校長雑感ブログ

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1月21日(水)関税や税金の本来の目的は?(トランプ氏アメリカ大統領就任1年と衆議院解散&選挙)

〇第二次トランプ政権がスタートして一年が経過しました。これまで独自の関税政策を打ち出し、世界中を巻き込んで「ディール(取引)」というこれまで政治の世界ではあまり行われなかった手法を掲げています。この1年間、世界はトランプ氏のディール外交に翻弄(ほんろう)され続けており、政治の素人である私でさえその急激な変化に驚いていますので、直接政治に携わっている方々は「さぞ大変だろう」と推測します。

〇最近ではトランプ氏が「アメリカがグリーンランドを所有する」ことを主張し、その理由がロシアや中国からグリーンランドを守るためとしていることも違和感があります。さらに彼は記者に対し、それを「簡単な方法」でやるか、さもなければ「難しい方法」でやるとも発言したといいます。同じく先日ホワイトハウスは、グリーンランドの購入を検討していると述べたようですが、武力による併合の選択肢も否定していないと報道があります。

〇私も昔、地理の学習で、グリーンランドは氷におおわれた大きな島と学んだ記憶があります。ただ「氷におおわれているのになぜグリーン?ホワイトでは?」と疑問に思っていました。後から知ったことは、「982年頃に赤毛のエイリークという探検家が発見した際、入植を促すために「緑の島 (Greenland)」と名付けたことに由来する」そうです。

〇しかし実際にグリーンランドは北大西洋条約機構(NATO)加盟国デンマークが保有する準自治領で、デンマークとグリーンランドは、グリーンランドは売り物ではないと反発しています。デンマークの首相は、「アメリカが軍事力でグリーンランドを奪うようなことがあれば、それはNATOの終わりを意味する」と述べています。

〇グリーンランドは人口密度が低いですが、北米と北極の間に位置するため、ミサイル攻撃の早期警戒システムや、船舶監視の拠点に適していることが、多くの国が興味を示している理由です。

〇調べると、アメリカはすでに第2次世界大戦以来、グリーンランド北西端の基地に兵100人以上を恒久的に駐留させています。トランプ氏は1期目の2019年にも、「グリーンランドを買う」と提案し、売却対象ではないと当時も反発を受けました。

〇グリーンランドの将来への懸念は、トランプ政権が先日、軍事力によって南米のヴェネズエラの大統領を拘束した事態を受けて、再燃しています。このような状況やトランプ氏を中学生にはどのように映っているのでしょか?そもそも「アメリカの大統領や世界の情勢なんか興味がない」という生徒もいるでしょうが、少なくとも卒業時くらいまでには、いろいろな社会情勢にも自分の意見をもってもらいたいです。

〇これらは日本を含む国レベルの影響も大きく、そこから人レベルへの影響もあります。日本人の相手への気遣い(別の見方では忖度)はこの国の文化や風土の根底をつくっていますが、その対極にある個人及び自国第一主義のリーダーの発言は、大人の私でも「そんなことまで真顔で言うのか」「どこまでが本音だか見当がつかない」と啞然にとられることも多いです。

〇日本はアメリカの同盟国ですが、このトランプ氏の動きを今後どのように受け止めるのか?日本政府の対応に注目していたところ、先日急に国会の解散の噂が流れ、これもびっくりしました。

〇高市首相が一昨日の記者会見で、衆議院を解散する決断を正式に発表しました。それをテレビで視聴していて特に気になったのは、「高市早苗が内閣総理大臣でよいのか国民の皆様に決めていただく」という言葉でした。ただ日本は議院内閣制を採用しているため、国民が総理大臣を直接選ぶことはできず、国会議員の中から国会の議決によって選ばれる仕組みです。

〇国民は衆議院選挙で代表者(議員)を選び、その議員が多数を占める政党が組閣し、国会で首相を指名することで間接的に総理大臣の選出に関与することしかできません。高市首相は今回の解散と選挙で、与党で過半数を目指すということでしょう。「解散は重い重い決断だ。首相としての進退を懸ける。連立政権の枠組みも変わった。だからこそ国民の意思に正面から問いかける道を選んだ。」と言っていました。

〇一部の有識者からは、「今の支持率の高さをバックにした人気投票のつもりか?」や「来年度予算の決定を後回しにしてまで行う大義があるのか?」などの批判もあります。また「トランプ大統領と高市首相が右寄り」と日米の見えない連携?を指摘する人も多いですが、私は右や左という政治的な意見は立場上言うつもりはありません。ただその二人の気になる視点として、「関税や消費税」の税があります。

〇高市首相が今回の説明で、「2年間限定で食料品の消費税率をゼロにする減税策の検討を加速する」と表明しました。おそらく消費税の減税や廃止をそろって主張する野党を意識し、衆院選での争点化を避ける狙いがあるとみられています。もしそうであれば、「消費税減税が与野党で一致ならば、少なくともその理由での解散は不要ではないか?」と感じます。

〇税金の役割は、公共サービス(道路、教育、医療、警察、消防など)の財源確保、所得や資産の再分配、経済の安定化等で、国民全員で費用を担い、より良い社会を支えるためのお金で、納税は憲法で定められた国民の義務です。そして消費税は、1989年から3、5、8、10%と徐々にその比率をあげ、全て社会保障に充てられています。

〇個人的には、この消費税減税を選挙の公約としているのが、アメリカ大統領が関税(外国から商品を輸入する際に、輸入国の税関が課す税金で、主に自国産業の保護と国の税収確保を目的とし、輸入品の価格を上げて国内製品との競争力を高めたり、財源を増やしたりする)を政策の手段としていることとつながっている気がします。関税は輸入者が納めますが、最終的には商品の価格に上乗せされるため、消費者が負担する間接税でもあります。

〇2年生と行っているキャリアパスポートに関する面接では、数人が社会の授業が好きな理由として、「友だちと地理や歴史について、お互いに考えていることを話し合ったり、そこから新しい見方・考え方を知ったりするのが楽しい」と答えています。授業ですから教科書を使っていますが、このアメリカや日本の政治的な出来事も、生きた教材となる気がします。

〇生徒たちには昨年の全校集会で、「言動の一致(言っていることとやっていることに矛盾がない)ができている人は、社会の中で信頼されます」と話しました。生徒には、今回のような日米の首脳による様々な発言が、「本気なのか?脅しなのか?」を見極めることは難しいかもしれませんが、一度ご家庭でもお子様と話題にしてみてください。

須藤昌英

1月20日(火)大寒に思うこと

〇今日はその二十四節気の一つである「大寒」で、一年でいちばん寒さが厳しくなるころとされます。実際に今週は今季最強の寒波が日本列島をおおうと予想されています。各クラスのインフルエンザ感染の報告が増えつつあり、今後の動向を見極めようと考えています。            

〇日本の「二十四節気」は、立春、立夏、立秋、立冬など4つの季節を表す言葉の他、春分、夏至、秋分、冬至などが良く知られています。1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたので、4×6の「節気(せっき)」があります。

〇私も一昨年に「還暦」を迎えるにあたり、日本にあるそのような数学的な規則性を色々と調べました。そもそも地球自体が自らの自転と太陽の周りを規則的に公転しているので、その性質を数字で表現すれば、算数・数学に関わることが多くなるは当然です。

〇私は普段は飲酒の習慣はありませんが、さすがにお正月はお客様などと一緒にお酒をいただくことが多かったです。特に日本酒に詳しい方から、日本酒は「寒仕込み」のものが美味しいということをよく聞きます。「寒造り」とも呼び、冬場の寒い時期に仕込むのが、日本酒伝統の製法らしいのです。

〇「なぜ、冬場に仕込むのか?」を少し調べてみると、まずは原料である新米が秋に収穫されることや寒い時期だと雑菌が繁殖しにくいことがあげられるそうです。また日本酒の仕込みは、温度管理がとても重要で、低温だと余計な雑菌の繁殖を抑え、お酒をつくる微生物が、よい働きをしてくれる(もろみをゆっくりと時間をかけて発酵させる)ことを初めて知りました。そういう知識があると、今度飲むときには、違った味わいになるかもしれません。

〇また「大寒」前後には、武道では「寒稽古」、神事では「寒中水泳」などをして自分の心身を鍛えることなど、昔からの風習があります。あえて厳しい条件で自分を磨くことは、自分の可能性を伸ばすことになるということでしょう。

〇AIに「なぜ寒い時の方が暑い時よりも、心身が鍛えられるのか?」と質問してみました。主な回答は次のようなものでした。

「暑い環境よりも寒い環境の方が心身を鍛えられるとされる理由は、主に【体温を維持しようとする身体の防衛機能(身体的な負荷)】と【寒さからくる不快感に耐える精神力(精神的な負荷)】の双方が強化されるためです。具体的には、以下のメカニズムが働いています。

1. 身体的な強化:エネルギー消費と代謝の向上

熱産生によるカロリー消費増: 人間は寒いと体温を維持しようとして、筋肉を震わせたり、基礎代謝を上げたりして熱を作る。その為、同じ運動量でも暑い時よりエネルギー消費量が多く、脂肪燃焼効率が高まる。

心肺機能・免疫力の強化: 寒さの中で心臓や血管が収縮・拡張を繰り返すことで、血管運動神経が鍛えられ、自律神経の調整機能や免疫力が向上する。

2. 精神的な強化:ストレス耐性と集中力

逆境への耐性(メンタルタフネス): 寒いという不快な環境にあえて身を置くことは、心理的なストレス管理能力(レジリエンス)を高める。寒冷刺激は、ノルアドレナリンやドーパミンを放出させ、集中力、警笛性、気分を向上させる効果があるとされている。

意思力(ウィルパワー)の強化: 暖かい室内から寒い屋外へ出るなど、寒さに向き合う行為は「快適性」を犠牲にして「規律」を優先させる行為であり、強い精神力を鍛える訓練になる。

3. トレーニングとしてのメリット

効率的な鍛錬: 暑い時期は心拍数が上がりやすく、脱水や熱中症のリスクが高い一方、冬は心臓への負担が比較的少なく、かつ酸素消費量が多くなる為、効率的な体力向上・脂肪燃焼が期待できる。

4  注意点として、寒い環境で運動する場合は、急激な寒冷刺激による血管の収縮(血圧上昇)や、怪我を防ぐため、十分なウォームアップをして体を温めてから取り組む必要がある。暑い時期は心身を「リラックス」や「体温低下」に振り向ける傾向があるが、寒い時期は「活動」と「熱産生」に振り向けるため、能動的に動くことで、心身のタフネスを向上させやすいと言える。

〇「さすが・・」と感心しました。今まで何となく考えていたことも、ここまで説明されると腑に落ちます。一見すると寒いのにあえて自分を鍛える・・など、とても不合理だとも言えます。「大寒」の反対は「大暑(一年中で一番熱い時:七月下旬)」です。毎年の夏の猛暑を思い出すと、暑い中では熱中症などから命にかかわる危険もあります。しかしいくら寒いからと言って凍死することはあまりないので、寒い方が自分を鍛えるには合理的かもしれません。

〇「鍛える」と言えば、有名な徳川家康の遺訓の一部があります。

「人の一生は重荷を負ふて遠き道を行くが如し。急ぐべからず。不自由を常とおもへば不足なし。心に望み起こらば困窮したる時を思ひ出すべし。(略)」です。読めばほぼ意味がわかりますが、おおよそ「人の一生というものは、重い荷を背負って遠い道を行くようなものだ。急いではいけない。不自由が当たり前と考えれば、不満は生じない。心に欲が起きたときには、苦しかった時を思い出すことだ。」と言っています。不自由なことや苦しかったことが逆境になると味方してくれるという教訓だと思います。

〇コロナ禍前までは、多くの中学校で放課後に、「冬季合同トレーニング」を実施していました。日没が早い冬季は、各部活動の放課後の活動時間が短く、練習量の確保が難しいのですが、部活動の枠を超えて、希望者が部活動終了時間からグラウンドに集まり、夕闇のなかを走ったり筋力トレーニングをしたりして、基礎体力を養っていました。体力もそうですが苦しいことに自ら向き合うことで個人が精神的にも成長します。

〇本校でも12月から希望者を募り、毎週火~金の朝の45分間で、ペース走、インターバルトレーニングなどを行っています。あくまでも個人の能力に合わせたメニューが中心です。ある意味走ったり筋トレしたりすることは単純作業なので、一人ではなかなか継続しにくいものです。そこで仲間同士で励ましあい、目標達成する連帯感が生まれ、それが各種目のパフォーマンスや体力の向上に役立ちます。何よりも先ほどのお酒をこの時期に仕込むと同様に、人間もこの時期に「自分磨き」をするとよい・・かなと感じています。

〇一番心配なのは受験生です。この時期、体調管理に細心の注意をはらいつつ、目前の入試に全力で取り組んでいます。自分の経験からも以前から「この寒い時期に受験があるのはかわいそうだ」と感じています。もっと気候的に条件がよく、感染症対策も容易な夏から秋にかけて実施した方が良いと思っています。しかしすぐには変わらないので、無事に実力を発揮することを願っています。

須藤昌英

【体育の時間のインターバル走に取り組む生徒たち】

1月19日(月)市内新人駅伝・ロードレース大会&防寒着あれこれ

〇一昨日は阪神淡路大震災から31年でした。夜明け前の地震でもあり多くの方がお亡くなりになりました。ただ段々とその記憶が風化されていることが課題です。私もその教訓を生かすことを常に考えていますが、まずは「今もしここで地震が発生したら・・」と当事者意識を継続することだと思います。

〇3人の子どもが生まれた日の朝刊を保管していますが、そのうち長男は震災の次の日に生まれましたので、朝刊一面には震災直後の写真が大きく掲載されていました。多くの方が命を落とされた後に生まれたので、当時は誕生を喜ぶ気持ちと混じり合い、複雑な気持ちでした。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。

〇今年に入り、元日の社会人駅伝、2,3日の大学の箱根駅伝、週末ごとに女子や男子の都道府県対抗駅伝と、駅伝の放送が続きました。日本人が駅伝を好むのは、「和」や「団結力」を重んじる文化に根ざし、「チームのため」「仲間との絆」で走る姿への共感、「たすき」という象徴、そして「挫折と成長のドラマ」に心を打たれるためです。

〇金曜日、県立柏の葉公園と総合競技場において、令和7年度柏市中学校新人駅伝大会が行われました。公園内の巡回コースを、一人が約2000m、女子は5人、男子は6人でタスキをつなぎました。結果は女子Aチームが12位、男子Aチームが19位、男子Bチームは12位でした。普段の練習の成果を出しきりました。

【女子チーム】

1区酒井塔子さん(2年) 2区舟山 凛さん(2年)

3区仲山瑠色さん(2年) 4区丸山さくらさん(2年)

5区中村瑠菜さん(1年)

【男子A】

1区富山 航さん(2年) 2区染谷琉惺さん(2年)

3区岩佐 瞬さん(2年) 4区石井堂雅さん(2年)

5区東嶋笑輝さん(2年) 6区志村羚弥さん(2年)

【男子B】

1区宇佐美元就さん(1年) 2区染谷宣喜(1年)

3区和田來幸さん(1年) 4区志村彪弥さん(1年)

5区熱田 樹さん(1年) 6区吉村碧透さん(1年)

〇また駅伝ではなく、女子個人のロードレースには、土屋潤佳さん(1年)、西條小百合さん(1年)、村田莉娃さん(1年)が参加しました。男子個人ロードレースには、荻谷水都さん(2年)が参加しました。全員が駅伝と同じコースを走り、良い経験となりました。

〇長い距離を走ることのためには、強靭な体力(健康的な体)さえあればいいものではありません。走っている間は、他の人を競うというよりも、自分自身と向き合い続けるメンタルが必要です。「こんなにつらいのになんのために走っているのか」「もうやめてしまおうか」などの自分自身の中にある『甘い』誘惑に打ち勝つことは、学習面やその他の面で必ず役にたちます。

〇午(馬)年でいうと、馬は自分の身体で、乗る騎手は心や精神にあたります。馬(身体)を上手く乗りこなすには、馬(身体)の特徴をつかみ、馬(身体)と一体となって心をコントロールすることが必要です。「心と身体のバランスが大切」だと良く聴きますが、まさしく一つのことに集中して取り組むことが、その状態だと思います。

〇先日の駅伝応援は、日差しがあり暖かく感じましたが、さすがにこの時期ですので日陰に入ると底冷えし、選手以外の人はダウンコートにマフラーや手袋などをしていないと耐えられない感じでした。

〇朝、生徒玄関前に立っていると、いろいろな防寒着を着た生徒が登校してきます。マフラー、手袋、ネックウォーマーももちろんですが、この時期はマスクも一つの防寒着になっているようです。外着は部活用のウィンドブレーカー、市販のダウンウエアーなど様々です。ただ個人ロッカーが小さいので、そこで保管できるものに限られます。。

〇手に持つ携帯用の使い捨てカイロも有効です。手がかじかんでいると、身体全体まで寒い気がしますので、もっと使ってもいい・・と思います。ただ生徒には、使用が終わって不要になったら、自宅へ持ち帰って捨てるように指導していますので、もしかしたらそれが面倒?なのかもしれません。以前に勤めた学校では、その使い捨てカイロが教室のゴミ箱に大量に捨てられ、処分に困った経験もありますので、致し方ないこともご理解ください。

〇防寒対策には重ね着が必須であると言われており、調べてみると今は、重ね着をレイヤリングとも言い、「ベース、ミドル、アウター」と分かれ、それぞれ「〇〇レイヤー」と呼ぶそうです。そのうちベースとは、肌に密着する1番下に着る防寒インナー(アンダーウェア)のことで、最近は汗や水蒸気を熱に変えて発熱するものが主流になっています。

〇また寒さ対策には、暖かい空気をうまく体の近くでためることも重要で、その状態を羽毛を使った衣類(ダウンのコートやジャケット)が有効です。私も以前はジャケットや背広の下にベストを着用していましたが、近年は「インナーダウン」として、薄手のダウンを着始めましたら、暖かいので脱げなくなりました。そのようにアウターの中に着る防寒服のことをミドルと呼び、防寒効果を持続できます。

〇生徒は制服やジャージの下に、カーディガンやセーターを着用しています。ただし色は、白、黒、グレー、ネイビーなどを基調としたものとしています。休日に私用で外へ出かけるのであれば、特別に規制はなくてもいいと思いますが、生徒にとって学校は、一応「公用的な場所」ですので、使い分けをすることも学びだと思います。

〇最後のアウターレイヤーは、保温性もそうですが、防水や防風に優れたものが理想です。ぴったりフィットするサイズ感よりも、少し余裕があり、空気をたくさん含めるサイズを選ぶことで、より保温力がアップします。

〇またマナー面では、「防寒着等は玄関で脱いで手にもって建物に入る」のが社会人の常識ですので、現在はそれを生徒に強いてはいませんが、知識として覚えておいても損はないと思います。「大人になって初めて聞いた」ではなく、今から知っておいて、必要な場面(将来の会社訪問や就職面接など)になったら実行してほしいです。

〇よく「フォーマル」と「インフォーマル」と区別しますが、それぞれの場面で服装を適切に切り替えることが、自分の気持ちを切り替える一助にもなります。生徒たちには、「決まりごとやマナーだから守る」だけではなく、「どうして場面に応じて服装を使い分けるのか?」「今はどんな服装が適しているか?」などを、自分事として考えてもらいたいです。

〇先日実施した「学校教育に関するアンケート(学校評価)」にも、保護者から意見をいただきました。「娘は冷えによる体調不良をたびたび訴えている」「レッグウォーマー、アームウォーマー、ひざ掛けなどの暖をとる手立てを」等は、全体の「生活の決まり」を改定する前に、個別の申し出を許可する方向ですので、ご相談ください。

須藤昌英

1月16日(金)自律神経を整える(2つの神経のバランス)とハラスメント

〇まだ1月ですが、学校南東の坂道脇には白梅、学校玄関まえの花壇には赤梅がほころんでおり、春の兆しが実感できます。日当たりが良いのでしょうが、まもなく満開に咲くような勢いがあります。

〇私は普段から移動する際には、徒歩の他に自転車、バイク、自動車などを利用しています。最近、歩いていたり運転していたりする時に、よく見かけたり自分が出会ったりすることがあります。信号機のない横断歩道で待っている人に、「一時停止」をして、道を譲るドライバーが増えたと思います。

〇そもそも法律で、「横断歩道は歩行者優先であり、運転者には横断歩道手前での減速義務や停止義務がある」と規定されています。ただ一昔前までは多くの人はこのことを知ってはいても、わざわざ停車して、横断歩道を歩行者が渡るまで待っている車はほとんどありませんでした。これからもこのような人が増えるといいなと感じます。

〇このことで思い出したことがあります。人間の自律神経に関して多くの研究を発表している順天堂大学医学部の小林博幸教授が何かの雑誌に「運転中に相手の車に道を譲るだけで、自律神経が整う」と書いていました。最初読んだ時は「まさか・・それだけで・・」と思いましたが、よく考えてみると確かに道を譲る時は自分の心や気持ちに余裕があり、さらに道を譲った相手がこちらに頭を下げてお礼をされると、もっと気分が良くなります。こんな小さなことでも人間の身体は微妙に反応していることが面白く感じます。

〇自律神経系とは、身体の血圧や呼吸数など、体内の特定のプロセスを調節している神経系です。そして自律神経は身体の働きをコントロールするにあたり「交感神経」と「副交感神経」の二種類に分かれます。車に例えると、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキにたとえるとわかりやすいです。

〇交感神経の働きが上がると気持ちは高揚し、仕事の能率はあがります。逆に副交感神経の働きが上がるとリラックスし、疲れがとれていきます。ただ大事なのはこの2つのバランスで、交感神経が優位に立つとイライラし、身体の免疫力が低下します。逆、副交感神経が優位に立つと注意力が散漫になり、作業などのミスが増えます。

〇子どもを含めた現代人は、自律神経が乱れがちで特に「交感神経と副交感神経のバランス」がとれていないとは以前から指摘されています。先ほどの小林教授の言葉を引用させてもらうと、「自律神経とは、自分の意思で動かせない臓器をコントロールしている神経です。例えば末梢神経でいうと、自律神経はその周りにある筋肉を動かし、血流をコントロールしています。健康でないと、いいパフォーマンスはできませんよね。」と言われています。

〇生徒たちは学校では主に交感神経を優位に働かせて、学習や活動をしています。なぜならば、ボーとしていると授業の内容が頭に入ってきませんし、体育や部活動などでも転んだりつまずいたりと危険なこともあります。朝自宅を出てから、登下校も含めて夕方帰宅するまでは、ほとんど交感神経を働かせていると言えます。

〇ですので自宅等では、副交感神経の出番になります。副交感神経は好きな音楽や動画を聴いたり観たり、家族とおしゃべりしたりするだけで活発になるそうです。また身近な自然を感じたりする、例えば登下校で朝陽や夕陽を「キレイだな~」と感動してながめたり、道端の草花や昆虫を見つけたりすることも有効だそうです。

〇気分転嫁としてスマホやテレビゲームも否定するつもりはまったくありませんが、それを適度に利用し、少なくともそれを追いかけるまたは追いかけられる時間(これは副交感神経ではなく交感神経が優位になっている)を少なくするようにしたいものです。

〇近年、大人の社会でも「ハラスメント」に関するニュースが多くなりました。県の知事や大きな市の市長など、組織のトップにいる人の部下等への発言が話題になっています。「ハラスメント」とは、相手に不快感を与えたり、不利益を与えたりして、その人の尊厳を傷つける言動全般を指します。身体的なものだけでなく、暴言や無視などの精神的な攻撃も含まれ、意図的でなくても相手が不快に感じれば成立します。

〇具体的には、パワハラ(パワーハラスメント)、セクハラ(セクシュアルハラスメント)、マタハラ(マタニティハラスメント)などが代表的で、多くの種類があります。多くは職場など特定の環境で「優位性」を背景に行われる場合に「パワハラ」などと具体化され、法的対策が義務化されるなどより明確な定義と対策が求められます。似ていますが、子どもどうしのいじめはより広範で、長期的な継続性や加害者の意図が強い場合が多いです。

〇ハラスメントは「行為者が意図しなくても、相手が不快と感じれば成立する」点が特徴で、相手の受け止め方が重要になります。たとえ言った方が「それはそういう意味で言ったわけではない」と弁明しても、言われた側が「その言葉で傷ついている」となれば、ハラスメントと認定される可能性が高くなります。つまり相手の尊厳を傷つけ、不快感や不利益を与える行為は、人権侵害になるということです。

〇ハラスメントなどによる強いストレスは、自律神経のバランスを崩し(自律神経失調症)、それから動悸・めまい・不眠・頭痛・胃腸の不調などの身体症状が出たり、不安・抑うつ気分・イライラなどの精神症状を引き起こしたりします。これは、心理的ストレスが交感神経を優位にするためで、心身が発するSOSサインですので、早期の相談(医療機関、外部機関など)と適切な対処が重要です。

〇ハラスメント防止の心がけは、相手の人格と個性を尊重し、多様性を理解する姿勢が基本です。具体的には、相手の立場に立って言動を想像し、嫌がっているサインを見逃さないこと、明るくさらっとしたコミュニケーションを心がけること、そして「ハラスメントかも?」と感じたら記録して相談窓口を活用することが重要です。

〇冒頭の方法以外に自律神経を整えるには、「規則正しい生活リズム」(朝日光、決まった時間に起床・就寝)、「適度な運動とリラックス」(昼の運動で交感神経を刺激、夜のぬるめのお風呂で副交感神経を優位に)、「バランスの取れた食事とストレス管理」(香味野菜、発酵食品、深呼吸、寝る前のスマホ制限など)、「深呼吸」(ゆっくり吐く呼吸法など)が重要で、これらを組み合わせ、日中は活動的に、夜はリラックスするメリハリをつけることが大切です。

〇生徒も学校で学習や運動に取り組み時と、自宅で休養する時の「ON」と「OFF」の上手な切り替えができる子とそうでない子がいると思います。自宅ではゆっくりと過ごすことも大切ですが、冒頭の車の運転のように、家庭でのお手伝いで家族に自分の時間を使う場合なども、自律神経を整えることにつながります。少なくともその生徒はその日を穏やかな気持ちで過ごせることでしょう。

須藤昌英

1月15日(木)生命活動の不可思議と人間の能力のピーク

〇1月15日を中心とする正月行事を小正月(こしょうがつ)と言います。1月1日(大正月)に対する言い方ですが、1年の始まりを祝う行事の締めくくりとされています。よく言う「お正月」はこの大小の「正月」を合わせたことを指すのでしょう。

〇昨年のお正月に観た映画「はたらく細胞」が今でも印象に残っています。最初は気乗りしませんでしたが、館内には親子連れも多く、随所に戦闘シーンもあるので、子どもはどういう感想をもつのか?と想像しながら観ました。観終わって色々と考えさせられました。

〇その映画の公式ホームページから紹介文を引用させてもらいます。

「人間の体内の細胞たちを擬人化した斬新な設定で話題を集め、テレビアニメ化もされた同名漫画『はたらく細胞』を実写映画化。ある人間親子の体内世界ではたらく細胞たちの活躍と、その親子を中心とする人間世界のドラマを並行して描く。人間の体内には37兆個もの細胞が存在し、酸素を運ぶ赤血球や細菌と戦う白血球など無数の細胞たちが、人間の健康を守るため日夜はたらいている。高校生の主人公は、父と2人暮らし。健康的な生活習慣を送る主人公の体内の細胞たちはいつも楽しくはたらいているが、不規則・不摂生な父の体内では、ブラックな労働環境に疲れ果てた細胞たちが不満を訴えている。そんな中、彼らの体内への侵入を狙う病原体が動き始め、細胞たちの戦いが幕を開ける。」

〇人間の主人公の体内にある細胞の方の主人公は、赤血球(肺から取り込んだ酸素を全身の組織に運ぶ役割)と白血球(細菌、ウイルス、カビといった外敵やがんから身体を守る働き)です。それぞれが自分の役目を果たそうとする中で、無意識でお互いに連携してはたらいていますが、そのことを人間はまったく知らないで生きています。

〇先日、初日の出を見て、太陽と我々生物の関係を思ったことを書きましたが、あれはマクロ(大きい・巨大)的な関係ですが、細胞はミクロ(小さい・細かい)的な世界で対照的です。ただ「目に見えない・意識できない」という点で共通点も感じました。

〇私は学生の頃から、「遺伝子や細胞」に興味があり、一時期は科学者としてその研究もしてみたいと思っていました。ただ自然とそれを断念し、数学の教員となりましたが、生物分野でも数学が活用されているので、教員になった後も生物系の本を見るのが好きです。

〇例えば、細胞は1つの細胞から順々と細胞分裂していきますが、1回目の分裂で1個が2つに分裂して2個、2回目の分裂で2個がそれぞれ2つに分裂して4個、3回目の分裂で4個がそれぞれ2つに分裂して8個・・となり、30回目の分裂でおよそ10億個になります。つまり2のカイ乗(n乗)計算は、予想をはるかに超えるスケールで増えていきます。

〇また3年生が理科で学んでいますが、生命の誕生に関しては、メンデルの法則(遺伝子に関する古典的研究)があります。ここではその詳細は避けますが、エンドウ豆の丸形としわ型を交配させ、交配によって一つが他よりも優れて現れるのを「優性遺伝」と呼びます。その結果分析にはマトリクス(縦軸・横軸の二次元で構成された表)を使い、統計的な数学の処理をしています。

〇また身体的な成長面では、人生で頭脳が一番純真・鋭敏に働くのは、十歳前後から十三、十四歳くらいまで。想像力、創造力、連想力、記憶力は、十一、十二歳が最も旺盛ですので、中学生は身体的には立派な成人です。

〇私が特に注目するのは視力や聴力です。これも同じく人生で一番能力が高いのは、九歳から十歳頃で、よく子どもが「穴のあくほど何かをよく見ている」と表現するのはそのためとも言えます。夏に孫娘が公園で、足元のアリの行列をじっと眺めたまましばらく動かないことがたびたびあり、こちらからすると「一体何が楽しいのか?」と一瞬思ってしまいます。

〇しかしよく考えてみると、私も幼い頃によく空の雲や池の鳥などを飽きずに見ていたことを思い出しました。大人から見れば不思議なことに夢中になる子どもたちですが、“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみ氏は次のように指摘しています。

「子どもが読む絵本の中には、様々な生き物が出てきますが、案外、実際にそれらに会える機会は少ないものです。キツネやタヌキ、そしてウサギやクマ、どれも絵本には頻出する人気キャラクターですが、子どもが外にお散歩に行って、会えるようなものではありません。その点、【アリさん】は家の庭や公園でも会える身近な存在です。メディアで「会いに行けるアイドル」が人気のように、絵本の中の存在に実際に会えるというのは、やはり子どもたちにとって大きな魅力なのだと思います。」

〇面白い説明だと思います。真摯に生きる姿を、分かりやすく見せてくれるのが、アリの行列なのかもしれません。単純にアリが働いている様子自体を楽しんで見ている子どもは、大きく成長するにつれて、社会に出ていく際に、目の前に起こる出来事に対し、自分なりのストーリーを見出すようになっていくのでしょう。好きなことを探求する時間を大切にしてあげたいものです。

〇もう一つの聴力ですが、若者にしか聞こえない「モスキート音」もよく話題になります。人間の聴力は年齢とともに高い音から聞こえにくくなるため、17,000Hz〜20,000Hz近い高周波音は、子どもや若者には聞こえるものの、30代以上になると聞こえにくくなるのが一般的のようです。これは加齢による「加齢性難聴」の初期段階とも言え、モスキート音は耳年齢の簡易チェックにも使われています。

〇この能力も視力と同様に、子ども時代にピークを迎えるには何か意味があるような気がします。大人になると子どもの頃に聞こえていた音(たとえば森の中で聞こえる風や虫のささやかな音など)が聞こえにくくなり、今起こっている現象が正確に把握できなくなります。しかし大人はその分、それまで経験してきたことから、これから起こることを予測し、自分なりの判断や解釈を重要視します。

〇でも本当は子どもの頃のように、「どうしてだろう?」「これからどうなるのだろう?」と疑問符で生きていく方が、物事を正しく見極めることができるのではないでしょうか?少なくとも子どもに大人の勝手な判断を押し付けてしまうことは避けたいと感じます。

〇数年後には生徒たちは、社会に出てそれぞれの職業を通して収入を得ると同時に、その仕事や役割を通して社会に貢献していきます。その貢献という目には見えないはたらきを自覚することが、その仕事を継続していく要因となります。「自分も何かの役に立っている」が自己有用感となりますので、冒頭の細胞たちのはたらきと共通している面があります。

〇昨年、就任直後の首相が、「働いて、働いて、働いて、働いてまいります」と「働く」を連呼して話題になりましたが、本来「働く」は、「自分の行為によって傍(はた)を楽(らく)にする」ことです。

須藤昌英