校長室より

2019年11月の記事一覧

祝 20万アクセス突破


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勉強することの意義2 積極的な受動性


本を読むということも、同じく聴く構えを要求される。著者に対して100%同意するのではないまでも、耳を傾け虚心坦懐に、つまり心をすっきりさせて、読むわけだ。もちろん反発もあるかも知れないが、まずは相手の言っていることを受け入れてみようという、「積極的に受動的な構え」を勉強・読書を通じて作り上げる。これが学ぶ構えの基本なのだ。
 学ぶ構えの基本は、受動的であることに積極的な「積極的受動性」である。自己表現の欲求があるのはかまわない。表現するためにいろいろなものを読んで、自分のものにしてそれで表現するのが、筋道なのだ。モーツァルトが音楽の技法・文法を習得して表現したように、である。
 知識や技術を吸収するときには、人の言っていることに耳を傾けるという素直な態度が必要である。素直であるということが、学ぶという活動そのものの持っている本質なのだ。
 もちろん反発しながら、ぶつかり合いながら学ぶというやり方もないわけではないが、基本的には学ぶという活動は「素直さ」を育てるものである。だから勉強すればするほど意固地になっているとしたら、これは学び方がどこか狂っているのではないか。偏狭な考え方になっていくようでは、学んでいる甲斐がないことになってしまう。
 そういうわけで、勉強すると素直に吸収する構えが技となる。これがすなわち頭自体が良くなるということだ。だから「頭がいいから勉強ができる」とか「頭が悪いから勉強ができない」などとよく言うが、そういう考えはあまり発展性のある考え方ではない。実際、「頭のよさ」はトレーニングによって明白に向上する。「頭」と私達が思っているのは、もちろん情報の高速処理もあるが、おもに文脈をつける力を指していることが多い。その文脈をつけて理解する力というのは、やればやるほど伸びていくものなのだ。
 勉強というものはそういう意味で、まず頭を良くするし、ある程度自制心をもって心をコントロールするということに大変役に立つ。もちろん、その上に知識そのものの価値ということが乗っかってくる。


                      「教育力」斉藤 孝 著より抜粋

 

勉強することの意義 自制心


 勉強するといいことがあるのだが、それがなんだかおわかりだろうか。勉強すると一番いいことは知識が増えること以上に、頭がよくなるということだ。「勉強すると頭が良くなる」ということは意外に見落とされているが、「なぜ勉強をするのか」とうい問いへの一つの端的な答えである。運動すると運動神経が良くなる。運動部に入って何年かやっていると、元はそんなに動きが鋭くなかった人でも、ある程度、体が動くようになる。それと似ている。勉強すると頭が良くなる。頭が良くなると同時に心のコントロールもうまくいくようになる、というのが大方の筋道だ。勉強しすぎてものすごくキレやすくなったという人の率よりも、ぜんぜん勉強しないでブチキレている人の率のほうが圧倒的に高い。勉強すると頭がおかしくなるかのような言説を撒き散らす人がいるが、基本的にそういうことはない。
 勉強というものをすることによって、ある種の自制心というメンタルコントロール(心の制御)の技術を学ぶことができる。そういう心の技がセットでついてくるわけである。これは、言ってみると人類長年の知恵である。考えてみれば当たり前のことに過ぎない。勉強することの基本は、人の言うことを聴くことである。耳を傾けて我慢して聞くという心の構えが求められる。「おれが、おれが」という自己中心的・独善的な態度を一度捨てる必要がある。「自分に理解できないことは全部価値がない」という、自分の好きか嫌いかが世界をすべて決めるという態度では何も学べないのだ。
 先人たちの発見したことに対して耳を傾け、しっかりと聴くということが、学ぶということの基本だ。そうした学ぶ構えができている人は、他の人に対しての意識を持つこともできやすい。人の言葉を聴いている間は自己中心的な態度をやめているということだからだ。

                       「教育力」斉藤孝 著より抜粋


学ぶ構えを身につけよう。勉強することで心のコントロールと相手の立場を尊重できる人になろう。勉強すれば価値観が変わり新しい自分が見えてくる…。

 

 

校長面接を終えて


3年生一人ひとりとの校長面接が一通り終わった。(欠席等でまだ実施できていない人も若干残っている)生徒たちと1対1で話ができたことはとても意味があったと感じている。一人ひとり自分の考えをしっかりと持っていて、それを表現することができる生徒がとても多かった。もちろん、緊張したり、自分をうまく表現できなかったりする子もいたが、何より生徒と直接話ができたことがうれしかった。一つ感じたことは、彼らが受験に対してとても大きな不安を抱えているということだ。進路保護者会でもお話をさせていただいたが、進路選択は彼らにとって初めての試練であり、それを乗り越えることは大人になるための一つの通過儀礼としての意味があると思う。悩みや不安を乗り越えることも一つの経験と言える。しかし悩みや不安を乗り越えるためには、周囲の支えが絶対的に必要である。家族や教師の一言がどれだけ彼らを支えることができるのか。私たち大人は彼らを追い詰めるのではなく支えなければならない。目標とする学校の偏差値や合否だけで彼らを追い詰めることはしたくない。「目標」は最後にその結果を自分では決められない。でも「目的」は違う。進路選択という試練を理解し自分自身を成長させることが目的であり、そういう意味では不合格から学ぶこともあるはずだ。三者面談も終わり、私立の入試相談の準備が始まる。私たち大人がもう一度、「目標」と「目的」をしっかりと理解して、子どもたちを支えていかなければならないと思う。

ライ・シャラドさん

5月に中原中に来てくれて、国際理解の講演をしてくださったライ・シャラドさんを覚えていますか。ネパールの子どもたちの未来のために、自らの手で学校を作るプロジェクトを進めているライさん。ライさんとソフトバンクによる「愛のランドセルプロジェクト」がTBSニュースで取り上げられました。下記のリンクから視聴できます。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3822489.html

※視聴期間終了したため上記リンクでは現在視聴できません。

ライさんがネパールに作った学校を紹介する映像です。ライさんのプロジェクトは確実に進んでいます。ぜひご覧ください。