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2月16日(月)日本人は和製語が好き?得意?

〇暖かい週末でした。特に昨日は4月を思わせる陽気で、外を歩いている人の中には半袖の人も多く見かけました。ただこのまま春に向かって一直線とはいかないでしょうから、今後も気温が急降下し、寒さがぶり返す可能性もあります。

〇この時期は「三寒四温」の言葉通り、暖かい日と寒い日が交互に訪れます。一時的に記録的な暖かさになっても、冬の冷たい空気が戻ってくることが多いため、油断できない時期が続きます。寒暖差による体調不良も気をつけなければなりません。

〇以前にも外国人が日本語を習得するのは、非常に大変だということにふれました。その主な理由として「漢字・ひらがな・カタカナ」の使い分けや、複雑な敬語、主語が省略される曖昧な表現、そして英語などと異なる語順などがあると書きました。

〇逆に、外国語の要素を日本人が短縮・活用し、日常的に使いやすい形に変化させた外来語(カタカナ動詞)も多くあります。こちらは私なども若い人が日常的に使っていることを後から知ることが多く、意外な由来を持つ言葉も増えています。いくつか調べました。

〇「サボる」は、フランス語のsabotage(サボタージュ)という言葉を略し、さらに日本語の動詞化の接尾辞「〜る」をつけたものです。フランス語の「sabotage」は、sabot(サボ=木靴)に由来し、歴史的には産業革命初期、労働者が自分たちの権利を守るために、履いていた「木靴(サボ)」を機械に投げ込んで壊したり、機械を蹴って動かなくしたりして仕事を止め、怠業(生産性を落とす抗議)を行ったことが背景とされています。日本では大正時代に若者を中心に広まり、その後単に「仕事を休む」「怠ける」という意味で使われるようになりました。

〇もっと近年では「ディスる」があり、英語のdisrespect(ディスリスペクト:不尊敬、無礼)という言葉が語源で、接頭辞の「dis-(否定、反対)」を抜き出した言葉です。アメリカのヒップホップ文化の中で、相手(ラッパー)を「侮辱する」「批判する」「見下す」といった意味のスラング(卑語、俗語)として、「dis(ディス)」が使われるようになりました。日本では、さらにカジュアルに「〜する」をくっつけて「ディスる」という動詞として使われるようになりました。

〇私などは、前者の「サボる」を若い頃から日本語かも?と認識していましたので違和感がありませんが、後者の「ディスる」は、意味は理解していても日常で使うほどではありません。ただどちらもマイナスイメージの言葉なので、今後もあまり増えてほしくありません。

〇その他の「~る」として、外来語に「〜る」をつけた言葉は他にもあります。

①ダブる➡英語の「double(ダブル=二重)」からきていて、予定が重なる、量が2倍になる、大学などでは留年する(単位が二重になる)という意味でよく使われます。

②ググる➡「Google(グーグル)」で検索することで、インターネット時代になり、調べることをほぼ代用しており、最近はイメージ先行が強くあちこちで聞かれます。

③バズる➡「Buzz(バズ=噂、騒音)」からきており、SNSなどで話題になることをさすことが多いが、これもどちらかというとマイナスなイメージが強いです。

〇このように日本人が「和製語(和製英語や和製漢語)」を作り出す技術は世界的に見ても非常に特徴的で、よく言えばクリエイティブだと思います。単に外来語をいじるのではなく、独自の解釈や背景を加えて、日本人の感覚に合うよう作り替えるのが得意と言えます。

1.和製英語:直感的な短縮と組み合わせ

英語圏では通じない「和製英語」は、海外の文化を日本流に消化・加工したものです。これもいくつか典型があり、「リモートコントローラー」→「リモコン」、「パーソナルコンピュータ」→「パソコン」と短縮・合体させ、長い英単語を短くし、生活に浸透させました。また「ドライブイン」を「サービスエリア」の意味で使ったり、「ナイーブ」を「繊細」ではなく「単純」といった文脈で使用したりするなど、日本人のイメージに合わせて意味を変化させます。さらに「ランニングマシーン」のように、英語(treadmill)よりも動作や機能が直感的にイメージできる言葉を優先する傾向があります。

2.和製漢語:漢字の意をいかした概念の定着

明治時代以降、西欧の新しい概念を日本語に翻訳する際に、漢字を組み合わせて多くの「和製漢語」が作られました。ただこれもあまりにも浸透しているので、もっと昔から使われていた気がします。具体例として、「社会」「文化」「哲学」「科学」「経済」「民主」「主観」「客観」など、現代の日本語では欠かせない語彙が、実は抽象的な概念を漢字の持つ意味を組み合わせて造語として生まれ、日本人の感覚に上手く落とし込まれたのでしょう。

〇では「なぜ和製語が頻繁に生みだされるのか?」の問いに対しては、「日本人の頭の柔らかさが起因している」と答えてもいいかもしれません。AIで調べると、

①分かりやすさ・親しみやすさ➡英語の直訳ではなく、日本人が直感的に「何のことか」わかる言葉を優先します。

②ファッション性・モダンさ:➡外来語(カタカナ語)を使うことで、新しさや都会的なイメージを出したいというマスメディアや広告の傾向があります。

③生活に密着した表現➡日常生活で使いやすいように、日本独自の文脈で作られており、日本人は異なる文化や言語を「使いやすい」「分かりやすい」言葉に変化させ、独自の文化を形成する力に長けていると言えます。

〇最近の言葉としては、「推し活」は和製漢語、「隙間バイト」は和製英語になるのかもしれません。季語や自然の彩り、豊かな感情を表す古くからの日本語の美しさは大切にして、日々の日常会話で意識的に使いつつ、その一方で新しい感覚から生まれる和製語を楽しむのもいいかもしれません。

須藤昌英