校長雑感ブログ

校長雑感ブログ

4月10日(木)第79回入学式

〇午後2時から体育館において、第79回入学式で79名の新入生を迎えました。入場から退場まで、緊張した表情をしていましたが、その後の学級活動と記念撮影では、少しずつ笑顔が見え始めました。

【校長式辞の主旨】

七十九名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。そしてようこそ土中学校へ。皆さんの入学を在校生及び教職員一同、心より歓迎します。

今、担任の先生から呼名され、返事をしていた皆さんの姿を見ていましたが、「ドキドキの不安」とともに、「ワクワクの期待」も入り混じっていることがよくわかりました。今も緊張している人が多いですね。

この瞬間の心を忘れないでください。明日からは、先輩である2年生や3年生との一緒の生活が始まります。でも彼らもそれぞれ1年前や2年前は、皆さんとまったく同じ気持ちでこの場にいたのです。

人間にとって「経験する」ことが最も大切です。今の不安は、優しい先輩や親身になって指導してくれる先生方によって、すぐに安心感に変わります。しかしそれは、先輩や先生方も、皆さんと同じような経験を過去にしてきたからこそ、皆さんの不安が、手に取るようにわかるからです。

本校は昭和二十二年に創立しましたので、第1回新入生は、現在九十歳くらいになっています。今年の三月までの卒業生は、合計で一万四百人を超えています。

今日からは一緒に学習をはじめ学校行事・部活動を通して、これまでの土中の歴史をさらに発展させていきましょう。

入学にあたり、中学生としての心構えを3つお話しします。

中学校生活は、皆さんのこれからの人生にとって、重要な意義を持った三年間です。したがって、その時その時に、どうやって過ごしていくかを真剣に考えることが大切です。

まず学習では、算数が数学、図工が美術、体育が保健体育、家庭科が技術・家庭科になります。また英語も教科として本格的に始まります。

世の中はあらゆる分野で飛躍的に進歩しており、それに対応するには、「何を知っているか」だけではなく、「何ができるのか」が問われてきます。つまり、単に知っているだけでなく、その知識はどんな背景をもち、どこで使われるのかまでをイメージできてこそ、はじめて「生きて働く知識」となります。

一例を挙げます。皆さんは、小学校5年生で、三角形の面積を求める式を学習しましたね。そう、【底辺】×【高さ】÷2です。では、その公式はどうやって導き出されたのでしょうか?

近くの人と話し合ってみましょう。在校生の皆さんも復習です。どうぞ。

いかがですか?アイデアが浮かびましたか?まったく同じ三角形をもう一つ、逆さにしてくっつけると、2つ合わせて平行四辺形になります。平行四辺形の面積は、【底辺】×【高さ】ですから、そのちょうど半分が、三角形1つ分の面積になるのでしたね。

公式は単なる結果であり、それが導き出される過程(プロセス)が重要です。中学校の学習では、公式を覚えていることより、どうしてその公式が成り立つのかを、自分の言葉で説明できることの方が重要です。そういう力こそ、皆さんに身に付けてほしいと考えています。

さらに授業では、先生の話や友達の考えを聞いた上で、自分ではどう考えるかを発表したり、書いたりすることを大切にしています。それを3年間積み上げていくと、学力の中で一番大切な「学び続ける力」が身についてきます。授業に積極的に参加することを期待しています。

よく世間では、先ほどのように学んだ結果を「学力」と呼びますが、本来「学力」とは、「学」と「力」のあいだに、「び続ける」という字が入って、「学び続ける力」のことなのです。

次に、中学校には様々な活動が用意されています。総合的な学習、体育祭・合唱フェスティバル・校外学習・部活動などです。このような活動を通して、自分の力を大いに伸ばしてください。一心不乱に取り組んでいる姿は輝いて見え、やりきることで自分に自信が持てます。

最後に、このような学習やその他の活動を充実させるには、互いに相手を認め合い、支え合う関係を築くことが必要です。「気持ちのよい挨拶をされた」「不安な時に励ましてもらった」「自分の悩みを聞いてもらえた」など、友達や仲間に勇気づけられ、次の一歩を踏み出せるのが人間です。

ところで中学生ですから、今まで以上に世の中へ目を向けていきましょう。最近ではミャンマーで大きな地震が発生し、多くの方々が亡くなり、今でも救助されない方もいます。またアメリカ大統領の関税政策の影響が世界中に拡大し、株価が乱高下しています。その他世界中で戦争や紛争が続いており、悲しい思いをしている人は数え切れません。

皆さんはたまたま平和な日本に生まれましたが、日本でも過去に地震や津波などの天変地異が絶え間なく起きており、日本だけが世界からの影響を避け、今の幸せを継続できることはできません。

大切なことは視野を広げ、わからないことは自ら学びに向かい調べたり、また先ほどのように他の人と対話して問題の解決をはかろうとしたりすることです。学校の授業は社会で起きていることと密接につながっています。楽しく学び、世の中の出来事を探求していきましょう。

須藤昌英

4月9日(水)入学式練習・準備

〇本年度から市内一斉に小学校42校と中学校21校の入学式を同一日に行うことになりました。そのため今日は入学式前日練習と準備を行い、明日の午前中は通常授業(ただし学年内特別日課)となります。

〇本校は在校生(新2年・3年)も式に参加しますので、心を込めた準備とあたたかい雰囲気の当日になるように願っています。まず入学式の流れを全体で確認し、その後メイン会場の体育館と教室の飾りつけを行いました。

〇私もこれまで市内で6校の中学校に勤めたことがありますが、これほど準備をスムーズに、しかも嫌々ではなく楽しそうに、力をあわせて行っていた学校はあまり記憶にありません。「心が優しい生徒が大勢いるな」と思いました。

〇数ある美しい日本語の一つに、「寿ぐ」があります。読み方は「ことほぐ」で、別に「言祝ぐ」と書くこともあります。意味は字のごとき「言葉で祝う」「お祝いを述べる」「喜びを言う」などです。

〇特に「ほぐ」は、よい結果が得られるように、祝福のことばを唱えるという意味です。たとえば「新年を寿ぐ」といった場合に使われています。

〇私は初めてこの言葉を知った時、字から受けるイメージもそうですが、その読み方から「春の陽気によって人の心が和らぐ」と似た感覚があるなと思いました。

〇少し調べますと、この「ことほぐ」は、古くから使われていた語で、『古事記』などにも用例が見られるそうです。日本の言霊(ことだま:ことばにあるとされていた霊力)思想を反映した語であろうといわれており、ことばには発せられたことばの内容どおりの状態を実現する力があるというものだそうです。

〇明日の入学式に向けて、入学を寿ぐ「校長式辞」を作成しています。本番では全職員を代表して、心を込めて読みたいと思います。

須藤昌英

 

4月8日(火)自立・自律とタンポポ

〇今日は朝から学級活動、学年集会、身体測定など、生徒たちは忙しくスケジュールをこなしています。清掃活動も淡々と行い、「おはようございます」や「こんにちは」のあいさつも中学生らしくさわやかです。また給食も始まりますので、新しい教室で食べることは、新鮮さがあることでしょう。

〇昨日の始業式では、坂村真民(1909~2006)氏の「タンポポ魂」という詩を紹介しつつ、私から生徒へ「桜の花は見上げてみるので余計にきれいに感じますが、それに比べて足元にはいつくばるように咲いている蒲公英(タンポポ)は、地味な感じがするかもしれません。ただタンポポは踏まれた方が強くなる性質があり、一説によるとわざと踏まれるような場所で育っているそうです。」と話しました。

〇タンポポはキク科の多年草で、一年でその生を終えるのではなく、深く土の中に根を張り、冬の寒さにもじっと耐えて咲きます。東京大学名誉教授で国際政治学者の猪口孝氏は、その著書「タンポポな生き方」の冒頭で次のように書いています。引用します。

「『生き方』を考える時、私がいつも思い浮かべるのはあの黄色い花、タンポポです。春に家の近くを歩いていると、塀と道路の狭い隙間や、ヒビの入ったアスファルトの割れ目などから、ヒョロリと首を持ち上げて咲くタンポポを見ることができます。その姿は明るく健気で、『頑張っているね』と思わず声をかけたくなります。(途中略)

踏みつけられても立派に花を咲かせ、次世代につなげるタンポポのような生き方は、青春を生きる人たちにはピッタリだと思います。青春を生きる人とは、年齢が若い人ばかりではありません。よりよい人生の意味を考える人すべてです。先生も親も、教育関連の人も含めた多くの人を指すのです。」

〇中学生には「自ら主体性をもつ」ようにしてほしいと願っています。そのためには、まずは私も含めて大人である教職員が「ただの自立からその先の自律」へと意識を変えていくことが大切です。「自立」は、「他人に頼らず、自分で独立した状態」ですが、「自律」は、「自分で考え、行動の主体となった状態」です。どちらも先ほどのタンポポの姿がオーバーラップしてきます。

〇さらに猪口先生は続けます。

「『あなたは自分の性格で好きなところはどんなところですか?』これなら答えられるかもしれません。では、『あなたの欠点と思われるところは?』について考えてみてください。こんなふうに少しずつ自分を分解して考えていくと、自分の輪郭がはっきりしてきます。なぜ自分のことを知る必要があるのかというと、誰でもいつかは自分の力で生きていかなければならないからです。そのときに、自分のことがわからなければ『自立』できません。(途中略)

他人にいわれなくても、自分がどんな人間かを自分で知るためには、まず何かをやってみることです。自分で何かをやろうとしたら、うまくいかなかった、次に方向を変えたらうまくいった、というように行動を重ねることで、だんだん自分の傾向がわかってきます。その傾向が個性と呼ばれる核となるものなのです」

〇私も経験がありますので、生徒が「失敗したくないから・・」と尻込みする気持ちはわかります。でもそれは、「失敗は悪いこと、効率が悪いこと、恥ずかしいこと」という固定観念があるからです。そして生徒の固定観念は、そのほとんどが大人や社会の影響によるものです。

〇従来の日本の学校では生徒たちに、「効率よく学ばせる」ことを最優先してきた経緯があります。生徒はある意味でその「犠牲者」になっていましたが、これからはそういう状況からはやく脱却しなければなりません。たとえ失敗してもその原因を探しているうちに、修正して再チャレンジしたくなるのが「生徒の本性だ」と私は思います。

〇タンポポからも学ぶべきことはたくさんあります。冒頭に書いた生徒の活動の様子を見ながら、私も『頑張っているね』とつぶやいています。

須藤昌英

4月7日(月)着任式・始業式

〇いよいよ生徒たちが登校し、新学期が始まりました。着任式では私も含め12名の職員が自己紹介で挨拶しました。私は「土中の環境は北と西側に木立があり、まるで森林浴がいつでもできる素晴らしい立地だと思います。先生方にも言いましたが、もしイライラしたら木の方に向かって深呼吸してみてください。きっと気持ちも落ち着くと思います」と話しました。

〇続く始業式では、「思い込みは危険」の話を中心に、特に友達と接する時に「あの人は~だ」などの決めつけをせず、いろいろな方向から多面的に理解できるように・・と呼びかけました。大人も子どもも人間関係で苦労することは同じですので、まずはこの新学期という再スタートの時期を新しい出会いを楽しんでもらいたいと思います。

〇その後生徒たちは、新しいクラス編成の発表や教室の移動を行いました。どの顔も進級したことで明るい表情でした。

須藤昌英

 

4月4日(金)新年度の最終準備

〇久しぶりに朝から太陽の光がそそぎ、青空が目にさわやかにうつっています。気持ちのよい朝です。週末はあちこちでお花見をする人々でにぎわうことでしょう。

〇月曜日の令和七年度始業式を前に、職員は準備に追われています。教室内の机や椅子、ロッカーや及び下駄箱を確認したり、生徒が使用する際に迷わないようにしたり、臨時日課の学習内容や正規日課になってからの教科担当を決めたり。また各種のお便りを作成・印刷や10日の入学式の準備も始めています。

〇正直に言うと、本来はこの年度はじめの時期はもう少し時間の余裕が欲しいところです。ただ「4月5日が始業式」というのは、「柏市小中学校管理規則」という柏市の条例で定められており、今年はたまたま5日が土曜日なので7日が始業式となっているのです。

〇もしこれを改正するとなれば、教育委員会事務局が議案として柏市議会に提出し、承認を得なければなりません。この規則の制定が昭和39年ですので、すでに60年たとうとしています。生徒や教職員の負担軽減からも、今後も引き続き、柏市の校長会と教育委員会事務局の間で検討していく予定です。

〇5年前の春にコロナ禍になって始めたものに、自宅近くの畑をかりての「野菜づくり」があります。ちょうど当時、たまたまご近所の方が「もううちは出来ないから、今かりている畑を引き続いてやりませんか?」と声をかけてもらったのがきっかけです。

〇最初は、「土いじりでもすれば日頃のストレスを解消できるかな」くらいの気持ちでしたが、初夏になると、ナスやキュウリ、トマトなどは予想以上に収穫できたことから、その面白さにはまってしまいました。

〇土を耕すのは無心に身体を動かせばいいのですが、特に真夏の朝や夕方に水をあげるのは大変で、それだけで汗びっしょりになります。でも丹精込めるほど、野菜は「正直」なので、すくすくと成長してくれます。

〇野菜と生徒を一緒にするのはとても失礼ではありますが、それ以来「教育(共育)も野菜作りも本質は同じかな」と思うようになりました。生徒の元々もっている力を信じ、必要に応じて水や養分を与えてあげる。肝心なのは今の生育状態をよく観察することで、そこから想像力を働かせて、適度に手をかけ、愛情を注いでいくことです。

〇以前にテレビでアフリカのケニアにあるサバンナで、水を求めて大移動するシマウマの集団を観察した番組を観たことがあります。シマウマの子どもは、大移動する前に、必ず母親と一緒に走る練習をします。人間の「鬼ごっこ」のように、母親と追いかけっこしながら、周囲を遊びながら走ります。

〇「遊び」としての「訓練」をせず、群れとして集団移動をする際、川を渡るときに自分勝手に行動したのでは、ワニに襲われて命を落としてしまう可能性があります。大切なのは、脳の深い部分に危険からの逃避や仲間との集団行動に関する重要性が刷り込まれることだそうです。

〇学校での学習や生活で考えると、理性とか意識などの表層の部分で理解するだけですと、刷り込みの度合いが弱いままです。シマウマの子どものように、「遊びとしての走る練習」をしていない生徒は、学校での生活(特に人間関係)を窮屈に感じた際、そこで踏ん張ろうとする意欲が出てきません。

〇始業式まであと2日、お子様のエネルギーが蓄積されているか、ご家庭で様子を見て適宜お声掛けをお願いします。

須藤昌英

【第1校舎の窓からの桜】