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2025年11月の記事一覧

11月20日(木)集団読書「マージナルマン―反抗期を迎えたすべての人に」

〇1・2学年は、全員で同じ本を読む「集団読書」を行いました。集団読書は、読んだ本の感想や意見をお互いに話し合う活動で、一人で読むだけでは気づけなかったその本の新たな魅力を見つけたり、より深い読書体験を得たりすることが期待できます。

〇今回読んだ本は、北原りゅうじ氏作の「マージナルマン―反抗期を迎えたすべての人に(少年写真新聞社)」です。子どもから大人へと成長していく青年期、これを「マージナルマンの時期」と呼ぶことは、私も初めて知りました。

〇調べてみると「マージナルマン」とは本来、二つ以上の文化や集団に属しながら、どちらにも完全に同化できず、境界に位置している人を指します。「境界人や周辺人」とも訳され、文化の交錯や異文化への移行、あるいは青年期のように大人と子どもの間にいる不安定な状態の人を指す社会学や心理学の概念です。

〇中学生はまさに反抗期に入っており、子どもの世界から抜け出そうと必死にもがき苦しむ時期でもあります。私も読みましたが、親しみやすいマンガもあり、文章というよりも詩に近い感覚で読みやすく生徒たちにも好評です。

〇「自律」と「自己表現」をテーマにしたこの本は、まだ視野が狭く、自分本位になりがちで不安定な中学生の心に響くと思います。北原氏は「あとがき」で次のようなメッセージを投げかけています。

【「マージナルマン―反抗期を迎えたすべての人に」のあとがき】

自分が反抗期にいた頃  社会や大人がつまらなく見えた

しかしよく見てみると  輝いている大人もいた

自分もそうなりたいと思った  その時から人生は変わりはじめた

つまらない大人になるのは たやすいことだ

流されればいいだけだから

自分の感情にただ流されて  言いたいことだけを言い

やりたいことだけをやればいい  またなんにも考えず

周囲にただ合わせていくだけでも結果は同じ

いずれにしても幸せとは程遠い  暗い淵へとはまりこむ

若い人よ  つまらない大人になることなく

輝く大人になろう  自分の可能性を信じて

心に夢を抱き  強い意志を櫂(かい)として

人生という大きな河を 自らの力で進んでいこう

〇本書は自分自身を見つめ、大人に成長していくための数々のヒントを生徒たちに与えてくれます。だれでも経験する反抗期への共感と、無限の可能性をもつ生徒たちへの励ましのメッセージは、保護者の方にも一読をおすすめします。

須藤昌英

【1学年の感想より】

・この本はイラスト付きで、とてもわかりやすかったし、「少し自分もこの場面とかにあてはまっているな」などと共感できた。

・この本を読んで、今自分は中学生で小学生ではないから、大人に近づこうとする。自己実現を目指して、前向きにしっかりと自分を信じて、生活態度をあらためようと思った。

・本を読んで、「私もこういうときあるなあ」と思いました。つまらない大人になるよりも、「自分を信じて生きていった方が楽しいんだろうな」と思いました。

・「欲求・感情」「理性」「理想」の3つのバランスが大切。「理想」だけが先走りすると、できなくてイライラしてしまう。「欲求・感情」は悪い所もあるけれど、良い所もある。だから「理性」が調整役をすることが大切。

・親のありがたさを知りました。まだ自分だけでは考えられないことも多いし、大人にコントロールされるばかりでなく、自由をあたえてくれる大人たちに感謝することが大切だと思いました。まだまだ大人ではないけど、自分で出来ることはやる!など、どんどん増やしていきたいなと思いました。

・「欲求・感情」があばれているときは、理性がとめるが、理性は年齢が上がるにつれて強くなっていく。ストレスが「欲求・感情」に入ると、悪にかわってしまい、親、先生、友だちに反抗をしてしまう。ストレスを減らすには、友だちと楽しい時間を過ごしたり、何かに熱中したりするということを学ぶことができた。

・私は自分の気ままを抑えることも、自分で規範をたて従うこともできない、やりたくないので、まだまだ自律には程遠いと思いました。「希望が通らないのは何故でしょう?それはまだ親の信頼を勝ち得ていないからかもしれません」が心に残りました。

・人生の中に、マージナルマンというのがあることを初めて知った。これからはやりたいこととかやりたくないことも、自分勝手にならないで考えることをふやしていこうと思う。自己実現しようとして、理性・理想・欲情のどれか1つだけが進んでしまうとダメだと思ってできなくなるから、少しずつでもあせらずに進んでいこうと思えた。

・信頼されるようになるためには努力が必要で、責任を果たしてはじめて信頼を勝ち取ることができる。責任を一つ一つ果たすことによって、自由の範囲も広がるのだとわかった。今、大人の世界で活躍している人たちは、マージナルマン時代に、必ず誰かの笑顔に出会っていて、誰かにはげまされているんだとわかった。

・自分らしさを発揮することで、笑顔や「ありがとう」であふれた日々が送れることがわかった。私は人に流されずに、しっかりと自分を信じて生活していこうと思います。

・今、この年齢ぐらいで反抗期があったりするけれど、それはマージナルマンになるためであって、マージナルマンになるには、イライラをへらすために、小さな理性を強くすることが大切だと思った。

・今まではゲームがしたいなどと言って、勉強があまりできていなかった。これからは自分の欲求や感情のままのことをするのではなく、勉強もして理想の自分になりたい。

・自分の好きな事ばかり優先してしまって、やらなければならないことをやらない時があったから、自分のやる気を自分でつくって、好きなことをしていきたいと思いました。

・親に反対されたとき、私なら心の中でいらついて終わっていたかもしれませんが、この本を読んでこれからは納得してもらう理由をそのときに出せるように日々努力したいです。

・「はやく大人になりたい」と思うこともあるけど、今はマージナルマンだからもう少し子どもでいようと思った。怒る時は獣が大きくなっていて、もう少し大人になったら青い鳥を見つけられるのだと思う。楽しみ。

・子どもから大人に向かって、私は今歩いているけれど、いつか将来の夢に受かって、とべるように成長していきたいと思いました。そのため自分の理性と向き合っていっきたいと思います。

【2学年の感想より】

・自分の感情をそのまま優先して過ごすのではなく、しっかりと物事を考えて、冷静に判断していきたいと思った。自分も青い鳥をつかまえて幸せになりたい。

・反抗期は理想が高すぎるときに起こるものだと思っていたが、欲求などが大きなり、理性が他より小さくなることによって起こることを知ることができた。

・反抗期は行動と言っていることが一致しないことを読んだので、自分を見直そうと思いました。これからは自分を客観的にみて、この行動は正しいのか?などと考えて生活したいです。

・周りの人の話に耳を傾け、本を読んだりたくさん感動したりしたら、論理的思考や客観的思考、状況判断力、他人への思いやりの心も育っていくのだと知った。

・この本に書かれていることを実行するのは難しいと思うけど、最後に書かれていた通り、流されず前向きに自分を信じようと思いました。

・大人の道はまだまだだけど、目の前の目標に向かって、寄り道せず、やる気も元気も出していきたいと感じました。

・親が叱ってくれるのは、今後の為ためだということがあらためてわかった。たくさん挑戦して、自分の理想と欲求を合わせることが大切だと思った。

・劣等感を感じることは、理想が強いからだとわかりました。理想が先走っていかないように、自分をちゃんとコントロールできるようにしたいです。

・この本を読んで、すぐに怒らないで、「なぜ反対されたの?」「どうして?」と考えることで、イライラを少なくできることを知った。良い本だと思った。

・「大人は絶対的存在」だと小さい時は思っていた。独自の理想や独立心を持ち始めることは大人になるための第一歩になる。