校長雑感ブログ

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4月13日(木)水筒持参のお願い&第1回避難訓練

〇今年は4月の半ばからすでに、「夏日(最高気温が25℃以上の日)」となる日があります。本格的な暑さはまだ先だとは思いますが、今年はその暑さが例年よりもはやくやってくる気がします。

〇昨年もこの時期からお願いしていますが、自宅から水筒を持ってくるようにしてください。なかみは冷水、スポーツドリンクや麦茶などでかまいませんが、スポーツドリンクは糖分が多いので、かえって喉が渇くこともあります(水で薄める方法もあります)。また運動をする場合にはミネラル分を含んだものが良いと言われています。

〇水分補給の仕方ですが、「のどが渇いた」と感じた場合には、すでに脱水症状が始まっている可能性があります。のどの渇きを感じる前に細目に飲むのが良いようです。暑い時期に限らず、また汗をかいていなくても自主的に水分補給することが重要です。学校でも指導しますが、ご家庭でも話題にしてください。

「健康のため水を飲もう」推進運動(厚生労働省のHPより)

 

〇2学年と3学年は、それぞれ6月に実施する林間学校(長野県八ヶ峰方面)と修学旅行(京都・奈良方面)に向けて、クラスごとのスローガン決めや部会(班長生活・コース部会・食事美化部会・保健入浴部会)ごとの話し合いを行いました。

 

 

 〇1学年は体育館で、発育測定を実施しました。これは学校保健安全法施行規則第六条に、健康診断における検査の項目は、次のように定められているためです。

一 身長、体重

二 栄養状態

三 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無

四 視力及び聴力

五 眼の疾病及び異常の有無

六 耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無

七 歯及び口腔の疾病及び異常の有無

八 結核の有無

九 心臓の疾病及び異常の有無

十 尿

十一 寄生虫卵の有無

十二 その他の疾病及び異常の有無

 

〇5時間目に本年度最初の避難訓練を「防災の意識をより強くもち、避難経路・安全な避難方法・点呼方法を確認する」という目的で行いました。想定として「首都直下型地震により、千葉県は震度6強の強い地震が発生した」こととし、緊急地震速報および担任の指示により、まず第一次避難(各自の机の下に避難)しました。その際、教室の扉と窓を開け、カーテンを閉めることを原則とします。その後校内放送および担任の指示により、校庭に第二次避難を行い、整列・点呼を行いました。

〇生徒には、「お⇒おさない、は⇒はしらない、し⇒しゃべらない も⇒もどらない」の合言葉を徹底して事前に指導しました。実際には担任の指示に従って、上履きのまま、校庭へ避難し、学年委員は先頭で整列指示していました。静かに点呼終了まで待機できました。

〇終わったあとの講評では、まず本年度富勢中にきた2名の職員(中村教諭、小柳教諭)に話をしてもらいました。中村教諭からは、「地震からいのちを守るためには、地震が起きる前はいろいろな備えをしておくこと、地震が起きてからは上からの落下物がないか床や壁が崩れていないかを注意深くして避難することが大切です」、小柳教諭からは、「地震への備えについて、学校では今日のような避難訓練をしっかりと行うこと、家庭では非常食や懐中電灯を常備しておくことが必要です」とありました。

〇最後に私からは、「古代インド人は、地球の下に大きな蛇やカメ、象が住んでいると考えていました。昔はそんなことは迷信だくらいにしか思っていませんでしたが、よく考えると地球も一つの生き物(内部にマグマがいたるところで流れている)とも言えます。すると地震は地球にとっては、ただのくしゃみや咳にすぎないかもしれません。そうであれば、いつ地震が来てもおかしくないことも確かなことです。人間は地球の上に住んでいるのではなく、住まわせてもらっているのです。であれば、地震が起こらないようにするのは不可能ですし、もし起こった場合には、いのちを落とすなどの最悪の状態を避けることが宿命なのかもしれません」と話しました。

須藤昌英

 

4月12日(水)3学年がそろいました

〇1年生は、朝の会から新しいクラスで、最初は少し緊張した様子でしたが、教科書に記名したり、学年集会を行ったりしました。段々と明るい表情も出てきました。

〇2・3年生は、教室や体育館で発育測定(視力検査・聴力検査・身長・体重)を行いました。

 

〇1年生は、初めての中学校の給食でした。まずは給食当番が白衣を着るところから勝手の違いに苦労していました。さらに配膳や「いただきます」の挨拶もクラスごとに少しずつ違っています。当番以外は読書をして待ちます。

〇メニューは「牛乳、ポークカレーライス、わかめサラダ、手作りグレープゼリー、大豆小魚」でした。ご飯をどのくらいよそうかなども手探り状態で、食べ始めるまでにけっこうな時間がかかりました。明日からは少しずつペースアップしていくことでしょう。生徒が帰りましら、ご家庭で感想を尋ねてみてください。

須藤昌英

 

 

 

4月11日(火)第77回入学式で新入生のご入学を寿ぐ

〇本校の入学式に際しては、朝の正門で、学区内の小学校3校の先生方(中谷光男校長、宮本健寿校長、斎藤真紀子教頭)が、新入生を出迎え、言葉をかけていただきました。ありがとうございました。本校も含めた富勢中学区の4校は、学区共通の目標として、「自ら学び、心豊かに、たくましく生きる、富勢の子の育成」を掲げ、教育課程の違いを超えて、連携していきます。

〇本日10時より、第77回入学式を無事に挙行できました。新入生は新しい制服が少し窮屈そうでしたが、緊張した様子で参加していました。担任から自分の名前を呼名され、その場に立って、「はい」とはっきりとした返事をしている姿をみて、中学生としての自覚が芽生えつつあると感じました。明日から全学年がそろっての生活になります。

【校長式辞:要約】

・百六十ニ名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。そしてようこそ富勢中学校へ。皆さんの入学を在校生及び教職員一同、心より歓迎します。

・今の初心を忘れないでください。明日からは、先輩である2年生や3年生との一緒の生活が始まります。でも彼らもそれぞれ1年前や2年前は、皆さんとまったく同じ気持ちでこの場にいたのです。

・人間にとって「経験する」ことが最も大切です。今の不安は、優しい先輩や親身になって指導してくれる先生方によって、すぐに安心感に変わります。しかしそれは、先輩や先生方も皆さんと同じような経験を過去にしてきたからこそ、皆さんの不安が、手に取るようにわかるからです。

・本校の最大の特徴を一言で言うならば、この後に斉唱します校歌の2番の歌詞に「瞳かがやき集う われら若人」とあるとおりです。富勢中の生徒はみんな明るく、主体的に学校生活を送っています。新入生の皆さんもまず、「一番自分の目を輝かすことができること」を探してみましょう。

・入学にあたり、中学生としての心構えを3つお話しします。中学校生活は、皆さんのこれからの人生にとって、重要な意義を持った三年間です。したがって、その時その時に、どうやって過ごしていくかを真剣に考えることが大切です。

・まず学習では、算数が数学、図工が美術、体育が保健体育、家庭科が技術・家庭科になります。また英語も本格的に始まります。世の中はあらゆる分野で飛躍的に進歩しており、それに対応するには、「何を知っているか」だけではなく、「何ができるのか」が問われてきます。つまり、単に知っているだけでなく、その知識はどんな背景をもち、どこで使われるのかまでをイメージできてこそ、はじめて「生きて働く知識」となります。

・一例を挙げます。皆さんは、小学校5年生で、三角形の面積を求める式を学習しましたね。そう、【底辺】×【高さ】÷2 です。

では、その公式はどうやって導き出されたのでしょうか?

・まったく同じ三角形をもう一つ、逆さにしてくっつけると、2つ合わせて平行四辺形になります。平行四辺形の面積は、【底辺】×【高さ】ですから、そのちょうど半分が、三角形1つ分の面積になるのでしたね。公式はあくまでも結果であり、それが導き出される過程(プロセス)が重要です。

・中学校の学習では、その公式を覚えていることより、どうしてその公式が成り立つのかを、自分の言葉で説明できることの方が重要で、そういう力こそ、皆さんに身に付けてほしいと考えています。

・さらに授業では、先生の話や友達の考えを聞いた上で、自分ではどう考えるかを発表したり、書いたりすることを大切にしています。それを3年間積み上げていくと、学力の中で一番大切な「学び続ける力」が身についてきます。授業に積極的に参加することを期待しています。

・よく世間では、先ほどのように学んだ結果を「学力」といったりしますが、本来「学力」とは「学」と「力」のあいだに「び続ける」という字が入って、「学び続ける力」のことなのです。

次に、中学校には様々な活動が用意されています。総合的な学習、体育祭・合唱コンクール・校外学習・部活動などです。このような活動を通して、自分の力を大いに伸ばしてください。一心不乱に取り組んでいる姿は輝いて見え、やりきることで自分に自信が持てます。

・最後に、このような学習やその他の活動を充実させるには、お互いに相手を認め合い、支え合う関係を築くことが必要です。「気持ちのよい挨拶をされた」「不安な時に励ましてもらった」「自分の悩みを聞いてもらえた」など、友達や仲間に勇気づけられ、次の一歩を踏み出せるのが人間です。

・保護者の皆様、本日は、お子様のご入学誠におめでとうございます。今日より大切なお子様をお預かりいたします。今後三年間、皆様のご期待に応えるべく私ども教職員一同、誠心誠意全力を尽くす所存です。特に、気になる点や相談等がございましたら、遠慮なく申し出てください。

・終わりにあたり、学校運営協議会(富学協)の皆様、公私とも、ご多用の中ご臨席を賜りありがとうございます。今後も「地域の中の富勢中」として、本校をあたたかく見守っていただき、ご支援・ご協力を賜りますようお願いし、式辞といたします。

令和五年四月十一日                          柏市立富勢中学校長  須 藤 昌 英

(1学年所属教職員)

4月10日(月)教科担当と授業の持ち物、給食開始、入学式準備

〇各クラスの教科担当教員の一覧表です。中学校の授業時数は、一年間で1015時間です。その一つひとつの授業を通し、各教科の内容を通して、生徒に身に付けてもらいたい見方・考え方を一緒に追求していきます。

〇今週から各学年順次、学年内日課の中で最初の授業がありますが、その際に準備する学用品をまとめました。教科書はすでに配付していますが、ノートなどは教科によって異なりますので、確認してください。

 〇今日から給食が始まりました。特に今年度から本校でもストローレスに取り組みます。私も牛乳パックの畳み方を復習してやってみました。毎日やれば覚えられることでしょう。

 

〇明日の入学式に向けて、午後は在校生を中心に、メイン会場の体育館と各教室の飾りつけを行いました。さすが在校生ともなると、準備をスムーズにしかも嫌々ではなく楽しそうに、力をあわせて行っていました。後輩を迎えるのがうれいしい生徒が大勢いるようです。

〇明日は、在校生は出席しませんが、教職員一同、心を込めて新入生をお迎えしたいと思います。

 

〇数ある美しい日本語の一つに、「寿ぐ」があります。読み方は「ことほぐ」で、別に「言祝ぐ」と書くこともあります。意味は字のごとき「言葉で祝う」「お祝いを述べる」「喜びを言う」などです。特に、「ほぐ」は、よい結果が得られるように、祝福のことばを唱えるという意味です。たとえば「新年を寿ぐ」といった場合に使われています。

〇私は初めてこの言葉を知った時、字から受けるイメージもそうですが、その読み方から「春の陽気によって人の心が和らぐ」と似た感覚があるなと思いました。少し調べますと、この「ことほぐ」は、古くから使われていた語で、『古事記』などにも用例が見られるそうです。日本の言霊(ことだま:ことばにあるとされていた霊力)思想を反映した語であろうといわれており、ことばには発せられたことばの内容どおりの状態を実現する力があるというものだそうです。

〇今、明日の入学式に向けて、入学を寿ぐ「校長式辞」を作成しています。先月の卒業式の式辞は、卒業生への思い入れが強くなってしまい、15分間と長めでした。入学式では、新入生も緊張しているでしょうから、あまり時間をかけず、私の登壇・降壇も含めて、10分以内で終わるように考えています。

須藤昌英

 

4月7日(金)学年内臨時日課が始まりました(~18日)

〇今日から別紙のように、学年ごとの臨時日課で生活・学習します。主に、学級活動(自己紹介、教科書・ワーク配付、学級目標決め、班・係決め、学級掲示物作成など)、学年集会(学年所属職員紹介、生活の約束など)、学年レク(学級写真撮影を含む)、入学式準備、発育測定、避難訓練、新入生歓迎会、全国学習状況調査(3年)、林間学校(2年)・修学旅行(3年)準備などなど・・、年度初めは生徒も教職員も大忙しです。

〇ご家庭でも毎朝、「今日は何があるの?」と予定の確認をしてあげてください。

須藤昌英

 (2学年・3学年学年内日課)

 

 

 

4月6日(木)令和5年度着任式・第1学期始業式

〇昨年度末に多くの職員を見送ってからさびしい気持ちでしたが、今年度から着任された教職員に着任式で、自己紹介をしてもらい、「いよいよスタートしたな」という実感がわいてきました。

〇生徒会長の原心渚さんから、着任された教職員に向けて、あたたかい歓迎の言葉を述べてもらいました。

 

 

 

 

【着任式で生徒に紹介した職員】

 

〇始業式では、創立77周年目の伝統「挨拶・清掃・歌声」について話をしました。私から「伝統とは何だと思いますか?」「伝統を引き継ぐことは必要だと思いますか?」などの問いかけをしてみましたが、果たして伝わったかどうか。

〇私の願いとしては、新年度にあたり、「挨拶・清掃・歌声」のどれか一つを自分で選んで、「自分は~していきたい」とイメージしてから、新生活を始めてもらいたかったのです。

【始業式での校長の話】

〇3つの伝統のうち、早速校歌を歌いました。「人間の身体は、楽器でもある」と話したのですが、自分の身体の内部の空間に、歌を響かせるように歌ってくれたように感じました。

〇生徒指導主任の中居教諭からは、「新3年生、新2年生とも先輩になるという自覚をもつようにしましょう」との投げかけがありました。新しく着任した教職員からは、「みんな真剣に話を聞いて、素直なせいとばかりですね」との感想がありました。

〇新3年生はすぐに新しい教室へ移動し、新2年生は新クラス発表後に、荷物などを運びました。学級開きの自己紹介などは、明日の学級活動で行います。

須藤昌英

 

 

4月5日(水)第1学期始業式の前日

〇校舎裏のソメイヨシノはまだ頑張って咲いていますが、そろそろ終わりに近づいています。その一方で、少し遅咲きの八重桜の花が急に勢いを増し、ソメイヨシノに代わって主役になりつつあります。

〇調べますと、「八重桜」という呼称は、一つのサクラの品種ではなく、八重咲きに花を付けるサクラの総称だそうです。ソメイヨシノに代表される一般的な桜の花弁は5枚で、この咲き方を「一重咲」と呼称するのに対し、桜の場合は6枚以上の花弁を付けるものを「八重咲の八重桜」として区分しています。

〇サクラも複数の品種が交配してできた変種や観賞用に開発された改良品種を合わせると600種類を超えるといわれています。日本に分布している桜のうち80%以上がソメイヨシノだそうですが、実は他にも個性溢れる品種が多く存在しています。花弁の数も影響してか、本校の八重桜はピンクも濃く、花全体がモコモコしています。

〇サクラと同じく生徒もすべての面で、多様性に富んでいます。人にはサクラと同じくそれぞれの良さがあり、比べることは無意味です。ソメイヨシノにはソメイヨシノの良さ、八重桜には八重桜の良さがあり、そうだからこそそれぞれの特性が際立って、観る我々は楽しいのでしょう。比べるとは、ある基準をつくって、その物差しである基準を超えるか下回るかを判断するもので、工業製品を製造する過程にしかその有用性はありません。

〇明日より生徒を迎えるにあたり、教員は下駄箱やロッカー、机・椅子のシールを貼ったり、教室や廊下などの環境を整えたりしています。生徒のいない教室は、ガラ~ンとしていて、窓から差し込む光が床を照らしています。「はやく生徒が登校してこないかな」と待ち遠しく思っている教員も多いです。

(ソメイヨシノから八重桜へ主役交代) (静まり返った生徒下駄箱と作成中の机上表示)

 

 

〇昨日も家庭教育の役割について書きましたが、家庭教育には3つのポイントがあります。

①   見渡す

子どもの居場所として、家庭が本人にとってどこよりも安心できる環境となるように配慮することが、「見渡す」ことにあたります。要するにそれは、子どもの観察を通して子どもにとって必要な基本的な生活習慣や物事に対する価値観を学ぶための機会を適宜提供してあげることです。

②   見守る

子どもは、当然のこと親に「見守られている」と安心します。親から大切にされているという感覚は、子どもの自己肯定感や自己有用感を育む大きな要素であり、それらが高ければ、子どもは自ら挑戦し、たとえ失敗してもそこから学んだことを次にいかし、苦難を乗り越えられる人間へと成長できます。

③   見届ける

子どもは常に「これで大丈夫だろうか?」などの不安を抱えています。日頃より子どもから相談されやすい距離感を保ち、もし相談されたら、「あなたはどうしたいの?」「私(親)にサポートしてもらいたいことは何?」などの投げかけをすると、子どもは自立(自律)へ歩み出します。

〇明日からの新学期ですが、具体的には、毎朝同じ時間に起き、1日3回バランスのとれた食事、体をしっかり動かし、夜は決まった時間に寝るなどの正しい生活リズムは体の調子を整えるだけでなく、抵抗力を高める効果もあります。集中力も高まるといわれているため、子どもがさまざまな知識を身につけやすくなります。

 須藤昌英

4月4日(火)新年度に向けての会議や準備

〇正門前の通りは、桜の花が散り始め、新緑の若い葉が勢いを増しています。校内に入ると、グラウンドやテニスコート、武道場や体育館では、各部活動が来週からの大会に備えた練習に余念がありません。自分の好きなことを精一杯やっている若者の姿に、頼もしさを感じます。学年初め休業も明日までですので、そろそろ規則正しい生活に戻す意識をもっていることでしょう。

〇今年度からは、教育委員会事務局が「柏市小中学校管理規則」という柏市の条例を改正し、昨年度は4月5日だった1学期始業式を1日ずらして4月6日にしてくれましたので、準備の日程に少し余裕があります。ただ実質は3日間しかありませんので、職員は会議や新年度の準備に取り組んでいますが、昼休み以外はゆっくりとしいる職員はいません。

〇教員には、授業担当や学級担任などの役割に加え、学校全体を運営する係り分担(校務分掌と呼んでいます)を割り当てています。このことは「学校全体を支えている」という意識を醸成し、一つの組織として仕事をしていくことにつながります。下記が一例です。

 ・教務部(年間計画、月計画、週計画、学校行事、教科経営、日課表など)

 ・研究部(校内授業研修計画、各年代に必要な研修の推進など)

 ・生徒指導部(生徒の生活のきまり、一日の生活の流れ、生徒へ寄り添った支援など)

 ・管理部(施設管理、環境美化、備品管理など)

 ・庶務部(教科書管理、学籍管理、各種会計、各種証明など)

(会議やパソコンを使った準備の様子)

〇脳神経解剖学の世界的権威であり、第16代京都大学総長を務められた平澤興教授(明治33年新潟県生まれ、平成元年京都市で没)は、いろいろな名言を残しています。例えば、「人間には無限の可能性がある」や「人間には140億個の神経細胞があるが、それを全部使い切ったものは一人もいない」などは、医学者としての見地からの言葉でしょう。また「人生はニコニコ顔の命がけ」や「生きるとは燃ゆる事なり いざやいざ 進まん この道 我が燃ゆる道」などは「生きる」ことに関しても、深い洞察を与えてくれます。

〇この平澤氏が、教育(家庭教育を含む)についても次のような見解を示しています。

【家庭教育の基本】

どんなに立派なことを言っても、その生活の中に、何の夢もなく、だらしのない生活の中では、とても子どもには勉強しようなどという気持ちは起こらないでしょう。

【教育とは火をつけることだ】

教育とは、火をつけて燃やすことだ。教えを受けるとは、燃やされることであり、火をつけられることです。

〇私自身も家庭では3人の子育てをしてきましたが、次の5か条の最初の2つは、「果たして自分はどこまで出来ていただろうか?」と今でも時々振り返っています。

【人生信条】

1 親は、まず、暮らしを誠実に

2 子どもには、楽しい勉強を

3 勉強は、習慣づくり

4 習慣づくりは、人づくり

5 人づくりは、人生づくり

須藤昌英

 

 

 

 

 

4月3日(月)本年度21名の職員が着任しました

〇先月の24日に、21名の職員を送り出してから10日余り、本日から以下の職員を迎え、令和5年度の「チーム富勢」をスタートします。まず校長室で一人ひとりに千葉県教委委員会からの「辞令」交付しました。校長にとって、職員は「人材」ではなく、「人財」です。職員の力を最大限に引き出すことが、生徒の学びを支援することにつながります。

〇次に職員室で職員への紹介をした後、早速最初の職員会議を行い、今年度の目指す方向性を確認しました。会議の方法は授業と同じく、提案者からの提案後、質問や意見交換をして理解を広げたり深めたりしています。「学び続ける富勢中」は、まず職員の学ぶ力の育成からだと確信しています。

(着任職員・辞令交付・自己紹介・職員会議)

〇昨年度に続き本日から、校長からみた富勢中の様子を、発信していきます。「雑感」の名の通り、雑多な感想もあり、まとまりのない文章となりますが、ご容赦ください。

〇「ブログ」という用語は、「Web log」(ホームページの履歴の意味)から派生した言葉ですが、「毎日の様子を書くという意識」をもって学校内にいますと、「これは保護者や地域の方々にお知らせした方がよいだろう」などの気づきがよくあります。

〇外からみたのではわからない学校内のいわゆる「裏事情」なども、伝えられる範囲で書いていきます。「こんなことをホームページに書いてあるけど、実際にはどうなの?」等、お子様との会話のきっかけにしてください。

〇アフリカのケニアにあるサバンナで、水を求めて大移動するシマウマの集団をテレビ番組などで観るときがあります。そのシマウマの子どもは、大移動する前に、必ず母親と一緒に走る練習をします。人間の「鬼ごっこ」のように、母親と追いかけっこしながら、周囲を遊びながら走ります。

〇「遊び」として「訓練」をしておかないで、集団移動で川を渡るときに自分勝手に行動したのでは、ワニに襲われて命を落としてしまう可能性があります。大切なのは、脳の深い部分に危険からの逃避や仲間との集団行動に関する重要性が刷り込まれることだそうです。

〇学校での学習や生活で考えると、理性とか意識などの表層の部分で理解するだけですと、刷り込みの度合いが弱いままです。シマウマの子どものように、「遊びとしての走る練習」をしていない生徒は、学校での生活(特に人間関係)を窮屈に感じた際、そこで踏ん張ろうとする意欲が出てきません。

〇シマウマの子どもの「遊びとしての走る練習」に該当するのが、家庭での生活です。家族との連帯感やつながりを感じたり、疲れたら十分に癒されたり、特に中学生として大切なのが家庭内での自分の役割を果たしているかどうかです。6日の始業式まであと3日、お子様のエネルギーが蓄積されているか、ご家庭で様子を見て適宜お声掛けをお願いします。

須藤昌英

 

 

3月24日(金)1年間ありがとうございました

〇本日は令和4年度修了式を行います。校長の話のスライドです。

 

〇その後令和4年度末で転退職する教職員を送る会を行います。

 

〇昨年の4月1日から続けてきた「校長雑感ブログ」も、今年度は本日で終了します。あらかじめ「雑感(雑多な感想)」とことわって始めましたが、その日の思いや気づいたこと、自分のこれまでの経験を一方的に連ねるようなまとまりのない文章になってしまいました。お詫びいたします。それでもお読みいただきましたことを感謝いたします。ありがとうございました。新年度もよろしくお願いいたします。

須藤昌英

3月23日(木)むちゃなことができる時期

〇「むちゃ(無茶)」の意味を調べてみると、まず「無茶」があて字だということを初めて知りました。ワープロに打ち込むとすぐに「無茶」と変換するので、これまで疑いもなくきました。やはりこれに限らず語源などもしっかりと調べなおす必要があると思いました。同様に「むちゃくちゃ(無茶苦茶)」や「めちゃくちゃ(滅茶苦茶)」も日常で使っていますが、本来はひらがな標記のようです。「むちゃ」の意味は、

1 筋道が立たず、道理に合わないこと。また、そのさま。

2 程度がはなはだしいこと。度を越していること。また、そのさま。

3 知識がないこと。また、そのさま。

いずれにせよマイナスのイメージがありますが、人生の一時期は、「よくあんなにむちゃができたな」と思うことがだれでもあるのではないでしょうか?

〇日本で一番ノーベル文学賞に近いと言われている村上春樹さんの作品は、本校の図書室にも多く蔵書しています。彼の作品を読んでいると、なんとも言えない不思議な空気感に包まれます。ただ長編作品も多いので、中学生には短編小説から入って、その世界観を楽しんでもらいたいと思っています。

〇その村上さんが、自伝エッセイで次のようなことを書かれていました。後半に中学生の頃の思い出が出てきます。

「小説を一つ書き上げ、原稿を編集者に渡すと校正係がそれをチェックする。そこで指摘されるのはだいたい言葉遣いの間違いと事実的な間違いだが、その校正が入ったゲラ刷りを見ていると、自分がいかに世界の事象について無知であったか、いかにいい加減で不正確な知識をもって生きてきたかをつくづくと思い知らされる。 (略) でもまあしょうがないよね、世の中の知識や情報をいちいち律儀に頭に詰め込んでいたら、それだけで忙しくて、大事なことは何もできなくなってしまう。そう思って開き直っている。とはいえ、僕だって昔はそうじゃなかった。中学生の頃、少しでもたくさんの世界の知識を身に付けたくて、百科事典を最初から最後まで読破したことがある。よくまあそんな無謀なことをしたよなと思うけど、当時は知識欲にあふれた素直な少年だったのだろう。で、百科事典を読破してそれが何かの役に立ったかというと、とくに立ってないみたいだ。そのときに頭に入れたことは、みんなどこか遠い場所に吸い込まれて消えてしまったから。きっと人にとって一番大事なのは、知識そのものではなく、知識を得ようとする気持ちと意欲なのでしょうね。そういうものがある限り、僕らはなんとか自分で自分の背中を押すように、前に進んでいくことができる」

〇これは村上さんのことであり、別に中学生に「百科事典を読破しなさい」と言いたいのではありません(今は百科事典レベルの一般的な知識は、手元のディバイスですぐに調べられますので)。そうではなくて、むしろそんな無謀(むちゃ)なことをあえてやってみるということは中学生時代しかできないのではないかと思います。

〇人によって内容は様々ですが、もっと色んなことに挑戦したい、どこまで出来るか自分の限界を試してみたいなどのように、向上心をもってものごとに取り組むことで、自分の可能性が広がることを生徒達にも感じてほしいと思います。

〇明日の修了式には、日本が野球のWBCで優勝した話(MVPの大谷翔平選手が主役)は、昨日からテレビのどのチャンネルでもそればかり放送されていますので、あえて村上さんの話をしてみようと思います。

須藤昌英

 

3月22日(水)来年度からストローは使わずに牛乳パックのたたみ方も変更します

〇20日は本年度最後の給食でした。生徒も美味しそうに食べていました。午後には校長室に、給食調理を委託している業者の方々が今年度終了の挨拶に来てくださいました。私からは「おかげさまで、安全で美味しい給食を提供していただき、本当にありがとうございました」とお礼を申し上げました。新年度は4月10日が給食のスタートになりますので、約3週間は給食はありません。

〇令和5年度からは、ストローの使用を止めるのと牛乳パックの片づけ方法を変更します。まず牛乳パックは、写真のようにたたみますが、給食委員の説明に従ってやってみても、最初はなかなか難しいようでした。ある生徒は出来上がった後で、「まるでメンコのようだ」と言っていました。なるほどしっかりとたたむと、コンパクトで思ったよりも固くなります。

〇一方で私もこの半年はストローを使わないでいましたが、私一人だけでも、次のように溜まっています。ストローを使わず、パックの上部を手で開き、飲み口から直接飲めようにします。

〇「プラスチック問題」は世界でも注目されています。プラスチックは、加工のしやすさや高い耐久性などの特性から、生活のさまざまな部分で使われています。しかしプラスチックが燃やされるときに温室効果ガスが発生し、地球温暖化の原因のひとつになっています。またプラスチックの原料は、石油でその資源の枯渇につながることになります。さらに大量のプラスチックが海に流れ出て、海を汚染しているそうです。

〇それに対し、世界中で取り組まれているのがSDGs(持続可能な開発目標)で、17のゴールとゴールを達成するための169のターゲットで構成されています。世界的に有名な企業(マクドナルドやスターバックスなど)でも、プラスチック製ストローの廃止を発表したり、紙ストローに切り替わっています。

〇環境に関して問題意識を持たせることは、未来を生きる生徒たちにとって、当事者意識を促し、「自分ならどうするか?」の行動につなげられます。

須藤昌英

3月20日(月)学年末保護者会

〇先週の金曜日は、お忙しい中、学年末保護者会へのご参加ありがとうございました。保護者の皆様には、新しくなった体育館をご覧いただけて良かったと思っています。

【校長挨拶】

・お忙しい中、ご参加いただき、また日頃から本校教育活動にご理解とご支援をいただき、重ねて御礼申し上げます。先日は東京の桜が全国にさきがけて開花したというニュースもありましたが、本日は富勢中の桜も初めて咲き始めたのを発見しました。

・また今朝の5時には、自宅前の林から、名前はわかりませんが、鳥たちの鳴き声がこれまで以上に大きく響いてきました。今日は少し肌寒いですが、春も本番だなと感じます。

・朝や帰りに校長室前の道路を通る生徒の話し声も、鳥と同じで、今まで以上に楽しそうに聞こえてきます。人間はやはり自然の中で生きていると感じます。本校は樹木も多く、中庭にはたくさんの鳥たちが集っています。以前本で読みましたが、鳥たちは警戒心が強く安全性が最優先なので、木が多いからといって、それだけで集まってくるわけではないそうです。一番はその場の雰囲気を察知して、「ここにいて大丈夫?」と判断をしているそうです。そうなると、富勢中は、鳥たちも安心していられる空間であり、生徒が学ぶ場としては整っているのではないかと思います。

・お子様のこの一年間の成長はいかがでしたでしょうか?きっと良い面でも悪い面でも目覚ましかったと思います。成長は「変化」ですが、親として「好ましい変化と好ましくない変化」があると思います。中学生になると急に無口になったり、要件しか言わなくなったり、なんでもかんでも反抗的になったり。親としてはイラっときたりいつまでもこのままだろうかと心配になると思いますが、大丈夫です。反抗期は必ず終わります。

・本日の午前中に、1学年を対象に「いのちの授業」千葉県助産師会から講師を招いて行いました。次のアンケート結果をみてください。順調な成長をしていると思います。いつまでも親の言うことをそのまま行っているようですと、むしろその方が心配です。イライラするのは、自分でやってみようとすることが増え、そのすべてが思い通りにいかないのは当然であり、そこから湧き出る自然な感情です。

・特に面白いのは男女別の違い(次のベスト3)です。共通なのは、「人の気持ちを考えて行動するようになった」ですが、これも良い捉え方だけではありません。例えば自分の行動によってそれに対する親や教員の反応が予想されるので、本当はやってみたかったことをあえて止めてしまう場合もあります。いずれにせよすべて思春期特有の悩みです。私たちも大人もそういう時期があったのですが、今は忘れているだけです。

・私はよく、生涯学び続けていくためには、「素直(今の自分を大切にし、将来の自分に期待する心情をもっている)」であることが欠かせないと話します。こえは要するに周囲にどう思われようが、自分との対話ができるようになることです。しかしそれは外(親や教師)からは決して見えない部分です。

・いろいろと思春期の子をもつ親としての心配は当然ですが、少し距離ととりつつ、本人の表情が暗くなったり投げやりなつぶやきなどに気づいたら、「何か心配事があるなら相談してね」と声をかけてください。中学生くらいですと、自分でも何に困っているのかはっきりと認識しないでいることも多く、自分の言葉で自分の気持ちを相手に話したときに、初めて「ああ、自分は~で悩んでいるのだ」とそこで初めてわかる場合があります。相談されたら「なるほど、あなたは~で悩んでいるんだね。ではあなたは一体これからどうしたい?」と尋ねてください。絶対にしないでほしいのは、子どもの話を途中で遮ったり、聞いてすぐに助言することです。相談された方としては、はやくその子の悩みを解決してあげたいと思いますが、話した時点で大抵は自分で答えをもっていると思います。もしその自分なりの答えが言えたら、「わかりました。それではまずそうしてみて、また困ったら相談してね」とそっと返してほしいです。

・お手元のしおりにあるように、卒業生166名が1週間前の卒業式で巣立っていきましたので、来月の11日の入学式までは、1・2学年のみとなります。4月の保護者会でお話ししましたが、この一年間、生徒の将来にわたって「学び続ける力」を育成してきました。これは学校内だけで完結するわけではなく、コロナやウクライナ紛争などの社会的現象をどのように見ていくかなど、一方的な押しつけや教え込みではなく、生徒と一緒に考え、彼らが課題にしたり悩んだりしていることに対し、教育のプロとして伴走していくことを目指しました。

・来年度の年間行事予定表はまだ不確定な部分もありますが、1学期の中では、2年生林間学校は6/1(木)~3(土)、3年生修学旅行は6/19(月)~20(水)があります。これから詳細をお知らせしてまいりますが、ご承知おきください。

・最後になりますが、3/24(金)の修了式をもって、令和4年度の1年間が終わります。これまでのご協力とご支援ありがとうございました。来年度もよろしくお願いいたします。 

須藤昌英 

 

3月17日(金)小学校の卒業式おめでとうございます

〇本校の卒業式を行ってから1週間、今日は柏市内の小学校の卒業式が行われます。学区内の富勢小第123回、富勢東小第44回、富勢西小第40回の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。コロナ禍前ですと、中学校の校長も学区内の小学校へ出向き、直接お祝いをしていましたが、この3年間はできていません。

〇小学校の卒業式は、卒業証書を受け取ったあとの壇上で、卒業生一人ひとりの「決意・夢の発表」のような場面があります。それを見ていると「自分もあんなに純粋な気持ちの時があったな」と思い出すことがよくありました。一方で中学生になると進路選択を迫られる機会が増えるので、「夢をもちましょう」といっても、小学生の頃の夢とはかなり変わってきます。本来、夢はぼんやりとした方がよく、「〇〇学校へ行きたい」のように具体的になると、手段に近いものになります。

〇「夢」と一口にいっても、様々なとらえ方があり、例えば、スポーツ選手が、子どもたちに夢の話をする場合、努力すれば願いは叶うものなどを知ってもらうことが多いです。一方で、「夢」は狭い意味で「将来就きたい職業」を指すこともあります。「あなたの夢?」と聞かれて、「医師」「弁護士」「サラリーマン」・・・などと出てきます。しかし実際の世の中では、夢といえばこちらの方をイメージすることが多いと思います。

〇しかし中学生といえども、まだ具体的な職業上の夢を持たない生徒もいます。何かと急かして決めさせようとはせず、まずは「今の自分にももしかしたらできるかもしれない」という期待感を持たせていく方が自然だと思います。それが1つと限らず、優柔不断のようですが、「あれもこれも」と複数あった方が、学校での学習の興味も広がります。自分自身に希望を持つ生徒は、やがて将来の目標を見つけ、さらには実現させるための手段もたくましく見つけていくと思います。

〇そんなことを考えながら、事前に本日の卒業式に向けて、小学校へお祝いのメッセージをお届けしました。

須藤昌英

 

3月16日(木)学び続けるための夢や努力

〇今月に入り、野球のWBCが盛り上がっており、今晩も準々決勝があります。注目選手の筆頭はなんといっても大谷翔平選手(28歳)ですが、彼は私の長男と同じ年齢で、長男も幼いころから野球をしてきましたので、自分勝手にいつも大谷選手も自分の息子のような感覚で観戦しています。

〇彼が先日のインタービューで、「トップを目指すために必要なことは何ですか?」の質問に次のように答えていました。「何よりもやり続けること、やり続けるためには楽しむことしかありません」短い言葉ですが、まさにその通りだと思いました。よく彼のことを「野球をしている姿はまるで少年のようだ」と言う人がいますが、大好きな野球を心から楽しんでいるということだと思います。

〇また最近、なんのCMかは忘れましたが、大谷選手がこれまで失敗した具体的な回数を別々の人が言いながらつなげているものが放映されています。最初に見たときは、やたらと数字が出てくるので、何を訴えたいのか?わかりませんでしたが、彼が三振した回数や打たれたヒット数、怪我で試合に出場できなかった日数など、失敗というよりはここまでマイナス面があっても挫折してこなかったのは、これまで誰もやらなかった「二刀流をやるという夢があったからだ」とのメッセージなのだろうと思いました。そしてこれは先日の卒業式の式辞のなかで卒業生にも語りましたが、このコマーシャルを見た人は、「失敗の数だけ僕たちは成長できる」という最後のフレーズに、きっと苦労を乗り越える勇気をもらえる人も多いだろうと思います。

〇大谷選手というと以前から、彼が自分の目標達成をするために、「マンダラチャート」を作成していたことは有名です。これは目標達成するための具体的な項目を見える化した図の一種(フレームワーク)で、実際に高校時代の野球部監督の指導で高校1年時に、正方形の枠のど真ん中に、将来の夢「プロ野球の8球団からのドラフト1位指名」を書き、その周囲9×9の合計81マスに、細分化した目標(スキル、フィジカル、メンタル、人間性など)を配置しています。その実物の写真は良くネットで閲覧できます。高1とは思えないしっかりとした字で、内容も大人顔負けのものです。

〇夢といえば、北海道にある植松電機の社長さんは、「夢はどんどん変わるので、決して一つにすることはない。夢は一つではなく、多い方が互いにからまって実現する可能性が高くなる。夢をあきらめない秘訣は、自分の夢を外にどんどん語り続け、そうすると同じことをやったことがある人が自然に寄ってくる。やりたいことはやったことがある人とだけとは語りあえるので、『ぼくはこうやったよ』『それをやっている人は他にもいるよ』とだんだんとその和が広がっていく。世界には必ずそういう仲間がいるので、あきらめるのはもったいない」と言っています。

〇また「夢は見るものではなく、叶えるもの」という言葉もよく聞きますが、これはどちらかというと結果を残すという面に重点が置かれており、大谷選手のような誰もが認める成果を全員が達成できるわけではありません。むしろ昨日の「努力(ゆめ)」のように、コツコツコツと取り組んでいく過程に、今までに自分になかった考え方や能力が身についてくるのだと思います。そしてそのことが次の夢に向かっていくときに本当に役に立っていきます。

〇本校のテーマである「学び続ける富勢中」につなぐために、私も生徒に話をする際には、具体的な人の名前を紹介するように心がけています。そして日頃から本や新聞を読み、自分とは違う考えを持った人や素晴らしい実績を残している人から、その苦労や失敗談から学ぶこともその一つです。

須藤昌英

3月15日(水)努力努力(ゆめゆめ)

〇ここまで60年近く生きていて、初めて知ることもまだまだあります。先日もあるyoutube 動画を観ていて、「努力努力」と書いて「ゆめゆめ」と読むことを知り、久しぶりに「目から鱗が落ちる」とはこういうことかと感じました。

〇これまでも古い言い回しとして、「ゆめゆめ怠ることなかれ(決して怠ってはいけない)」などと、後ろに禁止の言葉をつなげて、「決して~するな」の意味で使われているのは知っていました。ただまさか「ゆめゆめ」を「努力努力」と書くとは思いませんでした。

〇「努力」とは、目の前のことを心を込めて行うことですが、この言葉から私の受ける印象は、どちらかというと親や先生から「努力しなさい」と言われてきたこともあり、とても窮屈で強制されるイメージです。昨日の「厳しくするか甘やかすか」の中では、外的コントロール(ほかから押し付けられた)に近いような気がします。同様の意味で私などは「精進」という言葉の方が「自ら(内的コントロール)」のイメージがもてるので好んで使います。こちらはもともとは仏教に由来していますが、日本語には仏教から影響を受けた言葉が多く、例えば「挨拶」「玄関」「経営」など普段から生活の中で使用されています。

〇まさに学校は生徒たちが「努力(精進)するための場」であり、失敗をしてもその原因を明らかにしながら、次の成長へつなげていくところですので、生徒にはチャレンジする気持ちをもってもらいたいと常々思っています。

〇「努力」と聞くと、まずアメリカの発明家(蓄音機や白熱電球など)の「トーマス・エジソン」の言葉が有名です。昔伝記を読みましたが、彼は大変な努力家で、新聞を売りながら自分でコツコツと貯金し、自分の実験室を作ったそうです。そのエジソンが「努力」について、「天才は1パーセントのひらめきと99パーセントの努力である」という言葉を残しています。

〇また相対性理論でノーベル賞を受賞した理論物理学者の「アルベルト・アインシュタイン」にも多くの格言がありますが、その中に「天才とは努力する凡才のことである」というものがあります。天才のように思われがちなアインシュタインですが、実際は努力によって多くのアイデアや真理を見出した人でした。

〇実は冒頭のyoutubeは、テレビなどのメディアにも過去に出演したことがありしかもアーティストでもあるお坊さんが、自分のお寺から毎朝発信していることを知って興味をもち、たまたま観たときに話をされていた内容です。平安時代初期の僧だった空海(真言宗の開祖:別名弘法大師)は、当時の日本におけるケタはずれの天才であり、書の達人、土木技術のエキスパートなどの複数の実績があります。空海が若い頃に遣唐使として中国に渡り密教について学び、帰国する際に、中国人の師匠から、「早く日本に帰って密教を伝えなさい・・・努力努力(ゆめ ゆめ)つとめよ」と言われたそうです。その後日本中で活躍されたことは有名であり、学区にある布施弁天東海寺にもその伝説があります。

〇「努力する」という考え方は、日本人の精神性に深く浸透しているもの、今の生徒には「努力しなさい」というよりも「自分の好きなことを究めなさい」と言った方がよいと感じます。好きなことはやっていれば楽しいし、楽しいから「夢中」になれるし、好きだからそれに熱中できて「努力」が継続できるからです。それが本来の「ゆめゆめ」の真意だと感じました。

須藤昌英

3月14日(火)厳しくするか?甘やかすか?

〇先日、富勢中ではありませんがある知り合いの保護者からお子さんに関する相談を受けました。「家庭内で中学生ともなると、親に言われことにはすぐに反発します。自分の部屋の片づけや家事の手伝いをすることなども注意するだけでなく、できるだけ本人の意思を尊重しようといろいろ手を変え品を変えやってみるのですが、なかなかうまくいきません。どうしたらよいでしょうか?」

〇おそらくその方の「うまくいきません」の本意は、「うまくコントロールできません」だと聞いたときに思いました。さらにコントロールするために、日頃から躾(しつけ)が大切で、その躾の対極が甘やかしなので、「甘やかしをすることなく、躾としての子どもの自主性を引き出す加減が難しい」という相談だった気がします。私もその気持ちはよく理解できます。「我が家でもそういうことがあったな」と昔を思い出しました。ただ同時に「躾によって中学生をコントロールすることは本当に出来るのでしょうか?」とも疑問に思いました。

〇躾(規律のコントロール)に関しては、20年前くらいに読んでいた本(アメリカのトマス・ゴードン博士著の「自立心を育てるしつけ:小学館」)が参考になるので、引用します。

「コントロールも実は分ける必要がある。一つは外的コントロールで、『ほかから押し付けられた』ものである。もう一つは内的コントロールで、自ら自分に課すものだ。他人がコントロールしてしつけるか、自分がコントロール(自己統制)して規律をもつ(自己規律)かの違いである。 (略) 自己規律のある青少年は必ず、かなりの自由を与えられている。なぜなのだろうか。それは彼らが自分で選び決定する機会をずっと与えられてきたからだ。大人に邪魔になる行動を子どもがコントロールして制限することを学ぶ、そうなるのは、大人が子どもに対して、同じ配慮をした場合だけだ。子どもが自己規律によってルールに従う、そうなるのは、自分にかかわるルールを決めるとき、子どもも一緒に参加する機会が与えられた場合である。子どもを一方的にしつけようとしても、規律を守る子どもになるわけでない」

〇また「コントロールせずに、子どもが行動を変えていくため」という章には、「子どもの行動を受容できず、大人が何を感じているか。そのことを非難がましくないメッセージで、子どもに話しかける、これが『わたしメッセージ』だ。」とあります。例えば『(あなたが)テレビの音をそんなに大きくするのをやめなさい』と注意するところを、『テレビの音がそんなにうるさいと、(わたしは)家族と話が続けられないわ』と変えて言ってみます。前者は子どもを批判する目的で、その行動をしている主語は「あなた(子ども)」ですが、後者はその行動で困っている「わたし(親)」を主語にして、非難(善悪の判断、価値判断、強制)するわけではなく、気持ちをストレートに伝えています。

〇さらに引用すると、「わたしメッセージを使うと、子どもは他人のことを考えずにしていた自分の行動を、変えたくなりやすい。子どもは自分の行動を抑えつけられたり非難されたりしない。そんなとき子どもは、自分の行動によって誰かが問題を抱えていると聞くと、より積極的に手助けし、自分の行動を修正しようとするものだ」「ふつうの会話はあなたメッセージに満ちている。これに気づくと、多くの大人はまずショックを受ける。自分は心にあることを、正直に話していたと思っているからだ。『私がいつも臨んでいたのは、自分の子どもに罪深いと感じさせることだった』」

〇私も担任だったとき、クラスの生徒を注意する際に、「生徒自身が間違っていることを深く反省させたい」と心の奥で望んでいたことを思い出しました。でもそれでは、当の本人は「何だか先生は怒っているみたいだけど、まあ言わせておけばいいか」程度しか感じていなかったことだと今は思います。冒頭の相談に対しても、そのような昔の私の失敗談をお話ししました。答えは、厳しくするのでも甘やかすのでもなく、こちらの気持ちを包み隠さず話すことかもしれません。そして子どもの自主性を信じていくには、こちらに心の余裕が必要だと感じます。

須藤昌英

3月13日(月)卒業式を振り返って

〇先週金曜日の第76回卒業式は、保護者の皆様にご来校いただき、滞りなく行うことができました。ありがとうございました。暖かったので式が終わり、校庭で楽しそうに写真を撮っている様子を見て、微笑ましく感じました。学校行事で最大かつ最重要な卒業式を終え、その日の夕方はホッとしましたが、もう一度週末に一人で振り返ってみると、いろいろな気持ちがわいてきました。

〇まずこの一年間を通して、卒業生が最上級生として一生懸命取り組んできた姿を間近で見てきましたし、全校のリーダーとして、在校生の手本となるように、様々な活動で努力し顕著な実績を残してきたことがとても印象に残っています。卒業生は、新型コロナウィルス感染症のパンデミック(世界的流行)による緊急事態宣言下で、入学前の2カ月間、自宅での待機を余儀なくされ、入学式も午前と午後に分けるなど、大きな制約の中で行われました。さらに誰もが経験したことがなかったとはいえ、コロナ感染防止に関することが手探りで様々に行われ、今思うと世の中全体が「混乱状態」であったと思います。そのような中で、卒業生は中学校生活を始めざるをえませんでした。またその後も自宅学習やオンライン学習を行ったり、学校行事や部活動等も大きな影響を受けました。この状況は、成長段階にある卒業生の心理にも窮屈さや閉塞感などの影を落としたと想像しています。人生経験のある大人であれば、当時の状況を論理的に理解しようとすればできたかもしれませんが、思春期の生徒たちはそういうわけにはいかなかったと思います。「何を信じればいいのか、どれが本当のことなのか?」と逡巡したに違いありません。

〇卒業生が生まれた十五年前の二00七年・二00八年には、昨年亡くなった安倍元首相が任期途中で突然辞任したり、アメリカが発端となった世界金融危機(リーマンショック)が日本にも大きな影響を及ぼしたりしました。その後も地球的規模で様々な問題が発生し、現在も世界のあちこちで対立や紛争が勃発し、地震や津波などの天変地異が絶え間なく起きています。グローバル化の進展や技術革新の加速によって、私たちは、社会、経済、環境など様々な分野において、前例のない変化に直面しています。昨年ロシアが隣国のウクライナへ侵攻したことも、遠い国の出来事ではなく、世界における日本の役割の見直しが求められたり、国内の物価が高騰したりするなど、私たちの生活に直接の影響があります。

〇しかしこのような状況だからこそ、卒業生は今まで「当たり前」であったすべてのことを一から見直したり、「これは何のためにやるのか」を意識するようになったりと、アフターコロナの時代で生きていくための資質や能力を身につけたと思います。実際に卒業生をみていると、できるのが当たり前ではなく、できることに喜びと感謝の心を持ち、さらに周囲の人に明るく接している様子が多く見られました。さきほどのように、心理的には大変なことも多かったはずですが、その分頼もしさを増していると私は見ています。

〇卒業証書授与では、一人ひとりに「よく頑張りました」「立派になりましたね」「体に気をつけて」「活躍を期待します」「高校生活を楽しんで」などと声をかけ、手渡しできました。受け取る表情は様々でしたが、心中は晴れやかだったと思います。また校長式辞の中で、「主体性をもつとはどういうことか」をメインテーマとして、話をさせてもらいました。今後の卒業生のさらなる成長を祈ります。

須藤昌英