校長雑感ブログ

4月25日(火)各教科で身に付けたい見方・考え方について2

〇有名な解剖学者の養老猛司氏は、「本来の教育は、身体を使って表現することであった。もともとインプットの学習とアウトプットの表現は一緒だったのが、近代教育ではそれを分離してしまった。昔の『文武両道』は、その2つ(学習と表現)がもとは1つであることを示しており、それがサイクルを描いて回っていないといけない」と色々な講演会でおっしゃっています。

〇さらに、「本来的には、学習のプロセスというのはインプットとアウトプットをまわすこと。インプットは外からの刺激、アウトプットは自分の体を動かすということ。なので、子どもはどんどん動いて、出してゆくことが大事。するとサイクルがぐるぐる回って、勝手に学んで行く。動き回ってサイクルを回すのが大事な存在を、机とイスにしばりつけて、余計なことをたくさん教えて、インプットだけ増やすような教育では、うまくゆくわけがない。」と続けています。

〇私はここから、高等学校の入試科目にある5教科(国・数・英・社・理)がある一方、音楽・美術・保健体育・技術・家庭などの教科を、身体的技能や芸術表現をする教科と位置づけ、特にアウトプットに力をいれるべきだと感じています。

〇まさに別表の各5教科は、それぞれのねらいをもって、生徒たちの感性を豊かにするために、日々の授業を行っています。生徒も他の人と比較するのではなく、自分なりの作品制作や表現活動を行っているので、表情が豊かに見えます。

〇精神科医の樺沢紫苑氏は、その著書「アウトプット大全」の中で、「ほとんどの人がインプット過剰またはアウトプット不足に陥っており、それこそが勉強しているのに成長しない最大の原因といえます」と指摘しています。さらに、「インプットとアウトプットの黄金比は3:7、インプット時間の2倍近くをアウトプットに費やすようにしましょう」と書いています。

〇私としては、見る・聞く・嗅ぐ・味わう・さわる(五感)などの「入力(インプット)」は、今までの自分の経験に基づく認識の外側にあることから学ぶことであり、書いたり話したり手や足を使ったりする運動で、「出力(アウトプット)」することで、次のインプットの質があがってくるのだと感じています。

須藤昌英