創立78周年目 学び成長し続ける富勢中
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校長雑感ブログ
3月23日(木)むちゃなことができる時期
〇「むちゃ(無茶)」の意味を調べてみると、まず「無茶」があて字だということを初めて知りました。ワープロに打ち込むとすぐに「無茶」と変換するので、これまで疑いもなくきました。やはりこれに限らず語源などもしっかりと調べなおす必要があると思いました。同様に「むちゃくちゃ(無茶苦茶)」や「めちゃくちゃ(滅茶苦茶)」も日常で使っていますが、本来はひらがな標記のようです。「むちゃ」の意味は、
1 筋道が立たず、道理に合わないこと。また、そのさま。
2 程度がはなはだしいこと。度を越していること。また、そのさま。
3 知識がないこと。また、そのさま。
いずれにせよマイナスのイメージがありますが、人生の一時期は、「よくあんなにむちゃができたな」と思うことがだれでもあるのではないでしょうか?
〇日本で一番ノーベル文学賞に近いと言われている村上春樹さんの作品は、本校の図書室にも多く蔵書しています。彼の作品を読んでいると、なんとも言えない不思議な空気感に包まれます。ただ長編作品も多いので、中学生には短編小説から入って、その世界観を楽しんでもらいたいと思っています。
〇その村上さんが、自伝エッセイで次のようなことを書かれていました。後半に中学生の頃の思い出が出てきます。
「小説を一つ書き上げ、原稿を編集者に渡すと校正係がそれをチェックする。そこで指摘されるのはだいたい言葉遣いの間違いと事実的な間違いだが、その校正が入ったゲラ刷りを見ていると、自分がいかに世界の事象について無知であったか、いかにいい加減で不正確な知識をもって生きてきたかをつくづくと思い知らされる。 (略) でもまあしょうがないよね、世の中の知識や情報をいちいち律儀に頭に詰め込んでいたら、それだけで忙しくて、大事なことは何もできなくなってしまう。そう思って開き直っている。とはいえ、僕だって昔はそうじゃなかった。中学生の頃、少しでもたくさんの世界の知識を身に付けたくて、百科事典を最初から最後まで読破したことがある。よくまあそんな無謀なことをしたよなと思うけど、当時は知識欲にあふれた素直な少年だったのだろう。で、百科事典を読破してそれが何かの役に立ったかというと、とくに立ってないみたいだ。そのときに頭に入れたことは、みんなどこか遠い場所に吸い込まれて消えてしまったから。きっと人にとって一番大事なのは、知識そのものではなく、知識を得ようとする気持ちと意欲なのでしょうね。そういうものがある限り、僕らはなんとか自分で自分の背中を押すように、前に進んでいくことができる」
〇これは村上さんのことであり、別に中学生に「百科事典を読破しなさい」と言いたいのではありません(今は百科事典レベルの一般的な知識は、手元のディバイスですぐに調べられますので)。そうではなくて、むしろそんな無謀(むちゃ)なことをあえてやってみるということは中学生時代しかできないのではないかと思います。
〇人によって内容は様々ですが、もっと色んなことに挑戦したい、どこまで出来るか自分の限界を試してみたいなどのように、向上心をもってものごとに取り組むことで、自分の可能性が広がることを生徒達にも感じてほしいと思います。
〇明日の修了式には、日本が野球のWBCで優勝した話(MVPの大谷翔平選手が主役)は、昨日からテレビのどのチャンネルでもそればかり放送されていますので、あえて村上さんの話をしてみようと思います。
須藤昌英
3月22日(水)来年度からストローは使わずに牛乳パックのたたみ方も変更します
〇20日は本年度最後の給食でした。生徒も美味しそうに食べていました。午後には校長室に、給食調理を委託している業者の方々が今年度終了の挨拶に来てくださいました。私からは「おかげさまで、安全で美味しい給食を提供していただき、本当にありがとうございました」とお礼を申し上げました。新年度は4月10日が給食のスタートになりますので、約3週間は給食はありません。
〇令和5年度からは、ストローの使用を止めるのと牛乳パックの片づけ方法を変更します。まず牛乳パックは、写真のようにたたみますが、給食委員の説明に従ってやってみても、最初はなかなか難しいようでした。ある生徒は出来上がった後で、「まるでメンコのようだ」と言っていました。なるほどしっかりとたたむと、コンパクトで思ったよりも固くなります。
〇一方で私もこの半年はストローを使わないでいましたが、私一人だけでも、次のように溜まっています。ストローを使わず、パックの上部を手で開き、飲み口から直接飲めようにします。
〇「プラスチック問題」は世界でも注目されています。プラスチックは、加工のしやすさや高い耐久性などの特性から、生活のさまざまな部分で使われています。しかしプラスチックが燃やされるときに温室効果ガスが発生し、地球温暖化の原因のひとつになっています。またプラスチックの原料は、石油でその資源の枯渇につながることになります。さらに大量のプラスチックが海に流れ出て、海を汚染しているそうです。
〇それに対し、世界中で取り組まれているのがSDGs(持続可能な開発目標)で、17のゴールとゴールを達成するための169のターゲットで構成されています。世界的に有名な企業(マクドナルドやスターバックスなど)でも、プラスチック製ストローの廃止を発表したり、紙ストローに切り替わっています。
〇環境に関して問題意識を持たせることは、未来を生きる生徒たちにとって、当事者意識を促し、「自分ならどうするか?」の行動につなげられます。
須藤昌英
3月20日(月)学年末保護者会
〇先週の金曜日は、お忙しい中、学年末保護者会へのご参加ありがとうございました。保護者の皆様には、新しくなった体育館をご覧いただけて良かったと思っています。
【校長挨拶】
・お忙しい中、ご参加いただき、また日頃から本校教育活動にご理解とご支援をいただき、重ねて御礼申し上げます。先日は東京の桜が全国にさきがけて開花したというニュースもありましたが、本日は富勢中の桜も初めて咲き始めたのを発見しました。
・また今朝の5時には、自宅前の林から、名前はわかりませんが、鳥たちの鳴き声がこれまで以上に大きく響いてきました。今日は少し肌寒いですが、春も本番だなと感じます。
・朝や帰りに校長室前の道路を通る生徒の話し声も、鳥と同じで、今まで以上に楽しそうに聞こえてきます。人間はやはり自然の中で生きていると感じます。本校は樹木も多く、中庭にはたくさんの鳥たちが集っています。以前本で読みましたが、鳥たちは警戒心が強く安全性が最優先なので、木が多いからといって、それだけで集まってくるわけではないそうです。一番はその場の雰囲気を察知して、「ここにいて大丈夫?」と判断をしているそうです。そうなると、富勢中は、鳥たちも安心していられる空間であり、生徒が学ぶ場としては整っているのではないかと思います。
・お子様のこの一年間の成長はいかがでしたでしょうか?きっと良い面でも悪い面でも目覚ましかったと思います。成長は「変化」ですが、親として「好ましい変化と好ましくない変化」があると思います。中学生になると急に無口になったり、要件しか言わなくなったり、なんでもかんでも反抗的になったり。親としてはイラっときたりいつまでもこのままだろうかと心配になると思いますが、大丈夫です。反抗期は必ず終わります。
・本日の午前中に、1学年を対象に「いのちの授業」千葉県助産師会から講師を招いて行いました。次のアンケート結果をみてください。順調な成長をしていると思います。いつまでも親の言うことをそのまま行っているようですと、むしろその方が心配です。イライラするのは、自分でやってみようとすることが増え、そのすべてが思い通りにいかないのは当然であり、そこから湧き出る自然な感情です。
・特に面白いのは男女別の違い(次のベスト3)です。共通なのは、「人の気持ちを考えて行動するようになった」ですが、これも良い捉え方だけではありません。例えば自分の行動によってそれに対する親や教員の反応が予想されるので、本当はやってみたかったことをあえて止めてしまう場合もあります。いずれにせよすべて思春期特有の悩みです。私たちも大人もそういう時期があったのですが、今は忘れているだけです。
・私はよく、生涯学び続けていくためには、「素直(今の自分を大切にし、将来の自分に期待する心情をもっている)」であることが欠かせないと話します。こえは要するに周囲にどう思われようが、自分との対話ができるようになることです。しかしそれは外(親や教師)からは決して見えない部分です。
・いろいろと思春期の子をもつ親としての心配は当然ですが、少し距離ととりつつ、本人の表情が暗くなったり投げやりなつぶやきなどに気づいたら、「何か心配事があるなら相談してね」と声をかけてください。中学生くらいですと、自分でも何に困っているのかはっきりと認識しないでいることも多く、自分の言葉で自分の気持ちを相手に話したときに、初めて「ああ、自分は~で悩んでいるのだ」とそこで初めてわかる場合があります。相談されたら「なるほど、あなたは~で悩んでいるんだね。ではあなたは一体これからどうしたい?」と尋ねてください。絶対にしないでほしいのは、子どもの話を途中で遮ったり、聞いてすぐに助言することです。相談された方としては、はやくその子の悩みを解決してあげたいと思いますが、話した時点で大抵は自分で答えをもっていると思います。もしその自分なりの答えが言えたら、「わかりました。それではまずそうしてみて、また困ったら相談してね」とそっと返してほしいです。
・お手元のしおりにあるように、卒業生166名が1週間前の卒業式で巣立っていきましたので、来月の11日の入学式までは、1・2学年のみとなります。4月の保護者会でお話ししましたが、この一年間、生徒の将来にわたって「学び続ける力」を育成してきました。これは学校内だけで完結するわけではなく、コロナやウクライナ紛争などの社会的現象をどのように見ていくかなど、一方的な押しつけや教え込みではなく、生徒と一緒に考え、彼らが課題にしたり悩んだりしていることに対し、教育のプロとして伴走していくことを目指しました。
・来年度の年間行事予定表はまだ不確定な部分もありますが、1学期の中では、2年生林間学校は6/1(木)~3(土)、3年生修学旅行は6/19(月)~20(水)があります。これから詳細をお知らせしてまいりますが、ご承知おきください。
・最後になりますが、3/24(金)の修了式をもって、令和4年度の1年間が終わります。これまでのご協力とご支援ありがとうございました。来年度もよろしくお願いいたします。
須藤昌英
3月17日(金)小学校の卒業式おめでとうございます
〇本校の卒業式を行ってから1週間、今日は柏市内の小学校の卒業式が行われます。学区内の富勢小第123回、富勢東小第44回、富勢西小第40回の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。コロナ禍前ですと、中学校の校長も学区内の小学校へ出向き、直接お祝いをしていましたが、この3年間はできていません。
〇小学校の卒業式は、卒業証書を受け取ったあとの壇上で、卒業生一人ひとりの「決意・夢の発表」のような場面があります。それを見ていると「自分もあんなに純粋な気持ちの時があったな」と思い出すことがよくありました。一方で中学生になると進路選択を迫られる機会が増えるので、「夢をもちましょう」といっても、小学生の頃の夢とはかなり変わってきます。本来、夢はぼんやりとした方がよく、「〇〇学校へ行きたい」のように具体的になると、手段に近いものになります。
〇「夢」と一口にいっても、様々なとらえ方があり、例えば、スポーツ選手が、子どもたちに夢の話をする場合、努力すれば願いは叶うものなどを知ってもらうことが多いです。一方で、「夢」は狭い意味で「将来就きたい職業」を指すこともあります。「あなたの夢?」と聞かれて、「医師」「弁護士」「サラリーマン」・・・などと出てきます。しかし実際の世の中では、夢といえばこちらの方をイメージすることが多いと思います。
〇しかし中学生といえども、まだ具体的な職業上の夢を持たない生徒もいます。何かと急かして決めさせようとはせず、まずは「今の自分にももしかしたらできるかもしれない」という期待感を持たせていく方が自然だと思います。それが1つと限らず、優柔不断のようですが、「あれもこれも」と複数あった方が、学校での学習の興味も広がります。自分自身に希望を持つ生徒は、やがて将来の目標を見つけ、さらには実現させるための手段もたくましく見つけていくと思います。
〇そんなことを考えながら、事前に本日の卒業式に向けて、小学校へお祝いのメッセージをお届けしました。
須藤昌英
3月16日(木)学び続けるための夢や努力
〇今月に入り、野球のWBCが盛り上がっており、今晩も準々決勝があります。注目選手の筆頭はなんといっても大谷翔平選手(28歳)ですが、彼は私の長男と同じ年齢で、長男も幼いころから野球をしてきましたので、自分勝手にいつも大谷選手も自分の息子のような感覚で観戦しています。
〇彼が先日のインタービューで、「トップを目指すために必要なことは何ですか?」の質問に次のように答えていました。「何よりもやり続けること、やり続けるためには楽しむことしかありません」短い言葉ですが、まさにその通りだと思いました。よく彼のことを「野球をしている姿はまるで少年のようだ」と言う人がいますが、大好きな野球を心から楽しんでいるということだと思います。
〇また最近、なんのCMかは忘れましたが、大谷選手がこれまで失敗した具体的な回数を別々の人が言いながらつなげているものが放映されています。最初に見たときは、やたらと数字が出てくるので、何を訴えたいのか?わかりませんでしたが、彼が三振した回数や打たれたヒット数、怪我で試合に出場できなかった日数など、失敗というよりはここまでマイナス面があっても挫折してこなかったのは、これまで誰もやらなかった「二刀流をやるという夢があったからだ」とのメッセージなのだろうと思いました。そしてこれは先日の卒業式の式辞のなかで卒業生にも語りましたが、このコマーシャルを見た人は、「失敗の数だけ僕たちは成長できる」という最後のフレーズに、きっと苦労を乗り越える勇気をもらえる人も多いだろうと思います。
〇大谷選手というと以前から、彼が自分の目標達成をするために、「マンダラチャート」を作成していたことは有名です。これは目標達成するための具体的な項目を見える化した図の一種(フレームワーク)で、実際に高校時代の野球部監督の指導で高校1年時に、正方形の枠のど真ん中に、将来の夢「プロ野球の8球団からのドラフト1位指名」を書き、その周囲9×9の合計81マスに、細分化した目標(スキル、フィジカル、メンタル、人間性など)を配置しています。その実物の写真は良くネットで閲覧できます。高1とは思えないしっかりとした字で、内容も大人顔負けのものです。
〇夢といえば、北海道にある植松電機の社長さんは、「夢はどんどん変わるので、決して一つにすることはない。夢は一つではなく、多い方が互いにからまって実現する可能性が高くなる。夢をあきらめない秘訣は、自分の夢を外にどんどん語り続け、そうすると同じことをやったことがある人が自然に寄ってくる。やりたいことはやったことがある人とだけとは語りあえるので、『ぼくはこうやったよ』『それをやっている人は他にもいるよ』とだんだんとその和が広がっていく。世界には必ずそういう仲間がいるので、あきらめるのはもったいない」と言っています。
〇また「夢は見るものではなく、叶えるもの」という言葉もよく聞きますが、これはどちらかというと結果を残すという面に重点が置かれており、大谷選手のような誰もが認める成果を全員が達成できるわけではありません。むしろ昨日の「努力(ゆめ)」のように、コツコツコツと取り組んでいく過程に、今までに自分になかった考え方や能力が身についてくるのだと思います。そしてそのことが次の夢に向かっていくときに本当に役に立っていきます。
〇本校のテーマである「学び続ける富勢中」につなぐために、私も生徒に話をする際には、具体的な人の名前を紹介するように心がけています。そして日頃から本や新聞を読み、自分とは違う考えを持った人や素晴らしい実績を残している人から、その苦労や失敗談から学ぶこともその一つです。
須藤昌英