創立78周年目 学び成長し続ける富勢中
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校長雑感ブログ
3月22日(水)来年度からストローは使わずに牛乳パックのたたみ方も変更します
〇20日は本年度最後の給食でした。生徒も美味しそうに食べていました。午後には校長室に、給食調理を委託している業者の方々が今年度終了の挨拶に来てくださいました。私からは「おかげさまで、安全で美味しい給食を提供していただき、本当にありがとうございました」とお礼を申し上げました。新年度は4月10日が給食のスタートになりますので、約3週間は給食はありません。
〇令和5年度からは、ストローの使用を止めるのと牛乳パックの片づけ方法を変更します。まず牛乳パックは、写真のようにたたみますが、給食委員の説明に従ってやってみても、最初はなかなか難しいようでした。ある生徒は出来上がった後で、「まるでメンコのようだ」と言っていました。なるほどしっかりとたたむと、コンパクトで思ったよりも固くなります。
〇一方で私もこの半年はストローを使わないでいましたが、私一人だけでも、次のように溜まっています。ストローを使わず、パックの上部を手で開き、飲み口から直接飲めようにします。
〇「プラスチック問題」は世界でも注目されています。プラスチックは、加工のしやすさや高い耐久性などの特性から、生活のさまざまな部分で使われています。しかしプラスチックが燃やされるときに温室効果ガスが発生し、地球温暖化の原因のひとつになっています。またプラスチックの原料は、石油でその資源の枯渇につながることになります。さらに大量のプラスチックが海に流れ出て、海を汚染しているそうです。
〇それに対し、世界中で取り組まれているのがSDGs(持続可能な開発目標)で、17のゴールとゴールを達成するための169のターゲットで構成されています。世界的に有名な企業(マクドナルドやスターバックスなど)でも、プラスチック製ストローの廃止を発表したり、紙ストローに切り替わっています。
〇環境に関して問題意識を持たせることは、未来を生きる生徒たちにとって、当事者意識を促し、「自分ならどうするか?」の行動につなげられます。
須藤昌英
3月20日(月)学年末保護者会
〇先週の金曜日は、お忙しい中、学年末保護者会へのご参加ありがとうございました。保護者の皆様には、新しくなった体育館をご覧いただけて良かったと思っています。
【校長挨拶】
・お忙しい中、ご参加いただき、また日頃から本校教育活動にご理解とご支援をいただき、重ねて御礼申し上げます。先日は東京の桜が全国にさきがけて開花したというニュースもありましたが、本日は富勢中の桜も初めて咲き始めたのを発見しました。
・また今朝の5時には、自宅前の林から、名前はわかりませんが、鳥たちの鳴き声がこれまで以上に大きく響いてきました。今日は少し肌寒いですが、春も本番だなと感じます。
・朝や帰りに校長室前の道路を通る生徒の話し声も、鳥と同じで、今まで以上に楽しそうに聞こえてきます。人間はやはり自然の中で生きていると感じます。本校は樹木も多く、中庭にはたくさんの鳥たちが集っています。以前本で読みましたが、鳥たちは警戒心が強く安全性が最優先なので、木が多いからといって、それだけで集まってくるわけではないそうです。一番はその場の雰囲気を察知して、「ここにいて大丈夫?」と判断をしているそうです。そうなると、富勢中は、鳥たちも安心していられる空間であり、生徒が学ぶ場としては整っているのではないかと思います。
・お子様のこの一年間の成長はいかがでしたでしょうか?きっと良い面でも悪い面でも目覚ましかったと思います。成長は「変化」ですが、親として「好ましい変化と好ましくない変化」があると思います。中学生になると急に無口になったり、要件しか言わなくなったり、なんでもかんでも反抗的になったり。親としてはイラっときたりいつまでもこのままだろうかと心配になると思いますが、大丈夫です。反抗期は必ず終わります。
・本日の午前中に、1学年を対象に「いのちの授業」千葉県助産師会から講師を招いて行いました。次のアンケート結果をみてください。順調な成長をしていると思います。いつまでも親の言うことをそのまま行っているようですと、むしろその方が心配です。イライラするのは、自分でやってみようとすることが増え、そのすべてが思い通りにいかないのは当然であり、そこから湧き出る自然な感情です。
・特に面白いのは男女別の違い(次のベスト3)です。共通なのは、「人の気持ちを考えて行動するようになった」ですが、これも良い捉え方だけではありません。例えば自分の行動によってそれに対する親や教員の反応が予想されるので、本当はやってみたかったことをあえて止めてしまう場合もあります。いずれにせよすべて思春期特有の悩みです。私たちも大人もそういう時期があったのですが、今は忘れているだけです。
・私はよく、生涯学び続けていくためには、「素直(今の自分を大切にし、将来の自分に期待する心情をもっている)」であることが欠かせないと話します。こえは要するに周囲にどう思われようが、自分との対話ができるようになることです。しかしそれは外(親や教師)からは決して見えない部分です。
・いろいろと思春期の子をもつ親としての心配は当然ですが、少し距離ととりつつ、本人の表情が暗くなったり投げやりなつぶやきなどに気づいたら、「何か心配事があるなら相談してね」と声をかけてください。中学生くらいですと、自分でも何に困っているのかはっきりと認識しないでいることも多く、自分の言葉で自分の気持ちを相手に話したときに、初めて「ああ、自分は~で悩んでいるのだ」とそこで初めてわかる場合があります。相談されたら「なるほど、あなたは~で悩んでいるんだね。ではあなたは一体これからどうしたい?」と尋ねてください。絶対にしないでほしいのは、子どもの話を途中で遮ったり、聞いてすぐに助言することです。相談された方としては、はやくその子の悩みを解決してあげたいと思いますが、話した時点で大抵は自分で答えをもっていると思います。もしその自分なりの答えが言えたら、「わかりました。それではまずそうしてみて、また困ったら相談してね」とそっと返してほしいです。
・お手元のしおりにあるように、卒業生166名が1週間前の卒業式で巣立っていきましたので、来月の11日の入学式までは、1・2学年のみとなります。4月の保護者会でお話ししましたが、この一年間、生徒の将来にわたって「学び続ける力」を育成してきました。これは学校内だけで完結するわけではなく、コロナやウクライナ紛争などの社会的現象をどのように見ていくかなど、一方的な押しつけや教え込みではなく、生徒と一緒に考え、彼らが課題にしたり悩んだりしていることに対し、教育のプロとして伴走していくことを目指しました。
・来年度の年間行事予定表はまだ不確定な部分もありますが、1学期の中では、2年生林間学校は6/1(木)~3(土)、3年生修学旅行は6/19(月)~20(水)があります。これから詳細をお知らせしてまいりますが、ご承知おきください。
・最後になりますが、3/24(金)の修了式をもって、令和4年度の1年間が終わります。これまでのご協力とご支援ありがとうございました。来年度もよろしくお願いいたします。
須藤昌英
3月17日(金)小学校の卒業式おめでとうございます
〇本校の卒業式を行ってから1週間、今日は柏市内の小学校の卒業式が行われます。学区内の富勢小第123回、富勢東小第44回、富勢西小第40回の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。コロナ禍前ですと、中学校の校長も学区内の小学校へ出向き、直接お祝いをしていましたが、この3年間はできていません。
〇小学校の卒業式は、卒業証書を受け取ったあとの壇上で、卒業生一人ひとりの「決意・夢の発表」のような場面があります。それを見ていると「自分もあんなに純粋な気持ちの時があったな」と思い出すことがよくありました。一方で中学生になると進路選択を迫られる機会が増えるので、「夢をもちましょう」といっても、小学生の頃の夢とはかなり変わってきます。本来、夢はぼんやりとした方がよく、「〇〇学校へ行きたい」のように具体的になると、手段に近いものになります。
〇「夢」と一口にいっても、様々なとらえ方があり、例えば、スポーツ選手が、子どもたちに夢の話をする場合、努力すれば願いは叶うものなどを知ってもらうことが多いです。一方で、「夢」は狭い意味で「将来就きたい職業」を指すこともあります。「あなたの夢?」と聞かれて、「医師」「弁護士」「サラリーマン」・・・などと出てきます。しかし実際の世の中では、夢といえばこちらの方をイメージすることが多いと思います。
〇しかし中学生といえども、まだ具体的な職業上の夢を持たない生徒もいます。何かと急かして決めさせようとはせず、まずは「今の自分にももしかしたらできるかもしれない」という期待感を持たせていく方が自然だと思います。それが1つと限らず、優柔不断のようですが、「あれもこれも」と複数あった方が、学校での学習の興味も広がります。自分自身に希望を持つ生徒は、やがて将来の目標を見つけ、さらには実現させるための手段もたくましく見つけていくと思います。
〇そんなことを考えながら、事前に本日の卒業式に向けて、小学校へお祝いのメッセージをお届けしました。
須藤昌英
3月16日(木)学び続けるための夢や努力
〇今月に入り、野球のWBCが盛り上がっており、今晩も準々決勝があります。注目選手の筆頭はなんといっても大谷翔平選手(28歳)ですが、彼は私の長男と同じ年齢で、長男も幼いころから野球をしてきましたので、自分勝手にいつも大谷選手も自分の息子のような感覚で観戦しています。
〇彼が先日のインタービューで、「トップを目指すために必要なことは何ですか?」の質問に次のように答えていました。「何よりもやり続けること、やり続けるためには楽しむことしかありません」短い言葉ですが、まさにその通りだと思いました。よく彼のことを「野球をしている姿はまるで少年のようだ」と言う人がいますが、大好きな野球を心から楽しんでいるということだと思います。
〇また最近、なんのCMかは忘れましたが、大谷選手がこれまで失敗した具体的な回数を別々の人が言いながらつなげているものが放映されています。最初に見たときは、やたらと数字が出てくるので、何を訴えたいのか?わかりませんでしたが、彼が三振した回数や打たれたヒット数、怪我で試合に出場できなかった日数など、失敗というよりはここまでマイナス面があっても挫折してこなかったのは、これまで誰もやらなかった「二刀流をやるという夢があったからだ」とのメッセージなのだろうと思いました。そしてこれは先日の卒業式の式辞のなかで卒業生にも語りましたが、このコマーシャルを見た人は、「失敗の数だけ僕たちは成長できる」という最後のフレーズに、きっと苦労を乗り越える勇気をもらえる人も多いだろうと思います。
〇大谷選手というと以前から、彼が自分の目標達成をするために、「マンダラチャート」を作成していたことは有名です。これは目標達成するための具体的な項目を見える化した図の一種(フレームワーク)で、実際に高校時代の野球部監督の指導で高校1年時に、正方形の枠のど真ん中に、将来の夢「プロ野球の8球団からのドラフト1位指名」を書き、その周囲9×9の合計81マスに、細分化した目標(スキル、フィジカル、メンタル、人間性など)を配置しています。その実物の写真は良くネットで閲覧できます。高1とは思えないしっかりとした字で、内容も大人顔負けのものです。
〇夢といえば、北海道にある植松電機の社長さんは、「夢はどんどん変わるので、決して一つにすることはない。夢は一つではなく、多い方が互いにからまって実現する可能性が高くなる。夢をあきらめない秘訣は、自分の夢を外にどんどん語り続け、そうすると同じことをやったことがある人が自然に寄ってくる。やりたいことはやったことがある人とだけとは語りあえるので、『ぼくはこうやったよ』『それをやっている人は他にもいるよ』とだんだんとその和が広がっていく。世界には必ずそういう仲間がいるので、あきらめるのはもったいない」と言っています。
〇また「夢は見るものではなく、叶えるもの」という言葉もよく聞きますが、これはどちらかというと結果を残すという面に重点が置かれており、大谷選手のような誰もが認める成果を全員が達成できるわけではありません。むしろ昨日の「努力(ゆめ)」のように、コツコツコツと取り組んでいく過程に、今までに自分になかった考え方や能力が身についてくるのだと思います。そしてそのことが次の夢に向かっていくときに本当に役に立っていきます。
〇本校のテーマである「学び続ける富勢中」につなぐために、私も生徒に話をする際には、具体的な人の名前を紹介するように心がけています。そして日頃から本や新聞を読み、自分とは違う考えを持った人や素晴らしい実績を残している人から、その苦労や失敗談から学ぶこともその一つです。
須藤昌英
3月15日(水)努力努力(ゆめゆめ)
〇ここまで60年近く生きていて、初めて知ることもまだまだあります。先日もあるyoutube 動画を観ていて、「努力努力」と書いて「ゆめゆめ」と読むことを知り、久しぶりに「目から鱗が落ちる」とはこういうことかと感じました。
〇これまでも古い言い回しとして、「ゆめゆめ怠ることなかれ(決して怠ってはいけない)」などと、後ろに禁止の言葉をつなげて、「決して~するな」の意味で使われているのは知っていました。ただまさか「ゆめゆめ」を「努力努力」と書くとは思いませんでした。
〇「努力」とは、目の前のことを心を込めて行うことですが、この言葉から私の受ける印象は、どちらかというと親や先生から「努力しなさい」と言われてきたこともあり、とても窮屈で強制されるイメージです。昨日の「厳しくするか甘やかすか」の中では、外的コントロール(ほかから押し付けられた)に近いような気がします。同様の意味で私などは「精進」という言葉の方が「自ら(内的コントロール)」のイメージがもてるので好んで使います。こちらはもともとは仏教に由来していますが、日本語には仏教から影響を受けた言葉が多く、例えば「挨拶」「玄関」「経営」など普段から生活の中で使用されています。
〇まさに学校は生徒たちが「努力(精進)するための場」であり、失敗をしてもその原因を明らかにしながら、次の成長へつなげていくところですので、生徒にはチャレンジする気持ちをもってもらいたいと常々思っています。
〇「努力」と聞くと、まずアメリカの発明家(蓄音機や白熱電球など)の「トーマス・エジソン」の言葉が有名です。昔伝記を読みましたが、彼は大変な努力家で、新聞を売りながら自分でコツコツと貯金し、自分の実験室を作ったそうです。そのエジソンが「努力」について、「天才は1パーセントのひらめきと99パーセントの努力である」という言葉を残しています。
〇また相対性理論でノーベル賞を受賞した理論物理学者の「アルベルト・アインシュタイン」にも多くの格言がありますが、その中に「天才とは努力する凡才のことである」というものがあります。天才のように思われがちなアインシュタインですが、実際は努力によって多くのアイデアや真理を見出した人でした。
〇実は冒頭のyoutubeは、テレビなどのメディアにも過去に出演したことがありしかもアーティストでもあるお坊さんが、自分のお寺から毎朝発信していることを知って興味をもち、たまたま観たときに話をされていた内容です。平安時代初期の僧だった空海(真言宗の開祖:別名弘法大師)は、当時の日本におけるケタはずれの天才であり、書の達人、土木技術のエキスパートなどの複数の実績があります。空海が若い頃に遣唐使として中国に渡り密教について学び、帰国する際に、中国人の師匠から、「早く日本に帰って密教を伝えなさい・・・努力努力(ゆめ ゆめ)つとめよ」と言われたそうです。その後日本中で活躍されたことは有名であり、学区にある布施弁天東海寺にもその伝説があります。
〇「努力する」という考え方は、日本人の精神性に深く浸透しているもの、今の生徒には「努力しなさい」というよりも「自分の好きなことを究めなさい」と言った方がよいと感じます。好きなことはやっていれば楽しいし、楽しいから「夢中」になれるし、好きだからそれに熱中できて「努力」が継続できるからです。それが本来の「ゆめゆめ」の真意だと感じました。
須藤昌英
3月14日(火)厳しくするか?甘やかすか?
〇先日、富勢中ではありませんがある知り合いの保護者からお子さんに関する相談を受けました。「家庭内で中学生ともなると、親に言われことにはすぐに反発します。自分の部屋の片づけや家事の手伝いをすることなども注意するだけでなく、できるだけ本人の意思を尊重しようといろいろ手を変え品を変えやってみるのですが、なかなかうまくいきません。どうしたらよいでしょうか?」
〇おそらくその方の「うまくいきません」の本意は、「うまくコントロールできません」だと聞いたときに思いました。さらにコントロールするために、日頃から躾(しつけ)が大切で、その躾の対極が甘やかしなので、「甘やかしをすることなく、躾としての子どもの自主性を引き出す加減が難しい」という相談だった気がします。私もその気持ちはよく理解できます。「我が家でもそういうことがあったな」と昔を思い出しました。ただ同時に「躾によって中学生をコントロールすることは本当に出来るのでしょうか?」とも疑問に思いました。
〇躾(規律のコントロール)に関しては、20年前くらいに読んでいた本(アメリカのトマス・ゴードン博士著の「自立心を育てるしつけ:小学館」)が参考になるので、引用します。
「コントロールも実は分ける必要がある。一つは外的コントロールで、『ほかから押し付けられた』ものである。もう一つは内的コントロールで、自ら自分に課すものだ。他人がコントロールしてしつけるか、自分がコントロール(自己統制)して規律をもつ(自己規律)かの違いである。 (略) 自己規律のある青少年は必ず、かなりの自由を与えられている。なぜなのだろうか。それは彼らが自分で選び決定する機会をずっと与えられてきたからだ。大人に邪魔になる行動を子どもがコントロールして制限することを学ぶ、そうなるのは、大人が子どもに対して、同じ配慮をした場合だけだ。子どもが自己規律によってルールに従う、そうなるのは、自分にかかわるルールを決めるとき、子どもも一緒に参加する機会が与えられた場合である。子どもを一方的にしつけようとしても、規律を守る子どもになるわけでない」
〇また「コントロールせずに、子どもが行動を変えていくため」という章には、「子どもの行動を受容できず、大人が何を感じているか。そのことを非難がましくないメッセージで、子どもに話しかける、これが『わたしメッセージ』だ。」とあります。例えば『(あなたが)テレビの音をそんなに大きくするのをやめなさい』と注意するところを、『テレビの音がそんなにうるさいと、(わたしは)家族と話が続けられないわ』と変えて言ってみます。前者は子どもを批判する目的で、その行動をしている主語は「あなた(子ども)」ですが、後者はその行動で困っている「わたし(親)」を主語にして、非難(善悪の判断、価値判断、強制)するわけではなく、気持ちをストレートに伝えています。
〇さらに引用すると、「わたしメッセージを使うと、子どもは他人のことを考えずにしていた自分の行動を、変えたくなりやすい。子どもは自分の行動を抑えつけられたり非難されたりしない。そんなとき子どもは、自分の行動によって誰かが問題を抱えていると聞くと、より積極的に手助けし、自分の行動を修正しようとするものだ」「ふつうの会話はあなたメッセージに満ちている。これに気づくと、多くの大人はまずショックを受ける。自分は心にあることを、正直に話していたと思っているからだ。『私がいつも臨んでいたのは、自分の子どもに罪深いと感じさせることだった』」
〇私も担任だったとき、クラスの生徒を注意する際に、「生徒自身が間違っていることを深く反省させたい」と心の奥で望んでいたことを思い出しました。でもそれでは、当の本人は「何だか先生は怒っているみたいだけど、まあ言わせておけばいいか」程度しか感じていなかったことだと今は思います。冒頭の相談に対しても、そのような昔の私の失敗談をお話ししました。答えは、厳しくするのでも甘やかすのでもなく、こちらの気持ちを包み隠さず話すことかもしれません。そして子どもの自主性を信じていくには、こちらに心の余裕が必要だと感じます。
須藤昌英
3月13日(月)卒業式を振り返って
〇先週金曜日の第76回卒業式は、保護者の皆様にご来校いただき、滞りなく行うことができました。ありがとうございました。暖かったので式が終わり、校庭で楽しそうに写真を撮っている様子を見て、微笑ましく感じました。学校行事で最大かつ最重要な卒業式を終え、その日の夕方はホッとしましたが、もう一度週末に一人で振り返ってみると、いろいろな気持ちがわいてきました。
〇まずこの一年間を通して、卒業生が最上級生として一生懸命取り組んできた姿を間近で見てきましたし、全校のリーダーとして、在校生の手本となるように、様々な活動で努力し顕著な実績を残してきたことがとても印象に残っています。卒業生は、新型コロナウィルス感染症のパンデミック(世界的流行)による緊急事態宣言下で、入学前の2カ月間、自宅での待機を余儀なくされ、入学式も午前と午後に分けるなど、大きな制約の中で行われました。さらに誰もが経験したことがなかったとはいえ、コロナ感染防止に関することが手探りで様々に行われ、今思うと世の中全体が「混乱状態」であったと思います。そのような中で、卒業生は中学校生活を始めざるをえませんでした。またその後も自宅学習やオンライン学習を行ったり、学校行事や部活動等も大きな影響を受けました。この状況は、成長段階にある卒業生の心理にも窮屈さや閉塞感などの影を落としたと想像しています。人生経験のある大人であれば、当時の状況を論理的に理解しようとすればできたかもしれませんが、思春期の生徒たちはそういうわけにはいかなかったと思います。「何を信じればいいのか、どれが本当のことなのか?」と逡巡したに違いありません。
〇卒業生が生まれた十五年前の二00七年・二00八年には、昨年亡くなった安倍元首相が任期途中で突然辞任したり、アメリカが発端となった世界金融危機(リーマンショック)が日本にも大きな影響を及ぼしたりしました。その後も地球的規模で様々な問題が発生し、現在も世界のあちこちで対立や紛争が勃発し、地震や津波などの天変地異が絶え間なく起きています。グローバル化の進展や技術革新の加速によって、私たちは、社会、経済、環境など様々な分野において、前例のない変化に直面しています。昨年ロシアが隣国のウクライナへ侵攻したことも、遠い国の出来事ではなく、世界における日本の役割の見直しが求められたり、国内の物価が高騰したりするなど、私たちの生活に直接の影響があります。
〇しかしこのような状況だからこそ、卒業生は今まで「当たり前」であったすべてのことを一から見直したり、「これは何のためにやるのか」を意識するようになったりと、アフターコロナの時代で生きていくための資質や能力を身につけたと思います。実際に卒業生をみていると、できるのが当たり前ではなく、できることに喜びと感謝の心を持ち、さらに周囲の人に明るく接している様子が多く見られました。さきほどのように、心理的には大変なことも多かったはずですが、その分頼もしさを増していると私は見ています。
〇卒業証書授与では、一人ひとりに「よく頑張りました」「立派になりましたね」「体に気をつけて」「活躍を期待します」「高校生活を楽しんで」などと声をかけ、手渡しできました。受け取る表情は様々でしたが、心中は晴れやかだったと思います。また校長式辞の中で、「主体性をもつとはどういうことか」をメインテーマとして、話をさせてもらいました。今後の卒業生のさらなる成長を祈ります。
須藤昌英
3月10日(金)令和4年度第76回卒業証書授与式
3月9日(木)卒業式前日準備
〇本日の卒業式に向けて、会場となる体育館と卒業生の各教室を、在校生が分担して清掃したり、椅子を並べたり、装飾したりしてくれました。明日在校生は、自宅学習になります。
須藤昌英
3月9日(木)卒業式予行練習と3年生最後の給食
〇昨日の午前中、保護者席となるスペースに在校生(1・2年生)に座ってもらい、卒業式予行練習を行いました。今年は特に、証書授与の場面で、ステージに向かって左の壁に「クラス別の卒業生名簿」、右の壁に「卒業生の正面からの表情」をそれぞれプロジェクターで映写します。卒業生にはそれをあえて事前に伝えていませんでしたので、少し緊張感をもって真剣に取り組んでいました。
〇当日保護者の皆様には、正面のステージ上に立つお子様、左の「生徒名簿」、右の「胸上の表情」を交互に見ていただきたいと思います。
〇1、2年生も一昨日の3年生を送る会の時とは違って、フォーマルな式の雰囲気を感じ、厳粛な顔つきで卒業生の一挙手一投足を見つめていました。本日の午後に、在校生を中心に体育館の会場準備を行います。
〇3年生は中学校最後の給食でした。通常の高等学校や大学等には食堂があることはありますが、給食施設はありませんので、もしかしたら「人生最後の給食」になる可能性も高いです。私からは「もしまた給食を食べたければ、将来教員になってね」と何人かの生徒には話しました。
〇鹿野栄養士の話では、「海老フライは1600本揚げましたが、1回にフライヤーで45本弱しか上げられないので、調理員さんは朝から大変でした」と聞きました。海老フライも1本10㎝を超えてしかも太さもあったので、私などは3本を美味しくいただきましたが、午後に少し胸やけを覚えたくらいです。でも中には一人で5~6本食べた生徒もいました。みんな満足そうな顔をして食べていました。
須藤昌英