校長雑感ブログ

2023年4月の記事一覧

4月21日(金)ネットモラル授業(1学年)

〇世の中は便利さを追求し、コンビニでは何時でも欲しいものがすぐに手に入り、わからないことは手元のスマホで検索すれば、何でもそれなりの情報が得られるようになっています。

〇中学生たちは生まれながらに今の状態が「当たり前」であるからこそ、そういう環境の中で、気をつけなければならないことや周囲への配慮などを教えていかなければなりません。

〇昨日、柏市少年補導センターから講師を招いて、新入生にネットモラル授業を行いました。その中から特に、「インターネットの特性・特徴」について、抜粋しました。まずはプラス面とマイナス面を理解しておくことが、トラブル回避の基本だと思います。

容易性

①書き込みが容易→誰でも簡単に書き込みやメッセージの発信ができる。

②画像や動画の撮影、加工が容易→デジタルデータは複製や加工・合成が簡単にできる。送受信や配信も簡単にできる。

③サービス利用時の登録が容易→各種サービスを利用する際の個人情報の登録やアカウント設定が簡単にできる。

匿名性信憑性 

①匿名で情報発信できる→SNSや掲示板は、匿名(偽名・ハンドルネームなど)で利用できる。

②情報の真偽が不確か→意図的に悪質な情報や根拠のない情報が流布されることがある。

③匿名であっても特定できる→IPアドレスやログから発信者の特定ができる。

※完全な匿名はあり得ない。※特定に時間がかかる場合には、被害者の精神的負担が大きい。

公開性拡散性

①世界中に公開され、誰でも閲覧できる(される)→発信した情報(文字・画像・動画)は誰からでも見られる可能性がある。閉ざされた環境(非公開設定など)でも複製・転載され、公開される可能性がある。

②短期間で状況が変化する→大量情報(文字・画像・動画)が短期間に拡散され、状況が変化する。

記録性 

①削除依頼への対応可否→情報発信者やサイト管理者が特定できない場合や削除依頼に応じない場合には、被害回復が困難となる。

②半永久的な記録として残る→削除されない情報は、半永久的に掲載され続け、被害回復が困難となる。デジタルデータは複製が可能なので、一度削除されたものが、再度転載される可能性がある。

流出性 

①ウィルス感染や個人情報流出→インターネットに接続しただけで、端末に侵入されることや情報を抜き取られてしまうことがある。ウィルスに感染すると被害が拡大する可能性がある。

依存性

①オンラインゲームではお金と時間をかけるとゲーム内のキャラクターが着実に強化される。

②チームでプレイし、途中での離脱が難しい(社会人は、仕事を終えてからゲームに参加する)。

③アバターで別の自分(人格、なりたい自分)になることができ、チーム内で重要な地位が与えられ、ステージをクリアすると英雄扱いされ、達成感を得られる。

④ ゲームに終わりがない(次のステージが用意されている)。

〇大人が「子どもにスマホを持たせることは、ナイフを持たせることと同じ」という認識をもつことが大切です。ナイフは料理をする際、野菜や肉を切るなどとても重宝な道具です。またナイフでなくても、ハサミなどは学校生活の中で常用しています。しかし便利な反面、その取り扱いには細心の注意が必要なことは言うまでもありません。

〇スマホも現代人にとって便利さにおいては、上に書いたように右に出るものがないくらいです。しかしこれも使い方によっては、メッセージアプリなどで人を傷つける言葉を相手の心情など考えずに送り付けたり、極端な例ですが、強盗殺人事件の指示役が、外国からSNSで遠隔操作をしていたりと、悪用することも可能です。もちろん今生徒たちがそのような使い方をしていないことは信じていますが、大人のケースも含め最悪の事態をあえて知らせておくことは、一定の意義があると思います。

〇ご家庭でも継続的に話し合っていただきたいと思います。

須藤昌英

4月20日(木)各教科で身に付けたい見方・考え方について

〇昨日から正規日課の授業が始まり、各教科とも教科書を使った授業が始まっています。ただ教科書を使うと聞くと、教科書の最初から最後までを生徒に「教え込む」というイメージをもつ人も多いと思います。しかしそれは生徒を受動的な存在として見ているのであり、本来生徒は、能動的学習者です。生徒(というよりも人間)は、もともと何かを知ろうとし、分かろうとし、できるようになろうとしています。一言で言えば常に学ぼうとしている存在です。

〇ですから、各教科では、教える内容を通して、身に付けさせたい見方や考え力を設定して、授業を行っています。5教科について、私見も入っていますが、その一部を紹介します。

〇国語科は新学期は各学年とも、ぞれぞれ「詩」の学習から入っています。1年は、金子みすゞ、2年は吉野弘、3年は谷川俊太郎などの著名な作品ばかりです。詩を読み慣れることで、国語に必要不可欠な力が養われます。その力は、「映像化力」と呼ばれ、目の前に詩の情景をイメージしていく力です。詩を難しいと感じる人が多いのは、少しの言葉で表された世界を、十分につかみとれないのが一つの原因で、生徒たちは暗唱することを繰り返したり、自分なりのイメージづくりをしたりして、作者が何に感動してその詩をつくったかを想像しています。

〇数学科では全学年が、「数と式」の領域から始めています。これは「数」と「式」が、「図形」や「関数」などの数学全体の下支えをしているからです。算数や数学では学年が進むほど「新しい数」を定義し、その世界をひろげていきます(例えば、小数、分数、正負の数、平方根など)。数学に苦手意識をもっている生徒はどの学年にも一定数いますが、原因の一つが、「数学の独特の世界に違和感がある」からです。でもその違和感は当然とも言えますので、私はその昔生徒には、「数学という国へ旅行したつもりで、その数学の文化や風習に徐々に慣れ、楽しむくらいに思っていればいいよ」と話していました。

〇英語科の目標は、「簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり伝えあったりするコミュニケーションを図る資質・能力を育成すること」です。コミュニケーション能力で最も大切なことは、相手への伝達だけでなく、相手からの情報をいかに上手に受け取るかという観点も持っていなければなりません。世間では、高機能でコンパクトな翻訳機があり、困ることはない時代になっていますが、一つ言えるのは、コミュニケーションのツールとして、英語は日本語よりもある面は適していると思います。

〇理科を学ぶ過程は、仮説や予想を立て、自分の問いを追求し、それをみんなに説明したいために、実験・観察をすることがあります。この力は生徒が大人になって社会に出てからもよく使われるもので、成功しても失敗してもその原因を考え、そこからまた新しいアイデア(仮説)を立てていく・・この繰り返しが大切です。ただし、実験・観察などには多くの器具を使用しますので。安全性の確保が欠かせません。年間を通して理科室での授業は、理科支援員さんのバックアップを受けて、安全面に最大の配慮をしていきます。

〇社会科は、「地理」「歴史」「公民」の分野があり、前の2つは1~2学年に、並行して学び進めます。地理は世の中で起こっている現象について様々な角度から体系的に学習し、歴史は今ある政治体制や文化を正しく理解するために、まずは過去にさかのぼって背景を知る学習し、公民は「法律」「政治」「経済」などの現代社会のしくみや在り方について学びます。分野は違いますが、これらに共通するのは、「すべて人の生活や営みから派生している」のであり、最後は自分の生活にどのように活用していくかだと思います。

須藤昌英

 

4月19日(水)朝の10分間読書活動&正規日課開始

〇朝の10分間、生徒は静かに自分で選んだ本と向き合い読書を行っています。これは2つのソウゾウ力(想像力・創造力)を養っています。想像力(イマジネーション)により、実際に見聞していないことについて考えを巡らすことで、創造力(クリエーション)につながり、独自の方法で新しい何かを創り出せる大人になっていきます。

〇日本人はかつて世界有数の「本を読む国民」でした。しかし昨今、若者を中心に「読書離れ」が広がってきています。確かに電子メディアの発達によって、世界の情報伝達の流れは、大きく変容しようとしています。しかし、その使い手が人間であるかぎり、人間性を育てるのに、「本」が重要な役割を果たすことはかわりありません。暮らしのスタイルに、人生設計のなかに、新しい感覚で「本とのつきあい方」を考えていく絶好の機会です。

 〇昨日までは臨時日課でしたが、今日より正規日課となりました。生徒たちは、6時間目の終了時刻(午後3時25分)まで、自分の学びを深めようと取り組んでいました。特に1年生は、50分授業6コマを受けることには不慣れで、しばらくは大変かもしれません。まだ中学生の体力はないので、睡眠時間の確保や栄養補給などに気を配ってあげてください。

【21 世紀の社会が求める学力を身につけるために】

・生徒は体験(経験)から学びますので、授業中もできるだけチャレンジするチャンスを増やしてあげたいです。各教科のいろいろなテーマについて、自分で考えをもち、友達の考えもきいてみる。その際に「どっちがいいんだろうか」のような話し合いをすることが一つの体験になります。またその中で、「そこのところがわからない」や「もう一度言ってほしい」などと言い合いながら、お互いの表現を引き出していくようなコミュニケーションを通し、「みんなで考えたら、最初はあまりわからなかったけれど、最後はなんとなくわかってきた」という実感を、一人ひとりの生徒に持ってもらいたいと思います。また伝え合いの内容も「ぼくはこういう風に言うのがいいと思う」とか「わたしだったらこう言うなあ」というように、一人ひとりの理解が自分の言葉になっていくことで、クラス全体の学習レベルも上がっていきます。

・人間は元来、「他人と自分の違いを活かして他人から学ぶ」「自分の考えていることを他人に説明してみて自分の考えを変えていく」、そういう力を持っています。人がもともと持っている学びの力とはどんな環境によって引き出されるのか、それを考えるのが「学習科学」と呼ばれる分野です。そこでは特に人間は基本的に、自身の体験したことをまとめて自分なりのものの見方や経験則をつくり,そこに他人に教わったことなども取り込みながらさらにその経験則をしっかりさせて、色んな問題を解けるようになっていく、つまり自分なりのわかり方の質を上げるというかたちで賢くなっていくと言われます。

・自分の経験則と教科書などに書いてある原理原則をつなぐために、お互いが自分の考えを外に出して確認しながら、一人ひとりが学び、考えを見直し、より良くしていく。グループでも学習しますが、グループ全体で答えを出せればいいのではなくて、最後は一人ひとりが学んでいく。そういう学習のことを、総称として「協調学習」と言いますが、従来の「講義型学習」の限界を突破するには、これしかないと私は考えています。

須藤昌英

 

 

4月18日(火)令和5年度全国学力・学習状況調査

〇毎年の4月、全国の中学校3年生を対象に行っていますが、本日午前中に、3教科のテスト(英語は4年ぶり)と学習や生活に関するアンケート調査を行いました。ただし、今年度は中学校の英語のうち、「話すこと」に関する調査の実施にかかる特例的な措置として、今日ではなく、5月に端末を活用したオンライン方式により実施します。

〇英語「話すこと」に関する調査は、ICT端末を活用し、文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)を用いたオンラインの音声録音方式で実施するもので、クラスを1グループ10名程度に分割して、グループごとに順番に実施することを基本とします。所要時間は、1グループ当たり15分程度(準備や教室出入時間等10分程度を含む)を予定しています。

〇この調査の活用については、夏以降に結果を分析し、それを踏まえ、各生徒の全般的な学習状況の改善等に努めるとともに、自らの教育指導等の改善に向けて、教職員の校内研修で検討するなどして、計画的に取り組みます。

須藤昌英

 

4月17日(月)新入生歓迎会(生徒会行事)

〇新入生に富勢中の諸活動を紹介し、富勢中の一員としての生活を知った上で、今週から本格的にスタートできるように、2学年と3学年生徒が準備をしてくれました。3・4校時に全校生徒が初めて体育館に集まりました。換気を十分に行ったり、事前に作成したビデオを投影する形も取り入れました。

〇校長の話では、自治が基本である生徒会活動について、富勢中三大伝統もからめながら、話しをしました。特に「素直」の小学生と中学生の違いについて話しました。要約しますと、前者の「素直」は、親や先生から言われたことをその通りにやってみることで、後者の「素直」は、教えてもらったことをベースにそれをさらに自分で考えてからやってみようとすることです。

〇親や先生は、子どもが失敗しないように手取り足取り、丁寧に教えてくれることが多いので、前者の「素直」はその通りにやればあまり失敗はしません。しかし後者の「素直」は、自分で考えてやってみたけれど、失敗してしまうことの方がむしろ多いです。でもこれからは、中学生として失敗を恐れずにチャレンジしていってほしいです。失敗しても自分を責めずに、失敗から学ぶようにしてほしいと思います。

須藤昌英