校長雑感ブログ

2月24日(火)「頓珍漢」と「珍紛漢紛」

〇気象庁は昨日、関東地方に春の訪れを告げる「春一番」が吹いたと発表しました。午前9時までの最大瞬間風速は、千葉で20.8メートルを観測しました。今朝学校でも、プランターなどが吹き飛ばされていました。思い出せませんが、去年は関東で「春一番」が観測されなかったため、2年ぶりの観測となったようです。

〇今ではあまり使われていませんが、「頓珍漢(とんちんかん)」は昔よく聞いたり言っていたりした言葉です。友人同士でも「相変わらずお前はとんちんかんだな」などと悪口まではいかなくとも、相手を揶揄するような意味合いが含まれていました。調べてみました。

〇「頓珍漢」は、言動や行動のつじつまが合わず、ちぐはぐで的外れな様子、またはその人を指す言葉です。刀などをつくる鍛冶屋で、親方と弟子が交互に鉄を打つ際、タイミングが合わず音がちぐはく(とん・ちん・かん)に響く音が由来の当て字のようです。

〇私はこの「頓珍漢」を多様性(ダイバーシティ)のキーワードだと思っています。いろいろな考えを持つ人々には必ず「ズレ」があり、それを認めあうのが多様性です。この本質は、自分とは異なる視点や思考プロセスを受け入れることで、例えばみんながAだと思っている時に、突拍子もないBを投げ出す人の「頓珍漢」さは、時に硬直した状態や偏った雰囲気を打破する起爆剤になり得ます。物事の捉え方が根本的に異なる人がいることを認めるという意味では、立派な多様性のグラデーション(濃淡)です。

〇また現代の多様性という概念には、「相互理解」と「尊重」がセットになっています。多様性は「対話」が欠かせませんので、もし「頓珍漢さ」が「相手の話を聞かない」「文脈を無視し続ける」という面である場合、それは多様性の共存ではなく、単なる「コミュニケーションの拒絶」となってしまいます。

〇先日の朝のニュース番組中で、クイズのコーナーがあり、ヒントを出されても答えが思いつかない若いアナウンサーが「まったくわかりません、チンプンカンプンです」と発言していました。その時「へぇ~若い人も使うのか~」とちょっと不思議な気がしました。

〇こちらは、江戸時代に外国語(特に中国語)や難解な漢文が理解できなかった様子に由来する説が有力です。中国語の「聞き取れない」を意味する言葉が日本で転じた説と、当時の中国人の名前に由来する説があります。

〇「チンプンカンプン」を漢字で書くと、「珍粉漢粉」ですが、これはおそらく当て字でしょう。読みがおまじないのようでリズムが良く覚えやすいので、子どもでも言いやすいのが利点かもしれません。子どもが転んで痛がった時などに使われる「ちちんぷいぷい、痛いの痛いの、飛んでいけ」と近い感じがします。

〇ただ意味としては、単なる「無知」や「混乱」だけではなく、私は新しい世界への入り口「知的好奇心の種」であると前向きに解釈しています。人間の心理として、「わからないから知りたくなる」ものですので、決してマイナスだけではないと思います。

〇人は自分が何を知らないかを知った時(無知の知)、初めてその先へ進む必要性を感じるものです。「ちんぷんかんぷん」と感じることは、自分が今持っている知識や技術の外側に、巨大な未知の領域が広がっていることを発見した証拠です。

〇最初はしり込みしてしまうかもしれませんが、人の脳は理解できないものに出会うと、パターンを見出そうとしてフル稼働します。この「違和感」や「分からなさ」がストレスとなり、それを解消しようとするエネルギーが新たな「問い」を生み、それを契機に「知りたい!やってみたい!」と前向きになれることでしょう

〇「ちんぷんかんぷん」な対象を解き明かそうとする過程で、私たちは断片的な情報を繋ぎ合わせ、自分なりの新しい論理を構築します。この時こそ、単なる暗記ではない「深い理解」が生まれます。「分からない」を面白がれるかどうか。どうやらそれが、単なる思考停止で終わるか、深い探究へと踏み出すかの分かれ道と言えそうです。

須藤昌英