校長雑感ブログ

2025年10月の記事一覧

10月17日(金)東葛駅伝壮行会

〇明日は第79回東葛飾地方中学校駅伝大会が行われます。そのために全校生徒で選手を応援する「東葛駅伝壮行会」を、昨日の6校時に実施しました。

〇まず駅伝部顧問の千葉教諭より、選手紹介とコース(全32㎞)説明をしました。

〇1区を走る選手に、校長から「襷(たすき)」を渡しました。襷には赤地に金色の刺繍で「柏市立土中学校」と書いてあります。このタスキを10区までつなぐのが最終的な目標です。

〇次に各選手の決意表明がありました。これまで練習してきた気持ちや当日の目標タイムを堂々と発表していました。

〇3年の工藤さんが全校生徒を代表して、激励の言葉を送り、最後に校歌を歌いました。選手も神妙な顔で聞いていました。

【東葛駅伝壮行会での校長の話】

〇日本では古来から中央と地方の情報伝達の方法として、飛脚が文書などを運んでいました。江戸時代には飛脚の健脚を競うコンテストがあったらしく、優勝すると皆からの憧れの的になったとの記録もあります。

〇襷(たすき)は、武士が真剣勝負するときに両肩にすることからきているといわれており、そこから1本のたすきをつなぎゴールを目指すことが、日本人には性に合っていたのかもしれません。

〇駅伝は日本発祥のスポーツで、その他の相撲、剣道、柔道、空手等と同じく世界に知られており、最近は「EKIDEN」でと書けば世界に通じるようになっています。

〇近代駅伝の歴史は、約100年前に、京都から上野(514km)を昼夜かけて走り、3日間で競い合ったそうです。

〇東葛駅伝は、今年(令和7年)は昭和100年であり、昭和23年(12校参加)から始まっているので、77年の歴史があります。土中が昭和22年創立ですから、ほぼ同じ時期にスタートしています。当時の中学生は、現在90歳くらいになっているのを考えると、歴史を感じます。

〇土中は過去に、優勝三回(昭和50、54、55年)、準優勝三回(昭和51、52、53年)と強豪校として、その名前が知れ渡っていました。その当時私は柏中学校の生徒でしたが、駅伝だけは土中にかなわなかったことを今でも覚えています。

〇東葛飾6市(柏市 松戸市 流山市 野田市 鎌ヶ谷市 我孫子市)から75校が参加します。箱根駅伝でさえ20校ですから、その3倍以上の出場校数です。

〇東葛駅伝は日本で唯一(中学生が一般公道を白バイが先導で、一人約3kmを10人で約30kmを走る)の大会で、毎年沿道には多くの人が応援に来ています。

〇私が思うに「駅伝の魅力」は、ルールがシンプルだからこそドラマがあり、ごまかしがきかない(選手どうしの駆け引きが難しい)ことです。また「駅伝の魔力」みたいなものもあり、それはその日の選手の体調や心の状態に大きく左右されることが多く、最後まで結果はわからないことです。

〇明日、私も自分の白バイで応援に行きます。秋の空の下を各選手が無事に完走できることを祈ります。

須藤昌英

10月16日(木)モチベーションと上手に付き合う

〇毎月学校には、いろいろな小冊子の寄贈があります。各団体が発行しているもので、せっかく送料もかけて送ってくださっているので、時間がある時は目をとおすようにしています。

〇PHPという月間冊子の7月号に、臨床心理士の関谷裕希氏が、表題の文章を投稿しています。一部を要約して紹介させていただきます。

やる気やモチベーションというと、自分の心の問題のように思えるかもしれませんが、私たちのモチベーションは、置かれている環境や、そのときどきの状況の影響を受けています。たとえば、読書感想文にやる気が出ず、結局ギリギリまで手をつけられない場合、課題の内容があいまいすぎることが、その一因かもしれません。ただ「感想を書け」と言われるのではなく、「主人公の考え方や行動に共感できた部分とそうでない部分を、理由もあわせて書いてください」と言われたら、とりかかりやすくなるでしょう。(途中略)こんなふうに、やる気やモチベーションが上がらないのは、あなたのせいではありません。モチベーションの仕組みを知ると、もっと自分のモチベーションと付き合いやすくなります。

何かに取り組むときのモチベーションの状態は次の4種類です。

【①やる気なし】

【②仕方なくやる】

【③大切だからやる】

【④楽しいからやる】

普段の活動を振り返って、自分のモチベーションはどの状態かな?と考えてみてください。①➡②、②➡③、③➡④とモチベーションを変化させるコツを紹介します。

【①やる気なし】➡【②仕方なくやる】

とにかく最初の行動を起こすために、「行動スイッチ」を押す必要があります。おすすめなのは、「もっと頑張らないと!」と自分をアメとムチで奮い立たせるよりも、親友を励ますように、自分にやさしい気持ちを向ける方法です。心理学では、セルフ・コンパッションと呼ばれます。やる気が出ない時に、「こんな状態ではダメだ!」と自分を責めるのではなく、「やる気が出ないこともあるいよね」「モチベーションを上げたくても上がらないのも苦しいものだよね」と自分に声をかえるのです。少しホッとした気持ちになって、モチベーションが自然と回復してきます。

【②仕方なくやる】➡【③大切だからやる】

「大切スイッチ」を押すために、自分がやっていることの価値や意味に注目します。たとえば、今やっている勉強や仕事が、五年後や十年後の自分にどう役立つのかを考えてみると、見え方が変わってくるかもしれません。毎日の掃除ならば、「クラスみんなが気持ちよく過ごせる環境づくり」につながっていると思うと、大事な仕事だと認識し直せます。

【③大切だからやる】➡【④楽しいからやる】

ここでは「喜びスイッチ」を押していきます。注目するのは「自分らしい楽しさ」です。「楽しいといっても、その種類は人それぞれ違います。だからこそ、自分に合った「楽しさ」のツボを見つけることが大切です。そのツボを日々の活動や学習に取り入れるのです。そう言われても、「自分らしい楽しさ」ってどうやって見つけるの?という方は、小さいころに好きだったことをヒントにしてみてください。たとえば「小さいころ、昆虫採集が好きでした」という人が5人いたとしても、実は楽しさのポイントがみんなバラバラです。

・「採集するのが好き」➡何かを探して手に入れるのが楽しい

・「こんな昆虫がいたと誰かと共有するのが楽しい」➡発見を伝えるのが好き

・「昆虫の絵を描くのが好き」➡観察して表現するのが好き

・「標本にしてコレクションするのが楽しい」➡体系的に整理・観察するのが好き

・「飼って育てるのが楽しい」➡生き物の成長を見るのが好き

このように、同じ「好き」「楽しい」でも、そのツボは人によって異なります。自分らしい楽しさのツボを探って、それを学習や活動に取り入れることで、「楽しいからやる!」という感覚が生まれるのです

〇まず、「やる気やモチベーションが上がらないのは、あなたのせいではありません」というところでホッとした気持ちになります。いくら頑張ろうと思っても、思いとおりにならないことは必ずあります。そんな時は私も、「自分の意思が弱いからだ・・」と自分を責めるようにしてきました。

〇しかしそういう自分も認め、自分にもやさしい気持ちを向ける「セルフコンパッション」こそ、次の新たなやる気やモチベーションを引き出すためには不可欠なことだと再認識できました。

〇やはり理想は4段階の最後である「楽しいからやる」だと思います。説明では昆虫採集が例として挙げられていましたが、好きなことは人それぞれみんな違うので、自分にあてはめて考えると良いと思います。

〇私にあてはめて考えてみましたが、40年続けてこられた教員という仕事もここ数年になってやっと、【大切だからやる】から【楽しいからやる】になってきたか?と思います。

〇この二つの差は、前者は教員としての義務的な気持ちがまだありますが、後者はもちろん教員としての責任感はベースにもちつつ、純粋に生徒たちの成長を実感できることの楽しさの方が大きい気がします。

〇生徒たちにも「モチベーションと上手に付き合うには?」について、機会を見つけて話したいと思います。

須藤昌英

 

10月15日(水)「暇」と「退屈」の違い

〇先日の夕方から夜にかけて、我が家に3回も宅配業者が訪れ、玄関先に「置き配」をしてくれました。ご存知の通り「置き配」とは、配達員さんが直接手渡しする代わりに、玄関前や宅配ボックスなど指定した場所に商品を置いてもらう非対面型の配達サービスのことです。

〇従来は住民が不在の場合、配達員が荷物をいったん持ち帰り、再度配達していましたが、あまりにもその非効率さが問題となり、もし在宅していなくても受け取れる方法を模索していたようです。

〇「置き配」が認められて、再配達の手間が省けるとともに、各自ライフスタイルに合わせて便利に荷物を受け取ることができます。

〇我が家も家族が別々にネットで「ア〇〇ン」に注文しますので、先ほどのような一晩に数回も別々な荷物が届くことがあります。注文する物は、水などの日用品、身の回りの雑貨、本などです。

〇私も最近は本の購入をする際に書店に行くことが減り、ネット注文が多くなりました。それまでは書店に出向き多くの本の中から目当ての本を探していました。また、もし欲しい本がなくても取り寄せを依頼し、数日後にまた取りに行くのが当たり前でした。

〇しかし今はネット注文で、はやい場合には翌日中に自宅に届くので、どうしても以前のように書店まで行くことを避けるようになっています。それでも書店には行けばそれなりの魅力があるので、まったく行かないわけではありません。

〇先日に届いた荷物の一つは私が注文した本で、ただ2冊だけだったので、こじんまりとした包装で、玄関先にちょこんと置いてありました。正直に言えば「便利だけど何回も配達してもらって申し訳ないな」という気持ちが一晩消えませんでした。

〇昨日も東京大学大学院の國分功一郎教授の著書『『暇と退屈の倫理学』を引用し、私が感じた「消費」と「浪費」の違いを書きました。その題名のとおり、國分教授は「暇」と「退屈」の違いについても、現代人が豊かさから得た「暇」を持て余し、それを消費社会が「退屈」の気晴らしに利用している状況を哲学者として分析しています。

〇一部を引用させてもらいながら、「暇と退屈の区別」について、自分が感じていることを書きます。

〇まず「暇」は客観的に何もすることがない状態であり、例えば私が書店に行く時間がなくなったことで、自宅にいながらも読みたい本が受け取れ、さらにその本を楽しく読むなどの時間的な余裕が生まれたことです。これは自分にとっては好ましいことであり、少なくとも不快感とはほど遠いものです。

〇それに対し「退屈」は、「暇」がもたらす主観的な不快感であり、もし私が先ほどように得た時間的な余裕を、「退屈」を避けるために、ダラダラとスマホで動画等を観る娯楽に興じていたとすると、結局最後には、「何となく無駄な時間を過ごしてしまったな。その分本でも読めば良かった」などと後悔(不快感)を抱くようなことです。

〇國分教授は、食事中や休憩中にスマホを何となくいじる(ながらスマホ)時間などは、「退屈を紛らわせるための【気晴らし】に過ぎず、それに依存し続けても、本当の満足感を得られない」と指摘しています。さらに、「自分自身の頭で考え、退屈との付き合い方を編み出していくことが、各自の【暇と退屈の倫理学】を構築する鍵となる」とも述べています。

〇現代人は仕事や家事の一部を機械やロボットが代役してくれるようになった分、時間的な余裕(暇)を持てるようになりました。ただその余裕を、自分が本当にやりたいことを味わうようにすれば決して「退屈」を感じることはありません。

〇もったいないのは、その暇を意識もなくながらスマホなどをして何となく過ごすことだと思います。これはむしろ子どもよりも大人の方が余計に気をつけないといけない・・かもしれません。

〇同居している二男は、親子ネコがトレードマークの宅配会社に就職して数年が経ちます。彼と前記の再配達の問題なども時々話をしますが、「会社も依頼者の要求にできるだけ応えるように改善策を考えているけど、人手が足りないことなど課題も多い」と教えてくれました。

〇それ以来、無暗にネット注文することなどは止めるようにしています。

須藤昌英

【「暇と退屈の倫理学」は高校の教科書に掲載されました】

10月14日(火)「消費」と「浪費」の違い

〇三連休の日曜日、朝自宅を出てすぐにスマートフォンを道路に強く落下させてしまい、慌てて拾い上げました。その瞬間に嫌な予感が走りましたが、やはりいくら電源を入れようと試みても、画面は真っ黒のままで全く反応しません。

〇それでも着信音は鳴るので外とはつながっているらしく、可能性が低いのはわかっていましたが、1時間おきくらいに再度電源を入れるなどの「悪あがき」をしていました。でもどうやら液晶画面が破損したようでした。

〇その日は新潟県まで行く予定があり、帰るのは翌日でした。本来ならばすぐに携帯電話ショップに行きたいところでしたが、仕方なくネット予約で翌日の帰宅後に店に行くようにしました。

〇久しぶりにスマホを見ない2日間でしたが、どうしても「緊急の連絡が入っていないか?」との心配だけは消えず、常に不安でした。普段からどれだけスマホに依存してきたことが、身に染みて実感できました。

〇そんな時、本校の卒業生である東京大学大学院の國分功一郎教授が、その著書『暇と退屈の倫理学』の中で、「消費」と「浪費」の違いについて書かれていることをふと思い出しました。この夏に読んだばかりでしたので、記憶に残っていたのでしょう。

〇國分教授は、現代の「消費」を、用意された快楽をただ受動的に受け取る行為と批判し、それに代わるものとして「浪費」と「贅沢」を再定義しています。私もそれまでは、「消費」と「浪費」はただの類義語くらいしか認識していませんでしたが、読んだときに「なるほどこういう区別もありか!」と思ったのでした。

〇「消費と浪費の対比」について簡単に紹介させてもらうと、「消費」は、現代社会において、多くの人が暇を持て余し、退屈しないように用意された快楽に身を委ねてしまう状態のことであり、例えば用もないのに常にスマホをいじっていることでしょう。常に受動的で、送られてくる情報をただ受け身の姿勢で受け取っているとも言えます。

〇一方で「浪費」は、「贅沢(ぜいたく)」とも関連していますが、「物を受けとること」に「楽しむ」という能動的な意思が加わった状態のことであり、物事の背景やその本質をより深く知ろうとし、そういう知的な楽しみ方を増やす行動です。「学びながら楽しむ」ことで、より豊かな体験を得ることを目指す姿とも言えます。

〇私たちはグルメとまでいかなくても、たまには美味しいものを食べるなどの贅沢をするときがありますが、その時、満足し幸福を感じたりしながらも、その反面心中で少し罪悪感をいだいたりします。これは「贅沢」が「余剰」であって「必要」とは対立するものとして捉えられているためです。

〇ただ美味しいものを際限なく食べ続けることはできず、「贅沢(浪費)」は満足すると止まります。國分教授はこれを「浪費の対象が食べ物や洋服、その他の【モノ】であるのに対して、消費の対象は【観念】である」と指摘しています。

〇例えば今回私はスマホの再購入を余技なくされましたが、携帯会社ショップでは若い店員さんが、新しい機能やより大きいメモリ量等に関して、様々な「お勧め」の提案をしてくれます。

〇でもその際、「確かにバージョンアップされたスマホを使えば今よりもさらに便利かもしれないが、自分が通常の生活でそこまでその機能を使うのか?」という視点で考え、多くの提案に対し、「それは不要なのでけっこうです」と断りました。

〇スマホの本体価格や月々の通信料を考えると、私にとってスマホはまだ「贅沢(浪費)」の部類に入ります。ただ仕事や外部との連絡等にはもう欠かせないモノであるので、ある意味仕方なく機種変更しました。

〇しかし相手の提案する宣伝文句や聞こえの良い誘惑等に踊らされて、要らないスペックなどまで付けて購入することが「消費」にあたるのではないか・・・と思います。つまり受け身的で、あとで「やっぱり要らなかったか?」となる可能性が大きいと思います。

〇國分教授は前記の著書の中で、「私たちはいつまでも満たされない【消費者】の状態から脱け出し、満足によってとまることのできる【浪費家】にならなければならない」と、提起されています。

〇私は最高グレードではないスマホでも、携帯しているだけである意味満足しています。ただ使い慣れないスマホで、今までと同じことをするにも倍以上の時間がかかるので、昨夜からイライラすることが増えたのが一番の悩みです。

須藤昌英

10月10日(金)ビブリオバトル(知的書評合戦)

〇今から25年位前までは、10日10日と言えば「体育の日」の祝日でした。1964年の東京オリンピックの開会式が行われたことから、1999年までこの日を固定して「体育の日」と呼び、その後10月の第2月曜日に変更されたり、「スポーツの日」と改称されたりしました。

〇私などはまだ10月10日は体育の日のイメージが強いですが、今朝などはやっと秋が深まってきたと感じます。秋と言えば「食欲の秋」「スポーツの秋」とも言われますが、何といっても「読書の秋」が一番知的さを感じます。

〇読書に関して先日、知的書評合戦(ビブリオバトル)が、柏市教育委員会の主催で行われました。本校からは、渕上佳栄さん(2年)と高橋希菜さん(1年)が代表者として参加しました。

〇ビブリオバトルとは、参加者がそれぞれ「1冊の本」を持ち寄り、3分間でその魅力を紹介し、一番読みたいと思った本を「チャンプ本」として投票で決める書評合戦ゲームです。

〇発案者は京都大学の谷口忠大教授で、書籍を通じて人との出会いやコミュニケーションが生まれることを目的としており、小・中学校、高校、大学、図書館、書店など、様々な場所で活用されています。

【ビブリオバトルの進め方】

1 紹介する本を選ぶ:参加者は自分が面白いと思った本を1冊選び、紹介する本として持ち寄ります。絵本、写真集、漫画、雑誌など、どんな本でも紹介可能です。

2 発表者による紹介:発表者(バトラー)は、それぞれ持ち時間3分間で本を紹介します。

3 質疑応答:紹介後、2分間の質疑応答を行います。

4 投票でチャンプ本を決定:発表者を含む参加者全員が、「一番読みたくなった本(チャンプ本)」を1人1票で投票します。

5 勝者決定:最多票を集めた本がチャンプ本となります。

【ビブリオバトル特徴と魅力】

①人を通して本を知る、本を通して人を知ること

ビブリオバトルは、本を紹介する人を通してその人自身を知り、本を読むことでその紹介者の人柄や考え方を理解する機会を与えてくれます。

②参加者全員で楽しむこと

ゲーム感覚で書評を行うことで、参加者同士が書評を通じてコミュニケーションを深めることができます。

③様々な場所で活用できること

学校教育での読書活動や、図書館、書店でのイベント、企業研修など、幅広い場で開催されており、読書離れ対策やコミュニケーション能力の育成にも貢献しています。

④多様な本に触れられること

様々なジャンルの本が紹介されるため、普段手に取らないような本に出会うきっかけにもなります。

〇本校の2名の生徒は、渕上さんが「つくられた心(佐藤まどか著)」、髙橋さんが「余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話(森田碧著)」を取り上げ、それぞれ物語のあらすじや自分の心に一番残った場面、さらに読者に一番読んでもらたい箇所などを紹介しました。

〇プレゼンテーションの冒頭で、二人はそれぞれ次のように語りかけました。

渕上さん「みなさんは、普段一緒に過ごしている友達が、もしも人間でなはく、精巧に作られたアンドロイドだとしたら、どう思いますか?」

髙橋さん「みなさんは、あと余命が一年と言われたら、何をしたいですか?私だったら、友達とたくさん遊んだり、家族と一緒に出掛けて思い出をつくると思います。」

〇いかかでしょうか?もうこれを聞いただけで、プレゼン者の話に引き込まれそうになりませんか?そして「その本を読んでみたい!」となることでしょう。

〇ここがビブリオバトルの一番良いところです。普段の授業では共通の教科書を使用して進めていますので、発表はどうしても教科書を意識して、「正解探し」のようになります。

〇しかしビブリオバトルは、各自が自分で気に入った本を紹介するので、正解はありませんし、その分堂々と自分の意見を表明できるのです。当然他人を気にすることなく、表情にも自信が満ちています。

〇逆を言ううと、授業の発表場面でも教科書の正解探しではなく、「僕は教科書のこの部分を読んで、〇〇だと思った」とか「私は教科書に●●と書いてあったけど、◇◇ではないかと思う」などの視点で発表すれば、ビブリオバトルの良さを取り入れた発表になると思います。

〇変化の激しい社会を生きていく生徒たちには、この自分で読んだり調べたりしたことについて、自分で考えそれを自分の言葉で語れる力が必須となります。

〇今回は国語科における読書の場面で、二人の生徒たちを紹介しましたが、すべての教科ですべての生徒たちが同じような力を育成していけるように今後も取り組んでいきます。

須藤昌英