校長雑感ブログ

2022年11月の記事一覧

11月29日(火)2学期学校教育診断アンケートについて

〇先日ご依頼した「2学期の学校教育活動に関する保護者アンケート」は、生徒にとってよりよい教育環境作り・わかりやすい授業を目指すための参考資料とするためにお願いしています(アンケートは、QRコードからお答えいただくか、文書裏面にご記入いただき、封筒に入れて担任にお渡しください。)。回答期間を昨日の「11月28日(月)まで」としておりましたが、まだ未回答の方は、本日と明日(今月中)にお願いしたいと思います。

〇アンケート10項目のうち、次の4項目は富勢小、富勢東小、富勢西小と共通項目になっています。同じ学区にある学校として、教育内容は異なりますが、目指す方向性は同じにしたいと日頃から4校の校長では話し合っています。

・生徒は、進んで学習したり、本を読んだり、調べたりしながら自ら学ぼうとしていましたか。

・生徒は、自分や周囲の人を思いやる行動や言葉がけをしていましたか。

・生徒は、進んで体を動かしたり、規則正しい生活をしたりして、心身ともに健康に過ごせましたか。

・学校・家庭・地域は連携して学校運営を行っていたと思いますか。

〇学校はこのアンケート結果を受け、来年の1~3月にかけて、新年度の教育計画を立案していきます。私としましては、今年度の成果と考えられる面はその要因となる部分に新たなアイデアを注入し、課題となった面は地域や保護者、教職員の思いや願いはどこにあるかを分析しながら、「ゼロベース」で再検討していくつもりです。

須藤昌英

11月28日(月)「いじめ防止サミットKashiwa」

〇26日(土)に、柏市沼南庁舎において、柏市内の中学校21校の代表生徒が2名ずつ集まり、「いじめ防止サミットKashiwa」が開かれました。テーマは「いじりといじめの境目は?」で、柏市の田牧教育長の挨拶に続き、株式会社スタンドバイ代表取締役の谷山さんがファシリテーターとなって、参加者がグループで話し合う形式の学習でした。

〇本校からは、生徒会長の原 心渚さん(2年2組)と副会長の新倉 未菜(2年1組)さんが、富勢中を代表して参加しました。二人とも積極的に自分の意見を発表したり、他の中学校の生徒の話を真剣に聞いたりしていました。

〇最初にアニメによる問題提起がありました。そのシナリオは、「仲良し男子3人組の中で、一番気の優しいジュンが他の二人(アキラとカンタ)から『芸能人のモノ真似をやってよ』と言われた。ジュンは、気乗りしないものの二人に気兼ねして、いろいろな場でそのモノ真似をした。するとその他の友人からも『似てる!』とけっこう反応があったので、ジュンは心の半分ではまんざらでもなかったが、そのうち『いつまでこれをやらなければならないのだろう?』と疑問をもつ」という内容です。

〇これを題材に、ジュンにモノ真似をやらせた二人の気持ちやジュンの気持ちの変化について話し合いました。当日の意見の一部には、「アキラとカンタは最初は軽い気持ちでやっていたが、友達ならば途中からジュンが嫌がっているのをわかっていたはず」「ジュンはやりたくはないけど、断ったら仲間たちが楽しんでいるその場の空気をこわすから、今さら嫌だと言えないのだろう」などがありました。

〇大人の私でも考えさせられるテーマでした。普段からお互いに仲が良いからといって、どこまでこちらが相手にしてほしいことを強要できるのか?相手にどのタイミングで「あなたの本当の気持ちはどう?」と尋ねるべきなのか?仲の良かった人間関係が、ちょっとしたことで悪化していくのは、大人の社会でも気をつけていかなければなりません。

〇よい機会をもらったので、この教材を使って、12月23日の終業式に、オンライン形式で生徒会が中心となって、全校生徒に「いじめ」について考える時間を設定しようと計画しています。

須藤昌英

11月25日(金)2学期期末テスト(1・2学年)

〇昨日と今日は、1・2学年は定期テスト、3学年は実力テストを行っています。今日は特に給食もなしで下校となり、午後は家庭で過ごしますので、安全などに気を付けるように、声をかけてください。時より近隣の方から「中学生の自転車の乗り方が悪い」などの電話や情報をいただきますが、ほとんどが放課後に自宅から出かけた場合のことですので、学校でも指導をしますが、ご家庭でもよろしくお願いいたします。

〇先日、「2つの記憶」について書きましたが、私も有効だと感じている「経験記憶」にも弱点があり、それは放っておくとしだいに単なる「知識記憶」に置き換えられてしまうこと(体験がそぎ落とされていつかは知識記憶になってしまう)です。

〇そこでそれを補うためには、ときどきその知識を人に説明し、新たな経験記憶として鍛え直す必要があります。一説によると生物の進化の過程では、視覚よりも聴覚をより発達させてきたという事実があるようですので、一般に耳を使った学習は、目を使った学習よりも効率が良いと言われています。つまり、人に説明するときに「声を出す」というのは、脳にとっても刺激がありそれによって記憶が強化されるのです。

〇中学生も前半は、知識記憶(丸暗記)に頼っても良いと思いますが、後半は経験記憶(理論的)を積みあげるために自分なりの勉強方法を確立していく変える必要があるのではないでしょうか。

須藤昌英

11月24日(木)「子どもの学び応援事業」(柏市)について

〇まずは昨晩の「FIFAワールドカップカタール2022」の日本対ドイツ戦は、幸い深夜ではなかったので、私もすべて観戦しました。後半の見事な逆転勝利で、本校卒業生の酒井宏樹選手もディフェンダーとして活躍していました。ゴールを決めた選手が注目されるのは仕方ありませんが、彼のチームへの貢献度は、サッカー素人の私でもわかりますので、誰もが認めるところでしょう。次回の試合も期待しましょう。

〇本題に移りますが、先日の市内小中学校校長会議において、市内の小・中学生全員に、「本の贈り物」として、自宅学習等で使用できる図書カード(5,000円)が、来年1月中旬以降に配付される予定との情報提供がありました。

〇目的は、「新型コロナウィルスの影響等による物価高騰等で、家計への圧迫がある中で、子どもたちが豊かな教養を育むことが継続できるように支援する」であり、本事業の案内チラシを12月中旬までに学校を通して、各家庭へ配付(事前の申請は不要)するそうです。

〇五千円の使い方を各家庭でも生徒と話し合っていただきたいと思います。普段は手軽に買えない高価な本(大型の図鑑、各専門雑誌、シリーズ本など)を事前に調べ、自分の興味・関心をさらに広げたり深めたりできることが理想だと感じます。

〇もちろん、家庭学習で使用できる学習参考書なども有効だと思いますが、少なくとも無計画に書店で目に付いた本を手に取っていたら、いつのまにか五千円になったなどは避けたいものです。書店でじっくりと本を探すのも、よい学びの経験になります。

須藤昌英

 

11月22日(火)「富学協」会議

〇19日(土)の15時より、「第10回柏市立富勢中学校区学校運営協議会全体会議(富学協)」をオンラインで行いました。中心の議題は、8月に協議会委員の方々と4校の教職員が行ったグループワーク「熟議」の結果報告と今後「4校合同の挨拶運動」を行っていくという提案があり、了承されました。

〇またその際、「富学協(ふがくきょう)」のロゴマークが入った「のぼり旗」をつくることになり、その8案が示され、子どもたちの意見も取り入れながら、ロゴを決定していくことになりました。デザイン案は、地域にお住いのデザイナーの方にお願いしましたところ、「富学協」ですから、富士山の入ったデザインもあり、洗練されたものばかりです。何に決まるか楽しみです。

須藤昌英

11月21日(月)花鉢配付ボランティア活動

〇19日の土曜日、富勢地域ふるさと協議会及び各町会・自治会の皆さまとボランティアの生徒が一緒に、これまで育ててきたビオラの花鉢をお手紙と一緒にお宅に伺って、配付してきました。

〇受け取っていただいたご高齢の方々からは、3年ぶりに中学生が届けてくれたことに、感謝の言葉がありました。中には、「孫が富勢中にお世話になっています。」との話から、そのお孫さんが届けた生徒と同じクラスだったことが偶然わかり、びっくりしていました。同じ地域に住んでいるからこその「こぼれ話」です。

〇11月としては暖かく小春日和で、参加した生徒たちも「最初は緊張しましたが、あたたかく迎えていただき、良い経験ができました」と感想を言っていました。これからこの地域を支えてくれる生徒たちに、地域への愛着心が芽生えてくれると、このボランティア活動の目的にも沿ったことになります。

須藤昌英

11月18日(金)記憶の種類と学習

〇昨日のブログで、「学習の基本はまずは覚えることから」と書きましたが、人間の「記憶」とは大きく分けると、「自由に思いだせる記憶(経験記憶)」と「自由に思い出せない記憶(知識記憶)」があります。いわゆる「ド忘れ」は、ほとんどが人の名前などの知識記憶で、スムーズに思い出すには、何かのきっかけが必要です。私なども最近人の名前が覚えにくくなったので、初対面の相手の苗字が、だれか他の有名人と同じならば、心の中で、その人の顔とその有名人の苗字をセットで繰り返し覚えようとしています。すると後になって有名人の苗字がきっかけとなり、その人の苗字を思い出しやすくなります。これは単なる人名という「知識記憶」を、有名人(一種の過去からしっているという「経験記憶」)の力をかりて記憶を強化していると言えます。

〇そこでそれを応用として、テスト範囲の内容も知識記憶ではなく、経験記憶にすればよいと考えられます。単純な知識記憶も個人的な情報や周辺の環境に関連付けて覚えると忘れにくくなります。例えば、脳にとっては負担が少なく、効率の良い暗記法として、昔から「語呂合わせ」があります。その際、言葉の音声のリズムやノリだけでなく、意味していることをきちんと「想像」することが大切だと私の経験からも感じます。

〇有名なのが、理科の「周期表にある20番目までの元素記号」があります。それは、次のように並んでいます。

H(水素)He(ヘリウム)Li(リチウム)Be(ベリリウム)B(ホウ素)」、C(炭素)N(窒素)O(酸素)F(フッ素)Ne(ネオン)Na(ナトリウム)Mg(マグネシウム)Al(アルミニウム)Si(ケイ素)P(リン)」、S(硫黄)Cl(塩素)Ar(アルゴン)K(カリウム)Ca(カルシウム)

これをいろいろな「語呂合わせ」があるようですが、私などは、「水兵リーベ僕の舟 7曲がりシップス クラークか」とつぶやきながら覚えました。語呂に合わせて、「海軍」や昔のテレビドラマ「太陽にほえろ」、「クラーク博士」などの画像イメージを頭で再現していました。

〇ただ一番大切なのは、なんでも面白がって覚えることです。元素記号などもその重要性も考えず、ただ語呂合わせで覚えても、あまり定着することはありません。授業中に、「ここって不思議だけど、何となく面白い」という感情があって、それを足掛かりにして、家庭学習などで覚えていくことが理想だと思います。

須藤昌英

 

11月17日(木)期末テスト1週間前(1・2学年)

〇来週の24日(木)と25日(金)は、1及び2学年の期末テストが行われます。すべての学習の基本は、「まず覚えられる範囲で基礎的な事項を覚えつつ、次に理解できた事項を確実にいつでも使える知識にする」ことです。脳の海馬については前にも書きましたが、テスト準備の期間中もしっかりと睡眠を確保し、海馬の活躍に期待するのが鉄則です。

〇昔から「一夜漬け」つまり直前に詰め込むやり方の是非が議論されてきましたが、「一夜漬け」のようなものを「集中学習」と呼ぶに対し、逆に毎日コツコツ勉強することを「分散学習」といいます。ただし「分散」とは注意力が散漫で集中していないという意味ではなく、時間を区切って少しずつ行うことです。また学習とは、「ものごとの関連性を習得すること」でもあり、今まで独立していた事実が頭の中でつながることです。簡単な例では、「GO」と「行く」のように、英語と日本語の意味の結び付けを行うことがあげられます。このつながりを強固にするには、繰り返し「学び続ける」しかありません。

〇「上手に覚える」ような成功を導き出すためには、それだけ多くの失敗が必要で、記憶とは「失敗」と「繰り返し」で形成・強化されます。何度も失敗すると、それでやる気がなくなっていきそうになりますが、その解決策の一つが、「得意な面を活かして学習する」ことです。苦手な教科は誰にでもあるもので、その苦手分野でクヨクヨせず、逆に得意を素直に活かすと、全体として成績が上昇することが知られており、教育心理学では「特恵効果」といいます。

〇これはテスト当日にもあてはまります。、テストを受けている際中も、自分の得意な問題から手を付け、そこから自信がつくと、やる気や集中力が高まります。よく食事で、「美味しいものを最後に食べる」「美味しいものは最初に食べる」のような話がありますが、学習については圧倒的に後者が有利で、「得意なものは最初にとりかかる」です。

須藤昌英

11月16日(水)初めての感染で思ったこと

〇実は先週の火曜日の夜に自宅で発熱し、その晩にコロナの陽性が発覚、次の日から昨日までの7日間自宅で療養していました。今朝から勤務に復帰しました。この間この「校長雑感ブログ」も自宅から更新していました。

〇家族の中で最初に、87歳の母が喉の痛みを訴え、咳をし始めたので、家の中で生活する動線をわけるなどの警戒をしていました。ところがその母はその後発熱はせず、回復に向かいました。それと代わるように、私と妻が喉に違和感を覚え、咳が始まったのちその晩のうちに発熱しました。夜は発熱外来は受け付けしてもらえず、薬局で抗原検査キッドを購入して、すぐに「陽性」が判明しました。コロナそのものに対する薬は手に入りませんので、喉、咳、鼻水への処方箋を服用しつつ、幸い食欲はありましたので、お粥を中心に食事はとれました。

〇健康な時には気づきにくいですが、生きる上でいかに「呼吸」が大切かということがこの療養で身にしみました。高熱や咳が出ているときも、無意識に呼吸はしていますが、そういうときこそ少し呼吸に意識を向けて、まずはゆっくりと身体中の息を吐き出しますと、その反動で新しい空気が自然と入ってきます。呼吸が深くなると精神的な不安も少し和らぎます。

〇よく病院の診察時などでも、まずは「吸って」、次に「吐いて」の順で医師から指示されますが、本当は順番が逆で、しっかりと「吐く」と、自然と「吸える」のか?と思いました。咳止めなどの処方箋も確かに有効ですが、局所的ではなく、身体全体をケアし、本来もっている「自然治癒力」を最大限に引き出すには、呼吸を整えることが一番簡単にできることだ!と感じました。

〇そしてこれは人間関係も同じで、まずは自分から相手に何かを「Give(与える)」ことから、それによって相手から何かを「Get(得る)」させてもらうような関係が理想かもしれません。なぜ呼吸から円滑な人間関係へと考えたのかは自分でも不思議ですが、身体がつらいと普段とは違う思考過程になるようです。

〇最後に心配なのは、私のような年齢の高い者ではなく、若者は重症化リスクは高くないものの、「軽症」で済んでも後遺症が続く方が増えていると聞くことです。後遺症は嗅覚・味覚障害や強い倦怠感が多く、中には発熱や呼吸困難など日常生活に支障をきたしているという相談事例も増えているようです。私の経験からも、「もしかして自らが感染者かもしれない・・」という意識を持って、他人に感染させないように行動することの大切さを再認識しました。

須藤昌英

 

11月15日(火)「人生、遅すぎることはない」というメッセージ

○3年生と校長面接をしている中で、時々「自分自身に自信をなくしているのでは・・」と感じる生徒がいます。面接時間は一人10分間ですので、その原因を詳しく聞いたり、アドバイスをしたりすることはなかなか難しいのですが、そんなときいつも私の頭の中をよぎるのが「人生、遅すぎることはない」という言葉です。

○この言葉は、野球漫画で有名な水島新司(1939年~、現在83歳)作「あぶさん:84巻第3話」の題名です。この「あぶさん」もプロ野球を題材にした超大作の漫画で、41年間で全107巻、今から10年前の平成24年に幕を下ろしました。私も全て読破したわけではなく、たまに見かけると読んだくらいですが、プロ野球選手の主人公が野球だけでなく、身近な人達との人情的なやりとりがクローズアップされた作品で、読むと深くその物語に入り込んでしまいます。

○この「人生、遅すぎることはない」との出会いも、まだ私が三十歳代後半だったと思います。具体的には覚えていませんが、仕事で何かの壁にぶつかって悩んでいた時、たまたま家族と行っていたスーパー銭湯のソファーの横の本棚にあったコミック雑誌をパラパラとめくっていました。するとその中に、主人公が成績不振にあえぎながらもある人の言葉からまた立ち上がろうとする物語が目にとまり、その場で何度か読み返したのを今でもはっきりと覚えています。

○読み終えるとすぐに、「やってもみないことをくよくよ悩んでも仕方ない、とりあえずやってみて、もしうまくいかなかったら、またそこで考えよう」と思え、明るい気持ちで帰路につきました。私はそれまでは「漫画やアニメなんて・・」と勝手に遠ざけていましたが、それをきっかけに、メッセージ性やストーリーが優れているものがけっこうあることを再発見し、注目するようになりました。

○前振りが長くなりましたが、話をもとに戻します。冒頭の生徒達には、次のような言葉がけをしてあげたいと思っています。「今まで何度かやろうとしたけれど出来なかったこと、今の自分では到底出来そうもないとあきらめてきたことなどは、誰にでも1つや2つはあります。しかしそれらは多くの場合、『本気』で取り組もうとする前に、尻込みしてしまったことがほとんどではありませんか?「あの人だから出来るんだ」とか「自分にはそんな能力はない」と思い込んでいませんか?生きているかぎり、何でも「手遅れ」ということはありません。周りからは簡単そうにやっているようにみえることでも、その人は他人が見ていないところで必ず努力しています。その表面だけの姿で判断せず、まずは自分の出来ることから始めてみること。そしてそれを工夫しながら続けてみること。そのきっかけが一番重要であり、まさに今、新たなチャレンジをする勇気をもってほしい。」

須藤昌英