校長雑感ブログ

7月8日(火)自分の常識を疑うことで世界が広がる

〇昨日から三者面談が始まりました。保護者の皆様には午後の暑い中で恐縮ですが、4月からのお子様の成長や夏季休業中の過ごし方をお互いに確認できれば・・と思います。

〇日本のおもちゃ(玩具)は、世界的にも好評なものが多いことはよく知られています。ポケモンやワンピースなどのアニメ関連をはじめ、ミニカーや超合金シリーズなどのグッズ、さらには伝統的な「けん玉」「お手玉」なども根強い人気があるそうです。

〇その中でも、1975年(昭和50年)7月1日に発売された「黒ひげ危機一発」は、私も小学生の頃よく遊んだ記憶があります。その名前もユニークですが、単純明快なルールで今でも人気があります。

〇今年で発売開始50年になり、海外でも「Pop(ポップ) up(アップ) Pirate(パイレーツ)」の名称で親しまれ、累計出荷数2,000万個を超えるロングセラー商品だそうです。

〇手元の剣を黒ひげが入っている樽の穴に差し込む際に、ハラハラドキドキします。そして「当たり」の穴に差し込んだ瞬間に、樽から黒ひげが飛び出します。テレビゲームなどが無かった昔は、友人たちと大騒ぎしながら楽しみました。

〇問題はそのルールです。私はずっと黒ひげが飛び出した穴に剣を差し込んだ人が「負け」だと思っていました。友人が飛び出した黒ひげを見て悔しがっているのを、横から面白がっていました。

〇ところがメーカーの説明によると、発売当初は、「捕らわれた黒ひげの縄を切って助ける=勝ち」というルールだったそうです。先日そのことを初めて知った時、「そんなバカな。今までとまったく逆じゃないか。」と少しショックを受けました。

〇しかししばらくすると「なるほど、そういうルールでも楽しいだろう。」と思い直しました。ただ同じ飛び出しでも「勝つ」と「負ける」では正反対の結果です。一体いつから飛び出したら「負け」になったのでしょうか?

〇おそらくそれまで樽の中で大人しくおさまっていた人形が、突如として飛び出す場面は、驚きとともに「寝た子を起こしてしまった!」のような罪悪感に近いものがあったからではないでしょうか?

〇そこでだんだん、飛び出さないようにする意識の方が優位になり、それが「勝ち」という結果と結びついたような気がします(勝手な憶測ですが・・)。

〇このルール決めには続きがあるそうで、ある時からメーカーの説明書には「飛び出したら勝ちか負けは、遊ぶ前に決める」ことが書いてあるそうです。

〇これはまず今まで常識だと思い込んでいたことも「果たしてそうだろうか?」と疑いをもつことの大切さを教えてくれます。長年思い込んできたことに違う解釈を当てはめるのは、とても難しいですが、変化の激しい現代では、柔軟な思考をすることが不可欠です。

〇また昨日も書きましたが、民主的にルールなどを決定していく場合に、このことはとても公正・公平なやり方だろうと思います。物ごとには必ず「上か下か」や「右か左か」などの正反対の見方・考え方がありますので、最初にみんなできちんとルールを確認してから話し合ったり協力しあったりすることが重要だと思います。

〇今4歳の孫娘もこのおもちゃを持っています。ただ形は同じですが、樽には髭のある片目の海賊(黒ひげ)ではなく、ディズニーキャラクターのスティッチが入っています。50年前に私が遊んだと同じおもちゃで、孫がキャーキャー言いながら楽しんでいるのを見ると、とても不思議な感覚です。

須藤昌英