校長雑感ブログ

8月17日(土)台風7号の通過後に(学校施設を安全確認)

〇昨日の台風7号は、予想よりも右のコースを辿り、想定された被害よりも小さくてすみました。本校も避難所になることはなく、朝一番に強風等の被害がないか、校内を点検しました。

〇今朝から部活動も再開しますが、また猛暑に十分に気をつけています。この一週間はまったく運動をしていない生徒もいるでしょうから、練習メニューもそれを考慮し、軽い内容から徐々に身体を慣らしていきます。

〇ご家庭でもお子様が少し体調がすぐれない場合は、部活動に行くことを止めてください。無理して練習に参加しても逆に具合がますます悪化し、これまでもご家庭に連絡して迎えにきてもらうことが多数ありました。十分な睡眠や食事を摂ったとの前提で顧問やコーチは練習内容を考えています。少しキツイ言い方をすれば、その条件が満たされない場合には、練習等に参加する資格はないと言えます。ご理解とご協力をお願いします。

〇昨日、学校で台風に備えて待機をしているとき、訃報が入りました。私の恩師ともいえる方で、今年99歳で来年百歳のお祝いをしようと予定していました。昨年から介護施設に入居し、私も先月その施設に訪問し、コロナ禍以来久しぶりにお会いできたばかりでした。「暑いので気をつけてください。また涼しくなったら来ます。」と声をかけたのが最後の会話でした。

〇恩師といっても直接私が学校で教わった先生ではありません。40年前に教員を目指して大学で学んでいた頃、教授法や心理学などは講義で身に付けられましたが、教員がどのような志で生徒たちに接していけば良いかは、大学では教えてくれません。そこで「人間教育」をテーマにした教員の研究会にたまたま誘われて参加したところに、偶然いらっしゃったのが初めての出会いでした。

〇当時その恩師は、現役教員として最後の頃で、これから教員になろうとする若い我々に、自分の経験を通した子どもの見方や触れ合い方を熱心に話してくれました。先日私がこのブログで書いた「みんな一番」や「クラスは網の目」なども、その研究会で教わり大切にしてきたことの一つです。

〇その恩師からは、「教員は確かに教える立場ですが、教えることは逆に生徒たちから教わることも多い」ということも何度も聞きましたが、実際に自分が教員になってから実感したことは今でも忘れません。また「教える教員側が常に学び続けなければ、生徒たちの前に立つ資格はないです」とも教わり、今でもそのことを実践し続けているのも、その恩師のおかげだと感謝しています。

〇その恩師は、教員を退職後、野田・我孫子・流山・柏の各市の公民館などで、若い母親向けの家庭教育の講師を長年務められていました。私も自分の子どもが誕生してからは、父親としての役割も具体的に教わりました。今でもよく思い出すのが、書家や詩人でもあった相田みつを氏の言葉「育てたように子は育つ」を題材にした話です。

〇相田みつを氏の本(育てたように子は育つ・いのちのことば)から少し引用します。「親や教員や大人たちが、自分たちの思い通りに子どもを育てれば、子どもは他者の思い通りにしか行動できない人間になる。自主性、主体性、創造性といったものは当然育つはずがない。(中略) 結局は、子どもたちは、育てられたように育っていく、育っていってくれる。そう信じられる親になりたい、大人になりたいと思う。親が子どもの心を知っているよりも、子どもは親の気持ちをずっとよく知っている。」恩師のご冥福をお祈りいたします。

〇ここまで38年間、教員を続けてこられたのも、その恩師をはじめとしていろいろな先輩・同僚教員の皆さんや当時関わった多くの児童生徒たちのおかげだと昨晩あらためて思い直しました。その人たち全員に直接、「恩返し」はできませんが、その分今接している生徒たちに、「恩送り」のつもりで残りの教員生活を送っていきます。

須藤昌英