校長室より

2020年1月の記事一覧

正しいということ


『言い負かして正しいことを言って満足しても一つもいいことはない』

『正論は相手の心を閉ざす「言葉の凶器」』


正しいという字は一つ止まると書きます。一つ立ち止まって、考えることが必要だということでしょう。また正論が相手を傷つけることもあるということは覚えておきたいですね。

活用するための力

 ヒンディー語に「Jugaad(ジュガール)」という言葉があります。日本語には該当する言葉がないので翻訳するのが難しいのですが、「最低限の道具や材料でどうにかして問題を解決すること」というような意味があります。
 フランス語にも「Bricolage(ブリコラージュ)」という言葉があって、「ありあわせの材料や持ち合わせた道具で現状を切り抜けること」というような意味です。もともとは「取り繕う」「誤魔化す」といったニュアンスがあったのですが、フランスの文化人類学者クロード・レヴィ=ストロースがブリコラージュには「創造性」や「機智」が必要で、それらは人類が古代から持っていた知の在り方であると紹介したことから、ポジティブな意味で使われるようになりました。
 この、自分が知っていることを活用する力こそ、「生きる力」の本質なのではないでしょうか。これはブルーム・タキソノミーの「適応」「分析」「総合」「評価」に対応します。もちろんベースとなりツールとなる知識や技術を習得していくことは基本なのですが、大事なのは、それを問題解決の手段にできること、それぞれの現場で活用できることのはずです。知らない・できないからあきらめる、というようなことがないようにするのがこれからの教育の中心課題だと言えます。


『先生、この「問題」教えられますか?教育改革時代の学びの教科書』石川一郎・矢萩邦彦 共著 より抜粋


「ありあわせの材料や持ち合わせた道具で現状を切り抜ける」ためには、持っている材料や道具は多いに越したことはないはずです。学校で学んだり経験したりすることは必ず役に立ちます。というより、自分が今現在持っている知識や経験をどう生かすのかということが重要になるわけです。つまり、一番よくない姿勢としていえることは「これはやっても意味がない」とか「受験に出ない」とか、今の価値観で学びを止めてしまうことだと思います。学び続けることで多くの材料や道具を手に入れることができるのだと思います。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

こんなに集中して読書したのは久しぶりだ。今まで語ってきた「多様性」がいかに浅いものだったかを思い知らされた。帯にあるように「一生モノの課題図書」だと思う。


「でも、多様性っていいことなんでしょ?学校でそう教わったけど」
「うん」
「じゃあどうして多様性があるとややこしくなるの」
「多様性ってやつは物事をややこしくするし、喧嘩や衝突が絶えないし、そりゃない方が楽よ」
「楽じゃないものが、どうしていいの?」
「楽ばっかりしてると、無知になるから」と私が答えると「また無知の問題か」と息子が言った。以前、息子がレイシズム的な罵倒を受けたときにも、そういうことをする人々は無知なのだと私が言ったからだ。
「多様性は、うんざりするほど大変だし、めんどくさいけど、無知を減らすからいいことなんだと母ちゃんは思う」

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 フレディみかこ 著 より抜粋


整理整頓は心の掃除に通じる

 ドイツには「整理整頓は、人生の半分である」ということわざがある。日ごろから整理整頓を心がけていればそれが、生活や仕事に規律や秩序をもたらす。だから整理整頓は人生の半分と言えるくらい大切なんだ、という意味だ。このことわざに僕も賛成だ。試合に負けた日などは、何もしたくなくなって、部屋が散らかってしまうときがある。あの場面でああすれば良かったという未練や悔しさが消えず、自分の心の中が散らかってしまっているのかもしれない。そんな時こそ整理整頓を面倒くさがらなければ、同時に心の中も掃除されて、気分が晴れやかになる。


(中略)


朝起きたら簡単にベッドメイキングする。本は乱れていたら整理する。ダイニングテーブルの上には物が散らかっていないようにする。ただあまり整理に気を使いすぎると精神的に負担になるので、100点満点で言えば80点くらいの清潔感を保つようにしている。 きれいになった部屋を見たら、誰だって心が落ち着く。僕は心がモヤモヤしたときこそ、身体を動かして整理整頓をしている。心の掃除もかねて。


 『心を整える』 長谷部誠 著より 抜粋

仕事が重なって忙しくなるとデスク周りが乱れる。その結果、使いたい資料が見つからなかったり、イライラしてミスを繰り返してしまうことがある。忙しければ忙しい時ほど、デスクの整理整頓を心がけ、心を整えたいものだ。