創立78周年目 学び成長し続ける富勢中
文字
背景
行間
9月20日(金)「もふもふ、まったり、きゅんきゅん、さくっと」
〇文化庁が昨年度の国語に関する世論調査の結果を公表しました。日常生活で使われる新しい意味や使い方が辞書に記載され始めた言葉を調査すると、年代別にその特徴が浮きぼりになります。
〇例えば「もふもふ」という言葉を多用するのは30歳代以下で8割を越えます。私などはほとんど自分では使わないので、若者はその言葉に何か癒しを求めているのかもしれないと想像します。
〇問題なのはその表現を聞いたとき、他人が使うのが気になるのか気にならないかだと思います。「まったり」は40歳代以下では7割越えの人が使うそうですが、私は不快まではいきませんが少し違和感(だらだらするの意なのか?)を覚えたり、「きゅんきゅん」などは言いたいことは理解できたりしますが、ちょっと擬態語過ぎて、「ときめく」や「期待する」などの従来の言葉の方がしっくりくる気がしてしまいます。
〇東洋大の三宅和子名誉教授は新聞の解説で、「新しい表現の普及には、交流サイト(SNS)といった、主に若者中心のインターネット文化が影響している。本来は切れ味や歯ごたえを表す『さくっと』のように、感覚的・情動的な短い表現が好まれる特徴があり、若者の感覚的コミュニケーションが中高年までに広がっていることが分かる。ある程度の意味が伝わればいいという曖昧さも特色で、対立軸を明確にせず何となく共感できれば良しとする社会の風潮にもつながっているのではないか。」
〇さすがに専門家の指摘は的を得ています。ただその一方で、今NHKの大河ドラマが紫式部を描く「光る君へ」である影響で、源氏物語や枕草子などの古文が若者にも見直されています。伝統的な日本語は、読んだり聞いたりした瞬間にその情景が思い浮かぶように、音の奇麗さやつながりを大切にしています。
〇その分、現代人の我々には読みにくいのですが、たまには「いとをかし(とても趣があるの意味)」や「やんごとなし(並々ではないの意味)などの奥ゆかしい表現に触れるのも、楽しいかもしれません。
須藤昌英