校長雑感ブログ

2024年11月の記事一覧

11月5日(火)ちょっと良い話と想像力について

〇この三連休は、土曜日は秋雨前線で雨でしたが、文化の日と振替休日は秋晴れで気持ちの良い日でした。運動しようと自転車に数時間乗っても大汗をかくこともなく、ベンチで本を読んでいても紅葉しかけの木々や鳥の声で心が安らぎます。

〇ようやく暑さから逃れ、このような気候が長く続けばよい・・といつも思いますが、なかなかそういうわけにはいきません。気温や湿度が下がると、ウイルスの活動が活発化し、感染症の心配が出てきます。警戒を始めていきます。

〇先日学区にお住いの方から、うれしい連絡が入りました。道路で落とし物(財布)をして気付いて警察に連絡すると、近隣の交番に届いていたそうで、届けた人を尋ねるとどうやら富勢中の生徒であるとのことでした。

〇その生徒は交番へ名前や連絡先を知らせなかった?のでしょうか。結局直接お礼を言うことが出来なかったので、学校に連絡してくださったようです。職員の打ち合わせで周知し、クラスで伝えたいと思います。

〇こういう話を聞くと、最近よく報道されている通称「闇バイト」にかかわってしまった若者たちと比べてしまいます。もちろん一概には比べられませんが、手元のスマートフォンですべて(金銭欲しさも含め)を解決しようと、ネットサーフィンして見つけたサイトへアクセスし、短時間で高収入という「効率」に目がくらんでしまったのかもしれません。

〇そもそもこの犯罪を「闇バイト」などと呼んでしまうこと、これこそが今の世の中の負の部分だと思います。スマートフォンの情報は間違ったものや法律に触れることなどが多く含まれていること、実行役や見張り役などの細かい役割分担があるので、もし捕まっても一人の犯罪よりは罪は軽いだろう?などの思い込み・・。

〇一番の問題は「想像力」の欠如です。先ほどの落とし物を交番に届けた本校生徒は、「落とした人はどれだけ困っているだろうか?」とその人の気持ちを想像したからこそ行動できたのだと思います。一方で、犯罪に手を貸してしまった若者たちは、「自分さえよければ・・」と被害者の気持ちなどを考えることもなく、短絡的であると言わざるを得ません。

〇逮捕された若者たちばかりを責めるのではなく、我々大人がつくってきたこの世界には、多くの矛盾や誤魔化しがはびこっており、その陰で苦しんでいる人がいることを再認識する必要があると思います。いくら経済的に豊かになっても、弱い立場にある人たちを切り捨てて成り立っている社会に、本当の安らぎはありません。天高い秋の空をみんなが楽しめるような世の中にならなければならないと感じます。

須藤昌英