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校長雑感ブログ
10月24日(金)読書週間「こころとあたまの深呼吸」
〇27日から秋の読書週間が始まります。読書週間とは、公団社団法人「読書推進運動協議会」が推進するもので、毎年10月27日~11月9日の2週間が開催期間です。
〇昔から「秋の夜長に読書」と言われています。近頃は日没が早まり、夕方六時には真っ暗になっていますので、YouTube視聴も決して悪いとは思いませんが、読みたい本を手に取ってじっくりと読むことも楽しいものです。
〇昨年9月に柏駅近くのそれまでよく利用していた大きな書店が閉店になってしまいました。ネットでも本は購入できて便利ですが、専門書も多かったので、書架に並んでいる本を眺めるのはやはり楽しいものです。
〇11月3日(月)は文化の日で祝日ですので、読書を楽しむのにもピッタリであり、私も久しぶりに東京駅近くのさらに巨大な書店「丸善」に本を探しに出かけようかとも考えています。
〇毎年「読書週間」に合わせて標語が発表され、またポスターの募集が行われます。令和7年の標語は、「こころとあたまの深呼吸」で、下のポスターは秋空で本を楽しみが和んでいる様子が表現されています。
〇「読書はどんな世代の人にも良い」とよく言われますが、その理由は人それぞれだと思います。私は生徒が「学び続ける」資質を身につけるという視点からですと、次の点を指摘できると考えています。
1 語彙や知識が増える
これは当然といえば当然ですが、普段触れる機会のない言葉や表現方法に触れる絶好のチャンスです。またこれから様々な表現や言い回しなどを覚える必要のある生徒達には、ぜひとも読書を習慣にして欲しいと思います。更に深い知識をもつ段階の生徒は、新しい知識を学ぶたびに、自身の「的確な判断力」や「幅広い創造力」にも磨きがかかっていくでしょう。人生は決断の連続です。正しい決断のためには、できるだけ判断材料は多いほうが、決断の精度が上がります。まさに読書はその判断材料を、脳へ蓄積している行為と言えます。
2 想像・創造力や共感力がアップ
次に著者や登場人物の考え方や知識に触れたり、文章には映像がない分、自分の「想像力」で内容を補う必要があったりすることで、結果としていろいろな力が養われます。読書している際中に、「これわかるなあ」「えーっ、どうしてそうなる」「たしかにそういう考え方もあるか」というように、自分とは違う人それぞれの価値観を知り、これまでの自分の考えを見直すことにつながります。生徒たちも社会人になれば、指示待ち人間ではいられません。与えられた情報や仕事をもとにして、どんどん新しい仕事を創り出していかなくてはならない状況に置かれます。日本ではどうしても「創造力」を高める教育が後回しにされてきた傾向にあり、読書により「想像・創造力」をアップさせることが有効だと思います。
〇本の読み方の一つは、自分の興味のある内容をとにかく掘り下げるように、幾つもの同じようなテーマの本を連続して読む方法があります。また一方でさまざま分野の本を読んでみることは、一見つながりのない分野どうしを結びつけて、新しいアイディアが生まれる可能性があります。
〇要するにこれは必要ないと早々に決めつけずに、少しでも興味をもった分野は、片っ端から読書してみると、幅広い視野の形成にきっと役立つはずだと経験から感じます。今度機会をみつけて、お子様の本の読み方を少し尋ねてみてはいかかですか?
〇3年生の校長面接の際も、「最近読んだ本とそのあらすじや感想を教えてください」と質問しています。多くの生徒は堂々と自分の考えを述べた上で、「読書の時間は別世界に入り込んでいる感じがする」のような感想も多いです。「本は一生の友」と言えるような生徒が一人でも多くなるように願っています。
須藤昌英
10月23日(木)個性は可能性
〇3年生との校長面接では入試本番を想定し、生徒は制服を着て校長室に入室してきます。彼らは入学してからはフォーマルな服装として、制服を着ることに慣れていますので、よく似合っています。生徒たちとは着ている制服の話をする時間はほとんどありませんが、ふと思い出したことがありました。
〇今から25年くらい前に学級担任をしていたころ、生徒たちと当時の学校の制服について、何度か話し合いしたことがありました。生徒たちは、「決められた制服や頭髪の基準、またそれらの身だしなみなどの約束があるのは窮屈な気がする」と言っていました。
〇もちろん私自身が中学生の頃も同じでしたが、その時の柏中学校は全校生徒が二千人いて、「中学校の時だけの決まりだし、みんな同じだから・・」と感じるくらいで、担任をしていたクラスの生徒たちのように「自由がない、窮屈」とまでは思いませんでした。
〇そこで当時、あるインタビュー記事で映画監督の大林宣彦氏が、「制服」について学生に語っている文を見つけ、学級通信に掲載しました。紹介します。「確かに制服はみんな同じで変わらないかもしれないけれど、その人が読んだ本、聴いた音楽などによって、まずその人の目の輝きや語る言葉が変わってきます。そうするとその同じ制服を着ていても、『個性』が出てくるんです。制服はファッションではなく、【心のあらわれ】です。同じものを着て窮屈で嫌と感じるとすれば、君の言葉を磨きなさい。君の目の輝きを磨きなさい。そうすると君の着ている制服は、君だけに似合う『個性』になるよ、と言いたいですね」
〇映画監督は一つのテーマをいかに表現するかをいつも考えてそれを仕事としており、その「表現のプロ」が言っているので、言葉に重みがありました。私は学級通信に自分の解釈として「つまり表面ばかりに目を奪われて本質を磨くことを忘れてはいけないということを教えてくれていると思います」と添えました。もちろん生徒たちはすぐに納得していたわけではありませんでしたが、生徒たちの疑問に寄り添いつつ、教員として一緒に学んでいたことは忘れることはありません。
〇また大林氏はこうも言っていました。「制服というのは対話の手段なんです。人間どうしは対話をすることでお互いを理解しようとします。対話とはお互いの違いを知る作業で、君と僕はこれだけ考え方が違うんだね。だからお互いに価値がある。これが共存共栄の意味だと知るわけです。違いを知るためには、一つの同じ土壌にいなければダメなんです。そのルールが制服だと思えば、制服を着せられたからみんな同じだと思うのではなく、同じ制服を着ているけれど、僕はこういう言葉を語るし、君はこういう言葉を語る、そうするとその制服が違って見えるということからも、個性を鍛えることができると思いますね」
【大林宣彦氏:1938年~2020年】
〇後半の言葉は、当時大人であった私も深くうなずくものでした。今、校長面接をする生徒がたとえ同じ制服を着ていても、それぞれの生徒の個性はよくわかります。大林氏の言うように、個性は制服の下から湧き出てくるようなもので、「個性=可能性」ですので、逆に制服だけで個性(可能性)が無くなるなどは、空論に過ぎないと感じています。
〇今年度からは柏市標準制服(ブレザータイプ)も本格的に導入されました。生徒や保護者にとっては、従来の制服か新しい制服かの選択肢が増えます。本校の生徒が、制服についてどう思っているのか。今度何かの機会で、尋ねてみたい気がしました。
須藤昌英
【柏市標準服(ブレザータイプ)】
10月22日(水)デジタル機器の使用と子どもの近視
〇タブレット端末やスマートフォンのようなICT(Information and Communication Technologyの略)、いわゆる情報通信技術に関わるデジタル機器の使用が増え、子どもの近視がそれに比例して増加していることが課題としてあります。文部科学省の学校保健統計によると、裸眼視力1.0未満の児童・生徒の割合は、小学校で3割を超え、中学校では6割程度です。
〇私の感覚でも、眼鏡やコンタクトレンズを着用している子どもは、2~3割くらいはいると感じています。学校生活への影響としては、まず「授業中の黒板の字が読み取りづらい」があげられます。これは授業の基本的な流れとして、教員の説明を聴覚で認識し、同時に視覚でその説明を補うので、とても心配な面です。
〇また今の授業では、黒板の半分をプロジェクターの画面を写すスクリーンとして使用する場合が多いので、どうしても板書のスペースがせまくなり、以前よりも教員の書く字が小さめになっていることもその影響の背景にあります。
〇眼科医の多くは、デジタル機器の使用増加が、子どもの近視になる年齢の低下や近視の進行が早まる一因だと指摘しています。特に画面の小さいスマートフォンは近くで見がちなので、一定の距離をとる方が良いようです。
〇一般的に目の健康を守るためには、読書や学習などで近くを見る時には30分程度ごとに休息したり、室内を明るくする、定期的に外の景色をぼんやりとながめたりすることなどが有効だと言われています。
〇学校検診の視力検査で異常が分かったら眼科を受診し、眼鏡などの矯正が必要な場合には、精密な検査の上で眼鏡などを作ることが大切です。特に視力にあった度数で、しかも正しい位置で眼鏡をかけるのも重要です。
〇この問題は日本だけではなく、近視人口が爆発的に増えているアジアの国々でも、様々な近視予防が国をあげてとられています。その一つが子どものスマホ使用規制です。
〇例えば台湾の「法律によるスクリーン時間規制と屋外活動奨励」は有名です。台湾は1980年代から近視予防の取り組みを行ってきている近視対策の先進国です。2010年、屋外活動と近視予防の関係性を示す研究結果に基づいて、1日2時間以上の屋外での活動の導入を開始しました。この屋外活動の導入を進めてから近視の発症率が大きく減少し、進行も大幅に遅くなるとの結果を受けて、2013年には、体育の授業に関する法律が改正され、週に2時間半(150分)以上の屋外運動の実施を法制化しています。加えて家庭においては、親に対して子どもに電子機器を長時間使わせないことが、法律で義務付けられており、罰則もあります。
〇また大国の中国でも近視増大への国家的対策が講じられています。2018年に包括的な「児童青少年近視予防・抑制プラン」を策定し、2030年までに全国の児童青少年の近視率を6歳の児童で3%程度に、小学生で38%以下に、中学生で60%以下に、高校生で70%以下に、それぞれ引き下げるという数値目標が掲げられています。人口が日本の14倍ですので日本以上に相当深刻な問題となっているようです。
【日本眼科学会ホームページ:近視眼】
〇ブルーライト(青色光)と近視の関係もいろいろなことがわかってきています。近年はデジタル機器の液晶画面から発せられるブルーライトに対し、ブルーライトカット専用の眼鏡が近視等に有効であるとされ、私などもここ数年はパソコン使用時には必ず使用しています。
〇しかし最新の研究では、ブルーライトカット眼鏡を使用しても、通常のクリアレンズと比較して有意な差は見られなかったという結果もあるそうです。実際に太陽光にもブルーライトが豊富に含まれており、先ほどの研究では、液晶画面からのブルーライトは曇天時の自然光よりもはるかに少なく、眼に有害である可能性はないと報告されています。
〇むしろ太陽光は、近視の進行の抑制に特に重要であることが知られるようになり、台湾のように子どもが屋外での過ごす十分な時間を確保し近視の減少に成功している国も増えてきています。本校でも昼休み等にグラウンドで身体を動かす生徒たちは、ストレス発散の他に近視の予防という良い面もあるようです。
〇ただ太陽光は適度に浴びることが心身を健康に保つため極めて有用ですが、ブルーライトは体内時計に関与し網膜を介して覚醒を促すホルモンの分泌を促します。夕方以降に大量のブルーライトを浴びることは「睡眠障害」を誘発する可能性があるので、そのためにブルーライトカット眼鏡を装用することは無意味ではないと考える専門家もいるようです。
〇いずれにせよ一生涯にわたり、健康な目を維持することは重要であり、デジテル機器の有効性をいかしつつ、バランスのとれた使用方法を考えていく必要があります。
須藤昌英
10月21日(火)キンモクセイの香りと合唱活動
〇今月に入った頃から道路を歩いていると、所々で金木犀(キンモクセイ)の甘い香りが漂っていました。思いがけずふいにその香りに出会うと、思わず深呼吸したくなるのがキンモクセイの香りです。この香りは毎年私にとって、夏の終わりそして秋の始まりを知らせてくれる風物詩です。
〇キンモクセイは芳香剤としてもおなじみの強い香りを放つ花が特長です。調べてみると、その香りは、遠くまで届くことから古くは「千里香」とも呼ばれていたようです。秋に濃いオレンジ色の小花をいっぱいにつけた姿は、日差しを受けると名前の通り金色に輝いて見えます。
〇キンモクセイの花が咲くのは9月から10月にかけての時期ですが、花が咲いている期間は短く、数日から1週間程度で散ってしまいます。花の香りを強く感じやすい天気は、晴れよりも曇りの日です。曇りの日は湿度が高い、つまり空気中の水蒸気が多いため、香りの分子が空気中に留まりやすくなるようです。また、風が穏やかであると、さらに長い間香りを感じられます。
〇4月から本校にキンモクセイの木があるかと探しましたが、残念ながら見当たりませんでした。昨年の今頃、前に勤務していた学校の学区にあるお宅で、背の高い花満開のキンモクセイの木を高所作業車で伐採しているのを通り掛けに見かけました。何かしらの事情があるのでしょうが、「もったいない」と思いました。もし移植できるならば、学校で譲り受けたかっと一瞬思いましたが、時遅しでした。
〇本校の東側斜面にでも今度、キンモクセイの苗木を植えてみようか?と思います。
〇11月7日(金)の学校公開日の最終日に行う合唱フェスティバルに向けて毎日、各クラスとも練習に余念がありません。校長室にも各教室からの歌声がよく聞こえてきます。
〇今日からは特に帰りの会を延長し、パート練習や部分的に合わせての合唱に取り組んでいます。練習場所も体育館、第一音楽室、第二音楽室など、グランドピアノがある部屋を割り振り、本番当日を意識した練習を行います。
〇1・2年生は混成3部ですが、3年生だけは混成4部(バス・テノール・アルト・ソプラノ)なので、学年が進むにつれてレベルが少し上がっており、大変ですがよく頑張っています。
〇合唱については私も昔、生徒だった時代にいろいろな思い出があります。特に私が在籍していた柏中学校は、各学年とも15クラスずつあったマンモス校(全校生徒二千人)でしたので、全生徒そろってのコンクールを行う広さの体育館等は当時ありませんでした。
〇仕方なく学年ごとに行っていましたので、自分たちの学年以外の合唱は聴いたことがなく、先輩や後輩との交流もありませんでした。1年生のときに、2年生や3年生の歌声を聴くと、その大人っぽい合唱に驚愕したり憧れをもたったりするものです。
〇その学年の中での最優秀賞を2・3学年の時に獲った思い出は、今でも旧友と会って話をした際にはその話題になります。私も多くの友人も正確に楽譜が読めないレベルで参加しましたが、ともかく歌いこんで身体で覚えるしかないと練習し、当日も緊張しながらも楽しむことができたところがよい思い出になっています。
〇今の生徒たちは練習の際に、手持ちの楽譜に注意点などをいろいろと書き込みをしたりしており、私たちの時に比べて「とても真面目だな」と感心してみています。私などは「何となく音が取れていれば大丈夫」などとタカをくくっていました。ともかくみんなで声を合わせるなどの気持ちの高揚感に触れることが一番だと思っています。
〇そもそも音楽(合唱)の力の一つとして、「聴いている人の感情に訴えかける」があります。音楽を聴いていると、楽しいや悲しいなどの喜怒哀楽が出てきたり、普段あまり考えないことも考えさせられることがあったりします。
〇また同じクラスのメンバーとして歌うことで、その練習段階でいろいろな問題が発生します。しかしそれを自分たちで話し合いながら解決していくことも、その後のクラスにとって良い経験になることは、私もクラス担任をしていたときに毎回実感していました。
〇運動でいえば例えば先日の駅伝は、何も道具を使わずに自分の身体能力だけで挑む競技ですが、同じく音楽の中でも合唱は、自分の声だけを一つの楽器として響かせ、クラスの仲間とハーモニーを奏でることでは、共通点があると思います。
〇人間は普段から、大半は目でみるなどの視覚による情報で生活しています。しかし時には、前述のキンモクセイの香り(嗅覚)や合唱の和音(聴覚)を働かせて、それを楽しむことも必要であり、それが豊かな毎日になるのでは・・と思います。
須藤昌英
10月20日(月)第77回東葛飾地方中学校駅伝大会
〇選手は早朝6時に学校に集合し、各中継所にタクシーやマイクロバスで出発しました。9時に松戸市民劇場前をスタートし、11時前に野田市総合公園陸上競技場にゴールしました。全長32㎞を10名の選手が襷をつなぎました。
1区 富山 航さん(2年)
2区 中野健歩さん(3年)
3区 石井陽路さん(3年)
4区 原 葵已さん(3年)
5区 山田結心さん(3年)
6区 軍司漱磨さん(3年)
7区 若佐 瞬さん(2年)
8区 篠原歩夢さん(3年)
9区 鈴木大遥さん(3年)
10区 石川遥馬さん(3年)
〇各中継所には、選手以外に付き添いの生徒がいて、選手をサポートしています。有名な正月の箱根駅伝のように、沿道には多くの方々の声援があり、選手はその中を自分のベストの走りを目指して激走しました。
【東葛飾地方中学校駅伝競走大会のちょっと裏話】
〇朝は曇り空で肌寒く心配しまたが、9時前から青空が見え始めました。選手は各中継所でアップをし、前の選手がつなぐ襷を待ちます。
〇スタート地点の松戸市民劇場前の道路周囲には、多くの選手と付き添い、応援の方々が集まっていました。土中の黒のユニホーム(ゼッケン番号203)は、75人いても見分けやすかったです。
〇全10区間で75校が参加していますので、走る選手だけでも750名、それに付き添い生徒や職員がいますので、2000名くらいの関係者がこの日のために協力して成り立っている大会です。
〇午前9時一斉にスタート、コースの沿道は、広報車、審判車、白バイが先導し、最後は救急車も走っている本格的な駅伝です。32㎞の沿道には東葛6市から交通整理員として応援に駆け付けた教職員、各市の警察署および交通安全協会の方々が等間隔でズラッと並び、特に選手が通過する時間帯のみ、大きな交差点の信号は常に青になるように警察官が信号機を操作しています。
〇ただすべての市民が心から応援してくれているわけではなく、しばらく信号が赤のままの車線にいる車は、次第にイライラし始めて、例年警察官などに文句を言っている姿も見られます。
〇私はスタートをしてしばらくの場所でレースを見届けた後、近道をバイクで走り、一足先に野田市総合運動公園上競技場でゴールを待っていました。途中の順位は、付き添いの各職員からLineで報告があったり、J―COMのYou tube放送が流れていたりしましたので、スマホやイヤホンで状況を確認できました。
〇陸上競技場に10区の生徒が滑り込んできた時は、ここまで「赤色の襷」を30㎞以上にわたってつないできたことに、毎回のことですが感動しました。結果は、75校中58位(1時間53分09秒)と立派な成績でした。走り切った選手たちの顔にも安どの笑顔がありました。
〇私は以前、9つある中継所の一つの責任者をしたことがありました。各中継所では75校の選手と付き添い生徒、引率の教職員が狭い場所にごったがえしています。まず各校でシートを敷いて、荷物置き場と選手の待機スペースを確保することから競いあいます。
〇そして特に「コール(スタートまえの出場選手本人確認)」が2回あり、もし遅れるとその学校は失格になりますので、各校ともその時間はピリピリした緊張感があります。またコールの際には、大会専用のゼッケンが身体の前と後ろの規定の位置にきちんと装着されているかも厳密にチェックされます。
〇並行して前区の選手が通過する予定時間を常に頭に入れながら、中継所の近くでアップをしたり、体温が下がらないように毛布で身体をくるんだりと、選手はもちろん付き添いの生徒や引率の先生方も大変で、「一つのチーム」にならないと、選手をサポートできません。
〇そして襷の受け渡しの際は、大きなスピーカーで前区の速い学校のゼッケン番号が呼ばれ、そこでやっと中継地点に立てます。もし前区の選手がダンゴ状態で走ってくると、次の選手は大きな声と手を挙げて、自分の学校の選手を呼びます。
〇そして前の選手が倒れ掛かって渡したり、時には次の走者がひったくるようにして襷をもらいダッシュしたりていきます。この風景は、箱根駅伝などでもよく見ると思いますが、そのように実際に観戦の皆さんは、選手の走っている姿の裏に、様々なドラマを目の当たりにしています。
〇同日に東京では、正月の「箱根駅伝」の予選会が行われていましたが、こちらも大勢の人が声援していたようです。このことを通しても、日本人は駅伝が好きことがよくわかります。
〇この駅伝大会を経験し、将来は箱根駅伝に挑戦しようとする選手がいることでしょう。選手の皆さん、お疲れさまでした。これからも走ることを楽しみ、自分の特技として人生の支えにしてください。
須藤昌英
10月18日(土)生徒会引継ぎ式&前後期切り替え式
〇昨日の5校時、今月より先輩から後輩へとバトンタッチされた生徒会役員・委員長の引継ぎ式と前後期切り替え式を行いました。
〇まずこれまで活躍してきた旧委員長と生徒会役員からのあいさつがあり、続いて新たに3年生から生徒会組織を受け継いだ各リーダーから決意表明をしました。
【旧生徒会役員】
会長 米山涼さん(3年)
副会長 軍司漱磨さん(3年)
副会長 三浦唯人さん(2年)
執行部 鈴木大遥さん(3年)
【新生徒会役員】
会長 三浦唯人さん(2年)
副会長 酒井塔子さん(2年)
副会長 齋藤小春さん(1年)
執行部 嶋根真菜さん(2年)
執行部 堀川瑚夏さん(1年)
【旧委員長】
学年委員長 池田皇羽さん(3年)
生活委員長 小谷野桜子さん(3年)
美化委員長 江藤大雅さん(3年)
学習図書委員長 増田咲幸さん(3年)
給食委員長 三田村咲和さん(3年)
保健委員長 久保詩音さん(3年)
歌声委員長 山田結心さん(3年)
放送委員長 小林祥子さん(3年)
【新委員長】
学年委員長 篠崎琉華さん(2年)
生活委員長 染谷琉惺さん(2年)
美化委員長 志村羚弥さん(2年)
学習図書委員長 渕上佳栄さん(2年)
給食委員長 間野結心さん(2年)
保健委員長 荒井優大さん(2年)
歌声委員長 上田翔太さん(2年)
放送委員長 矢萩日菜さん(2年)
〇今年度の後期は、このリーダーたちによって、生徒会活動の目的である「自立・自律」に向けて活動を行っていきます。土中生徒会は全生徒228名を会員とした大きな組織です。組織には「リーダー」とその人たちを助ける「フォロワー」が欠かせません。フォロワーがリーダーに正しい情報を教えたり、リーダーの意思を具体的に行動に起こしたりすることにより、組織は成り立ちます。
〇そして特にリーダーは、「一番上のことと一番下のことを行う」ことが必要です。「一番上のこと」とは、組織全体が成長していけるように今後の方針や予定を示していくことです。それに対して「一番下のこと」とは、日頃から挨拶や清掃など基本的な生活習慣を身に付けてそれを自然に行えることです。
〇今月に行われる内閣総理大臣を指名する臨時国会を皮肉るわけではありませんが、リーダーが偉そうなことだけ言って、やるべきことをやらなければ、フォロワーはそのリーダーを信頼することはなく、結果としてその組織は成長できません。
〇本校のリーダーたちには、そういう人はいませんが、将来いろいろな組織で活躍していく彼らには、学校生活で「リーダー」「と「フォロワー」の両方の経験をしてもらいたいと願っています。
〇その後の前後期切り替え式では、ホームページのトップ画面にある「國分先輩への質問の回答」を紹介しました。10人の教員に國分教授の回答を読んでもらい、それぞれ一言ずつそれを読んだ感想を述べてもらいました。
〇國分教授は中学生でもわかるように、かみ砕いた説明をしてくれましたので、生徒たちにも何かしら参考になるところがあると思います。来年の創立80周年記念イベントには、國分教授に来校していただき、生徒との対話集会をこれから生徒会と一緒に企画していく予定です。
須藤昌英
10月17日(金)東葛駅伝壮行会
〇明日は第79回東葛飾地方中学校駅伝大会が行われます。そのために全校生徒で選手を応援する「東葛駅伝壮行会」を、昨日の6校時に実施しました。
〇まず駅伝部顧問の千葉教諭より、選手紹介とコース(全32㎞)説明をしました。
〇1区を走る選手に、校長から「襷(たすき)」を渡しました。襷には赤地に金色の刺繍で「柏市立土中学校」と書いてあります。このタスキを10区までつなぐのが最終的な目標です。
〇次に各選手の決意表明がありました。これまで練習してきた気持ちや当日の目標タイムを堂々と発表していました。
〇3年の工藤さんが全校生徒を代表して、激励の言葉を送り、最後に校歌を歌いました。選手も神妙な顔で聞いていました。
【東葛駅伝壮行会での校長の話】
〇日本では古来から中央と地方の情報伝達の方法として、飛脚が文書などを運んでいました。江戸時代には飛脚の健脚を競うコンテストがあったらしく、優勝すると皆からの憧れの的になったとの記録もあります。
〇襷(たすき)は、武士が真剣勝負するときに両肩にすることからきているといわれており、そこから1本のたすきをつなぎゴールを目指すことが、日本人には性に合っていたのかもしれません。
〇駅伝は日本発祥のスポーツで、その他の相撲、剣道、柔道、空手等と同じく世界に知られており、最近は「EKIDEN」でと書けば世界に通じるようになっています。
〇近代駅伝の歴史は、約100年前に、京都から上野(514km)を昼夜かけて走り、3日間で競い合ったそうです。
〇東葛駅伝は、今年(令和7年)は昭和100年であり、昭和23年(12校参加)から始まっているので、77年の歴史があります。土中が昭和22年創立ですから、ほぼ同じ時期にスタートしています。当時の中学生は、現在90歳くらいになっているのを考えると、歴史を感じます。
〇土中は過去に、優勝三回(昭和50、54、55年)、準優勝三回(昭和51、52、53年)と強豪校として、その名前が知れ渡っていました。その当時私は柏中学校の生徒でしたが、駅伝だけは土中にかなわなかったことを今でも覚えています。
〇東葛飾6市(柏市 松戸市 流山市 野田市 鎌ヶ谷市 我孫子市)から75校が参加します。箱根駅伝でさえ20校ですから、その3倍以上の出場校数です。
〇東葛駅伝は日本で唯一(中学生が一般公道を白バイが先導で、一人約3kmを10人で約30kmを走る)の大会で、毎年沿道には多くの人が応援に来ています。
〇私が思うに「駅伝の魅力」は、ルールがシンプルだからこそドラマがあり、ごまかしがきかない(選手どうしの駆け引きが難しい)ことです。また「駅伝の魔力」みたいなものもあり、それはその日の選手の体調や心の状態に大きく左右されることが多く、最後まで結果はわからないことです。
〇明日、私も自分の白バイで応援に行きます。秋の空の下を各選手が無事に完走できることを祈ります。
須藤昌英
10月16日(木)モチベーションと上手に付き合う
〇毎月学校には、いろいろな小冊子の寄贈があります。各団体が発行しているもので、せっかく送料もかけて送ってくださっているので、時間がある時は目をとおすようにしています。
〇PHPという月間冊子の7月号に、臨床心理士の関谷裕希氏が、表題の文章を投稿しています。一部を要約して紹介させていただきます。
やる気やモチベーションというと、自分の心の問題のように思えるかもしれませんが、私たちのモチベーションは、置かれている環境や、そのときどきの状況の影響を受けています。たとえば、読書感想文にやる気が出ず、結局ギリギリまで手をつけられない場合、課題の内容があいまいすぎることが、その一因かもしれません。ただ「感想を書け」と言われるのではなく、「主人公の考え方や行動に共感できた部分とそうでない部分を、理由もあわせて書いてください」と言われたら、とりかかりやすくなるでしょう。(途中略)こんなふうに、やる気やモチベーションが上がらないのは、あなたのせいではありません。モチベーションの仕組みを知ると、もっと自分のモチベーションと付き合いやすくなります。
何かに取り組むときのモチベーションの状態は次の4種類です。
【①やる気なし】
【②仕方なくやる】
【③大切だからやる】
【④楽しいからやる】
普段の活動を振り返って、自分のモチベーションはどの状態かな?と考えてみてください。①➡②、②➡③、③➡④とモチベーションを変化させるコツを紹介します。
【①やる気なし】➡【②仕方なくやる】
とにかく最初の行動を起こすために、「行動スイッチ」を押す必要があります。おすすめなのは、「もっと頑張らないと!」と自分をアメとムチで奮い立たせるよりも、親友を励ますように、自分にやさしい気持ちを向ける方法です。心理学では、セルフ・コンパッションと呼ばれます。やる気が出ない時に、「こんな状態ではダメだ!」と自分を責めるのではなく、「やる気が出ないこともあるいよね」「モチベーションを上げたくても上がらないのも苦しいものだよね」と自分に声をかえるのです。少しホッとした気持ちになって、モチベーションが自然と回復してきます。
【②仕方なくやる】➡【③大切だからやる】
「大切スイッチ」を押すために、自分がやっていることの価値や意味に注目します。たとえば、今やっている勉強や仕事が、五年後や十年後の自分にどう役立つのかを考えてみると、見え方が変わってくるかもしれません。毎日の掃除ならば、「クラスみんなが気持ちよく過ごせる環境づくり」につながっていると思うと、大事な仕事だと認識し直せます。
【③大切だからやる】➡【④楽しいからやる】
ここでは「喜びスイッチ」を押していきます。注目するのは「自分らしい楽しさ」です。「楽しいといっても、その種類は人それぞれ違います。だからこそ、自分に合った「楽しさ」のツボを見つけることが大切です。そのツボを日々の活動や学習に取り入れるのです。そう言われても、「自分らしい楽しさ」ってどうやって見つけるの?という方は、小さいころに好きだったことをヒントにしてみてください。たとえば「小さいころ、昆虫採集が好きでした」という人が5人いたとしても、実は楽しさのポイントがみんなバラバラです。
・「採集するのが好き」➡何かを探して手に入れるのが楽しい
・「こんな昆虫がいたと誰かと共有するのが楽しい」➡発見を伝えるのが好き
・「昆虫の絵を描くのが好き」➡観察して表現するのが好き
・「標本にしてコレクションするのが楽しい」➡体系的に整理・観察するのが好き
・「飼って育てるのが楽しい」➡生き物の成長を見るのが好き
このように、同じ「好き」「楽しい」でも、そのツボは人によって異なります。自分らしい楽しさのツボを探って、それを学習や活動に取り入れることで、「楽しいからやる!」という感覚が生まれるのです
〇まず、「やる気やモチベーションが上がらないのは、あなたのせいではありません」というところでホッとした気持ちになります。いくら頑張ろうと思っても、思いとおりにならないことは必ずあります。そんな時は私も、「自分の意思が弱いからだ・・」と自分を責めるようにしてきました。
〇しかしそういう自分も認め、自分にもやさしい気持ちを向ける「セルフコンパッション」こそ、次の新たなやる気やモチベーションを引き出すためには不可欠なことだと再認識できました。
〇やはり理想は4段階の最後である「楽しいからやる」だと思います。説明では昆虫採集が例として挙げられていましたが、好きなことは人それぞれみんな違うので、自分にあてはめて考えると良いと思います。
〇私にあてはめて考えてみましたが、40年続けてこられた教員という仕事もここ数年になってやっと、【大切だからやる】から【楽しいからやる】になってきたか?と思います。
〇この二つの差は、前者は教員としての義務的な気持ちがまだありますが、後者はもちろん教員としての責任感はベースにもちつつ、純粋に生徒たちの成長を実感できることの楽しさの方が大きい気がします。
〇生徒たちにも「モチベーションと上手に付き合うには?」について、機会を見つけて話したいと思います。
須藤昌英
10月15日(水)「暇」と「退屈」の違い
〇先日の夕方から夜にかけて、我が家に3回も宅配業者が訪れ、玄関先に「置き配」をしてくれました。ご存知の通り「置き配」とは、配達員さんが直接手渡しする代わりに、玄関前や宅配ボックスなど指定した場所に商品を置いてもらう非対面型の配達サービスのことです。
〇従来は住民が不在の場合、配達員が荷物をいったん持ち帰り、再度配達していましたが、あまりにもその非効率さが問題となり、もし在宅していなくても受け取れる方法を模索していたようです。
〇「置き配」が認められて、再配達の手間が省けるとともに、各自ライフスタイルに合わせて便利に荷物を受け取ることができます。
〇我が家も家族が別々にネットで「ア〇〇ン」に注文しますので、先ほどのような一晩に数回も別々な荷物が届くことがあります。注文する物は、水などの日用品、身の回りの雑貨、本などです。
〇私も最近は本の購入をする際に書店に行くことが減り、ネット注文が多くなりました。それまでは書店に出向き多くの本の中から目当ての本を探していました。また、もし欲しい本がなくても取り寄せを依頼し、数日後にまた取りに行くのが当たり前でした。
〇しかし今はネット注文で、はやい場合には翌日中に自宅に届くので、どうしても以前のように書店まで行くことを避けるようになっています。それでも書店には行けばそれなりの魅力があるので、まったく行かないわけではありません。
〇先日に届いた荷物の一つは私が注文した本で、ただ2冊だけだったので、こじんまりとした包装で、玄関先にちょこんと置いてありました。正直に言えば「便利だけど何回も配達してもらって申し訳ないな」という気持ちが一晩消えませんでした。
〇昨日も東京大学大学院の國分功一郎教授の著書『『暇と退屈の倫理学』を引用し、私が感じた「消費」と「浪費」の違いを書きました。その題名のとおり、國分教授は「暇」と「退屈」の違いについても、現代人が豊かさから得た「暇」を持て余し、それを消費社会が「退屈」の気晴らしに利用している状況を哲学者として分析しています。
〇一部を引用させてもらいながら、「暇と退屈の区別」について、自分が感じていることを書きます。
〇まず「暇」は客観的に何もすることがない状態であり、例えば私が書店に行く時間がなくなったことで、自宅にいながらも読みたい本が受け取れ、さらにその本を楽しく読むなどの時間的な余裕が生まれたことです。これは自分にとっては好ましいことであり、少なくとも不快感とはほど遠いものです。
〇それに対し「退屈」は、「暇」がもたらす主観的な不快感であり、もし私が先ほどように得た時間的な余裕を、「退屈」を避けるために、ダラダラとスマホで動画等を観る娯楽に興じていたとすると、結局最後には、「何となく無駄な時間を過ごしてしまったな。その分本でも読めば良かった」などと後悔(不快感)を抱くようなことです。
〇國分教授は、食事中や休憩中にスマホを何となくいじる(ながらスマホ)時間などは、「退屈を紛らわせるための【気晴らし】に過ぎず、それに依存し続けても、本当の満足感を得られない」と指摘しています。さらに、「自分自身の頭で考え、退屈との付き合い方を編み出していくことが、各自の【暇と退屈の倫理学】を構築する鍵となる」とも述べています。
〇現代人は仕事や家事の一部を機械やロボットが代役してくれるようになった分、時間的な余裕(暇)を持てるようになりました。ただその余裕を、自分が本当にやりたいことを味わうようにすれば決して「退屈」を感じることはありません。
〇もったいないのは、その暇を意識もなくながらスマホなどをして何となく過ごすことだと思います。これはむしろ子どもよりも大人の方が余計に気をつけないといけない・・かもしれません。
〇同居している二男は、親子ネコがトレードマークの宅配会社に就職して数年が経ちます。彼と前記の再配達の問題なども時々話をしますが、「会社も依頼者の要求にできるだけ応えるように改善策を考えているけど、人手が足りないことなど課題も多い」と教えてくれました。
〇それ以来、無暗にネット注文することなどは止めるようにしています。
須藤昌英
【「暇と退屈の倫理学」は高校の教科書に掲載されました】
10月14日(火)「消費」と「浪費」の違い
〇三連休の日曜日、朝自宅を出てすぐにスマートフォンを道路に強く落下させてしまい、慌てて拾い上げました。その瞬間に嫌な予感が走りましたが、やはりいくら電源を入れようと試みても、画面は真っ黒のままで全く反応しません。
〇それでも着信音は鳴るので外とはつながっているらしく、可能性が低いのはわかっていましたが、1時間おきくらいに再度電源を入れるなどの「悪あがき」をしていました。でもどうやら液晶画面が破損したようでした。
〇その日は新潟県まで行く予定があり、帰るのは翌日でした。本来ならばすぐに携帯電話ショップに行きたいところでしたが、仕方なくネット予約で翌日の帰宅後に店に行くようにしました。
〇久しぶりにスマホを見ない2日間でしたが、どうしても「緊急の連絡が入っていないか?」との心配だけは消えず、常に不安でした。普段からどれだけスマホに依存してきたことが、身に染みて実感できました。
〇そんな時、本校の卒業生である東京大学大学院の國分功一郎教授が、その著書『暇と退屈の倫理学』の中で、「消費」と「浪費」の違いについて書かれていることをふと思い出しました。この夏に読んだばかりでしたので、記憶に残っていたのでしょう。
〇國分教授は、現代の「消費」を、用意された快楽をただ受動的に受け取る行為と批判し、それに代わるものとして「浪費」と「贅沢」を再定義しています。私もそれまでは、「消費」と「浪費」はただの類義語くらいしか認識していませんでしたが、読んだときに「なるほどこういう区別もありか!」と思ったのでした。
〇「消費と浪費の対比」について簡単に紹介させてもらうと、「消費」は、現代社会において、多くの人が暇を持て余し、退屈しないように用意された快楽に身を委ねてしまう状態のことであり、例えば用もないのに常にスマホをいじっていることでしょう。常に受動的で、送られてくる情報をただ受け身の姿勢で受け取っているとも言えます。
〇一方で「浪費」は、「贅沢(ぜいたく)」とも関連していますが、「物を受けとること」に「楽しむ」という能動的な意思が加わった状態のことであり、物事の背景やその本質をより深く知ろうとし、そういう知的な楽しみ方を増やす行動です。「学びながら楽しむ」ことで、より豊かな体験を得ることを目指す姿とも言えます。
〇私たちはグルメとまでいかなくても、たまには美味しいものを食べるなどの贅沢をするときがありますが、その時、満足し幸福を感じたりしながらも、その反面心中で少し罪悪感をいだいたりします。これは「贅沢」が「余剰」であって「必要」とは対立するものとして捉えられているためです。
〇ただ美味しいものを際限なく食べ続けることはできず、「贅沢(浪費)」は満足すると止まります。國分教授はこれを「浪費の対象が食べ物や洋服、その他の【モノ】であるのに対して、消費の対象は【観念】である」と指摘しています。
〇例えば今回私はスマホの再購入を余技なくされましたが、携帯会社ショップでは若い店員さんが、新しい機能やより大きいメモリ量等に関して、様々な「お勧め」の提案をしてくれます。
〇でもその際、「確かにバージョンアップされたスマホを使えば今よりもさらに便利かもしれないが、自分が通常の生活でそこまでその機能を使うのか?」という視点で考え、多くの提案に対し、「それは不要なのでけっこうです」と断りました。
〇スマホの本体価格や月々の通信料を考えると、私にとってスマホはまだ「贅沢(浪費)」の部類に入ります。ただ仕事や外部との連絡等にはもう欠かせないモノであるので、ある意味仕方なく機種変更しました。
〇しかし相手の提案する宣伝文句や聞こえの良い誘惑等に踊らされて、要らないスペックなどまで付けて購入することが「消費」にあたるのではないか・・・と思います。つまり受け身的で、あとで「やっぱり要らなかったか?」となる可能性が大きいと思います。
〇國分教授は前記の著書の中で、「私たちはいつまでも満たされない【消費者】の状態から脱け出し、満足によってとまることのできる【浪費家】にならなければならない」と、提起されています。
〇私は最高グレードではないスマホでも、携帯しているだけである意味満足しています。ただ使い慣れないスマホで、今までと同じことをするにも倍以上の時間がかかるので、昨夜からイライラすることが増えたのが一番の悩みです。
須藤昌英
10月10日(金)ビブリオバトル(知的書評合戦)
〇今から25年位前までは、10日10日と言えば「体育の日」の祝日でした。1964年の東京オリンピックの開会式が行われたことから、1999年までこの日を固定して「体育の日」と呼び、その後10月の第2月曜日に変更されたり、「スポーツの日」と改称されたりしました。
〇私などはまだ10月10日は体育の日のイメージが強いですが、今朝などはやっと秋が深まってきたと感じます。秋と言えば「食欲の秋」「スポーツの秋」とも言われますが、何といっても「読書の秋」が一番知的さを感じます。
〇読書に関して先日、知的書評合戦(ビブリオバトル)が、柏市教育委員会の主催で行われました。本校からは、渕上佳栄さん(2年)と高橋希菜さん(1年)が代表者として参加しました。
〇ビブリオバトルとは、参加者がそれぞれ「1冊の本」を持ち寄り、3分間でその魅力を紹介し、一番読みたいと思った本を「チャンプ本」として投票で決める書評合戦ゲームです。
〇発案者は京都大学の谷口忠大教授で、書籍を通じて人との出会いやコミュニケーションが生まれることを目的としており、小・中学校、高校、大学、図書館、書店など、様々な場所で活用されています。
【ビブリオバトルの進め方】
1 紹介する本を選ぶ:参加者は自分が面白いと思った本を1冊選び、紹介する本として持ち寄ります。絵本、写真集、漫画、雑誌など、どんな本でも紹介可能です。
2 発表者による紹介:発表者(バトラー)は、それぞれ持ち時間3分間で本を紹介します。
3 質疑応答:紹介後、2分間の質疑応答を行います。
4 投票でチャンプ本を決定:発表者を含む参加者全員が、「一番読みたくなった本(チャンプ本)」を1人1票で投票します。
5 勝者決定:最多票を集めた本がチャンプ本となります。
【ビブリオバトル特徴と魅力】
①人を通して本を知る、本を通して人を知ること
ビブリオバトルは、本を紹介する人を通してその人自身を知り、本を読むことでその紹介者の人柄や考え方を理解する機会を与えてくれます。
②参加者全員で楽しむこと
ゲーム感覚で書評を行うことで、参加者同士が書評を通じてコミュニケーションを深めることができます。
③様々な場所で活用できること
学校教育での読書活動や、図書館、書店でのイベント、企業研修など、幅広い場で開催されており、読書離れ対策やコミュニケーション能力の育成にも貢献しています。
④多様な本に触れられること
様々なジャンルの本が紹介されるため、普段手に取らないような本に出会うきっかけにもなります。
〇本校の2名の生徒は、渕上さんが「つくられた心(佐藤まどか著)」、髙橋さんが「余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話(森田碧著)」を取り上げ、それぞれ物語のあらすじや自分の心に一番残った場面、さらに読者に一番読んでもらたい箇所などを紹介しました。
〇プレゼンテーションの冒頭で、二人はそれぞれ次のように語りかけました。
渕上さん「みなさんは、普段一緒に過ごしている友達が、もしも人間でなはく、精巧に作られたアンドロイドだとしたら、どう思いますか?」
髙橋さん「みなさんは、あと余命が一年と言われたら、何をしたいですか?私だったら、友達とたくさん遊んだり、家族と一緒に出掛けて思い出をつくると思います。」
〇いかかでしょうか?もうこれを聞いただけで、プレゼン者の話に引き込まれそうになりませんか?そして「その本を読んでみたい!」となることでしょう。
〇ここがビブリオバトルの一番良いところです。普段の授業では共通の教科書を使用して進めていますので、発表はどうしても教科書を意識して、「正解探し」のようになります。
〇しかしビブリオバトルは、各自が自分で気に入った本を紹介するので、正解はありませんし、その分堂々と自分の意見を表明できるのです。当然他人を気にすることなく、表情にも自信が満ちています。
〇逆を言ううと、授業の発表場面でも教科書の正解探しではなく、「僕は教科書のこの部分を読んで、〇〇だと思った」とか「私は教科書に●●と書いてあったけど、◇◇ではないかと思う」などの視点で発表すれば、ビブリオバトルの良さを取り入れた発表になると思います。
〇変化の激しい社会を生きていく生徒たちには、この自分で読んだり調べたりしたことについて、自分で考えそれを自分の言葉で語れる力が必須となります。
〇今回は国語科における読書の場面で、二人の生徒たちを紹介しましたが、すべての教科ですべての生徒たちが同じような力を育成していけるように今後も取り組んでいきます。
須藤昌英
10月9日(木)「ノーベル平和賞」受賞から1年に思うこと
〇10月になると、ノーベル賞が一週間にわたって発表され、毎年のように日本人の受賞の可能性が報道されています。今年の受賞者の発表は、6日が生理学・医学賞、7日が物理学賞、8日が化学賞、9日が文学賞、10日が平和賞、13日が経済学賞となっています。
〇過去には日本人も多く受賞していますので、やはり私もそこに注目しています。ここまでに生理学・医学賞に、坂口志文・大阪大栄誉教授を含む3名、化学賞に北川進・京都大学理事(副学長)を含む3名が選出されました。これで日本人が個人として受賞したのは、30人だそうです。
〇坂口氏の研究内容は「自己免疫(細菌やウイルスから体を守る免疫システム)」に関することで、今後は免疫の抑制を解除してがん細胞への攻撃力を高めたり、移植手術で拒絶反応を少なくしたりする治療法につながる可能性があるそうです。
〇北川氏の方は、「多孔性金属錯体」を開発し、それにより今後は狙った物質を内部にとじ込められるようになり、例えば地球環境に関して、脱炭素や有害物の除去など幅広い産業の発展に寄与することが評価されたようです。
〇正直に言って、それぞれの研究の内容は素人の私にはよく理解できませんが、二人とも自分の興味を優先し、多くの困難に立ち向かったからこそ今の名誉があるのです。いずれにせよ同じ日本人が長年の研究を続けたことに世界が評価を与えていることに誇りを感じます。
〇私が一番感じるのは、このような方々が後輩の若者に送るメッセージが、何より若者たちを勇気づけるものになっているということです。
〇坂口氏は「興味を持続して、いろいろな試みをすることが重要。 継続するうちに新しいものが見えてくる」、北川氏は「チャンスは祈るものではなく、自分でつくり上げるもの。 周りの人と共同しながら、自分をつくり上げていってほしい」と若い人たちに語っています。
〇中学生もとても純粋です。こういうメッセージを聞いて、「自分にも何か挑戦できるかも?」「今取り組んでいることをとりあえず続けてみよう!」と感じた生徒も多いと想像しています。
〇ノーベル賞はもちろん特別な人しか受賞できませんが、もっと中学生の近くにいる我々大人の姿や行動も、「彼らにとって何かの規範となっていきたいものだ」といつも思います。
〇大それたことでなくてもいいと思います。例えばいつもニコニコと笑顔でいるとか、何らかの相談を中学生から受けた際にはまずは受け止めてあげられるとか、今できることを多くの大人が意識していけば、中学生ももっと周囲に心を開いて、何事にも失敗を恐れずに挑戦していけるかもしれません。
〇昨年のノーベル賞に関して私が強く印象に残っているのが、ノーベル平和賞が「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」に決まったことです。
〇受賞理由について昨年の選考委員長は、「核兵器は道徳的に受け入れられず、二度と使用すべきでないという私たちが『核のタブー』と呼ぶ国際規範を形づくる上で、被爆者の証言が重要な役割を果たすと見ているからだ」「ウクライナに対するロシアの脅威をみると、これは人類に対する脅威の問題となっている。核のタブーが軽んじられると、最終的は核兵器が再び使用されることにつながる可能性がある」と指摘しました。
〇また同じく委員長は「来年は広島と長崎で核兵器が使われてから80年になる。この間、核兵器が使用されていないことは、人類を代表する形で被爆者によってなされた偉業だ」と述べ、被爆者たちのこれまでの活動をたたえました。
〇さらに「世界のすべての政治指導者に対し、人類と核兵器は共存できないというメッセージを送りたい。被爆者の痛みや苦しみに耳を傾け、『核兵器によって自分たちが経験したことをほかのだれも経験すべきではない』という彼らのことばを聞いてほしい」と訴えていました。
〇そして最後に被爆者や日本被団協に対して「何十年にもわたって継続してきたかけがえのない活動と、それを若い世代が引き継いでいることに感謝している」「世界中の国々の市民社会が核軍縮を政治課題として提起するため行動を起こすことを願っている」として今後、核軍縮の機運が高まることに期待を示していました。
〇今年は「昭和100年」「戦後80年」の節目の年です。日本は少なくともこの80年間は、戦争で人が亡くなることはありませんでした。しかし今でも世界各地には紛争や戦争が続いており、多くの人命が失われています。
〇ノーベル賞は1年に1回ですが、日本被団協がこの平和賞を受賞した意義は、日本人が365日休むことなく平和について考えていくきっかけとなったのではないか?と思います。
〇これから先も日本が戦争に巻き込まれないためにはどうしていったらよいか?大人も若者も一緒に考えていく課題でしょう。
須藤昌英
【昨年のノーベル平和賞の授賞式】
10月8日(水)自動採点システムと絶対評価(目標に準拠した評価)
〇今日から、先週末に実施した期末テスト答案用紙の生徒への返却が始まります。昨年より柏市の中学校は、教育委員会が事業者と提携して導入した自動採点システムを導入しています。教員の働き方改革の一つとして、採点の効率向上や集計ミスの根絶、採点基準ブレの低減が出来ることが導入の目的の一つです。
〇私は過去に数学が担当をしており、だいたい1回の定期テストで150~200枚の生徒の答案用紙を採点してきました。問題の内容にもよりますが、すべてを採点し終わる時間ははやくても数時間、長い時には一クラス90分(5クラスで7時間以上)の時間を要していました。
〇当然の事、勤務時間内では終わりませんので、夜遅くまで職員室で行い、それでも終わらなかったり週またぎの日程になったりする場合には、管理職の許可をもらい答案用紙を自宅に持ち帰り、ウィークディの夜半過ぎや週末の夜に採点していました。当時に自動採点システムがあったら、どれほど良かったことか・・と今は思います。
〇教員としてはテストを採点することで、生徒たちの理解度が把握できますので、正答率の低い内容は再度授業で取り上げたり、次からの授業のやり方を随時変えたりしています。つまり生徒たち向けだけではなく、教える側への「評価(フィードバック)」としての役割もあります。
〇今回の自動採点システムの最大の利点は、設問ごとに全生徒の解答がパソコンの画面に一斉表示されるので、全体としてどのくらいの正答があるかや、どの生徒がどれを誤答しているかなどを一目で確認できるところです。
〇もちろんこのシステムに採点させるだけでなく、最終的には教員が一つ一つを自分の目で確認して、必要に応じて修正してから返却します。
〇またデータはクラウド上で一元管理されている為、設問ごとの採点者分担が一切の負担がありません。さらに今後は、担当教科・学年の垣根を越えた連携で、教科内の意識統一や、他学年の状況把握も可能になります。これはデジタル化・クラウド版ならではのチームワークの強化となります。
〇さらに弱点を補強するものとして、各生徒に応じて誤答した設問の類似問題を作成し、テスト後に行うこともできます。これはこれまで出来なかった個別最適化学習として、生徒個人を対象とした補習学習となります。
〇今週から来週にかけて前期日課を終了し、後期日課に移行します。17日には、前後期切り替え式を行ったあと、前期の通知票を配付します。
〇年度当初の保護者会で説明したとおり、通知票の評定は定期テストの結果のみをもって算出するわけではありません。課題やレポート等の提出状況や授業への参加意欲等も勘案し、総合的に評価しています。
〇また本校でも他校と同様に、生徒の成績を評価する方法として、「絶対評価」で行っています。以前は「相対評価(あらかじめ決められた割合で各評定の人数をはめこむ)」であったことで、生徒へ様々な不利益があったことを改正し、他の生徒の成績を考慮に入れず、あらかじめ設定した到達すべき目標に対して、どこまで到達できたかで評価する方法です。
〇少し詳しく説明すると、まず各教科ごとの3つの評価観点に「A:十分満足できる B:おおむね満足できる C:努力を要する」の3段階で評価します。3つの観点とは、「知識・技能」「思考・表現・判断」「主体的に学習に取り組む態度」で、この3点での評価を「観点別評価」といいます。
〇次にその3段階の観点別評価の割合に応じて、「5:目標を十分に達成した4:目標を達成した 3:目標をほぼ達成した 2:目標の達成にあと一歩 1:目標の達成のために努力を要する」の5段階で評定を算出します。
〇配付された通知票は、誰かと比べて「良かった」とか「悪かった」を見るためのものではありません。学校と家庭が協力して、子どもたちをより良い方向に育てるものです。
〇絶対評価の良いところは、一人ひとりの学習状況がどの程度であるかをはかれることです。努力の成果を認めてあげたり、またどんなことを頑張っていけばよいかを親子で一緒に考えたり、話し合ったりして、今後の生活に役立てていただきたいと思います。
須藤昌英
10月7日(火)初の女性内閣総理大臣の誕生か?(ジェンダーフリー)
〇先週末に自由民主党の総裁選挙があり、初めての女性総裁が誕生したニュースが大きく報道されました。高市早苗氏は今月中旬に召集される臨時国会で、日本史上初の女性内閣総理大臣(首相)になる公算が高いようです。
〇このような大きな変化があるとき、私たちはこれまでの経緯を振り返ったり、これから先の動向を考えたり論じたりすることが多いと思います。また「初めての~」という言葉にやたらとこだわる傾向もあります。
〇確かに今回は、その人物の人柄等よりも「初の女性首相」という性別が注目されることは仕方ないと思います。しかし私はむしろ自民党総裁の多くが親等からの世襲制に従い、政治家の子や孫がなっているのに対し、高市氏は親が政治家ではない自民党総裁として、菅義偉元首相以来となります。人物に視点をあてるならば、こちらの方がもっと大きな意義があると思います。
〇高市氏は大学卒業後、未来のリーダー育成を目的とした「松下政経塾」に入塾し、政治の道を志しました。1993年の衆院選に無所属で出馬し初当選し、それ以後内閣や党の要職を歴任しています。
〇海外ではアメリカの有力紙ワシントン・ポストが、高市氏の総裁選出について、「男性優位の日本の政界で初の女性リーダーとなり、“ガラスの天井”を破った」と紹介したようです。
〇男性優位と言えば以前から国際的に、日本社会は「ジェンダーギャップ(男女の性別の違いにより生じる格差)指数」が国際的に低いことが知られています。「ジェンダーギャップ指数」とは、その値が1に近いほど男女間格差は小さく、0に近いほど大きくなります。
〇2025年現在、日本は148か国中118位で、特に政治・経済分野の格差が大きく、先進国の中で最低レベルに位置しています。昔から政治や経済分野での男女格差が顕著であると広く認識されてきましたが、この指数によってその差が歴然であることがわかります。
〇日本では長い間、男性は「弱い者を守る」「経済力がある」、女性は「気遣いができる」「家庭的」といった役割を求められ、この性別に基づく固定観念が差別や偏見の経験につながっているとも指摘されています。
〇具体的には男性はお金を稼ぐ役割が根強く、その分家事・育児負担は主に女性が担うことが多く、家事や育児における男女間での認識に大きな隔たりがあることも、男性優位性を裏付けています。
〇しかし一方で、若い世代ではそれらの平等意識が高まる傾向が見られるそうで、今後はさらに認識のギャップを埋めるための意識改革が求められています。
〇私が幼少の頃は、街中を走っている車の運転手はほぼ男性で、たまに女性を見かけると、珍しいので振り向いて見ている人が多かったのを記憶しています。しかし今では性別の差はなく、私も通勤時にはむしろ女性ドライバーとすれ違うことの方が多いくらいです。
〇私は決して政治のことに口出しをしたいのではなく、日本もはやく欧米並みに、世の中に女性のリーダーが当たり前のようにあちこちに存在し、性別の差に関係ない平等な社会になることを期待しているだけです。
〇最近は「男らしさ」や「女らしさ」という言葉もあまり使いません。以前は親や教師から、「男は男らしく、女は女らしくしなさい」という言葉がけが多くありましたが、家庭は別にしても少なくとも学校現場で今、その言葉を使っている場面は見たことがありません。
〇「男らしく」や「女らしく」という以前に、生物的に男性には男性の特徴、女性には女性の特徴があることは言うまでもありません。
〇一例では、男女の身体構造の相違として、一般的に男性は女性よりも骨格が太く、筋肉量も多い反面、女性は体脂肪率が高い傾向にあります。また新陳代謝面では、運動時に女性は主に脂肪をエネルギー源とする一方、男性は炭水化物をより多く利用する傾向があります。
〇私はこれらの特徴を正しく認識していれば、あえて「男は男らしく、女は女らしくしなさい」という指導は不必要ではないか?と考えています。重要なのは、男性と女性がお互いに相手の特徴や得意な面を認め合い、協働していくことだと思います
〇3月までの3年間勤務した富勢中では、毎年変わる3人の生徒会長はすべて女子生徒でした。私も最初は少し驚きましたが、リーダーシップがあり、聡明な生徒ばかりでしたので、すぐにその違和感はなくなりました。
〇高市氏が内閣総理大臣に就任すれば、閣僚のメンバーにも今まで以上に女性が多く登用されることでしょう。大きな変化の際は、その違いだけに注目するのではなく、より本質的な変化を見つめていくことが重要だと思います。
須藤昌英
10月6日(月)スケアードストレイト(自転車交通安全教室)
〇先月の21日(日)~30日(火)までの10日間は、秋の交通安全運動があり、交通安全指導のボランティアさんが各交差点等に立ってくださっていました。
〇ある交通安全ボランティアの方から、「朝や夕方は車の運転手も急いでいるから、信号前で減速しながら、手元のスマホをみている人もいて、中学生の自転車と接触しないか、いつもハラハラしています。」「中学生は車を運転したことがないから、運転席からの死角や運転手の心理がわからないのだよね」との声をいただきました。確かにそうだと思いました。
〇そこで金曜日に、プロのスタントマンが交通事故の場面(自転車と自動車が衝突するなど)を校庭で再現してくれる「スケアードストレイト(自転車講習)」を行いました。これは自転車通学者だけではなく、普段から自転車に乗ることの多い中学生を対象とした柏市教育委員会主催(協力:千葉県柏警察署及び柏交通安全協会)の交通安全教室です。
〇当日は中学生には少し衝撃のシーンもあったかもしれませんが、万が一のことを想像でき、それを回避するための行動につながるよう、しっかりと心に刻んでほしいと願っています。
【冒頭の校長の話】
昨日と今日の期末テストはお疲れ様でした。今日の放課後、解放感に浸るのはわかりますが、帰宅してから自転車を飛ばして乗っていると、大きな事故になる可能性があります。そんな君たちに今日は柏市役所防災安全課、柏市教育委員会、柏警察署交通課の皆さまとスタントマンの派遣会社のおかげで、自転車交通安全教室を開きます。皆さんも普段から塾や買い物等で自転車を多く利用していると思います。皆さんも知っていると思いますが、自転車は道路交通法では軽車両として扱われており、交通ルールを守らないと乗ってはいけません。また自分だけで守っても交通事故に巻き込まれることがあります。私も先日車を運転し、交差点を曲がり横断歩道の歩行者が通り過ぎるのを待っていました。歩行者が渡り終わったので車を発進しようとしたとき、そこへ猛スピードの自転車が前に出てきました。慌ててブレーキをかけぶつからなくて良かったですが、そもそも自転車で横断歩道を渡るときは、自転車を降りて渡るのが本来のルールです。皆さんも同じような経験をしたことがありませんか?少なくとも自転車から降りなくても、歩行者並みのスピードで横断歩道を渡りましょう。車は急に止まれません。車の運転手さんと目を合わせ、「私は渡りますと」とアピールするとよいでしょう。過去には「ながらスマホ」の中学生が自転車で老人に衝突し、転倒させ、死亡させるという事件も報道されていました。それに伴う賠償金も何千万円になっているようです。また道路交通法が変わり、自転車もヘルメット着用が努力義務になっています。もし転倒した際、まずは頭を打たないように守らないと致命傷になる可能性が高いです。「君たちが被害者にも加害者にもなってほしくない」というのが、保護者・地域の皆さん・先生方の共通な願いです。今日はしっかりと話を聞き、交通事故の悲惨さをイメージしながら参加してください。
須藤昌英
10月3日(金)自分の言葉で語ることの難しさと大切さ
〇先月から3年生との校長面接(約15分間程度)を行っています。あらかじめ質問シートに生徒が回答を記入済で、それを参考にしながら、質問をその場で考えています。
〇もちろん個性がありますが、気になるのは、あらかじめシートに書いた自分の回答を覚えたままに答える生徒とさらにその場で思ったり考えたりしたことを自分の言葉で言える生徒の違いです。
〇私は時々シートにない質問もしています。その際、後者の生徒は慌てることなく、「少し考えさせてください」と断ってから、しっかりと考えた後で「私は~だと思います」と答えています。
〇不測の質問にその場で自分の経験を土台にして、自分の言葉で語れるというのは、やはり普段の生活や授業の中で、自分の考えを書き留めたり、それをもとに発言したりしているからだと思います。それを繰り返す中で、段々と自分の考えの方向性が固まってきたり、他人の考えと自分の考えを比べたりし、柔軟に学んでいるのでしょう。
〇ここまでの中で、キラリと光る生徒の回答を一部だけ紹介します。
質問1「この高等学校を志望する理由を教えてください」
回答1「はい、この学校へ夏休みに見学に行った際、学校全体が明るい雰囲気で、あちらの説明では『文武両道』を目指していると聞き、この学校で充実した高校生活を送りたいと考えたからです」
質問2「あなたが将来、看護の仕事をしたいと思ったきっかけはなんですか?」
回答2「はい、小学校2年のとき、怪我で入院した際、優しく接してくれた看護師の方のように、人のために働きたいと思ったからです」
質問3「あなたの特技はなんですか?」
回答3「はい、特技ではないのですが英語が好きなので、11月頃に英検準2級に挑戦するつもりで、今問題集で勉強をすすめています」
質問4「得意(好きな)教科を教えてください」
回答4「はい、社会です。地理や歴史は暗記も必要ですが、その事実のつながりや流れを考えるのがとても楽しいからです」
質問5「あなたの長所と短所を1つずつ教えてください」
回答5「はい、長所は粘り強く何かに取り組むことです。ただ短所は夢中になると周囲が見えなくなり、人の話が聞けなくなる所です」
質問6「中学校生活での一番の思い出はなんですか?」
回答6「はい、修学旅行です。知らない京都の街を班員と協力して目的地にたどり着いた時の達成感が忘れられません」
質問7「尊敬する人物は誰ですか?」
回答7「はい、両親です。体調を崩しているときでも、家族のために文句も言わず働いてくれ、自分のことも気遣ってくれるからです」
〇お気づきだと思いますが、回答は最初に「結論(考えたこと)」を言い切り、その後に「理由(思っていること)」を言うと、相手に伝わりやすく好印象になります。
〇これは一朝一夕で身に付くものではありません。でもそれを意識しながら生活していると、いつの間にか相手に伝えるにはこれが一番伝わりやすいことがわかってきます。
〇「入試」と言う目先の関門もありますが、卒業後の「人生」にも、自分の言葉で、相手にわかりやすく語ることは重要になってくると思います。
須藤昌英
10月2日(木)前期期末テスト
〇今日と明日の二日間で、7教科のテストを行っています。ここまで準備してきたことを出し尽くせるように祈っています。
〇東京大学大学院の池谷裕二教授は、著書「受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法」の中で、学習と脳や記憶について書いています。要約して引用させてもらいます。
【分かる】とはとりもなおさず、【分けられる】ということ。だからわからないと嘆く暇があったら、【分ける】こと。分かるところまでさかのぼって、そこからやり直すこと。【分からない】のは【分けられない】ことだから、とにかく小さく刻み、スモールステップが最善最短。大局をつかんで、大きくいくつかに切ってさらにそれを刻む。勉学とはレンガを積んで家を建てるようなもの。変化する環境の中で動物が生きるためには、過去の記憶を頼りに、その場で臨機応変に判断する必要がある。もし記憶が正確無比であったら、変化の中では生かせない無意味な知識となる。記憶には厳密さよりもむしろ曖昧さや柔軟性が必要。ほどよく曖昧で柔軟性があるからこそ、何度失敗してもそれを活かして成功に導くことができる。手間のかかる『消去法』の理由はここにある。自分が正確にものを覚えられないといって悲観することはない。脳とは本来そういうもの。いつまでたっても記憶には曖昧な部分が残っている。失敗して「後悔」ではなく、「反省」することが大切。何かを学習しようとするときは、まず全体像をしっかりと理解し、細かいことはあとから少しずつ覚えていけばよい。どっちみち記憶は曖昧なので、はじめは似ているものは区別できない。英語をマスターするとフランス語の習得もたやすくなる、つまり応用する力が見につく。これも脳が『消去法』を使っているから可能であり、要らないものを削っていくという方法は、物事の本質(エッセンス)を残すという戦略。脳はものごとを記憶するときには、その対象自体を記憶するだけでなく、同時に対象への「理解の仕方」もいっしょに記憶していることがうかがえる。その理解の仕方を利用して、異なるものごととの間に潜む「法則性」や「共通点」を見つけ出して、ほかの対象をより速くより深く理解することができる。一つのことを習得すると、ほかのことを学習する基礎能力も身につくなんて、なんとも都合のよいことではないか。この現象は「学習の転移」と呼ばれる。転移の効果は、学習レベルが高くなるほど大きくなる。つまり多くのことを記憶して使いこなされた脳ほど、さらに使える脳となる。
〇専門的なことも書かれていますが、要するに「失敗を恐れずにチャレンジし、もし失敗したらそれを次にいかそうとする姿勢」が重要だということです。言われてみれば当然のことですが、あらためて専門家に指摘されると、「やっぱりそうだよね」と腑に落ちます。
須藤昌英
10月1日(水)進路保護者会(3学年)
〇昨日は5時間授業後、3学年生徒を下校させ、来年度の入試に向けた進路保護者説明会を行いました。3年生の保護者が主でしたが、1、2年生の保護者の方々も、下記の資料を参考にしてください。
〇まもなく義務教育9年間を終えるこの時期、生徒がまず将来どのような方面に進みたいのかを家庭でよく話し合いを重ねてください。そしてその希望を実現させるための第一ステップとして、高等学校などの上級学校への進学を考えることになります。
〇この時点で明確に将来につきたい職業までを考えている生徒はまだ少数です。でも「職業などはそのうちいつか考えればいい・・」などと、自分の気持ちと正面と向き合わないまま志望校を選択しようとしても、受験準備が長続きしません。
〇私も過去に中3担任を10回経験しましたが、「なぜ自分はこの学校を志望しているのか?」と常に問いかけていないと、なかなか受験当日までのモチベーションを保てないのが中学生です。学校でもアドバイスを継続していきますが、ご家庭でも本人との対話を通し、励ましや助言をお願いします。
須藤昌英
9月30日(火)避難所開設体験(学校に泊まろう)
〇先週末の土曜日と日曜日は、土中学校区青少年相談員さんが主催して、本校体育館を災害時の避難所として想定した防災訓練を行いました。昨年までは土小学校の体育館で行っていましたが、現在改修工事のため、今年は空調がある本校体育館を使用しました。
〇土小と増尾西小の4年生80名が元気よく参加しましたが、中学校は定期テスト前のため、生徒1名のみの参加でした。来年は開催時期をズラし、中学生も多く参加できるようにしたいと考えています。
〇柏市消防団のポンプ車が来校しての乗車体験、AED(自動体外式除細動器)を使った救命講習、災害用炊き出し食の試食、夜間地域パトロール、就寝前の映画上映、避難テント(パーテーション)での就寝、少林寺ご住職の指導による座禅体験などのメニューがありました。
〇しかし小学生にとっては一番楽しかったのは、体育館内でのドッチボールだったようです。就寝後はなかなか寝付けなかった子もいたようですが、朝は5時ごろから起きだしており、子どもの体力や回復力の凄さを感じました。
〇地震などが発生した実際の場面では、本校体育館は柏市指定の避難所となり、東武なかはら団地自治会や増尾町会の一部の住民の方々が来校されます。最大の収容人数は287名ですが、自宅で避難される方々への水や災害用品の配布拠点にもなります。
〇増尾・中原地区(小学校3校、中学校2校、高等学校1校)は、増尾近隣センター長が災害本部長となり、柏市職員が複数人ずつ各学校に割り当てられています。そこへ各町会や自治会の防災担当者の方が加わり、受付、駐車場設定、パーテンション設営、臨時トイレ設置、ペット受け入れなどの役割分担が計画されています。
〇生徒は大人になるにつれて徐々に人間関係を広げていきますが、彼らにとって親や教師は「縦の関係」、兄弟姉妹や友人は「横の関係」なのに対し、地域の方々は「斜めの関係」だとよく言われます。「縦でも横でもない斜め」であることで、気軽にしかもあたたかく見守ってくれる存在であることが、彼らの心理状態を安定させます。
〇本校唯一の参加者であった中1の男子生徒は、受け入れの大人にまじって小学生へのお世話をしていました。「有難う!」「頑張ってるね!」と声をかけてもらうことで、「自分も役になっている」「良いことをすると気持ちいいな」などと、自分の存在を見つめなおしたり自己の有用感を高めたりできます。
〇災害発生時の実際の避難場所では、中学生や高校生が活躍していたことがこれまでの各地の災害リポートから報告されています。災害は起きてほしくはありませんが、もしそうなった場合には人生の中で一番活力があふれる彼らに頑張ってもらうしかありません。
〇日本では大昔から大地が揺れるのは、ナマズなどが暴れるということが信じられてきましたが、今は科学的に見ても、日本列島は「地震の巣」であることが判明しています。少しでも避難所が地域の方々の安心できる場所になってほしいと願っています。
須藤昌英
【増尾地域ふるさと協議会のホームページより】
9月29日(月)市内駅伝・ロードレース大会
〇9月26日(金)県立柏の葉公園と競技場において、令和7年度柏市内駅伝大会が行われました。晴天で残暑厳しい中、公園内の巡回コースを、一人が約3㎞を女子は5名、男子は6人でタスキをつなぎました。
〇結果は女子チームが52分36秒で16位(18校中)、男子Aチームが63分45秒で12位(21校中)、男子Bチームが67分41秒で8位(17校中)でした。
【女子チーム】
1区酒井塔子さん(2年) 2区生澤陽夏さん(3年) 3区石塚心春さん(3年) 4区土屋潤佳さん(1年)
5区仲山瑠色さん(2年)
【男子Aチーム】
1区荻谷水都さん(2年) 2区中野健歩さん(3年) 3区山田結心さん(3年) 4区原 葵已さん(3年)
5区軍司漱磨さん(3年) 6区石川遥馬さん(3年)
【男子Bチーム】
1区若佐 瞬さん(2年) 2区富山 航さん(2年) 3区篠原歩夢さん(3年) 4区石井陽路さん(2年)
5区鈴木大遥さん(2年) 6区髙橋大志さん(3年)
〇また駅伝ではなく、女子個人のロードレースには、舟山凛さん(2年)、西條小百合さん(1年)、村田莉娃さん(1年)が参加しました。男子個人ロードレースには、工藤渉さん(3年)、志村羚弥さん(2年)、染谷宣喜さん(1年)、宇佐美元就さん(1年)、熱田樹さん(1年)、吉村碧透さん(1年)、東嶋笑輝さん(1年)が参加し、特に志村羚弥さんが5位に入賞しました。素晴らしい結果でした。
〇選手の皆さんは、夏休みの朝から走り込みを繰り返し、心肺機能を高めてきました。長距離走の魅力は、目標達成による自己肯定感の向上、ストレス解消、そして走る仲間との連帯感です。自身の限界に挑戦して走るのはつらいですが、結果として心身のバランスが保たれることで、生活習慣の改善にも役立ちます。
〇公園内には、各校の多くの保護者も応援に来ており、生徒はその声援を受けながら、これまでの練習をいかし精一杯力を発揮しました。次は10月18日(土)の東葛飾地方中学校駅伝大会です。こちらは約30kmにわたる公道を警察の白バイを先頭に、10人でタスキをつなぎます。また応援をお願いいたします。
須藤昌英
9月26日(金)選挙管理委員会と生徒会本部役員選挙
〇昨日、新生徒会役員(会長1名、副会長2名、執行部員2名)を決めるための立会演説会と投票選挙がありました。まず体育館で立候補者5名推薦責任者5名の真剣な話に耳を傾け、続いて各教室で「信任投票」を実施しました。生徒たちは各候補者の話を聞いて、「信任」または「不信任」のどちらかを選択しました。
〇1,2学年は、自分の端末(タブレット)から入り、グーグルフォームで投票しました。今後いつかは国政選挙等も同様に、ネット投票になると言われていますので、その予行練習という意味もあります。
〇ただ3学年だけは、現在の選挙にならい、紙の用紙による投票を行いました。柏市選挙管理委員会から選挙で使用するジュラルミンの「投票箱」を借用して設置し、受付、記票、投票を行いました。3年生は18歳になると選挙権が与えられますので、今回の経験をいかして、3年後に有権者になるという自覚をもってもらいたいです。
〇選挙というと候補者にスポットが当たりますが、その裏で選挙管理委員会の存在を忘れてはいけません。一般に学校の選挙管理委員会とは、選挙が公正に行われるよう教職員や生徒会組織などからも独立した機関として設置されます。今回は3年生の米山涼さんが委員長として、事前の計画や準備などをしてくれました。
〇選挙は本来、有権者の自由な意志で行われるものであり、選挙が公平に行われるようにしなければなりません。特定の候補者だけ有利になったり逆にある候補者を貶めたりすることがないよう、選挙管理委員会の役割は重要です。もちろん選挙管理委員は生徒の中から選ばれており、自治活動の典型と言えます。
〇今回は5名の役職に5名の候補者が名乗りでましたので、競争選挙とはならず、信任投票となります。ここで無投票当選ではなく、信任投票を経ての当選であることに重要な意味があります。「自分たちのリーダーを自分たちの投票で信任した」という事実が、信任された役員の生徒たちに、今後責任感をもって仕事に取り組んでいこうとする意欲を引き出します。
〇立会演説会で私からは、先輩の國分功一郎教授の著作である「来るべき民主主義」の中から、幾つかの言葉を紹介しました。
・同僚の教員にスウェーデンで子育てをしていた方がいた。その方があるときこんなことを言っていた。「スウェーデンで子育てをしていたとき、子どもたちは、保育園でも学校でも、どこでも自分たちの身の周りのことを自分たちで決めるように求められていた。自分たちで自分たちのまわりのことを決める。だからこそ、それに対して責任をもつ。自分たちの身のまわりのことすら決められなくて、どうして「社会を変える」などと想像できるだろうか」その通りだと思う。(途中略)日本の社会も少しずつ変わってきている。そして社会は少しずつしか変わらない。不安があるのは当たり前で、住民(生徒)参加を希望していこう。
・アレント(アメリカの女性哲学者)が「人間の条件」という著作の中で言っているのは実に当たり前のことである。人間は必ず複数人存在している。人間は一人ではなく多数である。したがって、人間は必ず多数でともに生きなければならない。人間は互いに混じり合い、交流しながら生きることを運命付けられている。
・民主主義はしばしば「多数決の別名」とも思われている。これは人民主権ではなく、多数派主権である。それを乗り越えようと、現在では「熟議」なるものが注目を集めている。意見はあらかじめあるものではない。それは話し合いの中で変化し、またできあがっていくものなのだから、じっくりと議論することで、参加者の意見を方向付けていき、結論を導き出すことが可能ではないかというわけである。
〇先輩の指摘する内容を生徒たちは真剣な表情で聞いていました。戦後80年が過ぎ、これからも世界とのつながりを大切にしつつ、平和な日本を築いていくためには、彼ら中学生に「国のあり方を最終的に決定する権利や力を持つのは国民であり、国の権力や権威は国民に由来する」という「国民主権」の考え方をしっかりと身に付けてもらいたいです。
須藤昌英
9月25日(木)ストレスと上手く付き合うには?
〇昨日のノエル氏による「3ゾーンモデル」は、人の成長領域を表す段階の一つでした。そのうち「コンフォートゾーン」と「ラーニングゾーン」は、生徒が学校で学ぶ際のモデルとしてイメージがしやすく、生徒が適宜コンフォートゾーンから抜け出し、ラーニングゾーンに身を置くことで、コンフォートゾーンが広がり、学びが深まっていくと指摘されています。
〇残りの「パニックゾーン」については、様々なプレッシャーや困難に直面し、自分では思うように対処できず、意欲が低下したり抱えきれないストレスで苦しむ状況であり、他の2つと比べるとマイナスのイメージがあります。
〇3年前の「プレジデント」という雑誌に、世界的ベストセラー『スマホ脳』の著者である精神科医のアンデシュ・ハンセン(スウェーデン)氏が、「なぜ脳はストレスを求めるか」「「ストレスがなければ人類は絶滅する」という題の文を投稿しています。少し長いですが引用させてもらいます。
「私たち人類は『幸せ』になるためではなく『生き延びる』ために進化してきました。人類としての長い歴史の大半を、食料が限られ、身の危険も多い過酷な環境の中で暮らしてきましたが、そのような環境下を耐え勝ち抜いてきた者の末裔(まつえ)が、今の私たちなのです。目の前に食べ物があればついつい食べてしまうし、運動したほうがいいとわかっていてもついソファーでだらだらしてしまうのは、私たちの祖先が常に飢餓の脅威にさらされ、カロリーを節約する必要に迫られていたからです。あれやこれやと気が散りやすいのは、いつも周囲を警戒して自衛しなければならなかったから。生存の可能性を高める特性といえます。実はストレスや不安が生じる理由も、生き延びるため。脳が危険だと感じる状況からあなたを遠ざけるために起きる現象です。目の前にいる上司が怒ってあなたを怒鳴りつければ、ストレスを感じることでしょうし、『明日も上司に怒鳴られるかもしれない。嫌だな』と不安に思うことでしょう。これは怒鳴りつけてくる上司のことを、あなたの生存を脅かす存在と認識しているから。不安とは、あなたを守るための感情なのです。」
〇後半は大人の会社などでの例が示されていますが、生徒たちも同様だと思います。非常に合理的に納得のできる解説で、読んでいると自分にもあてはまるところが多くあります。
〇ハンセン氏は、自著の『スマホ脳』という本でも、「自分の脳をよく理解することで、ストレスと上手く付き合うことができるようになるはず」と説かれています。
〇ハンセン氏によると、ストレスがないことが良いのではなく、ストレスは自己防衛としてあって当たり前であり、自分なりのストレス解消の方法をもっていることが大切だそうです。
〇今、生徒たちも来週の期末テストを目の前に、相当なプレッシャーやストレスを抱え込んでいると思います。「授業の復習が予定通りにできない」「覚えることが多くそれらのつながりがもてない」「得意な教科はいいけど苦手な教科が大変」など、心情的には追い立てられていることもあるでしょう。
〇「コンフォートゾーン」と「ラーニングゾーン」の話にも通じますが、日常の授業は「コンフォートゾーン」の中でじっくりと楽しく学んでも、テストとなると多少の不安や緊張感は避けられません。ただ自分なりの方法で復習を継続することにより、過度なプレッシャーではなく「やりがい」を感じられる状態「ラーニングゾーン」になります。
〇ハンセン氏はストレスを和らげる一つの方法として、運動(散歩なども含む)をして、心拍数をあげることを提唱しています。運動によってエンドルフィンやセロトニンといった神経伝達物質が分泌され、幸福感やリラックス効果が得られ、ストレスが軽減されます。心拍数を意識し、無理なく続けられる運動を行うと、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。
〇先日までの猛暑中はなかなか運動ができないことも多かったですが、涼しくなって積極的に身体を動かずことも可能になりました。グラウンドでの体育の授業でも、張り切って取り組んでいる生徒も多くいます。ストレスをコントロールするには、運動は有効な手段の一つです。
須藤昌英
9月24日(水)「コンフォートゾーン」を広げる
〇秋分の日の前日あたりから、空が青く高くなり、一面のうろこ雲が秋を感じさせます。「うろこ雲(鱗雲)」は、正式には「巻積雲(けんせきうん)」という雲で、魚のうろこや水面のさざ波のように見える雲です。空の高い場所(5000〜13000m)に、小さな雲の塊が規則的に並んで見えます。似たような雲で、ひつじ雲があります。どちらも身近なものに関連させて命名しているので、親しみがあります。
〇先日4歳の孫娘に、「あの雲はうろこ雲と言うんだよ」と教えたら、「うろこ雲・・・」とつぶやいて、しばらく夕方の空を見上げていました。その顔は不思議なものをみるようで、真剣そのものでした。おそらく初めて聞く言葉と見えている雲を並べ、その模様の特徴を頭に焼き付けているのでしょう。子どもはそうやって日々、いろいろな言葉や概念を記憶し、知識やイメージを増やしているのだと思います。
〇ストレスや不安を感じることなく過ごせる心地よい領域のことを「コンフォートゾーン」と呼びます。具体的なコンフォートゾーンの例としては、次の状況や環境が挙げられます。
・自宅の居間や自室
・通学で日常通う道や近所の公園
・入学してしばらく通っている学校や自分の教室
・よく利用したりする行きつけの店
・やり慣れている仕事や学習
〇進学や進級したばかりのころ、学校や学級はまだコンフォートゾーンになりません。長く通って気心が知れた仲間ができると、コンフォートゾーンとして定着します。
〇この考え方はミシガン大学のビジネススクール教授、ノエル・M・ティシー氏らが広めた3ゾーンモデルとして知られています。人の成長領域を表す際の段階の一つです。ノエル氏は人の成長は「ラーニングゾーン」「コンフォートゾーン」「パニックゾーン」の3つによって変化すると説いています。
〇図の核心には「コンフォートゾーン」があり、その1つ外側にあるのが「ラーニングゾーン」です。まだ十分には慣れていない事をしたり新しい学習の場で学んだりするなど、多少の不安や緊張感はあるものの、過度なプレッシャーではなく「やりがい」を感じられる状態を指します。ここで新しいスキルや知見を得て成長できると「コンフォートゾーン」を抜け出していくことにつながります。
〇「ラーニングゾーンのさらに1つ外側にあるのが「パニックゾーン」です。ここは「コンフォートゾーン」からあまりにもかけ離れた領域のため、大きすぎるプレッシャーや困難に直面して適切に対処できず、意欲(モチベーション)の低下や抱えきれないストレス過多を招く恐れがあります。
〇そもそも人は意識しなければ、変化を止めようとする性質があります。心の中で変化を拒んで一定の状態を維持しようとする「心理的ホメオスタシス(恒常性)」というメカニズムが働くようです。このメカニズムにより、外部からの働きかけや自身の強い意志が無ければ、人は「平常運転(つまりコンフォートゾーン)」を保とうとします。
〇「コンフォートゾーン」はとても大切であり、それがあるからこそ安心して過ごしていけます。ただそこに留まり続けることで、未知の領域に踏み出すことに不安や恐れを持つようになったり、同じことを繰り返したりするようになります。つまり新たなチャレンジをしなくなり、成長が停滞する可能性があります。
〇一歩外に踏み出すことで、適応力や創造性、自己肯定感の向上が期待できます。そのためには、まず自分や自分の置かれている環境を現状把握し、毎日小さなことでもよいので挑戦し、自分なりの成功体験を積み重ねることが突破の鍵となります。
〇特に強調したいのは、たとえ失敗したとしても「新しいことに挑戦した」という経験は残ります。するとその後は、挑戦へのハードルが下がるため、目標達成への意欲を維持しやすくなり、いずれ達成を実現できるようになることでしょう。このチャレンジと達成のサイクルを繰り返すほど、自己肯定感は向上していきます。
〇「コンフォートゾーンを広げる」ということは、「成長」を軸にした考え方です。人として成長していくためには、適宜コンフォートゾーンから抜け出し、ラーニングゾーンに身を置くことが重要です。自分のスキル・経験を活かしながら、課題を解決するための新たなスキルや経験を習得していくのです。この「ラーニングゾーンがコンフォートゾーンになった」瞬間を繰り返すことで、徐々に安心の環境が広がっていきます。
〇生徒たちにとって、今の土中が「コンフォートゾーン」かつ「ラーニングゾーン」であるかどうか。一人ひとりの状況は異なりますが、担任や学年職員は、そういう視点で生徒たちを観察し、必要に応じて言葉がけや支援をしています。
〇今朝も肌寒いくらいでしたが、空は真っ青です。たまには空の雲を見つめて、「コンフォートゾーン」にどっぷり浸ってみるのもよいかもしれません。
須藤昌英
9月22日(月)生徒会役員選挙運動
〇先週から25日(木)に予定されている新しい生徒会本部役員を決めるための選挙に向けて、候補者とその推薦者が朝は各学年の生徒昇降口で立って投票の呼びかけを行ったり、昼休みの放送で演説活動を行ったりしています。
〇生徒会活動は生徒による自治活動です。生徒自らが考え、協議し、目標を定め、目の前の問題に取り組んでいく経験は、人として大きな成長をもたらしてくれています。その中心にあるのが、生徒会や委員会活動です。
〇普段は学級や学年レベルで様々な活動をしていますが、学校全体として生徒会やその中に置かれる委員会などは、学年が違う「異年齢により構成される組織」です。そしてその活動のために必要なことを理解しながら、行動の仕方を身に付けられるようになります。
〇特に生徒たちにとって、自分たちの学校の代表を自分たちで決めることをとおして、身近な社会である学校と自分との関わりを自覚し、学校生活づくりに参画する意識を高めることにつながります。
〇生徒会活動の具体的な内容は、当事者として自分たちの学校生活を点検し改善していくことです。このような民主的な活動によって、将来社会に出ても、自分たちの代表を決める選挙などに「無関心」にならないようにするのが目的の一つです。
〇立候補している生徒はもちろん、その生徒を推薦している生徒も、真剣に取り組んでいます。そういう姿を見て、他の生徒も自立することの大切さを学んでいます。また選挙管理委員会の生徒たちも、自分たちのリーダーを決める大切なプロセスを管理しています。
〇今日は、国の与党党首を選ぶ選挙の告示日です。生徒たちの参考になる選挙運動と投票行動になることを願います。
須藤昌英
★選挙運動について(選挙運動の際に立候補者は、たすきをつける)
9月16日(月)~24日(水)
9月25日(木)生徒会役員選挙&立会演説会
① ポスター掲示(昇降口)※掲示は『選管』が行う。
② 朝 10分間(昇降口前)※『立候補者』と『推薦責任者』
③ 給食時の放送演説※『立候補者』のみ
④ 立会演説会での演説※『立候補者』と『推薦責任者』合わせて3分以内
【 会長 】 2年生から1名
【副会長】 1・2年生から各1名
【執行部】 1・2年生から各1名
9月19日(金)無気力な寝太郎が使命感を抱いて世界へ挑戦し続ける
〇今朝からすっかり秋らしくなり、昨晩の雨もあり、しっとりとした朝でした。朝7時に登校してきた1年男子生徒数人に、「今朝は涼しくていいね」と声をかけると、「はい!」とまるで水を得た魚のように、元気のよい返事が返ってきました。
〇秋になると着るものも変わってきます。Tシャツ1枚で過ごせた陽気から、肌寒さを感じて長袖を着用し始めます。これからどんな服を着るのか・・はもちろん個人の自由ですが、服選びの観点を大きくわけると「デザイン性重視」と「着やすさ(機能性)重視」のどちらかになるでしょう。
〇後者であれば、店舗が増尾にもありますが、何といってもユニクロがあげられます。週末には子どもから大人までが明るい店内にあふれています。またテレビでそのコマーシャルをよく見かけます。*別にユニクロを宣伝したいのではありません。
〇昨年読んだ本の中で、今でも一番印象に残っている1冊として、「ユニクロ(杉本貴司著:日本経済新聞出版社:令和6年4月発行)があります。世界的に有名な日本の衣料メイカーのユニクロは、柳井正氏(現在76歳)が昭和59年に仲間と創立し、現在は我々の身近な生活にも慣れ親しんでいる企業です。本から知ったことを少し紹介します。
〇ユニクロの目指す理念は、「ライフウェア(老若男女も国も人種も問わずに、誰もが着ることができて、環境や社会にも配慮した服)」をつくることだそうです。これは現代的な課題にも挑戦している感じがします。私もこれまでその気軽さからユニクロのいくつかの服を購入しており、上記の理念を目指していることもこの本を読んで少し理解できました。
〇私が注目したのは、創業者の柳井氏の若い頃のエピソードです。柳井氏は山口県宇部市で生まれ、父親が経営していた洋品店の跡継ぎ息子でした。父親は昔ながらの親分気質で気性が荒く、柳井氏は「何でもいいから一番になれ」と常に言われ続けていました。柳井氏は父親からの期待とも抑圧ともいえる重圧の中で、高校時代には好きなサッカー部も父親の意向で退部させられ、逃げ道を求めるように受験勉強に打ち込みました。
〇4人のきょうだい(柳井氏以外は姉1人と妹2人)で、3人の姉妹に対して父親は優しく、厳しく接したのは柳井氏だけでした。妹さんの一人は当時を振り返って、「私は男に生まれなくてよかったなと思いました」と述べています。当然、柳井氏と父親の間には溝ができ、ほとんど会話もなかったようです。
〇そこで進学した東京の大学では、当時は日米安保闘争などの学生運動が盛んで、ほとんど講義も行われなかったそうで、学生運動にも興味のなかった柳井氏は、下宿の部屋に閉じこもって過ごしました。下宿の大家さんからつけられたあだ名が「寝太郎」でした。好きなジャズを聴きながら、ただ思いつくままに本を読み、4年の日々を浪費しました。
〇その後の柳井氏の人生の転機や目覚ましい躍進のことについては、できれば本を読んでみてください。一言でいえば、何度も転びながら這い上がってきた日々であることがわかります。若き日の青年柳井氏の葛藤を本人への取材を含めながら、著者の杉本氏は、新聞社の編集委員としての鋭い視点で、この本を書いています。
〇3年前に母校の早稲田大学で後輩の学生に向かって講演した柳井氏の言葉の一部を引用させてもらいます。
「私は人が生きていくうえで最も大切なことは、使命感を持つことだと思います。そのためにはまず、自分は何者なのか、そのことを深く考える必要があると思います。自分にとって何が最も大切なことなのか。絶対に譲ることができないものはなんなのか、そこを突き詰めて自らの強みを発見し、生かす。自分にしかできない、自分の人生を思いっきり生きてほしい。明確な意識があるのとないとでは、同じ人生を送っても成果は百倍、千倍あるいは一万倍も違うのではないかと思います。」
〇今、3年生と校長面接を行っていますが、思春期は不安と葛藤で心の中はいっぱいであることが伝わってきます。でもこの柳井氏のように、学生時代に何も成し遂げられずに苦しみながら過ごしたとしても、誰もがその将来に関してはそれぞれの無限の可能性をもっているのですから、彼らを応援し続けていきます。
〇今日の表題の「無気力な寝太郎が使命感を抱いて世界へ挑戦し続ける」は、著者の杉本氏が、柳井氏を一言で表現したもので、私も端的に言いえていると思います。今、自分を「無気力な寝太郎」と思っている生徒も、何かのきっかけで大きく成長していくのです。それを見守りアドバイスしていくのが、教育の本質といえます。
【追記】
〇柳井氏は若い頃、「教師になりたい」と希望している時期があったと本に書いてありました。しかしその夢を断念した理由が、何と生まれ持っての「どもり症」であったそうです。まずこんな特別な個人情報まで本の中で、隠さずにあからさまにしていることに驚きます。実際に会話している時にはまったく問題がないのに、原稿などを読み上げようとすると不思議にすぐに言葉に詰まってしまうようです。その為今でも、講演の依頼は極力断っているそうです。柳井氏がどんな教師になったかを見て見たかった気もしますが、それよりもそのハンディキャップを乗り越えて、代表取締役会長として活躍していることに勇気を覚えます。
須藤昌英
9月17日(水)秋の足音と生徒の成長
〇記録的に続いてきた日中の猛暑は今日までとの予報があります。明日からはやっと秋の空気に入れ替わり、空の色も青さが増していくことを期待します。夏の終わりは一種の寂しさを感じる人も多いようですが、ここまで切実に「はやく秋になってほしい・・」と願ってきたのは、私だけではないと思います。
〇ただ心配なのは涼しくなると、これまでの夏の疲れが出やすくなります。何となく身体が重かったり意欲が低下したりするのは、子どもも大人も同じです。生徒たちには無理をせずに体調を気にしながら過ごしてもらいたいです。
〇2学期に入り2週間余り、生徒たちの様子を観察していましたが、一人ひとりの生徒の成長にはびっくりしています。1学期末から比べるとたった1ヶ月半しか経っていませんが、身体が大きくなったり顔つきが大人になったりと私のような老年期の人間には信じられない成長ぶりです。
〇よく言われますが、成長ホルモンは各部位の細胞分裂を促し、その分泌は人間の一生では10歳代が一番活発であり、一日の中では深夜の1時から4時くらいがピークだそうです。つまり中学生の身体内では日々、驚くほどの細胞分裂が繰り返され、それが目に見えやすい部分として身長や容姿の変化としてわかりますが、目に見えにくい声がわりや脳の発達などは、時として我々が驚くほどの成長として感じ取れるものなのでしょう。
〇前期期末テストがあと2週間後に迫っています。中間テストが6月でしたので、それ以後の授業から出題範囲を設定しています。7月と9月の授業内容が出題のメインになります。
〇1年生は2回目の定期テストになりますが、特に1学期の内容を復習しておきましょう。前にも書きましたが、人間の記憶は大きくは「短期記憶」と「長期記憶」の2つにわかれますが、短期記憶を強化したものだけが長期記憶となります。つまり授業の復習をコツコツとやっておかないと、2カ月や3カ月経っても忘れない記憶にはなりにくいのが人間の脳のしくみです。
〇私を含めた大人も自分の過去の経験から、定期テストに対して気が重くなることが多かったことと思います。私も好きな教科だけならまだしも、苦手な教科のテスト準備は後回しにしていた記憶があります。とりあえず好きな(得意)な教科の復習を、例えば自分なりのノートを工夫してつくるなどして、楽しくやれば良いと思います。
〇その分嫌いな(苦手)な教科は、最低限授業に集中し、テスト前に十分な準備ができなくても、テスト中に頭の中で「授業中の様子を真剣に再現」し、思い出したことを解答用紙に記録しましょう。私も自分の苦手な教科のテストで、授業中にクラスメイトが言った発言内容をふと思い出して、助かったことがあります。同じ授業を受けている友達の力を借りるのも必要かつ効率的だと思います。
〇とにかくテスト受けるにも、心身が健康でなければなりません。「病気に負けない身体作りは規則正しい生活から」と言われますが、「食べて、動いて、寝る」という生体リズムを整え、生徒の皆さんは毎日元気に過ごしてください。
須藤昌英
【まもなく見ごろを迎えるあけぼの山農業公園のコスモス】
9月17日(水)校長面接を開始しました(3学年)
〇昨日から来年の入試対策として、校長室を面接会場と見立てて、昼休みや放課後に3年生一人ひとりと面接練習を行っています。一人あたり15分程度ですが、こちらからいくつか質問をし、その受け答えに対して最後にアドバイスをしています。生徒たちは毎年、緊張した真剣な表情で取り組んでいますので、こちらも襟を正して行っています。
〇生徒には事前に質問用紙に回答を記入してもらっていますので、まずそれを中心に受け答えの練習をしていきます。例えば「将来の夢は何ですか?」「自分の長所・短所は何だと思いますか?」「普段の生活で気を付けていることは何ですか?」等の質問をします。
〇それに対して生徒が答えた内容を受けて、「それはどうしてですか?」「そのことについてもう少し詳しく教えてください」と質問を続けます。
〇実はこの第2問こそ面接官が一番知りたいところであり、その答えにその生徒の個性や普段の考え方などがにじみ出てきます。もしその第2問に対して、「わかりません」や「考えたことはありません」などと答えてしまっては、せっかく自分のアピールできる場面を自ら放棄してしまうばかりでなく、「この生徒は普段からあまり深く物事を考えないのか・・」という印象を相手に与えてしまいます。
〇9月でもまだ暑いですが、面接練習なので、制服を着用します。面接官は話をする前には、生徒の表情や制服の着方に目を向け、「この生徒はどんな生徒だろうか?」とまずイメージを持とうとします。面接官は過去に何千人の面接をしていますので、最初の印象だけで大方のことは把握できます。
〇私も校長として千人くらいの面接をしてきましたので、同じようなこともできますが、高校の面接官との一番の違いは、普段から同じ学校で過ごしていますので、学校で見たり聞いたりする情報量がはるかに多いことです。3年生はこの4月からのつきあいですので、本人を理解することを優先させるので、質問も一般的なことよりももっと具体的な内容になるかもしれません。楽しみです。
〇来年の3月の卒業式まで、あと半年ですので、教職員とともに生徒の進路決定にかかわっていきます。
須藤昌英
9月16日(火)増尾地域ふるさと協議会「敬老のつどい」
〇14日(日)に本校の体育館において、地域にお住いの高齢者方の長寿をお祝いする会が開催されました。合計で三百人以上の方々がお越しになりました。今年は体育館のエアコンがあるので、快適に過ごしてもらえました。
〇「敬老の日」は、多年にわたり社会に貢献してきた高齢者を敬愛し、長寿を祝う日本の国民の祝日です。毎年9月の第3月曜日に設定されており、家族が集まってお祝いしたり、感謝の気持ちを伝えたりする日とされています。
【趣旨と目的】
・社会に貢献してきた高齢者を敬い、長寿を祝うこと。
・国民が老人の福祉への関心と理解を深めること。
・老人が自らの生活の向上に努める意欲を高めること。
〇来賓として太田和美市長や坂巻市議会議長もお見えになりました。ここまで盛大な会を実施している市内のふるさと協議会はあまりなく、企画から準備までを担当した増尾地域の力を感じました。
〇本校吹奏楽クラブも出演し、5曲を演奏しました。皆さんから温かい手拍子や声援をただきました。アンコール曲は準備していませんでしたが、「学園天国」をアンコール演奏しました。良い発表の機会となりました。
〇最後に、元増尾西小学校校長で本校の学校運営協議会会長の田嶋勉先生と同じく元大津ヶ丘二小校長の富澤秀樹先生のユニットも演奏され、昭和歌謡や童謡を見事に披露されました。
〇学校は地域の中にあり、そこで学ぶ生徒たちが、「自分たちの住む地域は素晴らしい!」「自分も将来はこの地域に貢献していきたい・・」と思ってくれることが何よりもうれしいことだと思います。
須藤昌英
林間学校第三日目を振り返って
二泊三日の林間学校が終わりました。標高1,400mの亀屋ホテルを中心に生徒たちと過ごしてきましたが、朝晩は高原のさわやかな空気で、ホテルから見える緑の山々が輝いていました。4月に土中に着任し、校長として本校の特徴を客観的に把握しながら、生徒たち何を語りかけていこうかとワクワクした気持ちで、この5ケ月を過ごしてきました。そしてこの三日間で、二年生は予想以上の成長を見せてくれました。来週からの学校生活にもきっと良い影響があると確信しています。私もこれまで60回?を超える宿泊行事の生徒引率をしてきましたが、正直ここまで病気や怪我の少ない経験したのは初めてでした。柏市の方も雷雨がきていると聞いていたので心配していましたが、何より目の前の生徒たちの安全を守ることを職員たちと優先しました。最後の到着式では私から生徒たちに、「2泊3日でこの学年のポテンシャルの高さを実感しました。この林間学校に君たちを喜んで参加させてくれた家族の皆さんに、3日間の報告をするのが、帰ってからの君たちの責任です」と話しました。ホームページに掲載した写真をもとに、本人の話をじっくりと聞いてあげてください。ありがとうございました。須藤昌英
17:05学校到着・到着式
○無事に学校に戻りました。体育館で到着式をして解散です。帰宅してゆっくり身体を休めてください。お疲れ様でした。さようなら。
15:15新倉PA到着 トイレ休憩
○学校到着5時を目指し、時間調整のため休憩します。この後は外環道が多少の混雑があります。常磐道柏インターを出てからの国道16号線の渋滞状況によって、学校到着時刻が変わります。ご了承ください。
14:25高坂SA到着 トイレ休憩
○予定の三芳ではなく、高坂で休憩です。長野県、群馬県、埼玉県とだんだんと千葉県に近づいています。順調です。
13:10横川SA到着 トイレ休憩
○順調にバスは走っています。一回目のトイレ休憩です。碓氷峠を過ぎると濃い霧の中です。雨が近い?
11:00昼食 11:45バス出発
○体験学習がスムーズにおわり、少し早めですが、ビーフカレーライスと搾りたての牛乳をいただきます。牛肉はこの牧場で育った牛の命をいただきます。感謝の心を牧場の方に教えていただきました。○帰り道の混雑を考慮し、予定よりも早く出発出来そうです。
9:00 鷹山ファミリー牧場到着 農場体験
○バスで少し山を下り、農場体験の場所に着きました。バター作り、乳搾り、トラクター乗車体験をクラス毎にローテーションします。インストラクターさんの説明を聞いて、楽しそうです。特にバター作りは、牛乳と脂肪の入ったビンを10分間降り続けなければならず、腕がパンパンになり、途中から悲鳴をあげていました。出来上がりのバターをクラッカーに付けて試食しました。添加物ゼロの味はどうだったでしょうか?
8:15閉校式 バス出発 朝の会
○二泊三日お世話になった亀屋ホテルの方々に、全員てお礼を言いました。
6:50朝食
○今朝はパンとコーンフレーク、コーンポタージュ、目玉焼き、サラダ、ハッシュドポテト、八ヶ岳牛乳です。昨晩のチキンとビーフシチューはもうしっかり消化されているようで、良く食べています。さすがに中学生の食欲は旺盛です。
9月12日(金)2025 林間学校第三日 6:00起床
○最終日の朝を迎えました。目覚めはどうてしょうか?洗面、朝食前の健康観察、荷物の帰り支度と忙しい時間です。【ホテルからの朝焼け】
林間学校第二日目を振り返って
林間学校の二日目は、あらかじめ雨予報がありましたが、何とか登山をやらせてあげたいと思い、ギリギリまで悩みました。ただ結果としてその願いは叶わず、雨天バージョンとなりました。しかし生徒たちにとって、本物や実物に触れる貴重な体験学習となり、良かったと感じています。昨日はすべての行程を予定通り、というよりはむしろ生徒たちの素早い行動のおかげて早めに終えることができました。しかし今日は、その反対で朝から予定の変更ばかりが続きました。登山から松本城の見学に変更(しかも行列ができるほどの混雑状態)、旧開智学校から松本市立博物館に変更と、普通ならば混乱してもおかしくない状況に、生徒たちは柔軟に対応できました。四十年間の教員生活でもあまりないほどの素晴らしさでした。また見学先でも熱心に説明を聞いたりや展示物を丁寧に見るなど、探求心があることがわかりました。生徒の表情からは何かをそれぞれ感じていることを読み取ることができました。受け入れてくれた松本城の市民ボランティアや博物館の方からも、「素直でいい生徒さんですね」と声をかけていただき、校長として嬉しく思いました。明日も帰路の中で、農場体験があります。学校のメインは授業ですが、今後も一つひとつの授業が、生徒が将来にわたって学び続けるきっかけになるようにしたいとあらためて思いました。須藤昌英
22:20消灯
○二晩目の就寝です。リーダー会議での伝達事項を聞き、おやすみなさい。【消灯間近の亀屋ホテル】
21:45リーダー会議・就寝準備
○今日の成果と課題をまとめる会議でした。私からは昨日と今日の二日連続で、ホテルの支配人から「良い生徒さんたちですね、」と褒められたことを伝えました。
19:30入浴・お土産購入・学級会議
○炊事場で煙りにまみれたので、入浴してさっぱりしましょう。昨日よりも入浴時間を10分間延ばしています。学級会議の中の話し合いのスキルが、明らかに昨日よりも向上しています。中学生の成長は見ていて楽しいです。
17:15夕食 後片付け 飯盒炊爨終了
○仲間と協力して作った夕食は、格別の味です。私も試食しましたが、味の深いビーフシチューとバケットが良く合い、柔らかく仕上がったチキンと野菜はとても美味しかったです。
13:30バス出発 15:45ホテル炊事場に集合
○松本市を出てホテルへ戻ります。食べて眠る生徒もいます。夕食は自分たちて自炊します。メインメニューは、ダッチオーブンと鍋を使っての「鶏の丸焼き」と「ビーフシチュー」と「バケット」です。果たしてレシピ通りにできるでしょうか?
12:30バスへ戻り昼食
○本当は登山で食べるはずだったお弁当をバス内で食べました。
11:40 松本市立博物館へ移動
○予定外に松本城見学に時間をとられ、本来はその後開智学校に歩いて行く予定でしたが、急遽変更しました。新しく出来た市立博物館がバス駐車場の脇にあるので、現地学習として入館しました。 ○参考までに、いく予定たった旧開智学校については近代学校建築としては初めての国宝となった旧開智学校校舎です。国宝指定にあたっては、「近代化を推進した開化期の洋風建築受容を示し、近代教育の黎明を象徴する最初期の擬洋風学校建築として、文化史的に深い意義を有する」と評価されました。 文明開化を伝える擬洋風建築の代表作 です。明治初期、日本中が文明開化に沸いていた時代に、建物も洋風のものが求められるようになりました。しかし、実際に建物を施工する大工たちに、当然ながら洋風建築を造った経験はありません。そのため、東京や横浜、大阪や神戸などの先進地へ見学に行き、洋風建築の情報を集めるとともに、持ち前の伝統技術を応用して洋風に見立てたり、身の周りの材料を工夫して洋風に似せたりすることが行われました。このようにして、各地で洋風を目指した建築が造られていったため、和風や洋風など様々な要素が混ざり合った建築が全国で誕生しました。
10:00 松本城到着 クラス写真 班行動
○国宝四城の姫路城、彦根城、犬山城、松江城とともに国宝に指定されている松本城は、天守の築造年代は文禄2~3(1593~4)年と考えられ、現存する五重六階の天守としては日本最古の城です。 天正18(1590)年、豊臣秀吉が天下を統一すると、徳川家康を関東に移封しました。このとき松本城主・小笠原秀政が家康に従い下総へ移ると、石川数正・康長父子が代わって入城し、城と城下町の整備を進め、近世城郭としての松本城の基礎を固めました。 松本城は、松本の街のシンボルであり、市民の心の拠りどころてす。 ○市民ボランティアさんの説明に真剣に耳を傾けていました。意外にも見学は行列で出来ていて、天守閣にのぼるのは、大渋滞で待たされました。見学者の大半が外国人で、インバウンドを感じました。生徒たちが国宝から何を感じたか?感想が楽しみです。来年6月の奈良と京都の修学旅行のよい練習となりました。
8:30バス出発
○ホテルを出て、松本市街まで山を降りて向かいます。バス内で朝の会を行います。
6:50朝食
○時間通りに食堂に集まった生徒たちの顔は、すっきりしたさわやかなものと寝起きでドヨーンとしたものなど、それぞれでした。自宅以外の慣れない部屋で寝ることも、将来に向けて経験しておくことは決して無駄ではないとは思います。加えて自分の体調を自分で把握し、必要な措置を取ることができるようになることも大切だと思います。全員が食べられているのを見て、少し安心しました。 ○朝食後、今日の予定の変更を伝えました。昨夜の雨の影響で、登山道の様子を登山ガイドさんに確認したところ、滑りやすく危険が伴うということでした。登山に慣れない生徒たちがリュックサックを背負い、カッパなどの雨具を着て歩くこと、様々な安全を考慮し、雨天コースとして、国宝の松本城と旧開智学校の見学に変更します。
9月11日(木)2025 林間学校第二日 6:00起床
【雨の朝の白樺湖】○昨夜は夜半過ぎから雨が降りだし、だんだんと強くなってきました。部屋で寝ていても雨音に気がつくくらいですので、雨量は相当なものでした。係生徒の「おはようございます。起床の時間です。身の回りの整理をして下さい」のアナウンスで、1日をスタートしました。
出席停止の感染症にかかったら、こちらをご確認ください。
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柏市立土中学校
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