ブログ

2021年5月の記事一覧

ピンチと成長

ピンチと成長

「ピンチはチャンス」,
よく言われる言葉です。
何のチャンスなのか。私は「成長のチャンス」だと思っています。
子どもが,自分の力ではどうしても乗り越えられない壁にぶつかったとき,
それが「ピンチ」ですね。しかし,自分の努力,周囲の援助を得て,
その壁を乗り越えられたとき,その子は成長することができます。

   西山町に咲いていたあじさいの花
子どもには様々なピンチが訪れます。
・勉強がわからなくなったとき。
・友達とけんかして仲直りができないとき。
・どうしても苦手なことがあり,そこから逃れられないとき。
などなど…

       あんなこと,こんなこと,チャレンジするぞ!
最近,こんなことがありました。
発表の苦手な男の子(A君)が,授業中みんなの前で
発表をしなければならないことになりました。
自分の番が近づいてきます。心臓はバクバク音を立て始めます。
自分の前の友達の発表が終わってしまいました。
いよいよA君の出番です。
勇気を出して,教卓の前に立ちました。
がんばって発表をしようとします。
でも,出てきたのは,発表の声ではなく,大粒の涙でした。
クラスの中で,誰一人として笑う人はいません。
「A君,がんばれ!」
友達からの声援が聞こえます。
それでも,A君は発表できません。大ピンチです。
先生が言いました。
「A君,わかったよ。発表したいけど,今日はうまく言葉が出ないんだよね。
 じゃあ,来週もう1度チャレンジしようか。」
A君は泣きながらも大きくうなずきました。

    たんぽぽ学級の「自立の木」 自分で決めた目標が達成できたら,ごほうびシールをゲット!
その後,A君と先生は,みんなに内緒で発表の特訓を積みました。
そして1週間後。
再度,A君がクラスの前に立ちます。また緊張のむしが心の中で暴れ始めます。
なかなか言葉は出てきません。また,涙があふれてきちゃいました。
クラスの仲間たちは,固唾を飲んで見守っています。
そんな中,ついにA君は声を振り絞って発表しました。
発表の最後の方には,A君は泣きながら笑っていました。
発表後,教室には万雷の拍手が響きました。
A君の表情に浮かんだ満足そうな笑顔。
A君が成長の階段を間違いなく一歩上った瞬間でした。
学校という集団生活の場で子どもたちに1番身につけてもらいたいこと。
それはやる気と自信です。
酒井根西小学校には,213人の子どもたちがいます。
一人一人全ての子どもたちに,ピンチをチャンスに変えて成長する,
そんな成功体験を積ませていきたいなと思います。
ピンチは成長のチャンス。
考えてみれば,我々大人にとっても同じですね。