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2023年4月の記事一覧
4月28日(金)アウトプットを前提としたインプットと自問自答
〇先日、精神科医の樺沢紫苑氏が著書(アウトプット大全)の中で、「心理学」「脳科学」の見地から、人間が学ぶ際には、「インプット時間の2倍近くをアウトプットに費やすようにする、つまりインプットとアウトプットの黄金比は3:7」と指摘していることを紹介しました。
〇その樺沢先生が、姉妹本である「インプット大全(サンクチュアリ出版)」において、学び方の本質にかかわる内容を書いています。引用させてもらいます。
「ロンドン大学の興味深い研究があります。あるものを暗記してもらう実験で、最初のグループには、『これが終わったらあとにテストをしますので、暗記してください』といいます。もうひとつのグループには、『これが終わったあとに他の人に教えてもらいますので、ちゃんと記憶してください』といいます。同じ時間をかけて暗記してもらい、両方のグループに同じテストをしました。結局、『教える』ことはしませんでしたが、『教えてもらいます』と伝えたグループのほうが高い得点をとったのです。『テストする』も『人に教える』も両方ともアウトプットですが、『教える』ほうが圧倒的に心理的プレッシャーの大きいアウトプットです。心理的プレッシャーのかかるアウトプットを前提にするだけで、実際にはそれをやらなかったとしても、脳は活性化し、より記憶力はアップし、学びの効果が上がるのです。」
〇いかかでしょうか?私も本を読むときに、ただ漠然と読むよりも、例えば「これは雑感ブログに内容を紹介したい」と思ったときの方が、頭に内容がスムーズに入ってきます。学校の授業でもこの心理を利用し、生徒に自分の考えを友達に説明(アウトプット)する機会を多くしています。生徒は相手に説明する際、自分は何がわかっていて、何が不明なのかを瞬時に判断し、説明を聞く相手の心情までを想像しています。
〇もう一つ、日頃から私も考えていることを、樺沢先生が後押ししてくれている箇所があります。引用します。
「『質問』は、自分の興味・関心をキャッチするアンテナを立てるための最も簡単な方法といえます。たとえば、『自分の短所は何か?』と自分で自分に質問します。『コミュニケーションが下手』と答えたならば、『コミュニケーションを上達させる方法』はないのか?とアンテナがたちます。脳は『質問』されると、その『答え』を探そうとするのです。」
〇これはいわゆる「自問自答」にあたります。わからないことを先生などに質問する前に、まずはこの「自分で自分に質問する」ことがその質問を焦点化します。私の経験からもよく考えている生徒は、「自問=素直に疑問を持つ力」と「自答=自分なりに仮説をたてる力」の2つを無意識レベルで繰り返しています。そしてこの力が、どの教科学習においても必要不可欠な力です。
〇この人間の心理をうまく活用しているのが、NHKの「チコちゃんに叱られる!」というクイズ番組です。日常に潜む素朴な疑問をテーマにしており、その質問は「人と別れるときに手を振るのはなぜ?」など、あらためて考えてみるとよくわからない問題ばかりです。でもチコちゃんに問われると、だれでもすぐに考え始めてしまいます。「自問自答」は、それを絶え間なく自分の中でやっているイメージです。逆にいえば私も含め大人の多くは、根本的な問題を「そんなこと考えても無駄」と切り捨て、自問自答する時間を避けている気がします。チコちゃんに「ボーっと生きている」と叱られないようにしないといけません。
須藤昌英
4月27日(木)教職員と面接を行っています
〇本校には私を含めて46名の職員がいて、それぞれの役割や仕事を担うことにより、生徒の健やかな成長・学びに資するように努めています。毎日、職員と職員室などでお互いに顔を合わせた時は、予定の確認や連絡事項などの会話をしていますが、なかなか座ってじっくりと意見交換をすることはこれまで出来ていません。そこで昨日から再来週にかけて、私と職員一人ひとりと年度当初の面接を行っています。
〇生徒にも個性があるように、もちろん職員にも一人ひとりいろいろな持ち味が違います。しかし共通していることも多く、その一部を書いてみます。まず明るく誠実さをもって、生徒の考えや意見をしっかりと受け止めようとする「人間性」、次に教育公務員として自覚と情熱をもち、生徒の興味関心や発言を引き出すための工夫をする「資質・情熱」、さらに教員としての識見を一定以上に備え、授業のねらいを明確にして、生徒の発達段階と場に応じた指導をする「指導力」などです。
〇ただしこれらはすべて最初から身に付けているわけではなく、私もそうでしたが、日々目の前の生徒と接している中で、嬉しいことやうまくいかずに悩んだことなどを自ら内省し、それを次にいかしていこうとする努力によって、段々と自然に仕込まれていくものです。
〇校長にとって、職員との面接の機会はとても貴重な時間です。まずは次のような学校経営の理念を理解してもらうことを目的にしています。
① 生徒の学びを引き出すファシリテーターの教職員
基礎・基本となる知識・技能の定着を図り、それを応用する力、活用する力を育む学習指導を行い、「確かな学力」を身につけさせる。
② 生徒の生活に寄り添うアドバイザーの教職員
生徒一人ひとりの個性や能力を生かした集団づくりに努め、個と集団の成長を促す生活指導を推進し、豊かな心と健やかな体を育む。
③ 教職員組織の一員(調整・連携)
校務に関する業務内容と意義を理解し、計画的に取り組み、情報と課題を共有し、的確に業務を遂行する。
〇そしてそれ以上に、職員が先ほどのような自分の良さを気づいていない場合にはそれを伝えつつ、可能な限り本音の部分を傾聴していくようにします。職員の個性やもっている力を把握し、さらに伸ばしてもらい生き生きと働いてもらうことが、必ず最後はそれが生徒への教育にも還元されていくと思います。
〇最後は学校を企業に例えると、「主力商品は授業」でありますので、授業を担当する職員から、「単元のねらいや生徒に身につけさせたい資質能力」、「生徒が困難と感じる点やその克服のための指導上の工夫」などを聞き、私がその授業を来月からこのホームページで紹介していくための日程を調整しています。
〇ただの「人材」ではなく、「人財」である教職員と、今後も年数回の面接の設定をしていきます。
須藤昌英
4月26日(水)五月を迎える前に・・・
〇今朝は明け方から小雨が降り、気温も低めでしたが、段々と本降りになってきています。そのせいもあってか、1号館と4号館の間にある中庭の木からは、雨宿りをしている鳥が、いつもより大きな声で鳴くのが聞こえてきます。まるで教室で授業を受ける生徒たちに、「頑張れ!」と応援しているかのようです。
〇毎年このゴールデンウィーク時期になるとよく聞く言葉に「五月病」があります。主な症状としては、無気力・不安感・焦燥感などがあげられ、病名でいうと「適応障害」と診断されるそうです。似ている症状に「うつ状態」がありますが、「うつ状態(病)」が、原因不明のストレス要因によって発症することがあるのに対して、適応障害は、生活・職場環境などの外的なストレス要因で発症します。
〇昨年もこの「雑感ブログ」で、次のように書いています。
「新年度が始まりまもなく1か月ですが、コロナ禍で迎える3年目のこの春、職場や大学ではリモートでの業務や授業を対面に切り替えるところも多く、日常が少しずつ戻ってきました。新たな出会いや刺激への期待に胸を躍らせるこの季節。ただSNSをのぞいてみると…『対面しんどい』『視線と話し声が気になる』との意見も多い状況です。なぜこうした声が上がっているのか?4月なのにどうやらもう“五月病”が現れているようです。」
〇また具体的な若者の症状として、「4月は月曜日から金曜日まで毎日大学に通って、友人たちと肩を並べて授業を受け、サークル活動にも精を出しました。ただ、『週末は、朝からなにもやる気が出なくなってしまった』『土曜日は午前中から勉強をしようと思っても、手が付きませんでした。気分転換をしようと散歩にも行ったのですが、効果がありませんでした。日曜日も気分が晴れず、食べて、寝ることしかできなかったんです』『みんな同じ場所で授業を受けている間は無意識に気を遣っている』との本音も聞こえてきます。この内容は主に大学生についてでしたが、同様な状況が中学生にもあるのでは・・と少し心配になっています。
〇一方で適応障害にとどまらず、日常的なストレスをはるかに超える心的外傷(トラウマ)を受けた場合には、人は3つの行動(戦う・逃げる・凍りつく)をとることが一般的に知られています。人に攻撃的になったり、その場から逃走しようとしたり、最後にはじっと耐え、脅威が去るのを待つ状態に陥ります。
〇特に我々大人は、不安状況にある人間は、交感神経が活発に働き、心臓が全身に血液を送り、動悸、発汗、めまい、呼吸困難、喉のつまり、手の震え、胸の違和感などを引き起こすことを知っておくことが重要です。このような身体の反応は、自然な防衛反応であり、身を守るための身体の機能ともいえますが、強いストレスが継続すると、身体は疲弊し、精神的な問題まで発展する恐れがあります。
〇週末からゴールデンウイークに入りますが、ご家庭でもお子様の様子を観察してください。
須藤昌英
4月25日(火)各教科で身に付けたい見方・考え方について2
〇有名な解剖学者の養老猛司氏は、「本来の教育は、身体を使って表現することであった。もともとインプットの学習とアウトプットの表現は一緒だったのが、近代教育ではそれを分離してしまった。昔の『文武両道』は、その2つ(学習と表現)がもとは1つであることを示しており、それがサイクルを描いて回っていないといけない」と色々な講演会でおっしゃっています。
〇さらに、「本来的には、学習のプロセスというのはインプットとアウトプットをまわすこと。インプットは外からの刺激、アウトプットは自分の体を動かすということ。なので、子どもはどんどん動いて、出してゆくことが大事。するとサイクルがぐるぐる回って、勝手に学んで行く。動き回ってサイクルを回すのが大事な存在を、机とイスにしばりつけて、余計なことをたくさん教えて、インプットだけ増やすような教育では、うまくゆくわけがない。」と続けています。
〇私はここから、高等学校の入試科目にある5教科(国・数・英・社・理)がある一方、音楽・美術・保健体育・技術・家庭などの教科を、身体的技能や芸術表現をする教科と位置づけ、特にアウトプットに力をいれるべきだと感じています。
〇まさに別表の各5教科は、それぞれのねらいをもって、生徒たちの感性を豊かにするために、日々の授業を行っています。生徒も他の人と比較するのではなく、自分なりの作品制作や表現活動を行っているので、表情が豊かに見えます。
〇精神科医の樺沢紫苑氏は、その著書「アウトプット大全」の中で、「ほとんどの人がインプット過剰またはアウトプット不足に陥っており、それこそが勉強しているのに成長しない最大の原因といえます」と指摘しています。さらに、「インプットとアウトプットの黄金比は3:7、インプット時間の2倍近くをアウトプットに費やすようにしましょう」と書いています。
〇私としては、見る・聞く・嗅ぐ・味わう・さわる(五感)などの「入力(インプット)」は、今までの自分の経験に基づく認識の外側にあることから学ぶことであり、書いたり話したり手や足を使ったりする運動で、「出力(アウトプット)」することで、次のインプットの質があがってくるのだと感じています。
須藤昌英
4月24日(月)地域部活動への移行について
〇これまで行われてきた学校の部活動は、スポーツや音楽などに興味・関心のある同好の生徒が参加し、教師等の指導の下、学校教育の一環として行われ、我が国のスポーツや音楽の振興を大きく支えてきました。また体力や技能の向上を図る目的以外にも、異年齢との交流の中で、生徒同士や生徒と教師等との好ましい人間関係の構築を図りつつ、学習意欲の向上や自己肯定感、責任感、連帯感の涵養に資するなど、生徒の多様な学びの場・活躍の場として、教育的意義を有しています。
〇私も教員1年目から野球部の顧問として、朝の練習では7時から1時間、放課後の練習では完全下校時刻までの2~3時間、生徒につきっきりで指導していました。休養日などはほとんど設けず、土・日曜日は自校や他校へ出向いての練習試合を組んでいました。当然のことながら、授業準備などは平日は夜の9~10時、休日も練習試合が終わってから夕方6~7時くらいまで行わざるを得ませんでした。
〇しかしながら、今日においては、社会・経済の変化等により、教育等に関わる課題が複雑化・多様化し、学校や教師だけでは解決することができない課題が増えています。とりわけ、少子化が進展する中、部活動においては、従前と同様の運営体制では維持は難しくなってきており、学校や地域によっては存続の危機にあります。
〇今月12日、教育委員会からの文書で、地域移行後の部活動の運用について、8月に体験会を実施し、9月から開始する予定であること、移行対象の部活動については、9月以降は平日のみの活動となり、土日祝日の活動は原則実施しないことなどをお知らせしました。ただし、地域クラブへの参加は任意となりますので,部活動加入者に対し,参加が強制されることはありません。
〇また先週の金曜日には、柏市の中学校1年生から中学校2年生の全生徒を対象とした「部活動の地域移行に関するアンケート調査」を配付しました。これは柏市における地域クラブの運用団体である一般社団法人柏スポーツ文化推進協会(KSCA)と柏市教育委員会が協同で参加希望生徒数等の一次調査を実施し,活動場所の確保と参加登録手続きが円滑に行われるよう準備することを目的としたものです。
【一般社団法人柏スポーツ文化推進協会(KSCA)のHPより】
<柏スポーツ文化推進協会 設立趣旨>
生徒たちは日々の部活動でスポーツや文化活動に情熱を注ぎ、柏市内の部活においても県内だけでなく、全国でも屈指の成果をあげ、部活動が生徒の中学校生活の重要な一部となっています。しかし今、中学校での部活動の在り方が全国各地で問われています。運動部・文化部を問わず教員の「超過勤務」や生徒の「バランスの悪い休養日の設定」、顧問の未経験の種目を担当することによる「不適切な指導やけがの発生」など、山積する課題の中で望ましい部活動の在り方、教員の働き方を整備する必要が課題となっています。
一方、今学校では、変化の激しく予測不可能な未来社会を生きる子どもたちに「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善が求められており、先生方は教材研究や学習評価の改善・充実が求められています。
本来、先生方の本務は授業であり質の高い授業力が求められ、そのためには授業の準備等に十分な時間が必要です。そのような中で、柏市内の学校教職員は部活動の運営や指導にも熱心に取り組んでいただいております。
このような状況の中、教員・保護者・地域にとって「誇れる学校」になるには、どうすればよいのか。これを実現するために私たちにできること、それは「地域と学校の協働活動」だと考えます。平成29年3月社会教育法の改正により、地域全体で未来を担う子供たちの成長を支える活動である「地域学校協働活動」が法律に位置付けられました。
私たちは今後、この地域のもつ様々な力を有効活用し、学校と地域が一体となり未来を担う子供たちの成長を支えていきたいと考え、一般社団法人 柏スポーツ文化推進協会(以下、KSCAと表記します)の設立をいたします。
<KSCAの活動>
1「文武両道」の学校である柏市内中学校の文化スポーツの推進に協力する。
2本クラブを中心とした文化スポーツ活動の充実に協力する。
3指導経験豊かな指導者によるクラブ活動(教室)や保護者・地域ボランティアによるクラブ活動を本クラブとして運営する。
4地域の方々・企業等と本クラブの相互理解・協力のもと本クラブサポートと共に地域貢献活動を推進する。
〇一次調査の集約後,KSCA ホームページにてクラブ運営の詳細をお伝えするそうです。また保護者からの問い合わせに関しては,KSCA にメールにて直接御連絡いただくことになっています。本校といたしましても市の方針を受け、まだまだ多くの調整を必要とする懸案はありますが、教育委員会と連携して対応してまいります。
須藤昌英