サーバー室のとなりから

カテゴリ:授業分析

理科+英語+国語の授業

 今回のタイトルからどんなことを想像するだろうか。フランダース授業分析法ならではの見方を取り上げる。1学期から2学期にかけて初任者や1年経験者の授業を15回参観する機会を得て授業分析ができた。
 授業の個々の内容にとらわれず、同じ基準で記録しているので表題のような足し算も可能である。この15人の授業を全部合わせて一つの授業とみたらどんな結果になるだろうか。
 結果のグラフ、15人の総和であり、平均像とみることもできる。
 
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スクラッチ検証授業の実施

 29年度柏市内小学校4年生全学級でのプログラミング教育実施のため、実証授業が10月からいくつかの小学校で行われている。スクラッチと呼ばれるプログラミング言語を使った2時間の授業である。25年前、平成の始めに田中北小や旭東小で1年生から6年生まで行なったロゴライターによるプログラミングを懐かしく思い出す。
 授業では1時間目にネコが往復するアニメーションの作り方を学び、2時間目はそれを応用してネズミがチーズを取りに行き、それをネコが邪魔するアニメーションを作る。
 前半の1時間と後半の1時間のフランダース授業分析結果をグラフに示す。前半は教師主導、後半は生徒主体の授業であることがはっきり出ているのがおもしろい。
  
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授業前半と後半の相違は?

   小学校の授業時間は45分である。その授業を前半か後半のどちらかしか参観できなかった場合、丸ごと1時間見た場合と比べどれ位違うのだろうか。いや前半と後半で授業はどんな相違があるのだろうか。

   そんな疑問を指導主事からいただいて、昨年、26年度のフランダース授業分析結果を見直してみた。初任者8名の小学校算数授業の前後半比較である。いつものように教師発言率と生徒活動率に注目し、8名の結果を棒グラフのペアで示した。グラフは左から右へ、1時間分の教師発言率の低→高へ並べてある。

   教師発言率では後半増加が3人、減少が5人、平均増加率12.5%、減少率11.3%で後半減少する傾向がわかる。生徒活動率では後半増加が4人、減少が3人、同じ1人、平均増加率14.0%、減少率12.0%で後半増加する傾向がみられた。これだけの結果から一般的なことは言えないが、授業の定量分析は興味深い。

   

   算数以外の教科ではどうなのだろうか、疑問は尽きない。

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教師発言率に対する先生方の思い込み

先日、小中学校の先生方15名が参加した研修会でこんな質問をする機会があった。

「小学校の授業271回を分析した結果、授業中の教師発言率の最大値は何%、最小値は何%あったと思いますか」予想は10%きざみで回答していただいた。その結果、最大値は90%、最小値10%がそれぞれ約半数で多数となった。教師は授業中そんなにしゃべっているのだろうか。
実際の分析結果は最大値が62.5%、最小値0%だったことを話すと一様に驚きの声が上がった。先生方は自分は授業中しゃべり過ぎていると思い込んでいる。実際の教師発言率を知ることは授業改善において欠かせないことがわかるだろう。なお、平均値は27%である。「実態をつかんでスタートを」そんな願いを短冊に書きたい。

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分析者による誤差(フランダース授業分析)

   久しぶりにフランダース授業分析をとりあげる。今回は分析する人が違った場合に結果がどの程度異なるかである。この分析法では15のカテゴリーを分析者が自分で判断して記録するから、判断に迷う場合も生じる。例えば、生徒の発言を単純な応答とみるか考えた応答とみるかでカテゴリーは変わる。

   長年にわたり分析してきた者と最近始めた者で同一の授業を見て分析した結果の言語比率グラフを示す。これまで常に注目してきた「教師発言率」と「生徒活動率」の誤差を比較するとプラスマイナス2%に収まることがわかる。500回を超える者でも10回程度の者でもこの程度なら本法の信頼性は高いといえよう。


 

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十数回でも百回でも

   フランダース授業分析の結果をフェイス・ダイヤグラムで表す方法がある。授業を受けている児童生徒の身になって教師主導であれば耳が大きくなり、口は小さくなる。生徒主体であれば耳は小さくなり、目や口は大きくなる。

   しかし、この顔図を作るには多くの分析結果から言語比率を5段階基準表にする必要がある。25年以上前に中学校理科13回分で作った基準で描いた中一理科授業(1984年、昭和59年)の顔図を載せる。

  当時、気がかりだったのは13回分で基準表を作って信頼性はあるのかということだった。その後、分析数が100回を超えたので新基準で作り直してみた。目がやや垂れ気味になった以外はあまり変らないことがわかった。13回と105回の結果で作った基準表の差がこんなには小さいとは、新発見である。

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授業分析の結果10(理科の学年・経年変化)

   これまで授業の学年変化や経年変化をみてきたが、前回取り上げた理科について小学校から中学校まで一貫してどんな変化があるかを調べてみたのが今回のグラフである。分析当初は生活科はなく小学校低学年で理科が行われていたので若干データがある。なお、学年内では右ほど新しいデータである。

  青い線は教師発言率を示すが、各学年内では右にいくほど下がる傾向がある。この下がる傾向は中学校で著しい。一方、ピンクの線は生徒活動率だがこの変化は教師発言率と逆で右、つまり最近になるほど上がる傾向が見られる。このことから新学力観に基づく理科授業が小学校から中学校の全学年でも進んでいるといえる。なお、  今回で授業分析の結果シリーズは終了である。

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授業分析の結果9(理科の経年変化)

  今回は授業分析数の一番多い理科についてその経年変化をみる。教師発言率と生徒活動率が年を追うごとにどのように変わっただろうか。いろいろ言葉を並べるよりもまずグラフを見ていただこう。

 

  小学校の理科授業は9年間、中学校は29年間の変化である。黒い直線は教師発言率、赤は生徒活動率の傾向線を示している。両者とも新学力観に基づく授業への移行を表す結果になっている。教師が発言をおさえ、生徒に考えさせ、活動させる形の授業が行われつつある。中学校は期間が長いだけに変化がよくわかる。

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授業分析の結果8(授業の学年変化)

  今回は学年変化が見られなかった例を取り上げる。グラフは小学校算数の授業である。データは少々古いが、分析数を増やすのは簡単ではない。この例でも丸7年かかっている。算数は学年による変化が少ない授業だということがわかったのは興味深い。

       

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授業分析の結果7(授業の学年変化)

    新年明けましておめでとうございます。三学期が今日からスタート、授業分析結果はもう少し続きます。

授業は学年が上がると変わるのだろうか。変わる場合も変わらない場合もある。今回は変わった例を取り上げる。小学校のコンピュータリテラシーを育成する授業である。授業変化を今まで取り上げた教師発言率と生徒活動率で見る。

   グラフを見る前にまず予想してみよう。小学校低学年では児童の活動が高学年より多いだろうか、少ないだろうか。生活科的に考えれば活動が増えるだろうし、そこまで任せられる段階でないなら教師の発言や指示が多くなるかもしれない。分析した授業は平成元~4年度の「ロゴライター」を利用したリテラシー育成が多く含まれる。


 

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授業分析の結果6(教師発言率と生徒活動率)

   前回は生徒活動率を取り上げたが、この生徒活動率と以前に取り上げた教師発言率との間にはどんな関係があるだろうか、今回はこの両者の相関関係を見る。教師がしゃべり続ければ生徒の活動時間は当然短くなるから両者の間には負の相関が予想できる。

   相関関係をつかむにはエクセルグラフの散布図を使うと便利である。小中学校別に相関図を示す。さらにウィンドウズ7版では傾向線の式も表示できる。グラフから「生徒活動率=100-1.3×教師発言率」で傾向線の式が求まる。教師発言率をどれ位にすれば生徒活動率がどれ位になるか予想できる。


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授業分析の結果5(生徒活動率)

   無言の生徒の活動を生徒作業率と定義し、これに生徒発言を加えたものを生徒活動率という。この両者には小中とも正の強い相関がある。新学力観でいう生徒の活動を高めるということはこの生徒活動率を高めることである。 では授業における生徒活動率の平均値はどれ位になるだろうか。

   生徒活動率の平均値は、小学校が65.0%、中学校が56.0%である。これは教師発言率の約2倍にあたる。今回も分布図を示す。 このグラフから小学校の分布の山が中学校より高い方にずれているのがわかる。これは小学校の授業における児童の活動時間が中学校より明らかに多いことを示している。

 

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授業分析の結果4(生徒積極発言率)

   生徒 発言の中で積極的に発言している割合はどれ位だろうか。積極的かどうかは発言内容が賛成や反対意見など考えた結果であるか否かで判断する。従って授業における児童生徒の思考状況を知る目安にもなる。

   分析からは生徒積極発言率の小中学校平均値は、小学校が63.6%、中学校が51.2%である。小中ともに発言の半分以上は積極的なものである。教師の予想以上に子どもたちはよく考えて発言しているといっていいだろう。

   生徒積極発言率の分布図を見ると、小中ともに5%未満が大きなピークになっているが、それに加えて70%以上の部分に授業数が集中しているのがわかる。小中学生は授業中、よく考えて発言している。

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授業分析の結果3(生徒発言率)

   今回は生徒発言率である。教師が授業時間中、平均で1/4~1/3しゃべっていることを考えたとき、児童生徒はどれ位発言しているのだろうか。もちろん平均値での話で考えるが、教師より少ないことは予想できよう。

   生徒発言率の平均値は、小学校は10.7%、中学校は8.3%である。教師発言率の平均値が小学校26.5%、中学校33.7%であるから、児童は教師の40%、生徒は教師の24%にあたる。小学生は教師の半分以下、中学生は1/4しか発言していない。

今回も平均値ではわからない分布状況をグラフで示す。児童生徒の授業における活動は発言を伴わないものもあるが、これについては稿を改めたい。

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授業分析の結果2(教師発問率)

   今回は教師発問率の分析結果である。前回、教師は1時間の授業で平均1/4~1/3しゃべっていることがわかったが、この教師発言の中で発問にどれ位時間を使っているかが教師発問率である。 小学校では中学校より発問が細かく、回数が増える。一方、中学校では一回の発問が長く なることが多い。この回数と一回の長さがどう影響するのであろうか。

   小学校の平均値は16.4%、中学校は9.4%である。小学校は中学校の2倍近い。とはいうものの小学校でも教師発言全体の2割に満たない。中学校では1割に満たない。教師はこのごく少ない時間で生徒に問いかけるわけだから、発問を吟味することの重要さが納得できる。今回もより詳しい実態がわかるように分布図を示す。


 

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授業分析の結果1(教師発言率)

   学校生活の中心である授業、その授業を分析した結果をこれから何回かにわたって載せたい。まず初回は教師発言率である。45分、50分の授業で教師は何%位しゃべっているのだろうか。もちろん教科内容や学年によって大きく差があるのは当然である。ここでは小中学校とも全教科を含む、小学校271回、中学校227回の授業分析結果から話を進める。

   授業分析はこの30年間にわたって柏や東葛飾を中心に筆者が少しずつ行ったものである。小中学校の授業における教師発言率の平均は何%位だろうか。また小中学校で平均はどれ位違うのだろうか。

   小学校の平均は26.5%、中学校の平均は33.7%である。予想より多い、いや少ないだろうか。教師は1コマの授業で4分の1から3分の1しゃべっているのが平均の姿である。平均値では分からない詳しい教師発言率の分布は図を見てほしい。自分の授業は何%位にあるのだろうか。

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