校長雑感ブログ

2024年10月の記事一覧

10月30日(水)「中学校教育に望むこと」

〇全日本中学校会が定期発行する冊子に、前WBC日本代表監督で、メジャーリーグに行く前の大谷翔平選手を育てた栗山秀樹氏にインタビューした記事がありました。一部を紹介します。
〇質問
今、日本の中学生は、他国の若者に比べて、「自己有用感」「自己肯定感」が低いと言われていますが、監督の目には今の中学生の姿がどのように映っているのでしょうか?
〇栗山監督
どこに生まれるかというのは自分で選べるわけではありません。例えば人に生まれるかもしれないし、虫に生まれるかもしれないことも含めて、神様が決めているという中で、ほかの民族がどうのこうのというのは一切関係なくて、そこに対しては中学生だけでなくて日本全体が言われていますよね。
日本人が優秀だと言われた時代があったものが、今これだけ経済的にも政治的にも遅れをとっている。ただ、先人の皆さんの功績とかやってきたことを見ると、僕はこの国に生まれて本当に良かったと思っています。そのことをWBCで表現したかったというのは正直あります。
日本が世界一になるという意味は、「さあ行くぞ、俺は世界をとってやる」と子ども心に感じてもらうためではないかと思っていましたし、そういう意味では、自己肯定感が低いという中学生たちの感じをみていて、ただ単純に「ぜいたく病なんだろうな」と思っているだけです。
昔は食べるのも大変だった。何もしなければ食べられないわけですよ。ところが今は、大人になっても守ってくれる人たちがいっぱいいるので、それはなかなか難しいだろうなと思っているところがある。変な言い方ですけど、それがダメとかそういうことではなくて、絶対能力はあるし頑張ったらできるところもある。スポーツの世界にいて何が人の分岐点なのかというと、能力じゃないですね。「できないよな」と思った瞬間にできないんです、すべてが。そうではなくて、これをやると決めてやり切った人がそこにいくというだけの話です。それは時間がかかるかもしれないですけど、そういうことなんだと十年間の監督生活で思ったんです。これは体験です。
(途中略)
要するにの能力じゃない、本当に自分がこうするんだという確固たる志、意思というんですかね、それが何らかのタイミングで得られれば、今の中学生たちも勝手に能力が伸びていくということなのかなと、そこは信じています。
そういう子どもたちが、今はそうみえるけれども、必ずそういうものをもっている。そこにどうやって火をつけるか、どうやって灯をともしてあげたらいいのか。僕は良く、「やる気の志には我々は火をつけられない」と言っています。本人しか火をつけられることはできないので、我々はそのお手伝いしかできないと思うんですよね。今その自己肯定感や自己有用感が育たない何かの要因があるというだけなのかなという感じで僕は捉えています。
〇栗山氏は国立の教員養成大学の出身で、教員免許ももっていた方なので、親近感があります。プロ野球選手という大人を育てる仕事ですが、基本的な考えは我々教員と同じだと感じました。

 須藤昌英

10月29日(火)長文を諦める(新聞を読むことで身につく力)

〇昨日の朝刊は、衆議院選挙の記事が大きく取り上げられていました。テレビでも同様に報道されていましたが、細かい情報などはテレビの方が詳細をつかめるので良いですが、全体の結果を大まかに把握したい時には、新聞の方がテレビなどよりも圧倒的にわかりやすいと感じます。

〇やはりそれは記者やデスクなどにより、限られた時数でいかに事実を伝えるかの視点で校正が繰り返されているからでしょう。繰り返しますが、新聞の最大の利点は各面の見出しをサッと見渡すだけでも、社会で起こっていることが大まかにつかめるという点です。

〇毎年行われる文科省の全国学力テストの分析から、本校を含む全国の生徒の国語の長文読解の正解率は低下しており、長い文をみるとすぐに「諦める生徒」も多いことがわかっています。これはSNSの影響が大きく、短文や絵文字でのやりとりが広がり、生徒が日ごろから活字と向き合う環境を整える必要があると結論づけています。

〇3年生との校長面接をしていても、国語に苦手意識をもつ生徒のほぼ9割が、問題文が長文であることでそれを読み切れていない(読みはじめても途中でやめてしまう)ことがわかります。長文といってもさすがに問題として掲載するので、400~600字(原稿用紙1枚半程度)が多いので、ゆっくり読んでも2分あれば読み切れます。

〇現行の学習指導要領でも、「新聞を活用した学習」が明記され、国語の授業の一部では、新聞の記事を使った教材も使用しています。本校では全国紙(朝日新聞)と地方紙(千葉日報)の朝刊に加え、中高生新聞(読売新聞&小学館)を定期購読しています。全国紙と中高生新聞は、図書室でいつでも生徒は閲覧できます。

〇特に中高生新聞は、週に一度の発行ではありますが、今の社会問題を写真や図を入れたり、難しい用語をできるだけ使わずに説明したりと、大人の私が読んでも「なるほど」を思うときがあります。例えば先週の中高生新聞の第一~三面は、「ノーモア・ヒバクシャ 次世代へ」と銘打ち、ノーベル平和賞に日本被団協が選ばれたことを特集しています。これを読むと、「我々大人でもわかっているつもりで知らないことが多いなあ」とつくづく感じます。

〇また新聞は読めば読むほど、世の中や人間は複雑で簡単には理解できないことに気づきます。しかしそのモヤモヤした気持ちが重要ではないでしょうか?新聞を読むという一見非効率に見える時間も、少しずつ自分の引き出しを増やしじっくりと深く考えてみる機会になると思います。

〇このように「新聞を読む力」を育てることは、単に長文に馴染むだけではなく、社会の出来事に感心を持ち、生徒の情操や課題解決力を伸ばしつつ、最後は「自分ならどうするか?」という主体的な生徒に導くことにもなります。

〇「長文を諦める」生徒への対策として、授業中だけでなくあらゆる場面で、書かれていることを理解するために、注目する内容を決めて要約する練習を積みかねていきます。

須藤昌英

【10月20日付 朝日中高生新聞】

 

 

10月28日(月)柏市技術・家庭科作品展&音楽発表会

〇技術科と家庭科の授業で作成した中で、優秀な作品を出品しました。週末のさわやかちば県民プラザの回廊ギャラリーには、他校の素晴らしい作品も展示されていました。

〇本校の出品者です。

技術科作品

1年 コーナーラック 椎橋美月

   棚付き本立て 塩川隼人 廣瀬有里桜 宮原結菜 

   キッチンペーパーホルダ 東 健斗

3年 ウッディラジオ 壁下翔志郎 松本小暖

家庭科作品

1年 緑のコーヒー(刺し子)  松本悠希

   刺し子 近村 蓮 村上収都

2年 ハーフパンツ 中村 雅

   Mabon 千葉翔平

3年 いつもの 石黒音羽

   これ、なぁに? 井野流楓

   ねずみちゃんとえのぐさんたち 栗林瑞綺

   これ な~んだ? 向井晴香

   なんでないてるの? 平塚美笑

〇26日(土)には、富勢ふるさと協議会主催の音楽発表会が富勢小体育館で行われ、本校の吹奏楽部がトップバッターで出演しました。

〇次の富勢小の児童による演奏も、日頃の練習の成果を発揮し、堂々とした演奏でした。来年に入学してくる児童もいますので、4月からは一緒に演奏できることでしょう。

〇最後は、市内で活躍するチアリーダーチームの「PRIDE DANCE CITY」によるダンスとその間に、児童生徒と一緒に踊るダンス教室がありました。身体を動かして、楽しそうでした。

〇地域の行事で、児童生徒の活躍をみてもらうことは、大きな意義があると思います。

須藤昌英

 

10月25日(金)「やればできる」と「できるからやる」

〇教員として38年間、目の前の生徒の可能性を引き出し伸ばすことを最大の目標として取り組んできましたが、いつも迷うのは、「やればできる」と「できるからやる」の2つのどちらが正しいか?です。「鶏が先か、卵が先か」みたいな話ですが、自分としては最大の課題です。

〇「やればできる」は、昔から言われている「努力を美徳として、楽な方を選ぶことを嫌う」が根底にあります。コスパの面から考えると、苦労せず楽に成果が得られるのであれば、最適最良です。

〇しかしその一方で、教育的側面からは、努力を通じてスキルや知識を習得することで定着が強固になるという従来の考えにも、妥当性はあると思いますし、昭和から平成へと教育の主流はこの「努力の継続」でした。

〇前にオレンジの服が印象的だった芸人さんがテレビなどで、そのポジティブな性格を前面に出し「やればできる!」というフレーズを連呼していたことを覚えています。確かに明るい笑顔で言われると、その気になってきます。

〇その芸人さんは、「僕の『やればできる』っていうのは『やれば成功する』ではなくて『やれば成長できる』よねっていう思いを込めています」と説明していました。それを聞いて私もそれにはまったく同感しました。

〇若い時に担任をしている時も、「やろうと思わないから出来ないんだよ」みたいなことをよくクラスの生徒に言っていた記憶があります。叱咤激励のつもりでしたが、言われた生徒はどう思っていたのだろう?と今さらに思います。

〇しかし最近は少し違ってきました。むしろ人は「できるからやる」という見方の方も、正しいのではないかと思っています。努力し挑戦すること(やればできる)によって生徒たちは日々成長していますが、その前提として可能性という「成長の種子」を生まれつき自分の中にすでにもっていて、その種子を開花させている(できるからやる)に過ぎないのではないでしょうか?

〇「やればできる」の陥りやすい点は、今出来ていることはあまり重視せずに、次はコレをするその次はコレをする・・と果てしない無限ループになりやすいことだと思います。精神的に疲労します。

〇一方で「できるからやる」については、失敗を極端に恐れるという今の若者の特徴がその意識を薄めていると感じます。人は誰でも失敗し、その失敗を次にいかして前へ進んでいくのであり、一つの失敗で「すべてがダメ」と自分を否定してしまうことがとてももったいないと生徒たちを見て思います。

〇その原因の一つは、大人(保護者や教員など)が生徒たちに今取り組んでいることの結果を性急に求めすぎることがあると思います。私も含めて「信じて待つ」という大人の姿勢が正直足りないと思います。

〇「失敗を成功で上書きする」という言葉があります。「失敗を失敗のまま終わりにせず、それを小さな成功つなげる」ということを、生徒たちには折に触れて伝えていきたいと思います。

〇最後に昔、ナイキというスポーツメーカーのCMに、マイケルジョーダンというバスケットボールのスーパースターが出演していました。彼は私と同じ年齢ですので、バスケットボールに興味がなかった私もその存在感には注目していました。

〇その彼のCMの中でのセリフが今でも頭に残っています。紹介します。「キャリアで失敗したシュートは9000本。300試合に負けた。26回ウィニングショットを外してきた。今までミスしてきた。何度も何度も・・・。だから私は成功する」

〇今の生徒は彼のことは知らないかもしれませんが、みんなからスーパースターと言われている人でも、数知れない失敗を経験してきていることは伝えたいなと思います。

須藤昌英

 

 

 

 

10月24日(木)市内教職員の授業研修を行いました

〇昨日は午前中で生徒を下校させて、午後は田中中学校で、近隣の中学校の教職員が集まり、授業についての研修を行いました。

〇田中中は、本校と同じく創立78周年目で、柏市で最も古い中学校の一つです。ですから本校と同様に校舎も基本的には古く、使い込まれている感じがします。

〇しかし本校との違いは、その敷地内に新校舎を建設しており、大きなクレーン車が動いています。学区の田中小と田中北小は、柏たなか駅が近いことから児童数が急増し、どちらも千人前後います。

〇今後は田中中へその二校から毎年卒業生が入学してきますので、年々生徒数が増加し、数年後にはやはり全校生徒数が千人を超える勢いです。田中中の校長も、「校舎建設でも生徒の安全を守りつつ、着々と生徒数増加の準備をしている」と言っていました。

〇本校を含めた他の中学校の教員が田中中の授業を参観し、その後各教科に分かれて、授業のねらいや生徒たちの学びの様子について、話し合いをしました。

〇教職員にとって自分の学校だけでなく、今日のように他校の授業を題材に研修していくことが、明日からの自分の授業に役立つので、有意義な時間でした。

〇来月の28日には、2回目の授業参観(午前中1~4校時)がありますので、是非ご来校ください。

須藤昌英

 

10月23日(水)歯科検診の結果と歯磨き推進週間

〇健康を保つには、食事・運動・睡眠は欠かせないことは誰でも知っています。その中の健康的な食生活を維持するためには、「八十歳になっても自分の歯を二十本以上保つことが大切」と昔から言われています。

〇しかし実際に目標を達成している人は半数を下回っているそうです。日本人の平均寿命が延びる一方で、歯の寿命も延ばすことが課題となっている状況のようです。

〇1学期に行った歯科検診の本校データをみると、むし歯がある人が153人(全体の30%)、歯肉炎と診断された人は216人(全体の42%)です。これは柏市内の中でも高い数値となっており、生徒たちの歯の健康があまり良くないことを示しています。

〇ただ歯肉炎と診断された人の内、171人(約80%)は軽度と診断されており、これは適切な歯みがきで改善する見込みがある程度となっています。朝食と夕食は自宅ですので、ご家庭にお願いするしかありませんが、給食は学校の教育活動の範疇です。

〇そこで保健委員会が中心となり、来週は「歯みがき推進WEEK」とし、歯みがき習慣を身に付けるきっかけとします。保健委員が10月28日(月)~11月1日(金)の間、給食後の歯みがきを生徒に呼びかけます。

〇給食後に歯みがきタイムとして音楽を流しますので、歯みがきセット(歯ブラシ・歯みがき粉・コップ)を持ってきてください。忘れた場合でも、口をゆすぐだけでも効果的ですので、意識を高めましょう。。

〇ただし、感染症やけがの対策として、飛沫がとばないよう手で覆ってください。また口をゆすぐときは静かに飛び散らないようにしましょう。さらに教室から移動をするときは歯ブラシを手に持って移動してください。(口に含んだままは危険です)。

〇先ほどの「8020運動(80歳になっても自分の歯を20本以上保つこと)」だけでなく、「60歳で自分の歯を24本以上保つこと」「40歳で自分の歯をすべて保つこと」も提唱されています。私も61歳ですので、何とか目標をクリアしようと食後は歯みがきなどを励行しています。

〇特に歯肉炎・歯周炎を含む歯周病の直接的な原因は、歯垢(プラーク)ですので、気をつけましょう。歯垢(プラーク)は生きた細菌のかたまりで、むし歯・歯周病などの原因となります。乳白色で歯と同じような色をしており、舌で触るとザラザラした感触があれば、それは歯垢(プラーク)です。

〇歯垢(プラーク)は、水に溶けにくく粘着性があるため歯の表面に付着し、うがいでは取り除くことができません。歯磨きの目的は、この歯垢(プラーク)を取り除いてむし歯や歯周病などにならないようにすることです。

〇保護者の皆様へのお願いです。新型コロナウイルス感染症が流行した時は、給食後の歯みがきは自粛をしていましたが、コロナ渦が明け本校の歯科状況をみて、給食後の歯みがきを復活させることにしました。定着するまでには時間がかかるかと思いますし、やっている人が少ないと歯みがきがしにくいということもあるかと思います。保健委員や教員を中心となって呼びかけていきますので、ぜひご家庭でもお子さんに声をかけていただけたらと思います。ご協力よろしくお願いいたします。

須藤昌英

【日本歯科医師会PRキャラクター よ坊さん】

 

 

 

 

10月22日(火)秋の深まり(あけぼの山農業公園とビオラ鉢の栽培)

〇今道路を歩いていると、あちこちでキンモクセイの甘い香りが漂っており、まだ昼間の日差しが強くても秋の深まりを感じます。残念ながら、本校敷地内にキンモクセイの木があるかと探しましたが、見当たりませんでした。

〇金木犀(キンモクセイ)は芳香剤としてもおなじみの強い香りを放つ花が特長です。 調べてみると、その香りは、遠くまで届くことから古くは「千里香」とも呼ばれていたようです。

〇秋にオレンジ色の小花をいっぱいにつけた姿は、日差しを受けると名前の通り金色に輝いて見え、秋の風物詩となっています。時期をみて本校の中庭に、苗木を植えてみようかと計画しています。

〇本校学区には、あけぼの山公園をはじめ、学校近くの宿連寺第一・第二公園や比較的広いスペースの高野台公園などの公園施設が多くあります。

〇柏市では、あけぼの山農業公園とその周辺道路を整備し、もっと市民が頻繁に訪れる場所になるようにと計画しています。具体的には2025年までに「オンリーワンの象徴的な花の公園」の実現に向け、民間事業者との連携による「TrialGarden事業」の取り組みを開始したり、更なる公園の魅力向上を図るため、公園のゾーニングや周辺施設整備の検討を行ったりしています。

〇確かに柏市のはずれに位置していますので、車が通る広い道もなく、季節の花のシーズンには大渋滞になっています。この地域の方々は公園には自転車などでも行けますが、生活の上では渋滞によって移動が出来にくいなどのマイナス面もあります。市へもその要望は届いているはずです。

〇以前に勤務していた西原中学区には、県立柏の葉公園やさわやか千葉県民プラザなどがありました。しかし周辺道路も駐車場も十分な広さがありましたので、住民の皆さんから「渋滞で困った」ことなどはあまり聞きませんでした。生徒たちも気軽に公園内で遊んでいました。

〇いずれにせよあけぼの山公園や布施弁天東海寺などは地域の宝ですので、本校生徒たちにも大切にしていくことを呼びかけていきます。小学校では生活科で地域を探検して回る学習や総合学習で地域の歴史を調べるなどの学習をしていますので、中学生にはそれらの地域資源を他にいかにアピールしていくかをテーマにした学習をさせたいというプランもあります。

〇私の自宅の近くに「NPO法人手賀沼トラスト」が運営している「サツマイモ掘体験畑」があります。毎日近隣(千葉県だけでなく東京や埼玉方面も)のこども園の園児たちがバスでやってきて賑わっています。子どもにとって直接土に触わることは有意義な体験になることでしょう。

〇あすなろ学級でも、サツマイモやカブの栽培を行っています。収穫の秋が楽しみです。

〇10月7日に富勢地域ふるさと協議会の皆さんと一緒にボランティア生徒たちが移植したビオラが、秋の日差しを浴びて成長しています。正門わきのスペースは、歩道からもよく見えます。

〇毎朝登校したらすぐに、当番の生徒が愛情込めて水やりを行っているおかげで、花の色が段々と濃くなってきています。来月の16日に、ご高齢の方のお宅にお届けする頃には、満開となっていることでしょう。

須藤昌英

【あけぼの山農業公園のコスモス】

【正門わきのビオラの花鉢】

 

10月21日(月)東葛飾地方中学校駅伝競走大会のちょっと裏話

〇朝は小雨が降り天候を心配しまたが、9時を過ぎころから青空が見え始めました。選手は早朝6時過ぎに学校に集合し準備を整えた後、各走区間へ出発していきました。

〇今年のスタート地点の松戸市民劇場前の道路周囲には、多くの選手と付き添い、応援の方々が集まっていました。富勢中のオレンジのユニホーム(ゼッケン番号204)で目立つので、75人いても見つけやすかったです。

〇全10区間で75校が参加していますので、走る選手だけでも750名、それに付き添い生徒や職員がいますので、2000名くらいの関係者がこの日のために協力して成り立っている大会です。

〇午前9時半一斉にスタート、コースの沿道は、広報車、審判車、白バイが先導し、最後は救急車も走っている本格的な駅伝です。32㎞の沿道には東葛6市から交通整理員として応援に駆け付けた教職員、各市の警察署および交通安全協会の方々が等間隔でズラッと並び、特に選手が通過する時間帯のみ、大きな交差点の信号は常に青になるように警察官が信号機を操作しています。

〇ただすべての市民が心から応援してくれているわけではなく、しばらく信号が赤のままの車線にいる車は、次第にイライラし始めて、時には警察官などに文句を言っている姿もあちこちに見られます。

〇私はスタートを見届けた後、近道をバイクで走り、一足先に野田市総合運動公園上競技場でゴールを待っていました。途中の順位は、付き添いの各職員からLineで報告があったり、J―COMのYou tube放送が流れていたりしましたので、後半の繰り上げスタート(白い襷)は何とか免れて、自校の襷をつなげられるだろうと思っていました。

〇陸上競技場に10区の生徒が滑り込んできた時は、ここまで「紺色の襷」を30㎞以上にわたってつないできたことに、毎回のことですが感動しました。結果は、75校中45位(1時間51分52秒)と立派な成績でした。走り切った選手たちの顔にも安どの笑顔がありました。

〇私は以前、9つある中継所の一つの責任者をしたことがありました。各中継所では75校の選手と付き添い生徒、引率の教職員が狭い場所にごったがえしています。まず各校でシートを敷いて、荷物置き場と選手の待機スペースを確保することから競いあいます。

〇そして特に「コール(スタートまえの出場選手本人確認)」が2回あり、もし遅れるとその学校は失格になりますので、各校ともその時間はピリピリした緊張感があります。またコールの際には、大会専用のゼッケンが身体の前と後ろの規定の位置にきちんと装着されているかも厳密にチェックされます。

〇並行して前区の選手が通過する予定時間を常に頭に入れながら、中継所の近くでアップをしたり、体温が下がらないように毛布で身体をくるんだりと、選手はもちろん付き添いの生徒や引率の先生方も大変で、「一つのチーム」にならないと、選手をサポートできません。

〇そして襷の受け渡しの際は、大きなスピーカーで前区の速い学校のゼッケン番号が呼ばれ、そこでやっと中継地点に立てます。もし前区の選手がダンゴ状態で走ってくると、次の選手は大きな声と手を挙げて、自分の学校の選手を呼びます。

〇そして前の選手が倒れ掛かって渡したり、時には次の走者がひったくるようにして襷をもらいダッシュしていきます。この風景は、箱根駅伝などでもよく見ると思いますが、そのように実際に観戦の皆さんは、選手の走っている姿の裏に、様々なドラマを目の当たりにしています。

〇同日に東京では、正月の「箱根駅伝」の予選会が行われていましたが、こちらも大勢の人が声援していたようです。このことを通しても、日本人は駅伝が好きことがよくわかります。

〇この駅伝大会を経験し、将来は箱根駅伝に挑戦しようとする選手がいることでしょう。選手の皆さん、お疲れさまでした。これからも走ることを楽しみ、自分の特技として人生の支えにしてください。

須藤昌英

 

 

10月19日(土)第78回東葛飾地方中学校駅伝大会

〇選手は早朝に学校に集合し、各中継所に出発しました。9時半に松戸市民劇場前をスタートし、11時過ぎに野田市総合公園陸上競技場にゴールします。全長32㎞を10名の選手が襷をつなぎます。

1区 岩瀬 樟さん(2-3)

2区 中村優稀さん(3-5)

3区 丹羽凌仁さん(3-2)

4区 池田晃久さん(3-1)

5区 池田輝利さん(1-3)

6区 山縣透真さん(3-2)

7区 奈須悠樹さん(2-5)

8区 山本翔太朗さん(3-2)

9区 小林海都さん(3-1)

10区 里中秀俊さん(3-3)

 

〇各中継所には、選手以外に付き添いの生徒がいて、選手をサポートしています。正月の箱根駅伝のように、沿道には多くの方々の声援があり、選手はその中を自分のベストの走りを目指して激走します。ゼッケン番号は、「204」です。

〇教員が引率者として付き添っていますので、様子を随時アップしていきます。時系列では、上の写真が新しいものです。

10月18日(金)生徒会任命式&東葛駅伝壮行会

〇昨日の午後、今月から先輩から後輩へとバトンタッチされた役員・委員長の任命式と明日に行われる東葛飾地方中学校駅伝に参加する選手を激励するための壮行会を行いました。

〇まずこれまで活躍してきた生徒からのあいさつがあり、続いて新たに3年生から生徒会組織を受け継いだ各リーダーを紹介する「任命式」を行いました。

〇今年度の後期は、このリーダーたちによって、生徒会活動の目的である「自立・自律」に向けて活動を行っていきます。次のような話を私から投げかけました。

〇富勢中生徒会は全生徒500名を会員とした大きな組織です。組織には「リーダー」とその人たちを助ける「フォロワー」が欠かせません。フォロワーがリーダーに正しい情報を教えたりリーダーの意思を具体的に行動に起こしたりすることにより、組織は成り立ちます。

〇そして特にリーダーは、「一番上のことと一番下のことを行う」ことが必要です。「一番上のこと」とは、組織全体が成長していけるように今後の方針や予定を示していくことです。それに対して「一番下のこと」とは、日頃から挨拶や清掃など基本的な生活習慣を身に付けてそれを自然に行えることです。

〇今月末に行われる衆議院選挙で立候補している国の政治家たちを皮肉っているわけではありませんが、リーダーが偉そうなことだけ言って、やるべきことをやらなければ、フォロワーはそのリーダーを信頼することはなく、結果としてその組織は成長できません。

〇本校のリーダーたちには、そういう人はいませんが、将来いろいろな組織で活躍していく生徒たちには、学校生活で「リーダー」と「フォロワー」の両方の経験をしてもらいたいと願っています。

〇次の「駅伝壮行会」では、選手の自己紹介と駅伝部顧問の山口教諭よりコースなど紹介をしました。次に当日用の「襷(たすき)」を私からキャプテンに授与しました。私から、次のような話をしました。

〇日本では古来から中央と地方の情報伝達の方法として、飛脚が文書などを運んでいました。江戸時代には飛脚の健脚を競うコンテストがあったらしく、優勝すると皆からの憧れの的になったとの記録もあります。

〇襷(たすき)は、武士が真剣勝負するときに両肩にすることからきているといわれており、そこから1本のたすきをつなぎゴールを目指すことが、日本人には性に合っていたのかもしれません。

〇駅伝は日本発祥のスポーツで、その他の相撲、剣道、柔道、空手等と同じく世界に知られており、最近は「EKIDEN」でと書けば世界に通じるようになっています。

〇近代駅伝の歴史は、約100年前に、京都から上野(514km)を昼夜かけて走り、3日間で競い合ったそうです。

〇東葛駅伝は、今年(令和6年)は昭和99年であり、昭和23年(12校参加)から始まっているので、76年の歴史があります。富勢中が昭和22年創立ですから、ほぼ同じ時期にスタートしています。当時の中学生は、現在90歳くらいになっているのを考えると、歴史を感じます。

〇東葛飾6市(柏市 松戸市 流山市 野田市 鎌ヶ谷市 我孫子市)から73校が参加します。箱根駅伝でさえ20校ですから、その3倍以上の出場校数です。

〇東葛駅伝は日本で唯一(中学生が一般公道を白バイが先導で、一人約3kmを10人で約30kmを走る)の大会で、毎年沿道には多くの人が応援に来ています。

〇私が思うに「駅伝の魅力」は、ルールがシンプルだからこそドラマがあり、ごまかしがきかない(選手どうしの駆け引きが難しい)ことです。また「駅伝の魔力」みたいなものもあり、それはその日の選手の体調や心の状態に大きく左右されることが多く、最後まで結果はわからないことです。

〇明日、秋の空の下を各選手が無事に完走できることを祈ります。

須藤昌英