創立78周年目 学び成長し続ける富勢中
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校長雑感ブログ
1月10日(火)第3学期始業式
〇本日から3学期が始まります。生徒が登校するのは約半月ぶりですが、今朝は少し風が強いものの登校には支障がないので安心しています。昨日は3月のような気候で暖かく、この冬季休業は全体的に穏やかでありました。
〇今日の始業式の校長の話では、生徒たちにオンラインで読み聞かせ(絵本の「RED」)をしようと思います。先月も書きましたが、私は以前、3年間だけ小学校に勤務したことがありますが、地域や保護者のボランティアの方に読んでもらうのとは別に、自ら児童の前で絵本などを読んでいました。最初は「ただ読むだけだから・・」とあまり練習もしませんでしたが、やり始めるとやはりうまく読めずに、途中でつっかえてしまいます。すると児童はせっかくその物語の世界に入りかけたのに、私のせいで台無しにしてしまうことが数回ありました。「これではいけない」とそれ以後は、必ず練習をしました。その中で作者の意図を考え、読むスピードや強弱を調節して行うと、児童は以前にもまして真剣に聴いてくれました。久しぶりであり今日もうまくできるか不安ですが、約6分間の読み聞かせなので、何とか頑張りたいと思います。後で実際の様子をアップしますが、あらすじだけ紹介します。
〇主人公はレッドが本来は青いクレヨンなのに赤のラベルをまとっているために、いろいろな困難に出会うことからはじまります。レッドの他に、ブルー、パープル、イエロー、グレーやシルバー等24色のクレヨンの仲間、家族そして文房具たちが登場します。レッドは赤いイチゴを描こうとします。でも何個書いても上手にできません。友達や家族はどうしたらレッドが上手くできるのか、知恵を出し合ったり励ましたりします。そこへある日、新しい友達が 海を描いて欲しいと頼みます。レッドは「自分は赤だからできないよ」と言いますが。描き始めると「なんと、なんと」というお話です。
〇2学期の終わりに、学校図書館指導員の岩瀬先生に本の紹介をお願いしましたら、中学生でもふさわしい数冊の絵本を教えてくれました。その中で「今の富勢中の生徒達には、これしかない」と決めたのですが、自分でも何度か読んでいるうちに「絵本だから・・中学生はあきてしまうかな」ではなく、深い内容に感激しました。多様性やインクルーシブ等、現代社会にぴったりの内容であり生徒や大人にそれぞれの心に響く絵本と思います。機会があればぜひ手に取ってみてください。
〇冒頭に次のように話しました。「みなさん、新年おめでとうございます。昨日までの少し長い冬季休業はいかかでしたか?寒さは仕方ないとしても穏やかなお正月でしたが、3年生はそれどころではないと思います。でも一年の始まりにいろいろな決意や願い事をしただろうと思います。今日から3学期ですが、そのはじめに、あまり面白くもない私の話よりも、君たちに【読み聞かせ】をしようと思い、学校図書館指導員の岩瀬先生に2学期の終業式の日にお願いしたら、数冊の絵本を一瞬で紹介してくれました。ここにありますが、冬休みにすべて読んで、この本にしました。少し練習はしましたが、聴きとりにくいかもしれませんが、我慢して聴いてください。」
〇読み終わって少し話をしました。「レッドの仲間もそうだったように、みなさんのクラスもいろいろな考えの人がいますね。世間の常識を大切に考える人、自分の体験を重視する人、人の良いところを見る人、逆に人のあら捜しばかりする人。またそれを言える人もいれば言えないで黙っている人もいます。1つのクラスでさえそれだけ多様な人がいますので、社会に出たらそれこそもっと多様で複雑な人間関係があります。またそれは先生方や両親、兄弟、祖父母なども同じです。みんなそれぞれ自分の見方や考え方をもっています。」
〇「レッドは新しい友達から促されて、本当の自分を知ることができましたが、みなさんも進級や進学で新しい友達ができることもあると思います。その新しい人間関係が今までとまったく違う自分を発見するチャンスになることも多いですね。特に3年生は4月からバラバラに自分の選んだ学校へ進みます。そこでの新しい出会いを楽しみにしてもいいと思います。1・2年生も同じ学校にいても今まであまり話をしなかった人と友達になってみるのも自分の幅を広げることになります。」
〇「レッドが海をかいて『うん!かんたんだったよ』と言っていることから、『自分にもできるんだ!』という自信がうかがえます。最初は気乗りがしなかったこともやってみると意外に「面白かったりもっとやってみたいと思ったり」する経験があると思います。またここでレッドがスッと海をかけたのは、それまで赤いものをかこうとしてすべて青色になってしまっても、いろいろな人に助けられながらも素直にチャレンジしてきた経験(これは常識的には「失敗」ともいえなくはありませんが・・)が、あったからこそだと思います。人生には『無駄なことはない』という作者のメッセージとも受け取れるのではないでしょうか。」
〇「私が一番考えたのは、あとから友達の一人が『レッドが青なんて、よく考えてみれば、わかったはずだよ。』と発言しているところです。2学期の終業式で原生徒会長と新倉副会長が「いじめといじりの境目」の授業を行ってくれた中にもありましたが、偏ったものの見方やその場の雰囲気に流されて自分でよく考えずに行動してしまうことが、人を傷つけてしまうこともあります。その友達のように、「よく考えてみれば・・」となっていないか?まずは「自分はどう思うのか」「自分ならどうしたいのか」を優先しているか?を新年にもう一度考えてもらいたいです。」
〇「最後に今の話のように、『思い違いや思い込み』についても、私の経験から考えても、他人から自分への『思い違いや思い込み』よりも、自分が自分へしている『思い違いや思い込み』の方が強くて厄介です。『自分には到底できない』『どうせやってみるだけ無駄』ではなく、『今の自分にできることは何か』を探してみてください。しかし3年生はもうすでに受験に向けて十分に努力していますので、これ以上『頑張れ』とは言いません。ただ自分の限界は自分しかわかりませんので、もしまだ少し余裕があるのならば、受験の当日まで頑張ってみてください。」としめくくりました。
〇その後私の下手な読み聞かせだけで終わってしまっては申し訳ないので、若い英語科の川越教諭がこちらは有名な「百万回生きたねこ」を英語で朗読しました。当たり前ですが同じ読み聞かせでも日本語と英語ではまったく雰囲気が異なります。生徒たちはどれだけ聞き取れたでしょうか?同じ読み聞かせご家庭でも話題にしてください。
須藤昌英