校長雑感ブログ

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3月7日(火)花粉の飛散と3年生を送る会の準備

〇この時期になると、浮かない表情の生徒をよく見かけます。その原因は、年々増えてきている子どもの花粉症だと感じます。コロナのマスク常用で最近はあまり目立たなくなりましたが、飛散時期には花粉対象のマスクをしたりメガネでガードしていたりする生徒を見るのも珍しくなくなりました。外に出て体を動かすのがおっくうになったり、室内にいても学習や諸活動に集中できなかったりすることが、本人が一番つらいだろうと思います。

〇スギ花粉飛散のピークは、東京では3月上旬から下旬で、特に今年は大量飛散が見込まれるところが多いため、ピークの時期も長くなる可能性があるとのことです。スギ花粉のピークが終わる頃になると、次のヒノキ花粉のピークが始まるところが多くなります。東京では4月上旬から下旬にかけてヒノキ花粉の飛散のピークを迎えるらしいです。私の住む我孫子もまだ小さいですが杉林が点在しており、車のボンネットに花粉が積もって黄色く見えるほどです。家族などはそれを見るだけで「ゾッとする」と言っています。

〇せっかくの春の陽気も楽しむどころか、暖かい日ほど花粉症の人にとっては、むずむず、くしゅくしゅ、じゅるじゅる、涙ぽろぽろという状況であった方も多いようです。少し調べましたら、簡単な花粉症対策として、外出から戻ったら顔を洗う方法があるそうです。目の周りや鼻の周りには花粉がついていて、それを洗い流すと吸入する花粉の量が減るのでけっこう楽になるそうです。私は幸いまだ花粉症ではありませんが、顔を洗うとすっきりと頭がさえるので、一日に何度か水で洗うことがありますが、先日、つらそうな顔をしている男子生徒に教えてあげました。ただ女子生徒はなかなかそういうわけにはいかないと思いますが・・・。

〇昨日の放課後に、本日の「3年生を送る会(3送会)」の会場設置とリハーサルを生徒会役員が中心となって行いました。心のこもったあたたかい会になることでしょう。

須藤昌英

3月6日(月)学校への侵入を防ぐ

〇先週の水曜日、埼玉県戸田市の中学校の教室に侵入し、教員を切り付けたとして高校生の少年が逮捕された事件がありました。学校はちょうど定期試験の最中で、幸い生徒にけがはないようでしたが、高校生に対応した男性教員が生徒らを避難させた直後に複数回刃物で切りつけられていたとのことで、怪我をされた教員のはやい回復を祈るばかりです。

〇警察によりますと、少年は調べに対し「誰でもいいから人を殺したいと思った」と供述しているということです。また少年は先月、近隣の公園などで猫の死骸が相次いで見つかった事件についても関与をほのめかしているということで、関連について調べています。

〇学校には多くの方々が、様々な用事で訪れます。しかし、その中には非常に希ですが、正当な理由がなく校地や校舎に立ち入ろうとする不審者がいます。対策の一つとして、校長室には防犯カメラの画像がありますが、生徒の通る通路など数か所の限られた場所のみで、またもちろん常に画像を見ているわけにはいきませんので、それをもとに緊急対応できることは困難な状況です。再度対策の検討が必要です。

〇千葉大学の藤川教授は、先日の千葉日報で今回の事件の分析を次のように語っています。参考になるので、引用します。

「2001年の大阪教育大学付属池田小の児童殺傷事件以降、文部科学省は学校の安全対策を進めてきた。池田小の事件を繰り返さないことが学校現場の目標だった。しかし今回の事件で、少年は3階教室まで入り込んだ。学校の入口は通常、生徒が使う昇降口と職員と来校者用の玄関があるが、どちらを使っても目立つ。どこからどうやって入り、なぜ3階までいけたのか。検証し対策が必要。一方、教員が怪我をしたことは残念だが、生徒を守れたことは大きい。(略)危機管理は何かを起きたときに被害を最小限に防ぐことが重要。試験を止めても生徒を守るという判断や教員同士の連携ができていた。」

〇藤川教授が指摘するように、生徒を犯罪被害から守るため、必要な体制等を整備し、不審者かどうかを確実にチェックする必要があります。また凶器などを持ち暴力行為を働いた場合や働く恐れがある場合には、警察へ通報も含めて迅速に対応しなければなりません。具体的には、まず不審者かどうかを見分けるポイントとして、受付を通り来校者用の名札等をしているか、受付を無視したり、不審な言動をしていないかがあります。また不審者と思われる人を見たら、声をかけて用件をたずねて用件が答えられるかまたそれが正当なものか。保護者と名乗るなら、生徒の学年・組・氏名が答えられるか。教職員に用事がある場合は、氏名、学年・教科等の担当が答えられるか。さらに通常の順路を外れていたり、不自然な場所に立ち入っていないか。凶器などの不審な物を持っていないか。不自然な行動や暴力的な態度はみられないか。

〇正当な理由のない者には、丁寧に校地・校舎内及び周辺からの退去を求めます。素直に応じた場合でも、再び侵入する恐れがないかを見届ける必要があります。私も過去に勤務した学校で、そのような経験があります。さらに退去しない場合、再び侵入しそうになった場合には、速やかに、持ち物や暴力的な言動の有無を確かめるなど次のチェックに移ります。退去を求めても応じない場合には、生徒に危害を加える恐れがないかどうか速やかに判断する必要があります。

〇ハード面(防犯カメラや人の配置など)は限界があり、万全な体制は難しいです。しかしソフト面(校門を閉める、校舎内を巡回するなど)では、まだできることはあります。安全な学校に向けて、教職員と努力していきます。

須藤昌英

(校長室の防犯カメラ映像)

3月3日(金)桃の節句と最後のレク(3学年)

〇今日はひな祭りですが、この時期に学区の富勢小、富勢東小、富勢西小にお邪魔すると、それぞれ玄関に七段飾りがあり、その華麗さに魅了されしばらく見入ってしまいます。ひな祭りの別名は、「桃の節句」です。確かに我が家のひな飾りには、もちろん造花ですが桃の花があります。ただ残念ながら本校には桃の木はありません、その代わりに各色の梅の花が満開です。

〇少し調べますと、桃の花が飾られるのは、中国においては、桃の木が邪気をはらったり、子孫繁栄をもたらしたり、その実が不老長寿をもたらす仙木と考えられていたからということです。また昔は日本でも子どもが生まれると人形をつくって保管し、3~4歳ごろになってから川へ流すという時代もあったようですが、時を経て人形がだんだんと豪華になっていくにつれ、流さずに飾って毎回仕舞うようになったそうです。

〇日本には5つの節句(これを「五節句」)があり、季節の変わり目でその邪気を払い、無病息災を願う伝統的な年間行事です。 五節句は、1月7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日、(1月7日を除いて同じ奇数が重なる日)です。 1月1日の元旦は別格とされ、1月7日が節句に取り入れられています。

〇日本でも明治時代には、生後1年未満の子どもの死亡率は10~20%だったというデータがあるそうで、そうなるともっと以前は子どもが3歳まで生きられる確率はかなり低かったと推測されます。そのため本来の厄払いの行事が、いつしか子どもの健康と成長を祈る行事になったのも自然な流れなのだと思います。

(我が家のひな飾り)

(富勢中の梅の木)

〇本日は3年生の給食はないので、昨日のうちに「金目鯛の白焼き・ちらし寿司」のメニューで、全校生徒全員の健やかな成長をお祝いしました。特に菜の花のすまし汁のナルトには「寿」の文字が入っていました。

〇3年生は昨日の1・2校時に、学年レクを校庭(ドッジボール)・体育館(長縄跳び)で行いました。今のクラスと2年前の1年時のクラス(同窓会)の両方で楽しんでいました。運動を久しぶりにする生徒も多く、怪我をしないか心配してみていました。実際に過去に勤務した学校で、この時期に怪我をして卒業式に松葉杖で出席した生徒もいました。

〇本日は公立高等学校入学者選抜の発表があります。朝から希望どおりの結果が出るように祈っています。

須藤昌英

3月2日(木)いのちの授業(3学年)

〇昨日の3・4校時、千葉県助産師会から上級思春期相談員の足立千賀子先生をお招きし、体育館で3生生に「いのちの授業」を行いました。卒業式を来週に控え、「いのちや性」について深く学ぶ機会を通し、生徒の将来に役立つ講話をしていただきました。

〇冒頭の講師紹介の中で、私からこの授業の意義を伝えました。「君たちはみんな15歳で、私の4分の1しか生きていませんが、今日はその15歳の君たちにこそ聞いてもらいたい話を講師の先生にお願いしています。ところで人生を季節になぞって、4つに分けて表現することを聞いたことがありますか?君たちはまさに「青春(せいしゅん)」の真っただ中ですが、この青春は普段からよく使われていますね。青春の次は「朱夏(しゅか)」で、だいたい25歳から社会で活躍する50歳すぎまでの期間です。その後私のように60歳前後になると「白秋(はくしゅう)」と呼び、さらに高齢になると「玄冬(げんとう)」となります。つまり色でいうと若い順に「青」→「朱(赤)」→「白」→「玄(黒)」と変わっていきます。今日の話の中で、「思春期」という言葉が多くでてきますが、まさしく青いイメージですね。先週末に中学校の同じクラスでしかも同じ野球部だった親友の告別式に参列しました。その友は私と同じ6月生まれですが、その時強く思ったのは、『人生のスタートはほぼ同じでも、人生の終わり(ゴール)はバラバラなのだ』ということです。今日の講師の足立先生は、いつも命が生まれる現場に立ち会っていますので、今日はそのご経験も踏まえて、君たちへ大切なメッセージを届けてくれます。しっかりと聞いてください。」

〇親や教員が伝えにくいことについても、足立助産師さんはプロならではの説明をしていただきました。講演会後に生徒は「わかりやすい説明で、自分や周りの人たちのからだが、とても大切であることを再度確認できました。」と感想を述べていました。

須藤昌英

 

 

3月1日(水)卒業式の練習(3学年)

〇今週から3学年は特別日課を組んでいます。その中で次のような各クラスの実行委員さんを中心に、10日の卒業式練習が始まっています。クラスでの基本練習と学年全体で改装された体育館での学年練習を並行して行っています。

(運営・企画) 学年委員

1組江村さん、西本さん 

2組和田さん、重信さん 

3組神木さん、久寶さん 

4組伊藤さん、吉岡さん 

5組飯島さん、勝田さん

(記念品贈呈・答辞)生徒会本部

4組長谷川さん 1組藤田さん 2組高橋さん

〇最初の練習の冒頭に、学年主任の柳教諭から3年生に対し、「マスクの着用について、本番当日は『自分は~する』と今から考えてほしい。周囲の人を見て判断をするのではなく、自分なりの根拠をもって決めてほしい」との呼びかけがありました。確かにマスクの着脱の件一つでも、政府が個人の判断に任せると明言しているのに、中には「自分で判断するなんて政府は無責任だ」と考えている大人もいます。しかし本当にそうでしょうか?その人は、少し大げさに言えば自分で考えることを放棄し、何か人から指摘されたときに、「国が決めたことだから・・・」と言い訳ができるようにしているだけかもしれません。

〇少なくとも3年生には、学校や先生、保護者などから言われたからその通りにするのではなく、いろいろな人の視点に立って(想像力)、自分はどうすべきかを考えること(創造力)はとても重要であり、そういう経験を通して、「自立・自律」した大人に成長してほしいと思います。

〇また卒業式は学校行事で最も重要で、フォーマルな場ですので、最初は礼法や作法の確認を行います。これもあくまでも基本を教えますが、あとは自分なりのその基本動作を応用し、堂々と参加してもらいたいです。生徒に指導した主な点として、

1 座る姿勢(頭をむやみに動かさない)

男子:足を自然に開き、拳は軽く握って膝と股関節の間に置く

女子:足を閉じ、手は重ねて膝と股関節の間に置く

2 座る→立つの動作 (「卒業生、起立」の号令)

背筋を伸ばす(立つ準備)をして、スッと立つ。

3 立つ姿勢(手は体側に)

踵をつけて、つま先は拳1つ分程度開き、視線はまっすぐ遠く。

4 座礼と立礼(若者らしく)

腰を基準にして、1・2・3で45°程度曲げる

5 歩き方(手は自然に振る)

「パタパタ」と音をたてるのはNG、まっすぐ遠くを見る。

〇「ずいぶんと細かい所まで教えるなあ」と感じるかもしれませんが、卒業式は彼らにとっても3年ぶりのことであり、知らないことや忘れていることも多いものです。最初は各所作の意味や社会人の常識みたいなものまで含めて説明し、だから「~しなさい」ではなく、教わったことを生徒自身が自分でかみ砕いて考えることが最も重要です。

〇一番生徒が緊張していたのが、卒業証書授与の場面です。初めてステージにあがると、ぎこちない動きでしたが、みんな一生懸命取り組んでいて、みていて清々しい気持ちになりました。予行練習では、保護者席に在校生を座わらせて、本番の緊張感で最後の確認をしていきます。

須藤昌英

2月28日(火)学校欠席連絡等システムの導入に係る費用の補助

〇2月も今日で終わり、明日からは3月に入ります。春本番のような陽気が梅の花の満開をもたらし、それによってくる鳥の数も格段に増えています。年度の終わりの月は、卒業式や修了式があり、生徒たちの成長した姿を確認できる場があります。人の成長の凄さをその身をもって私たちに示してくれる中学生は、まさに「未来からの留学生」であり、彼らの無限の可能性はこの国の希望です。

〇今年度は昨年4月からLINEを利用して欠席等を連絡する「つながる連絡」を試験的に導入し、9月からご家庭に月50円の費用負担をお願いしたかたちで、本格的な運用をさせていただきました。これにより、保護者側と学校側の両方の負担も大幅に軽減でき、今後もよりよい運用をしたいと考えています。

〇先日、今後このシステムを使用することにつきましては、これまでの保護者による受益者負担等ではなく、保護者に費用等において負担はかけず、柏市がその分を補助するという見通しになりました。しかし補助はとりあえず令和5年度内で、令和6年度以降については現時点未定ですが、市としてシステムの一括導入を行うことを検討しているそうです。もちろんその際も費用負担はないようです。

〇このシステムは欠席・遅刻・早退連絡やアンケート機能等だけでなく、学校から保護者に対して連絡・お便り配信ができるものであることで、保護者側はお子様がプリント等を渡し忘れたりしても閲覧可能だったり、学校としても印刷の費用(紙代、インク代など)を抑えられたりするなど、メリットがあります。

〇このシステムは安全性が確保されているクラウドサービスを利用しており、これが「柏市教育情報セキュリティ対策基準」に即していることや第三者認証(ISO/IEC27017,ISO/IEC27018,他これに準じる認証)を取得していることで、市も補助を考えたとのことです。

〇富勢中学区では、中学校が「つながる連絡」、小学校が「スクリレ」を利用していますが、特に後者の「スクリレ」はこれまで、お便り配付は無料でしたが、欠席連絡などは有料オプションでしたので、中学校の「つながる連絡」と同じことができるようになります。ただし先ほどのように令和6年度は柏市で統一したシステムになるようです。

〇4月より本校に入学される新1年生につきましては、「つながる連絡」の利用をお願いいたします。新年度に入ってあらためてご案内・ご説明いたします。

須藤昌英

 

2月27日(月)富学協の全体会議

〇25日の土曜日に、今年度最後(年4回)の「富勢中学校区学校運営協議会(富学協)」が、「こども未来支援 みらいのボクら かしわ教室(柏市布施1190-2)」をお借りして行われました。私も初めて入らせていただきましたが、会議の冒頭に所長さんから、施設についての説明をしていただきました。「生きる力を育てる」を基本理念に児童発達支援事業を通し、子どもたちが将来、自分らしく個性が輝いて生きていけるように、社会性を育てつつ、未来について考え、夢に向かっていきていけるように支援をしているそうです。先日の市立柏病院もそうでしたが、地域にこのような施設があることは素晴らしいと思いました。

〇1日10名を定員としており、各専門家(ソーシャルスキルトレーナー、児童行動心理士、保育士、遊び発達インストラクター、介護福祉士、看護師、言語聴覚士、公認心理士、理学療法士、作業療法士など)から、一人ひとりに寄り添った支援が受けられます。これだけの専門の方々がチームとなって、ロールプレイゲームや体験的活動、将来ビジョントレーニングなどをしているそうです。特に気になったのが、「外活動では、静と動の時間を大切にし、座って話を聞く、見る、話すなどの五感を使う」ことを行っていることで、やはり人間(特に乳幼児から小学生)は、自分の身体と自分の意識が適切につながっていることが重要だと確認できました。

〇富学協の主な議題として、1、令和4年度学校評価について 2、授業参観の感想について 3、令和5年度の委員継続について 4、令和5年度の組織体制について 5、富勢学区あいさつ運動について 6、令和5年度入学式の出席について などがありました。

〇私からは、今年度の生徒の様子や学校評価の分析、1月の授業参観の報告、10日の卒業式(新体育館で開催)の予定を説明しました。本来ならば学校の応援団として出席していただきたいところですが、残念ながら卒業式は来賓等をお招きはしないことを説明し、了承していただきました。

〇富学協の今年度の最後の具体的活動として、「4校合同の朝のあいさつ運動」を実施することになりました。日時は、3月7日(火)~9日(木)の3日間 午前7:40~8:00で、各校の正門付近で、児童生徒と委員、地域住民に協力を得て実施します。また4月の入学式には、富学協が学校を校外から運営する側として位置づけられていることを広く伝えるためにも、従来の来賓としてではなく、学校のサポーターとして委員が入学式に参列したいことも了承されました。

〇涌井会長は常々、「この富学協は、座布団のように地域の子どもたちをやさしく下から支えつつ、風呂敷のようにやさしく包み込むことを目指しています。」と言ってくれています。金曜日に「社会に開かれた教育課程」について書きましたが、身近な社会であるこの富勢地域の方々が学校をやさしく見守ってくださることに感謝しています。

須藤昌英

2月24日(金)社会に開かれた教育課程

〇「社会に開かれた教育課程」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?保護者や地域の方々、ましてや生徒のみなさんはあまり耳なじみがないと思います。現行の学習指導要領の基盤となる考え方で、もちろん我々教員は知ってはいますが、実際にはどことなくお題目的になっている面もあり、定期的にその意味や真意を学びなおす必要があると感じています。

〇これは、学校の教育課程を通じて、生徒たちが社会や世界とつながり、よりよい社会と幸福な人生を自ら創り出していける力を積極的に育もうとするものです。教育の目的として「人格の完成」などを基軸に据え、次代を担う子供たちが人間や社会の望ましい在り方を主体的、創造的に描き出し、それを実現できる資質・能力を育むことを目指そうとしています。

〇ではなぜ、今「社会に開かれた教育課程」の実現が求められるのでしょうか?世界のグローバル化の進展や人工知能(AI)の急速な進化など、社会の様々な領域で激しい変化が加速度的に進んでおり、将来を予測することは誰にも難しくなっています。生徒たちを含め我々は変化する社会の中に生きており、その社会の変化は我々に大きな影響を及ぼしていることは実感できます。しかしその一方で、これまでになかった豊かさや便利さなどを享受する反面、多くの困難な問題に直面しています。例えば、対立や紛争、環境の変動、資源やエネルギーと持続可能な発展、少子・高齢化、貧富の差の拡大といった問題は、私たちの生活や生き方に影響を及ぼし、人類の未来にも関わっています。

〇そもそも学校では、校長が責任者となって全教職員が協力して教育課程の編成を行います。その際、校長と教職員が「社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じて社会を創る」ことについて考えていくことが大切であるのは言うまでもありません。そして生徒たちに、社会とのつながりを意識し、現実社会の問題に向き合い、自分の問題として解決に向けて考え取り組むことを求めるのであれば、まず教職員がそのような意識に立つことが必要です。教職員がこうした意識を共有して教育課程を編成・実施しその様子を社会に発信することが、目指す教育の理念を社会と共有することにつながります。

〇「社会に開かれた教育課程」のポイントとして、「これからの社会を創り出していく生徒たちが、社会や世界に向き合い関わり合い、自らの人生を切り拓いていくために求められる資質・能力とは何かを、教育課程において明確化し育んでいくこと」が指摘されています。また学校の教育目標の設定に当たり、教える側の視点だけではなく、生徒の視点に立って「何ができるようになるのか」を明らかにする必要があります。それらの意味をこめて一言で表したのが「学び続ける富勢中」です。

〇この雑感ブログに関しても、「校長先生、ご自身の私的なことも含めていろいろ書いていますね」と感想をいただくことがあります。私も校長としてだけでなく、一市民としてこの社会で生きていますので、本校の様子(閉じたせまい学校)だけをお伝えするのではなく、学校と社会のつながりを意識して書いています。ですので「雑感」としていますが、ただ漠然としてではなく、そのつながりを強調しているつもりです。

〇社会のつながりの中で学ぶことで、生徒たちは、自分の力で人生や社会をよりよくできるという実感を持つことができます。このことは、変化の激しい社会において、生徒たちが困難を乗り越え、未来に向けて進む希望や力になります。そのため、本校は一番身近な社会である富勢地域と連携・協働した教育活動を充実させることを目指してきました。これからもよりよい学校教育を通じて、よりよい社会を創るという目標を学校と地域とで共有していきます。

須藤昌英

2月22日(水)学年末テスト(1・2学年)

〇昨日と今日、3年生の千葉県公立高校入学者選抜に合わせて、1・2年生は今年度最後の定期テストを受けています。朝の登校時間にも参考書などを手に抱えている生徒も多く、意気込みが感じられます。一生の中で一番、知識や技能を脳に蓄えたり身につけたりすることの出来る時期ですので、今の自分を考えるとうらやましい気がします。

〇一学期にも書きましたが、そもそも勉強は「復習」に主眼をおくべきで、覚えられる範囲をストレスなく覚えること、これが記憶の性質に適した学習方法です。比でいうと、『予習:学習:復習=0.5:1:4』が理想的だそうです。脳の海馬という部位に入ってきた情報が溜まっている期間は、情報の種類によって異なりますが、短いと1か月程度です。海馬は情報を1か月かけて整理整頓し、『何が本当に必要な情報なのか』を選定しています。もし入ってきた情報を際限なく記憶していくと、脳のキャパシティーはいっぱいになり、パンクしてしまうということでしょう。

〇心理学者ビネーは、「脳はインプット(入力)よりもアウトプット(出力)を重要視している」と指摘しており、復習の中で手で書いたり口で話したりすること(アウトプット)で、海馬に「この情報はこれほど使用する機会が多いのか、ならば覚えねば・・」と判断させ、「短期記憶」から「長期記憶」に格上げさせることが有効な方法のようです。つまり「詰込み型(ガツガツと一方的に覚える)」よりも「知識活用型(余裕をもって双方的に身体を使ってみる)」の方が効率的だということです。そのようなことから教科書や参考書を何度も見直すよりも、問題集などを何度も解く復習法の方が良いと言われています。

〇つまり毎回の定期テストも「1つのアウトプットの機会」と考えられます。テストへ向けて準備をしてきたことを一気に押し出すように解答用紙に吐き出すイメージでしょうか。ただし私もそうでしたが、学習したことを正確にアウトプットするのも結構大変で、「失敗(不正解)」することも多々あります。しかしまたその失敗が脳に強い刺激を与え、「あのとき失敗したからこそ今ではそのことをきちんと覚え理解できている」ということもあります。生徒たちの奮闘を期待します。

須藤昌英

 

2月21日(火)千葉県公立高等学校入学者選抜

〇本日と明日、千葉県立及び柏市立高等学校の学力検査が行われます。昨日の給食は「味噌カツ丼」で、勝負事の前の「験担(げんかつぎ)」として縁起のよいメニューを全校生徒で食べ、3年生の合格祈願をしました。その後5校時、各教室にて事前指導を行いました。さすがに前日ということもあり、みんな少し緊張している表情もありましたが、無事に自分の力を出し切れるように祈っています。

〇事前指導では、確認事項(時間、持ち物や身だしなみなど)に加え、「トラブル対応」も指導しました。

【受検票を忘れた】

・あわてずに受付に申し出る(学校名、氏名、受検番号)

・受検票は合格発表の際も必要なので、大切に保管する

【電車やバスを乗り間違えた】

・できるだけ公共交通機関を利用する(感染症対策で車の場合は保護者判断)

・もし間に合いそうになかったら、直接志望校に連絡する

【体調不良(感染の疑い)】

・前日までに判明した場合には、富勢中に連絡する

・当日の場合には、直接志望校に連絡し、その後富勢中にも連絡する

(味噌カツ丼を食べる3年生)

(事前指導を真剣に聞く3年生)

〇千葉県の入学者選抜の歴史をさかのぼると、今から37年前までは、一部の専門学科を除きすべての普通科では、1回のみ(2日間で行う学力検査等)でした。その後当時の文部省の通知で「受験機会については、同じ高等学校においても定員の一部を留保して、入学者選抜を2回にわたって実施するなど、受験生に複数の機会を与える工夫をすることが望ましい」とあったのを受けて、昭和61年度から平成14年度までは、「推薦」と「一般」に分かれ、徐々に募集定員に対する推薦枠を拡大(普通科で最大40%)していきました。

〇さらに平成15年度から22年度は、「推薦」に変わり「特色ある入学選抜」が導入され、生徒の多様な能力・適性等を多元的に評価するようになりました。そしてその理念を継承しつつ、3年前までは、「前期選抜(2月中旬)」と「後期選抜(2月下旬)」の2回行っていました。確かに受検生にとっては2回受けられるという精神的な安堵感や受験パターンを戦略的に構築できるなどのメリットはありました。

〇上記のような入学者選抜の推移をみると、単純に言えば今の制度は40年前に戻っているということですが、中学校の校長としては、いつまでこのような選抜を行うのか・・、志願者はすべて入学させるような制度はいつになったら構築されるのか・・、少なくともそうなるための選抜方法の議論を不断に継続してほしい・・などの疑問や要望があります。

〇学力検査(国語・社会・数学・理科・英語)以外の検査については、各高等学校が決めて実施しています、いくつかを紹介します。

・面接(複数の面接官と受検生の個人面接や集団討論など)

・適性検査(作文・小論文を書く、運動・音楽の技能の検査など)

・自己表現(当日にパフォーマンスや実技等を行うなど)

・思考力を問う問題(論理的思考力や表現力などを問う内容)

〇過去には2月は雪の影響などで、受検会場に行くことを心配したことがありましたが、今日と明日はそれはないので、寒さ対策をしっかりして、全力を出してほしいです。

須藤昌英

(昨日の下校の様子「頑張っておいで~」)