サーバー室のとなりから

カテゴリ:授業改善のポイント

楽しさ率と理解率の相関

  中学校理科17単元の生徒アンケート結果から楽しさ率と理解率の相関関係を調べてみた。その結果はグラフのようになった。 傾向線をエクセルで引いてみると図のようになる。

この直線の式は 理解率=楽しさ率ー20 と表せる。

この式では、生徒の楽しさ率(5と4の割合)が100%になっても理解率(5と4の割合)は80%で頭打ちになるということである。授業の限界を示すものだろうか。


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楽しさ・理解率は学級が違うとどうなるか

  グラフは中学1年理科の「楽しさ率」、「理解率」の単元ごとの生徒アンケート結果である。当時、6クラスを担当していた。「楽しさ率」で1クラスだけ他よりぐんと低いが、それ以外の5クラスを比べても20%位の差がある。「理解率」では6クラスで20~30%の差が見られる。同じように授業をしているが、これだけの差ができるのが現実である。

  学級差を少なくする、特に低い学級に手立てを考える。必要なことであるが、その手段としてICTは効果的だと思う。このアンケートは20年以上も前のもので、ICTなど考えられない時代のものだが、今ならば使える手段となった。
    

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楽しさ率や理解率の男女差は?

  授業中の様子や定期テストなどから中学生では男子より女子の方が理科が苦手だといわれている。ではこの調査結果では男女差はどのようになっているだろうか。多くの理科教員の感じ方と一致するであろうか。また、差があるとしたらどれ位あるのだろうか。

   グラフをみると楽しさ率も理解率も女子がほとんどの単元で男子を下回っているのがわかる。中には30%近く下回っている単元もある。ICT活用は女子に対して特に必要だろう。

 


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楽しさ率、理解率の低い単元は?

   全部の単元でICTを使うには準備にそれなりの時間もが要であり、難しいだろう。では優先的に活用すべき単元は何だろうか。生徒にとって楽しさ率や理解率が低い単元、まずそこから活用するべきだろう。ではこのアンケート結果からどんな単元が楽しさ率や理解率が低いだろうか。

楽しさ率年月T% 理解率年月W%
3生物61.6 63.2  3磁界と電流61.9 40.0
1力63.1 60.2  1力60.139.8
3磁界と電流61.9 60.0  1力63.1 39.8
1力60.156.2  2天気の変化61.337.6
2天気の変化61.355.9  3イオン61.5 37.0
     17単元を率の高い順に並べ替えた時、下位になる5単元を表示した。楽しさ率と理解率で若干違うが、力、磁界と電流、天気の変化は共通である。優先的にICTを活用する単元といえるだろう。こうしたアンケート結果をもとに効率的に活用単元を選ぶことができる。
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理解率の変化に規則性は

    楽しさ率は年度を通してみると一学期から三学期に向って下がる傾向がみられた。では理解率についてはどうだろうか。楽しさ率は感情的な因子であり、知的な理解率とは全く違う気もするが、似ている気もする。

   1986年度の3年生理解率の変化は他の年度と違って、学期が進むにつれて上昇傾向がみられる。高校受験を意識して学習に力が入った結果だろうか。しかし、他の3年度は楽しさ率と似て減少傾向がある。両率は似た変化をしているといって差し支えなかろう。


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どれ位生徒は授業をわかったと感じているか

    授業の目標に「わかる授業」をあげる場合は多い。ここではあえて「楽しい授業」を先に取り上げrたが、今回は同じアンケートから捉えた中学校理科17単元終了後の生徒の感じた理解度の分布を紹介する。

   5はよくわかった、4はわかった、3はどちらともいえない、2はわからなかった、1は全然わからなかったを示している。

   ここで5+4の割合を、「楽しさ率」と同様に考えて「理解率」と定義する。単元差がかなりあるが、その規則性は次回考える。

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楽しさ率の変化に規則性は?

   前回の中学校理科、17単元終了後の生徒アンケートの結果から求めた「楽しさ率」は分布状況から見て一定とはいえない。では変化に何らかの規則性はあるのだろうか。そこで「楽しさ率」を各年度ごとに区切って学習順、つまり4月から3月で並べたグラフを作ってみた。この結果から、中学校理科の楽しさ率は学期が進むにつれて毎年度、低下する様子が認められる。今の中学生の実態に合うかどうかは改めて調査が必要だが・・・

   ICTは年中使うにと越したたことはないが、集中的に使うとしたら年度の後半、これからの時期である。

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どれ位生徒は授業を楽しいと感じているか

    前回示したアンケートで、「とても楽しかった」5、「楽しかった」4、どちらともいえない」3、「つまらなかった」2、「とてもつまらなかった」1として中学校理科、4年間の17単元における楽しさの分布を表したものが右のグラフである。なお、単元の頭についた数字は学年である。

    このグラフは上から1年(6クラス)、2年(6クラス)、3年(4クラス)、1年(5クラス)で学習した単元の順番に並んでいる。各単元とも170~250名位の調査人数である。

   この5と4の割合(%)を「楽しさ率」と定義する。

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授業改善のポイントをさぐる

   今、活用型学力と言われるが、生きる力、新学力観の延長上にある。知識理解中心ではなく、通知票や要録に示された4~5の観点をバランスよく身につけることだろう。

   学校を卒業して大人になってから「楽しかったなあ」と思い出せる授業をしたいものだ。中身はすっかり忘れてもその印象は学ぶ意欲につながるからである。反対に大人になって授業を思い出し「○○だけは勉強したくない」となれば最悪、再び学ぶ気にはならない。活用型学力どころではない。

   これから何回か、生徒による簡単な授業アンケートの結果を紹介したい。このアンケートは古いものだが、例えばICTを効果的に使うための授業改善ポイントがわかるかもしれない。当時ICTなど夢の世界であったが、今の生徒の実態と似たものがあれば参考になるにちがいない。アンケートは次のような簡単なものであり、授業中、5分程度で実施できる。

   

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5分遅れなら何とかなるが

   

   授業開始がどれ位遅れたら影響が出るだろうか。授業内容で異なろうが、昨年度ITアドバイザーが行った同内容コンピュータリテラシー5人の授業結果からみると5分が限度10分だとカバーできないようだ。

   授業はチャイムで始め、チャイムで終わる。休み時間に食い込まない。子どもの気持を考えれば授業の大前提ではないだろうか。たとえ開始が遅れても終わりはチャイムと同時、いやできれば少々余裕をもって終わりたいものだ。  そのために授業内容を絞りこむ。授業改善の芽がそこから生まれると思う。

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