創立78周年目 学び成長し続ける富勢中
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2022年4月の記事一覧
4月8日(金)第76回入学式
〇本日10時より、新入生174名を迎え、第76回入学式を無事に挙行できました。来週から全学年がそろっての生活になります。
【入学式での校長式辞】
今年の桜は、例年よりも開花してから散るまでに時間があり、今日も君たちが登校したとき、正門の桜吹雪は見事でしたね。時々朝晩の寒の戻りがありますが、花壇の花々も咲き誇り、着実に春の訪れを感じる今日の良き日に、保護者の皆様のご臨席のもと、本校第七十六回入学式を挙行できますことは、まことに喜ばしく、高いところからではございますが、厚く感謝申し上げます。
さて、百七十四名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。そしてようこそ富勢中学校へ。君たちの入学を在校生及び我々教職員一同、心より歓迎します。今、担任の先生から呼名され、返事をしていた君たちの姿を見ていましたが、ドキドキする不安とともに、ワクワクする期待も入り混じっていることがよくわかりました。今の初心を忘れないでください。来週からは、君たちの先輩である2年生や3年生との一緒の生活が始まります。でも彼らもそれぞれ1年前、2年前は全く同じ気持ちでこの場にいたのです。
人間にとって「経験する」ことが最も大切です。今の不安は、優しい先輩や親身になって指導してくれる先生方によって、すぐに安心感に変わります。しかしそれは、先輩や先生方もみんな同じような経験を過去にしてきたからこそ、君たちの不安が手に取るようにわかるのです。
本校は昭和二十二年に創立しましたので、第1回入学生は、現在九十歳くらいになっています。それ以来、学習をはじめ学校行事・部活動に、これまで一生懸命に取り組んできた富勢中の歴史を、これから皆さんたちと一緒に引き継ぎ、さらに、発展させていきたいと思っています。
今、毎日のように、ウクライナでの悲しい出来事をニュースが伝えています。平和な暮らしが一瞬して奪われたり、多くの人が命をおとしたりしています。確かに遠い国のことなのであり、実感としてその悲惨さはわかりにくいですが、過去にはもともと同じ国であり、しかも今は隣合わせの国が争っている状況を、決して私たちは「他人事」や「傍観者」でいてはいけないと思います。昨日、学区を歩いていたら、青と黄の2色のウクライナ国旗を玄関先に掲げている御宅がありました。おそらく「ウクライナ頑張れ」のメッセージだと思います。
私も含めた大人の多くも、この紛争の歴史的背景や現状について、分からないことが多いのです。「どうしてこうなってしまうのだろう」と毎日首をかしげてばかりです。ただ、大切なことは、この現実から目をそらさずに、情報を整理し、「自分ならどうするか?」といつも「考え続けること」だと思います。でもその考えは決して「正解」ではありません。他の人は違う考えをもっています。であるならば、それをお互いに話し合い、相手を理解し、一緒に何ができるかを模索していきましょう。ともかく同じ人間として、一日でもはやく紛争が終わり、亡くなった方のご冥福をお祈りし、生きている人が希望をもてるようにと願います。
毎日学校で友達と会えること、好きな学習やスポーツができること、おいしい給食が食べられること等すべてが、「当たり前」ではなく、たまたま現在平和が保たれている日本という国に生まれたからなのです。そういう視点で物事を見て、できることに感謝しながら日々を過ごしていると、やがて「自分たちだけ幸せであればいい」ではなく、「世界の平和に自分として何ができるのか」を考えられ人になれます。
入学にあたり、みなさんに一つお願いがあります。富勢中は「学び続ける富勢中」を今年度から合言葉にしていこうと思います。人間は皆、生まれながらにさきほどの「考える」や「学ぶ」ということから逃げられない生き物です。そして「学び」は決して完結することはありません。大人になっても、常に「学び続ける」ことを運命づけられて生きていくのです。中学校はそのために、「学び続ける資質や能力」を身に付けるところであり、来週から始まる授業や委員会・部活動・学校行事など、すべてが「学びの場」です。よく世間一般には、学んだ結果を「学力」といったりしますが、本来「学力」とは「学」と「力」のあいだに「続ける」という字が入って、「学び続ける力」のことなのです。
そこで「学び続ける」時に大切な3つのポイントをお話します。まず、わからない事は質問しましょう。その際、無闇に「わからないから教えてほしい」ではなく、「自分はここまでは知ってる(わかっている)が、ここ(ここから)がわからない」という今の自分の状況を把握してください。そうすれば、もしその質問にその時は明確な答えが返ってこなかったとしても、その後また「問い(学び)続けて」いけばよいのです。そしていつか自分の納得する答えにめぐりあえる時が来ます。
2つ目は、本を読むことです。本を読むことの良さは、大きく2つあります。新しい知識や考えを獲得したり、自分では決して経験できない世界や人生を疑似体験したりできることです。そして本を読む時私たちの中には、著者の言いたいことを理解しつつ、それを読んでいる「自分と対話する」という心理が自然と働きます。これが学びを深めることにつながります。本校には明るくて使いやすい図書室があります。気軽に利用してください。
3つ目は、自分の思い通りにならない時に、立ち止まって考えることです。人生では、思い通りになる時と、思い通りにならない時が交互にやってきます。ただし後から振り返ってみた時、人間が大きく成長できるのは、むしろ思い通りにならなかった時です。その時こそ、自分のあしもとを見つめ、逃げずに「自分はどうしてこれをやろうとしているのか?」「どうやったらうまくできるだろうか?」と自分に問い続け、家族や友達、先生方の力を借りながら自分なりの答えを求め続けてください。
世の中はあらゆる分野で飛躍的に進歩を続けており、それに対応するには、いわゆる「何を知っているか」だけではなく、「何ができるのか」が問われてきます。中学校の授業では、先生の話や友達の考えを聞いた上で、自分ではどう考えるかを話し合ったり、発表したりすることを大切にしています。それを3年間積み上げていきましょう。授業に積極的に参加することを期待します。
最後に、中学校生活を充実させるには、生徒と生徒、生徒と先生が支え合う関係を築くことが必要です。「気持ちのよい挨拶をされた」「不安な時に励まされた」「悩みを聞いてもらえた」など、友達や仲間に勇気づけられ、次の一歩を踏み出せるのが人間です。
保護者の皆様、本日は、お子様のご入学、誠におめでとうございます。本日より大切なお子様をお預かりいたします。今後三年間、皆様のご期待に応えるべく私ども教職員一同、誠心誠意全力を尽くしていく所存です。特に、気になる点や相談等がありましたら、ご遠慮なく申し出てくださるようお願い申し上げ、式辞といたします。
令和四年四月八日 柏市立富勢中学校長 須 藤 昌 英
4月7日(木)入学式前日準備
〇明日の入学式に向けて、在校生を中心に、メイン会場の体育館と各教室の清掃と飾りつけを行いました。私もこれまで市内で5校の中学校に勤めたことがありますが、これほど準備をスムーズに、しかも嫌々ではなく楽しそうに、力をあわせて行っていた学校は、記憶にありません。「心が優しい生徒が大勢いるな」と思いました。
〇明日は、在校生は出席しませんが、教職員一同、心を込めて新入生をお迎えしたいと思います。
4月7日(木)朝の10分間読書活動
〇戦後から秋の『読書週間』などが設定され、日本の国民的行事として定着し、かつて日本は世界有数の「本を読む国民の国」になりました。しかし今、若者を中心に「読書離れ」が広がってきています。
〇確かに電子メディアの発達によって、世界の情報伝達の流れは、大きく変容しようとしています。しかし、その使い手が人間であるかぎり、その本体の人間性を育て、かたちづくるのに、「本」が重要な役割を果たすことはかわりありません。読書は、暮らしのスタイルに、人生設計のなかに、新しい感覚での「本とのつきあい方」を考えていく絶好の機会です。
須藤昌英
4月6日(火)生活のリズムとしての睡眠
〇意外に思われるからしれませんが、以前より色々なデータから、日本の子どもは世界有数の「夜更かしっ子」と言われています。また睡眠不足の子どもは、成長の遅れや食欲不振、注意や集中力の低下、眠気、疲労感などの蓄積の可能性が指摘され、学校でもイライラ・多動・衝動行為などとしてあらわれることも少なくないと思います。機会をみて、お子様とお話ししてみてください。
須藤昌英
4月6日(火)朝の交通安全指導
〇昨日の朝から、複数の地域の方々が、交通安全指導のボランティアで各交差点等に立ってくださっています。いつも誠にありがとうございます。本年度もどうぞよろしくお願い致します。
〇特に登校時間帯は、小学生の登校の集団とすれ違いますので、私がみていた限りでは、歩道上では中学生は小学生に道を譲っている場面をみましたが、心配なのは自転車通学の生徒です。いくつかの混雑ポイントや正門前の信号は、自転車から降りていますが、場所によっては、車道を走る区間もあります。
〇ある交通安全ボランティアの方から、「朝は車の運転手も急いでいるから、信号前で減速しながら、手元のスマホをみている人もいて、中学生の自転車と接触しないか、いつもハラハラしています。」「中学生は車を運転したことがないから、運転席からの死角や運転手の心理がわからないのだよね」との声をいただきました。確かにそうだと思いました。
〇そこで12日(火)に、プロのスタントマンが交通事故の場面(自転車と自動車が衝突するなど)を校庭で再現してくれる「スケアードストレイト(自転車講習)」を行います。これは自転車通学者だけではなく、普段から自転車に乗ることの多い中学生を対象とした柏市教育委員会主催(協力:千葉県柏警察署及び柏交通安全協会)の交通安全教室です。当日は中学生には少し衝撃のシーンもあるかもしれませんが、万が一のことを想像でき、それを回避するための行動につながるよう、しっかりと学んで欲しいと願っています。
須藤昌英
4月5日(火)始業式
【始業式での校長の話】
〇突然ですが、あなたは自分自身のことを「物事に没頭できる人ですか?」「そうでもないですか?」と問われたら、どう答えますか?
〇私は、やはりその時にもよりますが、集中している時は、周囲の様子も無関心に、一つのことに取り組んでいることが多いです。若い頃は例えば受験勉強の時に、集中できていない自分を叱咤激励して、「何とか集中力を持続しよう」としましたが、最近は「まあ、今日はそういう日だから仕方ないか」とあきらめがはやくなっています。ただその「集中している」という精神状態は、「時間的に前にも後にも意識がなく」「今の瞬間に、目の前の対象と自分が一体化している」とも言えるのではないかと感じるようになりました。。
〇20世紀の前半に活躍したアインシュタインという天才物理学者がいました。名前を聞いた人もいるでしょう。「一般相対性理論」という現在の宇宙理論のもととなる考えを生み出しました。一言で言うと、「時間は絶対的なものではなく、時には膨張や収縮、またはゆがんだりする」ということを発見し、数式で証明した人です。
〇実際に、楽しい時間は短く感じたり、苦しい時間は長く感じたりしますよね。あらゆる生物の中で、過去・現在・未来を意識して生きているのは人間だけです。ただ、「過去は過ぎ去り」、「未来はまだ来ていません」。大切なのは、「今」だけだということをアインシュタインは教えてくれているのです。
〇一つだけ例をあげてみます。それは富勢中の伝統の一つである、「挨拶」についてです。私は挨拶には、前から「3つの挨拶」があると思っています。
〇まず、親や先生などの大人に、「人に挨拶した方が良い」と言われてする挨拶があります。これは言われて素直に実践するのですから、やらないよりはずっと良いですね。
〇次に、相手はともかく、何となく挨拶すると自分の気持ちが清々しくなるのでするのでする挨拶です。これはある意味自分にとっての「挨拶の効能」を知っているので、継続できるのではないでしょうか。
〇最後は、自分だけでなく、相手のことを尊重して行う挨拶です。もっと大げさに言えば、自分と相手の存在価値は平等であり、「今この一瞬に同じ場所でこうして出会えたことに感謝しながら行う」挨拶です。これはけっこう難しいので、私もいつもできているわけではありません。
〇最初の人に言われたやる挨拶ですが、起点が「過去」に言われたことから始まっているので、どうしても意識は「過去」にあります。次の自分が気持ちよくなることを意識しての挨拶ですが、これは挨拶した後の「未来」に意識があるといえます。最後の挨拶は、「過去でも未来でもない、今という時間を今ここであなたと共有している」ということですので、先ほどのアインシュタインの話に通じるものがあると思いませんか?
〇これから挨拶するときに、自分の挨拶はどれか考えてみてください。
〇最後に今年の76周年目を迎える富勢中で一緒に過ごせることを楽しみにしています。これから明るく楽しい富勢中を一緒につくっていきましょう。
須藤昌英
4月5日(火)着任式
4月4日(月)始業式準備
〇明日の令和四年度始業式を前に、職員は準備に追われています。教室内の机や椅子には記名のシールを貼り、ロッカーや及び下駄箱には出席番号を示し、生徒が使用する際に迷わないようにしたり、臨時日課の学習内容や正規日課になってからの教科担当を決めたり。また各種のお便りを作成・印刷や、8日の入学式の準備も始めています。正直に言うと、本来はもう少し時間の余裕が欲しいところです。
〇今年度は、2日と3日が土・日曜日となり、実質2日間しか準備の日がありません。ところが、「4月5日が始業式」というのは、「柏市小中学校管理規則」という柏市の条例で定められており、これを改正するには、教育委員会事務局が議案として柏市議会に提出し、議会の承認を得なければなりません。そもそもこの規則の制定が昭和39年ですので、すでに約60年近くたとうとしています。生徒や教職員の負担軽減からも、今後引き続き、柏市の校長会からも教育委員会事務局に要望していくつもりです。
〇コロナ禍になって始めたものに、畑をかりての「野菜づくり」があります。ちょうど2年前の4月、たまたまご近所の方が、「もううちは出来ないから、今かりている畑を引き続いてやりませんか?」と声をかけてもらったのがきっかけです。最初は、「土いじりでもすれば日頃のストレスを解消できるかな」くらいの気持ちでしたが、初夏になると、ナスやキュウリ、トマトなどは予想以上に収穫できたことから、その面白さにはまってしまいました。
〇土を耕すのは無心に身体を動かせばいいのですが、特に真夏の朝や夕方に水をあげるのは大変で、それだけで汗びっしょりになります。でも丹精込めるほど、野菜は「正直」なので、すくすくと成長してくれます。野菜と子どもを一緒にするのはとても失礼ではありますが、「教育(共育)も野菜作りも本質は同じかな」と思うようになりました。子どもの元々もっている力を信じ、必要に応じて水や養分を与えてあげる。肝心なのは、今の状態をよく観察することで、そこから自分の想像力を働かせて、適度に手をかけ、愛情を注ぐ。
〇明日から、生徒たちに会えるのが楽しみです。
4月3日(日)雑感3
〇コロナ禍と言われるようになって2年が過ぎようとしています。この間以前よりも外出する機会が減りましたので、新聞や本をじっくりと読むようになっています。それ以前は何日も新聞に目を通す間もない間に、溜まってしまうこともありました。
〇1年前くらいにある雑誌の中で、「新型コロナと文明」という論説特集で京都大学総長の山際寿一先生が、「人間の共同体では日常的に顔を合わせ、冠婚葬祭などの集いを通じて触れ合い、地域文化を身体化させることが重要になる。その営みは科学技術を発達させた現在でも基本的に変わっていない。 自宅にいる時間が長くなって、改めてそれを実感した人々も多いのではないだろうか」と指摘されていました。
〇ところが「でも、それは今禁止されている3密(密集、密閉、密接)になりかねず、ウイルスにとっては好条件となってしまう。接触をできるだけ避けた今、世界は総引きこもり状態になった。これが続けば、人間にとって『共に生きる喜びや力』を奪われ、個人がばらばらになってしまう」と懸念されていました。
〇では、どうしたらよいか、「人間の共感社会は身体の共鳴によってつくられる。それを促進するような、たとえば心を癒やす効果のある音楽を共有する。オンラインで人々のつながりを保ち、声や写真や映像を用いて情報を交換して身体の共鳴を図る」ということも有効であると仰っています。
〇そうして「それは信頼という原資を直接触れ合うことでつくってきた社会から、距離を保ってゆるやかに共鳴する社会へと移っていくことを意味する」と言われています。そんな社会へと適応してゆかねばならないのでしょう。
〇今朝は曇り空で少し肌寒いですが、生徒たちはどのように過ごしているのでしょうか?正門前通りを西に向かった坂を「富士見坂」といいます。年に数回きれいに見られるようです。写真は昨年の12月ですが、是非実際にこの眼で見てみたいものです。
須藤昌英
4月2日(土)雑感2
〇昨日の雨とはうって変わり、朝から正門前の通りは、青空と桜の桃色がきれいなコントラストを映し出していました。
〇グラウンドやテニスコート、武道場や体育館では、各部活動が練習試合や来週からの大会に備えた練習に余念がありません。自分の好きなことを極めようとする若者の姿に、こちらも学ぶべき点が多いです。
〇「己事究明」という言葉があります。もとは「自分とは何かを明らかにしていくこと」の意味ですが、自分と向き合い自分らしさを見つめていくことは、中学生という青年前期にはとても重要であると思います。そこから将来自分がどんな形で周囲や社会に貢献していけるかを模索し、自己肯定感を高めていくなのだと感じます。
〇もう一つ、学校での諸活動を通して避けられないことは、人間関係の練習です。大人も子どももお互いが生きていく上で一番たいへんなのはやはり人間関係です。人間と人間の関係ほど難しいものはありません。楽しかったはずの活動も、人間関係がこじれると続けられなくなってしまうことも多いものです。
〇以前に、「鎌研(かまと)ぎの名人」の話をどこかで読んだことがあります。その鎌研ぎの名人たるゆえんは、たとえどんな下手な人が研いだ鎌であっても、自分には及ばない点を一点見つけることができるというのでした。人の欠点はすぐに見つけられますが、どんな人でも自分には及ばないところが必ずあり、それをみつけた時に、相手の良さがわかり、そう思って人に接していると人間関係が変わってくるものではないでしょうか。
〇校長室でブログを書きながら、外から生徒の元気な声が聞こえています。少しでもはやいコロナの収束を祈っています。
須藤昌英