サーバー室のとなりから

カテゴリ:古い教科書参考書(教研所蔵)

高等小学読本巻3第24課 西洋雑話

今回も巻3を取り上げる。雑話という表題からは想像できない興味ある短い話が綴られている。

・新大陸発見のコロンブス、「コロンブスの卵」ってそういう場面で生まれた話なんだあ

・万有引力発見のニュートン、ニュートンの物忘れもここまでとは、参った参った

・冒険家ラレー、煙草をヨーロッパに初めて輸入したころの話、そうかもしれないなあ

・ドイツのコンラード王、落城した城内の婦人の嘆願を認めた王だが、驚く結末に

・プロシアのフリードリッヒ大王、兵士にいつも3ケ条の問い、ドイツ語の分からぬ新兵の答えは

明治の時代だからできた国定教科書なのか、今の時代にあってもこんな教科書があれば生徒はきっとよろこぶだろう。確かにスマホやパソコンで手軽に多くの情報が手に入るが、明治末期、活字から飛び込むこれらの「雑話」を食い入るように見た子どもの姿が目に浮かぶ。

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高等小学読本巻3第14課 望遠鏡と顕微鏡

   明治44年発行、巻3から第14課「望遠鏡と顕微鏡」をとりあげる。望遠鏡で千分の1の近さから見たのと同じになること、300年前に発明され、ガリレオが改良して太陽の斑点や月に山があることを明らかにし、その後も改良され続け、新天体の発見も続いていると簡潔に書かれている。

   顕微鏡は望遠鏡の発明後間もなく発明され、蚊の口や蝶の鱗粉の拡大結果がどう見えるかが述べられ、粘土1立方cmの中に150億の動物の遺体のあることも興味ある内容である。顕微鏡を使い病原体のバクテリヤが明らかになった。これを受けて15課は「バクテリヤ」である。詳細なイラストも載っている。

      

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高等小学読本巻2第13課 廃物利用

   明治39年発行の文部省著作『高等小学読本2』、定価は7銭5厘と表示。この「第13課 廃物利用」を取り上げてみる。おはなの家に屑屋が来て、紙屑やぼろ、がらすを買っていった。おはなは母に、屑屋は買って何にするのかと聞く、という導入である。「がらす」はカタカナではなくひらがなで書かれている。

   母は屑問屋に売られ、製紙場やがらす製造場に運ばれ、紙や「らんぷのほや」のなるとおはなに話す。再利用されるので屑籠などに集めることを教える。この他に何があるのかとおはなは問う。くさった酒は酢に、貝殻は焼いて石灰にすることなどを答える。リサイクルというと今風だが、100年以上も前の教科書に載っていたことに驚きを感じる。

   全20課の目録は、秋の野山、種子の散布、イチョー、阿倍仲麻呂、助船、海ノ話、浦島子、紫式部、税処敦子、名古屋城、わが陸軍、聯隊旗、廃物利用、製紙、源為朝、一谷の戦(1)、一谷の戦(2)、アイヌ、二人の旅人と熊、笠置落

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明治43年の高等小学読本巻1

  30年程前に教育研究所に寄贈された古い教科書について昨年紹介した。その中で興味がわいた「読本」から一冊とりあげた。明治43年発行の『高等小学読本巻1』である。

明治36年に教科書が国定化され、明治40年には義務教育が4年から6年に延長された後の教科書である。尋常小学校6年を終えて進学する高等小学校、現在の中学校用に相当する教科書である。

写真で目次の一部を示したが、内容が実に幅広い、この巻1には第1~30課ある。例えば、

第3課の「真の知己」は走れメロスのような話であり、道徳の教材に使えそうである。

第5課の「布哇通信」はハワイからの便りで当時の島の様子がよくわかっておもしろい。

第7課の「頼山陽」ではその一生がコンパクトにまとまり、人となりがよくわかる伝記である。

第9課の「武器の変遷」は弓、刀、槍、鉄砲、機関銃、飛行機と武器を通して歴史が概観できる。

所々にリアルな挿絵もあり、読んでいて飽きない楽しい教科書である。全教科領域を網羅した、総合的な学習の明治版といえよう。ただ、読めない漢字も出てくるのが難点である。当時の生徒は読めたのだろうか。

巻2も読みたくなった。

12課以降は、ペートル大帝、風、太田道灌、都会と田舎、水遊び、資本、盲啞学校、言語、熱帯地方の果樹、象狩、伝染病、馬の忠義、万里の長城、共進会の模様を報ずる手紙、四季の月、盗人を誡む、害虫と益虫、スパルタ武士、母の愛

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