創立78周年目 学び成長し続ける富勢中
文字
背景
行間
2023年6月の記事一覧
6月29日(木)2つのスパイラル
〇昨日、期末テストが終わりました。今朝、生徒に声をかけてみると、「普段から勉強が苦手なので、テストははっきり言って嫌いです」「テスト勉強は自分では頑張ったけど、来週戻ってくる結果が心配です」などの気持ちを聞きました。それに対しては私の方は、「何と言ってあげたらいいか・・」と毎回いつも悩むところです。
〇まず言えることは、学びの努力とその成果が比例することはとてもマレであり、大抵は努力したことがすぐに成果に結びつかないことが多いということです。ただ辛抱強く、人によって違いますが、数カ月程度努力を積み重ねていくと、ある日突然雲が晴れたかのように、望ましい結果が出始めることは、経験した人からよく聞く話です。
〇この辛抱する力がないことで、必要な努力を避けたり、結果が出る前の失敗や諦めを理由に、学ぶことから距離をおき始める生徒を見ると、とても「もったいない」と感じます。確かに学ぶことによって、知識や技能は身につきますが、それ以上にものの見方や思考力、表現力などが養われ、自分の可能性が広がっていくことが重要なポイントです。
〇昨日も書きましたが、学んだことを確実に身に付けていくには、分からなかったことや間違ったことを定期的に振り返り、その手当て(補充)を逃げずにやるかどうかで決まります。生徒によっては、「なぜ間違ったのか?」と自分が納得するまできちんと考えることができます。そのことを回避したままで、ただ表面的に「正解だけを丸覚えしよう」とするだけでは、残念ながら理解は深まりません。
〇普段から授業の中で、どんなにささいなことでも、「おもしろい」「なるほど」などの興味を持ち、「やってみよう」「できるかも」と経験を積みかさねていくこと(正のスパイラル)が得意な教科になるきっかけになります。一方で、負のスパイラルに陥ると、なかなか抜け出すことが難しくなります。
〇少しの成果でも、準備に取り組んだプロセスを自分で、また周囲からも認められることで、やる気の持続につながります。
6月28日(水)1学期期末テスト2日目
〇かつて教科担任として数学を教えていた頃は、生徒によく「定期テストが終わって、その答案用紙を参考に丁寧に復習することが重要で、一番勉強になるよ」と話していました。ただ人間はそれまで集中して取り組んだことや結果通りにならなかったことをすぐに振り返るのは、案外気乗りのしないものです。
〇繰り返しますが、定期テストの復習を行うのはもちろん記憶の鮮明な間が適しており、できればテストの当日が理想です。しかし、定期テストを採点するのに時間がかかり、すぐには返却できませんので、少なくとも答案用紙が返ってきた時が最後のチャンスといえます。
〇定期テストの復習は、「どこが間違っていたのかの確認⇒正しい答えを知るなどの間違い直し」が中心になります。また間違えたところを確認する際は、問題を解いている時の自分が、「どの程度自信を持って解答していたか」を思い出しながら行うことがよいようです。特に「これはできた!」と思っていたのに結果が不正解だった場合は、正確な知識の定着ができていないことになります。私もそうでしたが、そこをできるだけはやく改善しないと、その後も同じミスを繰り返す原因になります。
〇ただ今日は「テストが終わった」という解放感があるので、今日中に問題用紙を再度見る気にはならないと思います。来週月曜日からのテスト返しで、しっかり見直しをしてほしいです。
須藤昌英
6月27日(火)1学期期末テスト1日目
〇ホームページのトップに、各学年の出題範囲表を掲載していますが、生徒は授業の中で、各教科担任から出題範囲に関するもっと細かい説明を聞いていると思います。そして各自、教科書やノート、ワークや問題集などを使い、これまで準備を行ってきています。
〇特に1年生は、入学して初めての定期テストです。小学校にはなかった「定期テスト」に対して、不安を感じる1年生も少なくないと思います。教室をまわると、少し緊張した顔で、真剣に取り組んでいました。
須藤昌英
6月26日(月)経験記憶と知識記憶
〇テストを目前にした生徒からよく、「勉強の仕方がわからない」という声を聞くことがあります。ただその言葉だけでは、その人が「勉強に向かう気持ちがわかない」で悩んでいるのか、「やる気はあるけど自分にあった方法」を模索しているのかは、人それぞれであり、こちらもつかめないことが多いものです。
〇またそもそもどんな人にもピッタリとあった勉強方法などはなく、自分でやりながら、「こうかな、ああかな」と試行錯誤し、そこから最後は自分にあった方法を身に付けていくしかないだろうと思います。
〇先日も紹介した、池谷裕二著 「受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法」には、誰もが意識をすれば有効に活用できる方法がありますので、参考になります。
須藤昌英
6月23日(金)記憶の強化
〇来週火曜日からの期末テストに向けて、今日から部活動等の朝や放課後の活動は行っていません。特に1年生は初めての定期テストですので、準備に戸惑っている生徒もいることを考え、学年の職員で丁寧に指導しています。
〇生徒たちは今、期末テスト準備として、4月からの授業内容を教科書やノート・ワークを使って復習しています。これは記録したことと自分の記憶をすり合わせたり、より正確な記憶を強化したりする作業といえます。
〇東京大学大学院の池谷裕二教授(薬学者、脳研究者)は、著書「受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法」で、次のような指摘をしています。
「人の脳の海馬という部分は、神経細胞の結合をつくる役割を果たしており、『短期記憶から長期記憶』へと情報をつなげる中期記憶を担っています。海馬に入ってきた情報が溜まっている期間は、情報の種類によって異なりますが、短いと1か月程度です。海馬は情報を1か月かけて整理整頓し、『何が本当に必要な情報なのか』を選定しています。一日のうちに、新しい知識をあまりにもたくさん詰め込むのは避けたほうがよいですし、そもそも勉強は「復習」に主眼をおくべきで、覚えられる範囲をストレスなく覚えること、これが記憶の性質に適した学習方法です。比でいうと、『予習:学習:復習=0.5:1:4』が理想的です。」
〇さらに、「心理学者ビネーは、脳は入力よりも出力を重要視しています。海馬に『この情報はこれほど使用する機会が多いのか、ならば覚えねば』と判断させること、つまり「詰込み型」よりも「知識活用型」の方が効率的だということです。ならば教科書や参考書を何度も見直すよりも、問題集を何度も解く復習法の方が良いでしょう。」
〇要するに、授業で得た知識をただ漫然と覚えようとするだけでなく、口で言ったり手で書いたり、問題集でおさらいすることで、短期記憶の中から繰り返しアウトプットしたものだけが、長期記憶となり、すぐに忘れにくいものになっていくようです。
〇生徒たちの努力が実を結びますように・・と祈っていますが、むやみやたらに復習するのではなく、上記のようなポイントを押さえた方法を試してほしいと思います。
須藤昌英