校長雑感ブログ

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9月26日(金)選挙管理委員会と生徒会本部役員選挙

〇昨日、新生徒会役員(会長1名、副会長2名、執行部員2名)を決めるための立会演説会と投票選挙がありました。まず体育館で立候補者5名推薦責任者5名の真剣な話に耳を傾け、続いて各教室で「信任投票」を実施しました。生徒たちは各候補者の話を聞いて、「信任」または「不信任」のどちらかを選択しました。

〇1,2学年は、自分の端末(タブレット)から入り、グーグルフォームで投票しました。今後いつかは国政選挙等も同様に、ネット投票になると言われていますので、その予行練習という意味もあります。

〇ただ3学年だけは、現在の選挙にならい、紙の用紙による投票を行いました。柏市選挙管理委員会から選挙で使用するジュラルミンの「投票箱」を借用して設置し、受付、記票、投票を行いました。3年生は18歳になると選挙権が与えられますので、今回の経験をいかして、3年後に有権者になるという自覚をもってもらいたいです。

〇選挙というと候補者にスポットが当たりますが、その裏で選挙管理委員会の存在を忘れてはいけません。一般に学校の選挙管理委員会とは、選挙が公正に行われるよう教職員や生徒会組織などからも独立した機関として設置されます。今回は3年生の米山涼さんが委員長として、事前の計画や準備などをしてくれました。

〇選挙は本来、有権者の自由な意志で行われるものであり、選挙が公平に行われるようにしなければなりません。特定の候補者だけ有利になったり逆にある候補者を貶めたりすることがないよう、選挙管理委員会の役割は重要です。もちろん選挙管理委員は生徒の中から選ばれており、自治活動の典型と言えます。

〇今回は5名の役職に5名の候補者が名乗りでましたので、競争選挙とはならず、信任投票となります。ここで無投票当選ではなく、信任投票を経ての当選であることに重要な意味があります。「自分たちのリーダーを自分たちの投票で信任した」という事実が、信任された役員の生徒たちに、今後責任感をもって仕事に取り組んでいこうとする意欲を引き出します。

〇立会演説会で私からは、先輩の國分功一郎教授の著作である「来るべき民主主義」の中から、幾つかの言葉を紹介しました。

・同僚の教員にスウェーデンで子育てをしていた方がいた。その方があるときこんなことを言っていた。「スウェーデンで子育てをしていたとき、子どもたちは、保育園でも学校でも、どこでも自分たちの身の周りのことを自分たちで決めるように求められていた。自分たちで自分たちのまわりのことを決める。だからこそ、それに対して責任をもつ。自分たちの身のまわりのことすら決められなくて、どうして「社会を変える」などと想像できるだろうか」その通りだと思う。(途中略)日本の社会も少しずつ変わってきている。そして社会は少しずつしか変わらない。不安があるのは当たり前で、住民(生徒)参加を希望していこう。

・アレント(アメリカの女性哲学者)が「人間の条件」という著作の中で言っているのは実に当たり前のことである。人間は必ず複数人存在している。人間は一人ではなく多数である。したがって、人間は必ず多数でともに生きなければならない。人間は互いに混じり合い、交流しながら生きることを運命付けられている。

・民主主義はしばしば「多数決の別名」とも思われている。これは人民主権ではなく、多数派主権である。それを乗り越えようと、現在では「熟議」なるものが注目を集めている。意見はあらかじめあるものではない。それは話し合いの中で変化し、またできあがっていくものなのだから、じっくりと議論することで、参加者の意見を方向付けていき、結論を導き出すことが可能ではないかというわけである。

〇先輩の指摘する内容を生徒たちは真剣な表情で聞いていました。戦後80年が過ぎ、これからも世界とのつながりを大切にしつつ、平和な日本を築いていくためには、彼ら中学生に「国のあり方を最終的に決定する権利や力を持つのは国民であり、国の権力や権威は国民に由来する」という「国民主権」の考え方をしっかりと身に付けてもらいたいです。

須藤昌英

 

9月25日(木)ストレスと上手く付き合うには?

〇昨日のノエル氏による「3ゾーンモデル」は、人の成長領域を表す段階の一つでした。そのうち「コンフォートゾーン」と「ラーニングゾーン」は、生徒が学校で学ぶ際のモデルとしてイメージがしやすく、生徒が適宜コンフォートゾーンから抜け出し、ラーニングゾーンに身を置くことで、コンフォートゾーンが広がり、学びが深まっていくと指摘されています。

〇残りの「パニックゾーン」については、様々なプレッシャーや困難に直面し、自分では思うように対処できず、意欲が低下したり抱えきれないストレスで苦しむ状況であり、他の2つと比べるとマイナスのイメージがあります。

〇3年前の「プレジデント」という雑誌に、世界的ベストセラー『スマホ脳』の著者である精神科医のアンデシュ・ハンセン(スウェーデン)氏が、「なぜ脳はストレスを求めるか」「「ストレスがなければ人類は絶滅する」という題の文を投稿しています。少し長いですが引用させてもらいます。

「私たち人類は『幸せ』になるためではなく『生き延びる』ために進化してきました。人類としての長い歴史の大半を、食料が限られ、身の危険も多い過酷な環境の中で暮らしてきましたが、そのような環境下を耐え勝ち抜いてきた者の末裔(まつえ)が、今の私たちなのです。目の前に食べ物があればついつい食べてしまうし、運動したほうがいいとわかっていてもついソファーでだらだらしてしまうのは、私たちの祖先が常に飢餓の脅威にさらされ、カロリーを節約する必要に迫られていたからです。あれやこれやと気が散りやすいのは、いつも周囲を警戒して自衛しなければならなかったから。生存の可能性を高める特性といえます。実はストレスや不安が生じる理由も、生き延びるため。脳が危険だと感じる状況からあなたを遠ざけるために起きる現象です。目の前にいる上司が怒ってあなたを怒鳴りつければ、ストレスを感じることでしょうし、『明日も上司に怒鳴られるかもしれない。嫌だな』と不安に思うことでしょう。これは怒鳴りつけてくる上司のことを、あなたの生存を脅かす存在と認識しているから。不安とは、あなたを守るための感情なのです。」

〇後半は大人の会社などでの例が示されていますが、生徒たちも同様だと思います。非常に合理的に納得のできる解説で、読んでいると自分にもあてはまるところが多くあります。

〇ハンセン氏は、自著の『スマホ脳』という本でも、「自分の脳をよく理解することで、ストレスと上手く付き合うことができるようになるはず」と説かれています。

〇ハンセン氏によると、ストレスがないことが良いのではなく、ストレスは自己防衛としてあって当たり前であり、自分なりのストレス解消の方法をもっていることが大切だそうです。

〇今、生徒たちも来週の期末テストを目の前に、相当なプレッシャーやストレスを抱え込んでいると思います。「授業の復習が予定通りにできない」「覚えることが多くそれらのつながりがもてない」「得意な教科はいいけど苦手な教科が大変」など、心情的には追い立てられていることもあるでしょう。

〇「コンフォートゾーン」と「ラーニングゾーン」の話にも通じますが、日常の授業は「コンフォートゾーン」の中でじっくりと楽しく学んでも、テストとなると多少の不安や緊張感は避けられません。ただ自分なりの方法で復習を継続することにより、過度なプレッシャーではなく「やりがい」を感じられる状態「ラーニングゾーン」になります。

〇ハンセン氏はストレスを和らげる一つの方法として、運動(散歩なども含む)をして、心拍数をあげることを提唱しています。運動によってエンドルフィンやセロトニンといった神経伝達物質が分泌され、幸福感やリラックス効果が得られ、ストレスが軽減されます。心拍数を意識し、無理なく続けられる運動を行うと、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。

〇先日までの猛暑中はなかなか運動ができないことも多かったですが、涼しくなって積極的に身体を動かずことも可能になりました。グラウンドでの体育の授業でも、張り切って取り組んでいる生徒も多くいます。ストレスをコントロールするには、運動は有効な手段の一つです。

須藤昌英

9月24日(水)「コンフォートゾーン」を広げる

〇秋分の日の前日あたりから、空が青く高くなり、一面のうろこ雲が秋を感じさせます。「うろこ雲(鱗雲)」は、正式には「巻積雲(けんせきうん)」という雲で、魚のうろこや水面のさざ波のように見える雲です。空の高い場所(5000〜13000m)に、小さな雲の塊が規則的に並んで見えます。似たような雲で、ひつじ雲があります。どちらも身近なものに関連させて命名しているので、親しみがあります。

〇先日4歳の孫娘に、「あの雲はうろこ雲と言うんだよ」と教えたら、「うろこ雲・・・」とつぶやいて、しばらく夕方の空を見上げていました。その顔は不思議なものをみるようで、真剣そのものでした。おそらく初めて聞く言葉と見えている雲を並べ、その模様の特徴を頭に焼き付けているのでしょう。子どもはそうやって日々、いろいろな言葉や概念を記憶し、知識やイメージを増やしているのだと思います。

〇ストレスや不安を感じることなく過ごせる心地よい領域のことを「コンフォートゾーン」と呼びます。具体的なコンフォートゾーンの例としては、次の状況や環境が挙げられます。

・自宅の居間や自室

・通学で日常通う道や近所の公園

・入学してしばらく通っている学校や自分の教室

・よく利用したりする行きつけの店

・やり慣れている仕事や学習

〇進学や進級したばかりのころ、学校や学級はまだコンフォートゾーンになりません。長く通って気心が知れた仲間ができると、コンフォートゾーンとして定着します。

〇この考え方はミシガン大学のビジネススクール教授、ノエル・M・ティシー氏らが広めた3ゾーンモデルとして知られています。人の成長領域を表す際の段階の一つです。ノエル氏は人の成長は「ラーニングゾーン」「コンフォートゾーン」「パニックゾーン」の3つによって変化すると説いています。

 

〇図の核心には「コンフォートゾーン」があり、その1つ外側にあるのが「ラーニングゾーン」です。まだ十分には慣れていない事をしたり新しい学習の場で学んだりするなど、多少の不安や緊張感はあるものの、過度なプレッシャーではなく「やりがい」を感じられる状態を指します。ここで新しいスキルや知見を得て成長できると「コンフォートゾーン」を抜け出していくことにつながります。

〇「ラーニングゾーンのさらに1つ外側にあるのが「パニックゾーン」です。ここは「コンフォートゾーン」からあまりにもかけ離れた領域のため、大きすぎるプレッシャーや困難に直面して適切に対処できず、意欲(モチベーション)の低下や抱えきれないストレス過多を招く恐れがあります。

〇そもそも人は意識しなければ、変化を止めようとする性質があります。心の中で変化を拒んで一定の状態を維持しようとする「心理的ホメオスタシス(恒常性)」というメカニズムが働くようです。このメカニズムにより、外部からの働きかけや自身の強い意志が無ければ、人は「平常運転(つまりコンフォートゾーン)」を保とうとします。

〇「コンフォートゾーン」はとても大切であり、それがあるからこそ安心して過ごしていけます。ただそこに留まり続けることで、未知の領域に踏み出すことに不安や恐れを持つようになったり、同じことを繰り返したりするようになります。つまり新たなチャレンジをしなくなり、成長が停滞する可能性があります。

〇一歩外に踏み出すことで、適応力や創造性、自己肯定感の向上が期待できます。そのためには、まず自分や自分の置かれている環境を現状把握し、毎日小さなことでもよいので挑戦し、自分なりの成功体験を積み重ねることが突破の鍵となります。

〇特に強調したいのは、たとえ失敗したとしても「新しいことに挑戦した」という経験は残ります。するとその後は、挑戦へのハードルが下がるため、目標達成への意欲を維持しやすくなり、いずれ達成を実現できるようになることでしょう。このチャレンジと達成のサイクルを繰り返すほど、自己肯定感は向上していきます。

〇「コンフォートゾーンを広げる」ということは、「成長」を軸にした考え方です。人として成長していくためには、適宜コンフォートゾーンから抜け出し、ラーニングゾーンに身を置くことが重要です。自分のスキル・経験を活かしながら、課題を解決するための新たなスキルや経験を習得していくのです。この「ラーニングゾーンがコンフォートゾーンになった」瞬間を繰り返すことで、徐々に安心の環境が広がっていきます。

〇生徒たちにとって、今の土中が「コンフォートゾーン」かつ「ラーニングゾーン」であるかどうか。一人ひとりの状況は異なりますが、担任や学年職員は、そういう視点で生徒たちを観察し、必要に応じて言葉がけや支援をしています。

〇今朝も肌寒いくらいでしたが、空は真っ青です。たまには空の雲を見つめて、「コンフォートゾーン」にどっぷり浸ってみるのもよいかもしれません。

須藤昌英

 

9月22日(月)生徒会役員選挙運動

〇先週から25日(木)に予定されている新しい生徒会本部役員を決めるための選挙に向けて、候補者とその推薦者が朝は各学年の生徒昇降口で立って投票の呼びかけを行ったり、昼休みの放送で演説活動を行ったりしています。

〇生徒会活動は生徒による自治活動です。生徒自らが考え、協議し、目標を定め、目の前の問題に取り組んでいく経験は、人として大きな成長をもたらしてくれています。その中心にあるのが、生徒会や委員会活動です。

〇普段は学級や学年レベルで様々な活動をしていますが、学校全体として生徒会やその中に置かれる委員会などは、学年が違う「異年齢により構成される組織」です。そしてその活動のために必要なことを理解しながら、行動の仕方を身に付けられるようになります。

〇特に生徒たちにとって、自分たちの学校の代表を自分たちで決めることをとおして、身近な社会である学校と自分との関わりを自覚し、学校生活づくりに参画する意識を高めることにつながります。

〇生徒会活動の具体的な内容は、当事者として自分たちの学校生活を点検し改善していくことです。このような民主的な活動によって、将来社会に出ても、自分たちの代表を決める選挙などに「無関心」にならないようにするのが目的の一つです。

〇立候補している生徒はもちろん、その生徒を推薦している生徒も、真剣に取り組んでいます。そういう姿を見て、他の生徒も自立することの大切さを学んでいます。また選挙管理委員会の生徒たちも、自分たちのリーダーを決める大切なプロセスを管理しています。

〇今日は、国の与党党首を選ぶ選挙の告示日です。生徒たちの参考になる選挙運動と投票行動になることを願います。

須藤昌英

★選挙運動について(選挙運動の際に立候補者は、たすきをつける)

9月16日(月)~24日(水)

9月25日(木)生徒会役員選挙&立会演説会

① ポスター掲示(昇降口)※掲示は『選管』が行う。

② 朝 10分間(昇降口前)※『立候補者』と『推薦責任者』

③ 給食時の放送演説※『立候補者』のみ

④ 立会演説会での演説※『立候補者』と『推薦責任者』合わせて3分以内

【 会長 】 2年生から1名

【副会長】 1・2年生から各1名

【執行部】 1・2年生から各1名

 

9月19日(金)無気力な寝太郎が使命感を抱いて世界へ挑戦し続ける

〇今朝からすっかり秋らしくなり、昨晩の雨もあり、しっとりとした朝でした。朝7時に登校してきた1年男子生徒数人に、「今朝は涼しくていいね」と声をかけると、「はい!」とまるで水を得た魚のように、元気のよい返事が返ってきました。

〇秋になると着るものも変わってきます。Tシャツ1枚で過ごせた陽気から、肌寒さを感じて長袖を着用し始めます。これからどんな服を着るのか・・はもちろん個人の自由ですが、服選びの観点を大きくわけると「デザイン性重視」と「着やすさ(機能性)重視」のどちらかになるでしょう。

〇後者であれば、店舗が増尾にもありますが、何といってもユニクロがあげられます。週末には子どもから大人までが明るい店内にあふれています。またテレビでそのコマーシャルをよく見かけます。*別にユニクロを宣伝したいのではありません。

〇昨年読んだ本の中で、今でも一番印象に残っている1冊として、「ユニクロ(杉本貴司著:日本経済新聞出版社:令和6年4月発行)があります。世界的に有名な日本の衣料メイカーのユニクロは、柳井正氏(現在76歳)が昭和59年に仲間と創立し、現在は我々の身近な生活にも慣れ親しんでいる企業です。本から知ったことを少し紹介します。

〇ユニクロの目指す理念は、「ライフウェア(老若男女も国も人種も問わずに、誰もが着ることができて、環境や社会にも配慮した服)」をつくることだそうです。これは現代的な課題にも挑戦している感じがします。私もこれまでその気軽さからユニクロのいくつかの服を購入しており、上記の理念を目指していることもこの本を読んで少し理解できました。

〇私が注目したのは、創業者の柳井氏の若い頃のエピソードです。柳井氏は山口県宇部市で生まれ、父親が経営していた洋品店の跡継ぎ息子でした。父親は昔ながらの親分気質で気性が荒く、柳井氏は「何でもいいから一番になれ」と常に言われ続けていました。柳井氏は父親からの期待とも抑圧ともいえる重圧の中で、高校時代には好きなサッカー部も父親の意向で退部させられ、逃げ道を求めるように受験勉強に打ち込みました。

〇4人のきょうだい(柳井氏以外は姉1人と妹2人)で、3人の姉妹に対して父親は優しく、厳しく接したのは柳井氏だけでした。妹さんの一人は当時を振り返って、「私は男に生まれなくてよかったなと思いました」と述べています。当然、柳井氏と父親の間には溝ができ、ほとんど会話もなかったようです。

〇そこで進学した東京の大学では、当時は日米安保闘争などの学生運動が盛んで、ほとんど講義も行われなかったそうで、学生運動にも興味のなかった柳井氏は、下宿の部屋に閉じこもって過ごしました。下宿の大家さんからつけられたあだ名が「寝太郎」でした。好きなジャズを聴きながら、ただ思いつくままに本を読み、4年の日々を浪費しました。

〇その後の柳井氏の人生の転機や目覚ましい躍進のことについては、できれば本を読んでみてください。一言でいえば、何度も転びながら這い上がってきた日々であることがわかります。若き日の青年柳井氏の葛藤を本人への取材を含めながら、著者の杉本氏は、新聞社の編集委員としての鋭い視点で、この本を書いています。

〇3年前に母校の早稲田大学で後輩の学生に向かって講演した柳井氏の言葉の一部を引用させてもらいます。

「私は人が生きていくうえで最も大切なことは、使命感を持つことだと思います。そのためにはまず、自分は何者なのか、そのことを深く考える必要があると思います。自分にとって何が最も大切なことなのか。絶対に譲ることができないものはなんなのか、そこを突き詰めて自らの強みを発見し、生かす。自分にしかできない、自分の人生を思いっきり生きてほしい。明確な意識があるのとないとでは、同じ人生を送っても成果は百倍、千倍あるいは一万倍も違うのではないかと思います。」

〇今、3年生と校長面接を行っていますが、思春期は不安と葛藤で心の中はいっぱいであることが伝わってきます。でもこの柳井氏のように、学生時代に何も成し遂げられずに苦しみながら過ごしたとしても、誰もがその将来に関してはそれぞれの無限の可能性をもっているのですから、彼らを応援し続けていきます。

〇今日の表題の「無気力な寝太郎が使命感を抱いて世界へ挑戦し続ける」は、著者の杉本氏が、柳井氏を一言で表現したもので、私も端的に言いえていると思います。今、自分を「無気力な寝太郎」と思っている生徒も、何かのきっかけで大きく成長していくのです。それを見守りアドバイスしていくのが、教育の本質といえます。

【追記】

〇柳井氏は若い頃、「教師になりたい」と希望している時期があったと本に書いてありました。しかしその夢を断念した理由が、何と生まれ持っての「どもり症」であったそうです。まずこんな特別な個人情報まで本の中で、隠さずにあからさまにしていることに驚きます。実際に会話している時にはまったく問題がないのに、原稿などを読み上げようとすると不思議にすぐに言葉に詰まってしまうようです。その為今でも、講演の依頼は極力断っているそうです。柳井氏がどんな教師になったかを見て見たかった気もしますが、それよりもそのハンディキャップを乗り越えて、代表取締役会長として活躍していることに勇気を覚えます。

須藤昌英