校長室より

物事と正対する

監督をしていて気づかされたことがある。伸びる人間は人の話をよく聞くということだ。

 自分で考えるという自主性と、人の話をよく聞くという姿勢は、一見したところ矛盾するように感じるかもしれない。事実はまったく逆である。考える力を養ったり、冷静な自己分析をしたりする上でも、人の話はよく聞くべきだ。

 人の話をよく聞くとは、言い換えると物事と正面から向き合う、正対するということだ。たとえばラグビーで、私が選手のミスについて指摘したとしよう。伸びる選手は注意をしている私と正対している。斜に構えて話を半分しか聞かないような選手は、たいてい同じようなミスを繰り返してしまう。成長のチャンスを逃してしまうのだ。

 正対するというのは、何も監督や上司の意見をすべて聞けという意味ではない。正面からしっかり受け止めるのであれば、どんな態度をとっても構わない。自分が正しいと思うのであれば、私に向かって正しいことを主張すればいい。むしろ反抗してくる人間は伸びる。物事としっかり正対しているからである…。

 

『監督に期待するな』 
    早稲田ラグビー「フォロワーシップ」の勝利 
              中竹竜二 著 講談社 より抜粋

中原中学校の生徒はしっかりと話を聞ける生徒が多いと感じています。集会などで話をする生徒も、自分の言葉でしっかりと主張できていると思います。話を聞いて疑問に思ったことはしっかりと質問したり、自分の意見を主張したりすることはこれからの社会で必要な力です。物事としっかり正対してほしいと思います。