校長雑感ブログ

1月21日(水)関税や税金の本来の目的は?(トランプ氏アメリカ大統領就任1年と衆議院解散&選挙)

〇第二次トランプ政権がスタートして一年が経過しました。これまで独自の関税政策を打ち出し、世界中を巻き込んで「ディール(取引)」というこれまで政治の世界ではあまり行われなかった手法を掲げています。この1年間、世界はトランプ氏のディール外交に翻弄(ほんろう)され続けており、政治の素人である私でさえその急激な変化に驚いていますので、直接政治に携わっている方々は「さぞ大変だろう」と推測します。

〇最近ではトランプ氏が「アメリカがグリーンランドを所有する」ことを主張し、その理由がロシアや中国からグリーンランドを守るためとしていることも違和感があります。さらに彼は記者に対し、それを「簡単な方法」でやるか、さもなければ「難しい方法」でやるとも発言したといいます。同じく先日ホワイトハウスは、グリーンランドの購入を検討していると述べたようですが、武力による併合の選択肢も否定していないと報道があります。

〇私も昔、地理の学習で、グリーンランドは氷におおわれた大きな島と学んだ記憶があります。ただ「氷におおわれているのになぜグリーン?ホワイトでは?」と疑問に思っていました。後から知ったことは、「982年頃に赤毛のエイリークという探検家が発見した際、入植を促すために「緑の島 (Greenland)」と名付けたことに由来する」そうです。

〇しかし実際にグリーンランドは北大西洋条約機構(NATO)加盟国デンマークが保有する準自治領で、デンマークとグリーンランドは、グリーンランドは売り物ではないと反発しています。デンマークの首相は、「アメリカが軍事力でグリーンランドを奪うようなことがあれば、それはNATOの終わりを意味する」と述べています。

〇グリーンランドは人口密度が低いですが、北米と北極の間に位置するため、ミサイル攻撃の早期警戒システムや、船舶監視の拠点に適していることが、多くの国が興味を示している理由です。

〇調べると、アメリカはすでに第2次世界大戦以来、グリーンランド北西端の基地に兵100人以上を恒久的に駐留させています。トランプ氏は1期目の2019年にも、「グリーンランドを買う」と提案し、売却対象ではないと当時も反発を受けました。

〇グリーンランドの将来への懸念は、トランプ政権が先日、軍事力によって南米のヴェネズエラの大統領を拘束した事態を受けて、再燃しています。このような状況やトランプ氏を中学生にはどのように映っているのでしょか?そもそも「アメリカの大統領や世界の情勢なんか興味がない」という生徒もいるでしょうが、少なくとも卒業時くらいまでには、いろいろな社会情勢にも自分の意見をもってもらいたいです。

〇これらは日本を含む国レベルの影響も大きく、そこから人レベルへの影響もあります。日本人の相手への気遣い(別の見方では忖度)はこの国の文化や風土の根底をつくっていますが、その対極にある個人及び自国第一主義のリーダーの発言は、大人の私でも「そんなことまで真顔で言うのか」「どこまでが本音だか見当がつかない」と啞然にとられることも多いです。

〇日本はアメリカの同盟国ですが、このトランプ氏の動きを今後どのように受け止めるのか?日本政府の対応に注目していたところ、先日急に国会の解散の噂が流れ、これもびっくりしました。

〇高市首相が一昨日の記者会見で、衆議院を解散する決断を正式に発表しました。それをテレビで視聴していて特に気になったのは、「高市早苗が内閣総理大臣でよいのか国民の皆様に決めていただく」という言葉でした。ただ日本は議院内閣制を採用しているため、国民が総理大臣を直接選ぶことはできず、国会議員の中から国会の議決によって選ばれる仕組みです。

〇国民は衆議院選挙で代表者(議員)を選び、その議員が多数を占める政党が組閣し、国会で首相を指名することで間接的に総理大臣の選出に関与することしかできません。高市首相は今回の解散と選挙で、与党で過半数を目指すということでしょう。「解散は重い重い決断だ。首相としての進退を懸ける。連立政権の枠組みも変わった。だからこそ国民の意思に正面から問いかける道を選んだ。」と言っていました。

〇一部の有識者からは、「今の支持率の高さをバックにした人気投票のつもりか?」や「来年度予算の決定を後回しにしてまで行う大義があるのか?」などの批判もあります。また「トランプ大統領と高市首相が右寄り」と日米の見えない連携?を指摘する人も多いですが、私は右や左という政治的な意見は立場上言うつもりはありません。ただその二人の気になる視点として、「関税や消費税」の税があります。

〇高市首相が今回の説明で、「2年間限定で食料品の消費税率をゼロにする減税策の検討を加速する」と表明しました。おそらく消費税の減税や廃止をそろって主張する野党を意識し、衆院選での争点化を避ける狙いがあるとみられています。もしそうであれば、「消費税減税が与野党で一致ならば、少なくともその理由での解散は不要ではないか?」と感じます。

〇税金の役割は、公共サービス(道路、教育、医療、警察、消防など)の財源確保、所得や資産の再分配、経済の安定化等で、国民全員で費用を分か担い、より良い社会を支えるためのお金で、納税は憲法で定められた国民の義務です。そして消費税は、1989年から3、5、8、10%と徐々にその比率をあげ、全て社会保障に充てられています。

〇個人的には、この消費税減税を選挙の公約としているのが、アメリカ大統領が関税(外国から商品を輸入する際に、輸入国の税関が課す税金で、主に自国産業の保護と国の税収確保を目的とし、輸入品の価格を上げて国内製品との競争力を高めたり、財源を増やしたりする)を政策の手段としていることとつながっている気がします。関税は輸入者が納めますが、最終的には商品の価格に上乗せされるため、消費者が負担する間接税でもあります。

〇2年生と行っているキャリアパスポートに関する面接では、数人が社会の授業が好きな理由として、「友だちと地理や歴史について、お互いに考えていることを話し合ったり、そこから新しい見方・考え方を知ったりするのが楽しい」と答えています。授業ですから教科書を使っていますが、このアメリカや日本の政治的な出来事も、生きた教材となる気がします。

〇生徒たちには昨年の全校集会で、「言動の一致(言っていることとやっていることに矛盾がない)ができている人は、社会の中で信頼されます」と話しました。生徒には、今回のような日米の首脳による様々な発言が、「本気なのか?脅しなのか?」を見極めることは難しいかもしれませんが、一度ご家庭でもお子様と話題にしてみてください。

須藤昌英