校長室より

令和2年度 校長室より

巣立ち 願い 感謝

 3月17日、6年生は立派な姿で土南部小学校を卒業していきました。
 一人ひとりの顔が目に焼き付いていますが、中でも印象深かったのは、一人の男の子です。壇上で卒業証書を受け取るとき、目にたくさんの涙を浮かべていたのです。「中学校でもがんばれ」と声をかけると、涙が顔いっぱいにあふれ出しました。私も、そして私に証書を手渡す教頭も胸にグッとくるものがありました。
 中学校でも目標を持って前に進んでいくことを願っています。

 3月24日、修了式を迎えました。全校放送で、みんなはコロナに負けない強い心と態度を身につけたのです、と話しました。
 一年間の子どもたちの頑張りを称えるとともに、保護者の皆様や地域の皆様のご理解とご協力に感謝いたします。

 最後に・・・。令和2年度末人事異動により、私を含め23名の教職員が転退職することになりました。
 3年間、保護者の皆様、地域の皆様にはたいへんお世話になりました。やり残したことばかりが頭の中をよぎりますが、子どもたちからは数えきれない優しさと思い出をもらい、皆様からは多くのことを学ばせていただきました。ありがとうございました。
 今後とも、土南部小学校をどうかよろしくお願いいたします。 (芳賀 修一)

感動

 この1年間,コロナの影響で「何がなくなったか?」「何が足りなかったか?」を考えると数えきれないほどあるのですが,-形としては見えないけれど心に刻まれるもの- を思い浮かべると,それは「感動」ではなかったかと思うのです。

 そう考えるようになったのは,2月から3月にかけてです。

 学校は,実は「感動」にあふれている場所です。「感動」は,そのほとんどが子どもたちから与えられます。「感動」は,努力して何かをやり遂げたときに生まれます。「感動」は一人より大勢で目標を持って成し遂げたときに,またそれを見たとき感じたときに心に刻まれます。

 2月中旬の「学習発表会」,3月に入ってすぐの「6年生を送る会」,「部活動引退行事」(『行事のアルバム』に写真があります)。これまでのうっぷんを晴らすかのように,子どもたちは感動を与えてくれました。発表までの努力があってこそだということもわかりました。

 6年生はこの感動を胸に小学校を巣立ち,1年生から5年生は感動を与え感動に涙する人となって次の学年に進んでほしいと願います。

こぶしと白木蓮

 校長室の窓から校庭が見渡せます。休み時間,元気な声とともに子どもたちの遊ぶ姿が映ります。下校時間になると,校長室のすぐ前の花壇に植えられた菜の花に見送られて子どもたちは帰ります。



 菜の花の上から見下ろしているのが「こぶし」です。梅の花満開の2月終わり頃から枝の芽が大きく膨らんできて,天気の良い日に一斉に白い花を咲かせます。

 こぶしの数メートル先に「白木蓮」があります。どちらも白の似た花を咲かせますが,調べてみるといろいろと違いがあるようです。私はすぼまり気味に咲く「白木蓮」の方が好きですが,原産地が日本なのは「こぶし」だそうです。

 こぶしと白木蓮に花がつき始めると,春の訪れを知り,別れの時期が近づくことを感じます。温かさと寂しさと旅立ちを喜ぶ複雑な気持ちです。

 6年生の卒業式まで子どもたちが登校する日は14日間となりました。

 前回,スズメバチの大きな巣のことを書きました。

 本校事務補助さんが親方となって手作りしたケースが出来上がりましたので,写真で紹介します。

竹とんぼ名人とオオスズメバチの巣

 先日,1年生と2年生で毎年合同実施している「昔遊び」を,今年は感染予防のため学年別に行いました。去年までは,2年生が1年生に昔遊びを教えるといった形でしたが,今回は達人に講師として来ていただこうということになり,学区に居住しておられる澤田様にお声をかけました。澤田様は快諾してくださり,実現の運びとなりました。

当日は,まず体育館で竹とんぼを手作りしている様子をリアルタイムで大画面に映し出し,子どもたちから歓声が起こりました。その後校庭に出て実際に竹とんぼ飛ばし。なんと澤田様は,この日までに児童一人ひとりに竹とんぼを作ってくださっていたのでした。校庭では,子どもたちに丁寧に飛ばし方のコツを教えてくださり,子どもたちは大喜びでした。

澤田様を紹介してくださったのは,コミュニティスクール(学校運営協議会)推進員の小野寺様です。その小野寺様が,今日大スズメバチの巣(直径約50cm・6層)を学校に持ってきてくださりました。

定期的に活動されている「南部林友会」の一員である小野寺様は,作業中に土の中で見つけたオオスズメバチの巣を,子ども達のためにと保管しておいてくださったのでした。これから,透明のケースに入れて理科室で子どもたちが見られるようにしたいと思います。

昔遊びも巣も,地域の方から大切なものをいただいた気持ちです。

地域とともにある学校。これからもそうありたいと願います。

丑年になって思うこと

 明けましておめでとうございます。

 令和3年になりました。「令和」という呼び方にようやく慣れてきたと感じるのは私だけでしょうか。

 新型コロナウイルスが世界を脅かし始めたのは,ちょうど1年前です。マスク生活にようやく慣れてきました。*本当は慣れたくなどないのですが・・・。

 子どもたちには,マスクは必ず・・・,教室に入る前に必ず手洗い・・・,マメな換気を・・・,密にならぬよう・・・,などと口酸っぱく話をしていますが,子どもたちは私たち大人よりずっと順応性に優れていて,新しい生活様式にすぐに慣れてきた・・・というより楽しんでいるようにさえ感じます。

 学校ではいろいろなことができず,子どもたちに我慢をさせていることに心を痛めてきましたが,最近「辛抱する」ことも生きる上でとても大切で,昨年,今年はそれを学ぶ良い機会となったのではないかと思うようにもなりました。

今年「丑年」は,植物に例えると種から芽が出ようとする状態を表し,曲がっていたものが伸びるとか,始める,結ぶ,つかむと言った意味があるそうです。過去の丑年を振り返ると,人類初の宇宙飛行や,ハイブリッド車のデビュー,コンビニ1号店出店など革新的な出来事もありました。

「やれない」ことを悔やむより,まずは「慣れる」,「やれる」ことを始めてみる。昨年が「種」なら今年は「芽」です。そんな自分でありたい。学校でありたいと思います。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。