校長雑感ブログ

7月7日(月)誤情報と偽情報にだまされない!

〇先週まで「2025年7月5日に日本で大災難が起きる」という“うわさ”が話題になりました。科学的根拠がなく、気象庁もデマだとしていましたが、SNSなどで広がり、一部の航空便が運休にもなる事態にまでなったニュースが報道されました。結局予言のような出来事は起こりませんでしたが、私も心の隅で、「もしかしたら・・」と少し不安があったのは事実です。情報が間違っていて良かった例と言えます。

〇その一方で今月の20日(日)に参議院議員通常選挙があります。参議院議員は任期は6年で、3年毎にその半数が改選されます。こちらは先ほどの予言と逆に、情報が間違っていると困る例として、「選挙期間中ほどフェイク情報が拡散しやすい」が気になります。私もこれまで「どうして選挙期間中にフェイク情報が多いのか?」と疑問をもっていました。

〇日本は80年前に太平洋戦争で敗戦し、その後アメリカなどの連合国軍占領下で、非軍事化・民主化の道を歩み始めました。その中で最も大切にしてきたのは「民主主義」です。

〇この「民主主義」を支える民主的な政治の原則は、「国民が支配的な立場の人に頼らず、多数決ですべてのことを決めていく」ことです。人々の声を集約し、議論した上で決定するのは、選挙でより多くの支持を得て当選した議員であり、その国民の代表である議員を選出する国政選挙は、とても重要です。

〇近年のSNSの発達により、選挙前の各政党や立候補者の主張内容などを知る手段は、新聞やテレビなどの従来のマスコミではなくなってきています。

〇しかしその一方で、参議院選挙を前にNHKが行った世論調査によると、選挙の際、SNSや動画共有サービスでウソや真偽不明の情報が広まり、「投票行動に影響を与えるかもしれないという懸念を感じる」と答えた人が80%余りに上っているそうです。

〇これは深く考えさせられる状況だと感じます。SNSの問題に詳しい国際大学の山口真一准教授は、「フェイク(偽)情報によって選挙結果が変わってしまうことに多くの人が危機感を抱いている。金もうけの為に発信された情報で人々が誘導されて、民主主義がねじ曲げられることがないよう、何らかの対策が必要だ」と指摘しています。

〇また山口氏は、SNSを利用する際の注意点として「選挙の時はさまざまなフェイク情報、真偽不明の情報が広まりやすいので、そうした情報に接したら、情報の発信元やメディアがどう言っているかを確認するなど検証してほしい」と続けています。

〇中学生も数年先には有権者となります。特に今15歳の中学校3年生は、成人年齢引き下げにより18歳で選挙権を与えられます。今からでも正しい情報の見極め方やその情報に対して自分の意見をもつ資質・能力を身につけることが不可欠になります。

〇ネット情報に関する年代別の調査では、40歳代以上では、「誤った情報やひぼう中傷が広まりやすくなる」、「何が正しい情報かわからなくなる」といった否定的評価が上位にきたのに対し、10・20・30歳代では、いずれも「選挙が身近になる」と「投票の判断材料が増える」が上位となり、肯定的に評価しています。

〇誤情報とは「不正確な統計や写真、日付、誤訳や風刺が事実と受け止められやすい情報」、偽情報とは「意図的に改ざんした情報やでっち上げた嘘や噂」です。これらに振り回されないためには、日ごろから得た情報を鵜呑みにせず、次のような視点で点検していくことが望ましいと思います。

〇学校の授業でも、自分たちで調べる学習がありますが、上記のポイントは同じですので、生徒には常に留意させていきます。

須藤昌英