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2025年11月の記事一覧
11月14日(金)「中・高校生のなりたい職業」
〇ある教育関係会社が所管する教育総合研究所が毎年、東京大学社会科学研究所と共同で「こどもの生活と学びに関する親子調査」を実施しています。先日その中で、子どもの「なりたい職業」に関するランキングが発表されました。
〇中学生では、男子に人気の職業が「プロスポーツ選手」「教員」「医師」で、女子は「教員」「看護師」「保育士・幼稚園教員」が上位を占めています。
〇また高校生のランキングでは、男女ともに10年連続で教員が1位だったことに驚きました。中学生でも上位なのはとてもうれしい気持ちですが、一般的に中学生よりも将来の夢が具体的になっている高校生の多くが、教員を選んでいることに期待しています。
〇同調査の2015年と2024年のデータを比較すると、子どもたちの職業観に変化が見られるそうです。例えば、小学生では「YouTuber・VTuber」がランク外から4位に急上昇し、高校生では「SE・プログラマー」が13位から6位に上昇しました。一昔前には存在しなかった職業です。
〇同教育総合研究所の主席研究員は、教員が人気の理由として、「子どもにとって最も身近な職業であることのほか、学年が上がるにつれて、夢を追う職業から資格を要する現実的な職業への志向が強まる点が大きい」と指摘しています。
〇本校でも卒業生を中心に、大学での教職課程を履修する単位として必要な「教育実習」を受け入れています。3~4週間程度、学校現場の様子を直接体験することができるので、教員を目指している学生にとっては貴重な機会です。
〇私も40年前に小学校と中学校で別々に教育実習を経験しました。ただ母校ではなく、中学校は大学の付属中学校で、小学校は大学があった千葉市立の小学校でした。もともとの志望は中学校でしたので、小学校はあえて希望したのですが、若い時に小学校でも実習できたことが、中学校教員になってからもとても有意義でした。
〇教員の職務は、人間の心身の発達にかかわっており、その活動は、子どもたちの人格形成に大きな影響を与えるものです。「教育は人なり」といわれるように、学校教育の未来は教員の資質能力に負うところが極めて大きいです。
〇このような重要な職責を遂行するため、大多数の教員は、教員としての使命感や誇り、教育的愛情等を持って教育活動に当たり、研究と修養に努めています。子どもに教えるには、知識や技術の意義や背景などを学び続け、まず教員自身が「情熱」「専門的力量」「人間力」を持つことが重要です。
〇その上で、単なる知識伝達に留まらず、学習指導力、児童・生徒指導力、教材解釈力などを駆使し、子どもの「主体性」「創造性」「感性」を育む教育を日頃から実践していく必要があります。
〇つまり教える知識や技術が「なぜ」「どのような目的で」必要とされているのか、その背景や意義を分かりやすく伝え、子どもが自ら課題を発見し解決する力を養うことが不可欠です。
〇現在の教員の年齢構成を見ると、50歳代の層と20歳代の層が多く、すこし歪な構成になっています。今後順次、50/60歳の世代が退職期を迎えることから、量及び質の両面から、優れた教員を養成・確保することが極めて重要な課題となっています。
〇今年の3年生にも面接の際に、「将来の夢は何ですか?」と尋ねたところ、教育関係(教員、保育士、心理士など)を志望している生徒が相当数いました。思わず私から「応援しているから頑張って!」と励ましました。
〇前述の会社と大学が連携したプロジェクトでは、子どもがなりたい職業を早期に決めることよりも、自分で自分の多様な可能性に目を向けることの大切さを強調しています。我々大人に求められるのは、子どもの選択肢を広げ、相談に対してともに悩んで、応援する姿勢であるということです。
〇私の経験から教員になりたいと思った人の多くは、「教えることや子どもが好き」という理由が最も多く、次いで「尊敬する教員に出会ったこと」や「部活動の指導をしたいこと」などが挙げられます。
〇特に「子どもが好き」の詳細は、「子どもの成長をサポートしたい」「子どもたちの成長に携わりたい」というもので、子どもに寄り添うことで、その成長を見守りたいという気持ちがあります。
〇また「教えることが楽しい」「教えることが好きだから」ことについては、教えた子どもが「わかった」「できた」と変化していく姿に喜びを感じるという思いがあります。
〇ただ今の教員は昔の教員とは少し役割が変化しています。一昔前は、教員は「教える・見せることが主な仕事で、それはティーチャー・パフォーマーとして、生徒と互いに向き合う関係」でした。それが今は、「支える・促すことに重きをおき、それはサポーター・ファシリテーターとして、生徒と同じ方向を見る関係」となっています。
〇極端にいえば、授業の主役が昔は教員だったのが、今は生徒となり、彼らが学びやすい授業を模索することで、一人ひとりが想像・創造する力を育んでいきます。
〇柏市の小中学校では今、1.500人が教員として働いています。今の中学生が教員となる7~9年後は、私は教員を辞していますが、「なりたい職業」の1番となっている今のうちに、マスコミ等で働く時間の長さを「ブラック」と揶揄されている職場環境を少しでも良い方向にしたいと思っています。
須藤昌英
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