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3月6日(月)学校への侵入を防ぐ
〇先週の水曜日、埼玉県戸田市の中学校の教室に侵入し、教員を切り付けたとして高校生の少年が逮捕された事件がありました。学校はちょうど定期試験の最中で、幸い生徒にけがはないようでしたが、高校生に対応した男性教員が生徒らを避難させた直後に複数回刃物で切りつけられていたとのことで、怪我をされた教員のはやい回復を祈るばかりです。
〇警察によりますと、少年は調べに対し「誰でもいいから人を殺したいと思った」と供述しているということです。また少年は先月、近隣の公園などで猫の死骸が相次いで見つかった事件についても関与をほのめかしているということで、関連について調べています。
〇学校には多くの方々が、様々な用事で訪れます。しかし、その中には非常に希ですが、正当な理由がなく校地や校舎に立ち入ろうとする不審者がいます。対策の一つとして、校長室には防犯カメラの画像がありますが、生徒の通る通路など数か所の限られた場所のみで、またもちろん常に画像を見ているわけにはいきませんので、それをもとに緊急対応できることは困難な状況です。再度対策の検討が必要です。
〇千葉大学の藤川教授は、先日の千葉日報で今回の事件の分析を次のように語っています。参考になるので、引用します。
「2001年の大阪教育大学付属池田小の児童殺傷事件以降、文部科学省は学校の安全対策を進めてきた。池田小の事件を繰り返さないことが学校現場の目標だった。しかし今回の事件で、少年は3階教室まで入り込んだ。学校の入口は通常、生徒が使う昇降口と職員と来校者用の玄関があるが、どちらを使っても目立つ。どこからどうやって入り、なぜ3階までいけたのか。検証し対策が必要。一方、教員が怪我をしたことは残念だが、生徒を守れたことは大きい。(略)危機管理は何かを起きたときに被害を最小限に防ぐことが重要。試験を止めても生徒を守るという判断や教員同士の連携ができていた。」
〇藤川教授が指摘するように、生徒を犯罪被害から守るため、必要な体制等を整備し、不審者かどうかを確実にチェックする必要があります。また凶器などを持ち暴力行為を働いた場合や働く恐れがある場合には、警察へ通報も含めて迅速に対応しなければなりません。具体的には、まず不審者かどうかを見分けるポイントとして、受付を通り来校者用の名札等をしているか、受付を無視したり、不審な言動をしていないかがあります。また不審者と思われる人を見たら、声をかけて用件をたずねて用件が答えられるかまたそれが正当なものか。保護者と名乗るなら、生徒の学年・組・氏名が答えられるか。教職員に用事がある場合は、氏名、学年・教科等の担当が答えられるか。さらに通常の順路を外れていたり、不自然な場所に立ち入っていないか。凶器などの不審な物を持っていないか。不自然な行動や暴力的な態度はみられないか。
〇正当な理由のない者には、丁寧に校地・校舎内及び周辺からの退去を求めます。素直に応じた場合でも、再び侵入する恐れがないかを見届ける必要があります。私も過去に勤務した学校で、そのような経験があります。さらに退去しない場合、再び侵入しそうになった場合には、速やかに、持ち物や暴力的な言動の有無を確かめるなど次のチェックに移ります。退去を求めても応じない場合には、生徒に危害を加える恐れがないかどうか速やかに判断する必要があります。
〇ハード面(防犯カメラや人の配置など)は限界があり、万全な体制は難しいです。しかしソフト面(校門を閉める、校舎内を巡回するなど)では、まだできることはあります。安全な学校に向けて、教職員と努力していきます。
須藤昌英
(校長室の防犯カメラ映像)