創立78周年目 学び成長し続ける富勢中
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3月13日(月)卒業式を振り返って
〇先週金曜日の第76回卒業式は、保護者の皆様にご来校いただき、滞りなく行うことができました。ありがとうございました。暖かったので式が終わり、校庭で楽しそうに写真を撮っている様子を見て、微笑ましく感じました。学校行事で最大かつ最重要な卒業式を終え、その日の夕方はホッとしましたが、もう一度週末に一人で振り返ってみると、いろいろな気持ちがわいてきました。
〇まずこの一年間を通して、卒業生が最上級生として一生懸命取り組んできた姿を間近で見てきましたし、全校のリーダーとして、在校生の手本となるように、様々な活動で努力し顕著な実績を残してきたことがとても印象に残っています。卒業生は、新型コロナウィルス感染症のパンデミック(世界的流行)による緊急事態宣言下で、入学前の2カ月間、自宅での待機を余儀なくされ、入学式も午前と午後に分けるなど、大きな制約の中で行われました。さらに誰もが経験したことがなかったとはいえ、コロナ感染防止に関することが手探りで様々に行われ、今思うと世の中全体が「混乱状態」であったと思います。そのような中で、卒業生は中学校生活を始めざるをえませんでした。またその後も自宅学習やオンライン学習を行ったり、学校行事や部活動等も大きな影響を受けました。この状況は、成長段階にある卒業生の心理にも窮屈さや閉塞感などの影を落としたと想像しています。人生経験のある大人であれば、当時の状況を論理的に理解しようとすればできたかもしれませんが、思春期の生徒たちはそういうわけにはいかなかったと思います。「何を信じればいいのか、どれが本当のことなのか?」と逡巡したに違いありません。
〇卒業生が生まれた十五年前の二00七年・二00八年には、昨年亡くなった安倍元首相が任期途中で突然辞任したり、アメリカが発端となった世界金融危機(リーマンショック)が日本にも大きな影響を及ぼしたりしました。その後も地球的規模で様々な問題が発生し、現在も世界のあちこちで対立や紛争が勃発し、地震や津波などの天変地異が絶え間なく起きています。グローバル化の進展や技術革新の加速によって、私たちは、社会、経済、環境など様々な分野において、前例のない変化に直面しています。昨年ロシアが隣国のウクライナへ侵攻したことも、遠い国の出来事ではなく、世界における日本の役割の見直しが求められたり、国内の物価が高騰したりするなど、私たちの生活に直接の影響があります。
〇しかしこのような状況だからこそ、卒業生は今まで「当たり前」であったすべてのことを一から見直したり、「これは何のためにやるのか」を意識するようになったりと、アフターコロナの時代で生きていくための資質や能力を身につけたと思います。実際に卒業生をみていると、できるのが当たり前ではなく、できることに喜びと感謝の心を持ち、さらに周囲の人に明るく接している様子が多く見られました。さきほどのように、心理的には大変なことも多かったはずですが、その分頼もしさを増していると私は見ています。
〇卒業証書授与では、一人ひとりに「よく頑張りました」「立派になりましたね」「体に気をつけて」「活躍を期待します」「高校生活を楽しんで」などと声をかけ、手渡しできました。受け取る表情は様々でしたが、心中は晴れやかだったと思います。また校長式辞の中で、「主体性をもつとはどういうことか」をメインテーマとして、話をさせてもらいました。今後の卒業生のさらなる成長を祈ります。
須藤昌英