校長雑感ブログ

2025年4月の記事一覧

4月28日(月)英語の目的は話せることではない・・・?!

〇国語や数学にそれぞれの世界観があるように、世界の共通語と言われる英語も、近年は小学校の外国語活動が活発になっているお陰で、少しずつ生徒達にはその特性などは理解されていると思います。

〇英語を含む外国語科の目標は、「簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり伝えあったりするコミュニケーションを図る資質・能力を育成すること」となっています。

〇よく「コミュニケーション能力」を考えるうえで最も大切なことは、「双方向のもの」であり、相手への伝達だけでなく、「相手からの情報をいかに上手に(正確に)受け取るか」という観点も持っていなければならないと言われます。

〇しかし世間では、すでに高機能でコンパクトな翻訳機はたくさん出回っており、外国へ行くにもそれをもっていけば、大抵のことは困ることはない時代になっています。

〇ではなぜ、英語を学習するのでしょうか?もちろんさきほどのコミュニケーションのツールとして、英語は日本語よりもある面は適していると思います。でもそれだけでしょうか?

〇これも私の私見にすぎませんが、私自身も中学校から英語を勉強し始めて、やはり英語の文法に馴染むのに時間がかかった記憶があります。当時はよく「S主語、V動詞、O目的語、C補語」を組み合わせた5文型をひたすら覚えましたが、それまでどうしても日本語との違和感が頭から離れませんでした。ところがある日突然その霧のようなものが晴れて、しっくりと英文が見えるようになったのは、今でも忘れられません。

〇そしてさらに、例えば日本語との一番大きな違いである、主語の次に動詞がくるのも、「これも悪くないな」と思うようになりました。と同時に、逆に日本語の奥ゆかしさなどの良い面も、両者の比較によってより明確になりました。実際に英語を日本語へ、日本語を英語に直す際、その感覚が一番役に立ちました。

〇生徒達には、互いにコミュニケーションをとりながら、英語と日本語のそれぞれの良さを自分なりに感じてほしいと思って、各学年の英語の授業を参観しています。

須藤昌英

本校のALT(外国語アシスタントティーチャー)

【名前】Cyril Sean Ortiz Buhat(サイリル ショーン オーティーズ ハット)

【出身国】フィリピン

【特技・趣味】バスケットボール

       アニメを描くこと ギターの演奏

【メッセージ】私の国のお祭りや伝統的な食べ物・服装について、お話ししたいと思います。スポーツが好きなので、生徒の皆さんと一緒にバスケットボールをしたいです。また一緒に音楽も楽しめたら・・と思います。気軽に話しかけてください。

 

4月25日(金)仮説を立ててそれを実証していく力(理科の学習)

〇理科に関しては、先日の「中学生のころの学習は一つのきっかけ」の中で、私が中学生で理科の授業で「四季がどうして生まれるか」を習ったことについて書きました。実はそれは第2分野(生命や地球に関する自然の事物・現物を対象)になります。もう一つの第1分野(物質やエネルギーに関する自然の事物・現物)で、こちらは第2分野よりも生徒の好き嫌いが分かれるようです。

〇理科のある先生に、「どのような気持ちで授業に臨んでいますか」と尋ねたところ、「自然の不思議さとか、面白さとか、そういうものを伝えたい。こういうことを知識として持っていたら、豊かな生活になるということを伝えたい。また社会に出て、いろいろな人生を送っていく中で、未知の課題が出てきたときに、観察・実験を通して得てきた課題を解決していく能力というのは、そこできっと発揮されるのではないだろうかという期待も持ちながら、授業をしている。」と答えてくれました。

〇私も理科の学ぶ過程の中に、仮説や予想を立て、自分の問いを追求し、それをみんなに説明したいために、実験・観察をするというところが大切ではないかと思っています。この力は社会に出てからもよく使われるもので、成功しても失敗してもその原因を考え、そこからまた新しいアイデア(仮説)を立てていく・・この繰り返しは、どんな職業でも本質的に同じではないかと思います。

〇いずれにせよ、実験や観察などには安全性の確保が欠かせません。そのため柏市では年間を通して理科室での授業は、理科教育支援員さんのバックアップ(実験の準備、教材の提供など)を受けて、特に安全面に最大の配慮をしています。

〇昔は植物や動物などを調べる際には、図書室などの大図鑑を広げていましたが、近年のICT技術の発達で、タブレットで検索すれば最新の情報を写真付きで閲覧することができます。しかしやはり実物を手で触ったり顕微鏡で観たりすることは、それ以上に自分の五感をフル稼働させていきますので、欠かすことはできません。

〇最近の傾向として、大学の理科系学部への進学希望者が減っており、科学技術分野の研究開発の担い手不足や科学技術教育の質の低下といった科学への多岐にわたる悪影響を及ぼす可能性があります。本校生徒でも「科学好き」が増えることを期待しています。

須藤昌英

 

4月24日(木)「数学が苦手」の原因として考えられること

〇一昨日のブログで、国語の学習が全学年とも「詩」から始まっているとお伝えしましたが、同様に数学では全学年が「数と式」の領域から始めています。

〇数学の学習内容は、大きく「数と式」「図形」「関数」「データの活用」の4領域から成り立っています。最初の「数」と「式」は、数学全体の下支えをしていますので、当然のこと最初に学習します。

〇まず「数」についてですが、数学では学年が進むほど「新しい数」を定義し、その世界をひろげていきます。中1ではまず、マイナス符号のついた数を初めて学習します。でもこれはまだ身近に気温や成績などに使われているので、理解しやすいです。

〇ところが中3になると、「2乗するとある数になる数のもとの数」いわゆる平方根(√:ルート)というあまり馴染みのない数が登場します。昔授業で数学を教えていた際、よく生徒から「何でルートのついた数なんかでてくるの?」と質問を受けました。

〇疑問を持ったら素直に質問してみることはとても重要ですので、いつもどうやって説明しようかと悩んでいましたが、結局最後いつも「数学の世界を広げ、応用範囲をひろげるためには、どうしても新しい数が必要で、それがないと数学は発展していかないのだよ。疑問はとても大切だけど、まずは慣れるようにしてごらん。するといつのまにかその新しい数が自分に馴染んでくるから・・」と答えてきました。

〇次に「式」ですが、これはいわゆる「文字を使った式」のことで、算数と数学の違いの究極はここにあります。小学校では□を使った式で、「□のなかにはいろいろな数が入ることができるよ」と説明していますが、その□の代わりに、文字という抽象性の高い記号を使うことにより、式を形式的(アルゴリズム)に扱うようにできるようになります。

〇要するに式を計算する課程をより簡単し、「その結果として得られた最後の式から何がいえるのか?またその先は何を考えればよいか?」に意識を集中させやすくすることをねらっています。

〇いずれにせよ、数学に苦手意識をもっている生徒は一定数いますが、原因の一つが、「数学の独特の世界に違和感をもっていること」と私は経験上感じています。生徒には、「例えば旅行で、アメリカに行ったとしたら、その国の文化や風習にある程度合わせた上で、観光や食事を楽しむよね。数学もそれと同じで、数学の国の文化や風習にまずは慣れ、楽しむまでいかなくても、『まあ、こんなものか』くらいに思っていればいいよ」と話していました。

〇「郷にいれば郷にしたがえ」が今の生徒に通じるかわかりませんが、とにかく学習では「習うよりも慣れろ」の一面もあります。

須藤昌英

 

4月23日(水)社会科は人々の営みがメインテーマ

〇中学校の社会科は、「地理」「歴史」「公民」の3つの分野があり、主に前の2つは1~2学年に、並行して学び進めます。その後3学年で「公民」を学ぶのが一般的です。

〇まず地理分野は世の中で起こっている現象について、様々な角度から体系的に学習する分野です。今存在している文化や産業が、そもそもどのようにしてかたち作られたのかを学びます。最近では、少子化など「人」に焦点を当てた現代社会の諸問題について、地理の分野でもよく取り扱います。そのことから他の科目と比べて、非常に実用性の高い科目といえます。地理的なことを理解することが、自分自身の生活に、あるいは地域社会の課題解決に直接役に立ちます。

〇次に、歴史分野は今ある政治体制や文化を正しく理解するために、まずは過去にさかのぼって背景を知る分野です。例えばウクライナとロシアやイスラエルとパレスチナなどの状況を理解するには、それぞれの国民性やこれまでの経緯を学習することは必須でしょう。また用語の暗記にとどまらず、ものごとの流れにふれるなかで、物事の因果関係を学ぶことにもなります。そうすることで、先人たちの成功や失敗から、問題の原因の特定や解決策のヒントを学べます。よく昔から「未来を考えるには、歴史から学べ」とも言われています。

〇最後の公民分野は、「法律」「政治」「経済」などの現代社会のしくみや在り方について学びます。特に最近は、SDGsの理念から、持続可能な社会という視点から、環境問題や少子化問題における社会保障や財政の問題について考えさせる問題も取り上げています。学習指導要領には、「グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力を育成する」という大きな目標が掲げられており、これを読むと思わず私たち大人も「本当に自分はそこまで達しているか?」と振り返ってしまいます。

〇分野は違いますが、これらに共通するのは、「すべて人の生活や営みから派生している」のであり、最後は自分の生活にどのように活用していくかだと思います。自然科学と社会科学をつなぐ、重要な科目です。生徒たちの興味を喚起する授業を行っています。

須藤昌英

 

4月22日(火)国語科の詩の学習のねらい

〇柏市から我孫子市に移り住んで25年になります。我孫子市は大正から昭和にかけての昔、「北の鎌倉」と呼ばれていたほどで、今でも自然が多く残っています。

〇手賀沼と我が家の間には、田んぼと小さな山の林があり、春の田んぼからは蛙の声、夏の林からはうるさいほどの蝉の鳴き声が聞こえ、年間を通して四季を身近に感じます。

〇最近は朝の五時前から、鶯の「ホーホケキョ」の鳴き声が聞こえ、気分良く起床しています。耳を澄ましていると、その他に「ケキョ」とか「ホヶキョ」とか「グチュグチュ」のように鳴くことがあり、それがある一定のリズムをもっているような気がします。

〇リズムと言えば、今週から正規日課の授業が始まり、各学年の国語はそれぞれ「詩」の学習から入っています。1学年は金子みすゞの「ふしぎ」、2学年は吉野弘の「虹の足」、3学年は谷川俊太郎の「春に」と有名な詩人ばかりの作品を味わっています。

〇詩に取り組むことを通して、表現方法や作者の気持ちの変化などを自分や友達の考えを出し合い、読み取っていく過程を全学年共通で行っています。

〇詩を読み慣れることで、国語に必要不可欠な力が養われます。その力は、「映像化力」と呼ばれ、目の前に詩の情景をイメージしていく力だそうです。中学生は驚異的に語彙を増やしていく年代なので、美しい日本語も味わってもらいたいです。

〇「詩を難しい」と感じる人が多いのは、少しの言葉で表された世界を、十分につかみとれないのが一つの原因らしいです。生徒たちには教科書だけにとどまらず、図書館で詩集を借りて読むなど、これからの人生で繰り返し自分のイメージづくりに努めてもらいたいです。

〇授業での詩の学習では、詩の基本的な構成要素(題名、連、表現技法など)を理解し、詩の解釈や読解力を高めることや詩をより深く理解するために、作者の背景や詩の持つ意味を考察することも大切にしています。

〇詩は言葉を美しく響かせ、感情や思想を豊かに表現するという特徴があります。またリズムや韻律があり、それが魅力のひとつです。

須藤昌英