校長雑感ブログ

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1月13日(金)乾燥注意(雨がほしい・・・)

〇朝から快晴なのは気分が良いのですが、その反面毎日空気がカラカラで、東京近郊は3週間以上連続で降水なしの状況です。こうなると空気が潤うのはいつになるのか・・と不安になります。例年日本は冬型の気圧配置となり、太平洋側は晴れている所が多く、空気が乾燥していますが、特に関東や東海で湿度が低く、最小湿度は10パーセント台になる所も複数あり、少し異常なレベルです。

〇現在関東から九州にかけては所々に乾燥注意報が発表されています。そのため火災の発生が多くなっているようです。先日は風も強く、もしこの状況で火災が発生したら、あっという間に広がってしまう気象条件となっています。火の取り扱いにいっそう注意が必要です。

〇また教室のエアコン暖房により、さらに空気が乾燥してしまいます。少し調べてみると、冬に暖房器具を使うと多くの場合に空気が乾燥しますが、空気中の水分量が減少するわけではないようです。部屋の温度が上がることで、相対湿度が低くなり「部屋が乾燥している」と感じるようになるのだそうです。そして湿度が低いと体感温度も低くなるのが理論的には正しいようです。

〇暖房使用時にはタオルを濡らして室内にかけるなど乾燥対策をすることで、少し改善することができますが、8m×8mの広さで天井も高い教室で、その効果を期待するには、タオルが何十枚も必要となります。また私も校長室でやってみましたが、半日もたたないうちにタオルはすぐに乾いてしまいます。

〇もっと心配なのは、口呼吸による口やのどの乾燥です。のどや口、鼻などの空気が通るところは水分を含む粘膜でおおわれており、平常時は常に潤っています。しかし、上記のような要因があるとのどが乾燥しやすい状態となり、ウィルスへの対応が弱くなってしまいます。また最近はマスク着用が当たり前になったことにより、日中も息のしづらさから口呼吸になったり、寝ている間も無意識に口で息を吸ったりすることで乾燥します。また今後は花粉症などによる鼻づまりの影響で口呼吸になる人もいるようです。

〇夏ではなく冬でも乾燥からか、喉が渇くことが多いです。登校時に数人は水筒を持参しているのをみかけますが、できるだけ水筒で水分補給をしたり、水道でうがいだけでもした方がよいと思います。3年生は受験もあり精神的な面と身体的な面の双方に気を使って、大変なことと思います。もちろん1・2年生も日常生活の中で対策をしていることと思いますが、引き続き工夫をお願いします。週末は少し雨が降る予報がでていますので、期待しています。

須藤昌英

 

1月12日(木)「交通安全誓いの碑」

〇昨日の午後、正門から入ってすぐ左の縁石に、タクシーが衝突する事故がありました。幸い付近に生徒はおらず、怪我等はありませんでしたが、私は市内で行われた校長会議で不在であり、会議後教頭より電話で報告を受けました。運転手はすぐに通報し、警察も現場検証していますが、どうやらタクシーはUターンをしようとして、敷地内に入ったようです。タクシー会社には今後二度と同じことがないように、厳重に注意しますが、「もしものことがあったら・・」と思うとゾッとしました。

〇その現場の丁度反対側(正門に入ってすぐ右)に、「交通安全誓いの碑」と書かれた石碑があります。これは昭和61年5月に当時の本校女子生徒2名が、部活動の練習試合の帰りに、歩道を自転車で走行中、そこへ猛スピードの車が突っ込んできて、残念なことに命を落としたという大きな事故があり、「そのような交通事故がないように」と願いを込めて造られたものです。

〇私も当時は大学4年生で、柏市内で悲惨な事故があったことは大きく報道されましたので、記憶にはっきりと残っています。その翌年4月に柏市の教員となりましたので、教員として生徒の命を預かる重い責任を実感し始めるとともに、当時その事故現場を車で通るたびに、心の中でご冥福を祈っていました。その女子生徒さんたちもご存命であれば、今50歳台前半になっています。

〇昨年4月に本校に着任した際も、その38年前の事故については前校長や前PTA会長さんからも引継ぎとして説明を受けています。500名以上の生徒の命を預かっている今、同じような事故が起きないように日々努めていかなければならないと、亡くなられた方への誓いとしてあらためて肝に銘じました。

須藤昌英

交通安全誓いの碑 交通違反をしない、させない、ゆるさない

この日は昭和61年度に在校する生徒職員及びPTAが交通安全を誓い合い建立したものです 昭和62年3月吉日」

1月11日(水)関東大震災から100年

〇今から100年前の1923年(大正12年)9月1日正午頃、神奈川県西部を震源とするマグニチュード7.9の地震が発生しました。これにより、東京、千葉、埼玉、神奈川、山梨で震度7を観測しました。この地震では、発生がちょうど昼食の時間と重なった事から、多くの火災が起きて被害が拡大しました。

〇私も小さい頃、亡くなった祖母から発生当時の様子は直接聞いています。当時東京の下町の荒川に住んでいた祖父母は、大きな揺れと火災から何とか逃げられましたが、多くの知り合いが亡くなったと言っていました。また沿岸部では津波被害、山間部では土砂災害なども発生し、死者・行方不明者は合計10万5千人余にのぼり、この地震によって生じた災害はその後「関東大震災」と呼ばれています。

〇さらにその際に日本人による理不尽な「外国人への重大な人権侵害」にあたる行為が、あちこちで起きたとも祖母から聞きました。人権侵害の具体的な内容は、言葉にあらわせないほどだったのでしょう、さすがに子どもには話せなかったのか、多くを語りませんでした。ただ今になって自分でいろいろと調べると、集団虐殺などのむごい事実があったようです。非常時における人間の集団心理は、通常時とは異なり、自分たちの安全が脅かされる不安から、デモなどの正確な情報でなくても信じてしまうことは少しは想像できますが、決してあってはならないことだと思います。

〇歴史的には関東地方には周期的に大きな地震が発生しており、江戸時代の記録にもきちんと残っているようです。その周期が100年前後となれば、明日にでも首都直下地震を含む地震が起きる可能性はあると専門家は指摘します。私も含めみなさん「その為の出来る限りの準備を・・」といつも考えてもなかなか実感が伴わないのも本音であり、十分とは言えないと思います。現時点では大きな地震の発生を回避させたり予測したりすることは不可能ですので、ただ先ほどのような人権侵害や差別行為は、第二次災害的でありそれを防ぐには「教育の力」しかないと思います。

〇3年前のコロナ感染症初期には、私は教育委員会勤務でしたので、突然の全国一斉臨時休校やその後の分散登校での学校再開、学校内での感染拡大防止に加え、子どもたちの中でコロナに感染した友達への「差別的な発言や行為」がないように、各学校に注意深く見守ることをお願いしていました。幸いそのような報告は学校からはありませんでした。しかしむしろ大人の中で感染者の心情を考えない行動が、毎日のようにテレビなどから報道され、「大人が子どもに見本となる姿を見せなければならないのに・・」と歯がゆく思っていました。

〇昨日の絵本「レッド」からは、日頃の多様な人間関係をスムーズにするためには、お互いの良さを認め合っていくことが学べますが、災害などの非常時にもその学んだことを生かし、相手が嫌がることを想像し、助け合う関係を創造していけるか・・・。「大きな地震は必ず起こる」という前提で、特別な授業などを設定するなどして、職員や生徒たちと考えていきたいと思います。

〇最後に柏市では、もし生徒が昼間学校にいる間に震度5強以上の地震が発生した場合には、生徒を下校させず学校に待機させ、保護者のお迎え(引き渡し)をお願いすることになっています。その際、今多くの保護者の方に利用していただいているLINEを利用した「つながる連絡」に新年度からは通常の欠席連絡に加え、「何時ごろに学校へ引き受けに行ける」などの連絡ができるようにすることを計画しています。ただこれは小学校とも連携しなければなりませんので、また詳細が決まりましたらお知らせいたします。

須藤昌英

1月10日(火)第3学期始業式

〇本日から3学期が始まります。生徒が登校するのは約半月ぶりですが、今朝は少し風が強いものの登校には支障がないので安心しています。昨日は3月のような気候で暖かく、この冬季休業は全体的に穏やかでありました。

〇今日の始業式の校長の話では、生徒たちにオンラインで読み聞かせ(絵本の「RED」)をしようと思います。先月も書きましたが、私は以前、3年間だけ小学校に勤務したことがありますが、地域や保護者のボランティアの方に読んでもらうのとは別に、自ら児童の前で絵本などを読んでいました。最初は「ただ読むだけだから・・」とあまり練習もしませんでしたが、やり始めるとやはりうまく読めずに、途中でつっかえてしまいます。すると児童はせっかくその物語の世界に入りかけたのに、私のせいで台無しにしてしまうことが数回ありました。「これではいけない」とそれ以後は、必ず練習をしました。その中で作者の意図を考え、読むスピードや強弱を調節して行うと、児童は以前にもまして真剣に聴いてくれました。久しぶりであり今日もうまくできるか不安ですが、約6分間の読み聞かせなので、何とか頑張りたいと思います。後で実際の様子をアップしますが、あらすじだけ紹介します。

〇主人公はレッドが本来は青いクレヨンなのに赤のラベルをまとっているために、いろいろな困難に出会うことからはじまります。レッドの他に、ブルー、パープル、イエロー、グレーやシルバー等24色のクレヨンの仲間、家族そして文房具たちが登場します。レッドは赤いイチゴを描こうとします。でも何個書いても上手にできません。友達や家族はどうしたらレッドが上手くできるのか、知恵を出し合ったり励ましたりします。そこへある日、新しい友達が 海を描いて欲しいと頼みます。レッドは「自分は赤だからできないよ」と言いますが。描き始めると「なんと、なんと」というお話です。

〇2学期の終わりに、学校図書館指導員の岩瀬先生に本の紹介をお願いしましたら、中学生でもふさわしい数冊の絵本を教えてくれました。その中で「今の富勢中の生徒達には、これしかない」と決めたのですが、自分でも何度か読んでいるうちに「絵本だから・・中学生はあきてしまうかな」ではなく、深い内容に感激しました。多様性やインクルーシブ等、現代社会にぴったりの内容であり生徒や大人にそれぞれの心に響く絵本と思います。機会があればぜひ手に取ってみてください。

〇冒頭に次のように話しました。「みなさん、新年おめでとうございます。昨日までの少し長い冬季休業はいかかでしたか?寒さは仕方ないとしても穏やかなお正月でしたが、3年生はそれどころではないと思います。でも一年の始まりにいろいろな決意や願い事をしただろうと思います。今日から3学期ですが、そのはじめに、あまり面白くもない私の話よりも、君たちに【読み聞かせ】をしようと思い、学校図書館指導員の岩瀬先生に2学期の終業式の日にお願いしたら、数冊の絵本を一瞬で紹介してくれました。ここにありますが、冬休みにすべて読んで、この本にしました。少し練習はしましたが、聴きとりにくいかもしれませんが、我慢して聴いてください。」

〇読み終わって少し話をしました。「レッドの仲間もそうだったように、みなさんのクラスもいろいろな考えの人がいますね。世間の常識を大切に考える人、自分の体験を重視する人、人の良いところを見る人、逆に人のあら捜しばかりする人。またそれを言える人もいれば言えないで黙っている人もいます。1つのクラスでさえそれだけ多様な人がいますので、社会に出たらそれこそもっと多様で複雑な人間関係があります。またそれは先生方や両親、兄弟、祖父母なども同じです。みんなそれぞれ自分の見方や考え方をもっています。」

〇「レッドは新しい友達から促されて、本当の自分を知ることができましたが、みなさんも進級や進学で新しい友達ができることもあると思います。その新しい人間関係が今までとまったく違う自分を発見するチャンスになることも多いですね。特に3年生は4月からバラバラに自分の選んだ学校へ進みます。そこでの新しい出会いを楽しみにしてもいいと思います。1・2年生も同じ学校にいても今まであまり話をしなかった人と友達になってみるのも自分の幅を広げることになります。」

〇「レッドが海をかいて『うん!かんたんだったよ』と言っていることから、『自分にもできるんだ!』という自信がうかがえます。最初は気乗りがしなかったこともやってみると意外に「面白かったりもっとやってみたいと思ったり」する経験があると思います。またここでレッドがスッと海をかけたのは、それまで赤いものをかこうとしてすべて青色になってしまっても、いろいろな人に助けられながらも素直にチャレンジしてきた経験(これは常識的には「失敗」ともいえなくはありませんが・・)が、あったからこそだと思います。人生には『無駄なことはない』という作者のメッセージとも受け取れるのではないでしょうか。」

〇「私が一番考えたのは、あとから友達の一人が『レッドが青なんて、よく考えてみれば、わかったはずだよ。』と発言しているところです。2学期の終業式で原生徒会長と新倉副会長が「いじめといじりの境目」の授業を行ってくれた中にもありましたが、偏ったものの見方やその場の雰囲気に流されて自分でよく考えずに行動してしまうことが、人を傷つけてしまうこともあります。その友達のように、「よく考えてみれば・・」となっていないか?まずは「自分はどう思うのか」「自分ならどうしたいのか」を優先しているか?を新年にもう一度考えてもらいたいです。」

〇「最後に今の話のように、『思い違いや思い込み』についても、私の経験から考えても、他人から自分への『思い違いや思い込み』よりも、自分が自分へしている『思い違いや思い込み』の方が強くて厄介です。『自分には到底できない』『どうせやってみるだけ無駄』ではなく、『今の自分にできることは何か』を探してみてください。しかし3年生はもうすでに受験に向けて十分に努力していますので、これ以上『頑張れ』とは言いません。ただ自分の限界は自分しかわかりませんので、もしまだ少し余裕があるのならば、受験の当日まで頑張ってみてください。」としめくくりました。

〇その後私の下手な読み聞かせだけで終わってしまっては申し訳ないので、若い英語科の川越教諭がこちらは有名な「百万回生きたねこ」を英語で朗読しました。当たり前ですが同じ読み聞かせでも日本語と英語ではまったく雰囲気が異なります。生徒たちはどれだけ聞き取れたでしょうか?同じ読み聞かせご家庭でも話題にしてください。

須藤昌英

 

1月6日(金)第3学期の展望について

〇よく我々教員の中では、来週からの3学期の3カ月間をたとえて、「行く一月、逃げる二月、去る三月」と言います。つまり3学期は気持ち的に多忙で、「あっという間に」4月の新年度を迎えるという実感があります。

〇今月は9日から私立高等学校の入試が早速始まります。これは都道府県によって日程がほぼ決まっており、茨城県から始まり、千葉県、東京都、埼玉県と続きます。私立高等学校はその学校独自の入試を行いますので、大別すると「一般入試」「推薦入試(単願・併願)」ですが、その他日程も「A日程」「B日程」などと、入試の機会をAとBに分けることで受ける回数を増やしている学校もあります。また私立高等学校は公立高等学校と違い、発表している「募集定員」よりも多くの「合格者」を出します。理由としてはやはり学校を経営するという面がありますので、もしその後に入試のある公立高等学校へ多くの生徒が流れてしまうと、募集定員を下回る可能性があり、それを避けるためです。

〇千葉県公立高等学校は2月8日~10日の「出願」、2月15日~16日の「志願(希望)変更」、2月21日~22日の「学力検査等」、3月3日の「結果発表」と続きます。ただし私立高等学校と違うのは、先ほど書いたように「1回しか受けられない」「募集定員数通りしか合格者を出さない」ことです。その為1回に限り、まず出願確定した後にネットや翌朝の新聞に掲載される「志願倍率」を見て、最初に志望した高等学校への願書を引き下げ、新たな高等学校へ出願することができます。ただしこれは無暗に行うと返って生徒本人に心の動揺が残ることもありますので、慎重に行わなければなりません。

〇上記の4つ「出願」「変更」「学検」「発表」とも基本的には、生徒自身が志望校に行くことになりますので、担任からは必ず事前に行き方を調べたり、実際に足を運ぶように指導しています。ただ2月ですので、過去には入試日に雪が降り、交通手段がストップしたり開始時間が遅れたりしたこともありました。最悪の状態も想定し、どうやって入試会場までいくかは複数の案をもっていた方が良いと思います。現在3年生は体調管理と試験準備の両方に気を使っていますので、学校としては無事に終わるようにサポートしていきます。

〇入試関係の詳細は、メニューの「進路指導(保護者会資料)」をご覧ください。

〇2月末には体育館の改修工事も終わり、体育の授業や部活動でも使用可能になります。また全校生徒が集まっての学校行事もできますので、目的に応じてコロナ禍で当たり前になったオンラインでの実施と併用していきます。新体育館のこけら落としは生徒会主催の「3年生を送る会」になりますので、プログラムなどについて生徒会役員の生徒と具体的な検討に入ります。3月10日の「第76回卒業証書授与式」についても、実施方法の最終の詰めの段階です。体育館の広さに余裕はありませんので、コロナ対策を意識しながらの実施になると思います。

〇最後に、この3学期は4月からの令和5年度の教育計画を決定する時期でもあります。今年度の成果と反省をもとにして、創立77周年目がよい一年間となるように計画を練り上げていきます。

須藤昌英

(昨年の卒業式当日)

令和5年1月5日(木)新年おめでとうございます

〇明けましておめでとうございます。令和五年「癸(みずのと)卯(う)」が幕をあけ、穏やかなお正月でした。昔から「正月は己(おのれ)を正(ただ)す月」と言われますが、これから始まる一年間をどのように過ごしていきたいか!?を考える時期だと思います。1日に家族と布施弁天に初詣に行きましたが、青空で寒風もなく大勢の方が参拝していました。平和な日本であることに感謝です。

〇年末にも書きましたが、私は昭和38年生まれのウサギ年で、今年還暦を迎えます。それだからではありませんが、正月三が日で布施弁天の他に、4か所の神社仏閣に参拝し、本校生徒の成長を祈願してきました。その内容は生徒たちにもっと「ああなってほしい」とか「こうあってほしい」ではなく、「生徒たちが自分自身の可能性を信じ、失敗を恐れずにチャレンジしてほしい」ということです。たとえ失敗したとしても、「失敗はこれまでのやり方ではダメだと教えてくれるメッセージ」と受け止めれば、次への意欲となります。

〇これも年末に書きましたが、教科書の内容は「長年の人類の英知、世界の仕組みのエッセンス」ですので、「困ったときに戻って確かめる」のが本来の役割です。よく「教科書さえ学んでいれば大丈夫」と言われますが、それが「生きて働く知識」になるためには、実際の生活の中でその知識がどのように活用されているかを生徒自身が実感しなければなりません。

〇一例として、私が昔小学校算数の「最小公倍数」を習った直後、教科書以外の本で、干支(えと)は、十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)と 十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)の組み合わせからできていて、その10と12の最小公倍数が60だから、元の暦に還る(還暦)は60年に一度なのだと読んだことを覚えています。そのように身近に習ったばかりの算数の知識が使われていることを知ると、その後は絶対に忘れずに今日まできましたし、「最小公倍数」と聞くと必ず「干支」のイメージが頭に浮かんできました。つまり強い印象・記憶になっています。

〇また当時は私は、古来の中国から日本に伝わってきた「干支」に、とても数学的な印象をもち、「人生にも規則性みたいなものがあるのか?」と思いました。振り返ると同様な積み重ねもあって、私の場合は数学の教員を目指すきっかけになったのでした。もちろん生徒は一人ひとりみんな違いますから、何がきっかけでその生徒の一生の興味や特技となるかは千差万別で、誰にもわかりません。もしかしたら自分でもまだ気が付いていない場合も多いかもしれません。ですから自らその可能性を信じ、「私はこれから~がやりたい」「~をもっと深く学んでいきたい」というものが一つでもいいので見つかってほしいと思います。その手助けをするのが学校の役割です。

〇今年も生徒の2つの「ジリツ」を育成していきます。1つ目の「自立」は「他人に頼らず、自分で独立した状態」、2つ目の「自律」は「自分で考え、行動の主体となった状態」です。富勢中の生徒が「ジリツ」するために、2学期終業式後の職員会議で私から教職員には、「新しい年を迎えたら、生徒全員が『自分だけの看板(長所)』を堂々と言えるようにしてほしい」とお願いしました。

〇どうぞご家庭でも同様に、「こんなことくらい中学生だから出来て当たり前だ」ではなく、「以前は出来なかったこともいつの間にか出来るようになっているね」や「あなたは~が好きなようだから得意になるくらいまでとことんやってみたら」などと声をかけていただきたいと思います。

〇本年もよろしくお願いいたします。

須藤昌英

 

12月27日(火)良いお年をお迎えください

〇土曜日から始まっている冬季休業(~1月9日)ですが、お子様はどのように家庭で過ごしているでしょうか?日本海側は大きな寒波で大変な状況ですが、関東地方は寒さはあるものの毎日快晴に恵まれており、穏やかな年末のような気がします。

〇今月には、政府が防衛力の抜本的な強化に向けて、防衛費の増額を行うための財源の検討に入ったとの報道がありました。その防衛費の増額に対し、「賛成」「反対」の意見があります。報道されていない部分もあると思いますが、私の印象としては「何となく薄っぺらい議論になっているのでは?」と思います。

〇これも生徒にとっては、「良い教材(自分たちの生きている社会を見つめ、自分たちの生活に直接結び付く)」ではないかと思っています。単なる二項対立では、その理由として、「賛成:自分の国は自分で守るべき。防衛力の抜本的な強化が抑止力などを高めるために必要」と「反対:増額しても防ぎきれるものではない。防衛予算を大幅に増やすことは軍事大国化を目指すものであり危険な主張と考える」で終わってしまいます。

〇まず前提として、「戦争は回避すべき」をまず確認し、「財源はどうするのか」の視点もいれながら話し合い、その上で、方法の賛否レベルで終始するのではなく、「『戦争回避』という目的を達成するためには、どうするか」と議論をすることは、あきらかに前述とは違った次元の話で、深い思考になっていくと思うのです。

〇時々「生徒は教科書の内容さえをしっかり理解し、身につければよい」という意見も耳にしますが、それは生徒のもっている力を過小評価していると感じます。「そんな防衛費に関する議論のような難しいことを生徒がわかるはずがない」と思っている大人も多いでしょうが、実は生徒は「答えのない問いを考える力」をすでにもっています。もっと言えばこれからの未来を背負っていくのは彼らであり、彼らの意見ももっと尊重し、一緒に考えていくべきです。

〇ただそれを考える時間の確保が、学校の今の教育課程(授業時数)では難しいのが現実です。教科書はもちろん大切ですし、その内容はある意味「人類の英知、世の中の仕組みのエッセンス」ですので、「困ったときに戻って確かめる」のが本来の役割です。先ほどのように「教科書さえ学んでいれば・・」では、「生きて働く知識」にはならないと思います。

〇少なくとも我々大人が、広くて深い思考をし、子どもたちの見本となっていくことや、現実には大人でもわからないことが多いので、子どもたちと一緒に考えていく姿勢を持ち続けることが大切だと思います。

〇体育館の改修工事は外装が終わり、先日足場が外されました。2月の終わりには工事完了になる予定です。これまで体育の授業や部活動で生徒たちには大変不便な思いをさせてきましたが、もう少し我慢してもらい、3月の卒業式は真新しい体育館で、3年生の卒業をお祝いしたいと思います。

〇4月1日から始めたこの「校長雑感ブログ」も、今年は本日で終了させていただきます。保護者アンケートの中にも、「校長先生のブログで、学校の様子がわかり親としてはとてもうれしかったです」などのご意見もいただきましたので、励みになります。校内での出来事はすべて校長まで報告がありますが、もちろんすべての情報をブログに書くことはできません。ただできるだけ「これは学校内だけで留めるのではなく、保護者や地域の方々にも知ってもらった方が良いだろう」の視点で書いてきました。

〇来る令和5年は「卯年(うどし)」ですが、私も12年に1回、ウサギのように明るく跳びはねていく年にしたいと思っています。もちろん48歳ではありませんので、生まれた年をいれると6回目の年男になります。どうぞよいお年をお迎えください。

須藤昌英

(外装がきれいになった体育館)

12月26日(月)布施弁天東海寺と富勢中学校

(今朝7時の布施弁天東海寺)

〇富勢中学区内の最も有名な場所として、布施弁天様をあげることには誰も異論はないと思います。正式名称は、「紅龍山布施弁天東海寺」で、千二百年の歴史がある由緒正しい寺院です。

〇学区としてははずれにありますが、本校からはちょうど北東の位置にあり、よく「京都の町の中心(御所)から比叡山延暦寺は北東方向にあり、昔から『鬼門』として京都を守っている」という話を聞いていましたので、私としては勝手に布施弁天が本校を守ってくれていると思っています。

〇先週で2学期も終了しましたので、今朝の出勤前にお礼もかねて参拝してきました。冬の寒さと年末ということもあり、静かで厳粛な空気が流れていました。すでに楼門にはお正月の準備として、門松や五色幕などが飾られていました。早朝にもかかわらず、何人かの方がご参拝していました。

〇布施弁天と隣のあけぼの山は以前から柏市のシンボルでしたから、幼い時からよく行っていました。ただあけぼの山農業公園は平成7年に開園されましたので、当時はまだなく、利根川の土手と畑が一面に広がっているだけでした。

〇小学生以前は弁当をもち家族5人で柏駅から布施弁天行のバスに乗り、ピクニックのようなことをしていました。今はありませんが当時は、柏市のレンタサイクルがあり、大人の自転車を借りて土手の上をフラフラと走ったのを覚えています。小学生になると今度は自分の自転車で友達と「ミニツーリング」気分で訪れて楽しみました。中学生の時は、柏駅近くの柏中学校から歩いて、それこそ富勢中の前を通り、あけぼの山までの遠足がありました。また高校は茨城県取手市にありましたが、毎年寒中長距離走の折り返し地点があけぼの山でした。寒風の中を往復10㎞以上を走っていました。今では懐かしい思い出です。

〇今は我孫子市民ですが、平成元年から11年間、布施新町に住んでいましたので、当時はまだ幼かった長男や次男を連れ、歩いてよく散歩していました。出来たばかりのあけぼの山農業公園のアスレチックスでもよく遊ばせてもらいました。これまでの人生でいろいろと思い出が多い場所です。

〇迎える令和5年のお正月の初詣で、また布施弁天東海寺に伺いたいと思っています。

須藤昌英

 

12月23日(金)第2学期終業式&いじめ防止授業

〇2学期のスタートの9月1日は、最高気温32°Cで、半袖でも暑さを感じましたが、今日の予想最高気温は7°Cで、通勤時にはダウンのアウターを着て寒さをしのぎました。この気温差が示すように、それだけの月日が流れたことになります。

〇2学期の授業日数は、77日間でした。いつも思いますが、先ほどのように、夏のおわりの残暑厳しさと冬のはじめの寒さの季節の違いもありますが、加えてこの時期はまた年末が近づいていることもあり、2学期終業式は独特の雰囲気があります。

〇1学期の終わりにも書きましたが、この2学期も特に、生徒たちが「自ら主体性をもつ」ようにしてほしいと願いながら教育活動をしてきましたが、まずは私も含めて大人である教職員がこの間、「自立から自律」へと意識を変えていくことができたかを今振り返っています。

〇12月に教職員に行ったアンケート結果をみると、「生徒とともに学び続けようとしたか」の項目に、大半の職員が「Yes」と回答していました。このことに関し、私もそばで職員の勤務状況を観察している者として、「実際の状況と数字は一致している」と感じています。もちろん学業を教えるのは我々の仕事ですが、「教える」ことは同時に「生徒から教わる」ことでもあり、この2方向の関係で学校の教育活動は成り立っています。

〇今日の終業式は、2学期の表彰式に続き、生徒会主催の「いじめ防止授業-いじめといじり-」を行います。これは先月に柏市教育委員会主催の「いじめ防止サミットKashiwa」に参加した原会長と新倉副会長が、そこで学んだ内容をさらに本校の生徒アンケートの結果も含めてアレンジしたものです。昨日、校長室からリハーサルを行いましたが、全校生徒が話し合いをしやすいような工夫が満載されていました。今からとても楽しみです。

須藤昌英

(昨日は冬至のゆず湯でした)

 

〇原さんと新倉さんには、使う動画(3分)だけは決めておき、あとの授業の流れはすべてお任せしました。先日の保護者会で話した授業における「起承転結(問題提起・自分で考える・話し合う・まとめる)」と「言語活動(聞く・話す・読む・書く)」がすべて網羅されており、職員室にいた職員もその内容のすばらしさを讃嘆していました。

〇おかげで終業式の「校長の話」は、その授業の感想だけを言わせてもらいました。保護者や地域の方々にもぜひご覧になっていただきたかったと後から思いました。2学期もありがとうございました。

12月22日(木)年末の大掃除

〇日本では年末に大掃除を行い、「心機一転して新年を迎える」という「しきたり」のようなものがあり、これに異を唱える人をあまり聞いたことがありません。確かに普段は見逃している(見えないふりも含む)場所もきれいにしますと、新しい発見があったり何より気分が明るくなったりします。本校でも今日の3時間目、全校生徒で大掃除を行います。

〇「仕来り(しきたり)」を辞書で調べますと、「昔からの習慣、ならわし、慣例」とあり、用法としては「~を守る」「~に縛られる」とあります。人として「~を守る」と「~に縛られる」では180度違う姿勢になります。

〇「~守る」は、正しいと信じていることを今まで通りにやることですが、さらに自主・自律的に自らやろうとする意志のもと、「どうせやるなら楽しく」なるように、創意工夫をしていくまでになると、たとえ誰かに「もうそんなことやめたほうがいいよ」と言われたとしても、全く意に介せず、続けていくことができると思います。

〇その一方で「~に縛られる」の方は、自分の気持ちに関係なく仕方なくやることになり、創造性・想像性は生まれません。むしろやる意義や意味、それをやることによる効果などを考えていないので、具体的に「こうしよう」などとは思わず、とにかく「はやく終わればいい」しかないと思います。

〇サッカーワールドカップでは、日本人サポーターが客席のゴミ拾いを自主的にしたり、選手ロッカーが最後きれいに片づけられたりした写真がアップされ、世界から賞賛されていることが話題になりましたが、使用させてもらった場所に感謝していることを行動に示したとも言えます。ただ一部には、「清掃をする人の仕事を奪っている」との見方や、もっと厳しい意見は「単なる売名行為?にすぎない」まであるようです。私などもさすがにそれには頭の中で疑問符がいっぱいになりましたが、しかし日本人的見方を超えた世界レベルではそういうこともあることは知っておくべきでしょう。

〇学校の清掃も多くの国では、雇われた清掃人が仕事として行っており、生徒自身が清掃をするのは稀だそうです。先ほどのワールドカップの話でも、我々は学校で清掃活動をしてきたので、違和感はありませんが、成長過程でボランティアベースの清掃を経験してこなかったならば、理解できなくても当然なのかもしれません。しかしその日本型教育が注目され、アフリカでは生徒による清掃を取り入れた国もあるそうです。さて、「今日の大掃除をどんな気持ちでやっていますか?」「大掃除って必要だと思いますか?」などと、見かけた何人かの生徒に尋ねてみようかなと思います。

須藤昌英

 (日本代表のロッカールームが綺麗すぎると話題。「全チームの模範」とFIFA関係者も話す)

 〇部屋の窓は開けっぱなし、しかも水道の水は冷たい状況でも、自分たちの分担をキレイにしようと、黙々と身体を動かす生徒たち。この経験により少なくとも、意図的にゴミを落としたり汚れている場所をさらに汚したりすることのない大人に成長してくれると信じています。