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2025年11月の記事一覧

11月12日(水)個体数の管理しか方法はないのか?

〇今日の午前中は、千葉県教育庁東葛飾教育事務所と柏市教育委員会事務局からお客様が来校し、本校の教育活動を視察されます。

〇先週に行った保護者・地域向けの学校公開と同じく、3校時の授業を観ていただいた後、私から学校経営の概要を説明し、それに対し教育事務所長と柏市教育長からご指導をいただきます。

〇自宅に来客を迎える際には、いつもより整理整頓と掃除を入念にするように、ここ数日は校内の環境整備に努めてきました。

〇連日のようにテレビのニュースでは、各地のクマの出没による被害を伝えています。今年度のクマによる犠牲者が過去最多となったことを受け、先日環境大臣は被害防止に向けた談話を発表しました。

〇自治体のクマ出没情報に注意するよう求めたほか、人の生活圏への出没を防ぐため「科学的データに基づいた上で、クマの捕獲を含めた個体数管理を一層強化する」と述べました。

〇その中で「個体数管理」という言葉が気になりました。簡単に言えば近年増えすぎた熊を駆除し、人間生活に影響が出ない程度に生体数を抑え込むということです。

〇環境省のホームページには、全国でヒグマは約1万2千頭、ツキノワグマは約4万2千頭以上と推計されています。予想よりも多いと感じますが、問題は今も急増している状況です。

〇専門家はクマが増えた様々な原因を指摘していますが、堅果類(どんぐり)の凶作等がその一つとしてあるそうです。クマは山にどんぐりなどがないので、市街地のスーパーや学校近くなどにまで出没します。

〇クマは視力が悪く、景色が白黒にしか見えていないので、建物の入り口がガラスであっても暗く見えることがあり、森の中の暗がりだと思いこんで、入り込む性質があるそうです。

〇昔からの対策として、人とクマのすみ分け(ゾーニング管理)があります。クマの生息域と人の生活圏を区分し、空間的・時間的なすみ分けを図る方法です。

〇ゾーニングの詳しい設定:として、「1 クマを保護するゾーン(コア生息地)」、「2 人間活動を優先するゾーン(排除地域・防除地域)」、その間の「3 緩衝地帯」を設定し、それぞれで異なる管理方針を適用します。これまではこの方法でクマも人間も上手に共存してきたのでしょう。

〇こちらは同じ「管理」でも、合理的な気がします。クマが出ている地域の方々の気持ちを考えると、個体数管理はある意味しかたないのかもしれません。多くの人が襲われて亡くなったり怪我をしたりしていますので。

〇ニュースでは、クマを誘引する残飯や果実などの人工的な食物源を除去し、クマが人里に近づかない環境を整備する取り組みや出没したクマに対して、花火やゴム弾などを使って追い払ったり、農地や集落への侵入を防ぐために、電気柵を設置していることを伝えていました。

〇私も低い山ばかりですが、秋から冬にかけて、埼玉・群馬・栃木・茨城県の山にハイキングに行っていました。もし今度登る際には、クマ除けの鈴やラジオなどで音を出して、クマに人の存在を知らせることも必要かな?と思っています。

〇そもそもクマは「鳥獣保護管理法」によって保護されている野生動物です。この法律により、基本的にクマを無許可で捕獲したり殺傷したりすることは禁止されています。

〇またこれまでやたらとクマを駆除しなかった大きな理由は、自然界の生態系に影響を与えるからです。生態系において熊は、植物や動物(シカ、サケ、マスなど)を捕食する消費者としての役割を担っています。

〇食物連鎖の例として、草→ウサギ→キツネ→オオカミの順に、食べたり食べられたりの関係があります。後半の高次消費者と呼ばれる生態系の頂点がクマやオオカミですが、日本ではオオカミは絶滅したことになっています。つまり現在の日本では、クマの独り勝ち状態とも言えます。

〇個体数管理(駆除)は最終手段であり、理想は駆除が必要ない社会を作ることです。そのためには、個人の意識改革から地域の取り組み、社会全体での環境整備まで、多層的なアプローチが求められています。

〇クマとの共生は確かに難しい課題ですが、そんな時こそ、昨日の「童心を大切にする」ことに関して言えば、中学生などの若い世代のアイデアに期待した方が良い気がします。きっと大人には考えもつかない発想が出てくることでしょう。

〇幸いに本州でクマがいない県は、千葉県だけ?とされています。意外ですがその理由として、房総半島の地形が他のクマの生息地から孤立しており、大きな川(利根川、江戸川)や開発された都市部がクマの移動を妨げているためと考えられています。

〇本校の生徒たちにも「千葉県にはクマがいないから安心!」だけでなく、もし身近にクマが出没したらどうするか?クマも安心して生きていくためにはどうしたらよいか?など、想像力を働かせながらニュースを見てほしいです。

須藤昌英