校長雑感ブログ

3月16日(木)学び続けるための夢や努力

〇今月に入り、野球のWBCが盛り上がっており、今晩も準々決勝があります。注目選手の筆頭はなんといっても大谷翔平選手(28歳)ですが、彼は私の長男と同じ年齢で、長男も幼いころから野球をしてきましたので、自分勝手にいつも大谷選手も自分の息子のような感覚で観戦しています。

〇彼が先日のインタービューで、「トップを目指すために必要なことは何ですか?」の質問に次のように答えていました。「何よりもやり続けること、やり続けるためには楽しむことしかありません」短い言葉ですが、まさにその通りだと思いました。よく彼のことを「野球をしている姿はまるで少年のようだ」と言う人がいますが、大好きな野球を心から楽しんでいるということだと思います。

〇また最近、なんのCMかは忘れましたが、大谷選手がこれまで失敗した具体的な回数を別々の人が言いながらつなげているものが放映されています。最初に見たときは、やたらと数字が出てくるので、何を訴えたいのか?わかりませんでしたが、彼が三振した回数や打たれたヒット数、怪我で試合に出場できなかった日数など、失敗というよりはここまでマイナス面があっても挫折してこなかったのは、これまで誰もやらなかった「二刀流をやるという夢があったからだ」とのメッセージなのだろうと思いました。そしてこれは先日の卒業式の式辞のなかで卒業生にも語りましたが、このコマーシャルを見た人は、「失敗の数だけ僕たちは成長できる」という最後のフレーズに、きっと苦労を乗り越える勇気をもらえる人も多いだろうと思います。

〇大谷選手というと以前から、彼が自分の目標達成をするために、「マンダラチャート」を作成していたことは有名です。これは目標達成するための具体的な項目を見える化した図の一種(フレームワーク)で、実際に高校時代の野球部監督の指導で高校1年時に、正方形の枠のど真ん中に、将来の夢「プロ野球の8球団からのドラフト1位指名」を書き、その周囲9×9の合計81マスに、細分化した目標(スキル、フィジカル、メンタル、人間性など)を配置しています。その実物の写真は良くネットで閲覧できます。高1とは思えないしっかりとした字で、内容も大人顔負けのものです。

〇夢といえば、北海道にある植松電機の社長さんは、「夢はどんどん変わるので、決して一つにすることはない。夢は一つではなく、多い方が互いにからまって実現する可能性が高くなる。夢をあきらめない秘訣は、自分の夢を外にどんどん語り続け、そうすると同じことをやったことがある人が自然に寄ってくる。やりたいことはやったことがある人とだけとは語りあえるので、『ぼくはこうやったよ』『それをやっている人は他にもいるよ』とだんだんとその和が広がっていく。世界には必ずそういう仲間がいるので、あきらめるのはもったいない」と言っています。

〇また「夢は見るものではなく、叶えるもの」という言葉もよく聞きますが、これはどちらかというと結果を残すという面に重点が置かれており、大谷選手のような誰もが認める成果を全員が達成できるわけではありません。むしろ昨日の「努力(ゆめ)」のように、コツコツコツと取り組んでいく過程に、今までに自分になかった考え方や能力が身についてくるのだと思います。そしてそのことが次の夢に向かっていくときに本当に役に立っていきます。

〇本校のテーマである「学び続ける富勢中」につなぐために、私も生徒に話をする際には、具体的な人の名前を紹介するように心がけています。そして日頃から本や新聞を読み、自分とは違う考えを持った人や素晴らしい実績を残している人から、その苦労や失敗談から学ぶこともその一つです。

須藤昌英