校長室より

偏った勉強は可能性を狭める

「進路に不要な勉強は邪魔だ」とお考えの高校生へ。ご自分の志望と無関係な勉強を強制される状況に対する違和感はよく分かります。私も高1の時、「数学など人生に不要」と判断し、家では一切学校の勉強はやらないことにして、世界の文学作品を乱読したことがありました。

 そのため数学はまったく分からず、赤点すれすれとなり、国立大学を受験する時に大変苦労したのですが、これはむしろ表面的なことです。

 大学卒業後、業務文書などの翻訳(英和・和英)を生業とするようになって、私のところに回ってくる仕事は技術関係のものばかりだったのです。そこで一番役に立ったのは、高校時代に意味を感じられないままに勉強させられていた、数学や理科の知識だったのです。

 「英語による仕事」といいますが、私は「純粋に英語にしかかかわらない仕事」というのは、そうそうないむのだと思います。一線で働く通訳の方も、日本語の能力、通訳する話題に関する知識の重要性を述べています。志望と無関係な科目を切り捨ててしまうことで、可能性を狭めてしまうことなく進んでいかれることを祈っています。

 

千葉市在住の翻訳家の方が、「受験に不要な勉強は必要ないのでは」と悩む高校生に贈った新聞への投稿記事です。
 今の発展途上の価値観で、自分自身の可能性を狭めてしまうことはとてももったいないことだと思います。好き嫌いなく、なんでも食べて栄養をつければ体が成長していくように、さまざまな分野の勉強をすることが後々の君たちにとっての大きな財産になるはずです。美術も音楽も一生懸命取り組めば、必ずプラスになるのです。受験のための勉強ではなく、自分を成長させるための勉強をしてほしいものです。