校長雑感ブログ

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4月10日(日)地域部活動への移行について

〇文部科学省は、休日の部活動を令和5年度以降段階的に地域へ移行していく方針を示しています。具体的には、休日の指導や大会への引率などで教員をサポートする方々を配置したり、拠点校に一つの学校だけでなく、複数の学校の生徒が集まり、野球やバスケット、吹奏楽などの活動を一緒に行ったりすることが想定されています。その背景には、学校(教員)の働き方改革の一環としての方策として位置づけられていますが、実現するためには、幾つかのハードルがあるのも事実です。

〇そもそも学校の部活動は、スポーツや音楽などに興味・関心のある同好の生徒が参加し、教師等の指導の下、学校教育の一環として行われ、我が国のスポーツや音楽などの振興を大きく支えてきました。また、体力や技能の向上を図る目的以外にも、異年齢との交流の中で、生徒同士や生徒と教師等との好ましい人間関係の構築を図ったり、学習意欲の向上や自己肯定感、責任感、連帯感の涵養に資するなど、生徒の多様な学びの場、そして活躍の場として、教育的意義を有したりしています。

〇しかしながら、今日においては、社会・経済の変化等により、教育等に関わる課題が複雑化・多様化し、学校や教師だけでは解決することができない課題が増えています。とりわけ、少子化が進展する中、部活動においては、従前と同様の運営体制では維持は難しくなってきており、学校や地域によっては存続の危機にあります。

〇将来においても、全国の生徒が生涯にわたって豊かにスポーツや音楽などを楽しむ資質・能力を育む基盤として、部活動を持続可能なものとするためには、各自のニーズに応じたスポーツ・音楽などを行うことができるように、抜本的な改革に取り組む必要があります。

〇柏市においても、教育委員会が昨年度からある中学校を指定し、その学校のいくつかの部活動に、NPO法人からコーチを派遣する試行的な取組を行っています。その成果を今年度中にまとめた上で、来年度から市内で段階的に、生徒にとって望ましいスポーツや音楽などの環境を構築するという観点に立って、部活動が地域、学校、競技種等に応じた多様な形で最適に実施されることを目指しています。

〇本校といたしましても、市の方針を受け、教育委員会と連携し、地域や保護者の意見を伺いつつ、今後の方向性を検討してまいります。

 須藤昌英

4月9日(土)「教えることの難しさ」について

〇平成4年に亡くなられた教育者(哲学者)の森信三先生が書かれた『修身教授録』という本があり、毎年この時期、取り出しては読み返しています。

〇その中で、「人を教えるということは実は教える者自身が常に学ぶ事である。」と明言されており、「教えることは学ぶこと」とあることが、若いころから私の頭にあります。

〇森先生は、「教科の内容を教えるだけでも、実に容易ならざらる準備と研究を要する」のですが、「教育の眼目である相手の魂に火を付けてその全人格を導くということになれば、私達は教師の道が、実に果てしないことに思い至らしめられるのであります」と書かれています。実に、「一人の人間の魂を目覚めさすと言うことは至難中の至難」なのだと思います。

〇では、この至難のことにどう対処したらよいのか、森先生は、「それに対処する道はただひとつあるのみであってそれは『人を教えようとするよりも自ら学ばねばならぬということであります』」と述べられており、「学び続ける富勢中」を今年のテーマにしようと提案した私自身が、襟を正していかねば・・と感じています。

須藤昌英

 

4月8日(金)第76回入学式

〇本日10時より、新入生174名を迎え、第76回入学式を無事に挙行できました。来週から全学年がそろっての生活になります。

【入学式での校長式辞】

 今年の桜は、例年よりも開花してから散るまでに時間があり、今日も君たちが登校したとき、正門の桜吹雪は見事でしたね。時々朝晩の寒の戻りがありますが、花壇の花々も咲き誇り、着実に春の訪れを感じる今日の良き日に、保護者の皆様のご臨席のもと、本校第七十六回入学式を挙行できますことは、まことに喜ばしく、高いところからではございますが、厚く感謝申し上げます。

 さて、百七十四名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。そしてようこそ富勢中学校へ。君たちの入学を在校生及び我々教職員一同、心より歓迎します。今、担任の先生から呼名され、返事をしていた君たちの姿を見ていましたが、ドキドキする不安とともに、ワクワクする期待も入り混じっていることがよくわかりました。今の初心を忘れないでください。来週からは、君たちの先輩である2年生や3年生との一緒の生活が始まります。でも彼らもそれぞれ1年前、2年前は全く同じ気持ちでこの場にいたのです。

 人間にとって「経験する」ことが最も大切です。今の不安は、優しい先輩や親身になって指導してくれる先生方によって、すぐに安心感に変わります。しかしそれは、先輩や先生方もみんな同じような経験を過去にしてきたからこそ、君たちの不安が手に取るようにわかるのです。

 本校は昭和二十二年に創立しましたので、第1回入学生は、現在九十歳くらいになっています。それ以来、学習をはじめ学校行事・部活動に、これまで一生懸命に取り組んできた富勢中の歴史を、これから皆さんたちと一緒に引き継ぎ、さらに、発展させていきたいと思っています。

 今、毎日のように、ウクライナでの悲しい出来事をニュースが伝えています。平和な暮らしが一瞬して奪われたり、多くの人が命をおとしたりしています。確かに遠い国のことなのであり、実感としてその悲惨さはわかりにくいですが、過去にはもともと同じ国であり、しかも今は隣合わせの国が争っている状況を、決して私たちは「他人事」や「傍観者」でいてはいけないと思います。昨日、学区を歩いていたら、青と黄の2色のウクライナ国旗を玄関先に掲げている御宅がありました。おそらく「ウクライナ頑張れ」のメッセージだと思います。

 私も含めた大人の多くも、この紛争の歴史的背景や現状について、分からないことが多いのです。「どうしてこうなってしまうのだろう」と毎日首をかしげてばかりです。ただ、大切なことは、この現実から目をそらさずに、情報を整理し、「自分ならどうするか?」といつも「考え続けること」だと思います。でもその考えは決して「正解」ではありません。他の人は違う考えをもっています。であるならば、それをお互いに話し合い、相手を理解し、一緒に何ができるかを模索していきましょう。ともかく同じ人間として、一日でもはやく紛争が終わり、亡くなった方のご冥福をお祈りし、生きている人が希望をもてるようにと願います。

 毎日学校で友達と会えること、好きな学習やスポーツができること、おいしい給食が食べられること等すべてが、「当たり前」ではなく、たまたま現在平和が保たれている日本という国に生まれたからなのです。そういう視点で物事を見て、できることに感謝しながら日々を過ごしていると、やがて「自分たちだけ幸せであればいい」ではなく、「世界の平和に自分として何ができるのか」を考えられ人になれます。

 入学にあたり、みなさんに一つお願いがあります。富勢中は「学び続ける富勢中」を今年度から合言葉にしていこうと思います。人間は皆、生まれながらにさきほどの「考える」や「学ぶ」ということから逃げられない生き物です。そして「学び」は決して完結することはありません。大人になっても、常に「学び続ける」ことを運命づけられて生きていくのです。中学校はそのために、「学び続ける資質や能力」を身に付けるところであり、来週から始まる授業や委員会・部活動・学校行事など、すべてが「学びの場」です。よく世間一般には、学んだ結果を「学力」といったりしますが、本来「学力」とは「学」と「力」のあいだに「続ける」という字が入って、「学び続ける力」のことなのです。

 そこで「学び続ける」時に大切な3つのポイントをお話します。まず、わからない事は質問しましょう。その際、無闇に「わからないから教えてほしい」ではなく、「自分はここまでは知ってる(わかっている)が、ここ(ここから)がわからない」という今の自分の状況を把握してください。そうすれば、もしその質問にその時は明確な答えが返ってこなかったとしても、その後また「問い(学び)続けて」いけばよいのです。そしていつか自分の納得する答えにめぐりあえる時が来ます。

 2つ目は、本を読むことです。本を読むことの良さは、大きく2つあります。新しい知識や考えを獲得したり、自分では決して経験できない世界や人生を疑似体験したりできることです。そして本を読む時私たちの中には、著者の言いたいことを理解しつつ、それを読んでいる「自分と対話する」という心理が自然と働きます。これが学びを深めることにつながります。本校には明るくて使いやすい図書室があります。気軽に利用してください。

 3つ目は、自分の思い通りにならない時に、立ち止まって考えることです。人生では、思い通りになる時と、思い通りにならない時が交互にやってきます。ただし後から振り返ってみた時、人間が大きく成長できるのは、むしろ思い通りにならなかった時です。その時こそ、自分のあしもとを見つめ、逃げずに「自分はどうしてこれをやろうとしているのか?」「どうやったらうまくできるだろうか?」と自分に問い続け、家族や友達、先生方の力を借りながら自分なりの答えを求め続けてください。

 世の中はあらゆる分野で飛躍的に進歩を続けており、それに対応するには、いわゆる「何を知っているか」だけではなく、「何ができるのか」が問われてきます。中学校の授業では、先生の話や友達の考えを聞いた上で、自分ではどう考えるかを話し合ったり、発表したりすることを大切にしています。それを3年間積み上げていきましょう。授業に積極的に参加することを期待します。

 最後に、中学校生活を充実させるには、生徒と生徒、生徒と先生が支え合う関係を築くことが必要です。「気持ちのよい挨拶をされた」「不安な時に励まされた」「悩みを聞いてもらえた」など、友達や仲間に勇気づけられ、次の一歩を踏み出せるのが人間です。

 保護者の皆様、本日は、お子様のご入学、誠におめでとうございます。本日より大切なお子様をお預かりいたします。今後三年間、皆様のご期待に応えるべく私ども教職員一同、誠心誠意全力を尽くしていく所存です。特に、気になる点や相談等がありましたら、ご遠慮なく申し出てくださるようお願い申し上げ、式辞といたします。

                        令和四年四月八日  柏市立富勢中学校長  須 藤 昌 英

 

4月7日(木)入学式前日準備

〇明日の入学式に向けて、在校生を中心に、メイン会場の体育館と各教室の清掃と飾りつけを行いました。私もこれまで市内で5校の中学校に勤めたことがありますが、これほど準備をスムーズに、しかも嫌々ではなく楽しそうに、力をあわせて行っていた学校は、記憶にありません。「心が優しい生徒が大勢いるな」と思いました。

〇明日は、在校生は出席しませんが、教職員一同、心を込めて新入生をお迎えしたいと思います。