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2025年5月の記事一覧
5月13日(火)「主体性をもつ」について
〇これまでの40年近い教員人生を振り返ると、中学生にとって「自ら主体性をもつ」ことは最重要な成長課題であると感じています。大きな可能性を秘めている彼らにとって、挑戦したことにたとえ失敗したとしても、その失敗を通して次への意欲を高めていくことが大切です。
〇そもそも人間は、例えれば「紙切れ一枚でも他人から持たされて持っていると思うと重たく感じる」ものです。ところがこれが「家族や信頼できる人の為に持つ荷物となると、どんなに重たい荷物でも軽々と持っていける」となるのではないでしょうか?要するにある行動をするのに、どんな意識をもって取り組むかによって、まったく別の感情をもつことになります。
〇この雑感ブログも、人に言われたから仕方なく、意識として「やらされてやる」となれば苦痛しかありません。「なぜ学校の様子を毎日伝える必要があるのか?」「果たしてどれくらいの人がこれを読んでいるのか?」などと心の中で毎日逡巡し、だんだんとやる気が失せていくと思います。
〇ただ単純に「学校の様子や生徒の成長面を校長の視線から綴っていこう」とだけ意識していれば、見たことや聞いたことをそのまま伝えるだけですので、そんなに負担には感じません。これもある意味「主体性をもってやっていくこと」であり、それによって少なくとも苦痛にはならないことをのぞみつつ、片意地はらずに続けていけます。
〇これまで東京都の公立中学校校長や横浜創英中学・高等学校の校長を歴任し、現在も執筆活動を続けている工藤勇一氏は、著書の中で、次の指摘をされています。引用させてもらいます。
「学校の最上位の目的が『子どもたちに社会で生きていく力を見につけてもらうこと』であり、3つの資質「自律」「尊重」「創造」を育てていくに当たって、もっとも重要なのが、Agency(当事者意識)である。当事者意識をもった子どもたちが社会で出ていくことで、幸福な社会が実現される。しかし、日本の子どもの当事者意識の低さ(これは大人も同様)は、極端な受け身の思考回路となり、『社会や国の未来も自分の幸せも、周囲の誰かがどうにかしてくれるはずだ』『問題が発生したり自分が不幸になったりしたら、それは周囲の大人のせいだ』となってしまう。教育を含め、日本の社会全体がサービス産業化し、大人は子どもに手をかけすぎている面がある。そのことで、子どもによる自己決定の機会がなく、自分で考えたり新しいことに挑戦したりする姿勢が育たない。サービスを過剰に与えられた子どもは、「より良いサービス」を求め、「サービスの質」に不満をもち、『あの先生の授業は教え方が悪い』『あの担任のせいでうちのクラスはまとまらない』と人に原因をなすりつけていく。最も心配なのは、自律できない→自分のことが嫌い(劣等感が強い)→他人を尊重できないの構図ができあがり、社会性どころか自己肯定感まで下げてしまう。」
〇いかかでしょうか?日本人がよかれと思い子どもへ教育してきた負の一面を厳しく指摘されています。学校の本当の役割や子どもの「自律・自立・自主性」を伸ばすためには、何が必要で何が不要なのか?これまでも考え続けてきましたが、校長として今日一日もう一度再考してみたいと思います。
須藤昌英
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