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2025年4月の記事一覧
4月8日(火)自立・自律とタンポポ
〇今日は朝から学級活動、学年集会、身体測定など、生徒たちは忙しくスケジュールをこなしています。清掃活動も淡々と行い、「おはようございます」や「こんにちは」のあいさつも中学生らしくさわやかです。また給食も始まりますので、新しい教室で食べることは、新鮮さがあることでしょう。
〇昨日の始業式では、坂村真民(1909~2006)氏の「タンポポ魂」という詩を紹介しつつ、私から生徒へ「桜の花は見上げてみるので余計にきれいに感じますが、それに比べて足元にはいつくばるように咲いている蒲公英(タンポポ)は、地味な感じがするかもしれません。ただタンポポは踏まれた方が強くなる性質があり、一説によるとわざと踏まれるような場所で育っているそうです。」と話しました。
〇タンポポはキク科の多年草で、一年でその生を終えるのではなく、深く土の中に根を張り、冬の寒さにもじっと耐えて咲きます。東京大学名誉教授で国際政治学者の猪口孝氏は、その著書「タンポポな生き方」の冒頭で次のように書いています。引用します。
「『生き方』を考える時、私がいつも思い浮かべるのはあの黄色い花、タンポポです。春に家の近くを歩いていると、塀と道路の狭い隙間や、ヒビの入ったアスファルトの割れ目などから、ヒョロリと首を持ち上げて咲くタンポポを見ることができます。その姿は明るく健気で、『頑張っているね』と思わず声をかけたくなります。(途中略)
踏みつけられても立派に花を咲かせ、次世代につなげるタンポポのような生き方は、青春を生きる人たちにはピッタリだと思います。青春を生きる人とは、年齢が若い人ばかりではありません。よりよい人生の意味を考える人すべてです。先生も親も、教育関連の人も含めた多くの人を指すのです。」
〇中学生には「自ら主体性をもつ」ようにしてほしいと願っています。そのためには、まずは私も含めて大人である教職員が「ただの自立からその先の自律」へと意識を変えていくことが大切です。「自立」は、「他人に頼らず、自分で独立した状態」ですが、「自律」は、「自分で考え、行動の主体となった状態」です。どちらも先ほどのタンポポの姿がオーバーラップしてきます。
〇さらに猪口先生は続けます。
「『あなたは自分の性格で好きなところはどんなところですか?』これなら答えられるかもしれません。では、『あなたの欠点と思われるところは?』について考えてみてください。こんなふうに少しずつ自分を分解して考えていくと、自分の輪郭がはっきりしてきます。なぜ自分のことを知る必要があるのかというと、誰でもいつかは自分の力で生きていかなければならないからです。そのときに、自分のことがわからなければ『自立』できません。(途中略)
他人にいわれなくても、自分がどんな人間かを自分で知るためには、まず何かをやってみることです。自分で何かをやろうとしたら、うまくいかなかった、次に方向を変えたらうまくいった、というように行動を重ねることで、だんだん自分の傾向がわかってきます。その傾向が個性と呼ばれる核となるものなのです」
〇私も経験がありますので、生徒が「失敗したくないから・・」と尻込みする気持ちはわかります。でもそれは、「失敗は悪いこと、効率が悪いこと、恥ずかしいこと」という固定観念があるからです。そして生徒の固定観念は、そのほとんどが大人や社会の影響によるものです。
〇従来の日本の学校では生徒たちに、「効率よく学ばせる」ことを最優先してきた経緯があります。生徒はある意味でその「犠牲者」になっていましたが、これからはそういう状況からはやく脱却しなければなりません。たとえ失敗してもその原因を探しているうちに、修正して再チャレンジしたくなるのが「生徒の本性だ」と私は思います。
〇タンポポからも学ぶべきことはたくさんあります。冒頭に書いた生徒の活動の様子を見ながら、私も『頑張っているね』とつぶやいています。
須藤昌英
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