校長室より

校長のひとり言(令和元年度)

ミライの授業

8月に急逝された瀧本哲史先生の著書「ミライの授業」もっと早く出会いたかった本です。「14歳のきみたちへ」から始まります。14歳のきみたちに、知っておいてほしいことがある。きみたちは、未来に生きている。そして大人たちは、過去を引きずって生きている。きみたちは未来の住人であり、大人たちは過去の住人なのだ。これは比喩ではなく、事実としてきみたちは、未来に生きている。
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誰もがかつては14歳だった。自分の可能性をあきらめ、愚痴や不満ばかりこぼしている大人たちもかつては14歳だった。わたしはきみに、そしてすべての「かつて14歳だった大人たち」にこの本を贈りたい。たとえ何歳であろうと、未来をあきらめることは許されないし、わたし自身が未来を信じているからだ。

中学生にぜひ読んでほしい1冊です。

あなたの笑顔を守りたい。


チャイムの鳴らない44日間も残すところ4日となりました。終業式に生徒の皆さんにした約束は守れたでしょうか。守れなくてもいいんです。とにかく皆さんが元気に2学期を迎えてくれればそれだけでいいんです。充実した夏休みを過ごせた人、早く友達に会いたいと思っている人、宿題も完璧に終わっている人。そんな人ばかりでないですよね。宿題が終わらない、部活や学級の人間関係が不安。家族についても悩みがある。そんな人もいるはずです。でも大丈夫です。安心して学校に来てください。先生たちはみんなに会えることを楽しみにしています。9月2日の朝、私も正門で皆さんを迎えるのを楽しみにしています。もしも悩みがあるなら身近な大人に相談してください。校長室にきてくれてもかまいません。電話相談やSNS相談もあります。この動画をぜひ見てください。元メジャーリーガーの松井秀喜さんや車いすテニスプレーヤーの国枝慎吾さんからのメッセージです。

動画URL https://youtu.be/Rq4S0J0V6nY  
#stsndbyyou 

学校に居場所がない子に言ってあげられることはありますか?

日本を代表するボーカリストの甲本ヒロトさん。THE BLUE HEARTSとして、「リンダリンダ」や「TRAIN-TRAIN」などのヒット曲はあまりにも有名ですね。現在もザ・クロマニヨンズとして活動を続けています。その甲本ヒロトさんの言葉です。ぜひ読んでください。

「学校に居場所がない子に言ってあげられることはありますか?」という質問に対して、

甲本ヒロトさん
「居場所あるよ。席あるじゃん。そこに黙って座ってりゃいいんだよ。友達なんていなくて当たり前なんだから。友達じゃねぇよ、クラスメイトなんて。たまたま同じ年に生まれた近所の奴が同じ部屋に集められただけじゃん。」
 
「趣味も違うのに友達になれるわけないじゃん。山手線に乗ってて、『はい、この車両全員仲よく友達ね』って言われても、『いや、偶然今一緒に乗ってるだけなんですけど』って。友達じゃねぇよ。」
 
「ただ、友達じゃないけどさ、喧嘩せず自分が降りる駅まで平和に乗ってられなきゃダメじゃない?その訓練じゃないか、学校は。友達でもない仲よしでもない好きでもない連中と喧嘩しないで平穏に暮らす練習をするのが学校じゃないか。だからいいよ、友達なんかいなくても。」

※喧嘩しないで平穏に暮らすために、多様性を認められるようになりましょう。
 Smile  Diversity  Update  Challenge   

【#しんどい君へ】ゴルゴ松本さん「逃げていい。落ち着いたら挑んで」


人は、命ある限り人生を楽しむために生まれてくるんだ。好きなことも興味があることも、命ある限りにしかできない。父ちゃんも母ちゃんも、じいちゃんもばあちゃんも、ご先祖様も、つらいことや悲しいことを乗り越えてきて、今の自分につながっている。その命は、無駄にしちゃいけない。

 「兆」という字がある。例えば学校でいじめに遭って今、君は、生きるか死ぬか、その両方の兆しの中にいるぐらい悩んでいる。そんな時は今の自分の状態がどうか、目偏を加えて、「眺」めてほしい。つらいな、嫌だな、死にたい。そこまで追い込まれているのなら、今度はしんにょうに変えて、「逃」げていい。
 逃げることは、自分に差し迫った危険から逃れるということだ。逃げるという選択肢は、生きているからできる。自分の命を守るためなら、学校も行かなくていい。逃げて逃げ切って、周りをもう一度、眺めてみよう。落ち着いたら、今度は自分が成長できるように、手偏に変えて、人生に「挑」んでいけばいいんだ。
 「桃栗三年柿八年」と言う。3年で実がなるものもあれば、8年先まで待たなきゃいけない育ち方だってある。学校の3年間や6年間で人生は決まらない。
 本当は自分の意思や思いを言葉で伝えられるといい。「意」という字は、「音」に「心」と書く。自分にしか分からない心の音があるはずなんだ。その音を見せよう。両親や先生、周りの大人たちに気づいてもらえるように、手紙やメールで文字にして伝える。でも、それもできない時は、涙を流す。生きたいと思って下を向いて涙を流していたら、誰かが気づいてくれるから。

【#しんどい君へ】ゴルゴ松本さん「逃げていい。落ち着いたら挑んで」
8月20日 読売新聞オンライン

漢字を使った独特の解釈で少年院や学校で講演を行うタレントのゴルゴ松本さんの記事です。柏市内では柏中学校で講演をされたこともあります。

 ※ツイッターで #しんどい君へ で検索するとほかにも著名人のメッセージを読む ことができます。

偏った勉強は可能性を狭める

「進路に不要な勉強は邪魔だ」とお考えの高校生へ。ご自分の志望と無関係な勉強を強制される状況に対する違和感はよく分かります。私も高1の時、「数学など人生に不要」と判断し、家では一切学校の勉強はやらないことにして、世界の文学作品を乱読したことがありました。

 そのため数学はまったく分からず、赤点すれすれとなり、国立大学を受験する時に大変苦労したのですが、これはむしろ表面的なことです。

 大学卒業後、業務文書などの翻訳(英和・和英)を生業とするようになって、私のところに回ってくる仕事は技術関係のものばかりだったのです。そこで一番役に立ったのは、高校時代に意味を感じられないままに勉強させられていた、数学や理科の知識だったのです。

 「英語による仕事」といいますが、私は「純粋に英語にしかかかわらない仕事」というのは、そうそうないむのだと思います。一線で働く通訳の方も、日本語の能力、通訳する話題に関する知識の重要性を述べています。志望と無関係な科目を切り捨ててしまうことで、可能性を狭めてしまうことなく進んでいかれることを祈っています。

 

千葉市在住の翻訳家の方が、「受験に不要な勉強は必要ないのでは」と悩む高校生に贈った新聞への投稿記事です。
 今の発展途上の価値観で、自分自身の可能性を狭めてしまうことはとてももったいないことだと思います。好き嫌いなく、なんでも食べて栄養をつければ体が成長していくように、さまざまな分野の勉強をすることが後々の君たちにとっての大きな財産になるはずです。美術も音楽も一生懸命取り組めば、必ずプラスになるのです。受験のための勉強ではなく、自分を成長させるための勉強をしてほしいものです。

夢八訓


「夢のある者には希望がある」
「希望のある者には目標がある」
「目標のある者には計画がある」
「計画のある者には行動がある」
「行動のある者には実績がある」
「実績のある者には反省がある」
「反省のある者には進歩がある」
「進歩のある者には夢がある」

 「夢八訓」 流通評論家 吉田貞雄 

夢や目標を達成するには1つしか方法はありません。小さなことを積み重ねること。今自分にできること、少し頑張ればできそうなこと、そういうことを積み重ねていかないと、遠くの目標は近づいてこない。

これはイチローの名言

小さなことを積み重ねていきましょう!

チャイムの鳴らない44日間

 長いと思っていた1学期が終わります。新入生を迎え448名でスタートした令和元年度の中原中学校も、もう3分の1が終わるわけです。そして迎える令和最初の夏休み。今年は44日間と少し長めの『チャイムの鳴らない44日間』が始まります。チャイムが鳴らないだけではありません。制服も校内服も着なくていい、掃除もしなくていい、担任の小言も聞こえない…。「さあ、エアコンの効いた涼しい部屋で、スマホで『荒野行動』だ!それともYou Tubeで『はじめしゃちょー』を見ようかな。えっ勉強?、宿題さえやっとけばいいでしょ、やりますよ、提出期限ギリギリに間に合えばいいんだから…まずは思いっきり羽を伸ばさなくっちゃ…」と考えているそこの君。もう一度自分自身を見つめ直して、夏休みの計画をしっかりと立てましょう。まとまった時間が取れる夏休みは、何か新しいことに挑戦し、自分を成長させるチャンスです。一方で君たちを取り巻く周囲の環境は、SNSも含めて決して安全とはいえません。甘い誘惑に負けて大切な物を失うということが無いように気をつけてください。早寝早起き、規則正しい生活を送ることが何よりです。まさかとは思いますが、夜中までオンラインゲームやYou Tube三昧で、昼夜逆転なんてことがないようにして下さい。1年生は中学校初めての夏休み。部活動や宿題など不安もあるかもしれませんが、計画的に充実した夏休みにしてください。2年生は9月からは中原中学校の中心として活動することになります。そのための準備をしてください。3年生は進路選択に向けて、説明会や体験入学に参加する機会があると思います。自らの進路を切り開くために、自分自身としっかり向き合ってください。みなさんひとり一人にとって充実した夏休みになることを祈っています。

 さて、夏休みを前に4つの約束を確認したいと思います。

① 夏休みにこれはがんばったと自信を持って言えることを必ず一つはやり遂げること。
② 自分と自分の周りの人の心と命を大切にすること。

③ 結果については自己責任が持てること(子どもだけで解決できないことは大人に
相談すること)。
  大切な人(家族、仲間、先生)たちを決して裏切らないこと。

  さあチャイムの鳴らない44日間のスタートです。9月2日にみなさんの元気な笑顔が見られることを楽しみにしています。

聴くということ

「・・・モモのところには、入れかわりたちかわり、みんながたずねてきました。・・・モモが、ものすごく頭がよくって、何を相談されてもいい考えを教えてあげられたからでしょうか。なぐさめてほしい人にしみいることばを言ってあげられたからでしょうか。何についても、賢明で正しい判断がくだせたからでしょうか。違うのです。こういうことについては、モモはほかの子と同じ程度のことしかできません。・・・ひょっとすると魔法が使えたのでしょうか。どんな悩みや苦労もふきはらえるような不思議な呪文でも知っていたのでしょうか。手相を占うとか、未来を予言するとかができたのでしょうか。これもあたっていません。小さなモモにできたこと、それはほかでもありません。相手の話を聞くことでした。・・・」
   「モモ」 ミヒャエル・エンデ より 一部抜粋


 誰かに自分の話・悩みを聴いてもらえるだけで、自分で自分の問題を解決する力がわいてくるものです。「聴く」とは,「あなたに関心をもっていますよ」という大切なメッセージを送る行為なのです。子どもたちの声に耳を傾けようと思います。

 

 

「未来の教室」

第二次世界大戦後の急激な人口増加をベースに続いた右肩上がりの経済成長は、経済的なパイの拡大によって、様々な社会的矛盾を吸収しながら、日本社会に大きな「成功体験」をもたらしてきた。しかし平成に入り、内外の環境は大きく変わった。少子高齢化に伴う人口構成の変化、デジタル産業技術を核とした産業構造の変化、そして目まぐるしく進化する技術革新。いずれも、我が国が抜本的に対応できていないのが現状だ。このような時代において求められるのが「創造的な課題発見・解決力」である。昨年6月に発表された第1次提言では、一人ひとりが未来を創る当事者(チェンジ・メイカー)に育つ環境づくりが必要であるとし、「50センチ革命」「越境」「試行錯誤」という3つの力の育成が、教育改革のキーワードとして設定された。「50センチ革命」とは、現状に満足せず変化に向けた小さな一歩を踏み出すこと、「越境」とは従来の分野や組織を超えて多様な人や知識に触れて協働すること、「試行錯誤」とは失敗を恐れずに挑戦し、その結果から学び次の一歩に進み続けることを意味している。

平成が終わり令和が始まった今、あらゆる環境の変化に適応した新しい教育のあり方を、過去の成功体験の呪縛にとらわれずに構想する必要があることから、今回、「未来の教室」の姿として上述の3つの柱をベースにした提言へと昇華されたというわけだ。

 

出典:「未来の教室」ビジョン(概要版) p2


経済産業省の提言「未来の教室」ビジョンからの抜粋である。変化の激しい時代において求められる「創造的な課題発見・解決力」をどのように子どもたちに身につけさせるか。子どもたち一人一人を未来を創る当時者(チェンジメーカー)として育てるにはどんな環境が必要か。5月に行った国際交流集会では、当事者意識の重要性を子どもたちに感じてほしくて、ライ・シャラドさんをゲストに招いた。今、学校は待ったなしの変革を求められていると思う。新しいことに挑戦していきたい。

物事と正対する

監督をしていて気づかされたことがある。伸びる人間は人の話をよく聞くということだ。

 自分で考えるという自主性と、人の話をよく聞くという姿勢は、一見したところ矛盾するように感じるかもしれない。事実はまったく逆である。考える力を養ったり、冷静な自己分析をしたりする上でも、人の話はよく聞くべきだ。

 人の話をよく聞くとは、言い換えると物事と正面から向き合う、正対するということだ。たとえばラグビーで、私が選手のミスについて指摘したとしよう。伸びる選手は注意をしている私と正対している。斜に構えて話を半分しか聞かないような選手は、たいてい同じようなミスを繰り返してしまう。成長のチャンスを逃してしまうのだ。

 正対するというのは、何も監督や上司の意見をすべて聞けという意味ではない。正面からしっかり受け止めるのであれば、どんな態度をとっても構わない。自分が正しいと思うのであれば、私に向かって正しいことを主張すればいい。むしろ反抗してくる人間は伸びる。物事としっかり正対しているからである…。

 

『監督に期待するな』 
    早稲田ラグビー「フォロワーシップ」の勝利 
              中竹竜二 著 講談社 より抜粋

中原中学校の生徒はしっかりと話を聞ける生徒が多いと感じています。集会などで話をする生徒も、自分の言葉でしっかりと主張できていると思います。話を聞いて疑問に思ったことはしっかりと質問したり、自分の意見を主張したりすることはこれからの社会で必要な力です。物事としっかり正対してほしいと思います。