校長雑感ブログ

2026年1月の記事一覧

1月14日(水)日本人らしさのルーツ

〇昨日、外国人の日本語習得を難しくしている要因が、日本語の豊富な語彙と多様な表現となっていると書きましたが、来日している外国人が日本や日本人をどう見ているのか?も興味深い問題です。よくあるのが「勤勉」「真面目」「誠実」「シャイ(Shy)」等でしょう。

〇ただ一部には、「日本人は冷たいという印象をずっと持っていた。しかし日本に来て、優しい人が多いなと思った」や「世界ではハグして挨拶するのが普通なのにこの国では失礼になることがあることや、会釈があるけど外国人からするとかしこまりすぎて距離がある感じがする」などの印象もあるようです。

〇また一番気をつけたいのは、最近急速に日本人が「外国人嫌い」になっている?ことをあちこちで見聞きすることです。特にネットやSNSで、特定の国や人種に対して、酷い悪口を投稿している人が少なくないようです。一昨年くらいに、アメリカ前大統領のバイデン氏が「日本人は外国人を毛嫌いし、移民を受け入れない」と発言したことは、今でもはっきりと記憶しています。

〇10日のHNK「知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?」という番組で、「日本人らしさはどこから生まれたか?」をテーマにしていました。80分の番組でしたが、興味深く視聴しました。

〇結論を挙げますと、地形学的視点では過去に日本周辺で巨大噴火が何度か発生していることが最近の調査で明らかになってきており、それが遠回りの原因になっているというのです。特に注目していたのが、今から約1万3000年前から約2300年前までの約1万年間続いた縄文時代に、鹿児島の南にある薩摩硫黄島付近であった海底火山の噴火です。

〇その海底の噴火跡を調べると、直径20㎞もあり山手線がスッポリ入ってしまう広さで、その中央には高さ450mの世界最大級の溶岩ドームがあります。江戸時代の富士山噴火では、関東地方に火山灰が降り積もり、空も真っ暗になったと記録に残っていますが、その250倍の規模の噴火だったことがわかっています。想像を超える大噴火です。おそらく日本列島全体が大きな被害に見舞われ、当時生きていた縄文人も生き残れたのは少数であったようです。

〇災害考古学の専門家は、度重なる災害によって日本人には、遺伝子DNAレベルで、「自然災害は個人では立ち向かえないのでチームプレイをする」情報が組み込まれていると指摘します。その遺伝子は日本人独特で、「D‐M55」と呼ばれ、その遺伝子を持つ人は、「攻撃性が少ない、友達が多い、コミュティーが強い」などの特性を強く備えています。統計的には日本人男性の三割ですが、この人たちが他の7割の日本人にも大きな影響を及ぼしているといいます。

〇そもそも日本は地震(火山)大国で、世界で起こるマグニチュード7以上の地震は、日本だけでその2割が発生しており、そこから日常で不安を感じやすい日本人は全体の8割にもなり、これは欧米人の2倍、アフリカ人の3倍だそうです。いつも何となく不安なのは、私も経験がありますが、これは先祖から受け継いだ遺伝的な面もあるのだとあらためて感じました。

〇ただ逆から考えると、不安があれば用心深くなり、いろいろな環境の変化にも対応ができるので、生存には有利とも言えます。要するに日本人は何ともいえない不安の解消のため、仲間づくりをしてその仲間をおもんばかって生きていくことを、その閉ざされた集団の中で幼いころから身に付けてきたのだと思います。

〇先週の金曜日に行った第3回の避難訓練では、生徒たちに冬に食べるお鍋にはよく豆腐が入っていることから、「豆腐は水(湯)に浮くか?」の話から始めました。理科で学習していますが、水の密度を1とすると、それよりも密度が高い物質は水に沈み、密度が低ければ浮きます。また水の密度に近いほど、その物質の浮き沈みはゆっくりとなります。

〇生徒たちはキョトンとしていましたが、「そこで鍋の水がだんだんと沸騰すると豆腐が浮くのは、豆腐の内部に含まれる空気が熱で膨張して浮力が増すことと、豆腐の水分が抜けて密度が水に近づくこと、そしてニガリに含まれる成分(塩分)が水に溶け出して豆腐の密度が調整されるためです」と続けました。

〇さらに「水の密度をあげるには、水に塩、砂糖、みりんなどを加える方法があり、これは溶かした物質(溶質)の質量が水の質量に加わるため、同じ体積に対する全体の質量が増加するからです。人間も真水よりも塩水の方が浮きやすいのは、海水浴で経験しているでしょう」と前振りしました。

〇そこで一番言いたいこととして、「我々が住んでいるこの地表(地殻)は、マグマ(マントル)に浮いている豆腐と同じようなものです。地下のマントルが対流しているので、当然この地表もその影響を受けています。それが地震の主な原因となります」と説明しました。

〇実際にマントルは地球の表面の硬い層の下から深さ約2,900kmまで広がる高温・高圧の岩石の層で、地球の体積の約8割を占め、地殻プレートがその上でゆっくりと移動(マントル対流)する原動力となり、地震や火山の活動、大陸移動に深く関わっています。

〇最後に生徒たちに恐怖を与える意図はありませんでしたが、あえて厳しいことを言いました。「日本で地震が起こるのは当たり前であり、基本的に地震は今の科学では避けて通れません。やっと予知を可能にするシステムができ始めたばかりで、まだまだその精度は高くありません。地球物理学者の中には、【地球は生きていて、地震は人間でいえばくしゃみをするくらい自然なこと】と言う人もいます。いくら私たちが願っても、人間の営みに無関係に起こります。前も言ったようにまずは最初の揺れで、自分の身は自分で守るようにしてください」と結びました。

〇先ほどのNHKの番組の終わりに、社会学の専門家が、「日本人の無常観はここからきている」と話していたのが印象に残りました。AIで「日本人の無常観」と検索すると、次のように回答がありました。

・日本人の無常観とは、「諸行無常(すべてのものは常に変化し同じ状態に留まることはない)」という仏教思想を基盤とし、四季の移ろいや自然災害の多い日本の風土の中で育まれた、「移ろいゆくものに美しさを見出、はかなさを受け入れ、今を大切にする」という独特の人生観・美意識です

〇昨日は人間と世間について書きましたが、日本人と日本列島も密接な関係があるのだなと思いました。

須藤昌英