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9月9日(火)「どんな人間が最後に生き残るか」を人工知能に問う
〇今、生徒たちから國分功一郎教授への「質問事項」をまとめています。その内容は多岐にわたりますが、主に「哲学とは何ですか?」「読書について教えてください?」「相手に伝わる話し方は?」「生きるって何ですか?」「効果的な学習方法を教えてください」「その他」に分けることができます。國分教授からの回答が楽しみです。
〇4年前にお亡くなりになった、筑波大学名誉教授の村上和夫氏(遺伝子研究のエキスパート)については、4月17日のこのブログでも書きましたが、いろいろな著書でわたしたちにわかりやすく「人間の無限の可能性」を遺伝子の視点で教えてくれています。
〇「一個の細胞内の遺伝子がもつキャパシティー(潜在能力)は、とても大きく、かりに遺伝子のもつ全能力を100とすれば、その3%から5%くらいしか私たちは用いていないと言われています。この『遺伝子のスイッチをオン』にして生きていけば、これまでとは違う新たな自分をつくっていける」と指摘しています。
〇読むたびにいつも勇気づけられます。何より科学者の言葉には説得力がありますし、私も経験上「素直な人は伸びる」という言葉を実感してきました。「素直」とは、「今の自分を大切にし、将来の自分に期待する」心情をもてることだと確信していまし、この「素直さ」が「遺伝子のスイッチ」だと思います。
〇その村上和雄氏の著書『人生の暗号』(サンマーク出版)に、興味深い部分があります。要約して紹介します。
「当時の最新のコンピュータに『どんな人間が最後に生き残るか』を推測させました。その結果、『力の強い人、自分のことを優先させて考える人、競争に勝ち抜いていく人』などという大方の予想緒を裏切って、『譲る心をもった人』という回答が出てきたという話があります。これはいったい何を意味しているのでしょうか?『他人のためを第一に考える人が結局報われる』ということではないでしょうか?このことは遺伝子のはたらきからも納得のできることです。人の心は、『他人のため』に献身的に努力しているとき理想的な状態ではたらく。よい遺伝子がONになるのです。」
〇今から25年前の文章なのですが、今にも通じることだと感じます。そこで私もチャットGPTに、「どんな人間が最後に生き残るか」という同じ質問をしてみました。そして次の回答を得ました。
①適応力が高い人
②協調性と共感力を持つ人
③自己管理ができる人
④学び続ける姿勢を持つ人
⑤ポジティブで希望を持ち続ける人
〇①は生物は一般的にそのように進化してきたので、わかりやすいです。②は前述のコンピュータの回答と通じるところがあります。「力が強い」とか「競争に勝ち抜く」ではありません。③には「感情のコントロールができ、冷静に判断できる」という文も付随していました。つまり①と②のような人になるための不可欠な要素といえるでしょう。
〇校長として歓迎するのは、④と⑤です。これは今の中学生にとって一番身に付けてもらいたい資質ではないでしょうか。中学生には生きていく上で今後何らかの苦難が訪れても、この2つを意識してもらえば、たくましく生き残る力を育んでいけると思います。
〇さらに村上名誉教授の『人生の暗号』には、「人類は百年以上もの間、生存競争に勝ち抜いたものが生き残るというダーウィンの説を主流においてきましたが、科学が進歩して生命の仕組みが解明されるにつれて、まったく違った考え方が大きく浮上してきているのです。その一つに『共生的進化論』というのがあります。人間に限らず生物は、お互いに助け合いながら進化したという考え方です。」と書かれています。
〇村上氏の唱える「サムシング・グレイト(偉大な何かの力が働く)」のはたらきにも通じる「譲る心をもった人」と、昔のコンピュータが答えたのも合点がいります。村上氏は「『人のために』を実行するとなぜ報われるのか。それは自然の姿そのものであり、自然体こそが最適な生き方の選択といえるからです」と結んでいます。
〇最新の人工知能は大きく進化しているとよく聞いていますが、先ほどの5つも、ある程度的を得た解答をするものだなと少し感心しました。でもやはり哲学的な問いに対しては、機械のコンピュータやAIではなく、國分先生のような生身の人間に答えてもらった方が、生徒たちの心に残るだろうと感じます。
須藤昌英
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