校長雑感ブログ

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9月2日(火)全校実力テスト&給食開始&防災学習

〇今日は全学年で実力テストを行っています。夏季休業明けで、学校生活の感覚もまだ完全に戻っていませんが、朝から5教科に取り組んでいる生徒たちの表情は真剣です。

〇明日からは通常授業が再開されます。今日のテストでアウトプットした分、また各教科の授業に積極的に取り組み、大いにインプットしてください。

【1学年】

【2学年】

【3学年】

〇今日から給食も始まりました。今日のメニューは「ごはん、鯖のソース煮、磯香あえ、呉汁、アセロラゼリー、牛乳」でした。しっかり食べて、午後のテストも頑張ってもらいたいです。

〇昨日は「防災の日」で、102年前に十万人以上が犠牲となった「関東大震災」が9月1日正午前に発生したのがその由来です。

〇「柏市小中学校地震発生時の対応」マニュアルでは、昼間に震度5強の地震が発生した場合、児童生徒は下校させずに学校に留め置き、保護者等に児童生徒を引き渡すことになっています。

〇実際の引き渡しの際は、現在活用している「Sigfy(シグフィー)」を有効に使いたいと考えていますが、混乱状態であることが予想されますので、留意が必要です。

〇本来は教室から校庭へ移動して避難訓練を行うのですが、今日は猛暑を考慮し、体育館で防災を考える全校集会を行いました。

 

【防災についての校長の話】

今の猛暑は一つの災害であり、地球温暖化を飛び越えて、「地球沸騰化の時代」が来ていると専門家が話しています。そしてもう一つ、日本が避けることのできない災害が地震です。熱中症から命を守ることはある程度計画的にできますが、ただ地震から命を守るためには、もっと突破的な判断をする必要があります。そして昨日は関東大震災から102年目の日でした。

1 関東大震災について

日時:1923年9月1日午前11時58分

規模: マグニチュード7.9(震度6強)

範囲: 千葉県の房総半島から神奈川県の相模湾

被害: 昼食時で強風(東京は46時間燃え続ける)、火災を含んだ竜巻状の渦(火災旋風)があちこちで発生、建物の崩壊や火災で約29万棟、津波も発生

死者: 約10万5千人(9万人が火災で亡くなった)

●この100年間で、東京の人口は400万人から1400万人に増えました。単純に計算したとしても、3倍以上の死者が出る可能性があります。

●地震による火災で警戒すべきは、「同時多発に発生する可能性が高い」ことです。同時多発的な火災の場合、逃げ道を塞がれるリスクもあります。

●人々の混乱が一番の問題になると思います。慌てることにより逃げようにも逃げられなくなる可能性は、東日本大震災の時の映像を見れば解ります。あちこちで連鎖して混乱が広がり、人が逃げるよりもそこにうずくまってしまう状況が起きます。

2 地震発生のメカニズムについて

・日本の国土の広さは、世界全体の陸地のたった0.3%にも満たないですが、世界で発生する地震のおよそ10%が日本とその周辺で発生しているといわれています。

・地震は大きく分けると、活断層型地震とプレート境界型地震の2つがあります。

・関東周辺は「北アメリカプレート」「フィリピン海プレート」それに「太平洋プレート」と呼ばれる3枚の岩盤が複雑に重なり合っていて、過去にも繰り返し大きな地震が発生してきました。

・3枚のプレートが互いに押し合っているため、地下では地震の原因となる「ひずみ」がたまり続けています。

・地球の表面は、海や陸など十数枚に分かれた、厚さ数10〜200kmのプレート(岩盤)で覆われています。海の下にあるプレートは、年間数cmの速さで陸のプレートの下に入り込みます。この圧力によってプレートにひずみがたまり、それが限界に達すると、亀裂が入ったり大きく動いたりします。これが地震なのです。

・地震が起こるとひずみはいったん解放されますが、プレートの動きは一定なので、定期的にひずみがたまって地震は繰り返されます。

・この繰り返しの周期が、過去をさかのぼると、おおよそ100年周期となっていて、まさにその100年目が今年なのです。関東地方南部は、マグニチュード7以上の地震が周期的に発生しています。

3 いのちを守ることについて

●「いつ発生するかわからない」のは、人間の時間で考えるからで、地球の時間でいうと、100年なんてほんの一瞬であり、今発生してもまったくおかしくはありません。

●今後 20~30年以内に70パーセントの割合で、首都直下型地震が起きると言われています。しかしその数字を聞いて安心はできません。確率とは、今起きてもおかしくないと受け取るのが正しいからです。

●私は、「その時」に、先生方に自分の命を犠牲にして君たちの命を守ってくれとは言えません。なぜなら、君たちの命も先生の命も同じく大切だからです。

●とにかく最初の揺れで、「自分の命は自分で守って」ください。先生方もそうしてください。関東大震災百年を契機に、それぞれの立場で防災について考え、災害に備える機会としてもらいたいと思います。

須藤昌英

9月1日(月)9月に入りました

〇先週までの42日間の夏季休業が終わり、今日から2学期77日(授業日数)がスタートします。今年の夏は記録的な暑さが続き、この9月もまだ熱中症対策が最優先になります。

〇登校してくる生徒の様子を見ていますと、残暑とは言えない強い日差しの中、その表情からは様々な気持ちを抱いていることがにじみ出ていました。

〇助かるのは体育館に空調があるので、ゆっくりと全体を見渡しながら集会ができることです。昨年までは生徒の体調を考え、始業式などを校長室と教室のオンラインで実施することも多かったです。

〇しかし全校生徒が集合した上で、夏季休業中の個人や団体の活躍を表彰する式もでき、みんなで祝福することができました。やはりお互いの顔が見える空間は、一体感が生まれます。これからも大切にしていきたいです。

〇校長の話では、本校の卒業生で現在、東京大学大学院総合文化研究科教授である國分功一郎氏の紹介をしました。國分氏には来年の創立80周年に向けて、後輩である生徒と交流していただき、今後ますます国際化・複雑化する世の中で、生徒一人ひとりが「自分らしく生きるとはどういうことか?」などのヒントをつかんでもらいたいと願っています。

〇生徒たちから「國分先輩に尋ねてみたいこと」を募り、現在集約中です。後日、國分先生からそれらの回答をいただき、生徒たちとの交流を継続してもらう予定です。

須藤昌英

 

 

7月19日(金)夏季休業前保護者会&全校集会

〇昨日は暑い中、保護者会に来校していただきありがとうございました。私からは、生徒の体力、学力等を下支えする基盤としての「非認知能力」について、自分の子育てや孫とのエピソードを交えて30分間話をさせてもらいました。

〇本日で1学期72日が終わります。これから3校時の全校集会で生徒たちにも、校長のミニ授業として20分間の話をする予定です。

【保護者会のスライド】

〇全校集会では、私からまず4つの話(非認知能力:ライフスキル:柏市の4Cに関連)をし、その後「その中でどの話が印象に残ったか」を近くの生徒と話し合いました。最後に数人の生徒に感想を聞きました。

〇夏季休業中は、「暑さ対策」「規則的な生活」「好きなことを極める」を優先し、9月1日に登校するように話しました。

須藤昌英

【全校集会のスライド】

 

7月18日(木)1学年社会科(他校の先生の研修も兼ねて)

〇昨日の5校時に、谷中教諭による歴史の授業がありました。この授業は特別に私に加えて、近隣の2つの中学校(光ケ丘中、中原中)の社会担当の先生も研修として参観しました。

〇教員には研修の義務があり、その内容面の一丁目一番地は「授業づくり」です。事前に前記の2つの中学校長から私に「谷中教諭の授業を若い先生方に参観させてほしい」と連絡があったので、学期末の忙しい中でしたが、来校してもらいました。

〇授業後、谷中教諭と二人の若い先生方による話し合いがありました。今回の授業のねらいやもっと視野を広げて、社会科の授業のあるべき姿などをお互いに意見交流していました。

〇話し合いの後半は若い先生が普段の授業づくりで苦労しているところややってみたいことなどを、谷中教諭に質問し、それにアドバイス返す問答がありました。二人の先生方も帰る時は笑顔でした。

〇今回の授業は、「歴史について、自分で調べたいことに関するテーマを決めて、事前調査、追加調査、現地調査を行う」内容でした。9月1日に発表内容の提出がありますので、お子様にその進捗状況を確認してください。

須藤昌英

7月16日(水)今学期最後の給食(校長の「サラメシ」)

〇今年の3月までNHKでは、「サラメシ」というドキュメンタリー番組を放送していました。私は前から好きな番組の一つで、ナレーターは俳優の中井貴一さんでした。14年間も続いた番組でしたので、終了したときは残念でした。

〇その番組の副題には「ランチをのぞけば 人生が見えてくる 働くオトナの昼ごはん それが『サラメシ』」とあり、サラリーマンなどの働く人が、お昼ご飯に何を食べているのか?をリポートする番組でした。

〇私は番組の中で紹介されている食事のメニューよりも、それを食べている人がどんな仕事をしてどんな気持ちで働いていたり、なぜその昼食を選んだか?などの話を聞くのが好きでした。なぜならそこからその人の普段の仕事なりやその苦労、さらにはやりがいなどを想像できるからです。

〇特に興味深いのは、私と同じくらいの年齢の方々が何を好んで食べているのか、若い新入社員などが仕事の緊張を昼食でほぐすところなどが見てわかるからでした。そして「人間ってみんなだいたい同じだな!」となぜかホッとする時が多かったです。

【3月で放送終了した「サラメシ」のHP画面】

〇私たち教職員の「サラメシ」は、生徒と一緒に食べる給食です。確か数年前の「サラメシ」で、東京都の小学校の校長を取り上げた時がありました。そこでも取り上げられていましたが、校長の仕事の一つに「検食」があります。

〇「検食」は「学校給食法」に明記されていて、生徒が給食を食べる30分前までに、学校の責任者(校長)が事前に喫食し、人体に有害となる異物の混入がないか、調理過程において加熱等が適切に行われているか、食品の異味・異臭等の異常がないか、一食分として量が適当か、味付け・香り・色彩等が適切かを検査するものです。

〇そして検食を行った時間、検食者の意見や検食の結果を「検食記録簿」に記入しなければなりません。私も気づいたことなどの一言コメントを書いて栄養士ともその内容を会話しています。

〇書く内容は、大抵は「ごはんとこの主菜、副菜の組み合わせがいいです。」といったことで、たまに味付けについての感想も書きますが、こちらは調理の素人ですから、記録の意義を考えれば少なくとも自分の好みが前面に出ないように気をつけています。

〇4月からここまで衛生管理の面では問題はありませんので、安心しています。栄養士と調理の委託業者には感謝しています。特に先月からは猛暑の中、それを上回る暑さの調理室での作業は、過酷でした。直接言う機会がほとんどないので、検食記録簿へは、調理員の皆さんへの感謝の気持ちもこめています。

〇私以外の職員の多くも給食を楽しみにしており、先ほどのように食べることで緊張がほぐれ、また午後の授業を頑張ろうと思うようです。もちろん我々も給食費を支払っていますが、昨年の「サラメシ」で紹介されたある会社の社食でもワンコイン(番組内では中井貴一さんもその安さを絶賛していました)でしたので、1食409円は破格と言えます。何よりも季節ごとに温かいものや冷たいものを食べられることが有難いと感じます。

〇私が昭和の終わりに初任の教員としてスタートしてから数年間は、柏市の中学校で給食はまだ始まっておらず、生徒も職員も全員弁当持参でした。当時私が自分の弁当を食べ終わるのを見ると、生徒が寄ってきて「先生、これ食べる?」と自分の弁当を分けてくれることもありました(ただ、今はそれも衛生面からできません)。

〇それをきっかけにその弁当を作ってくれた家族の話を聞いたり、その生徒とお互いの食の好みについてよく話したものでした。まだ私も20歳代の若さでしたので、当時はいくらでも食べられる頃でした。しかし時には食べ過ぎて、午後の授業がきつかったこともありました。今思うと、懐かしい思い出です。

〇今年度から給食費が公会計化となり、柏市に直接支払うことになりました。保護者も教職員も原則「口座振替」となりました(ただし口座振替手数料は柏市が負担します)。すでに手続きは終わっていると思いますが、これで学校側の事務が少し軽減できたことも大きいです。

〇今日は夏季休業前の最後の給食ですので、生徒たちにもたくさん食べてほしいです。それにしても、番組の「サラメシ」が再開されないか・・と密かに期待しています。

須藤昌英

【本日のメニュー:夏野菜カレーライス、ひじきと青大豆のサラダ、すいか、小魚、牛乳】

*9月にはコロナ禍後、久しぶりの「給食試食会」を行います。現在案内中です。今週末まで申し込みができますので、よろしくお願いします。

7月15日(火)台風接近に伴う判断について

〇一昨日の日曜日の未明に小笠原諸島近海で発生した今回の台風5号は、関東地方にまっすぐ近づいてきました。そのためあっという間に接近した印象があります。最近は台風の発生時期が早まり、発生数も多くなっていますが、ここまで短い時間で接近してくる台風は初めてであり、昨日の朝は少し焦りました。

〇朝のうちに管理職と教務主任や各学年の主任で会議を行い、午前中に情報を収集・整理し、午後から生徒たちを「給食後早く帰宅させるか」、逆に「台風が通り過ぎるまで学校に留め置くか」の判断を下すことを確認しました。

〇台風で臨時休校や臨時早退(下校時刻の変更)の処置をとる基準は、主に気象庁から「特別警報」または「暴風警報」が発令されているかどうかです。今回はそこまでの警報がなかったのと近隣の小中学校の動向を鑑み、昼休みを短くして5校時後30分だけ早く下校することにしました。

〇校長としては、特に給食をその日の判断でとめることは、できるだけ避けなければなりません。調理員さんは早朝6時前から準備をし、生徒が食べる時間に何とか間に合うようにしてくれています。急に調理をやめたりすれば、多くの食材が廃棄となります。また午後から生徒を帰宅させるにも、給食を食べさせてから・・とほとんどの校長が考えています。

〇朝からパソコンで気象庁の雨雲レーダーをズーと凝視し、並行してテレビもつけっぱなしにして、台風の進路と進行速度を確認しました。「9時現在で台風5号は、銚子市の南南東約210キロを1時間におよそ35キロの速さで北へ進んでいます。千葉県や茨城県など関東の一部が風速15メートル以上の強風域に入りました。」とテレビが報道したので、「2時に生徒たちを下校させても、そこまで大きな危険性はないだろう」と最終的に私が判断しました。

〇最近は海水温の上昇が台風のエネルギー源となる水蒸気の量を増やし、より強力な台風を発生させやすくなっています。シグフィ―でもお知らせしましたが、今後も同じような台風が来た場合、生徒の帰宅後は外出は控え、通塾等の場合でも、安全面についてご家庭でお子様に、十分に注意を促してからにしてください。

〇またもし台風が通り過ぎた後もその影響が残り、明朝に登校する生徒の安全が確保されないとご家庭で判断されましたら、安全を優先してください。安全が確認してから登校しても、遅刻扱いにはしません。

〇今日も線状降水帯の発生予報があり、強風はありませんが降水量に注意して、生徒の下校を見守ります。

須藤昌英

【台風5号の進路予報と降水量の情報画面】

7月14日(月)自分と向き合う時間

〇2週間前から行われている柏市総合体育大会は、この週末の涼しさもあり、屋外競技も熱中症の心配が少ないので、ほぼスケジュール通りにすすめられています。ただしまだ来週末の海の日も含む3連休まで、各競技の対戦が予定されています。

〇一昨日のバスケットボール女子の2回戦は、土中対富勢中の試合がありました。土中は午前中に1試合を行い勝利していたので、その余韻もあって身体がよく動いていました。

〇ただ私としては3月まで校長をしていた対戦相手の富勢中の生徒も2,3年生はみんな知っています。とても複雑な気持ちで観戦していました。どちらに点数が入ってもあまり大げさに喜ぶこともできず、静かに見守っていました。

〇大会はトーナメント方式ですので、お互いに勝敗をつけ、勝者のみが次の試合に臨むことができます。結果は土中の勝利でしたが、敗れた富勢中の生徒たちの頑張りも目に焼き付けることができました。

〇先月の壮行会でも生徒たちには話しましたが、部活動の目標は「総体優勝」でも「県大会出場」でもいいと思います。しかし部活動の目的は、「人間力の育成」です。目標に向かって努力し、自分と周囲の人が共に成長する良さを経験し、その良さを次にいかす資質を身につけることが究極の目的です。

〇そしてその際は必ず、「自分と向き合う」ことが大切になってきます。特に苦しい時や辞めてしまおうかと思った時、「なぜ自分はこの部活動を自分で選び、ここまで続けてきたのか?」「今は逃げたい気持ちがあるけど、本当にそれでいいのか?」などと、自分の中で葛藤します。

〇そして「家族や友だちの支えがあったからやってこられた」「自分なりにもう一工夫してもう少し頑張ってみよう」などと周囲への感謝やこれから自分がやるべきことを見つけるのだと思います。

〇総体で敗退すると、3年生はいよいよ進路選択に向かって本格的に歩み始めます。その場合も「私は部活動で精一杯やれたから、受験の不安もあるけど何とか乗り越えられるかもしれない」のような自分の中にある密かな自信がもてるようになってほしいです。

【本校体育館を会場として行われたバスケットボールの総体の試合】

〇9月の柏市中学校駅伝競走大会及び10月の東葛飾地方中学校駅伝競走大会に向けて、朝の7時から参加選手として名乗りをあげてくれた生徒たちが練習に取り組んでいます。

〇先週の後半は、連日の猛暑が少しとまりましたが、それでもグラウンドを走ると汗がふきだしてきます。水分補給を確実に行い、少しずつ心肺機能を高めていくため、インターバルでランニングを繰り返しています。

〇ランニングは、身体を鍛えることに加え、先ほどと同じく、自分自身と向き合うため「精神的成長」にも有効な手段です。また中学生にとって日々のストレスなどから離れ、心身ともにリフレッシュできるだけでなく、自己成長や目標達成にも繋がります。

〇自分と向き合う時間は別に言うと、「内省の時間」です。ランニング中は、走ることに集中し、自分の内面と向き合う時間を持つ中で、日々の悩みや考え事を整理したり、目標を再確認したりするのに役立ちます。

〇またランニングを継続し、目標を達成することで、それに喜びつつ自己肯定感を高めることができます。走れる距離を伸ばす、タイムを縮めるなど、小さな目標を設定し、達成していくことで、自信につながります。

〇さらにランニングなどの運動によって分泌される脳内物質が、気分を高揚させ、精神面ではポジティブな気持ちをもたらします。そしてランニング中の体の変化や心の動きを観察することで、自己理解を深めることができます。

〇自分の体力やペース配分、モチベーションの維持方法などを理解し、より効果的なランニングに繋げることができます。この経験がいつも生活にいかされるので、一般的にスポーツをしている生徒には、困難を乗り越える力や自己管理能力が身につきます。

須藤昌英

【特設駅伝部の朝練習】

7月11日(金)新着本展示会&味見読書

〇昼休みに、新年度になって注文した新着本を図書室に並べ、「新着本展示会」を行っています。本校の年間予算中、生徒用の図書購入費は約63万円で、今回はその予算を使って175冊の本を購入しました。

〇4月に生徒や教員に向けて、「読みたい本は何ですか?」のアンケートを行い、それをまとめて予算内で出来るだけ多くの本が買えるように、学校図書館指導員さんが工夫しています。

〇読書には多くの効果があります。次はそのほんの一部です。

〇「読書はどんな世代の人にも良い」とよく言われますが、その理由は人それぞれだと思います。私は生徒が「学び続ける」資質を身につけるという視点からですと、次の点を指摘できると考えています。

1 語彙や知識が増える

これは当然といえば当然ですが、普段触れる機会のない言葉や表現方法に触れる絶好のチャンスです。またこれから様々な表現や言い回しなどを覚える必要のある生徒達には、ぜひとも読書を習慣にして欲しいと思います。更に深い知識をもつ段階の生徒は、新しい知識を学ぶたびに、自身の「的確な判断力」や「幅広い創造力」にも磨きがかかっていくでしょう。人生は決断の連続です。正しい決断のためには、できるだけ判断材料は多いほうが、決断の精度が上がります。まさに読書はその判断材料を、脳へ蓄積している行為と言えます。

2 想像・創造力や共感力がアップ

著者や登場人物の考え方や知識に触れたり、文章には映像がない分、自分の「想像力」で内容を補う必要があったりすることで、結果としていろいろな力が養われます。読書している際中に、「これわかるなあ」「えーっ、どうしてそうなる」「たしかにそういう考え方もあるか」というように、自分とは違う人それぞれの価値観を知り、これまでで自分の考えを見直すことにつながります。生徒たちも社会人になれば、指示待ち人間ではいられません。与えられた情報や仕事をもとにして、どんどん新しい仕事を創り出していかなくてはならない状況に置かれます。日本ではどうしても「創造力」を高める教育が後回しにされてきた傾向にあり、読書により「想像・創造力」をアップさせることが有効だと思います。

3 哲学的に「生きる意味」を考える

中学生時期になるとより抽象的な思考ができるようになり、そのことで自分が普段過ごしている環境(家庭や環境など)を見つめたり、毎日自分のしていることの意義などを考えたりするようになります。悪く言えば「理屈っぽくなる」ですが、これは順調な成長過程でもあります。「答えのない課題」と向き合うことが哲学の本質ですが、まさにその入り口に立っていると思います。本を読んで自分とはまったく異なる生き方をする主人公に自分を重ねてみることで、自分では経験できない他人の人生を「疑似体験」することができます。

〇本の読み方の一つは、自分の興味のある内容をとにかく掘り下げるように、幾つもの同じようなテーマの本を連続して読む方法があります。また一方でさまざま分野の本を読んでみることは、一見つながりのない分野どうしを結びつけて、新しいアイディアが生まれる可能性があります。要するにこれは必要ないと早々に決めつけずに、少しでも興味をもった分野は、片っ端から読書してみると、幅広い視野の形成にきっと役立つはずだと自分自身の経験から感じます。

 〇そんな素晴らしい読書のきっかけとして、国語の時間を使って、学習図書委員会の司会進行により、新着本を並べての「味見読書(いろいろな新着本を手に取る)」を行っています。

〇最初に図書委員から説明があり、1テーブル5分ずつ6テーブルを班ごとにローテーションします。一つの本をじっくりと読むのではなく、料理を味見するように、気になる本をチェックしていく活動です。

〇今後もスマホやタブレット等で得る情報はますます増えていくでしょうが、そうなるとなおさら、紙の本や雑誌の価値も見直されています。生徒たちは真剣に味見読書に取り組んでいました。

〇私も日頃から本を手にとった質感やパラパラとページをめくる感覚は、手から脳に伝わり、読んだり見たりしている文字や写真などが、より現実味を帯びて目から入ってくるように感じています。

〇生徒達には、本とデジタル機材をハイブリットに使いこなしていける能力が十分にあると思っています。それぞれの長所を意識して、時と場合に応じて使い分けしていけば良いと思います。

〇例えば、興味のあることをデジタル機器でみかけたならば、それに関する専門書を図書館で調べる・・などは、効率的でしかも深い学びに向かっていくことでしょう。

〇本好きの人を見ると、どこか表情や佇まいに「知性」を感じるのは私だけではないと思います。生徒と本との出会いのきっかけも学校は担っています。

【味見読書の生徒感想の一部】

・味見読書はすごく楽しみにしていて、今日も読めてうれししいです。自分からは手にとらない本でも、味見読書だと読むことができるので、より本が好きになりました。

・まだ読んだことのない本などもとても読みやすくて、ワクワクして面白かったです。特に歴史に関する本に興味がわきました。

・久しぶりに自分が本当に読んでみたいという本を見つけられたのが良かったです。味見読書なので、短い時間でしたが、新しい発見がありました。

・新着本はどれもみんな「魅力があるな!」と感じました。こんど本屋で本を選ぶとき、いつも見ないジャンルの棚もみてみようと思いました。

・朝読書以外に本を読めませんでしたが、この機会を通し自分は物語よりもエッセイの方が好きなことを気が付くことができた。

・有名な本はだいたい知っていますが、あまり聞いたことのない本もとても面白そうで、読んでみようかなと思いました。

・恒例の味見読書ですが、また新しい本を読むことができ、良い時間でした。普段は説明文を読まないので、読んでみようと思いました。

・新着本の中で、何冊も読みたい本があった。自由研究にも使えそうな本が多かった。

・自分で今まで読んできた本とは違うジャンルも読みたくなりました。同じジャンルに限らず、もっと色々読もうと思いました。

・本それぞれに良い点があったり面白さがあったり、読んでいて苦ではなかったです。

・気になるような表紙とか挿絵を選ぶことが多いですが、本の出版社にとっても大事な視点かなと思いました。

・自分はあまり図書室に来たことがなく、本を読みたい気持ちはあったので、夏休み前に本を借りたいです。

・普段から読むような本とそうでない本まで、色々な本を手に取る機会になりました。すごく楽しかったです。

須藤昌英

7月10日(木)キャシュレス時代の通貨(紙幣と貨幣)の必要性

〇先週、千葉県警察本部のスクールサポーターの2名が来校され、最近の少年犯罪の現状について説明を受けました。昔からある「万引き」や「喫煙・飲酒」などの他、最近よく報道される「闇バイト」にスマホで応募してしまい、トラブルに巻き込まれることもあるそうです。

〇その他で特に気になったのが、自分でカラーコピーした紙幣をコンビニなどで使用しようとして逮捕される若者が未だにいるということでした。昔はよくそのような話を聞いた気がしますが、最近はないと思っていました。

〇そもそも偽札はつくることも使うことも両方犯罪になりますし、通常のコピー機やプリンターには、コピーガードがあって、お札をコピーできないようになっています。はたしてどのようにつくったのでしょうか?

〇ところで新紙幣が発行されてから7月3日で丸1年となりました。約20年ぶりの新しい紙幣の発行で、最新の3D印刷などの偽造防止技術を採用したなどの話題があり、1年前は私も新紙幣が手元にくると少しワクワクしていました。

〇一方で新紙幣の発行は、経済や社会に新しい風をもたらすという目的もあったはずでしたが、こちらはそれにより経済活動が活性化または日本の紙幣の国際的信用度が向上したという報道等は、今のところ聞いていません。

〇発行元の日本銀行によると、今年5月末の時点で紙幣全体に占める新紙幣の割合は、3割に届かないそうです。前回の2004年に新紙幣が発行されたときと比べ、切り替わりのペースが遅くなっていて、まだまだ旧紙幣が出回っているようです。

〇やはり世の中全体にキャシュレスが広がっており、現金を扱う機会が極端に減少していることも影響していると思います。私なども買い物では現金を使うことがほとんどありません。こういう時代に生きていく生徒たちには、電子マネーと現金とのそれぞれの長所・短所などにも興味をもってもらい、自分の考えをもってほしいです。

〇日本では、紙幣のデザインが数十年にわたりほとんど変わらず、生徒たちも前回の新紙幣に変わった後に生まれていますので、今回のお札の変化は初めての経験でした。ただすでに1年間が経過しているので、生徒たちも5月の修学旅行でお土産を購入する際など、新旧入り混じったお札を使うなどまったく違和感がないようでした。

〇昔は百円札や五百円札もありましたので、私も小・中・高校生の頃にはそれなりに使い分けていたのを覚えています。特に貨幣として五百円玉が初めて発行されときには、他の硬貨に比べてその大きさにびっくりした思い出があります。

〇また2000年に発行された二千円札はなぜかあまり人気がありません。ただ当時私は、発行された二千円札に少し思い入れがありました。それは幼いころによく遊んだ「人生ゲーム」というボードゲームの中では、二千ドル札があり、「何で日本には二千円札がないのだろう?」と不思議に思っていたからでした。

〇ただ現在これもあまり市民に利用されていないのか、昨年は二千円札の新札がありませんでした。半分残念でしたが残りの半分はホッとした気持ちでした。理由として、二千円札の裏側の図柄は「源氏物語絵巻:紫式部日記絵巻」となっており、他のお札と少し違った趣が感じられるからです。新札となるとその図柄も変更されますので、むしろ対象外で良かったです。

〇算数・数学的には、千円札と二千円札の両方で、色々な金額の組合せを考えるのは学習効果があります。例えば5千円の品物を支払うのに、千円札5枚か二千円札1枚と千円札3枚か、または二千円札2枚と千円札1枚にするかなどは、多面的な考え方に寄与します。

〇昨年は前任校で、新札に登場する人物(渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎)について、生徒が興味をもって調べていました。その中で日本の歴史や文化・美術などにも関心が広がります。

〇このように新札発行などの世の中の出来事を介して、学校での学びと社会生活とがつながりをもったとき、初めて「いつでも使える知識・技能」になるのだと思います。

須藤昌英

【使用頻度が低い:日本銀行券(二千円札)】

 

7月9日(水)最優先の熱中症対策は「攻めの休養」

〇気象庁のホームページを見ると、関東地方は先月の10日頃に梅雨入りしましたが、未だに梅雨明けしたことになっていません。「なぜだろう?」と思いますが、過去のデータでは、7月19日頃が関東地方の平均的な梅雨明けのようです。

〇連日の猛暑が続き、6月の東京都心の真夏日数は13日となり、1875年の統計開始以来、過去最多を更新しました。また今日以降も猛暑日(35℃を超えた日)が続く予報があります。

〇気温が高いのもそうですが、特に蒸し暑く不快な日が多いと、普通に生活しているだけでも大変です。めまい、立ちくらみ、吐き気、頭痛、倦怠感、大量の発汗、筋肉痛、手足のしびれなどの体調不良がでやすく、大人でも体調管理が難しい時期です。

〇先週も部活動の朝練習を終えた生徒数人が、そのまま保健室で静養をとることがありました。経口補水液(脱水状態の際に失われた水分と電解質のナトリウムやカリウムなどを効率的に補給し、体内の水分バランスを整える効果がある)は、通常は飲むと決して美味しくありませんが、これを美味しく感じる場合は、熱中症が疑われます。

〇数人の大抵が「美味しい」と答えていたので、それ以後の授業を受けることが難しいと答えた生徒には、保護者に連絡をとりお迎えをお願いし、早退をさせました。

〇私から保護者へ事情を説明すると、「この子は最近の暑さで夜もよく眠れていません」や「今朝は登校する前に朝食を食べなかったです」などの返事が返ってきました。

〇今月になり生徒たちの学校生活全般を通し、これまで以上に「熱中症」には注意を払っています。熱中症は、即いのちの危険にかかわります。今朝も登校する様子を見ていると、帽子や日傘を使わずに歩く生徒もいて、その度に教員から声掛けをしています。

〇本格的な暑さを迎える前に、体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」をすることが大切です。「暑熱順化」ができていないと、体の熱をうまく外に逃がすことができず、熱中症になる危険性が高まります。

〇暑熱順化には個人差もありますが、数日から二週間程度かかるそうです。また一度暑熱順化ができていても、数日暑さから離れると暑熱順化の効果は薄れてしまうので、常に意識の継続が必要です。

〇また熱中症が起こるのは、炎天下での運動中だけではなく、室内で発生する事例も近年増加しています。今年は6月の暑さにうまく暑熱順化できた生徒は良いのですが、まだ全員ができているとは思いません。

〇医師で一般社団法人日本リカバリー協会の代表理事でもある片野秀樹氏はその著書「休養学(あなたを疲れから救う)」の中で、健康づくりの三大要素は「栄養、運動、休養」だと指摘しています。

〇また片野氏は、「攻めの休養」を提唱しており、そのために「生理的休養」「心理的休養」「社会的休養」の3種類とさらにその細かい分類である7つのタイプを挙げています。そしてこの中から自分に合った複数のスキルを組み合わせていくことが重要だと説いています。

〇この本は大人向けであり、ここでその詳細は紙面の都合で紹介しませんが、少なくとも中学生も毎日、自分の身体と向き合い、好調や不調のリズムを把握することは大切だと思います。

〇具合が悪い際に、「自分で何か原因となることが思い浮かびますか?」と問われたら、黙って何も答えられないのではなく、「もしかしたら・・・かもしれません」と言えるようになってもらいたいです。

〇ともかくこの時期は、無理をせず疲労を感じたら早めに休養を心がけることです。中学生期は、一生の中で身体の「新陳代謝」が最高に活発ですので、適度な休養によりすばやく回復に向かうことができます。

〇再度のお願いになりますが、登校時の適切な服装(長袖などはさける)、帽子の着用(日傘の有効性も)、水筒持参(冷水、スポーツドリンクや麦茶などでミネラル分)、睡眠時間の確保(夜更かしをさける)などをご家庭で指導してください。

須藤昌英

【環境省:熱中症予防情報サイトより】

 

7月8日(火)自分の常識を疑うことで世界が広がる

〇昨日から三者面談が始まりました。保護者の皆様には午後の暑い中で恐縮ですが、4月からのお子様の成長や夏季休業中の過ごし方をお互いに確認できれば・・と思います。

〇日本のおもちゃ(玩具)は、世界的にも好評なものが多いことはよく知られています。ポケモンやワンピースなどのアニメ関連をはじめ、ミニカーや超合金シリーズなどのグッズ、さらには伝統的な「けん玉」「お手玉」なども根強い人気があるそうです。

〇その中でも、1975年(昭和50年)7月1日に発売された「黒ひげ危機一発」は、私も小学生の頃よく遊んだ記憶があります。その名前もユニークですが、単純明快なルールで今でも人気があります。

〇今年で発売開始50年になり、海外でも「Pop(ポップ) up(アップ) Pirate(パイレーツ)」の名称で親しまれ、累計出荷数2,000万個を超えるロングセラー商品だそうです。

〇手元の剣を黒ひげが入っている樽の穴に差し込む際に、ハラハラドキドキします。そして「当たり」の穴に差し込んだ瞬間に、樽から黒ひげが飛び出します。テレビゲームなどが無かった昔は、友人たちと大騒ぎしながら楽しみました。

〇問題はそのルールです。私はずっと黒ひげが飛び出した穴に剣を差し込んだ人が「負け」だと思っていました。友人が飛び出した黒ひげを見て悔しがっているのを、横から面白がっていました。

〇ところがメーカーの説明によると、発売当初は、「捕らわれた黒ひげの縄を切って助ける=勝ち」というルールだったそうです。先日そのことを初めて知った時、「そんなバカな。今までとまったく逆じゃないか。」と少しショックを受けました。

〇しかししばらくすると「なるほど、そういうルールでも楽しいだろう。」と思い直しました。ただ同じ飛び出しでも「勝つ」と「負ける」では正反対の結果です。一体いつから飛び出したら「負け」になったのでしょうか?

〇おそらくそれまで樽の中で大人しくおさまっていた人形が、突如として飛び出す場面は、驚きとともに「寝た子を起こしてしまった!」のような罪悪感に近いものがあったからではないでしょうか?

〇そこでだんだん、飛び出さないようにする意識の方が優位になり、それが「勝ち」という結果と結びついたような気がします(勝手な憶測ですが・・)。

〇このルール決めには続きがあるそうで、ある時からメーカーの説明書には「飛び出したら勝ちか負けは、遊ぶ前に決める」ことが書いてあるそうです。

〇これはまず今まで常識だと思い込んでいたことも「果たしてそうだろうか?」と疑いをもつことの大切さを教えてくれます。長年思い込んできたことに違う解釈を当てはめるのは、とても難しいですが、変化の激しい現代では、柔軟な思考をすることが不可欠です。

〇また昨日も書きましたが、民主的にルールなどを決定していく場合に、このことはとても公正・公平なやり方だろうと思います。物ごとには必ず「上か下か」や「右か左か」などの正反対の見方・考え方がありますので、最初にみんなできちんとルールを確認してから話し合ったり協力しあったりすることが重要だと思います。

〇今4歳の孫娘もこのおもちゃを持っています。ただ形は同じですが、樽には髭のある片目の海賊(黒ひげ)ではなく、ディズニーキャラクターのスティッチが入っています。50年前に私が遊んだと同じおもちゃで、孫がキャーキャー言いながら楽しんでいるのを見ると、とても不思議な感覚です。

須藤昌英

 

 

7月7日(月)誤情報と偽情報にだまされない!

〇先週まで「2025年7月5日に日本で大災難が起きる」という“うわさ”が話題になりました。科学的根拠がなく、気象庁もデマだとしていましたが、SNSなどで広がり、一部の航空便が運休にもなる事態にまでなったニュースが報道されました。結局予言のような出来事は起こりませんでしたが、私も心の隅で、「もしかしたら・・」と少し不安があったのは事実です。情報が間違っていて良かった例と言えます。

〇その一方で今月の20日(日)に参議院議員通常選挙があります。参議院議員は任期は6年で、3年毎にその半数が改選されます。こちらは先ほどの予言と逆に、情報が間違っていると困る例として、「選挙期間中ほどフェイク情報が拡散しやすい」が気になります。私もこれまで「どうして選挙期間中にフェイク情報が多いのか?」と疑問をもっていました。

〇日本は80年前に太平洋戦争で敗戦し、その後アメリカなどの連合国軍占領下で、非軍事化・民主化の道を歩み始めました。その中で最も大切にしてきたのは「民主主義」です。

〇この「民主主義」を支える民主的な政治の原則は、「国民が支配的な立場の人に頼らず、多数決ですべてのことを決めていく」ことです。人々の声を集約し、議論した上で決定するのは、選挙でより多くの支持を得て当選した議員であり、その国民の代表である議員を選出する国政選挙は、とても重要です。

〇近年のSNSの発達により、選挙前の各政党や立候補者の主張内容などを知る手段は、新聞やテレビなどの従来のマスコミではなくなってきています。

〇しかしその一方で、参議院選挙を前にNHKが行った世論調査によると、選挙の際、SNSや動画共有サービスでウソや真偽不明の情報が広まり、「投票行動に影響を与えるかもしれないという懸念を感じる」と答えた人が80%余りに上っているそうです。

〇これは深く考えさせられる状況だと感じます。SNSの問題に詳しい国際大学の山口真一准教授は、「フェイク(偽)情報によって選挙結果が変わってしまうことに多くの人が危機感を抱いている。金もうけの為に発信された情報で人々が誘導されて、民主主義がねじ曲げられることがないよう、何らかの対策が必要だ」と指摘しています。

〇また山口氏は、SNSを利用する際の注意点として「選挙の時はさまざまなフェイク情報、真偽不明の情報が広まりやすいので、そうした情報に接したら、情報の発信元やメディアがどう言っているかを確認するなど検証してほしい」と続けています。

〇中学生も数年先には有権者となります。特に今15歳の中学校3年生は、成人年齢引き下げにより18歳で選挙権を与えられます。今からでも正しい情報の見極め方やその情報に対して自分の意見をもつ資質・能力を身につけることが不可欠になります。

〇ネット情報に関する年代別の調査では、40歳代以上では、「誤った情報やひぼう中傷が広まりやすくなる」、「何が正しい情報かわからなくなる」といった否定的評価が上位にきたのに対し、10・20・30歳代では、いずれも「選挙が身近になる」と「投票の判断材料が増える」が上位となり、肯定的に評価しています。

〇誤情報とは「不正確な統計や写真、日付、誤訳や風刺が事実と受け止められやすい情報」、偽情報とは「意図的に改ざんした情報やでっち上げた嘘や噂」です。これらに振り回されないためには、日ごろから得た情報を鵜呑みにせず、次のような視点で点検していくことが望ましいと思います。

〇学校の授業でも、自分たちで調べる学習がありますが、上記のポイントは同じですので、生徒には常に留意させていきます。

須藤昌英

 

7月4日(金)いじめ防止授業(1学年)

〇昨日の午後、スタンドバイ株式会社の渡邊健斗先生をお迎えして「いじめを許容しない集団の雰囲気を醸成するため授業」を1学年2クラスで実施しました。

〇「私たちの選択肢」という教材をもとに、いじめなどで困っているときに自分自身や周りの友人などがSOSを出すことが大切だということをみんなで考えました。

〇本校には近隣の複数の小学校から新入生があり、4月からの学校生活を一緒に送っています。この3カ月は、まだお互いに相手の様子を観察することも多かったと思いますが、そろそろ本音を言い合う時期になります。

〇柏市では、全中学生に、STANDBYアプリの活用をすすめています。STANDBYでは、報告・相談者はスマートフォンやタブレットのSTANDBYアプリから、専門の相談員に「自分はいじめを受けている」「クラス内でいじめをみかけた」などを匿名で報告・相談することができます。

〇匿名で報告・相談できるため電話やメールよりもハードルが低く、いじめやハラスメント等の早期発見、早期対応だけでなく、より風通しのよい学校づくり、職場づくり等様々なシーンで活用できます。

〇スタンドバイ株式会社代表取締役の谷山大三郎氏は、私が以前に市教委に勤務していたときにも一緒に仕事をさせてもらったので、よく知っています。スタンドバイ株式会社のHPに掲載されている谷山氏のメッセージを引用します。

「『助けたいとき、助けてほしいとき、いつでもどこでも報告・相談できる環境をつくる』、これがスタンドバイ株式会社のビジョンです。私は幼少期いじめを受けていました。また友人がいじめを受けているのを見かけても自分がいじめの対象になることを恐れて何も言えなかったことがありました。社会人になった後に仕事がうまくいかず、会社を長期で休む経験もしました。過去の自分に対する悔しさや情けなさが原体験となり、同じような思いをする児童や生徒、社会人を一人でも減らしたいと思い、スタンドバイ株式会社を立上げました。そしてビジョン実現のために、いじめに関する様々なテーマを扱った授業開発及び授業実践、企業向けの研修、友人や自分を助けたいと思ったとき、環境を変えたいと思ったときに信頼できる人にいつでも報告・相談ができるプラットフォーム【STANDBY】の普及に取り組んでおります。おかげさまでたくさんの方に支えられ、年間10万人以上の方に活用いただくまでになりました。今後もさらに発展し、誰もが心理的安心を感じて毎日を過ごせる、悩みや不安を抱いたときに信頼できる人に相談できる、仲間のため自分のために今いる環境をよくしたいと思ったとき行動できる、そして一人一人が自分らしく生きられる社会を目指し、活動を行ってまいります。」

〇どのクラスの生徒も真剣に取り組んでいました。特に考える題材として鑑賞した映像が、どこにでもある中学校1年生の教室を設定したものですので、親近感がわいたようです。ぜひいじめの広がりを止められるクラスの雰囲気を自分たちでつくってもらいたいです。

須藤昌英

 

7月3日(木)セミの初鳴きと七夕飾りの願い事

〇昨日、学校で今年初めてのセミの鳴き声を聞きました。「ジリジリジリジリ…」という鳴なき声から、おそらくアブラゼミだと思います。油で揚あげ物ものをする時の音に似ているので、その名がついたようですが、それを聞くと「本格的に夏が始まったな」と感じます。

〇よく「セミの一生は短い」と言われていますが、そうでもないようです。少し調べると、地上に出てきたセミ(成虫)の寿命は1週間程度ですが、その以前は親の成虫が木の幹などに卵を産み、その卵から生まれた幼虫はまず土の中に移動します。そして幼虫は土の中で長い期間を過ごし、やがて成虫になると地上に出てくるそうです。

〇時間的には幼虫の期間が、数年~7年くらい(長い場合は10年以上も幼虫のまま土の中で過ごすこともある)。しかし成虫になって地上で過ごす期間は、わずか1週間から数週間(環境が良くて長生きした場合でも1か月ほど)。

〇つまり、セミの一生は幼虫の期間が7年ほど、成虫はわずか7日間で、合計7年7日ほどということになります。ということは今聞いているセミは、コロナ禍前くらいに卵から幼虫となって、成虫になるために準備してきたことになります。

〇それを考えると、少し感慨深い気もします。朝から暑い毎日が今から9月ころまで続くと思うとゾッとしますが、成虫として短い一生を終わるセミの鳴き声を聞いて、「暑さに負けないように・・」と自分に言い聞かせています。

〇夏の風物詩として広く親しまれている行事に「七夕」があります。七夕と言えば私も子どもの頃に、願い事を書いた短冊を笹に飾った記憶があります。

〇7月7日の夜に、織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)が天の川を渡って1年に1回だけ出会えるという伝説にちなみ、日本各地でもさまざまな行事やお祭りが行われています。

〇少し調べると、日本の七夕は、日本古来の風習や中国由来の伝説が掛け合わさってできたものだそうです。特に笹飾りに短冊を吊るして願い事をする風習は、中国の儀式が由来とされ、祭壇に針などを供えて星に祈りを捧げ、織姫にあやかり「機織りが上達するように」と願う中国の風習からの影響が強いようです。

〇これが奈良時代(710~784年)頃に日本に伝わったとされ、現存する日本最古の和歌集『万葉集』でも、七夕にちなんだ和歌が詠まれています。

〇当初は宮廷行事として行われていましたが、時代とともに庶民にも広がり、江戸時代には全国各地で七夕まつりが開催されていたようです。

〇本校でも生徒玄関に、地域の方からいただいた竹を立て、各自の願いを書いた笹飾りをつるしています。その中の一つに、「毎日が楽しく過ごせますように!」がありました。

〇私もこれを見た瞬間、「そうだよね」と共感しました。確かに願いとなると、「今度の総体で勝てますように!」とか「数学の成績が上がりますように!」などと具体的なものが頭に浮かびます。しかしその前に、毎日が楽しく充実しなければそれらの目標や願いが叶うことはありません。

〇夏季休業まであと2週間。日々の熱中症対策が最大の課題ですが、生徒たちの願いを応援する気持ちは変わりありません。

須藤昌英

 

 

7月2日(水)生徒の成長と2つのスパイラル(螺旋階段)

〇先月に行った前期中間テスト後、何人かの生徒に今の心境を聞いてみると、「テスト勉強は自分では頑張ったけど、戻ってきた結果が思い通りでなかった」「普段から勉強が苦手なので、テストははっきり言って気がすすまないです」などの声がかえってきました。

〇それに対して私としては、「結果よりも頑張ったプロセスがきっと次にいきてくるよ」と毎回声をかけています。生徒の気持ちもよくわかるので、心中では「焦らなくて大丈夫だよ」と励ましています。

〇私自身の過去の生徒としての経験及びその後の教員としての経験の両方から、学びの努力とその成果がすぐに比例してあらわれることは非常にマレであり、大抵は努力したことがすぐに成果に結びつかないことが多いです。

〇ただ辛抱強く、人によって違いますが、数カ月程度努力を積み重ねていくと、ある日突然雲が晴れたかのように、望ましい結果が出始めることは、その経験した人からよく聞く話です。

〇このあきらめずに辛抱する力がないことで、必要な努力を避けたり、結果が出る前に「どうせ自分なんか・・」としり込みしたりと、学ぶことから距離をおき始める生徒を見たりすると、とても「もったいない」と感じます。

〇確かに学ぶことによって、知識や技能は身につきますが、それ以上にものの見方や思考力、表現力などが養われ、自分の可能性が広がっていくことが重要なポイントです。

〇先日も書きましたが、学んだことを確実に身に付けていくには、分からなかかったことや間違ったことを定期的に振り返り、その手当て(補充)を逃げずにやるかどうかで決まります。

〇生徒によっては、「なぜ間違ったのか?」と自分が納得するまできちんと考える生徒もいます。それを回避したままで、ただ表面的に「正解だけを丸覚えしよう」とするだけでは、意欲も継続できませんし、理解も深まりません。

〇生徒の成長を階段に例えると、私はまっすぐな階段ではなく、螺旋階段だと思っています。一般に螺旋階段は、中央の柱を中心にらせん状に回りながら昇降する構造になっており、横から見ると人が上がったり下がったリするのがわかります。しかし真上からは、まるで同一円上をクルクル回っているだけに見えます。

〇我々大人はどちらかというと、子どもを真上から見ることが多く、その為目前の生徒の成長している姿を実感しづらい気がします。あえてその視線を真上から横に変えると、通常の階段ほどではありませんが、確実に螺旋上に登っていることがわかりやすいと思います。

〇普段の授業の中で、どんなにささいなことでも、「おもしろい」「なるほど」などの興味を持ち、「やってみよう」「できるかも」と経験を積みかねていくこと(正のスパイラル:登りの螺旋階段)が得意な教科になるきっかけになります。

〇一方で逆の負のスパイアラル(下りの螺旋階段)に陥ると、なかなか抜け出すことが難しくなります。自信を失い、どんどん意欲をなくしていき、先ほどのように「どうせ私なんか・・」と表情が暗くなってしまいます。

〇しかし少しの成果でも、学習やその他のことに、真剣に取り組んだプロセスをまずは自分で自分を認め、また周囲からも認められることで、やる気の持続につながります。

〇学校でも職員がそれを意識して見守っていきますが、ご家庭でもお子様の成長面を確認していただき、来週からの三者面談で担任とお互いに情報共有していただきますようお願いいたします。

須藤昌英

 

7月1日(火) プール実習が始まりました

〇本校には第4校舎の屋上にプールがあります。6月になり溜めておいた水を抜き、業者によるプール清掃をしました。そして先週新しい水を注水し、その後これも業者によるろ過機の点検を行いました。
〇プールは一年中吹きさらしのままですので、当然木の葉が入ったり虫やほこりを防ぐことができなかったりで、水は汚れます。そこでプール水の汚れをろ過により除去し、病原菌を塩素などの消毒剤で滅菌することで、浄化します。
〇ただろ過して塩素などで消毒してしまうと、その後は水中で生物は生きていけませんので、水を抜く前にひまわり学級の生徒と、トンボの幼虫のヤゴを採りました。
〇ヤゴは水中で生活し、何度も脱皮を繰り返して成長します。 多くのトンボは秋から冬にかけて水辺に卵を産み、卵から幼虫がヤゴとして成長します。 ヤゴは肉食で、水生昆虫や小さな魚などを捕食します。 採れたヤゴは水槽で飼っています。
〇昨日からそのきれいになったプールを使って保健体育の授業が始まりました。 健康観察をしっかりと行い、プールサイドでのマナーや安全を指導して、まずは水に慣れることから始めます。
〇水泳の内容は、クロール・平泳ぎ・背泳ぎ・バタフライなどから構成されます。浮く・進む・呼吸をするなどそれぞれの技術の組み合わせによって成立している運動で、それぞれの泳法を身に付け、続けて長く泳ぎたり、速く泳いだり、競い合ったりする楽しさや喜びを味わうことができる運動です。
〇小学校の低学年から「水慣れ遊び・浮く・もぐる遊び」の学習をしており、中学校ではこれらの学習を受けて、泳法を身に付け、効率的に泳ぐことができるようにすることが求められています。
〇また、水泳の学習に積極的に取り組み、健康や水中の安全に気を配るとともに、技術の名前や取り組み方などを考えて、課題に応じた運動の取り組み方を工夫していきます。
〇市内の小学校40校では、今年から本格的に水泳の授業を民間へ委託しています。近隣のスイミングスクールと学校をバスで送迎し、インストラクターを中心に指導します。教員は主に安全指導を補佐する役割を担っています。
〇市の教育委員会からは、中学校の水泳指導の今後の在り方について「現在検討中」と連絡がきており、来年度はどのような形になるかは未定です。 ともかく今年は学校のプールで、体育科教員の指導で実施します。
〇本校のプールは屋上で、日差しも強いですが風もそこそこ吹いていますので、他校より比較的恵まれた環境にあります。ただ水中は快適ですが、さすがにプールサイドは焼け付くようです。ビーチサンダルを持たせてください。

〇また眺めが素晴らしく、学区を一望できます。               

須藤昌英                 

【増尾駅方面の眺望】【柏南高校方面の眺望】【生徒たちの様子】

6月30日(月)部活動壮行会&柏市総合体育大会開始

〇金曜日の午後の体育館は全校生徒が集まっても、空調が作動し、熱中症の心配はありませんでした。昨年までのこの時期は、「午後に体育館で行う学校行事をどうするか?」といつも頭を悩ましていましたので、その判断が無くなり本当に楽になりました。

〇翌日から始まる柏市中学校総合体育大会及び千葉県吹奏楽コンクールを前に、全校生徒で各部活動の活躍を期待して激励する会を行いました。学校名のユニホームを着るということは、学校の看板を背負って大会に臨むということですので、選手以外の生徒で応援するのは当然です。

〇私からは、次のようなメッセージを送りました。

明日から行われる各部活動の大会やコンクールは、トーナメント方式で勝ち上がるとその後、千葉県、関東、全国の上位大会へ続く予選として位置づけられています。私が3月までいた富勢中でも、昨年の夏季休業にいくつかの部活が千葉県大会や関東大会へとすすみ、私も応援に行きました。

私も過去に25年間、野球部の顧問をしていましたので、いろいろな思い出があります。その中でも「これは強いチームになったな」と思ったチームがいくつかありました。その共通の特徴として、強いチームは身体面・技術面・精神面ともに調整力(柔軟性)があるということです。例えば自分たちよりも強いチームに対しては、自分たちの実力を試すいいチャンスだととらえ、「負けてもともとだから・・・」のような開き直りができ、結局試合では実力以上の力を発揮できました。ただ逆に自分たちよりも格下のチームに対しては苦手意識を持つことがあり、「もしこの試合で負けたら、応援してくれる仲間に顔向けできない・・・」とプレッシャーがかかります。みなさんも強い相手と対戦することになったら、その相手チームのプレッシャーを逆手にとって、立ち向かっていくと意外によい結果になるかもしれません。

とにかく大会前に自チームの強み・弱み・特徴・傾向を全員が知っているかを確認しましよう。試合中はピンチとチャンスは交互にくるので、ピンチの時は「これを踏ん張れば次に必ずチャンスがくる」と考え、チャンスの時は「これを逃すと次のピンチがくるので一気に仕掛けよう」とお互いに声を掛け合いましょう。

そして相手(ライバル)チームがあるからこそせりあい、お互いに切磋琢磨できるので、相手チームへのリスペクトを忘れないことです。もし試合に勝てば負けた相手の分の思いも背負って次の試合に臨み、もし負けたら相手に「自分たちの分も頑張って」と託すこともいいでしょう。 

最後に部活動の目的は、「人間力の育成」です。目標に向かって努力し、自分と周囲の人が共に成長する良さを経験し、その良さを次にいかす資質を身につけてください。また自分たちのチームの伝統を後輩に継承しましょう。その際良い面は今後も残し、改善点は具体的に動いて変えていってください。 

〇土曜日の野球をかわきりに、7月から夏休みにかけて、柏市中学校総合体育大会が始まりました。よく略して「総体」と呼んでいますが、その他多くの競技が別々の日程で行われ、柏市21中学校の代表校または個人選手を決めます。

〇3年生としては最後の大会となり、敗退すると各部活動からは引退となり、後輩たちにバトンタッチとなります。最近の猛暑にもうまく対応し、最後の調整に各部活動とも余念がありませんが、これまでの練習の成果を精一杯発揮してほしいと願います。

須藤昌英

 

6月27日(金)グロースマインドセット(成長思考)と方法記憶

〇グロースマインドセット(成長思考)とは、「人の能力は生まれつきのものではなく、努力や経験によって成長する」という考え方です。文教大学の成田奈緒子教授(日本専門医機構認定小児科専門医)は、このグロースマインドセットを育むことは、子どもの自己肯定感を高め、困難に立ち向かう力を養うために重要だと指摘しています。

〇成田氏はグロースマインドセットを子育てに活かす具体的な方法を挙げています。

①子どもの努力や過程を褒める

「すごいね!」だけでなく、「頑張ったね!」「一生懸命取り組んだね!」と、努力や過程を具体的に褒めることで、子どもは結果だけでなく、努力することの大切さを学ぶ。

②失敗を成長の機会と捉える

子どもの失敗を責めるのではなく、「次はどうすればもっとうまくいくかな?」と、失敗から学び次に活かすことを促すことで、子どもは失敗の原因を探り自分なりに次の新たなアプローチをイメージする。

③目標達成をサポートする

「私は~をやりたい」という目標設定からそのための具体的な行動プラン、そして達成までの道筋を一緒に考え、サポートすることで、子どもに目標達成の喜びを経験させ、自己肯定感を高める。

④「やればできる」という言葉をかける

「やればできる」という言葉は、子どもの可能性を信じ、挑戦する意欲を刺激する。

⑤親や教員自身もグロースマインドセットを実践する

親や教員が新しいことに挑戦したり、失敗から学んだりする姿を見せることで、子どもは自然とグロースマインドセットを身につけていく。

〇特に5番目の大人も「新しいことに挑戦したり、失敗から学んだりすること」が重要だと思います。人間は一生涯学び続ける存在であることをまず大人が示してあげたいものです。

〇昨日は「記憶」を2つに分け、「経験記憶」と「知識記憶」について書きましたが、もう一つの記憶として「方法記憶」があります。例えば「幼いころに失敗しながらも何度もチャレンジし、自転車の乗り方を覚えた」ことなどは、いわゆる身体が覚えている記憶に当たります。これを「方法記憶」と言います。

〇先ほどのグロースマインドセット(成長思考)は、この方法記憶と密接に結びついている気がします。私を振り返っても若いころに自分の身体を通して学んだことは、脳に深く刻まれてその後の人生の土台となっています。

〇そしてこれら3つの記憶は、経験記憶>知識記憶>方法記憶の順に高度な記憶法です。赤ちゃんのころは脳が未発達なので、もっとも簡単な方法記憶を使って体の動かし方を覚えていきます。私たちが子どもの頃の記憶をハッキリ覚えていないのは、脳が発達しきっておらず経験記憶に向いていないからだそうです。

〇そして年齢を重ねることで今度は知識記憶が発達し言葉や概念などを覚え、中学から高校を境に経験記憶が優位になります。知識記憶はいわゆる丸暗記が得意ですが、経験記憶は丸暗記が不得意なので、方法記憶も含めいろいろな経験をした生徒の方が、知識・技能の定着が比較的スムーズのようです。

〇要するに中学生は経験記憶として、自分の過去の経験や知識と絡めて新しい知識を覚えるのに向いていますので、「身体を使って覚える」のような経験もまだまだ必要であると思います。

須藤昌英

 

6月26日(木)記憶の種類と学習

〇今日は前期中間テストの2日目です。昨日、「学習の基本はまずは覚えることから」と書きましたが、人間の「記憶」は大きく分けると、「自由に思いだせる記憶(経験記憶)」と「自由に思い出せない記憶(知識記憶)」があります。

東京大学大学院の池谷裕二教授の著書「受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法」から要約して引用します。

〇日常生活でよくある「ド忘れ」は、ほとんどが人名などの「知識記憶」で、スムーズに思い出すには、何かの「きっかけ」が必要です。私も最近は以前よりも人の名前が覚えにくくなったので、初対面の相手人の苗字や名前が、他の有名人のだれかと同じならば、心の中でその人の顔とその有名人の苗字をセットで繰り返し覚えるようにしています。

〇すると後になってもその有名人の苗字がきっかけとなり、相手の苗字を思い出しやすくなります。これは単なる人名という知識記憶を、有名人(過去から知っているという経験記憶)の力をかりて記憶を強化していると言えます。

〇「経験記憶」とは自分の体験を通して覚えた記憶のことで、例えば今日の出来事として、「今日はプールの授業があったが暑かった」などです。「知識記憶」とは英単語や円周率、有名人の名前などの知識・情報ベースでの記憶です。学校の授業は主に「知識記憶」を対象としており、定期テストなどでその定着度を測ろうとします。

〇単純な知識記憶も、個人的な情報や周辺環境に関連付けて覚えることが有効です。たとえば、普段から自分の教科書やノートを使い込んでいる人は、「これは教科書のあのへんに書いてある」という思い出し方をします。つまり、ただ茫然と覚えるのではなく、知識と何かと結びつけ、その知識に背景を加えることにより印象を深める方法です。

〇こうなると授業での学習内容も知識記憶ではなく、経験記憶にすればよいと考えられます。単純な知識記憶も個人的な情報や周辺の環境に関連付けて覚えるとより忘れにくくなります。

〇1つの例として、脳にとっては負担が少なく、効率の良い暗記法として、昔から「語呂合わせ」が用いられてきました。その際私自身の経験から、言葉の音声のリズムやノリだけでなく、意味していることをきちんと「想像」することが大切だと思います。

〇有名なのが、理科で習う「周期表にある20番目までの元素記号」があります。知識記憶としては、H(水素) He(ヘリウム) Li(リチウム) Be(ベリリウム) B(ホウ素)」 C(炭素) N(窒素) O(酸素) F(フッ素) Ne(ネオン) Na(ナトリウム) Mg(マグネシウム) Al(アルミニウム) Si(ケイ素) P(リン)」 S(硫黄) Cl(塩素) Ar(アルゴン) K(カリウム) Ca(カルシウム)と至極単純な羅列であり、なかなか覚えられるものではありません。

〇この元素記号の「語呂合わせ」はいろいろあるようですが、私は中学生の頃、「水兵リーベ僕の舟 7曲がりシップス クラークか」とつぶやきながら覚えました。語呂に合わせて、「海軍」や昔のテレビドラマ「太陽にほえろ」、札幌農学校の「クラーク博士」などの画像イメージを頭で再現していました。

〇一番大切なのは、なんでも面白がって(興味をもって)覚えることではないでしょうか?社会の歴史で「794年に桓武天皇が都を平安京に移した」という歴史的事実を「鳴くよ(794なくよ)ウグイス平安京」と覚えれば、ただ数字を丸暗記するよりも、その当時の都を思い浮かべれば、何となく楽しくなります。

〇授業中に「ここはまだ完全な理解とはいかないのであやふやだけど、何となく面白い」という感情があれば、語呂合わせなどを足掛かりにして、家庭学習で覚えていくことが理想だと思います。ともかく知識を問うテストなどには、その内容を知識記憶ではなく、経験記憶にすればよいことがわかります。

〇最後に、授業中自分で考えたことをや調べたことをクラスメイトに説明することのメリットは、次を参考にしてください。

 

須藤昌英

   「受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法」(東京大学大学院の池谷裕二教授)

6月25日(水)前期中間テスト

〇今日と明日で、今年度初の定期テストを行います。今日は3教科(給食なし)で下校、明日は2教科+学級活動で給食を食べて下校になります。

〇1教科50分ですが、全員朝から真剣に取り組んでいます。ここまで準備したことの成果が存分に発揮でき、「努力したことが報われた」と自信につながることを祈っています。

〇以前に学習の中で特に記憶に関することでは、脳の海馬について書きましたが、その海馬が活躍するには、テスト準備の期間中もしっかりと睡眠や食事を確保することが大切と言われています。

〇そもそもすべての学習の基本は、「まず覚えられる範囲で基礎的な事項を覚えつつ、次にそれらを確実に理解・整理し、最後にいつでも使える知識にする」ことです。

〇昔から「一夜漬け」、つまり直前に詰め込むやり方の是非が議論されてきました。私が学生の頃も計画的にテスト準備をしてきたつもりでも、最後はどうしても間に合わずにテスト前日に無理やり覚えたこともありました。

〇「一夜漬け」のようなものを「集中学習」と呼ぶに対し、逆に毎日コツコツ勉強することを「分散学習」といいます。ただし「分散」とは注意力が散漫で集中していないという意味ではなく、時間を区切って少しずつ行うことです。

〇また学習とは、「ものごとの関連性を習得すること」でもあり、今まで独立していた事実が頭の中でつながることです。簡単な例では、「GO」と「行く」のように、英語と日本語の意味の結び付けを行うことがあげられます。このつながりを強固にするには、繰り返し「学び続ける」しかありません。

〇「上手に覚える」のような成功を導き出すためには、それだけ多くの失敗が必要で、記憶とは「失敗」と「繰り返し」で強化されます。

〇何度も失敗すると、それでやる気がなくなっていきそうになりますが、その解決策の一つが、「得意な面を活かして学習する」ことです。苦手な教科は誰にでもあるので、その苦手分野でクヨクヨせず、逆に得意な教科を素直に活かすと、全体として成績が上昇することが知られており、これを教育心理学では「特恵効果」といいます。

〇これはテスト当日にもあてはまります。テストを受けている際中、最初に問題全体をサーとながめ、まず自分の得意な問題から手を付けていくと、やがて何となく自信がつき、その後はやる気や集中力が継続したり苦手な問題も落ちついて取り組んだりできます。

〇よく食事で、「好きなもの・美味しいものを最後に食べる」「好きなもの・美味しいものは最初に食べる」のような話がありますが、学習については圧倒的に後者が有利で、「得意なものは最初にとりかかる」です。

須藤昌英