に測り(それを固定的に判断しない)、現状からどのようにその生徒の確かな学力(将来にわたりメッキのように剥がれ落ちない学びの資質)を伸ばしていくかを考えるためのものす。

〇保護者の一部には、「そう言ったって現実には通知表を反映した調査書が高校入試に使われている」と思っている方もいます。しかし上級学校に進学するのも、それでその生徒の人生が決まるというより、進学後さらに生徒を伸ばすためのものであることを忘れていけません。「生徒一人ひとりの可能性は無限だ」というのが、私の38年間の教員経験の結論です。

〇自ら学習する契機として、定期テストを活用するという考え方こそ重要で、中学校や高等学校・大学を卒業し、社会に出てからも学び続ける姿勢を身に付けるために、一つの経験となってほしいです。

須藤昌英

9月24日(火)選挙管理委員会と生徒会本部役員選挙

〇9月2回目の三連休が明け、一気に秋の空気に入れ替わりました。今週は定期テスト、来週は体育祭が予定されており、生徒たちには爽やかな中で学習やスポーツに精一杯取り組んでほしいと思います。

〇20日(金)に新生徒会役員を決めるための立会演説会と投票選挙がありました。午後の蒸し暑い体育館で、立候補者の真剣な話に、全校生徒も耳を傾けていました。

〇選挙というとその候補者にスポットが当たりますが、その裏で選挙管理委員会の存在を忘れてはいけません。一般に学校の選挙管理委員会とは、選挙が公正に行われるよう教職員や生徒会組織などからも独立した機関として設置されます。今回は3年生の松原和奏さんが委員長として、事前に選挙公報を発行するなどして公正な選挙が行われました。

〇例年ですと、柏市選挙管理委員会から選挙で使用する本物の「記載台と投票箱」を借りてきて投票を行っていましたが、今年は各自の端末(タブレット)からのアクセスし、グーグルフォームで投票しました。今後いつかは国政選挙も同様に、オンライン投票になると言われていますので、その予行練習という意味も生徒達にはあります。

〇話は変わりますが、私が小学校4年時(今から51年前)の担任の先生が柏市議会議員を務めていらっしゃいます(3期9年目)。一年前の市議会議員選挙では惜しくも次点でしたが、今回一人の候補が辞職されたのを受けて、繰り上げ当選になりました。この恩師の議員は元教員という経験をいかし、市議会でも教育に関する質問が多く、加えて日頃から学校現場の立場から市の各当局への働きかけをしてくださっています。

〇このような手続きを法律に従って行うのが、千葉県や柏市の選挙管理委員会事務局です。今般の選挙管理委員会事務局の一番の課題は、「投票率の向上」です。大人でも自分の権利である投票権を軽く考えたり無駄にしたりする人がいかに多いかが課題であることは、少し残念な気がします。これでは生徒たちに民主主義の意義や大切さを語ることはできないでしょう。我々大人が襟を正して各選挙に臨むことだと思います。

須藤昌英

【柏市選挙管理委員会事務局のHPより】

9月20日(金)「もふもふ、まったり、きゅんきゅん、さくっと」

〇文化庁が昨年度の国語に関する世論調査の結果を公表しました。日常生活で使われる新しい意味や使い方が辞書に記載され始めた言葉を調査すると、年代別にその特徴が浮きぼりになります。

〇例えば「もふもふ」という言葉を多用するのは30歳代以下で8割を越えます。私などはほとんど自分では使わないので、若者はその言葉に何か癒しを求めているのかもしれないと想像します。

〇問題なのはその表現を聞いたとき、他人が使うのが気になるのか気にならないかだと思います。「まったり」は40歳代以下では7割越えの人が使うそうですが、私は不快まではいきませんが少し違和感(だらだらするの意なのか?)を覚えたり、「きゅんきゅん」などは言いたいことは理解できたりしますが、ちょっと擬態語過ぎて、「ときめく」や「期待する」などの従来の言葉の方がしっくりくる気がしてしまいます。

〇東洋大の三宅和子名誉教授は新聞の解説で、「新しい表現の普及には、交流サイト(SNS)といった、主に若者中心のインターネット文化が影響している。本来は切れ味や歯ごたえを表す『さくっと』のように、感覚的・情動的な短い表現が好まれる特徴があり、若者の感覚的コミュニケーションが中高年までに広がっていることが分かる。ある程度の意味が伝わればいいという曖昧さも特色で、対立軸を明確にせず何となく共感できれば良しとする社会の風潮にもつながっているのではないか。」

〇さすがに専門家の指摘は的を得ています。ただその一方で、今NHKの大河ドラマが紫式部を描く「光る君へ」である影響で、源氏物語や枕草子などの古文が若者にも見直されています。伝統的な日本語は、読んだり聞いたりした瞬間にその情景が思い浮かぶように、音の奇麗さやつながりを大切にしています。

〇その分、現代人の我々には読みにくいのですが、たまには「いとをかし(とても趣があるの意味)」や「やんごとなし(並々ではないの意味)などの奥ゆかしい表現に触れるのも、楽しいかもしれません。

須藤昌英

9月19日(木)無気力な寝太郎が使命感を抱いて世界へ挑戦し続ける

〇この夏に読んだ数冊の本の中で、「ユニクロ(杉本貴司著:日本経済新聞出版社:令和6年4月発行)」が印象に残っています。世界的に有名な衣料メイカーのユニクロは、柳井正氏(現在75歳)が昭和59年に仲間と創立し、現在は我々の身近な生活にも慣れ親しんでいる企業です。

〇ユニクロの目指す理念は、「ライフウェア(老若男女も国も人種も問わずに、誰もが着ることができて、環境や社会にも配慮した服)」をつくることであり、現代的な課題にも挑戦している感じがします。私もこれまでその気軽さからユニクロのいくつかの服を購入しており、上記の理念を目指していることもこの本を読んで少し理解できました。

〇私が注目したのは、創業者の柳井氏の若い頃のエピソードです。柳井氏は山口県宇部市で生まれ、父親が経営していた洋品店の跡継ぎ息子でした。父親は昔ながらの親分気質で気性が荒く、柳井氏は「何でもいいから一番になれ」と常に言われ続けていました。柳井氏は父親からの期待とも抑圧ともいえる重圧の中で、高校時代には好きなサッカー部も父親の意向で退部させられ、逃げ道を求めるように受験勉強に打ち込みました。

〇4人のきょうだい(柳井氏以外は姉1人と妹2人)で、3人の姉妹に対して父親は優しく、厳しく接したのは柳井氏だけでした。妹さんの一人は当時を振り返って、「私は男に生まれなくてよかったなと思いました」と述べています。当然、柳井氏と父親の間には溝ができ、ほとんど会話もなかったようです。

〇そこで進学した東京の大学では、当時は日米安保闘争などの学生運動が盛んで、ほとんど講義もなかったそうで、学生運動にも興味のなかった柳井氏は、下宿の部屋に閉じこもって過ごしました。下宿の大家さんからつけられたあだ名が「寝太郎」でした。好きなジャズを聴きながら、ただおもいつくままに本を読み、4年の日々を浪費しました。

〇その後の柳井氏の人生の転機や目覚ましい躍進のことについては、本を読んでみてください。一言でいえば、何度も転びながら這い上がってきた日々であることがわかります。若き日の青年柳井氏の葛藤を本人への取材を含めながら、著者の杉本氏は、新聞社の編集委員としての鋭い視点で、この本を書いています。

〇2年前に母校の早稲田大学で後輩の学生に向かって講演した柳井氏の言葉の一部を引用させてもらいます。

「私は人が生きていくうえで最も大切なことは、使命感を持つことだと思います。そのためにはまず、自分は何者なのか、そのことを深く考える必要があると思います。自分にとって何が最も大切なことなのか。絶対に譲ることができないものはなんなのか、そこを突き詰めて自らの強みを発見し、生かす。自分にしかできない、自分の人生を思いっきり生きてほしい。明確な意識があるのとないとでは、同じ人生を送っても成果は百倍、千倍あるいは一万倍も違うのではないかと思います。」

〇今、3年生と校長面接を行っていますが、思春期は不安と葛藤で心の中はいっぱいであることが伝わってきます。でもこの柳井氏のように、学生時代に何も成し遂げられずに苦しみながら過ごしたとしても、誰もがその将来に関してはそれぞれの無限の可能性をもっているのですから、彼らを応援し続けていきます。

【追記】

〇柳井氏は若い頃、教師になりたいと希望している時期があったようです。しかしそれを断念した理由が、生まれ持っての「どもり症」であったことも隠さずにあからさまにしています。会話している時にはまったく問題がないのに、原稿などを読み上げようとすると不思議にすぐに言葉に詰まってしまうようです。その為今でも、講演の依頼は極力断っているそうです。柳井氏がどんな教師になったかを見てみたかった気もしますが、それよりもそのハンディキャップを乗り越えて、代表取締役会長として活躍していることに勇気を覚えます。

須藤昌英

 

9月18日(水)応急手当講習会

〇9月の中旬になってもまだ猛暑のような厳しい日差しが多く、熱中症の心配が絶えません。熱中症は保健室などで応急処置をしても、もし意識がはっきりしない場合はすぐに救急車を要請します。しかし、救急車が到着するまで全国平均で8~9分程度の時間がかかりますので、応急処置をいかに的確にするかが、症状の悪化やその後の後遺症を防ぐことにつながります。

〇保健体育の授業では、「応急手当の意義と実際」の実習として、心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)を使った救急救命法を行っています。生徒が学ぶのに合わせ、教職員も一緒に参加し、万が一の場合に備えるようにしています。

〇突然、心臓や呼吸が止まった人の命が助かる可能性は、10分間を過ぎると急激に少なくなるといわれています。心肺蘇生法とは、この止まってしまった心臓や呼吸の動きを助ける方法です。また、突然心臓が止まるのは、心臓がブルブルとけいれんする「心室細動」が原因となることが多く、この場合には出来るだけ早くAEDによる電気ショックをあたえ、心臓の動きを回復させることが有効です。

〇ともかく心肺蘇生法、AEDの処置ともに、心臓が止まってから実施するまでの時間が早ければ早いほど、救命の可能性が高くなることが知られています。生徒たちも真剣な表情で話を聞き、ダミー人形を使って実習していました。

〇指導者からは、「実際に道端で人が倒れていたのを見かけたら、勇気をもって行動することが大切です。自分一人では何もできければ、近くの人に助けを求めましょう。その勇気さえあれば、もしかしたらその人の命が助かるかもしれません。」と呼びかけました。

 

〇生徒にはそのスキルを身に付けるというよりも、救急救命が必要な場面に遭遇したときに、「何をしたら良いか?」と尻込みするのではなく、この実習を経験して、自分には何ができるかを想像できるようになってもらいたいです。

〇もちろん我々教職員も、500名の生徒の命を預かっている立場として、危険な場面を想定しつつそれを回避できる「リスクマネジメント」の意識を高めておくことも確認できました。

須藤昌英

 

9月17日(火)生徒会役員選挙運動

〇先週の木曜日から今日まで、20日(金)に予定されている新しい生徒会本部役員を決めるための選挙に向けて、候補者とその推薦者が、朝は各学年の生徒昇降口で立って投票の呼びかけを行ったり、昼休みの放送で演説活動を行っています。

〇生徒会活動は生徒による自治活動です。生徒自らが考え、協議し、目標を定め、目の前の問題に取り組んでいく経験は、人として大きな成長をもたらしてくれています。その中心にあるのが、生徒会や委員会活動です。

〇具体的には当事者として自分たちの学校生活を点検し改善していくためのものです。このような民主的な活動によって、将来社会に出ても、自分たちの代表を決める選挙などに「無関心」にならないようにするのが目的の一つです。

〇立候補している生徒がもちろん、その生徒を推薦している生徒も、真剣に取り組んでいます。またそういう姿を見て、他の生徒も自立することの大切さを学んでいると感じます。

〇特に今年は、本物の選挙ポスターのように、質の高い情報が各学年の生徒昇降口に掲示されています。選挙管理委員会の生徒たちは、自分たちのリーダーを決める大切なプロセスを管理しています。

須藤昌英

 

9月13日(金)少年の主張全国大会「わたしの主張」より その2

【昨日の続き:最後の主張のまとめと決意】

 彼の言葉が無ければ、僕たちは一生不安を抱いて生きていくことになっていたと思います。共に話しづらかった自分の母国と友人の母国との戦争について正面から互いに向き合うことで、もやもやしていた感情が薄れ、また、僕らだけでなく、多くの同じ境遇の人達にも「戦争」についてしっかりと正面から向き合ってほしいなと思いました。真の友情とは、国際問題にも勝り、国境を超えるものであると心から確認しました。

 今後も、戦争だけに関わらず、国を越えた関係である限り、母国の責任を背負って生きていくということを大切にし、多くの人々にこのことを伝えていけたらいいなと思います。(終わり)

〇作者の根本さんは、「この主張をどんな人に届けたいですか?」という質問に、「僕は『真の友情』というこの主張を、僕と中国人の親友と同じような国籍の違う友人を持つ多くの同じ境遇の人たちに、真の友情とは、国同士の問題にも打ち勝つものであるということと、その上で、お互いに母国の責任を背負って共に生きていくということを忘れずに大切にしてほしいということを届けたいです。また、政府の方々にも、真の友情は、国際問題に勝るものだということに変わりはありませんが、決して不安を抱かない訳ではないので、友好な外交関係を継続して築きあげてほしいということを届けたいです。」と答えています。

〇本校にも外国籍の生徒が数人います。中学3年生でも身近な生活と国際的な動きの2つの視点をもっていることに、この若者の将来性を感じました。同時に一昨日から始まった校長面接の中でも本校の3年生は、今の自分を見つめて葛藤しつつも、未来の自分がどうなっていたいかを堂々と話すことができる生徒が多いことを実感しています。校長としては何よりもうれしい気持ちです。

〇今年の第46回少年の主張全国大会「わたしの主張」は、11月に行われるようです。場所は国立オリンピック記念青少年総合センターで、入場は無料ですが事前申し込みが必要です。私も初めてその大会に行き、生で中学生の主張を聞いてみようかなと考えています。

須藤昌英

 

9月12日(木)少年の主張全国大会「わたしの主張」より その1

〇国立青少年教育振興機構が毎年開催している「少年の主張全国大会」をご存じですか?昨年の第45回大会は全国の中学校から約38万人の中学生が応募し、その中から選ばれた12作品の作者が集まって行われました。この大会は皇族の方も出席する格式のあるもので、テレビなどでもその様子が報じられています。

〇先日その報告書に掲載されている作品を読みましたが、どれも中学生の視点で鋭く物事の本質を述べていて、引き込まれました。その中でも特に、奨励賞を受賞した「真の友情」(茨城県潮来市立日の出中学校3年の根本泰誠さん) は、今の中学生の素直な考え方がにじみ出ていて、若者に対する将来への希望を見出すことができる作品でした。少し長いですので、今日と明日と2回に分けて引用・紹介させてもらいます。

【前半】

「君は例え日本と中国が戦争をしたとしても、僕と友達で居続けてくれる?」中国人の僕の親友が転校する前に言った言葉です。僕は「当たり前だろ。」と返しました。その時の彼の微笑みは今でも忘れません。彼は僕と同じ空間で共に成長してきたのに、ただ国籍が違うというだけで、常に不安な気持ちを抱いていたのだと、そのときはじめて気が付きました。

 昨年の二月二十四日、ロシアによる武力でのウクライナ侵攻が始まりました。僕は今でもあの日を鮮明に覚えています。誰もがこの悲惨な出来事を忘れはしないでしょう。

 戦争が行われる中、僕はウクライナ出身のとあるユーチューバーの動画を見ました。ロシアへの怒りと悲しみであふれかえっていました。しかし、そのユーチューバーはこう言ったのです。「僕のロシア人の友達も戦争を望んでいない。ロシア人の友達が僕に謝る姿をもう見たくない。」僕はそのとき、胸が締めつけられました。なぜ国の問題のせいで友人が不安と申しわけない気持ちにならなくてはいけないのだろうと僕は怒りと疑問を抱きました。そのとき、僕の親友が転校する前に言った言葉の意味が分かった気がしました。彼はこのような状況を心配し、ずっと恐れて生きてきたのだなと。戦争をするということは、国の責任を自分の責任と考える必要があるのだと改めて感じました。

 彼の転校からは一年と半年がたち、今ではお互いに受験生となりました。彼との連絡をとる頻度も日に日に減り、彼の言葉を忘れかけていました。そんな中、社会の単元が満州事変と日中戦争に入りました。過去の単元で起こった戦争とは違い、明らかに日本に非があると僕は感じました。だから僕は、親友はどんな気持ちでこの単元を学習しているのだろうと考え、彼の母国の中国が僕らの母国の日本に理不尽に攻められていることに対して僕は申し訳ない気持ちになりました。そのときに、戦争が例え過去の出来事であっても、いつまでも次世代へとその責任を受け継いでいかなくてはならないと感じました。

 僕は久々に親友にメールを送ることにしました。内容は、日中戦争を学習していて申し訳ない気持ちになったということを送りました。送ってから二日後位に彼からの返信が届きました。「僕もこの単元を学習して君のことを考えていたよ。責任感の強い君ならきっとそう考えるんじゃないかと思った。だけど君が責任を感じて僕に謝る必要はないよ。僕と君の母国が戦争をしたという事実は変わらず、互いに責任を持って生きていくことは大切だけど、僕と君がケンカした訳じゃないんだから、謝るのはおかしいよ笑。」彼にしては珍しく返信が遅く、長文で返信が返ってきました。僕が傷つかないように時間をかけて考えてくれたことが伝わってきました。僕はそんな親友が大好きです。戦争犯罪という大きな問題を国籍の違う二人だからこそ別視点から考えることができ、意見を交換し合い納得を共に深められる「友」に出会えて本当に良かったです。

*後半に続く

須藤昌英

 

9月11日(水)校長面接を開始します(3学年)

〇今日から来年の入試対策として、校長室を面接会場と見立てて、昼休みや放課後に3年生一人ひとりと面接練習を行っていきます。一人あたり10分程度ですが、こちらからいくつか質問をし、その受け答えに対して最後にアドバイスをしています。生徒は毎年、緊張した真剣な表情で取り組んでいますので、こちらも襟を正して行っています。

〇生徒には夏季休業中に質問用紙を記入してもらっていますので、それを中心に受け答えの練習をしていきます。例えば「将来の夢は何ですか?」「自分の長所・短所は何だと思いますか?」「普段の生活で気を付けていることは何ですか?」等の質問をします。それに対して生徒が答えた内容を受けて、「それはどうしてですか?」「そのことについてもう少し詳しく教えてください」と質問を続けます。

〇実はこの第2問こそ面接官が一番知りたいところであり、その答えにその生徒の個性や普段の考え方などがにじみ出てきます。もしその第2問に対して、「わかりません」や「考えたことはありません」などと答えてしまっては、せっかく自分のアピールできる場面を自ら放棄してしまうばかりでなく、「この生徒は普段からあまり深く物事を考えないのか・・」という印象を相手に与えてしまいます。

〇9月でもまだまだ暑いですが、面接練習なので、制服を着用します。面接官は話をする前には、生徒の表情や制服の着方に目を向け、「この生徒はどんな生徒だろうか?」とまずイメージを持とうとします。面接官は過去に何千人の面接をしていますので、最初の印象だけで大方のことは把握できます。

〇私も校長として千人くらいの面接をしてきましたので、同じようなこともできますが、高校の面接官との一番の違いは、普段から同じ学校で過ごしていますので、学校で見たり聞いたりする本人の情報量がはるかに多いことです。またこの3年生は入学当初から知っていますので、質問も一般的なことよりももっと具体的な内容になるかもしれません。楽しみです。

〇来年の3月の卒業式まで、あと半年ですので、教職員とともに生徒の進路決定にかかわっていきます。

須藤昌英

【昨年の様子】

 

9月10日(火)日常生活での自転車の利用について

〇先週末の夕方、1年生徒が自宅付近で自転車に乗っていた際、前に転倒し顔に擦過傷を負う事故がありました。登校中ではなかったので、学校としては月曜日にその情報を得て本人から話を聞きました。そこからその事故を想像すると、背筋が寒くなるくらいの思いがしました。

〇幸いにも頭部を打つことはなかったのですが、もし頭部であれば、精密検査などが必要になり、場合によっては入院措置になります。自転車は便利で、適度な運動にもなるので乗ることはたいへんけっこうですが、もう一度道路交通法上では「軽車両」となり、公道での事故は「交通事故扱い」になることを再認識する必要があります。

〇特に気を付けて欲しいのは、対自動車の事故で、その原因は、交差点などでの「出会い頭での衝突」となっています。ある統計によると自転車事故については,対自動車との事故の割合が約8割にも及びます。事故の背景には、自転車側の「気の緩み」が関係しているケースも少なくありません。

〇例えば次のような行為をした経験のある人もいるのではないでしょうか。「スマホを操作しながら運転した」「音楽を聴きながら運転した」「考え事をしながら運転した」「今なら渡れると急いで走行した」「友人と話しながら並列走行した」「傘をさして片手で運転した」。どれも危険な行為であることは冷静に考えればわかりますが、実際には「安全に気を付けていれば大丈夫」「車がよけてくれるから大丈夫」と思いこみ自転車を利用していることが多いのだと思います。

〇私も今朝は自宅から自転車で通勤しました。健康のためもあるのですが、車ではなくたまに自転車に乗ると、自転車視点での危険性が感じられ、生徒にも具体的に声をかけやすくなるからです。やはり歩道のある場所は歩行者に配慮して走れますが、歩道のない場所は後ろから来る車の気配を敏感に感じながら運転しないと怖いです。

〇自転車通学者にはヘルメット着用を条件に、登下校での使用を認めていますが、普段の生活ではまだヘルメットの着用は「努力義務」となっています。ただホームセンターなどでは前に比べて、ヘルメットを販売するコーナーが増えていますので、ご家庭でも一度ご検討ください。

〇ヘルメットと言えば、私も16歳から免許を取得し、原動付自転車(50ccの原付)に乗り始めましたが、当時はまだバイクでも原付だけはヘルメットを着用しなくても一般道を走行できていました。その後数年経って、原付にもヘルメット着用が義務付けられました。その時私はもう車を運転するようになり、原付に乗っていませんでしたが、心の中では「ヘルメットを着用してまで原付に乗る人はいるのだろうか?」と思っていました。

〇実際に友人の一部では、同じようなことを言っている人もいました。しかし段々と原付のヘルメット着用が浸透し、今では当たり前になっています。ですので今後自転車にヘルメット着用義務が課せられても、同じように少しずつ普及していくのでは・・と予想しています。

〇ともかく自転車の利用については、中学生と言えども歩行者に対しての自己責任が問われます。過去には数千万円の損害賠償を中学生の保護者が支払う旨の判決も出ています。十分に気をつけて運転してください。

須藤昌英

【富勢中の折り畳み自転車】

 

9月9日(月)第38回柏市小中学校科学展

〇7日と8日の両日、さわやかちば県民プラザの回廊ギャラリーで行われた科学展では、各校から夏休みの自由研究の代表として出品された作品や論文が展示されました。本校からは6つの論文作品を出品しました。

「重さ落下速度の考察」1年 大坪龍正さん

「とにかく汚れを落としたい」1年 菊池椋太さん

「色あせのひみつ パート2」1年 大杉菜穂さん

「音の形から~クラドニ図形による音楽の視覚化」2年 小嶋夕葵さん

「泡沫の生成実験」2年 桒原汐里さん

「生ゴミで堆肥をつくる~堆肥をつくって家庭のゴミを減らす~」3年 渡部遥斗さん

〇どれも科学的思考により、仮説(予想)をもとに、実験観察の結果(事実)と考察(仮説の検証とその判断根拠)をわかりやすくまとめてあります。理科の実験観察だけではなく、いろいろと人を納得させる文章は、すべて上記の要素が含まれています。各教科でもそのような力を身に付けることが目標の一つになっています。

〇身近な事象に疑問をもち、「自分で調べてみたい」という自主的な動機をきっかけに、未来の科学者が育っていくことを楽しみにしています。

〇この科学展に毎年、本校の理科担当の竹上教諭も出品しています。今年も2つの自作教材が最優秀賞を獲得しました。こちらは内容が専門すぎてよくわからないところもありますが、その変わらぬ研究心には感服します。

須藤昌英

9月7日(土)土曜日・日曜日の学校行事の開催について

〇本日の野球部を皮切りに、これから各部活動の新人戦や1年生大会が週末ごとに予定されています。夏の総合体育大会は、ほぼ同時期(7月)に集中して行われますが、新人戦は9月から12月までと長い期間で行われます。

〇柏市においては、今からちょうど一年前の昨年9月から、部活動の地域移行が始まり、週末は外部のコーチの指導を受けたり他校と合同で活動するようになっています。参加は希望制ですが、従来の部活動と大きく違うのは、入会金(五千円)と毎月の費用(二千円)を支払っていることです。

〇来月に行う体育祭ですが、昨年までは9月の第3土曜日に、市内のほぼすべての中学校が同一日に行っていました。しかし暑さ対策で5月に行う中学校と本校のように10月に行う学校の2つに分かれました。しかも前述のように、秋以降は部活動の大会や地域部活動の活動が週末に集中していることから、週末に開催すると新人大会や地域部活へ参加する生徒が体育祭に出られなくなる可能性があります。

〇よって今年は、10月4日の金曜日に行うことにしました。週末開催であれば、保護者の方は休暇が取りやすかったり祖父母の方々も観に来やすかったりすることもあることは十分承知していますが、主役の生徒たちを優先しての判断ですので、ご理解ください。

〇また11月1日(金)に柏市民文化会館で行う合唱コンクールは、もともと市民文化会館の規定により、学校への会場貸し出しは、週末には割り当てがなくウィークデーのみとなっていますので、事情が異なることもご承知おきください。

〇2つの学校行事の準備や練習もこれから本格的に始まります。生徒の活躍をお楽しみに。

須藤昌英

【過去の体育祭と合唱コンクール】

9月6日(金)ミラーニューロンと共感

〇数年前、ある心理学関係の本を読んでいた時、「ミラーニューロン」という言葉(概念)を知りました。日本語に直訳すると、「鏡(ミラー)のような神経細胞(ニューロン)」です。

〇人間など高等な霊長類の脳には、「ミラーニューロン」という細胞があるのだそうです。これによって、お互いに、「相手の行動をわが身のことのように置き換える」ことができるのだそうです。

〇たとえば、相手が笑っているのを見ていると、ミラーニューロンを通してなんとなく自分も楽しい気分になるというのです。また逆に、相手が怒っているのを見ると自分も怒りたくなるというはたらきをするそうです。

〇人間の「共感」というものには、この「ミラーニューロン」が関わっているというのです。たとえば、「両親が楽しそうにしていると、それを見ている子どもはミラーニューロンを興奮させて『楽しそうだ』と感じて、まねをします」とその本には書いてありました。

〇もっともこの「ミラーニューロン」は、決して良いことばかりではないようです。 「家庭内での暴力や攻撃的行動(ドメスティックバイオレンス:DV」は遺伝するように見えますが、実はあれは行動パターンをまねしているだけ」ということです。「DVは先天的に遺伝するのではなくて、お父さんやお母さんが子どもにDVをすると、ミラーニューロンを通して子どももDVをするように脳が変わっていく」のだというのです。

〇始業式に7名の若手教員に、夏季休業中に自分が経験したこととその学びについて語ってもらったことは書きましたが、あれもこの「ミラーニューロン効果」をねらったものです。身近な教員が学校以外でも学び続けている姿を見れば、生徒たちはそれを自分事に置き換えていきます。もちろんクラスメイト同士でも、お互いがミラーとなって好ましい姿を学び合うことがあります。これが集団で学ぶことの最大の長所です。

〇昔から「子どもは親の鏡」ということわざがあります。子どもはどこか親に似たように育っていくのは、ミラーニューロンの働きだそうです。私も息子2人と娘1人を育ててきました。3人とも成人して、もう親の影響など及ばないと思っていますが、幼いころから一緒に住んでいたという事実は、「今の彼らの性格の一部をつくっていたかもしれない」かと思うと、少しこわい気がします。

〇今週は夏季休業明けで、学校生活のリズムを取り戻すのに苦労した生徒も多かったと思います。週末は休める時は休み、来週に備えてください。

須藤昌英

【朝読書に取り組む生徒たち】

 

9月5日(木)秋の足音と生徒の成長

〇朝や夕方は大分涼しくなり、空の色も青さが増しています。このまま秋にまっしぐらかと思いきや今週末は猛暑日になる予報も出ています。涼しいと夏の疲れも出やすくなるので、無理をせずに体調優先で過ごした方が無難だと思います。

〇2学期に入りこの3日間、生徒の様子を観察していましたが、生徒の成長にはびっくりしています。たった40日間見ていないだけでしたが、身体が大きくなったり顔つきが大人になったりと私のような老年期の人間には信じられない成長ぶりです。

〇11月の合唱コンクールに向けての練習も始まっていますが、何人かの担任からは「夏休みが明けて、声が大人になっている生徒が多く、今までとは違う歌声になっています」と聞きました。よく言われますが、成長ホルモンは各部位の細胞分裂を促し、その分泌は人間の一生では10歳代が一番活発であり、一日の中では深夜の1時から4時くらいがピークだそうです。

〇つまり中学生の身体内では日々、驚くほどの細胞分裂が繰り返され、それが目に見えやすい部分として身長や容姿の変化としてわかりますが、目に見えにくい声がわりや脳の発達などは、時として我々が驚くほどの成長として感じ取れるものなのでしょう。

〇今年は体育祭を10月4日と日程をあとにずらした関係で、2学期の中間テストがあと3週間後に迫っています。従来は9月に体育祭を実施し、10月の中間テストでは、1学期期末テスト(6月実施)後の授業から出題範囲を設定していました。今回も7月と9月の授業内容が出題のメインになるのは同じです。

〇1年生は2回目の定期テストになりますが、特に1学期の内容を復習しておきましょう。前にも書きましたが、人間の記憶は大きくは「短期記憶」と「長期記憶」の2つにわかれますが、短期記憶を強化したものだけが長期記憶となります。つまり授業の復習をコツコツとやっておかないと、2カ月や3カ月経っても忘れない記憶にはなりにくいのが人間の脳のしくみです。

〇生徒だけでなく、大人も自分の過去の経験から、定期テストに対して気が重くなることが多かったことでしょう。私も好きな教科だけならまだしも、苦手な教科のテスト準備は後回しにしていた記憶があります。とりあえず好きな(得意)な教科の復習を、例えば自分なりのノートを工夫してつくるなどして、楽しくやれば良いと思います。

〇その分嫌いな(苦手)な教科は、最低限授業に集中し、テスト前に十分な準備ができなくても、テスト中に頭の中で授業の様子を真剣に再現し、思い出したことを解答用紙に記録しましょう。私も自分の苦手な教科のテストで、授業中にクラスメイトが発した発言内容をふと思い出して、助かったことがあります。同じ授業を受けている友達の力を借りるのも必要かつ効率的だと思います。

〇「病気に負けない体作りは規則正しい生活から」と言われますが、「食べて、動いて、寝る」という生体リズムを整え、生徒の皆さんは毎日元気に過ごしてください。

須藤昌英

9月4日(水)引き渡し訓練の結果より考えられること

〇一昨日は、4校合同の引き渡し訓練(引き渡し要請連絡→sigfyで返信)にご協力いただき、ありがとうございました。今その結果を分析し、実際の地震発生時の対応に役立てようとしていますが、初めて行った情報収集訓練でしたので、いくつかの課題が浮き彫りになりました。

〇まず保護者の中で一番遠い場所からお子様の引き取りに来ると回答されたのは、「東京都内から歩いて9時間」というものでした。もし首都直下型地震が起これば、公共交通機関もストップし、幹線道路は緊急車両専用道路になりますので、電車・バス・自家用車のどれも使用不可になりますので、唯一は徒歩になります。しかも建物の破損などがあれば、思うように歩けないことも想定されますので、それ以上の時間を要するかもしれません

〇そして例えば、該当生徒を9時間、学校で留め置いておくとなると、まずは水や簡単な食糧が必要となります。本校の敷地内にある柏市の防災倉庫には、300人弱の備えがありますが、基本的には体育館が避難所になった場合に、避難してきた地域住民用と定められています。しかし実際にはそれらを学校に残る生徒にも振り分けてもらう必要があります。柏市の防災安全課と確認済です。

〇また季節にもよりますが、もし体育館や校舎の一部の教室で一晩宿泊するとなると、簡易ベットや体温が逃げないようにする断熱シートも必要になります。大きな地震の後は、余震が続くことが多く、不安の中で夜も眠れずに朝を迎えることになることも考えられます。

〇小学校にきょうだいのいる場合には、原則的に下の学年のきょうだいのいる学校で保護者への引き渡しとなります。その際は各小学校までは、本校職員が引率していきます。しかしそれも道中の安全が最優先であり、いつ頃引率できるかは、当日にならないと判断できませんので、ご了承ください。

〇様々なサポートをするのは、初動の段階では校長をはじめとする教職員が行いますが、数時間後からはそれを市役所職員に引き継いでいきます。市役所の職員はすでにどこの避難所の担当になるかは決まっており、定期的にバーチャルにより各避難所へ行ける訓練をしています。ただ生徒も慣れている教職員から市役所職員に変わると、不安が増すこともあるかもしれません。

〇大地震が発生しても学校は避難所の役割を果たしたり、在籍する生徒の安否確認や命を優先する活動を優先したりしていきます。ただ一方で、できるだけ早期に教育活動を再開し、「生徒の学びを保証する」ことも模索していきます。この両方のバランスをいかにとるかは、なかなか事前に経験することはできません。

〇今、11月16日(土)の夕刻から翌日まで、富勢ふるさと協議会が主催する防災訓練(宿泊体験)を本校体育館で実施する計画が進行中です。始業式の日には生徒にお知らせしましたが、希望の中学生は後日申込用紙を配付しますので、応募してください。段ボールで体育館内の間仕切りを作成したり、非常食を食べてみたりするなどの体験ができます。

〇大きな災害は来てほしくないと心では願いつつ、災害は必ず発生するという危機感を常に持っています。

須藤昌英

【柏市HPより】

 

9月3日(火)正規日課が再開しました

〇昨日の午後、制服の業者による紺色ポロシャツの販売を行いました。また始業式では、自宅近くの洋品店で購入したものを着用している生徒もいました。どのお店で購入してもかまいませんので、これまでのワイシャツやブラウスの代替として必要かどうかをご家庭で話し合って決めてください。

〇また本日から来月4日(午前は体育祭、午後は曙祭)までは、制服でも校内服でも登校を可能とします。毎日の気温の変化などを留意し、ご家庭で判断してください。登校してきた生徒の紺色のポロシャツは、校内服の上着(ジャージ)の紺色と同じですので、あまり違和感はありませんでした。

〇今週は今日から金曜日まですべて6時間授業です。帰りの会終了が16:05ですので、夏季休業明けの生徒にとっては、すこし辛いかもしれません。気温は猛暑日のようなことはありませんが、湿度が高く、ベタベタしたり喉が渇いたりします。体調管理をお願いします。

〇3年生は早速2回目の実力テスト(国・社・数・理・英)に取り組んでいます。前にも書きましたが、実力テストの7~8割は、1・2年時からの出題内容ですので、この夏季休業中に1・2年生の復習に取り組んだ生徒は、現在の自分の実力を知るためにも頑張ってもらいたいです。先日、来年度の公立高等学校の定員が発表になりました。増減した学校もありますが、あまりそれに敏感にならず、私立高等学校も含め、「高校生活をこの学校で、これに取り組んでみたい!」というイメージを少しずつ固めていきましょう。

〇2学期になり最初の給食でした。給食当番が白衣を着て、配膳するのも久しぶりでしたが、「いただきます」の挨拶までスムーズに行っていました。特に湿気の多いこの時期、調理員さんたちは食中毒に気をつけて調理してくれています。食べる方も手洗いなどを入念に行う必要があります。

〇メニューは「牛乳、ドライカレーライス、わかめサラダ、梨、メープルアーモンド」でした。記録的な猛暑が続いたこの夏でしたが、ここにきて夏の疲れもたまっています。私も1か月半ぶりに食しましたが、やはりあたたかくて美味しい給食でした。生徒のみなさんは3食しっかり食べて、夏バテ予防に努めてほしいです。

〇特に疲労回復効果のあるビタミンB1などは、気温が高くなる夏場に消費量が増えるそうで、積極的に摂取する必要があります。 肉、魚、大豆、卵などのタンパク源や野菜、夏場に不足しがちなビタミンB1が含まれている食材(豚肉、豆腐、山芋など)をしっかりととり、消化しやすいようよく噛んで食べましょう。

須藤昌英

 

9月2日(月)第2学期始業式

〇42日間の夏季休業が終わり、今日から2学期が始まりました。正門で生徒を迎えていますと、台風の余波の南風が吹いていたので、登校してくる生徒も暑さで辛そうな表情はあまり見られませんでした。本校では、式がある日は制服で登校することになっています。

〇熱中症対策として、始業式をオンラインで実施することも検討しましたが、夏季休業中の活躍を表彰する式もあり、できるだけ全校生徒の前で表彰したあげたいこと、内容をシンプルに短時間で行うことを前提にして、体育館で行いました。

〇校長の話では、7人の若い先生から「この夏休みで自分なりに経験したこと学んだこと」をテーマに、一人2~3分ずつ語ってもらいました。二十歳代の先生は、生徒たちにとっては自分の近未来の姿(数年後にはああいう大人になっているのか・・)を投影しやすいので、彼らの学ぶ姿は、一番参考になります。真剣に楽しそうに話を聞いていました。

〇概略だけお伝えします。

【山中裕子 教諭】

・アートイベントに行き、貴重な体験をしました。室内でプロジェクションマッピングが観られ、まるで絵画の中にいるような体験ができました。またフランスの印象派のクロード・モネの作品は有名ですが、彼の生涯など知らないことが多かったので、鑑賞に行く前に図書室で調べました。やはり知識があることで、「きれいだな」のような印象だけでなく、その他の多くの気づきがありました。日本の浮世絵は海外でも評価され、モネにも大きな影響を与えています。印象派の技法の特徴なども理解できましたので、次回は10月に国立西洋美術館にも行くつもりです。皆さんも是非美術館を訪れてみてください。

【山口大樹 教諭】

・皆さんはこの夏休みを自己採点すると何点くらいつけられますか?えっ35点?ちょっと低いですね。おっ95点!素晴らしいです。夏休みは普段できないことができるチャンスです。いろんな人といろんな所へ出かけて、いろんな経験ができました。皆さんはこれまでの人生でどれだけの本を読みましたか?1年に1冊だと10冊前後?私はこの夏休みに4冊の本を読みました。皆さんは?私が考える読書の良さは、読んでいると夢中になれる、想像力(創造力)がつく、他の人生の疑似体験ができるなどがあります。皆さんも是非本に親しんでください。

【薄井理央 教諭】

・私は社会科ですが、8月は戦争に関するいろいろな日がありましたね。ただ新学期にいきなり戦争の話をするのも暗くなってしまうのでしませんが、今戦争している国もありますし、それで苦しんでいる人も大勢いるので、同じ歴史を歩んではいけないことを忘れてはいけないと思います。野球部の練習で打撃投手を毎日務めました。おかげで、バッティングセンターにあるストライクアウト(9つの正方形を投げて落とす)でパーフェクトを出しました。このことから一つのことを1カ月以上続けると、スキルが相当アップすることができることを学ぶことができました。皆さんも継続してください。

【追川亜希子 教諭】

・前の先生が立派な話をしたので恐縮ですが、私は乃木坂46のファンでして、この夏名古屋ドームへ5万人ライブにいきました。その中に「カッキー」という推しの人がいるのですが、今回はとても当たりの席でした。家でつくった団扇を振って、見てもらうようにアピールしていました。1回目は目も合わなかったけれど、2回目は近くまで来たので、片手でハートをつくって出したら、片方の手でハートをつくってくれたのです。凄いと思いませんか?これも一つの学びで、じっとしているだけでなく、自分から積極的に動いていくといいと思いました。

【川越清道 教諭】

・夏休みはYou-tubeショートを見ないようにしました。あれを見るとあっという間に時間が過ぎるのでもったいないと思い、今までやったことのないこと(ブックオフでギターを購入して練習、車もあまり遠出して運転したことがなかったので、熱海まで往復、ボルダリングも1回しかやったことがなかったので本格的に挑戦、ジムに通ったことがなかったので初めてジム通いなど)をしました。ただ学校内で車のバンパーを縁石にぶつけて、初めて修理に出したのも初めての経験でした。要するにダラダラ過ごすより、失敗しても挑戦すると充実すると思いました。

【吉山美織 講師】

・バレーボール部の練習に熱中していました。特に練習試合では多くの学校と対戦しました。このままではどこへも行けないと思ったので、茨城県にあるメンタイパークに行きました。明太子工場なので、見学や試食が出来て、楽しめました。一日に5万tの明太子を作っているのですが、作業しているのは20人くらいで、本当に一生懸仕事をしている姿から学びました。明太子はビタミンが豊富に含まれているので、目にも良かったり?ダイエットにも効果があったり?するそうです。白いご飯に明太子とお味噌汁で立派な食事になります。やってみてください。

【長妻佳哉 教諭】

・前の吉山先生が明太子の話をしてくれてとても助かりました(笑)。部活も頑張りましたが、友達とキャンプに行きました。木々の生い茂っている森の中で、自然を感じたりバーベキューを食べたりしました。ただ私は理科担当ですが、虫が苦手なのです。もちろんたくさんの虫がいましたが、よく考えると普通の生活(室内で過ごしたり、スマホを触ったり)では、友達とゆっくり語り合ったりここまで多くの虫には遭遇したりできないので、逆に良かったなと今では感じています。皆さんも大人になってから、昔の友達と会うのは楽しいと思いますよ。

〇私の学んだことも話したかったのですが、彼らの話がよかったので、やめました。

須藤昌英

9月1日(日)9月に入りました

〇昨日までの夏季休業が終わり、明日の始業式から2学期77日(授業日数)がスタートします。台風が去るとまた暑さが戻ってくるようですので、今月も熱中症対策が最優先になります。

〇文部科学省は先日、公立小中学校の授業数について、年間を通じて実施日数を増やすことで、週当たりの授業数の削減を促す方針を示しました。 放課後の時間を確保して教員や児童生徒の負担軽減につなげるのが狙いで、夏休みの期間短縮といった例を各教育委員会に周知し、取り組みの普及を目指すようです。

〇となると柏市も来年の夏季休業は1週間程度短くなり、8月下旬から2学期がスタートする可能性もあります。すでに県内でも千葉市をはじめいくつかの市町村では、8月26日から2学期をスタートしており、今後も増えるようです。

【明日からの生徒の登校を待つ廊下】

〇今日は「防災の日」で、1923年の関東大震災から101年目にあたります。昨年は富勢中学校区4校で、初めての合同引き渡し訓練を行いました。暑い中でしたが、保護者の方々には目的のご理解をいただき、スムーズに行うことができました。

〇今年は明日の午前中、実際の引き渡しは行わず、大地震が発生したことを想定して、「いつ頃お子様を学校に引き取りに来られますか?」を回答してもらう連絡を主とした訓練を行います。ご協力をお願いいたします。

〇「柏市小中学校地震発生時の対応」マニュアルでは、もし学校が課業している時間内に、震度5強以上の地震が発生した場合、生徒を学校に留め置き、保護者等に児童生徒を引き渡すことになっています。となると昨年のような実際の引き渡しの前に、今年のように「〇〇さんの保護者は何時ごろ学校に来られる」レベルの情報を学校が把握していないと、大パニックになる可能性があります。

〇今年も富勢中単独で行うのではなく、小学校4校とも連携して行う訓練です。初めての試みですので、実施してからわかる課題も出てくるだろうと予想しています。台風はある程度予測はできますが、地震はそうではないことをしっかりと職員と認識していきたいと思います。

須藤昌英

 

8月31日(土)生徒たちへのPTAからのプレゼント

〇8月31日というと、夏季休業最後の日で、誰もが少し憂鬱な気分になることは自然です。ただ明日が日曜日ということで、「まだあと1日ある」と自分に言い聞かせている人も多いことでしょう。

〇台風は相変わらず迷走しており、今晩あたりにまた降水量が増えるようですが、その後は熱帯低気圧になるようで、その力は弱まっています。ただ突風や局地的な豪雨には注意が必要です。明後日の始業式は予定通り行います。なお給食はありませんので、11時下校の予定です。

〇10月4日の体育祭は、コロナ禍前以来、久しぶりに応援合戦を復活します。それをお祝いして、当日は空中のドローンからその様子を撮影し、午後に全校生徒で鑑賞したいと計画しています。本日、そのための打ち合わせとドローンの試飛行を行いました。

〇ドローン操作と映像編集をお願いしているのは、私の大学の先輩で昨年に市内の小学校校長を退職された方とその娘婿さんです。先輩の先生は、退職後自分でドローンの免許を所得されたそうです。やってみたいことに挑戦していく姿は、大人になっても必要だとあらためて教えてもらった気がします。

〇台風の影響で多少風が吹いていましたが、グラウンドの上空を2台のドローンが安定した飛行をし、グラウンド全体の映像を撮影していました。最近はテレビなどでも、ドローンによる迫力ある映像がよく使われるので、「こうやって操作・撮影するのか」と近くから見学していました。

〇山本PTA会長さんも来てくださり、打ち合わせにも加わっていただきました。体育祭のドローン映像を生徒にみてもらうのは、当日まで秘密にしておこうと一時は思いましたが、謝礼金をPTAにお願いしていることもあり、時間のある保護者には是非一緒にご覧いただきたいと思っています。

〇途中で先輩の先生が、「操縦してみる?」と言ってくださったのですが、「もし間違って壊したら大変だ!」と最初は断りました。しかし思い直しせっかくの機会なので、私も生まれて初めてドローンを操作させてもらいました。コントローラーの左右のレバーを使って、前進・後進や上昇・下降させたり、搭載しているカメラの向きを変えたりズームしたりできるので、とてもワクワクしました。私も将来は挑戦してみたくなりました。

〇体育祭当日は、閉会式後に給食を食べ、体育祭の片づけとあけぼの祭(映像)の準備を並行して行い、午後3時頃から生徒有志団体や生徒会による映像作品の鑑賞後にドローン映像をみる予定です。お楽しみに!

須藤昌英

 

 

 

8月30日(金)夏の終わりとミニトマト

〇台風10号の動きが不確定であり、今日には始業式の方向性を決めなければなりませんが、ともかく2学期が月曜日から始まります。昨晩もすごい勢いで雨が降り、道路の冠水や川の氾濫が心配です。生徒は残り少ない夏季休業をどのように過ごしているのでしょうか?

〇台風は大きな被害をもたらすので、我々にはマイナスな面がある一方で、台風による強い風は、海面下の冷たい海水と海面の温かい海水をかき混ぜることで、海面水温を低下させます。さらに台風による反時計回りの風によって海面下の冷たい海水が引っ張り上げられる湧昇と呼ばれる現象によって、台風の中心付近の海面水温が低下することもあります。

〇つまり台風は、季節を夏から少しずつ秋に変化させているのです。台風が来なければ、暑い日が延々と続くことも考えられます。2学期からは、35℃を超えるような猛暑日がないことを期待しています。

〇校長室前で6月頃から育てていたミニトマトも、そろそろ終わりに近づいています。毎日欠かさずに水やりをしましたので、毎日のように実をつけてくれました。夏季休業中は給食がないので、自宅から持参したおにぎりと朝、校長室前で収穫して冷蔵庫で冷やしておいたミニトマトを一緒に食べていました。今日あたりはもう葉や茎も緑色から茶色へと変化し、実も赤くなる前に破裂してしまいます。でもこれまで精一杯自分のいのちを活かした姿を見せてくれ、小さな感動を覚えます。

〇トマトと言えば、相田みつを氏の次のような詩を思い出しました。「いのちのことば『育てたように子は育つ』」から引用させてもらいます。

みんなほんもの

トマトがねえ トマトのままでいれば ほんものなんだよ

トマトを メロンに みせようとするから にせものになるんだよ

みんなそれぞれに ほんものなのに 

骨を折って にせものに なりたがる

〇相田みつを氏の作品は、独特な字と言葉で、ものごとの本質を言い当てたものが多く、あちこちで目にすることがあります。以前に私が若い頃に学級経営の指針としていた「みんな一番」について、このブログに書きましたが、この詩も、まさに同じことを言っていると思います。

〇トマトにはトマトしかない特徴、メロンにはメロンにしかない良さがあります。相手から学ぶことも生きていく上では大切ですが、それ以上に自分を捨てて、他人になろうとする必要ないと教えてもらえます。

〇夏の終わりに・・・、教育の本質も、生徒たち一人ひとりに、成長するための必要な水分や栄養(知識や経験)を提供し、自分らしく生きていける力を育成してことだと思っています。

須藤昌英

 

8月29日(木)日本で最初の都市公園(上野恩賜公園)

〇昨日の午後、東京国立博物館で行われている「神護寺展(空海と真言密教のはじまり)」に行ってきました。神護寺は1200年以上の歴史がありますが、場所が京都の西の山奥なので、一般の修学旅行生はあまり見学に行くことはありません。その神護寺の御本尊である国宝の「薬師如来立像」が初めて、寺外に持ち出され展示されることから多くの人が入場していました。私も本やネットで調べて写真をあらかじめ見ていましたが、本物はやはりその存在感が圧倒的でした。今回は特別にその後ろ姿も見えるように展示されていたので、後ろからもじっくりと見学しました。今後薬師如来が神護寺に戻っても、もう二度と後ろ姿を見ることはできませんので、貴重な体験でした。

〇東京国立博物館のある上野恩賜公園は、明治6年に開園した日本初の都市公園です。公園内には博物館、美術館、動物園、図書館、文化会館などの9つの文化施設や、ボートに乗れる池、巨大な噴水、西郷隆盛やその他の像など、多くの見どころがあります。1学年は12月に、この公園内で校外学習(グループによるフィールドワーク)を行います。昨日はその為の予察も兼ねていました。

〇主な施設は、国立科学博物館、3つの美術館(国立西洋美術館、上野の森美術館、東京都美術館)、国際子ども図書館、恩賜上野動物園、東京文化会館などです。広大な敷地は明治以前は寛永寺の境内で、元来は徳川幕府の安泰と万民の平安を祈願するため、江戸城の鬼門(東北)にあたる上野の台地に寛永寺が建立された歴史があります。

〇子どもが幼い頃には何度か、動物園や科学博物館に連れて行ったことがありますが、昨日も大勢の子どもづれが夕涼みをしていました。ゆっくりと一日過ごせる場所です。これから12月に向けて、1年生はあらかじめ上野の歴史や文化、各施設の展示概要などを調べ、どの順番でどこを見学するかを計画していきます。多くの学びがあることでしょう。今から楽しみです。

 須藤昌英

【JR上野駅:公園口】

【東京国立博物館:本館】

【東京国立博物館:東洋館】

【東京国立博物館:表慶館】

【東京国立博物館:平成館】

【国立科学博物館】

【国立西洋美術館】

【上野動物園】

【東叡山寛永寺】

【不忍池:蓮】

【西郷隆盛:像】

 

8月27日(火)夏季休業中の2個目の台風に備えて

〇台風10号の進路予想が変化し、明後日29日頃に九州の西から上陸の可能性が高まっています。その後中国・四国・近畿・東日本へ “自転車並み”の速度で列島を縦断する予報があります。こうなると 影響が長引くおそれもあり、大雨・暴風・高波・高潮に警戒を要するようです。

〇前回の台風7号は、予想よりも右寄りにコースがずれましたので、大きな被害は受けませんでした。しかし今回は、台風の進路方向右側になる可能性もあり、以前のようにはいかないことも考えられます。接近したら部活動を中止し、事前に校舎周辺の飛びやすい物は中へ入れ、大きな木々もあるので、枝などが飛散しないように予防策を考えています。

〇台風の発生は春に赤道付近から始まりますが、夏になると発生する緯度が高くなり、日本上空に張り出す太平洋高気圧のまわりを回って、北上する台風が多くなります。気象庁によると、8月は発生数では年間で一番多い月ですが、台風を流す上空の風がまだ弱いために台風は不安定な経路をとることが多く、9月以降になると南海上から放物線を描くように日本付近を通るようになります。このとき秋雨前線の活動を活発にして大雨を降らせることがあるそうです。

〇注意する必要があるのは、台風本体だけはなく、台風の影響で台風が接近する前に、次々と発生する発達した積乱雲が列をなし、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞し、線状に伸びる強い降水域(線状降水帯)が発生することです。この線状降水帯による顕著な大雨によって、近年になり毎年のように数多くの甚大な災害が生じています。

〇先日も利根川の橋を渡る際、茨城方面の空の西から東上面に、ピッタリと雲の下の部分がきれいに横に並んだ小さな積乱雲の列を見ました。これは理科で習いますが、上昇気流で持ち上げられた水蒸気がその同じ高さで一斉に雲粒になるからで、斧でスパッと横に切ったように雲の底辺が平らで、とても神秘的な雲の風景でした。夏にしか見られないものを見て、その時は嬉しかったです。

〇ただこのような雲が巨大化すると、短時間に大量の雨量をもたらすので、こわいです。そして線状降水帯はその発生の予想が難しいことがあり、その理由としては、いまだその発生メカニズムに未解明な点があるからだそうです。備えを万全にしておくしかありません。

〇夏季休業の最終週ですが、ご家庭でもお子様の安全に配慮していただき、来週からの新学期に備えてください。

須藤昌英

【気象庁のホームページより】

 

8月26日(月)第40回青少年の集い「オーバーナイトハイク」

〇24日(土)20:00~25日(日)4:30にかけて、柏市青少年相談員連絡協議会主催(柏市教育委員会後援)の「オーバーナイトハイク」が行われ、本校からも希望者18名(1年生9名、2年生4名、3年生5名)が参加しました。

〇この「オーバーナイトハイク」は、市内の中学生が、柏駅を出発し、市内30㎞の道のりを、歩行時間6時間、平均歩行速度5㎞のペースで、夜通し歩きとおすもので、柏市では恒例行事です。ただ体力的に自信がないと完歩できません。

〇今回は引率者の一人として、PTA会長の山本さんも参加して下さいました。夜の8時に柏駅ダブルデッキで出発式を行いました。田牧教育委長も激励の言葉をかけて下さり、学校ごとに元気に出発しました。

〇富勢中の前の道がコースでしたので、私は出発式が終わると富勢中の正門に先回りし、声をかけました。その後生徒たちは利根川の土手を北に向かい、市立柏高校や県立柏の葉公園を経由して、ゴールの柏中に早朝4時過ぎに到着しました。お疲れ様でした。

〇この「オーバーナイトハイク」は、現在は教員が引率者として参加することはありませんが、その昔は各校とも若手教員数人ずつが中学生と一緒に歩いていました。私も20~30歳代のとき、数回参加しています。

〇6時間歩くことは滅多にありませんので、元気な最初の2時間は良いのですが、段々と足のあちこちが痛み出し、時には足の裏に豆ができて出血したこともありました。最後の1時間はそれこそ必死で、ただ黙々と歩いていたことを覚えています。

〇そしてゴールしたときの感動はありますが、自宅へ戻る際の柏中から柏駅の1㎞弱の距離が果てしなく遠く感じたものでした。体力的には今ではとても完歩できる自信はありませんが、当時はよくやったなと自分でも思い返しています。

〇「オーバーナイトハイク」の目的は、「新しいことにチャレンジして、苦しいことにも立ち向かう経験をする経験を通して、学校生活などにそれをいかす」ことにあります。ただ参加した生徒たちは、「もう歩きたくない」「来年は絶対に参加しない」とゴールのときは言っていますが、1年経つとまたチャレンジしたくなるから不思議です。

〇夏季休業中の一つの思い出になってくれたら・・と思っています。

須藤昌英

 

8月23日(金)柏市内一斉教員研修(学び続ける必要性)

〇昨日の午前中は、市内の小中学校の教員(約二千名)が、自分の勤務校という縛りを超えて、自分が学びたい教科や領域について、自主的に研修する貴重な機会がありました。参考までに、次のような12部会に分かれています。

・国語・書写・社会・算数&数学・理科・生活・総合的な学習・音楽・造形・英語・技術&家庭・体育・保健

〇私は算数・数学部会に属しているので、柏中学校で参加しました。この部会の責任者は、本校の宗形教諭で、本人の普段の授業の様子を参加者の皆さんに発表していました。その他3名の教諭の実践が発表され、その後グループに分かれて、4つの発表内容についての感想や1学期に行った自分の授業などの振り返りを話し合っていました。

〇この研修の流れは、普段から中学生の受けている授業と同じです。授業では、今日の課題について考える材料となる知識を先生から教わり、それをもとに自分で思考し、友達の考えも参考にしながら、結論を出していきます。昨日も参考になる他の教員の事例をもとに、自分ならどう考えてどう行動していくかを自己決定していきました。

〇教育基本法には、「教員の研修」について次のように定められています。「第九条 法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」。つまり我々教員には、児童生徒の前に立つ前に、自己の研修(学び続ける)に励むことが求められています。しかし普段はなかなか忙しくてゆっくりと研修することが少ないため、この夏季休業中が絶好の機会です。

〇集まっての研修も大切ですが、個人の研修も学びになります。私もこの夏季休業中は、住んでいる我孫子の図書館に行ったり、気になっていた映画も鑑賞しました。来週は上野の東京国立博物館で特別展が開催中ですので、足を運ぶ予定です。

〇残り一週間の夏季休業ですが、生徒達にも多くの学びがあることを願っています。

須藤昌英